フェローテックホールディングス(6890) – 株式会社大泉製作所株式(証券コード:6618)に対する公開買付けの開始及び第三者割当増資の引受け等に関するお知らせ

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開示日時:2022/06/10 17:00:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 9,059,785 843,720 805,422 76.62
2019.03 8,947,823 878,280 821,528 76.79
2020.03 8,161,368 601,293 657,061 47.35
2021.03 9,131,261 964,061 1,019,651 201.51

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
3,835.0 3,862.5 3,207.02 5.96 8.81

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 -235,318 994,696
2019.03 -2,448,654 1,146,608
2020.03 -2,501,676 890,292
2021.03 -107,965 1,321,772

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

2022 年6月 10 日 会 社 名 株式会社フェローテックホールディングス 代 表 者 名 代表取締役社長 賀 賢 漢 (コード番号:6890 東証スタンダード市場) 問 合 わ せ 先 執行役員社長室長 佐 藤 昭 広 (03-3281-8186) 各 位 1.買付け等の目的等 (1)本公開買付けの概要 株式会社大泉製作所との資本業務提携契約の変更等に関する合意書の締結、株式会社大泉製作所株式(証券コード:6618)に対する公開買付けの開始及び第三者割当増資の引受けに関するお知らせ 株式会社フェローテックホールディングス(以下「公開買付者」といいます。)は、2022 年6月 10 日開催の取締役会において、株式会社大泉製作所(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)グロース市場、証券コード:6618、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)に定める公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議いたしましたので、以下のとおり、お知らせいたします。 公開買付者は、本日現在、東京証券取引所グロース市場に上場している対象者株式を 2,441,100 株(所有割合(注1):28.76%)直接所有し、対象者を持分法適用関連会社としております。 (注1)「所有割合」とは、対象者が 2022 年5月 13 日に公表した「2022 年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された 2022年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(8,488,968 株)から、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(178 株)を控除した株式数(8,488,790 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、別段の記載がある場合を除き、比率の計算において同様に計算しております。)をいい、後述の本第三者割当増資の払込みに伴う希釈化前の割合をいいます。以下同じとします。 この度、公開買付者は、本日開催の取締役会において、(i)対象者との間で、公開買付者及び対象者との間の 2021 年3月 24 日付資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)の変更等に関する合意書(以下「本合意書」といい、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携を、本合意書による変更等後の提携関係も含め、以下「本資本業務提携」といいます。)を締結すること(注2)、並びに、(ⅱ)後述の本第三者割当増資(注3)及び本公開買付けを組み合わせることにより、公開買付者が最終的には対象者を公開買付者の連結子会社とすることを目的として、対象者株式を対象とした本公開買付けを実施するとともに、対象者が実施する、本公開買付けにかかる公開買付期間(以下「本公開買付期間」といいます。)中の 2022 年6月 27 日を払込期日、発行価額を記 1 1株当たり 1,039 円(注4)(発行総額約 800 百万円)、公開買付者を割当予定先とする対象者株式770,000 株(議決権数 7,700 個、所有割合 9.07%)の第三者割当による募集株式の発行(以下「本第三者割当増資」といい、本第三者割当増資及び本公開買付けを総称して「本取引」といいます。)において、本合意書に定める一定の前提条件(注5)の充足を条件として、発行される対象者株式の全てを引き受けることを決議いたしました。 (注2)本合意書の詳細につきましては、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。 (注3)本第三者割当増資の詳細につきましては、後述する対象者有価証券届出書等、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本第三者割当増資に関する事項」及び「(4)本公開買付け後の対象者の株券等の取得予定」をご参照ください。 (注4)本第三者割当増資の発行価額は、本第三者割当増資に係る対象者取締役会決議日(2022 年6月 10 日)の前営業日である 2022 年6月9日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 1,039 円であり、本公開買付けにおける対象者1株当たりの買付け等の価格(1,300 円、以下「本公開買付価格」といいます。)と差異が生じております。これは本第三者割当増資及び本公開買付けが、それぞれ対象者を連結子会社化する本取引の一環であるものの、それぞれ別々の取引として異なる視点で検討がなされたためです。詳細は、下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」をご参照ください。 (注5)前提条件につきましては、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本第三者割当増資に関する事項」をご参照ください。) 本公開買付けにおいて、公開買付者は、対象者の連結子会社化を目的としているため、対象者株式の上場廃止を企図するものではなく、公開買付者及び対象者は本公開買付け成立後も対象者株式の上場を維持する方針であることから、買付予定数の上限を 1,510,900 株(議決権数 15,109 個、所有割合 17.80%)(注6)と設定しております。なお、本公開買付けに応じて売付け等がなされた株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の上限(1,510,900 株)を超える場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、法第 27 条の 13 第5項及び発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第 38 号。その後の改正を含みます。以下「府令」といいます。)第 32 条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等に係る受渡しその他の決済を行います。他方、本公開買付けにおいては、公開買付者は、①本公開買付けにより売却を希望される対象者株主の皆様に確実な売却機会を提供するとともに、②仮に本公開買付けにより対象者の連結子会社化に必要な対象者株式の数の応募が集まらなかったとしても、本公開買付けにより公開買付者の所有割合を少しでも高めることにより対象者との資本関係を更に強化することが本資本業務提携の目的に資することから、買付予定数の下限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の上限(1,510,900 株)以下の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行います。なお、公開買付者は、対象者を公開買付者の連結子会社とすることを目的として本取引を実施するものであり、本取引後も対象者株式の上場を維持する方針であることから、本取引により対象者の議決権の過半数(本取引後に公開買付者が所有する議決権数が46,294 個以上、本公開買付けで取得する対象者株式数が 1,418,300 株以上)を取得した場合には、本取引後に対象者株式を追加で取得することは現時点で予定しておりません。また、公開買付者は、連結子会社化が確実に実現できるような条件で本公開買付けを実施していると考えており、本取引により公開買付者が対象者の議決権の過半数を取得するに至らず(本取引後に公開買付者が所有する議決権数が 46,294 個未満、本公開買付けで取得する対象者株式数が 1,418,300 株未満)、対象者を連結子会社化することができないことは現段階では想定しておらず、連結子会社化することができなかった場合の対応についての具体的な検討はしておりません。 2 但し、万一、本取引により公開買付者が対象者の議決権の過半数を取得するに至らなかった場合、公開買付者としては連結子会社化を達成できる方向で再検討をする予定です。この場合、例えば、本公開買付けの結果を踏まえて対象者株式の市場価格等の外部環境を見極めつつ、公開買付者が対象者株式を追加取得するかを改めて検討する予定であり、また、それ以外の連結子会社化の方法も状況に応じて検討していく可能性はありますが、現段階では具体的な検討は行っておりません。なお、公開買付者が対象者株式の追加取得を希望する判断をした場合、公開買付者は、対象者との間で、本合意書に従って、追加取得の具体的方策について誠実に協議する予定ですが、本書提出日時点においては、対象者株式を追加取得する具体的な予定はありません。 (注6)買付予定数の上限は、対象者決算短信に記載された 2022 年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(8,488,968 株)に本第三者割当増資により新たに発行される対象者株式数(770,000 株)を加算した数(9,258,968 株)から対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(178 株)を控除した株式数(9,258,790 株)に係る議決権数(92,587 個)の 51.00%となる数(47,220 個。小数点以下を切り上げております。)から、公開買付者が本日現在所有している対象者株式数(2,441,100 株)に係る議決権数(24,411 個)及び本第三者割当増資により新たに発行される対象者株式数(770,000 株)に係る議決権個数(7,700 個)の合計(合計 32,111 個)を控除した数に 100 を乗じた株式数です。 対象者が本日公表した「株式会社フェローテックホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明、及び同社との資本業務提携契約の変更等に関する合意書の締結に関するお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、本日開催の対象者取締役会において、対象者の取締役5名のうち、鈴木孝則氏を除く利害関係を有しない取締役4名全員が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員の一致により、下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」の「② 対象者における意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、(i)公開買付者との間で本合意書を締結すること、及び、(ⅱ)本公開買付けに賛同の意見を表明する旨を決議したとのことです。また、対象者は、本公開買付価格については、第三者算定機関である株式会社KPMG FAS(以下「KPMG FAS」といいます。)から取得した対象者株式の株式価値の算定結果に照らしても不合理なものではないと考えられるものの、本公開買付けには買付予定数に上限が設定され、本公開買付け後も引き続き対象者株式の上場が維持される予定であることから、対象者の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を採り、対象者の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議したとのことです(注7)。 (注7)対象者における本公開買付けに対する意見及び意思決定の過程については、対象者プレスリリース及び下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役の異議のない旨の意見」をご参照ください。 また、対象者が本日付で関東財務局長に提出した有価証券届出書(以下「対象者有価証券届出書」といいます。)及び対象者が同日公表した「株式会社フェローテックホールディングスとの間の資本業務提携契約の変更等に関する合意書の締結及び同社に対する第三者割当による新株式発行に関するお知らせ」(以下、対象者有価証券届出書と併せて「対象者有価証券届出書等」といいます。)によれば、対象者は、本日開催の対象者取締役会において、公開買付者を割当予定先とする本第三者割当増資の実行を決議しているとのことであり、公開買付者は、本合意書に定める一定の前提条件の充足を条件として、本第三者割当増資において発行される対象者株式の全てを引き受ける予定です(前掲(注3))。なお、公開買付者による払込みは、本公開買付期間中の 2022 年6月 27 日(払込期日)を予定しております。 3 公開買付者が、本第三者割当増資の払込みを完了させた時点の、公開買付者の対象者株式に対する本第三者割当増資後の希釈化ベースの所有割合(以下「希釈化後所有割合」といいます。(注8))は 34.68%となります。また、公開買付者が、本第三者割当増資の払込みを完了させ、かつ、その後に実施される本公開買付けの決済により買付予定数の上限 1,510,900 株(議決権数 15,109 個、所有割合:17.80%)を取得した場合、公開買付者の対象者株式に対する本第三者割当増資後の希釈化後所有割合は 51.00%となります。さらに、対象者有価証券届出書等によれば、本第三者割当増資により対象者が調達する資金については、①公開買付者が中国に建設中の新工場に対するサーミスタ素体焼結ラインの増設のための費用として 500 百万円、②対象者のサーミスタ生産設備自動化のための費用として 290 百万円が充当され、支払時期はいずれも 2022 年6月から 2023 年6月を予定しているとのことです。なお、公開買付者といたしましては、本第三者割当増資により引き受ける対象者株式を長期保有する意向を有しており、その旨を対象者に伝達しております。 (注8)「希釈化後所有割合」とは、対象者決算短信に記載された 2022 年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(8,488,968 株)に本第三者割当増資により新たに発行される対象者株式数(770,000 株)を加算した数(9,258,968 株)から、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(178 株)を控除した株式数(9,258,790 株)に対する割合をいいます。以下同じとします。 なお、公開買付者は、2022 年6月6日付で公開買付届出書を提出し、本日時点において、東洋刄物株式会社(以下「東洋刄物」といいます。)を対象者とする公開買付け(以下「東洋刄物公開買付け」といいます。)を実施しておりますが、公開買付者は、本取引と東洋刄物公開買付けをそれぞれ別個独立の取引として検討し、対象者、東洋刄物と個別に協議した結果、本取引及び東洋刄物公開買付けの実施をそれぞれ決定したものであり、本取引と東洋刄物公開買付けとはそれぞれ独立した取引です。 取引後の経営方針 (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程 公開買付者は、1980 年9月に、米国フェローフルイディクス社(注1)によって、コンピュータシール、真空シール及び磁性流体の輸入販売を目的に日本フェローフルイディクス株式会社として設立され、1995 年 10 月に商号を株式会社フェローテックに変更しました。その後、公開買付者は、2017 年4月に公開買付者を吸収分割会社、株式会社フェローテック分割準備会社を吸収分割承継会社とする吸収分割により、製造及び営業事業を株式会社フェローテック分割準備会社へ承継するとともに、現商号の株式会社フェローテックホールディングスへ変更しました。なお、株式会社フェローテック分割準備会社は、2017 年4月に株式会社フェローテックに商号変更した後、2020 年7月に株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズを吸収合併存続会社とする吸収合併により、消滅しております。 また、公開買付者は、1996 年 10 月に公開買付者の普通株式(以下「公開買付者株式」といいます。)を日本証券業協会に店頭登録した後、2004 年 12 月に日本証券業協会への店頭登録を取消しジャスダック証券取引所に公開買付者株式を上場し、2010 年4月にジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い大阪証券取引所 JASDAQ に移行しました。その後、2013 年7月には東京証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い東京証券取引所 JASDAQ に移行し、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、2022 年4月4日に東京証券取引所 JASDAQ から東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。 (注1)米国フェローフルイディクス社は、1999 年 11 月に、公開買付者が同社の株式を米国法に基づく公開買付けにより取得して公開買付者の連結子会社とし、同社の商号を Ferrotec (USA) Corporation へ変更しました。 4 公開買付者グループ(公開買付者並びに公開買付者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じとします。)は、持株会社である公開買付者及び子会社等 73 社(連結子会社 60 社、持分法適用関連会社 12 社及び持分法非適用非連結子会社1社)(本日現在。なお、連結子会社である1社については破産手続が開始されており、2022 年3月期までに損失の引当計上を行っております。)で構成されており、現在では半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC 製品(注2)、シリコン製品、坩堝の製造・販売を行う「半導体等装置関連事業」、温調機器等に使用されるサーモモジュールの製造・販売及び磁性流体の製造・販売を行う「電子デバイス事業」並びにソーブレード(注3)、工作機械、太陽電池用シリコン製品等の製造・販売を行う「その他事業」の3つの事業セグメントにおいて事業を展開しております。また、公開買付者グループは、1992 年1月に中国にサーモモジュールの製造会社として杭州大和熱磁電子有限公司を設立して以降、積極的に中国展開を行い、米国で生まれ、日本で育ち、中国で拡大する企業として、グローバルに事業活動を行っており、エレクトロニクス産業に限らず、ものづくりにおける要素技術を拡充し、高品質の製品を国際競争力のある価格で世界に送り出すグローバル企業を目指しております。 (注2)「CVD-SiC 製品」とは化学気相成長法(CVD方式)による炭化ケイ素(Si(注3)「ソーブレード」とは、切断工具の一種であり、電動工具刃物用の刃物を指しC)部材を指します。 ます。 公開買付者グループは 2021 年5月 28 日、2022 年3月期から 2024 年3月期までの新中期経営計画を策定し、公表いたしました。また、その後の計画を上回る業績の推移に伴い、当該計画における 2023 年3月期の業績目標が 2022 年3月期に1年前倒しで達成される見込みとなったことから、2022 年5月 30 日に当該計画の業績目標を更新したものを公表いたしました(当該更新後の新中期経営計画を、以下単に「新中期経営計画」といいます。)。新中期経営計画では以下の4つの基本方針の下、収益性を重視するとともに次のステージに向けての成長路線を掲げています。 (a) 事業成長 事業成長・利益成長を徹底的に追及し、成長投資を継続していきます。具体的には、成長期待の高い半導体分野、電子デバイス分野での増産投資を進め、公開買付者グループのポジションを引き上げていきます。また、将来の成長に向け、EV(電気自動車)関連等への投資も推進していきます。 (b) 財務強化 財務強化を更に推進し、投資機会と財務状況の適切なバランスを確保していきます。具体的には、当期純利益を KPI(注4)化し、投資リターン及び投下資本利益率(ROIC)(注5)の管理を強化し、外部資本の活用を適切に検討していきます。 (注4)「KPI」とは、キー・パフォーマンス・インジケーター(Key Performance Indicator)の略称で、企業業績を評価するための重要業績評価指標です。 (注5)「ROIC」とは、Return On Invested Capital の略称で、親会社株主に帰属する純利益を有利子負債に純資産を加算したもので除した経営指標です。純資産は新株予約権及び非支配株主持分を除きます。 「品質は命」と考え、品質管理の強化を進めていきます。具体的には、品質管理の自動化・デジタル化による生産体制の強化を図ります。 (c) 品質強化 (d) 人材強化 5 人材の強化、組織の構造改革を推進していきます。具体的には、企業規模が拡大するなか、更に持続的な成長を実現するため、人材の採用・育成、組織体制の改革、企業文化の醸成を推進していきます。 これらを実行することで、公開買付者グループは、新中期経営計画の最終年度である 2024 年3月期において、連結売上高 2,300 億円、連結営業利益 400 億円、親会社株主に帰属する当期純利益210 億円、自己資本利益率(ROE)15%、投下資本利益率(ROIC)8%、自己資本比率 40%超の実現を目指しております。なお、自己資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)につきましては、新中期経営計画において 2022 年3月期から 2024 年3月期までの間の累計投資額の計画を従来の 950 億円から 1,800 億円に引き上げたため、2022 年3月期の実績値(2022 年3月期業績は連結売上高 1,338 億円、連結営業利益 226 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 266 億円、自己資本利益率(ROE)26.9%、投下資本利益率(ROIC)15.8%、自己資本比率 49.5%となります。)に比べて低くなると計画しております。また、長期ビジョンとして、2030 年度(2031 年3月期)には連結売上高 5,000 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 500 億円の達成を目指していくこととしています。 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1939 年8月 13 日に、後に対象者初代取締役となる松井角平らが、航空機の高性能電気接点の製造を目的とする日本接点研究所として創業、その後、法人組織に改組し、1944 年3月 25 日に資本金2百万円で、株式会社大泉航空機器製作所として設立されたとのことです。戦後、1945 年 10 月に社名を現在の株式会社大泉製作所と改め、民需の電気接点の製造を開始しましたが、1952 年2月に電気通信省電気通信研究所よりサーミスタ(注6)の試作依頼を受け研究開発を開始し、1955 年1月に電話交換機用のサーミスタの生産を開始したとのことです。以来、60 有余年にわたり、半導体セラミック技術及び金属、プラスチック、ガラス技術の蓄積に基づき、各種温度センサの開発に取り組み、高品質製品の供給に努めているとのことです。そして、2012 年6月に東京証券取引所マザーズ市場に上場した後、2022年4月4日付で適用された新市場区分についてグロース市場を選択し、同日付で東京証券取引所グロース市場に上場したとのことです。 (注6)抵抗のことを英語では Resistance といい、抵抗体のことを Resistor といいます。一方、熱を意味する英語にThermal という言葉があり、熱に感じやすい抵抗体を Thermally Sensitive Resistor といい、これを一まとめにしてできた言葉が Thermistor(サーミスタ)です。 対象者グループ(対象者並びに対象者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じとします。)は、対象者及び連結子会社4社の合計5社(2022 年3月 31 日現在)で構成されており、熱・温度変化によって電気抵抗値が変化する半導体セラミックスのサーミスタを利用した各種電子部品(以下「エレメント(注7)部品」と称します。)の製造・販売、並びにそれらを使用して、顧客である自動車部品メーカーや空調・家電メーカー等が最終製品に取付けて温度測定や制御に利用できる温度センサの製造・販売を主たる事業としているとのことです。 (注7)熱・温度変化によって電気抵抗値が変化する半導体セラミックスのサーミスタを利用した各種電子部品のことをいいます。 公開買付者と対象者は、公開買付者が 2021 年3月 24 日に公表した「株式会社大泉製作所との資本業務提携契約締結に関するお知らせ」に記載のとおり、2021 年3月 24 日付で本資本業務提携契約を締結し、公開買付者が対象者の当時の主要株主であるインテグラル・オーエス投資事業組合1号及び第2位の株主である Spring L.P.(以下、両者を総称して「当時の主要株主ら」といいます。)から対象者株式 2,441,100 株(当時の議決権所有割合 29.12%)を譲り受け、本資本業務提携において公開買付者のサーモモジュール等の熱制御製品及びパワー半導体事業の顧客である中6 国の NEV(New Energy Vehicle)(注8)企業とのリレーションをはじめとしたグローバルネットワークの活用により、対象者の高品質製品の販売強化に繋がることに加えて、公開買付者の自動化や生産管理システム(MES、ERP)導入の経験・ノウハウ、セラミックス等の材料技術、生産技術、品質管理ノウハウ等の経営資源を効果的に活用することで、中長期的な両者の企業価値向上を企図しました。なお、本資本業務提携契約では、公開買付者の議決権割合が 15%以上である限りにおいて、公開買付者が対象者の取締役候補者1名を指名できる旨を合意しており、本日現在、公開買付者が指名する者1名が対象者の取締役に就任しております。 (注8)「NEV=New Energy Vehicle)」とは、中国におけるプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)及び燃料電池自動車(FCV)の総称です。 また、本資本業務提携契約の締結以降、公開買付者としても相応の経営資源をかけて本資本業務提携を推進してきました。具体的には、公開買付者からの提案により、販売戦略、生産技術、R&D の3つの分科会及びステアリングコミッティを立ち上げ、それらを定期的に開催し、本資本業務提携の目的である(i)対象者の車載用・空調用の温度センサに関する技術と、公開買付者のサーモモジュール等の熱制御製品に関する技術をベースとした、新たな製品、技術及び事業分野の創出、(ⅱ)対象者の戦略的拡販先を当面のターゲットとして、対象者の製品と技術の中国市場への一層の拡販を実現するため、公開買付者の中国市場での販売・マーケティングに係る経営資源を活用した中国における車載事業、空調事業、エレメント事業の確たる発展の実現、(ⅲ)生産・技術・販売各部門の人材交流により、また、その他の個別的な事柄において、双方の経営資源のより効率的かつスピード感のある活用の達成を実現すべく、推進してまいりました。 一方、本資本業務提携契約の締結日から現在に至るまで、対象者が本資本業務提携の成果として具現化したものはなく、公開買付者は、その要因として、対象者は、脆弱な財務基盤、慢性的な人材の不足、保守的な企業文化等からこれまで積極的な顧客開拓や設備投資に慎重にならざるを得ない状況にあったことや、公開買付者の対象者株式の所有割合が 30%以下に留まっている状況では、公開買付者としては、対象者に対する経営資源の効率的かつ積極的な投入や、(秘匿性の高い技術情報・ノウハウや当該技術情報・ノウハウを有する人材を外部に持ち出すこととなるため)公開買付者と対象者の間での経営資源の相互活用・人材交流等に慎重な判断が必要となる面があり、密接かつ迅速な意思疎通が今まで図れていなかったことにあると認識しました。そのため、公開買付者としては、対象者の企業価値及び株式価値向上のためには、連結子会社化を目指して公開買付者の対象者に対する資本関係をより一層強化することにより、公開買付者から対象者に対してより積極的な協力を図れる体制とし、公開買付者のノウハウの共有やその他の公開買付者の経営資源の活用も含めて、より柔軟かつ強固な連携を構築し、かつ、公開買付者と対象者の間での経営資源の相互活用・人材交流等にかかる制約を緩和し、密接かつ迅速な意思疎通を図ることでこれらの要因を減らしていくことが必要であると考えました。また、公開買付者としては、中国における温度センサ市場への早期参入及び市場シェアの拡大の機会を失わないためにも、相互に合理的なリスクを負担した上で、スピード感をもって具体的な業務提携を推進し、早期に本資本業務提携による具体的な成果やシナジー効果を発現させることが、公開買付者及び対象者双方の企業価値及び株式価値の向上のために必要であることを認識しました。具体的な業務提携の内容としては、公開買付者は、中国における温度センサ市場への早期参入及び市場シェアの拡大の機会を確保する足掛かりとして、まずは 2021 年5月以降に両社で協議していた中国におけるサーミスタ事業の協業について早期に事業化をする必要があると考えました。 このような状況の下、公開買付者は、2021 年 12 月中旬に、本資本業務提携を推進させるための新たな資本業務提携の形について検討を開始しました。その結果、公開買付者は、2021 年 12 月下旬に、(ⅰ)本資本業務提携を推進させるためには、両社間の密接かつ迅速な意思疎通や、公開買付者のノウハウの共有やその他の公開買付者の経営資源の活用も含めて、より柔軟かつ強固な連携が不可欠となり、現状の公開買付者と対象者の資本関係を更に強化させ、公開買付者による対7 象者の連結子会社化を目指して公開買付者の対象者に対する資本関係をより一層強化することにより、公開買付者の対象者株式の所有割合が 30%以下に留まることによる公開買付者の対象者への協力に関する慎重な姿勢を転換して両社の一体的な事業活動を円滑に推進させることが必要であること、また、(ⅱ)対象者としては上場を維持することを希望しており、公開買付者としても対象者の事業の高い将来性から、対象者の資本市場からの資金調達のパイプを確保しておくことが有益であると考えたことから、対象者を公開買付者の完全子会社とせず、上場を維持する前提の提案が望ましいと考えるに至りました。また、対象者の持続的な成長のためにはサーミスタ素体焼結ラインの増設やサーミスタ生産設備自動化に係る投資が必要であるところ、対象者決算短信によると、対象者は、2022 年3月期の有利子負債の水準が自己資本の水準を超えており、また同期の経常利益に占める支払利息の水準が 17.8%となっているため、当該資金を有利子負債で調達するのではなく第三者割当増資の方法で調達することにより財務基盤の強化を図り、それにより生み出された投資余力を以って中長期的な成長投資の資金を確保することが対象者の企業価値の向上のために重要であると考え、公開買付者による対象者の連結子会社化の手法としては、第三者割当増資の方法により公開買付者が対象者株式を引き受けることが最適と判断しました。そこで、公開買付者は、2021 年 12 月下旬に、外部の法務アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、2022 年1月中旬に、公開買付者グループ及び対象者グループから独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社アイ・アール ジャパン(以下「アイ・アール ジャパン」といいます。)をそれぞれ選任の上、公開買付者による対象者の連結子会社化の本格的な検討を開始し、2022 年1月 12 日に、対象者に対して、公開買付者が対象者の議決権の 51%を取得して対象者を連結子会社化することを目的とした第三者割当増資に関する提案書(注9)を提出いたしました。 (注9)かかる提案書では、公開買付者が対象者の議決権の 51%を取得するために必要となる新規発行株式数は 3,781,179 株(当時の発行済株式総数に対する割合:44.68%)であり、仮に引受価額を対象者株式の 2022 年1月7日の終値(1,015 円)にしたとすれば想定払込総額は約 38 億円になることを記載しています。 その後、公開買付者は、2022 年1月下旬から、対象者と第三者割当増資による資金調達額について協議を進めていく中で、対象者から、上述の第三者割当増資については、金額が多額であることから、1株当たりの利益の希釈化が一時に発生することによる対象者株式の株価への影響や議決権所有割合の希釈化といった大規模な第三者割当増資による対象者の既存株主に対する影響を踏まえて想定される増資額の必要性及び相当性については慎重な検討が必要である旨の懸念を示されたことから、2022 年3月中旬に、対象者として明確に必要な資金需要の額を見直し、既存株主への配慮から対象者株式の大幅な希釈化を避ける水準のものとするため、再度連結子会社化の手法を検討いたしました。その結果、連結子会社化の手法として、対象者の一般株主に売却の機会を提供することが可能であり、かつ対象者株式の希釈化も生じさせることがない公開買付けの方法を中心としつつも、対象者の更なる収益力向上のためには、相当な規模の設備投資が必要であると公開買付者は認識しており、対象者にて直近で必要と考えられるサーミスタ素体焼結ラインの増設やサーミスタ生産設備自動化に係る投資の資金需要の範囲で第三者割当増資を実施し、公開買付者がこれを引き受けることで対象者の財務基盤を強化することが対象者の企業価値向上により資すると判断いたしました。そこで、公開買付者は、2022 年3月 28 日、対象者に対して、サーミスタ素体焼結ラインの増設やサーミスタ生産設備自動化に係る投資に必要と公開買付者が考える約 16 億円を本第三者割当増資における払込総額とし、加えて、公開買付者が対象者を連結子会社化するために、公開買付者の対象者に対する議決権所有割合が 51%となる株式数を上限とする公開買付けを組み合わせる方法に変更することを提案いたしました。 その後も、公開買付者と対象者との間で、2022 年4月初旬から5月初旬にかけて複数回に亘って協議を行い、両社による中国におけるサーミスタ事業の協業が本取引を通じてどのように推進8 可能か、それが対象者の企業価値の向上にどのように繋がるのかといった点を中心に、両社の事業の更なる拡大と企業価値向上のための方策について検討を継続してまいりましたが、2022 年5月6日、本取引により対象者を公開買付者の連結子会社とすることにより、両社の連携を深め、財務基盤を強化することが、中国におけるサーミスタ事業の協業を中心とした両社の具体的な業務提携を促進し、両社の企業価値向上に資するとの考えで一致いたしました。 他方、本第三者割当増資による払込総額については、公開買付者は、2022 年5月6日に、対象者から、対象者の実需を踏まえ、対象者の財務の健全性と経営の収益性・効率性のバランスを維持しながら生産性改革を進めること、及び対象者の少数株主に対する本第三者割当増資の影響を勘案しながら改めて算定した結果、本第三者割当増資で公開買付者が引き受ける総額を8億円とする旨の提案を受けたため、本第三者割当増資による資金需要に対する考え方についての対象者の上記算定内容を尊重し、その提案に応諾することといたしました。そこで、公開買付者及び対象者は、本公開買付けにおける買付予定数の上限については、本第三者割当増資により公開買付者による8億円の払込みを完了させ、かつ、その後に実施される本公開買付けの決済により本公開買付け後の公開買付者による対象者株式の所有割合が公開買付者による対象者の連結子会社化に必要な 51.00%となるように設定する方針で一致しました。その後、公開買付者は、2022 年5月 27 日に、本公開買付価格を 1,010 円(同年5月 26 日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 821 円に対するプレミアム約 23%)とすること及び本第三者割当増資の発行価額については、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(平成 22 年4月1日付)に準拠した「特に有利な金額」に該当しない金額として、本取引の公表日の前営業日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値に対し 10%のディスカウントを行った金額とすることを提案しております。これに対し、対象者から、2022 年6月2日、本公開買付価格については、対象者株式の市場株価に対して十分なプレミアムが付されていないことを理由として、本第三者割当増資の発行価額については、市場株価に対してディスカウント発行となることによる対象者株式の1株当たりの価値の希釈化を回避することを理由として、再検討の要請を受けました。 さらに、公開買付者は、2022 年6月6日に、本公開買付価格を 1,244 円(同年6月3日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 936 円に対するプレミアム約 32.91%)とすること、及び本第三者割当増資の発行価額については、対象者のサーミスタ素体焼結ラインの増設や生産設備の自動化投資の費用の提供と引き換えに行うものであり、対象者の事業リスクを負担することになるため、対象者の事業リスクの負担に対する適正な見合いであることを説明し、改めて本取引の公表日の前営業日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値に対し10%のディスカウントを行った金額とする旨の再提案を行いました。これに対し、対象者から、2022 年6月7日、本公開買付価格については、直近における対象者株式の市場株価を前提として合理的な水準と判断し得る旨を回答するとともに、本第三者割当増資の発行価額については、市場株価に対してディスカウント発行となることによる対象者株式の1株当たりの価値の希釈化を回避すること及び本取引の強圧性に関する懸念をできる限り低減することを理由として、再検討の要請を受けました。 その後、公開買付者は、2022 年6月8日に、本公開買付価格を 1,244 円(同日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 972 円に対するプレミアム約 27.98%)とすること及び本第三者割当増資の発行価額については、本取引の公表日の前営業日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値とする旨の再提案を行いました。さらに、公開買付者は、2022 年6月9日、直近の対象者株式の株価動向等を踏まえ、本公開買付価格を 1,300 円(同日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 1,039 円に対するプレミアム約 25.12%)とすること及び本第三者割当増資の発行価額については、本取引の公表日の前営業日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値とする旨の最終提案を行いました。 これらの提案に対し、2022 年6月9日、対象者から、上記価格提示にいずれも応諾する旨の回答を受領し、公開買付者及び対象者は価格条件について合意いたしました。 9 なお、本第三者割当増資を行うことにより既存の対象者の株主にとってみれば、9.07%の議決権の希釈化が生じます。もっとも、一般論としては、第三者割当増資における払込価格が適正であれば、既存の対象者の株主の保有する株式の経済的な価値には影響しないと考えられるところ、本第三者割当増資の払込価格は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である 2022 年6月9日の対象者株式の終値 1,039 円としており、ディスカウント発行ではなく、むしろ同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値 850 円に対して 22.24%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値823 円に対して26.25%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値825 円に対して25.94%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっております。そのため、公開買付者としては、既存の対象者の株主の皆様に経済的不利益をもたらすものではないと考えております。 また、本第三者割当増資の発行価額は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である 2022 年6月9日の対象者株式の終値 1,039 円である一方、本公開買付価格は 1,300 円であるため、本第三者割当増資の発行価額と本公開買付価格で差異が生じております。これは本第三者割当増資及び本公開買付けが、それぞれ対象者を連結子会社化する本取引の一環であるものの、本第三者割当増資は、対象者に金銭を払い込むことにより対象者株式を取得するという対象者との相対取引である一方、本公開買付けは、対象者の株主に金銭を交付し対象者株式を取得するという対象者の株主との取引であり、取引の性質が異なるため、それぞれ別々の取引として異なる視点で検討がなされたためです。 まず、本公開買付けにおいては、連結子会社化のために必要な株式数の応募が集まらないリスクが存在するため、連結子会社化するために必要な株式数を応募してもらう確度を高めることが重要であり、対象者株主の属性や市場株価の動向等を踏まえて、市場株価に十分なプレミアムを付する必要があります。また、かかるプレミアムは、本公開買付けに応募しない株主については、公開買付者が本公開買付け後に対象者を連結子会社化することで生じるシナジーの実現による対象者の企業価値向上の機会を享受し得るところ、本公開買付けに応募する株主については、その機会を享受できないため、プレミアムを含んだ本公開買付価格による本公開買付けに応募することで当該シナジーのうち一定部分を公開買付者から対象者株式を売却する対象者株主に対して分配するという性質もあると考えます。そのため、公開買付者は、応募の見通しやシナジー分配という要素を重視して、最終的に、上記のとおり、2022 年6月9日、本公開買付価格として 1,300円(同日の東京証券取引所グロース市場における対象者株式の終値 1,039 円に対するプレミアム約 25.12%)を提案しております。 他方で、本第三者割当増資については、直接的には対象者に資金を提供することを目的とした対象者との相対取引であることから、連結子会社化に必要な対象者株式数の応募を集めるため又はシナジー分配のためにプレミアムを付することは検討しておらず、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(平成 22 年4月1日付)に準拠した「特に有利な金額」に該当しない金額を前提に市場株価を基準としつつ、第三者割当増資による財務基盤や資本関係の強化により達成される企業価値の向上や対象者の株主に与える影響を勘案し、対象者と協議・交渉の結果、公開買付者は、最終的に、上記のとおり、2022 年6月9日、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である 2022 年6月9日の対象者株式の終値 1,039 円を提案しております。 これらの協議・交渉を経て、公開買付者は、本日開催の取締役会において、対象者を公開買付者の連結子会社とすることを目的として、本取引を実施することについて決議するとともに、同日付で対象者との間で、本合意書を締結いたしました。 (注)ご参考:公開買付者が対象者の議決権の 51%を取得して対象者を連結子会社化する方法として、第三者割当増資のみにより取得する場合、本取引により取得する場合、及び公開買付けのみにより取得する方法により取得する場合のそれぞれにおける、希釈化率、買付予定数及び必要資金の総額は、以下のとおりです。 10 希釈化率 買付予定数 必要資金総額 第三者割当増資のみで45.39% ― 4,004 百万円 公 開 買 付 け の み で― 1,888,182 株 2,455 百万円 9.07% 1,510,900 株 2,764 百万円 51%取得する場合 本取引 51%取得する場合 る割合をいいます。 す。 ※「希釈化率」とは、第三者割当増資による発行株式数を対象者決算短信に記載された 2022 年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(8,488,968 株)から、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(178 株)を控除した株式数(8,488,790 株)に対す※「買付予定数」とは、公開買付けにおいて、対象者の株主が売却できる株式数の上限をいいま※「必要資金総額」には、第三者割当増資における払込総額(1 株当たりの発行価額 1,039 円に発行株式数を乗じた金額)及び公開買付けにおける買付予定数に本公開買付価格(1,300 円)を乗じた金額の合計額を記載しています。 ② 対象者における意思決定の過程及び理由 (ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯 対象者は、上記「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2022 年1月 12 日に、公開買付者から、公開買付者が対象者の議決権の 51%を取得して対象者を連結子会社化することを目的とした第三者割当増資に関する提案書を受領したとのことです。これに対し、対象者は、同月下旬、公開買付者に対し、上述の第三者割当増資については、金額が多額であることから、大規模な第三者割当増資による対象者の少数株主に対する影響を踏まえて想定される増資額の必要性及び相当性については慎重な検討が必要であると考えている旨等を記載した回答書を送付したとのことです。これに対し、対象者は、2022 年3月 28 日、公開買付者から、サーミスタ素体焼結ラインの増設やサーミスタ生産設備自動化に係る投資に必要と公開買付者が考える約 16 億円を本第三者割当増資における払込総額とし、加えて、公開買付者が対象者を連結子会社化するために、公開買付者の対象者に対する議決権所有割合が 51%となる株式数を上限とする公開買付けを組み合わせる方法に変更する提案(以下「本提案」といいます。)を受領したとのことです。 対象者は、2022 年1月中旬、本提案の内容について検討するため、本取引に関して、公開買付者及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてU&Iアドバイザリーサービス株式会社(以下「U&Iアドバイザリーサービス」といいます。)、公開買付者及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとして弁護士法人 瓜生・糸賀法律事務所(以下「瓜生・糸賀法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任したとのことです。また、対象者は、同年4月下旬、第三者算定機関としてKPMG FASを選任したとのことです。 さらに、対象者は、U&Iアドバイザリーサービス及び瓜生・糸賀法律事務所の助言を踏まえ、公開買付者が対象者の支配株主等には該当しないものの、対象者の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、支配株主等との取引に準じて、本取引の公正性を担保するため、公開買付者から独立した立場で、対象者の企業価値の向上及び対象者の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を直ちに行ったとのことです。 具体的には、対象者は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 対象者における特別委員会の設置」に記載のとおり、2022 年3月 16 日開催の取締役会における決議により特別11 委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、本特別委員会に対し、本取引における手続の公正性、取引条件の妥当性等について諮問したとのことです(本特別委員会の委員の構成、具体的な諮問事項、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④対象者における特別委員会の設置」をご参照ください。)。また、対象者の取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の判断内容を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の目的又は取引条件について妥当でないと判断した場合には本取引に賛同しないことを決議しているとのことです。 また、対象者は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 対象者における特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会において、対象者のファイナンシャル・アドバイザーであるU&Iアドバイザリーサービス、第三者算定機関であるKPMG FAS及び対象者のリーガル・アドバイザーである瓜生・糸賀法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けているとのことです。 さらに、対象者は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を対象者の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けているとのことです。 (ⅱ)検討・交渉の経緯 対象者は、KPMG FASから対象者株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、瓜生・糸賀法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってきたとのことです。 対象者は、2022 年4月初旬から5月初旬にかけて、公開買付者に対する本提案に関する質問の送付、及びこれに対する回答の受領のやり取りにより、公開買付者との間で、両社による中国におけるサーミスタ事業の協業が本取引を通じてどのように推進可能か、それが対象者の企業価値の向上にどのように繋がるのかといった点を中心に、本取引の意義、想定される業務提携の内容等について協議を進めてきたとのことです。その内容を慎重に検討した結果、対象者は、公開買付者との間で資本関係を深化させることにより両社における経営資源の投入の優先度を高め、より強固な協力関係を構築し、公開買付者グループの中での事業役割分担を明確にすることで、対象者が保有するセンサ事業に関する技術情報の共有を促進し、公開買付者及び対象者の関係性がより強固なものになることで、本資本業務提携に係る事業の実現可能性が高まる結果、対象者の事業の成長・拡大、競争力の向上及び組織・人材力の強化に資するものと考え、2022 年5月6日、本提案及び本提案に関して対象者の行った質問に対して公開買付者から受領した書面回答の結果を踏まえ、本取引を推進し、公開買付者とともにその実現を目指す方向で本取引の検討を更に進める旨を公開買付者に書面で連絡し、同日、本取引により対象者を公開買付者の連結子会社とすることにより、両社の連携を深め、財務基盤を強化することが、中国におけるサーミスタ事業の協業を中心とした両社の具体的な業務提携を促進し、両社の企業価値向上に資するとの考えで一致したとのことです。 その後、対象者は、5月初旬から6月9日までの間、公開買付者との間で、本取引の条件及び本合意書の内容について具体的な協議を実施し、最終的に、6月9日、本取引の条件及び本合意書の内容について合意したとのことです。 他方、本第三者割当増資による払込総額については、対象者は、対象者の実需を踏まえ、対象者の財務の健全性と経営の収益性・効率性のバランスを維持しながら生産性改革を進めること、12 及び対象者の少数株主に対する本第三者割当増資の影響を勘案しながら改めて算定した結果、2022 年5月6日に、公開買付者に対して、本第三者割当増資で公開買付者が引き受ける総額を8億円とする旨の提案を行ったとのことです。そこで、公開買付者及び対象者は、本公開買付けにおける買付予定数の上限については、本第三者割当増資により公開買付者による8億円の払込みを完了させ、かつ、その後に実施される本公開買付けの決済により本公開買付け後の公開買付者による対象者株式の所有割合が公開買付者による対象者の連結子会社化に必要な 51.00%となるように設定する方針で一致したとのことです。対象者においては、両社の連携を深め、業務提携を促進して企業価値の向上を図る上では連結子会社化が望ましく、一方で、公開買付者との間で想定される業務提携にあたり必要となる設備投資に関し、対象者の財務基盤を維持する上で、第三者割当増資の方法により調達することとしつつも、公開買付けにおける少数株主の売却の機会を維持し、第三者割当増資に伴う既存株主への影響を少なくするよう検討したとのことです。 また、対象者は、本第三者割当増資が本公開買付けと近接した時期に実施されることにより、(i)本公開買付けによる買付予定数が減少し、株主の売却機会が少なくなること、(ⅱ)上記「(1)本公開買付けの概要」の(注4)に記載のとおり、本第三者割当増資の発行価額と本公開買付価格に差異が生じていることにより株価下落リスクが生じること、(ⅲ)本第三者割当増資によって、公開買付者の対象者において有することになる議決権の数が本第三者割当増資後の総株主の議決権の数の2分の1を超えることにはならないことから、会社法第 206 条の2に定められる支配株主の異動を伴う第三者割当増資の場合の通知等の手続の対象とならないこと、(ⅳ)以上の(ⅰ)から(ⅲ)までの事項を懸念した少数株主が、公開買付けに応募しない場合には、応募した場合よりも不利に扱われる可能性が否定できないと考え、買付価格に不満があっても、事実上、公開買付けに応募するように圧力を受けてしまう、いわゆる強圧性の問題が構造的に一定程度存在することを認識しているとのことです。 一方で、(a)本第三者割当増資は、上記のとおり対象者の具体的な資金需要に基づき、想定される業務提携にあたり必要となる設備投資資金の調達のために必要最小限の規模で実施されるものであり、企業内容等の開示に関する内閣府令第二号様式

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