シャープ（6753） – 2021 SUSTAINABILITY REPORT (JAPANESE)

Sustainability Report2021サステナビリティレポート目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報CONTENTS目次編集方針・情報開示体系理念・方針経営理念・経営信条トップメッセージ事業経営の方向性シャープとSDGs経営理念とSDGsコーポレート宣言 “Be Original.” 社会課題解決を目指す8つの重点事業分野事業を通じたSDGs達成への貢献マネジメントサステナビリティ・マネジメントマテリアリティ（重要課題）ステークホルダーエンゲージメント環境活動環境ビジョン気候変動資源循環安全・安心環境マネジメント生物多様性保全環境負荷の全体像P. 1P. 2P. 3P. 4P. 5P. 6P. 8P. 11P. 12P. 13P. 14P. 26P. 27P. 29P. 32P. 33P. 34P. 36P. 48P. 57P. 65P. 70P. 71サプライチェーンCSRの推進社会活動品質お客様満足株主・投資家の皆様とのコミュニケーション地域社会とともに人権に関する取り組み人材育成／人事制度ダイバーシティ・マネジメントワーク・ライフ・バランスの取り組み労働安全衛生の取り組みガバナンスコーポレートガバナンス内部統制リスクマネジメントコンプライアンスイノベーションマネジメント情報セキュリティ輸出入管理の取り組み会社情報会社概要・主要データ主要製品・サービスP. 75P. 76P. 82P. 90P. 96P. 99P. 104P. 106P. 109P. 113P. 115P. 119P. 120P. 123P. 125P. 126P. 132P. 134P. 135P. 136P. 136P. 1381SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報編集方針・情報開示体系編集方針・情報開示体系◇情報開示の考え方：て、について情報開示しています。シャープサステナビリティレポート2021は、非財務情報（ESG情報）の開示ツールとし◇参考にしたガイドライン：グローバル・レポーティング・イニシアチブ（GRI）による「GRIスタンダード」持続可能（サステナブル）な社会の実現に貢献するCSR（企業の社会的責任）の取り組み環境省「環境報告ガイドライン（2018年版）」＜非財務情報（ESG情報）を報告＞＜財務情報と非財務情報を報告＞シャープサステナビリティレポート2021と下記の各ガイドライン・原則などとの対照表サステナビリティサイト投資家情報サイトについては、関連する情報を含めてシャープ（株）公式Web「サステナビリティ」サイトESG情報（抜粋）ESG情報（抜粋）で開示しています。> 「GRIスタンダード」対照表> 「国連グローバルコンパクト10原則」対照表> 「ISO26000」対照表サステナビリティレポート（本レポート）・サステナビリティレポート・グリーン調達・CSR調達・お取引先の皆様へ・リサイクル関連情報・製品の環境情報他アニュアルレポート（統合報告書）・アニュアルレポート（統合報告書）・有価証券報告書・決算短信・ファクトブック・コーポレートガバナンス報告書他温室効果ガス、廃棄物、水などの詳細な環境データについては、シャープ（株）公式Webサイトで開示しています。> サステナビリティサイト> 投資家情報サイト2022年10月（1999年以来、毎年発行）◇報告対象期間：2020年度（2020年4月 ～ 2021年3月）を中心に作成◇報告対象範囲：シャープ株式会社および日本国内・海外の子会社、関連会社〔管理統轄本部〕調達統轄部 調達推進部ssr-info@sharp.co.jp2SHARP Sustainability Report 2021◇環境データ：> 環境データ◇次回発行予定：◇問い合わせ先：目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報理念・方針Philosophy and Policy> 経営理念・経営信条 ………………………………………… P.4> コーポレート宣言 “Be Original.” ……………………… P.5> トップメッセージ………………………………………… P.6> 事業経営の方向性………………………………………… P.83SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報経営理念・経営信条これからも事業活動を通じて社会的責任を果たします「他社がまねするような商品をつくれ」。これは、シャープの創業者 早川徳次のメッセーを目指してきました。この思想は、今日のCSR※に通じるものです。ジです。「経営信条」は、経営理念を実現するために全社員が堅持すべき信念・考え方です。「二このメッセージには、次の時代のニーズをいち早くかたちにした「モノづくり」により、意専心 誠意と創意」、すなわち、徹底したお客様視点の実践と独創的なモノづくり、これ社会に貢献し、信頼される企業を目指すという、早川徳次の経営の考え方が凝縮されていまが私たちの根幹です。す。そして、この精神は、1973年に「経営理念」「経営信条」として明文化され、創業以来シャープは、これからもこの経営理念・経営信条に沿った事業活動を通じて社会的責任を100年を超える月日が流れた今日まで、脈々と受け継がれています。果たし、信頼される企業であり続けたいと考えています。「経営理念」は、シャープが目指す姿です。「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」※ Corporate Social Responsibility（企業の社会的責任）などの言葉が示すとおり、シャープは創業当時より、社会やステークホルダーとの共存共栄4SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報コーポレート宣言 “Be Original.”2016年11月、シャープはコーポレート宣言 “Be Original.“を発表しました。“Be Original.“は、シャープらしいオリジナリティあふれる価値を創造するブランドであり続けることを世界中のお客さまに約束する言葉です。コーポレート宣言“Be Original.”の「Original（オリジナル）」には二つの意味が込められています。1. 創業者の早川徳次が残した「誠意と創意」 の精神は、 これからも私たちの「原点」（オリジナル）として受け継いでいく2. 「人に寄り添い、新しい価値を提供し続ける企業」として、さまざまな独自商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりが自分らしさを実現できる「あなたのための『オリジナル』」を創り続ける最後の「.（ピリオド）」は、私たちが強い決意をもって取り組んでいくという意志の表れです。5SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報トップメッセージ人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の確立を目指します2021年8月で、新たな経営体制がスタートして丸5年が経過しました。この5年間、新型コロナウイルスや米中貿易摩擦など、いくつもの想定を超える環境変化がありましたが、こうした中でも当社は着実に業績改善を図ることで経営再建に一定の区切りを付け、次の100年の持続的成長に向け歩みを進めています。改めて、日頃から当社を支えてくださっている全てのステークホルダーの皆様に感謝申し上げます。昨年、新型コロナウイルスによって世界は未曽有の危機に直面しましたが、医療従事者の皆様をはじめとした世界中の人々の懸命な努力により、徐々にではありますが、人類は危機の克服へと向かいつつあります。当社としてもこれまで、社会貢献を目的に、マスクをはじめとした健康関連商品の提供を行ってきましたが、今後も引き続きこうした取り組みを強化し、安心・安全な社会の実現の一助となれるよう努めてまいります。また、今回のコロナ禍を契機に、巣ごもり需要の拡大や清潔志向の高まり、テレワークの代表取締役会長執行役員 兼 CEO代表取締役社長執行役員 兼 COO浸透、教育のICT化の進展、オンライン診療や遠隔医療の加速、店舗や工場におけるDXの推さらに、ESGについても引き続き強化し、事業活動を通じて、国連が提唱するSDGs（持続進等、人々の価値観や暮らし、働き方が大きく様変わりしており、新たな日常、“ニュー可能な開発目標）の各目標の達成に貢献するとともに、グローバルブランドが担うべき企業ノーマル”の早期確立が求められています。さらに、足元では、カーボンニュートラルの実の社会的責任を着実に果たしていく考えです。現や医療・介護問題の解決、労働力不足の解消等、国際社会が早急に解決すべきさまざまな社会課題も表面化しています。具体的には、 環境の面では2019年2月に策定した2050 年までの長期目標“ SHARP Ecoこうした中、当社は事業ビジョン「8K+5GとAIoT※1で世界を変える」のもと、8Kや5G、荷の低減に取り組みます。社会の面では8つの重点事業分野を中心とした事業活動を通じて、AI、IoT、ロボット等の先端技術を核にさまざまな 企業とも連携し、「Smart Home」社会に貢献するとともに、サプライチェーン全体でのCSRにもしっかりと取り組みます。ガ「 Smart Office 」 「 Healthcare 」 「 Entertainment 」 「 Education 」 「 Industry 」バナンスの面では企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築に向け、取締役会「Security」「Mobility」の8つの重点事業分野を中心に、革新的なサービスやソリューの機能向上を図るとともに、ステークホルダーとの対話も継続的に行っていきます。ションの創出を進めています。このような取り組みを通じて、 現代社会が直面する社会課題の解決に貢献することで、当社は人や社会に寄り添い、 常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の確立を目指してまいります。※1 「AIoT」は、AI（人工知能）とIoT（モノのインターネット化）を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。6SHARP Sustainability Report 2021Vision 2050”に沿って、CO2排出量の削減や、さらなるクリーンエネルギーの創出、環境負目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報トップメッセージ人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の確立を目指しますなお、当社は国連グローバル・コンパクトの署名企業※2として、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則を今後とも支持します。既に公表の通り、当社は連結子会社であるカンタツ（株）及びその子会社において不適切な会計処理の存在が発覚したことを受け、2020年12月に外部の弁護士・公認会計士を含む調査委員会を設置し、2021年3月に同委員会から調査報告書を受領しました。当社はグループ内部統制が有効に機能していなかった今回の事態を重く受け止め、当報告書の内容に沿って、コンプライアンスの再徹底や業務プロセスの見直し、グループガバナンスの強化等、具体的な再発防止策を講じています。当社は経営理念の一節に、「株主、取引先をはじめ、全ての協力者との相互繁栄を期す」を掲げています。この言葉の通り、これからも全てのステークホルダーと一体となって社会課題の解決に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。※2 2009年6月に署名2021年10月7SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報事業経営の方向性強いブランド企業“SHARP”の確立に向けて当社は、2017年度から3年間にわたって、「事業」「市場」「オペレーション」の3つのトレイソリューションズ（株）を子会社化しました。また、AIoT※戦略のさらなる高度化を狙ランスフォーメーションを推進し、早期の業績回復を実現するとともに、将来に向けた確かいに、AIoTプラットフォーム事業を担う（株）AIoTクラウドを、パソコンを主力にIT事業をな基盤の構築に取り組んできました。さらに、2020年度は、次々と起こる環境変化に機敏に展開するDynabook（株）の100％子会社とし、ICTグループ内の連携強化を進めています。対応することで、さらなる業績改善やフリーキャッシュフローの黒字化を果たすとともに、ブランド事業においては、今後も引き続き、M&Aや協業を積極的に展開するとともに事業間デバイス事業の分社化やM&A等、成長の加速に向けた布石を着実に打ってきました。連携をより一層強化することで、特長的な機器やサービス、ソリューションの創出を加速し、2021年度からは、こうした成果を土台に、「強いブランド企業“SHARP”」の確立に向け、グローバルに事業を拡大していく方針です。「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「社債市場へ一方、デバイス事業では、2019年4月の電子デバイス事業に続き、2020年10月にディスプの復帰」の3つの取り組みを重点的に推進していきます。レイデバイス事業を、2021年4月にカメラモジュール事業を分社化し、全てのデバイス事業2020年度強いブランド企業“SHARP”の確立‐Realization‐2017～2019年度事業変革‐Transformation‐事業/市場/オペレーションの変革を進め、経営再建に一定の区切りを付ける変化への対応‐Transition‐コロナ禍をはじめとした環境変化に機敏に対応し、FCFの黒字化を果たすとともに、デバイス事業の分社化を完了12ブランド事業 を主軸とした事業構造の構築事業ビジョン の具現化－ 8K+5GとAIoTで世界を変える －3社債市場 への復帰2021年度～（株）ジャパンディスプレイの白山工場を取得し、2021年2月より、まずは液晶パネル生産の分社化を完了しました。 また、 次世代ディスプレイの展開加速も視野に2020年10月にラインの稼働を開始しました。デバイス事業においては、今後は他社との協業を梃子に競争力をより一層強化し、ブランド事業の優位性を支える革新的デバイスの創出に取り組みます。※ 「AIoT」は、AI（人工知能）とIoT（モノのインターネット化）を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。ブランド事業特長的な機器やサービス、ソリューションを強みに、グローバルに事業を拡大スマートライフ人に寄り添い、よりあなたらしい暮らしを実現8Kエコシステム最先端の映像技術を核に、社会のイノベーションを加速ICTワイヤレス技術やモバイル技術で、シームレスな社会を構築１．ブランド事業を主軸とした事業構造の構築当社は、コアとなる3つの「ブランド事業」と、それらを支える2つの「デバイス事業」が、デバイス事業One SHARPとなって事業を推進しています。他社との協業を梃子に、ブランド事業の優位性を支える革新的デバイスを創出ブランド事業では、2020年11月に、B2Bディスプレイ事業のグローバル拡大や新規事業の創出、コスト競争力強化等を狙いに、同事業で欧米市場に強みをもつシャープNECディスプディスプレイデバイス世界NO.1のディスプレイ技術で、DXを牽引エレクトロニックデバイス独自のデバイス技術で、スマート社会の発展に貢献8SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報事業経営の方向性強いブランド企業“SHARP”の確立に向けて２．事業ビジョンの具現化においても事業を着実に立ち上げていきます。一方、海外においては、欧米や台湾、ASEAN当社は、事業ビジョンの具現化に向け、8K+5GやAIoT等の先端技術を搭載した“特長機器”を創などを中心に、8K+5G機器やAIoT機器のグローバル拡大をより一層強化し、将来に向けた基出し、グローバルに販売を拡大するとともに、こうした機器とソフトウェアやサービスを融合し盤構築を加速します。た“システム”の創出、さらには、それぞれのシステムを連携させた当社グループならではのプラットフォームを構築し、さまざまな分野で独自の“ソリューション”の提供を目指しています。当社はこれまで、8Kテレビ、8Kカメラ、8K PC、8K+5Gスマートフォン等のさまざまな8K+5G機器や、累計11カテゴリー/567機種（2021年6月31日時点）ものAIoT機器を創出し、日本を中心に販売を拡大してきました。一方、海外では、将来の8K+5G及びAIoTビジネスの展開を見据え、ASEANにおいて、商品カテゴリー・ラインアップの拡充による事業拡大に取り組むとともに、欧州、米州、中国において、販売体制の見直しやブランドビジネスの再構築を進めてきました。今後、 日本では、これまで構築してきた事業基盤を有効に活用し、「 Smart Home」「Smart Office」「Entertainment」の分野を中心に、新たなサービスやソリューションを本格展開するとともに、健康・医療・介護分野における新規事業の創出や工場の自動化ソリューションの展開、GIGAスクールを契機とした教育向けビジネスの拡大など、新たな分野様々なシステムを連携させたプラットフォームを構築し、独自の ソリューション を提供デジタルヘルスSoL（バイタルチェック 等）医療SoL（遠隔診療/医療従事者ｻﾎﾟｰﾄ 等）環境SoL（PCI/光触媒 等）GIGAスクールSoL（環境構築/機器管理 等）セキュリティSoL（ｽﾏｰﾄﾛｯｸ/遠隔ﾓﾆﾀﾘﾝｸﾞ 等）自動化/省人化SoL（工場物流/ﾋﾟｯｷﾝｸﾞ 等）COCORO HOMECOCORO OFFICEインフラSoL（鉄道 等）現場SoL（作業支援/健康管理 等）ハード・ソフト・サービスの融合した システム の創出8K+5G関連システムCOCORO+COCORO KITCHENCOCORO AIRオフィス向けシステムLINC Biz mobilityCOCORO WASHCOCORO ENERGY8Kｲﾝﾀﾗｸﾃｨﾌﾞﾐｭｰｼﾞｱﾑ 3眼ｶﾒﾗ配筋検査遠隔応対関連情報： > COCORO+３．社債市場への復帰当社が今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、現在、「“量から質へ”の徹底」、「運転資金の圧縮」により営業キャッシュフロー（CF）の最大化を図るとともに、安定した収益が見込める「ブランド事業への投資拡大」、「デバイス事業における外部資金の獲得」など、投資効率の向上に向けた取り組みを加速しています。今後はこのような取り組みを通じて、毎期、安定的にフリーキャッシュフロー（FCF）を創出し、適切な株主還元を行うとともに、有利子負債の削減など、財務体質の改善を進めていきます。そして、将来的には、社債市場への復帰を目指します。FCF営業CF最大化投資CF効率向上AIoT機器IT機器特長機器 のグローバル拡大8K+5G機器既存事業「量から質へ」の徹底- ブランド事業は営業利益率7％以上を目指す運転資金の圧縮- 適正な在庫水準の維持等ブランド事業への投資拡大配当性向 30％（基本方針）外部資金の獲得- デバイス事業の自社投資を削減しつつ、さらなる投資拡大を図る適正な手元資金を確保しつつ、有利子負債の削減を推進9SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報事業経営の方向性強いブランド企業“SHARP”の確立に向けてまた、当社は、ESGの取り組みを通じて、サステナブルな社会の実現に寄与するとともに、た体制作りを進めるとともに、グループガバナンスの強化を図ります。さらに、より適切な持続的成長を支える強固な事業基盤の構築に取り組みます。情報開示やステークホルダーとの継続的な対話も行っていきます。環境の面では、2019年2月に長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定し、持続可能な地球環境の実現に向け「気候変動」「資源循環」「安全・安心」 の3つの分野それぞESHARP Eco Vision 2050の遂行れで2050年の長期目標を設定しました。昨今、世界各国で取り組みが加速している「気候変2050年に自社活動のCO2排出量をネットゼロへ動」の分野では、2050年までに自社活動のCO2排出量ネットゼロを実現するとともに、サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーを創出するという目標サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーの創出のもと、エネルギーソリューション事業の拡大や、製品の省エネ性能の向上、事業活動にお企業活動で生じる地球への環境負荷の最小化ける燃料や電力使用のさらなる効率化に取り組みます。社会の面では、8つの重点事業分野を中心とした事業活動により、社会課題の解決に取りS事業活動を通じた社会への貢献組みます。また、日本が深刻なマスク不足となった2020年2月、当社グループは日本政府か8つの重点事業分野を中心とした社会課題の解決らの要請を受け、社会貢献として、翌3月より三重工場でマスクの生産を開始し、その後1年余りで累計2億枚を超えるマスクを出荷してきました。加えて、「光触媒スプレー」や「高性能フェイスシールド」、ワクチン輸送にも活用されている「適温蓄冷材」など、さまざまな健康関連商品の展開も積極的に行っています。当社は、今後もこのような、人々の健康や社会の安心・安全の確保に向けた取り組みを通じて、より一層社会に貢献していきたいと考えています。また、サプライチェーンにおける人権問題をはじめとした社会課題についても、未然防止ならびにその実効的な解決に向けた取り組みを強化していきます。サプライチェーン全体でのCSRの推進グローバル各地域での継続的な社会貢献活動G企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築取締役会のさらなる機能向上に向けた体制づくり（経験の多様化、専門性の高度化/多様化等）ガバナンスの面では、企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築に向け、当グループガバナンスの強化社グループと親会社グループとの取引の必要性・合理性・妥当性を審査する「特別委員会」より適切な情報開示 及び ステークホルダーとの継続的な対話の設置や、独立社外取締役の増員を行いました。今後も取締役会のさらなる機能向上に向け10SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報シャープとSDGsSHARP and the SDGs> 経営理念とSDGs………………………………………………… P. 12> 社会課題解決を目指す8つの重点事業分野…………………… P. 13> 事業を通じたSDGs達成への貢献……………………………… P. 1411SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報シャープとSDGs：経営理念とSDGs1973年に明文化されたシャープの経営理念には、「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」「株主、取引先をはじめ、全ての協力者との相互繁栄を期す」などの言葉で、2015年に国連で採択された「SDGs（持続可能な開発目標）」に相通じる考え方が盛り込まれています。シャープはこの経営理念のもと、「事業を通じた社会的課題の解決」と「SER※施策の推進による社会や環境への負荷軽減」の両輪でSDGs達成への貢献を目指し、地球上の「誰一人取り残さない（leave no one behind）」持続可能でよりよい世界の実現に貢献していきます。※ Social and Environmental Responsibility（社会環境責任） P.28参照12SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報シャープとSDGs：社会課題解決を目指す8つの重点事業分野SMARTHOMEENTER-TAINMENTEDUCATIONHEALTH-CAREMOBILITYSECURITYINDUSTRYSMARTOFFICEシャープは、事業ビジョンである「8K+5GとAIoT ※で世界を変える」のもと、「8K+5G Ecosystemの創出」「5G関連ビジネスの展開」「COCORO LIFE サービスの拡大」「クラウドサービスの強化」を通じて、単なるハードウェアやデバイスを中心とした事業から、ハードウェアとソフトウェア、サービスを組み合わせたシステム、さらにはソリューション事業への変革を推進してきました。これらの事業変革により、One SHARPで世の中に新たな価値を提供し、国際的な社会課題を解消することを目指しています。それぞれの事業本部・関係会社では、これまで当社が得意としてきた事業分野である「Smart Home」「Entertainment」「Smart Office」 はもとより「Healthcare」「Education」「Security」「Industry」「Mobility」への取り組みをより一層強化し、2015年に国連で採択された「SDGs（持続可能な開発目標）」の達成にどのように貢献していくかをテーマに、事業の拡大と社会課題の解決の両立に取り組んでいます。※ 「AIoT」は、AI（人工知能）とIoT（モノのインターネット化）を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。13SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報シャープとSDGs：事業を通じたSDGs達成への貢献事業本部・会社※貢献を目指すSDGs目標スマートライフSmart Appliances & Solutions事業本部シャープエネルギーソリューション（株）スマートビジネスソリューション事業本部8Kエコシステムスマートディスプレイシステム事業本部／海外ブランド商品事業推進本部ICT研究開発事業本部通信事業本部Dynabook（株）ディスプレイデバイスシャープディスプレイテクノロジー（株）シャープセンシングテクノロジー（株）エレクトロニックデバイスシャープ福山レーザー（株）シャープ福山セミコンダクター （株）ブランド事業デバイス事業※ 組織名称は2021年3月末時点14SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜スマートライフ＞ Smart Appliances & Solutions事業本部安全・健康・快適な生活をAIoT※1技術でサポート。人に寄り添うAIoTで近未来のスマートライフを実現します。Smart Appliances & Solutions事業本部では、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レン向け取り組んでいきます。ジ、空気清浄機など、多種の白物家電を一般消費者向け、BtoB向けにグローバルに提供し、健康で快適な生活の実現を目指しています。＜受賞・表彰歴＞従来の白物家電にAIoTを活用することで、ユーザーの生活スタイルや好みに合わせ第2回エコプロアワード（2019年度）優秀賞「審査委員長賞」を「廃家電製品の自て、健康的な食事メニューの提案、安全で快適な空気環境の提供、家事負担の軽減によ己循環型マテリアルリサイクル」で受賞る働き甲斐サポートなど、さまざまなシーンで安全・健康・快適な生活の提供を行っています。持続可能なエネルギー利用を促進する蓄電池とAIoTを融合したスマートホームの実現にも取り組んでまいります。これらの取り組みを通じてSDGsの「目標3」「目標8」「目標9」「目標13」に貢献していきます。また、環境への配慮としては、開発段階では、省エネ技術の開発、省資源設計、廃家電から回収したリサイクル材100%で家電新製品の部材として何度も繰り返し再生・利用できるプラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術※2を活かした再生プラスチックの積極採用などを継続的に行い、生産段階では、工場で使用する電力・ガスの削減やゴミ排出量の削減を図るため、工場ごとに目標値をたてて推進することで、SDGsの「目標9」「目標12」「目標13」に貢献していきます。SDGsの「目標6」への貢献に向けては、節水を実現する当社独自の穴なし槽洗濯機で水質汚染を減少させ、浄水器では健康で安全な水の提供をさらに推進してまいります。また、電子辞書では SDGsの「目標4」へ貢献していきます。当本部は今後も、独自の発想力で環境に配慮した商品を創出するためにAIoTを活用した技術開発を行うことにより、一歩先の安全・健康・快適なスマートライフの実現に第3回エコプロアワード（2020年度）優秀賞「審査委員長賞」を「気象予報を活用した家庭用エアコンのIoT省エネ制御『COCORO AIRサービス』」で受賞※32020 年 度 省 エ ネ 大 賞 「 経 済 産 業 大 臣 賞」 を「 空 気 清浄機 搭 載 家 庭 用 エア コ ン『Airest』」で受賞※4※1 「AIoT」は、AI（人工知能）とIoT（モノのインターネット化）を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。※2 シャープ（株）他計6社が共同で出資している家電リサイクル会社「関西リサイクルシステムズ（株）」との共同開発。P.51参照※3 P.42参照※4 P.41参照15SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜スマートライフ＞ シャープエネルギーソリューション（株）自然環境に優しくエネルギー創出できる太陽光発電システムを世界各国に提供し、エネルギー課題の解決に貢献します。さらに、発電エネルギーを賢く利用するエネルギーソリューション（システム／サービス）の提供を通じ、より豊かな生活を創造します。シャープは、創業者 早川徳次の言葉「無限にある太陽光で電気を起こすことを考えれば、人類にどれだけ寄与するかは、はかりしれない」をきっかけに、1959年から太陽光発電の開発を始め60年以上の実績を積み重ねてまいりました。住宅分野では、AIが予測した太陽光発電システムの余剰電力量※2に応じて、蓄電池の充電を自動で賢く制御するHEMS※3サービス「COCORO ENERGY」が令和2年度「新エネ大賞 資源エネルギー長官賞」を受賞※4しました。AIによる制御で自家消費率アップシャープエネルギーソリューション（株）は、この言葉を脈々と受け継ぎ、日本国や雷に対応した停電対策機能を実現した点が高く評価されました。これはHEMS単独と内・海外のエネルギーソリューション事業の開発から販売・施工、アフターサービスましては初の快挙です。でを一貫して手掛け、SDGs達成に貢献できるように取り組んでいます。運輸分野では、NEDO※5事業で開発した世界最高水準の高効率太陽電池モジュール具体的には、住宅や工場などのルーフトップやメガソーラーへの太陽光発電システム（変換効率31.17％）と同様のセルを活用し、1kWを超える大容量の車載用太陽電池パネの設置拡大を通じ、SDGsの目標7、目標13の達成に貢献していきます。ルを製作しました。日産自動車（株）がミニバンタイプの電気自動車に本パネルを搭載そして、持続可能なエネルギー利用の促進に向けて、人に寄り添うAIoT家電と融合した公道走行用実証車を製作しました。これらの活動を通じて、運輸部門を含めた太陽したスマートホームの実現、太陽光発電と蓄電池を効率的に連携させる自家消費システ電池パネルの新規市場創出とエネルギー・環境問題解決へのさらなる貢献を目指します。※2 太陽光発電システムの発電量から消費電力量を差し引いた電力量。※3 Home Energy Management Systemの略。※4 P.45参照※5 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構ムなどの新規ソリューションの創出に取り組み、SDGsの目標11、目標12にも貢献していきます。2020年度は、太陽光発電システムの設置拡大としては、国内で38案件合計約112MW-dc、ベトナムなどアジアで5案件約149MW-dcのメガソーラー発電所を建設したほか、タイ王国ではミネベアミツミ（株）様の2つの生産工場の屋根に計5MW-dcの太陽光発電システムを設置しました。また、東京電力ベンチャーズ（株）様との協業により、太陽光発電システムを初期投資ゼロ円で導入しCO2フリーで発電した電気をリーズナブルな価格で提供する法人向け太陽光発電サービス（オンサイトPPA※1）を開始しました。※1 Power Purchase Agreement（電力購入契約）モデル。ミネベアミツミ(株）様 タイ王国 ロッブリ工場太陽電池パネルを搭載した電気自動車「e-NV200」16SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜8Kエコシステム＞ スマートビジネスソリューション事業本部スマートオフィスソリューションの提案強化で、いつでも、どこでも、安心・安全、仕事に集中できる環境を提供し、業務効率化や生産性の向上に貢献します。スマートビジネスソリューション事業本部は、デジタル複合機を核に電子黒板やテレ労働環境の改善、人手不足、オフィス生産性の改善等、社会が求める要求に応えながビ会議システムの「TeleOffice」などの周辺機器を組み合わせて、新しい付加価値やら、期待される未来像を具現化するため、ハードウェアの技術開発だけではなく、サーサービスを提供することで、お客様が抱えるビジネス課題の解決に取り組んでいます。ビスプラットフォームやアプリケーション提供の充実を図り、今後も、オフィスでの情少子高齢化に伴う労働力不足の解消や多様な働き方の実現が課題となる中、「働き方報セキュリティの向上や業務の効率化にとどまらず新たな情報社会実現に向け、働きや改革関連法」が順次施行され、 適用範囲が中小企業にも拡大されました。 加えて、すい、豊かな生活を実現する環境づくりに貢献していきます。“with/afterコロナ”におけるニューノーマル（新常態）の世界において、テレワークをはじめとする勤務スタイルの変化など、新たな潮流への対応も求められています。一方で、中小企業を中心に、IT人材不足、システム導入・運用資金の確保、セキュリティ対策などに課題を抱える企業も多いのが実態です。これまでのデジタル複合機は、紙情報の入出力機器としての機能が中心でしたが、働き方が多様化する中、クラウドデータとの親和性を高め、業務形態にかかわらず最高効率の仕事が出来る環境を目指した総合的な業務支援機器として生まれ変わってきています。当社はこのデジタル複合機に加えオフィス業務にはなくてはならないディスプレイ商品、パソコン、スマートフォンを含め幅広いハード機器を揃えながら、使い方提案、業務改善提案を加えたトータルソリューションの提供による職場環境の改善を通じた社会貢献を目指しています。2020年7月よりサービスを開始した「COCORO OFFICE」は、 AIoTプラットフォームを活用し、オフィス機器が単なる道具から働き方や効率を見える化する「ビジネスパートナー」として、オフィスのさまざまな機器と使う人を結びつけることで、働き方をトータルでサポートし多彩で柔軟な提案でオフィスに変革をもたらします。17SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜8Kエコシステム＞ スマートディスプレイシステム事業本部／海外ブランド商品事業推進本部ＡＶ商品の開発・販売拡大を通じて、 「8K＋5G Ecosystem」「AIoT World」の構築を促進し、より便利で快適な生活をご提案します。スマートディスプレイシステム事業本部／海外ブランド商品事業推進本部では、新しいAVライフをご提案する商品を創出しています。※1 ス ー パ ー ハ イ ビ ジ ョ ン 対 応 の 直 視 型 デ ィ ス プ レ イ に お い て 。 （ 2011 年 5 月 19 日 時 点、 当 社 調 べ）※2 8K液晶パネルを搭載したディスプレイにおいて。（2020年9月9日時点、当社調べ）※3 テレビと接続するシアターバーシステム／サウンドバーとして（2020年6月26日時点、当社調べ）2011年に世界初となるスーパーハイビジョン対応（8K）85V型液晶ディスプレイ※1※4 鹿島建設株式会社技術研究所と、音響技術分野で著名な英国サウサンプトン大学音響振動研究所が共同開発した立体音響再生技術を発表して以来、継続して精緻で鮮やかな映像を表示する8Kの開発に取り組んでおり、2020年9月には業界最大クラス※2の120V型液晶ディスプレイを発売しました。✕横2.66m縦1.5mの大画面に素材の質感から風景の奥行感までリアルに映し出すことができ、店舗やショールーム等の商業施設におけるサイネージ、絵画や彫刻などの美術品のデジタル展示、パブリックビューイング用ディスプレイとしてご使用いただいています。オーディオ分野でも新カテゴリー商品の創出に取り組んでおり、2020年8月に発売したシアターバーシステム「AQUOSオーディオ 8A-C22CX1」は、NHK BS8K放送に採用されている音声フォーマット“MPEG-4 AAC”の「22.2ch音声入力」に業界で初めて対応※3、新たに採用した立体音響再生技術「OPSODIS（オプソーディス）」※4により、独自の音声処理を施すことで、全身が音で包み込まれるような体験ができます。また、テレビの使い方の幅を広げ、“おうち時間”がより楽しくなる情報を紹介するAIoT対応テレビ「AQUOS」向けサービス「COCORO VISION」を提供しています。当サービスは、自宅で手軽に楽しめる趣味・教養・健康などのさまざまな動画コンテンツをおすすめしたり、話題のドラマや映画などの最新のエンタメ情報をタイムリーにお届これからも“こだわり”を持った商品の開発を継続し、新しい生活体験を提案し続けていきます。120V型 8Kディスプレイ ＜8M-B120C＞「COCORO VISION」トップ画面けし、AQUOSの大画面で生活に役立つ便利な情報をお楽しみいただけます。「OPSODIS」による立体音響の効果イメージAQUOSオーディオ ＜8A-C22CX1＞18SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜8Kエコシステム＞ 研究開発事業本部社会にインパクトを与える世界初/世界一の独自技術で、新しいエコシステムを構築し、新規事業を創出・拡大する事により、持続可能な社会の実現に貢献します。時の状況把握の省人化など、5Gを活用し8K超高精細映像をリアルタイム伝送する実証3眼カメラ配筋検査システム配筋検査の模様研究開発事業本部は、新規事業の核となる独自技術を創出し、ニューノーマル社会を支える革新的なサービス／ソリューションを通じ、新たな時代の社会課題の解決に向け積極的に取り組んでいます。新規ソリューションの展開において、建設土木業界では、パートナー会社と連携し8Kカメラと高精度計測・画像処理技術の応用による「3眼カメラ配筋検査システム」を開発、インフラ検査および、遠隔検査、保守作業の省人化を実現し、建設現場での産業のDX化に寄与しました。自治体業務のDX化では、8Kカメラ搭載ドローンによるインフラ検査の効率化や災害実験を通じて、新たなプラットフォームの構築を進めています。また、より広い産業分野での応用が期待されている5G通信技術において、5G標準規格特許ファミリー1,497件の利用許諾宣言 [世界10位（日本1位）/2021年6月時点] ※を行っている無線通信標準規格特許を保有しています。人々が安心・安全でいきいきと暮らせる社会の実現に向け、SDGsにおける「目標3」「目標4」 「目標7」 「目標8」 「目標9」 「目標11」 「目標13 」の達成に未来志向で注力してまいります。※ 第三者機関調べ8Kカメラ搭載ドローンによる空撮の様子19SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜ICT＞ 通信事業本部通信技術を活用し、誰もが等しく、自分に合った「働きがいのある人間らしい仕事（ディーセントワーク）」や「教育」ができる社会を目指します。通信事業本部は「通信技術を活用した、人に寄り添い新しい価値を提供し続ける事業通信事業本部は、今後も仕事の時間と場所の制約から開放する「ワークスタイルシフ体」を目指し、スマートフォンやタブレット、各種ネットワーク機器を開発し製品化すト」や学習への興味・関心を高め、分かりやすい授業で子供たちが主体的・協働的に学る事で、世界の人々が、毎日笑顔で生活を楽しめるような「活きる力を起動する」商品べる「双方向・協働学習」を実現する、高付加価値商品・ソリューションを提供していやサービスを提供しています。きます。今の日本は、少子高齢化による労働人口の減少、出産・育児や介護による働くスタイルの多様化などに加え、世界的なコロナ禍による社会環境の変化の影響を受け、リモートワーク／遠隔・非接触ソリューション／DXなどにより、働き方の改革が加速しています。また、教育現場でも文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」をはじめとしたICTによる改革が急速に進んでいます。われわれ通信事業本部は、2020年春に開始された5Gサービスなど通信ネットワークの進化と、これまでの事業で培った技術とノウハウを活かした商品・サービスを開発しています。2020年度、テレワークや営業現場などのビジネスシーンで「便利に」「安心して」活用いただける法人向けタブレット＜SH-T01＞、シャープの通信技術と Dynabook 社のIT技術を融合し共同開発する事で、通常のノートパソコンと同様の操作性と、ディスプレイ部を折り畳んだタブレットスタイルの使い方を可能とし、「 GIGAスクール構想」など教育のICT化推進にも貢献できる「Dynabook Chromebook C1」、携帯性に優れた手のひらサイズで最新の5Gネットワークへの接続を可能にし、外出先でのWeb会議や大容量ファイルの送受信、動画視聴など、ビジネスからプライベートまでさまざまな シ ー ン で 利 用 で き る、 株 式 会 社NTT ド コ モ 向 け 5G モ バ イ ル ル ー タ ー「 Wi-FiSTATION」＜SH-52B＞などを開発しました。法人向けタブレット＜SH-T01＞Dynabook Chromebook C1株式会社NTTドコモ向け5Gモバイルルーター「Wi-Fi STATION」＜SH-52B＞20SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜ICT＞ Dynabook（株）「コンピューティングとサービスを通じて世界を変える」「人に寄り添う、社会を支える、真のコンピューティング」と「ユーザーを起点に考えた新しい付加価値・サービス」で、より快適な社会と生活を実現します。Dynabook（株）はPCとシステムソリューション商品の開発・製造・販売・サポート場のICT化を支援する2in1デタッチャブルPC「dynabook K60」を発売しました。ハーおよびサービスを提供する事業会社として、「コンピューティングとサービスを通じてドに軸足を置きながらも、ソリューションサービスを強化していくことで、人々の生活、世界を変える」というビジョンを掲げ、”dynabook as a Computing”と”dynabook as学び、働き方に貢献する製品の開発・提供に努めていきます。a Service”の追求、それらを支えるテクノロジーの強化、事業のグローバル展開に取りこれからも私たちDynabookは人を支え、人に寄り添う会社として社会課題に真摯に組んでいます。当社の事業・サービスが貢献できるSDGsの項目は、健康、教育、エネ向き合い、”dynabook as a Computing”と”dynabook as a Service”の両面から、よりルギー、働きがい・経済成長、産業・技術革新、インフラ、リサイクルと多岐にわたっ快適な社会と生活の実現を目指し、新たな付加価値を提案していきます。※ Azureは米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標、または商標です。ています。サービス・ソリューション領域では、コロナ禍で人々の働き方や生活が大きく変化したニューノーマル時代に求められる新たな付加価値をコンピューティングとクラウドサービスを組み合わせて提供しています。テレワークの拡大に伴い、IT環境のクラウドベースへの移行を推進されるお客様が急増しています。2020年度は、ID管理やアプリケーションの利用環境の構築、セキュリティ運用など、テレワーククラウド環境をワンストップで実現する「かんたんテレワークスターターパック」のサービスを開始しました。また、パソコンメーカーとして長年培ってきたコンピューティング技術と、企業のIT環境構築などを支援してきたノウハウを活用し、マイクロソフトのAzure※上に当社のクラウドサービス基盤「Dynabookクラウドプラットフォーム&クラウドサービス」を展開しています。ハードウェア領域では、お客様の「働き方改革」を支援する先進機能を搭載したノートPCを充実のラインアップで展開しています。場所や時間に縛られない新しいライフスタイルに対応する5in1プレミアムPenノートPC「dynabook V」シリーズや、教育現かんたんテレワークスターターパック「dynabook V」「dynabook K60」ノートPCのラインナップ21SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜ディスプレイデバイス＞ シャープディスプレイテクノロジー（株）ディスプレイテクノロジーで、「8K＋5G Ecosystem」「AIoT World」の実現を目指します。～高精細・低消費電力・耐環境性能・高速駆動テクノロジーで、HEALTH-CAREAIoT社会で進化する医療・教育・インフラ・自動運転等の社会課題を解決します～シャープディスプレイテクノロジー（株）では、さまざまな用途に向けたディスプレ当社は、世の中のニーズに適合させた技術を常に進化させ、ディスプレイに新たな価イモジュールの開発・製造・販売を行っています。値 を 付 加 する こ とで、 シャー プ （ 株 ）が 目 指す「 8K ＋5G Ecosystem 」、 「 AIoT中でも2012 年3月、世界初の量産化に成功した酸化物半導体IGZO※1を用いた液晶ディスプレイ※2は、①高精細、②高速駆動、③低消費電力、④自由なデザイン性などのworld」の実現に貢献し、全ての人が安心・安全に暮らせる豊かな社会を目指すとともに、SDGsの目標達成に向けて、さまざまな分野でビジネスの展開を積極的に取り組ん特長を兼ね備え、スマートフォンやタブレット／ノートPC、車載用ディスプレイなどでいきます。の身近な製品から、産業機器や業務用ディスプレイに至るまで、幅広い場面で活躍して※1 In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)により構成される酸化物半導体。※2 （株）半導体エネルギー研究所との共同開発により量産化したものです。※3 スマートフォンとして、2021年5月17日時点。（シャープ（株）調べ。）います。2020年の年初以降、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。足元では、ニューノーマルと呼ばれる新たな生活様式への対応が進みつつあり、その変化の中で、テレワークやオンライン教育、オンライン医療、Eコマース／オンライン決済など、ITネットワークを活用した生活スタイル／ビジネススタイルにおいて、ディスプレイが担う役割はより大きなものとなっています。これらの変化に対応するため、当社はIGZO技術をはじめとするディスプレイテクノロジーの開発の強化に取り組んでいます。「CEATEC AWARD 2020」において、ニューノーマル ソリューションズ部門賞グランプリを受賞した「透明ディスプレイ パーティション」や、外光を光源としバックライト光源が不要な低消費電力ディスプレイの「反射型IGZOディスプレイ」、高精細な映像を映し出す「医療向け8Kディスプレイ」、2021年6月発売の5G対応スマートフォン「AQUOS R6」に採用された、世界初※31Hz-240Hzで駆動する「IGZO OLEDディスプレイ」など、世の中の変化・進化に柔軟に対応し続けています。透明ディスプレイ パーティション反射型IGZOディスプレイ（教育端末）22SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜エレクトロニックデバイス＞ シャープセンシングテクノロジー（株）「撮る」だけでなく、「認識する」カメラモジュールの創出によって、安心・安全な社会の実現に貢献します。HEALTH-CAREシャープセンシングテクノロジー（株）は、スマートフォン、タブレット、その他IT1. 接触を避ける技術（用途：ドアの鍵、宅配BOXの鍵、電子決済など）機器に搭載されるカメラモジュールや、3D顔認証センサーモジュール等を開発・販売従来は2次元だった顔写真を3Dデータにすることによって、個人の識別能力を格段にしています。2000年にシャープは世界で初めてカメラ付き携帯電話を販売しましたが、高めた個人認証モジュールで、指紋やICカード等を使わない非接触システムを実現この携帯電話には当社が開発したカメラモジュールが搭載されています。当時、当社が開発したカメラモジュールの解像度はわずか11万画素でした。その後も高画質化を追2. 三密を避ける技術（用途：遠隔トレーニング、eコマースなど）求してきた結果、 2021年6月に大型1インチ 2020万画素センサを搭載したカメラジュー3D製品情報を用いて組立作業を体験するVR（仮想現実）技術、カメラの実映像とルの量産化に成功、一眼レフ並みの高画質を実現しました。3次元の仮想製品を融合させてコーディネートを行うAR（拡張現実）技術などスマートフォンの市場規模は安定してきましたが、スマートフォンに搭載されるメイこれからも、 カメラモジュールをコアにさまざまなセンシング技術を融合したソンカメラは2014年に登場したデュアル（2個）、2016年のトリプル（3個）、2018年のリューションを展開することで、安心・安全な社会の実現に貢献してまいります。クアッド（4個）と複眼化・高性能化が進んでおり、市場規模（金額）は今後も年率7％以上の成長が予測されています。さらにセンシング技術とAI技術の進化により、「撮る」だけでなく、人間の眼や識別能力を超えた「認識する」デバイスが出現したことで、新しい市場が広がっています。「認識する」センシング市場において、当社が注目するのはwithコロナに向けた非接触関連マーケットです。今後も続くであろう感染症対策として、当社は次の技術で社会の期待に応えます。1インチセンサーカメラモジュールと搭載スマホ複眼カメラモジュールと搭載スマホ23SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜エレクトロニックデバイス＞ シャープ福山レーザー（株）レーザー事業：VR／AR技術を実現するレーザーモジュールの開発によりニューノーマル時代のライフスタイル創出に貢献します。半導体事業：積極的な生産能力拡大に取り組み、持続的に社会基盤を支える半導体産業の成長に貢献します。シャープ福山レーザー（株）は、レーザーデバイス・モジュールの開発・生産と半導体のウエハファウンドリビジネスを手掛けており、さまざまな商品創出に貢献してまいりました。レーザー事業：RGB※1すべてのレーザーデバイスを供給できる唯一のメーカーとして、VR・AR技術※2を応用したスマートグラス※3などの次世代ディスプレイ向けに“色彩豊かで実体感のある画像”を表現できるレーザーモジュール、ステージライトや5G関連機器用基板の配線加工用の高出力レーザーの開発と生産に取り組み、新しいライフスタイルの創出に貢献します。半導体事業：旺盛な半導体需要に対応すべくウエハファウンドリメーカーとして、液晶ディスプレイ用のドライバIC※4や電子機器の省力化に寄与する電源制御用アナログIC※5の製造プロセス開発と生産拡大に取り組み、持続的に社会基盤を支える半導体産業の成長に貢献します。これらの事業が産業と技術革新の原動力となり、すべての人の健康と住みよいまちづくりに貢献することで、企業の社会的価値向上に努めていきます。※1 Red （赤）、 Green（緑）、Blue（青） 光の三原色※2 Virtual Reality（仮想現実）、Augmented Reality（拡張現実）※3 ヘッドマウントディスプレイ方式の仮想・拡張現実型ウェアラブル端末※4 液晶ディスプレイなどを駆動させるための電気信号を送る集積回路※5 アナログ信号の処理や電源・動力制御などを担う集積回路RGBレーザーデバイスと応用商品半導体集積回路24SHARP Sustainability Report 2021目次理念・方針シャープとSDGsマネジメント環境活動社会活動ガバナンス会社情報＜エレクトロニックデバイス＞ シャープ福山セミコンダクター （株）※18K＋5G及びAIoTで世界を変えるという事業ビジョンの実現に向け、特長デバイスの創出により、日本の半導体産業の発展に貢献してまいります。シャープ福山セミコンダクター（株）※1 は、シャープの特長商品を支えるさまざままな生活シーンにおいて応用が期待され、社会の発展に積極的に取り組んでまいります。なキーデバイスを創出しており、 現在は8K やAIoTの技術基盤となるデバイス／モジュールの開発・販売を進めています。③IoTモジュールはさまざまなセンサと組み合わせることで「位置情報」や「設備の8K技術はTV放送にとどまらず、圧倒的な情報量のデータでインフラ保守や安全監視、稼働状況」などの管理で重要となる産業装置や車載機器・セキュリティー端末など幅広遠隔医療などさまざまな産業分野への活用が期待されています。加えて、センサの存在い製品を、手軽にIoT化するための組込用デバイスです。5G通信技術、超低消費待機電はIoT社会の実現に欠かせないものとされています。力、エナジーハーベスト電源などを融合させることにより、電源の確保が困難な場所な私たちは、①8K映像処理に必要なLSI（8K SoC）や映像の入り口となるCMOSイメーどでの“途切れない・止まらないIoTサービス”の実現に貢献します。ジセンサ（8K CIS）に加えて、②各種センサ（光センサ等）、③IoTモジュールなどのこれらの事業が産業と技術革新の原動力となり、すべての人の健康と住みよいまちづ商品群を保有しています。くりに貢献することで、企業の社会的価値向上に努めてまいります。※2 True Wireless Stereo イヤホンの略。完全ワイヤレスイヤホン。①当社のキーデバイスの一つであるCMOSイメージセンサ（CIS）は映像を撮像する為の半導体デバイスであり、あらゆるデジタルカメラに使用され、映像の画質を決定づける大変重要な電子デバイスです。当社