フェローテックホールディングス(6890) – 東洋刄物株式会社株券(証券コード 5964) に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

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開示日時:2022/06/03 16:00:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 9,059,785 843,720 805,422 76.62
2019.03 8,947,823 878,280 821,528 76.79
2020.03 8,161,368 601,293 657,061 47.35
2021.03 9,131,261 964,061 1,019,651 201.51

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
3,835.0 3,862.5 3,207.02 5.96 8.81

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 -235,318 994,696
2019.03 -2,448,654 1,146,608
2020.03 -2,501,676 890,292
2021.03 -107,965 1,321,772

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

各 位 2022年6月3日 会 社 名 株式会社フェローテックホールディングス 代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 賀 賢 漢 (コード番号:6890 東証スタンダード市場) 問 合 わ せ 先 執 行 役 員 社 長 室 長 佐 藤 昭 広 ( 0 3 - 3 2 8 1 - 8 1 8 6 ) 東洋刄物株式会社株券(証券コード:5964)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ 株式会社フェローテックホールディングス(以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会において、東洋刄物株式会社(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場、証券コード:5964、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)に定める公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議いたしましたので、お知らせいたします。 記 1.買付け等の目的等 (1)本公開買付けの概要 公開買付者は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している対象者株式を 476,600 株(所有割合(注):33.24%)直接所有し、対象者を持分法適用関連会社としております。 (注)「所有割合」とは、対象者が 2022 年5月 13 日に公表した「2022 年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された 2022 年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(1,865,900 株)から、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(431,969 株)を控除した株式数(1,433,931 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、別段の記載がある場合を除き、比率の計算において同様に計算しております。)をいいます。 この度、公開買付者は、本日開催の取締役会において、対象者の発行済株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。以下同じとします。)を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議いたしました。 本公開買付けにおいて、公開買付者は、対象者の完全子会社化を企図しているため買付予定数の下限を 479,400 株(所有割合:33.43%)に設定しており、本公開買付けに応じて売付け等がなされた株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(479,400 株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。他方、本公開買付けは対象者を完全子会社化することを目的としておりますので、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定- 1 – 数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。なお、買付予定数の下限(479,400株)は、公開買付者が対象者を完全子会社とすることを目的としており、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の完全子会社化のために必要な株式併合(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。)の手続を実施する際には、会社法(平成 17 年法律第 86 号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第 309 条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を着実に遂行すべく、対象者決算短信に記載された 2022 年3月31 日現在の対象者の発行済株式総数(1,865,900 株)より、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式(431,969 株)を控除した株式数(1,433,931 株)に係る議決権の数(14,339個)に3分の2を乗じた数(9,560 個。小数点以下を切り上げております。)から、公開買付者が所有する本日現在の対象者株式数(476,600 株)に係る議決権の数(4,766 個)を控除した議決権の数(4,794 個)に相当する対象者株式数(479,400 株)としており、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主が所有する対象者株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」(対象者決算短信に記載された 2022 年3月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(1,865,900 株)から、対象者決算短信に記載された対象者が所有する同日現在の自己株式数(431,969 株)及び公開買付者が所有する本日現在の対象者株式数(476,600 株)を控除した株式数(957,331 株)に係る議決権の数(9,573 個)の過半数に相当する数(4,787 個)に相当する対象者株式数(478,700 株))を上回るものとなります。 公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにより対象者株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者が対象者株式の全てを取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続を実施することを予定しています。 対象者が本日に公表した「株式会社フェローテックホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、2021 年6月3日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに関し、賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。なお、対象者における本公開買付けに対する意見及び意思決定の過程については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。 (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針 ① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程 公開買付者は、1980 年9月に、米国フェローフルイディクス社(1999 年 11 月に公開買付者が同社株式を公開買付けにより取得し連結子会社化するとともに、商号を Ferrotec (USA) Corporationへ変更)によって、コンピュータシール、真空シール及び磁性流体の輸入販売を目的に日本フェローフルイディクス株式会社として設立され(1995 年 10 月に商号を株式会社フェローテックに変更)、1996 年 10 月に公開買付者の普通株式(以下「公開買付者株式」といいます。)を日本証券業協会に店頭登録しました(2004 年 12 月に日本証券業協会への店頭登録を取消しジャスダック証券取引所に公開買付者株式を上場し、2010 年4月にジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い大阪証券取引所 JASDAQ に上場。2013 年7月に大阪証券取引所 JASDAQ が東京証券取引所の管理下に置かれたことにより、上場市場が東京証券取引所 JASDAQ に変更。その後、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、2022 年4月4日に東京証券取引所 JASDAQ から東京証券取引所スタンダード市場へ移行。)。その後、公開買付者は、2017 年4月に吸収分割により、製造及び営業 – 2 – 事業を株式会社フェローテック(株式会社フェローテック分割準備会社より商号変更)へ承継し、現商号の株式会社フェローテックホールディングスへ変更しました。 公開買付者グループ(公開買付者並びに公開買付者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じとします。)は、持株会社である公開買付者及び子会社等 73 社(連結子会社 60 社、持分法適用関連会社 12 社及び持分法非適用非連結子会社1社)(本日現在。なお、連結子会社である1社については破産手続が開始されており、2022 年3月期までに損失の引当計上を行っております。)で構成されており、現在では半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC 製品(注1)、シリコン製品、坩堝の製造・販売を行う「半導体等装置関連事業」、温調機器等に使用されるサーモモジュールの製造・販売及び磁性流体の製造・販売を行う「電子デバイス事業」並びにソーブレード(注2)、工作機械、太陽電池用シリコン製品等の製造・販売を行う「その他事業」の3つの事業セグメントにおいて事業を展開しております。また、公開買付者グループは、1992 年1月に中国にサーモモジュールの製造会社として杭州大和熱磁電子有限公司を設立して以降、積極的に中国展開を行い、米国で生まれ、日本で育ち、中国で拡大する企業として、グローバルに事業活動を行っており、エレクトロニクス産業に限らず、ものづくりにおける要素技術を拡充し、高品質の製品を国際競争力のある価格で世界に送り出すグローバル企業を目指しております。 (注1)「CVD-SiC 製品」とは化学気相成長法(CVD方式)による炭化ケイ素(Si(注2)「ソーブレード」とは、切断工具の一種であり、電動工具刃物用の刃物を指しC)部材を指します。 ます。 公開買付者グループは 2021 年5月 28 日、2022 年3月期から 2024 年3月期までの新中期経営計画を策定し、公表いたしました。また、その後の計画を上回る業績の推移に伴い、当該計画における 2023 年3月期の業績目標が 2022 年3月期に1年前倒しで達成される見込みとなったことから、2022 年5月 30 日に当該計画の業績目標を更新したものを公表いたしました(当該更新後の新中期経営計画を、以下単に「新中期経営計画」といいます。)。新中期経営計画では以下の4つの基本方針の下、収益性を重視するとともに次のステージに向けての成長路線を掲げています。 (a) 事業成長 事業成長・利益成長を徹底的に追及し、成長投資を継続していきます。具体的には、成長期待の高い半導体分野、電子デバイス分野での増産投資を進め、公開買付者グループのポジションを引き上げていきます。また、将来の成長に向け、EV(電気自動車)関連等への投資も推進していきます。 (b) 財務強化 (c) 品質強化 (d) 人材強化 財務強化を更に推進し、投資機会と財務状況の適切なバランスを確保していきます。具体的には、当期純利益を KPI 化し、投資リターン及び投下資本利益率(ROIC)(注3)の管理を強化し、外部資本の活用を適切に検討していきます。 (注3)ROIC は Return On Invested Capital の略称で、親会社株主に帰属する純利益を有利子負債に純資産を加算したもので除した経営指標です。純資産は新株予約権及び非支配株主持分を除きます。 「品質は命」と考え、品質管理の強化を進めていきます。具体的には、品質管理の自動化・デジタル化による生産体制の強化を図ります。 人材の強化、組織の構造改革を推進していきます。具体的には、企業規模が拡大するなか、更に持続的な成長を実現するため、人材の採用・育成、組織体制の改革、企業文化の醸成を推進していきます。 – 3 – これらを実行することで、公開買付者グループは、新中期経営計画の最終年度である 2024 年3月期において、連結売上高 2,300 億円、連結営業利益 400 億円、親会社株主に帰属する当期純利益210 億円、自己資本利益率(ROE)15%、投下資本利益率(ROIC)8%、自己資本比率 40%超の実現を目指しております。なお、自己資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)につきましては、新中期経営計画において 2022 年3月期から 2024 年3月期までの間の累計投資額の計画を従来の 950 億円から 1,800 億円に引き上げたため、2022 年3月期の実績値(2022 年3月期業績は連結売上高 1,338 億円、連結営業利益 226 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 266 億円、自己資本利益率(ROE)26.9%、投下資本利益率(ROIC)15.8%、自己資本比率 49.5%となります。)に比べて低くなると計画しております。また、長期ビジョンとして、2030 年度(2031 年3月期)には連結売上高 5,000 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 500 億円の達成を目指していくこととしています。 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1925 年(大正 14 年)8月に本多光太郎博士の提唱により、東北帝国大学附属金属材料研究所(現東北大学金属材料研究所)の研究成果の工業化のため、当時の東京府東京市に東洋刄物株式会社として設立され、同年9月に仙台市に工業用刃物の科学的製造工場として設立発足し、1961 年(昭和 36 年)11 月に東京証券取引所市場第二部に上場し、その後、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、2022 年4月4日に東京証券取引所市場第二部から東京証券取引所スタンダード市場へ移行したとのことです。 対象者グループ(対象者並びに対象者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じとします。)は、対象者、連結子会社2社及び持分法非適用非連結子会社1社の合計4社(本日現在)で構成されており、「機械刃物及び機械・部品の製造、販売」並びに「緑化造園」を主たる事業としており、機械刃物及び機械・部品の製造・販売会社として、法令遵守のもとにお客様の信頼と満足を得られる製品の提供により社会に貢献するとともに、対象者内においては参画と協調により活力ある職場を築くことを経営の基本理念とし、「技術力を基に顧客指向のモノづくりを通して創造力・競争力をより一層高め、強固な経営基盤を確立する」ことを中期経営計画の基本方針として位置づけ、経営に取り組んでいるとのことです。 対象者は、2020 年3月 27 日、2020 年4月1日から 2023 年3月 31 日までの中期経営計画を策定し、公表しているとのことです。中期経営計画では「技術力を基に顧客指向のモノづくりを通して創造力・競争力をより一層高め、強固な経営基盤を確立する」を基本方針として、2025 年(令和7年)に迎える創立 100 周年へ向けた成長の基盤づくりとして、中期経営計画を位置付けており、その基本目標を達成するために(1)収益性・市場性を念頭に置いた事業ポートフォリオを改めて見直した上で、情報産業用刃物、製紙パルプ用刃物、精密部品関連を最重点品種とし、(2)生産性を重視した生産体制の構築、並びに(3)研究開発への設備投資及び早期製品化、を重点施策としたとのことです。 公開買付者と対象者は、公開買付者が 2019 年3月 15 日に公表した「東洋刄物株式会社との資本業務提携契約締結に関するお知らせ」に記載のとおり、対象者が経営の独立性を維持しながら、更なる企業価値向上のために、事業とのシナジー効果が期待できる新たな提携先を模索していたところ、公開買付者のもつグローバルネットワークの活用により、対象者の製品の海外販売の強化につながる一方、公開買付者にとっても、対象者が中国へ進出する場合の公開買付者の工場の空きスペースの賃貸や対象者の製品加工の外注先として公開買付者の子会社を活用する等、既存の中国の経営資源を有効活用することができ、さらに公開買付者の中国子会社における工業用刃物事業が強化されることにより、将来の半導体等装置関連事業及び電子デバイス事業に続く次の中核事業になる可能性があること等の観点から、2019 年3月 15 日に資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、当該契約に基づく資本業務提携を、以下「本資本業務提携」といいます。)を締結し、公開買付者が対象者の当時の筆頭株主である地域中核企業活性化投資事業有限責任組合から対象者株式 476,600 株(所有割合:33.24%)を譲り受けました。本資本業務提携において公開買付者の半導体関連事業のグローバルネットワークを活用して対象者の高精度精密製品等の – 4 – 高付加価値製品の海外販売を展開していくとともに、工業用刃物製品の製造、販売を行っている公開買付者の中国子会社である杭州和源精密工具有限公司との協業により工業用刃物製品の海外市場での効率的な販売展開を企図しました。また、本資本業務提携により、材料・資材の調達についても、共同購買等によりコストダウンにつながる可能性を検討するとともに、新製品の共同開発及び人材交流をしていく中で、事業戦略上重要となる製品を見極め、公開買付者の事業ポートフォリオの拡充を図っております。なお、本資本業務提携契約では、公開買付者の議決権割合が 30%以上である限りにおいて、公開買付者が対象者の取締役候補者1名を指名できる旨を合意しており、本日現在、公開買付者が指名する者1名が対象者の取締役に就任しております。 しかしながら、本資本業務提携契約の目的のうち、中国の経営資源の有効活用に関しては、対象者による中国における新会社の設立に伴い協業体制の構築は進んでいる一方で、共同購買、新製品の共同開発及び人材交流に関しては、公開買付者と対象者がともに上場会社であることから、独立した事業運営を行う必要があり、現状では、秘匿性の高い技術や情報の共有ができず、また、秘匿性の高い技術等ノウハウを有する人材を社外に転籍させられないため人材交流を行うことができない等、調達網、人材、ノウハウ及び技術等の経営資源の相互活用について一定の制約があります。本資本業務提携契約の目的を効果的に達成するためには、未発表の投資・開発計画、技術情報、マーケティング戦略、調達情報、顧客の情報といった機微情報を交換する必要性が高く、技術等ノウハウを有する人材の交流も必要となるところ、上述の独立した事業運営を行う必要性から生じる制約が、本資本業務提携契約の目的達成の支障となっている状況です。対象者と公開買付者が一体の事業主体として事業を行っている状況では、上場子会社のガバナンスに関し、2019 年に経済産業省が「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を策定・公表する等、上場親子会社間における構造上の利益相反リスクとその対応策を求める動きが高まっており、今後、対象者が上場を維持した状態で、公開買付者が対象者と経営資源を共有することに関しては、より一層対象者の少数株主の利益を考慮した慎重な検討が求められることとなり、これに向けた意思決定を行うことが更に困難になることが想定されます。さらに、近年のコーポレートガバナンス・コードの改定、資本市場に対する規制の強化等により、金融商品取引法上の有価証券報告書等の継続的な開示に要する費用や監査費用等の株式の上場を維持するために必要なコストは増大しており、今後、株式の上場を維持することは、対象者の経営上の負担になるものと考えました。そして、公開買付者は、2022 年1月上旬、対象者が上場している状況においては、本資本業務提携契約で企図していた公開買付者の経営資源の有効活用による両社の協業体制の構築を早期かつ効果的に推進することは難しいと認識するに至りました。かかる認識に基づき、公開買付者は、公開買付者の株主価値の最大化を図ることを前提に、最適な事業運営体制の検討及び上場会社間の資本提携関係における構造上の利益相反リスクとその対応策強化を求める動きの高まりを契機に、対象者との最適な資本関係・提携の在り方について、公開買付者の事業ポートフォリオ管理とコーポレートガバナンスの観点から、対象者の完全子会社化による、シナジーの完全な取り込み、グループ内での経営判断の迅速化、経営資源の集中によるビジネスコラボレーションの促進及びシナジーの早期発現を通じた企業価値向上の最適化を図ることについて、2022 年1月上旬から中旬にかけて、検討をしてまいりました。具体的には、対象者が東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準である流通株式時価総額 10 億円以上の基準が設けられている中、新市場への移行基準日である 2021 年6月 30 日現在における対象者の流通株式時価総額が 5.4 億円であることから、当該流通株式時価総額基準を充足していないため、対象者の今後の上場廃止の可能性があることや、対象者の大株主(公開買付者)と少数株主との間の構造的な利益相反リスクが内包されている状況の中で、上述のとおり、対象者が上場を維持した状態で公開買付者が対象者と経営資源を共有することにより企業価値の最大化を図ることが困難であることを踏まえて、完全子会社による一体運営による新たな事業機会の創出、経営資源やノウハウの共有、上場維持コストの負担軽減、財務基盤の更なる安定という課題に関して、公開買付者の中で検討し、2022 年1月中旬に、対象者を完全子会社化することによる当該課題への解決策として、下記(A)乃至(F)に記載したシナジーが期待できると判断しました。 – 5 – その結果、公開買付者は、上場会社同士の資本提携関係であるゆえに制約を受けていた、対象者と公開買付者の経営資源等の相互活用を一層促進するとともに、公開買付者グループが一体となって迅速に意思決定を進めていくことが必要不可欠であるとの認識に至り、またかかる制約を解消するためには、公開買付者が対象者を完全子会社化することが必要であると 2022 年1月中旬に判断いたしました。 加えて、対象者は、今般の東京証券取引所における市場区分の見直しに関し、2021 年 12 月 17日付で「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下「本計画書」といいます。)を開示しているところ、本計画書によれば、新市場区分であるスタンダード市場の上場維持基準として、流通株式時価総額 10 億円以上の基準が設けられている中、新市場への移行基準日である 2021年6月 30 日現在における対象者の流通株式時価総額が 5.4 億円であることを踏まえると、新市場区分への移行に際して、当面の間、上場維持基準についての経過措置が設けられていることから(注4)、仮に本公開買付けが不成立となった場合においても、直ちに上場廃止となるわけではないものの、対象者が上場維持基準を充足するような手段(具体的には、電子機器や自動車関連、高機能フィルム関連の刃物や部品類の製造販売等、収益性の更なる向上とともに安定的・持続的な株主還元を実施し株価を向上させること等が想定されますが、それらに限られません。)を講じない場合には、対象者による当該基準への抵触により、将来的に対象者の上場維持が困難となり、上場廃止に至るおそれがあります。そのため、公開買付者は、本公開買付けを通じて対象者の一般株主の皆様に合理的な株式の売却の機会を提供した上で、対象者株式を非公開化することが、対象者の一般株主の皆様の利益に資する選択であると 2022 年1月中旬に判断しました。 (注4)新市場区分の上場維持基準に適合していない上場会社は、「上場維持基準の適合に向けた計画書」の開示を行い、新市場区分への移行後、当該計画書の進捗状況を事業年度末日から3ヶ月以内に開示する場合に限り、経過措置が適用されることとされています。詳細は、東京証券取引所が 2021 年2月 15 日に公表(その後、同年5月、7月、9月に更新。)した「第二次制度改正事項に関するご説明資料(2021 年9月更新版)」をご参照ください 公開買付者は、対象者を完全子会社化し、より一層連携を深めることにより、次のようなシナジーの実現が可能であると考えております。 (A) グローバルネットワーク(顧客・調達網)の活用等によるコストの削減 対象者を完全子会社化することにより、独立した上場会社同士では共有できなかった機微情報も含めて、公開買付者の中国における5G、EV関連の顧客基盤を対象者と共に活用することが可能となり、独立した上場会社同士では機動的に行えなかった顧客や仕入れ先の紹介等が完全子会社化により迅速に行えるようになることにより、杭州東洋精密刀具有限公司の事業の早期軌道化や、グローバルでの調達網を使った共同購買による原材料の仕入れコストの削減の可能性等があると考えております。特に、対象者が戦略製品と位置付けている超硬刃物の主材である超硬材の中国での現地調達ルートの紹介、及び、戦略製品であるMSU(注5)部材の公開買付者の中国子会社からの供給等を実現することにより、コストの削減をすることができると考えております。 (注5)MSUは Micro Slitter Unit の略称であり、情報産業用の刃物であるスリッターナイフを組み込む多条切用ユニット装置です。 (B) 人事交流の活発化による人材の有効活用等 現在、人材面での連携は、上場会社として双方の一般株主の利益に配慮する観点から独自の人材採用、育成活動を行い、人材交流が少ない等の一定の制約があるものの、対象者を完全子会社化することで、杭州和源精密工具有限公司と杭州東洋精密刀具有限公司における現地の新規採用社員と、公開買付者グループ及び対象者グループからの出向者等、国籍、技能、経験、バックグラウンド等が異なった多様な人材が、相互に活発に交流することが可能となり、公開買付者グループ及び対象者グループの従業員のスキルの向上が見込まれます。加えて、対象者グループの従業員においては、公開買付者グループの傘下に入ることにより、公開買付者グル – 6 – ープの水準に合わせて福利厚生等の更なる充実が図られることで生活基盤の更なる安定が期待できることや公開買付者のコーポレート部門の機能を対象者が活用(管理部門の共通化等)することにより、対象者を含む公開買付者グループの経営資源配分を最適化でき、対象者がより現業に専念できる環境を実現することができるということから、対象者グループの従業員のモチベーションの向上が見込まれます。 (C) 生産性改善 対象者は、2011 年の東日本大震災により主力工場及び本社棟が損壊し、2011 年3月期に震災関連特別損失として約9億円を計上したことで債務超過に陥りました。その後 2016 年3月に地域中核企業活性化投資事業有限責任組合からの支援を受けるまでの間、財務面においては債務超過に加えて、対象者が 2016 年6月 30 日に開示した有価証券報告書によれば、2016年3月期末で有利子負債残高が 27 億 3,500 万円存在していたことから、自動化・省人化の対応投資が出遅れ、これら生産技術の強化による生産性の改善が課題でありました。完全子会社化により、公開買付者が半導体ウエーハ事業やパワー半導体用絶縁放熱基板事業等で培った最新の自動化、知能化、可視化の生産技術のノウハウを対象者の中国での市場性が高い戦略製品(MSC、MS、CIKC、CIKS)の生産ラインに移植していくことで、自動化・省人化を加速させ、対象者の強みとする短納期・少量多品種の生産性を改善し、設備稼働率の向上、コスト競争力の強化、生産能力の拡大、ひいては受注機会の拡大に繋がるものと考えております。 (D) 製品ラインアップの拡充 公開買付者の中国子会社である杭州和源精密工具有限公司では、対象者が取り扱っていない刃物(丸鋸)の製造・販売を行っているところ、対象者が公開買付者の完全子会社になることにより、グループ一体での拡販戦略が可能となり、対象者は、同業他社比でも取り扱い刃物の種類において遜色ない製品ラインナップの拡充が図られます。また、杭州和源精密工具有限公司においても、対象者の日本国内の販売ルートを活用した自社製品の拡販に繋がるとともに、自社で扱っていない対象者の高品質な段ボール、製紙等の製紙パルプ用刃物や食品用のスラーサーナイフ等の製品の取り扱いが可能になることで、特に中国市場における公開買付者グループの競争力が高まることが期待されます。 (E) グループファイナンスの活用による財務基盤強化及び調達コストの削減 対象者決算短信によれば、対象者は、2022 年3月期末で有利子負債残高 20 億 4,700 万円に対し、年間 3,100 万円の支払利息の負担が発生しているとのことです。また、これらの有利子負債はシンジケートローンで調達していることから、今後期日が到来し、リファイナンスする場合には支払利息に加えてコミットメントフィーやシンジケーション手数料等(2021 年3月期実績:コミットメントフィー1,600 万円、シンジケートローン手数料 1,700 万円)の追加負担が生じることになります。なお、同期の営業利益9億 2,500 万円から一過性の利益である持分法による投資利益5億 7,500 万円を除いた修正後営業利益3億 5,000 万円に占める調達コストの割合は 8.9%になっております。完全子会社化により、対象者は公開買付者からの低金利かつ機動的なグループファイナンスを享受することで、調達コストを引き下げられるとともに、増資等により有利子負債の圧縮や自己資本比率の向上を図ることで、さらなる財務基盤の改善、強化が図れるものと考えております。 (F) 上場維持コスト等の負担軽減 対象者が上場会社である関係において、重要な課題と認識している、公開会社としての上場維持コスト並びに SDGs対応及びコーポレートガバナンス・コードの厳格化に対応するための人的リソースの確保の課題を解決する意味でも、完全子会社化(非上場化)が有効な施策であると考えております。 上記背景、目的、期待できるシナジーを念頭に、公開買付者は、両社のより一層の企業価値向上を実現するために、公開買付者が対象者を完全子会社化することで、両社の連携をさらに深め、経営資源を集中していくことが必要であると判断し、2022 年1月上旬に、本取引に関する初期的な – 7 – 検討を開始いたしました。その後、公開買付者は 2022 年1月 17 日に、対象者に対して本取引の実施に向けた検討・協議を開始したい旨をWeb会議システムを通じて口頭にて提案しました。その後、2022 年1月 19 日に対象者と面談したところ、対象者から、前向きに検討する旨の意思表示がありました。また、公開買付者は、2022 年1月下旬に、外部の法務アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、公開買付者グループ及び対象者グループから独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」といいます。)をそれぞれ選任の上、本取引の本格的な検討を進めてまいりました。 公開買付者は、上記の検討過程において、対象者を完全子会社とするための手法として、①買付対価を金銭とするか株式とするか、及び②公開買付けを経ない株式併合や株式交換を選択すべきかについて検討を行いました。①については、金銭を対価とすることで、経済条件を比率ではなく金額で提示することができるため、対象者の株主の皆様にとって分かりやすく、また、対価株式の継続所有を希望しない株主にとっては現金化の手間が省けること、②については、公開買付けに対する対象者の意見表明の内容も踏まえた上で経済条件についてご検討いただく機会を提供できること、及び、公開買付け後の公開買付者の議決権数が対象者の総株主の議決権数の3分の2以上を所有することとなるように買付予定数の下限を設定し、当該下限を超える応募がなされて公開買付けが成立した場合には、公開買付けへの応募を通じて対象者の少数株主の皆様の意思を確認できたこととなり、株式併合や株式交換の手続を実施する際の要件である株主総会における特別決議を確実に成立させることができるようにもなるため取引の安定性に繋がることを踏まえ、現金対価による本公開買付けを実施し、対象者株式の全て(但し、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に対象者の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(詳細は下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)をご参照ください。)を実施することが最適であると 2022 年3月中旬に判断いたしました。 その後、公開買付者は、同年3月中旬、対象者に対して、(i)公開買付者が本取引を申し入れた背景や、公開買付者が対象者を完全子会社とすることにより期待できる上述の(A)乃至(F)の各シナジーの存在に加えて、(ⅱ)完全子会社化の手法として、流動性の乏しい対象者株式を現金化することで対象者株主が新たな投資を行ったり、対象者を完全子会社化する公開買付者の公開買付者株式を取得することも可能となるため、金銭を対価とした公開買付けによることが最適であると判断したことから、対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する意向表明書を 2022 年3月 15 日に提出いたしました。 その上で、公開買付者及び対象者は、2022 年3月下旬から、本取引に向けた買付価格の条件に係る具体的な検討・協議を開始いたしました。 具体的には、公開買付者は、2022 年3月下旬から同年5月上旬にかけて対象者に対するデュー・ディリジェンスを実施するとともに、並行して 2022 年4月7日に、対象者が企業価値の向上及び対象者の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討及び判断を行うための体制を構築するために設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会設置の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)に対して、本「本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」に記載した本取引の意義及び目的、本取引後の経営方針、本取引の諸条件を説明いたしました。 本公開買付価格については、2022 年5月 17 日に公開買付者は対象者に対して、2022 年3月下旬から同年5月上旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの実施状況、対象者株式の市場株価動向及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる対象者株式の評価分析を総 – 8 – 合的に判断し、本公開買付価格を1株当たり 1,628 円(2022 年5月 16 日の対象者株式の終値 1,351円に対して 20.50%(小数点以下第三位四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、2022 年4月 18 日から 2022 年5月 16 日までの過去1ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,287円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して 26.50%、2022 年2月 17 日から 2022 年5月 16 日までの過去3ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,158円に対して 40.59%、2021 年 11 月 17 日から 2022 年5月 16 日までの過去6ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,131 円に対して 43.94%のプレミアム)とする最初の提案を行いました。具体的には、最初の提案時の1株当たり 1,628 円は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる株式価値算定との関係においても、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定レンジ(最終的な算定結果は 1,377 円から 2,267 円)の範囲内となることが合理的に見込まれたこと、初期的な評価として過去5年間の公開買付けの事例に着目し 2017 年5月以降の発行者以外の者による株券等の公開買付けのうち持分法適用関連会社の完全子会社化を目的とした公開買付け事例 11 件のプレミアム水準(平均値は公表の前営業日が 36.25%、過去1ヶ月間が 43.02%、過去3ヶ月間が 47.14%、過去6ヶ月間が 47.23%、中央値は公表の前営業日が 27.68%、過去1ヶ月間が 39.47%、過去3ヶ月間が 48.74%、過去6ヶ月間が 49.15%)と比較すると、2022 年5月 16 日の終値 1,351 円に対するプレミアムは 20.50%にとどまるものの、プレミアムの存在は市場での取引価格を超える価格であることを示すものであること、過去3ヶ月及び過去6ヶ月間のプレミアム水準では上記過去事例における水準と乖離していないことに加えて、対象者と本公開買付価格を交渉するにあたり対象者からの引上げ要請の可能性があることも加味して、最初の提案を行いました。 これに対して、同月 20 日、対象者より、本公開買付価格として提案した 1,628 円は、対象者の第三者算定機関であるみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)による対象者株式価値の試算結果、及び、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」といいます。)を公表した 2019 年6月 28 日から 2022 年4月 30 日までの支配株主による上場子会社の完全子会社化又は非公開化を目的とした他の公開買付けの事例 43 件におけるプレミアムの水準(公表日前営業日、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値それぞれからのプレミアムの平均値(40.9%~44.1%))との比較を行った結果、十分な水準とは言えないとして、提案内容の再検討を要請されました。 その後、公開買付者は、対象者から提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、M&A指針の公表日である 2019 年6月 28 日以降の事例及び支配株主による上場子会社の完全子会社化の事例も検討するものの、本公開買付けは、支配株主による従属会社の買収には該当しないため、総合的な検討が必要と考え、2019 年6月 28 日以降に公表された発行者以外の者による株券等の公開買付けのうち、発行者の経営陣による公開買付けを除く、公開買付け実施前の所有比率によらず完全子会社化を目的とした公開買付け事例 81 件のプレミアム水準(平均値は公表の前営業日が 41.29%、過去1ヶ月間が 44.43%、過去3ヶ月間が 47.20%、過去6ヶ月間が 47.47%、中央値は公表の前営業日が 37.30%、過去1ヶ月間が 40.58%、過去3ヶ月間が 40.39%、過去6ヶ月間が 43.54%)を参照するとともに、対象者の 2022 年3月 31 日現在の連結純資産から算出した1株当たり純資産額(1,724 円)を上回る価格とするため、同月 26 日に本公開買付価格を 1,740 円(2022 年5月25 日の対象者株式の終値 1,499 円に対して 16.08%、2022 年4月 26 日から 2022 年5月 25 日までの過去1ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,384 円に対して 25.72%、2022 年2月 28 日から2022 年5月 25 日までの過去3ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,208 円に対して 44.04%、2021 年 11 月 26 日から 2022 年5月 25 日までの過去6ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,148円に対して 51.57%のプレミアム)としたい旨の2回目の提案を行いました。 公開買付者からの2回目の提案に対して、同月 28 日、対象者より、対象者株式価値の試算結果のうち、DCF法に基づく本源的価値を重視しており、本特別委員会として対象者の少数株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するため、少数株主の利益保護の観点から、本公開買付価格をDCF法により算定された1株当たり株式価値の上限値と下限値の中央値である 2,254 円で検討するように再要請を受けました。 – 9 – 公開買付者は、対象者からのかかる要請があったことを踏まえ、対象者より要請された本公開買付価格が、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる対象者株式の株式価値算定結果のうち、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であることから、2回目の提案時に参照したプレミアム水準及びそのうち成立した事例 73 件(平均値は公表の前営業日が 40.75%、過去1ヶ月間が 43.53%、過去3ヶ月間が 45.37%、過去6ヶ月間が 45.41%、中央値は公表の前営業日が 37.30%、過去1ヶ月間が 41.67%、過去3ヶ月間が 40.39%、過去6ヶ月間が 40.92%)も参照した上で、同月 31 日、本公開買付価格を 2,254 円(2022 年5月 30 日の対象者株式の終値1,625 円に対して 38.71%、2022 年5月2日から 2022 年5月 30 日までの過去1ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,430 円に対して 57.62%、2022 年3月1日から 2022 年5月 30 日までの過去3ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,232 円に対して 82.95%、2021 年 12 月1日から 2022年5月 30 日までの過去6ヶ月間の対象者株式の終値単純平均値 1,161 円に対して 94.14%のプレミアム)とする3回目の提案 を行い、当該提案をもって最終提案としたい旨を対象者に伝えました。かかる提案に対し、同日、対象者より公開買付者からの提案を受諾する旨の回答があり、公開買付者と対象者との間で、本公開買付価格を 2,254 円とする旨の合意をしました。 これらの協議・交渉を経て、公開買付者は、本日開催の取締役会において、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、本公開買付価格を 2,254 円とする本公開買付けを行うことについて決議いたしました。 ② 対象者における意思決定の過程及び理由 対象者は、公開買付者から 2022 年1月 17 日に本取引の実施に向けた検討・協議を開始したい旨をWeb会議システムを通じて口頭にて提案され、その後、2022 年1月 19 日に公開買付者と面談したところ、公開買付者に対して、前向きに検討する旨の意思表示を行ったとのことです。その後、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、2022 年3月中旬に、公開買付者及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、公開買付者及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券をそれぞれ選任したとのことです。 さらに、森・濱田松本法律事務所の助言も踏まえ、対象者は、2022 年3月 23 日に、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引に係る協議・交渉を行う体制を構築したとのことです。 上記のような体制の下、対象者は、2022 年3月下旬以降、本公開買付価格の条件について、本特別委員会より事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づき、森・濱田松本法律事務所及びみずほ証券から助言を受けながら、公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を重ねてきたとのことです。また、対象者は、2022 年5月 17 日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり 1,628 円とする提案を受領したものの、対象者株式価値の試算結果及びM&A指針の公表日以降における支配株主による上場子会社の完全子会社化又は非公開化を目的とした他の公開買付けの事例 43 件におけるプレミアムの水準(公表日前営業日、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値それぞれからのプレミアムの平均値(40.9%~44.1%))との比較を行った結果、十分な水準とは言えないとして増額を要請したとのことです。その後、公開買付者は、対象者から提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、2022 年5月 26 日に本公開買付価格を 1,740 円としたい旨の2回目の提案を行 – 10 – いました。公開買付者からの2回目の提案に対して、同月 28 日、対象者は、対象者株式価値の試算結果のうち、DCF法に基づく本源的価値を重視しており、本特別委員会として対象者の少数株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するため、少数株主の利益保護の観点から、本公開買付価格を 2,254 円で検討するよう要請を行ったとのことです。その結果、対象者は、2022 年5月 31 日に、公開買付者から、公開買付価格を1株当たり 2,254 円とする最終提案を受け、かかる提案に対し、同日に、公開買付者と対象者との間で、本公開買付価格を 2,254 円とする旨の合意をしました。 以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、対象者や対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券からの株式価値評価に係わる報告を受け、確認及び意見の申述等を行ったとのことです。具体的には、対象者は、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、対象者が作成した 2022 年3月期から 2025 年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けているとのことです。また、公開買付者との交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、公開買付者から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、本特別委員会からの意見・指示・要請等に従って対応を行ったとのことです。 そして、対象者は、本特別委員会から、2022 年6月2日付答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けたとのことです(本答申書の概要については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(2)買付け等の価格の算定根拠等」の「(ⅱ)算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。 その上で、対象者は、みずほ証券から受けた財務的見地からの助言及び 2022 年6月2日付で提出を受けた株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。)並びに森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本特別委員会の意見を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の是非及び本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性について慎重に検討したとのことです。 その結果、対象者は、本資本業務提携契約の目的を効果的に実行するために必要な、未発表の投資・開発計画、技術情報、マーケティング戦略、調達情報、顧客の情報といった機微情報の交換や、技術等ノウハウを有する人材の交流が十分に行うことができていないこと、コーポレートガバナンスの観点からも公開買付者が対象者と経営資源を共有することに関し、今後、より一層対象者の少数株主の利益を考慮した慎重な検討が求められることが想定されることから、本資本業務提携の効果を十分に発揮するには、本取引を通じて、公開買付者と対象者一般株主との潜在的な利益相反に対する懸念に留意することなく、公開買付者との間で従来以上に踏み込んだ連携関係を構築することが必要不可欠と考えるに至ったとのことです。対象者は、2022 年6月2日、公開買付者の完全子会社となることにより、調達網、人材、ノウハウ及び技術等の経営資源の有効活用が可能となるため、公開買付者の完全子会社となることは、対象者の企業価値向上に資するものと判断したとのことです。 なお、対象者が本取引を通じて期待するシナジー効果は以下を想定しているとのことです。 (ア) 中国及びアジア諸国での販路拡大 機微情報の交換や人材交流の深化により、対象者の持つ工業用機械刃物製造における技術力と公開買付者が海外で展開する販売力を活用することにより、市場の掘り起こし、同業他社の既存商圏への参入がより一層効果的に行えると考えているとのことです。まずは、対象者の主力品種でもあるスリッターナイフの中国での展開、景況感に左右されにくい食品 – 11 – ナイフなどの展開を進めながら、他品種の中国及び近隣諸国のマーケットリサーチを実施し、販売品種及び販売網を相乗的に拡大することが可能となると考えているとのことです。 (イ) グループファイナンスの活用による資金調達の安定化 対象者は、創立以来 97 年の間、新規事業展開が十分に実行できているとは言い難い状況にあり、その主たる要因として資金調達が間接金融中心であり、借入資金はその使途が制約されていることが挙げられるとのことですが、本取引を実行することで、公開買付者のグループファイナンスにより、上記(ア)に記載した中国及びアジア諸国での販路拡大を実現するための設備投資を行うことが可能になると考えているとのことです。 (ウ) 主力品種を中心とした設備投資の実現 主力品種の利益拡大を考慮した設備投資、生産効率化のための生産体制の集約などにより、国内事業についても、競合他社と互角以上に戦える水準に引き上げることが可能となると考えているとのことです。対象者がこれまで真面目に地道に築き上げた顧客からの信頼を前提に、公開買付者の資金力を活用することにより事業領域を拡大できると確信しているとのことです。 (エ) 人材育成、人材確保への投資 対象者の資金調達が間接金融中心で、借入資金の使途が制約されていたため、設備投資を十分に行えない状態にあったとのことです。また、物的資源が不足する状況ゆえ、対象者が必要と考える十分な経験・ノウハウを持った人材育成及び人材確保が課題であるとのことです。2017 年以降、技能検定取得に向けた社外講師による実地研修、高専教授による指導、階層別教育(管理職、監督職、一般職)実施による役割認識、評価、被評価研修による意識向上を目指しているものの、生産性を一層向上させる水準には至っていないとのことです。本取引により公開買付者の完全子会社となり、上場を廃止することによって不要となる上場維持コストの一部を人材育成のリソース確保に振り向けることで人材育成に資する計画の立案、実施が可能となると考えているとのことです。また、公開買付者グループの一員になることで対象者の信用力、知名度が全国的に高まり、優秀な人材の確保につながると考えているとのことです。 加えて、対象者は、今般の東京証券取引所における市場区分の見直しに関し、新市場区分であるスタンダード市場の上場維持基準として、流通株式時価総額 10 億円以上の基準が設けられている中、新市場への移行基準日である 2021 年6月 30 日現在における対象者の流通株式時価総額が 5.4億円であることを踏まえると、直ちに上場廃止となるわけではないものの、当該基準への抵触により、将来的に対象者の上場維持が困難となり、上場廃止に至るおそれがあり、本取引を行うことによって、対象者の一般株主の皆様に対象者株式の上場廃止に伴う不利益が生じることを回避しつつ、対象者株式の売却機会を提供することが、対象者の一般株主の皆様にとっての合理的な選択肢であると考えているとのことです。 なお、上場廃止に伴い対象者は資本市場から資金調達を行うことができなくなりますが、資本面では公開買付者が支援できること、負債面では公開買付者の完全子会社となり、今後は公開買付者のグループファイナンスを中心に資金調達を行うことを想定していることから、対象者の資金調達面に関する上場廃止の影響は限定的と考えているとのことです。そのため、対象者は、本日開催の取締役会において、2021 年 12 月 17 日に東証に提出した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を撤回することを決議したとのことです。 また、対象者は、本公開買付価格が、(i)みずほ証券による対象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価基準法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(ⅱ)本公開買付価格が、東京証券取引所スタンダード市場(2022 年4月1日までは東京証券取引所市場第二部です。以下同じとします。)における、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である 2022 年6月2日の対象者株式の終値 1,876 円に対して 20.15%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとしま – 12 – す。)、同日までの過去1ヶ月間(2022 年5月6日から 2022 年6月2日まで)の終値の単純平均値 1,492 円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)に対して 51.07%、同日までの過去3ヶ月間(2022 年3月3日から 2022 年6月2日まで)の終値の単純平均値 1,272 円に対して 77.20%、同日までの過去6ヶ月間(2021 年 12 月3日から 2022 年6月2日まで)の終値の単純平均値 1,180 円に対して 91.02%のプレミアムがそれぞれ加算されており、M&A指針の公表日である 2019 年6月 28 日から 2022

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