新日本科学(2395) – 株式会社イナリサーチの普通株式(証券コード2176)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

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開示日時:2022/06/01 16:15:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 1,660,055 -69,746 -65,854 -85.41
2019.03 1,565,868 82,980 92,725 46.84
2020.03 1,456,108 222,826 269,261 61.25
2021.03 1,511,055 252,954 274,095 87.95

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
1,476.0 1,428.86 1,214.465 8.17

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 32,600 134,425
2019.03 179,288 289,266
2020.03 178,815 301,829
2021.03 362,867 474,669

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

各位 会 社 名 株 式 会 社 新 日 本 科 学 代 表 者 名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 永 田 良 一 (コード番号:2395 東証プライム) 問 合 せ 先 上 席 執 行 役 員 I R 広 報 統 括 部 長 岩 田 俊 幸 電話 (TEL:03-5565-6216) 2022年6月1日 株式会社イナリサーチの普通株式(証券コード2176)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ 株式会社新日本科学(以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会において、株式会社イナリサーチ(証券コード:2176、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場)(以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。 1.買付け等の目的等 (1)本公開買付けの概要 公開買付者は、本日開催の取締役会において東京証券取引所スタンダード市場に上場している対象者株式を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議いたしました。なお、本日現在、公開買付者は対象者株式を所有しておりません。 公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、対象者の代表取締役社長であり、対象者の代表取締役会長である中川博司氏の長男であり、かつ、対象者の主要株主及び筆頭株主である中川賢司氏(所有株式数448,500株、所有割合(注1)14.96%)、対象者の代表取締役会長であり、かつ、対象者の第三位株主である中川博司氏(所有株式数187,400株、所有割合6.25%)、並びに対象者の代表取締役会長である中川博司氏の配偶者であり、対象者の第八位株主である中川睦子氏(所有株式数44,500株、所有割合1.48%)(以下、総称して「応募予定株主」といいます。)との間で、それぞれ、各応募予定株主が所有する対象者株式の全て(所有株式数合計680,400株、所有割合22.69%)を本公開買付けに応募する旨の公開買付応募契約(総称して、又は個別に、以下「本応募契約」といいます。)を本日付で締結しております。本応募契約の詳細につきましては、下記「(6)公開買付者と対象者の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。 記 1 (注1)「所有割合」とは、対象者が2022年5月12日に公表した「2022年3月期決算短信〔日本基準〕(非連結)」(以下「本決算短信」といいます。)に記載された2022年3月31日現在の対象者の発行済株式総数(2,998,800株)に占める割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しております。)。以下所有割合の記載について同じです。なお、対象者は、本日現在において、自己株式を所有しておりません。 公開買付者は、本公開買付けにおいて、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを企図しており、本公開買付けにより対象者株式の全て(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、公開買付者は、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者の株主を公開買付者のみとして、対象者を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続(以下「本完全子会社化手続」といいます。)を予定しております。公開買付者は、本完全子会社化手続を確実に実施するため、買付予定数の下限を1,999,200株(注2)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が1,999,200株に満たない場合には、応募株券等の全ての買付け等を行わないこととしております。 (注2)買付予定数の下限(1,999,200株)は、本決算短信に記載された2022年3月31日現在の対象者の発行済株式総数(2,998,800株)に係る議決権数(29,988個)の3分の2(小数点以下を切り上げ。)となる数に、対象者の単元株式数である100株を乗じた数(1,999,200株)です。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者は、本公開買付けにおいて、対象者株式(対象者が所有する自己株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、対象者に対して本完全子会社化手続を実施することを要請する予定であるところ、本完全子会社化手続として会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第180条に基づく対象者株式の併合(以下「株式併合」といいます。)を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本完全子会社化手続の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が対象者の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるようにするためです。 一方、公開買付者は、本公開買付けにおいて、対象者株式の全て(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することで、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、買付予定数の上限については設定せず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(1,999,200株)以上の場合は、応募株券等の全ての買付け等を行います。 なお、対象者が本日公表した「株式会社新日本科学による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、本日開催の取締役会において、本公開買付けに対して賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。 対象者の取締役会の意思決定の過程の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。 2 (2)本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針 ① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程 公開買付者は、1957年に、鹿児島県鹿児島市において、公開買付者の前身となる南日本ドッグセンターとして創業し、実験用ビーグルの繁殖・改良に着手しました。1960年には、国内で初めて安全性試験(前臨床試験(注1))の受託事業を開始し、その後、1973年5月に株式会社化し、商号を株式会社日本ドッグセンター(本店所在地:鹿児島県鹿児島市、資本金3百万円)に変更しました。1974年7月に商号を株式会社新日本科学に変更し、2004年3月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場させ、2008年3月には東京証券取引所市場第一部に指定され、2022年4月4日の東京証券取引所における新市場区分へ移行後の本日現在においては東京証券取引所プライム市場に上場しております。 公開買付者は、本日現在において、公開買付者並びに連結子会社25社及び関連会社4社から構成されるグループ(以下「公開買付者グループ」といいます。)により事業を行っており、公開買付者グループの事業は、(ⅰ)製薬企業等から前臨床試験、臨床試験(注2)(治験(注3))及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO(Contract Research Organization)事業、(ⅱ)公開買付者が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)及び大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナルリサーチ(TR)事業(注5)、並びに(ⅲ)公開買付者が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)によって構成されております。 (注1)前臨床試験とは、臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験であり、「非臨床試験」ともいいます。 (注2)臨床試験とは、ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。 (注3)治験とは、臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。 (注4)経鼻投与製剤とは、既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。 (注5)トランスレーショナルリサーチ(TR)事業とは、経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等の事業セグメントです。 具体的には、CRO事業では、公開買付者の安全性研究所において前臨床試験を、公開買付者の薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、公開買付者の持分法適用関連会社である株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、1997年以来、薬物の鼻粘膜吸収性を高める独自の経鼻投与基盤技術や経鼻投与用デバイス(医療用具)技術、及び薬物の脳移行性を高める独自の送達技術(Nose to Brain)を研究開発し、それを製薬企業等にライセンスするとともに、これらの技術を応用した創薬支援を行っております。公開買付者のTR事業に係る事業部門であるTRカンパニーを起源として株式を上場させた会社として、経鼻偏頭痛治療薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国、米国ナスダック市場上場。公開買付者グループの議決権割合は8.9%)及び核酸医薬品(注6)の開発を行うWave Life Sciences Ltd.(米国、米国ナスダック市場上場。公開買付者グループの議決権割合は3.2%。Series Aの種類株式が普通株式に転換された場合9.0%)があります。また、公開買付者は、Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及び同じく公開買付者3 のTR事業に係る事業部門であるTRカンパニーを起源とする経鼻神経変性疾患レスキュー薬の開発会社である株式会社SNLD(公開買付者の完全子会社。以下「SNLD社」といいます。)に対し、公開買付者の研究開発した技術のライセンスによる創薬支援を継続しており、さらに、SNLD社に対しては製剤とデバイスの供給及び業務支援を行っております。メディポリス事業(社会的利益創出事業)では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリー地熱発電事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Well-being)をメインコンセプトとした3つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTEL フリージア」)を公開買付者及びその子会社が運営するホスピタリティ事業を展開しています。また、日本国外においても事業を拡大し、香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける公開買付者グループの事業を統括し、公開買付者の持分法適用関連会社である中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司及び公開買付者の子会社であるカンボジア王国のTIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注6)核酸医薬品とは、生物の遺伝情報を司る、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)の構成成分であるヌクレオチド及びその誘導体を基本骨格とする医薬品の総称です。 公開買付者グループは、「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から開放することを絶対的な使命とします。」との使命を掲げ、中長期的な経営ビジョンとして、顧客となる製薬企業の研究開発が、大型化、高度化、国際化しつつある中で、バリューチェーンの構築を通じてグローバルマーケットにおいてクライアントから第一に指名される“ダントツのCRO”となることを目指し、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上及び継続的な品質の向上に注力しております。基礎事業であるCRO事業に加えて、知的財産を他社にライセンスすることにより収益を上げていく研究開発型のTR事業にもより注力し、より一層の付加価値を付けた質の高い技術と特化したサービスを提供できる体制を整備し、CRO事業に依存した従来形態から創薬研究支援型の事業を拡大していくことを目指しております。 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1974年7月に、有限会社信州実験動物センターとして設立され、1977年7月に商号を有限会社信州動物実験センターに変更し、1978年3月に株式会社に組織変更した後、1989年7月に商号を株式会社イナリサーチに変更し、2008年6月に株式会社ジャスダック証券取引所へ対象者株式を上場させ、証券取引所の統廃合を経て、2013年7月には東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に対象者株式を上場させ、2022年4月4日の東京証券取引所における新市場区分への移行後の本日現在においては東京証券取引所スタンダード市場に対象者株式を上場しているとのことです。本日現在において、対象者に子会社又は関連会社は存在しないとのことであり、対象者の事業は、「受託試験」及び「環境」のセグメントから構成されているとのことです。「受託試験」セグメントにおいては、医薬品開発企業・食品関連企業及び大学等研究機関等から委託を受け、実験動物や細胞を用いて開発薬物や食品素材の安全性や有効性の確認を行う試験(非臨床試験)を実施しているとのことです。そして、対象者は、近年は、国内だけでなくアジア圏等の海外からの受託確保に取り組むとともに、バイオ医薬品(注7)の受託増加に向けた設備の補充等を行っているとのことです。なお、バイオ医薬品の安全性・有効性評価に欠かせない大型動物等については、動物供給業者等から調達しているとのことです。また、「環境」セグメントにおいては、製薬会社及び大学等における動物施設、脱臭材搭載装置、殺菌装置、実験動物用機材の設計・販売等を行っているとのことです。 4 (注7)バイオ医薬品とは、バイオテクノロジーを用いて製造されるタンパク質を有効成分とした高分子の医薬品のことです。 対象者は、対象者の経営を取り巻く環境について、医食に対する安全性への要求が益々高まり、加えてiPS細胞を始めとする医療分野における革新的な展開、CROマーケットのグローバル化の進展が目覚ましいと認識しているとのことであり、こうした市場環境に対応しつつ、対象者の基本理念である「人類の永遠の平和共存を願い、生命科学の探求を通じて明日の医療を実現すると共に、地球環境の維持向上に貢献する。」を実現するため、2022年5月19日、2022年度(2023年3月期)を初年度とする「中期経営計画(2022年度-2024年度)」を策定し、①海外市場のさらなる開拓と国内ベンチャー支援強化による事業拡大、②信頼性の遵守、サービスの向上、改善活動の継続、③自動化、省力化を進め、生産性向上と従業員満足度向上を両立する会社の実現、④遺伝子治療薬試験で業界有数の存在を目指す、⑤DX事業推進、⑥エネルギー及び試験資材の安定確保との計画を掲げ、これらの点に重点的に取り組んでいるとのことです。 公開買付者及び対象者が属する前臨床試験(非臨床試験)事業を取り巻く事業環境は、科学技術の進展により、医薬品の開発環境が大きく変化する中で、近年においては、特にバイオ医薬品などの新たな創薬モダリティ(注8)への対応が急務となっているとともに、国内外の製薬企業による医薬品開発がグローバル市場において行われております。製薬企業が医薬品を開発するにあたり、臨床試験に先立って実施することが必須の前臨床試験(非臨床試験)の結果については、日米欧が参加する医薬品規制調和国際会議(ICH)において、ICHに参加しているいずれの国あるいは地域での医薬品申請においても相互に受け入れることが合意されています。すなわち、前臨床試験の受託は、グローバル市場が舞台であり、国内はもちろん海外の製薬企業を含めた顧客からの受託体制を強化することが喫緊の課題となっております。また、国内外の製薬企業では、固定費削減のために、これら前臨床試験を実施する内部リソースを最小限にした上で、信頼のおけるCROへ委託を集中して変動費化するという流れが顕著になってきていると認識しており、前臨床CRO業界の市場規模は年々拡大しております(出典:市場調査レポート「前臨床CROの世界市場:動向、シェア、市場規模、成長、および機会(2021年~2026年)」(IMARC Services Private Limited))。増加する国内外の顧客からの前臨床試験実施の要望に対して十分に応えるためには、デジタルトランスフォーメーション化(DX化)が求められるとともに、試験の実施・評価や実験動物の育成・管理のための人員体制の充実及び実験施設や飼育施設の拡張など、製薬企業からの要望にタイムリーに対応するための試験実施能力を獲得する必要性が高まっているものと考えております。このような背景の中、世界の前臨床CRO業界において最大の市場である米国においては、前臨床CRO企業のM&Aが活発に行われており、規模のメリットを活かして、製薬企業のニーズに応えるという動きが加速しているものと認識しており、公開買付者も世界の時流に対応するための手段としてM&Aの選択肢は考えておりました。 (注8)創薬モダリティとは、医薬品の創薬基盤技術の方法・手段の分類を意味し、近年では抗体医薬品、核酸医薬品、遺伝子治療薬などが台頭し、製薬モダリティが多様化しています。 上記のような事業環境の中で、公開買付者は、「日本発の世界に通用するダントツのCRO」を目指し、これまでもバイオ医薬品など新たな創薬モダリティへの対応と共に、グローバルに事業を展開して海外の顧客からの受託体制を強化してきております。その結果、海外の大手製薬企業からの前臨床試験の受5 注の引き合い及び問い合わせが増加しており、2022年3月期の受注高のうち、海外顧客比率は約3割(2020年3月期は13.5%、2021年3月期は20.5%、2022年3月期は27.4%)を占めるに至っております。こうした中で、公開買付者グループとしては、以下のような施策を実施しております。 (ⅰ)CRO 事業のさらなる強化 事業から構成されます。 CRO 事業は、細胞・実験動物等を用いる前臨床試験を受託する前臨床事業と、臨床試験を受託する臨床前臨床事業は、公開買付者がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。 ・CRO として唯一構築できていると認識している「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増し、海外顧客からの受注増に繋がっております。 ・新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、新たな創薬モダリティに関連した受注へ繋がっております。 ・大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移し、既に複数の企業から創薬段階の研究を受注しております。 臨床事業については、米国に本拠を置くグローバル臨床 CRO である PPD, Inc.(以下「PPD 社」といいます。)との合弁会社である株式会社新日本科学 PPD(以下「新日本科学 PPD」といいます。)において受託事業を展開しております。新日本科学 PPD は、PPD 社が受注した国際共同治験(グローバル試験)の日本国内での実施を主力事業としており、グローバル試験の受託及びその実施体制の拡大は順調に推移していると認識しております。 このような中で、CRO 事業に関する公開買付者グループの課題は、グローバルな市場環境の中で競合企業との市場競争に勝ち抜いていくため、さらに公開買付者における試験処理能力を強化することであり、サービスの拡充、オペレーションの改善、及び海外市場へのマーケティングの拡大を実施することが必 要と考えております。 (ⅱ)TR 事業の取組み 上記のとおり、1997 年以来、薬物の経鼻投与基盤技術開発や投与デバイス(医療機器)を応用した自社創薬を行う一方、経鼻による薬物の脳移行性を高める独自の送達技術を開発しています。この経鼻投与製剤の基盤技術は、独自に発見した担体を用いた粉体製剤技術と投与デバイスを組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな吸収性に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みもあります。経鼻投与による神経変性疾患レスキュー薬の臨床開発を目的に設立した子会社である SNLD 社では、パーキンソン病に対する経鼻レスキュー薬(開発コード:TR-012001)の国内第Ⅰ相臨床試験(前臨床試験を終了した医薬品又は医療機器について、健常人(治験者)に対して投与又は使用することにより、その薬効、安全性及び副作用を調査する試験)を進めております。併せて、経鼻ワクチンを含む新規経鼻投与のポートフォリオ創生を指向しております。公開買付者としては、TR 事業として、これまでに開発した医薬品及び医療機器の商品化を進めるとともに、新たな医薬品又は医療機器の開発を強化していく必要があると考えております。 6 (ⅲ)ESG、SDGs 達成に向けた貢献 2015 年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」は、2030 年までの達成を目指す世界中の人々が幸せに暮らせるように定められた世界共通の目標です。これは、創業以来の公開買付者の企業理念「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」と、公開買付者のスローガン「わたしも幸せ、あなたも幸せ、みんな幸せ」そのものであり、公開買付者はSDGs/ESG の取組みについて業界のリーディングカンパニーであると自覚しております。本日現在、2021年8月に取締役会の諮問機関として設置した「SDGs 委員会」において毎月活発な議論を行っており、その成果として作成したサステナビリティレポート及び各種 ESG ポリシー、気候関連財務情報開示タスクフ ォ ー ス ( TCFD ) 提 言 に 基 づ く 情 報 開 示 を 自 社 WEB サ イ ト 上 の 専 用 ペ ー ジ(https://www.snbl.co.jp/esg/)に開示しております。今後、財務・非財務情報を統合的にステークホルダーに向けて報告し、さらなる情報開示を充実すべく、統合報告書作成に鋭意取組んでおります。2022 年3月、公開買付者は、女性活躍推進に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する「令和3年度なでしこ銘柄」に選定されました。加えて、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する健康経営優良法人(大規模法人部門:ホワイト 500)に6年連続で選ばれております。公開買付者として、こうした ESG 及び SDGs 達成に向けた取組みをさらに加速化させていくため、ESG 関連事業への投資を拡充する必要があると考えております。 (ⅳ)優秀人材の確保と育成 公開買付者グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、昨今の AI・ビッグデータ・IoT といったデジタル化の流れを受け、IT 技術や変化する経営環境に適応するためのマネジメントに優れた人材も多く必要とされております。 公開買付者グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、特に CRO 事業に係る人材の獲得競争が高まっていると認識しており、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが課題であります。 こうした人材の確保や教育研修のために、公開買付者では社内教育機関の「SNBL アカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。 このような状況の中で、公開買付者は、2021年10月下旬、公開買付者の前臨床事業の中期的な展開として、同様の前臨床事業(非臨床事業)を行う対象者と協業することにより、公開買付者の前臨床事業をさらに強化することができ、公開買付者グループのCRO事業のさらなる強化を図ることができるとともに、対象者としても、公開買付者の完全子会社となり、公開買付者グループとして前臨床事業を行うことで規模のメリットを生かし、前臨床事業のグローバル市場への展開も含め、対象者の事業をさらに強化することが可能になると考え、本取引を含め、対象者との協業の可能性の検討を開始いたしました。公開買付者は、2021年10月下旬に、対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び代表取締役社長である中川賢司氏に対して、初期的に、対象者の今後の事業運営のあり方や公開買付者グループと対象者との協業等についての協議を開始することを打診いたしました。その後、2021年12月中旬までに具体的な協議の用意があることを相互に確認し、公開買付者は、公開買付者、対象者及び応募予定株主から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、2021年12月中旬から2022年3月上旬にかけて、対象者の公表資料や対象者に対する初期的なデュー・ディリジェンス、2022年3月上旬に実7 施した対象者の施設の視察等を基に検討を行い、この間、対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び対象者の代表取締役社長である中川賢司氏並びに対象者の常務取締役である佐藤伸一氏との間で、公開買付者と対象者の協業の可否、シナジーの有無、本取引のスキーム、スケジュール、検討の進め方等について複数回に亘る協議を重ねた結果、対象者を公開買付者グループの一員とし、公開買付者グループと対象者を一体として事業運営を行うことにより、以下のようなシナジーを発生させることができ、また、対象者における現在の主な取引先との関係は本取引の実行後も継続される見通しであり、本取引の実行後における対象者の具体的な経営体制は、下記「③ 本公開買付け後の経営方針」記載のとおり、公開買付者としては、対象者で業務執行にあたっている取締役及び執行役員が引き続き現職務に従事する意向を有しており、かつ、それを妨げる要因が顕出されていないことから、ディスシナジーはないとの分析の下、公開買付者グループ及び対象者双方の企業価値の向上にとって最適であるとの認識に至り、公開買付者は、2022年3月16日に、対象者に意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出し、公開買付者が対象者株式の全て(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を完全子会社とする本取引を提案いたしました(なお、当該提案時点において、本取引の価格については提示しておりません。)。なお、本取引のスキームとしては、株式を対価とする株式交換のような手法ではなく、金銭を対価とする公開買付けの手法の方が、対象者の手続負担、対象者の一般株主への配慮、公開買付者の株式の希薄化の要素を踏まえて最適であると判断いたしました。そして、対象者においては速やかに特別委員会(詳細については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を発足し、真摯に検討を開始する運びとなりました。 (ⅰ)海外顧客からの試験受託の増加による売上の拡大 公開買付者は従前から欧米製薬企業からの引き合いがあり、特にグローバル大手製薬企業からは試験処理能力が試験委託の条件として求められるケースが存在しました。今般、公開買付者と対象者が同一グループとなることで、公開買付者グループ全体としてのキャパシティ増大及び技術・ノウハウの共有による対応可能な試験種(前臨床試験の種類を意味します。)毎のキャパシティの増加により、対象者を含む公開買付者グループ全体としての試験処理能力が向上し、大規模な試験の実施を希望する海外顧客、特に欧米からの顧客のひきつけが可能となり、公開買付者グループ及び対象者全体としての試験受託増加、売上拡大に繋がるものと考えております。 (ⅱ)新規創薬領域の評価技術の構築と深化 公開買付者と対象者は、それぞれが強みとする受託試験メニューの実施ノウハウや、新規創薬モダリティ等の受託業務における開発戦略、実験技術、評価手法などのノウハウ・高度な機密事項を有しているものの、資本・業務提携の相手方や単純子会社といった関係にある同業他社に対して開示することは困難であり、また、上場会社である限りは、上場会社としての独立性を維持する観点からも情報共有に一定の限界があるところ、親会社と非上場の完全子会社という関係性の中であれば上記のような制限を受けずに共有することが可能となり、対応可能な試験種の増加及びパッケージでのサービス提供などサービスを深化させることができ、さらにはリードタイムの短縮や柔軟性などの時間的な価値を顧客に提供することも可能になると考えております。 8 (ⅲ)コスト削減や管理部門の効率化等による収益体質の強化 対象者を完全子会社化し、非上場会社とすることにより、対象者において、昨今の市場再編により厳格化された上場維持基準への適合や、2021 年6月に改訂がなされ、新市場区分への移行により対象者の属するスタンダード市場においても全原則が適用されることとなったコーポレートガバナンス・コードへの対応等を含めた、近時の上場維持に係る業務・コスト負担の増加、また、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査法人に委託する会計監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持費用の削減、さらには、本取引の実行によって完全親会社となる公開買付者が、上場親会社として統括的に子会社の管理を行うなど管理部門の効率的な体制を構築していくことで、本取引実行後の対象者を含む公開買付者グループ全体として収益体質を強化できる効果が期待できると考えております。 その後、公開買付者は、2022 年1月 17 日から同年5月下旬において、対象者に対してさらにデュー・ディリジェンスを実施するとともに、対象者との間で、本取引の意義及び目的、本取引の実行後の事業方針及び実施を予定する施策、本取引により生じることが見込まれるシナジー、並びに本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引の諸条件等について、協議及び交渉を重ねてまいりました。その結果、公開買付者は、公開買付者、対象者及び応募予定株主から独立した公開買付者の第三者算定機関である山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)による対象者株式の株式価値の試算、過去の同種の完全子会社化事例(買付け前の公開買付者及び特別関係者の所有割合が0%で、完全子会社化を目的とする公開買付け事例として、2019 年以降に公表され成立した 15 件)における一般的なプレミアムの水準(公表の前営業日終値に対するプレミアムの平均値 37%、中央値 32%)、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者に対して、2022 年4月 22 日に、本公開買付価格を 780 円(同月 21 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 640 円に対して 21.88%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 622円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値において同じです。)に対して 25.40%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 610 円に対して 27.87%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 629 円に対して 24.01%のプレミアム)とする提案を行いました。その後、公開買付者からの提案に対し、本特別委員会(下記「② 対象者における意思決定の過程及び理由」において定義します。以下同じです。)から、当該提案価格は対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準から明らかに乖離していることを理由として、同月 25 日、提案価格を再検討するように要請されました。その後、同月 27 日、公開買付者は、本特別委員会に対して具体的な価格を提案するように要請をしたところ、対象者においては対象者が考えるあるべき価格水準から大きく乖離していたため、本特別委員会からの提案価格の検討に日数を要したものと認識しておりますが、同年5月 23 日、本特別委員会から、対象者の第三者算定機関である株式会社 Stand by C(以下「Stand by C」といいます。)による試算、対象者のファイナンシャル・アドバイザーであるジェイ・キャピタル・パートナーズ株式会社(以下「JCP」といいます。)による財務的見地からの助言等を参考に行った検討を踏まえると、当該提案価格は対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を大きく下回るものであり、対象者として受け入れることはできないとし、本公開買付価格を 1,030 円(同月 20 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 620 円に対して 66.13%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均9 値 638 円に対して 61.44%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 618 円に対して 66.67%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 623 円に対して 65.33%のプレミアム)とする提案を受けました。公開買付者は、本特別委員会からかかる提案があったことを踏まえ、同月 24 日、本公開買付価格を850 円(同月 23 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 654 円に対して 29.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 638 円に対して 33.23%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 619 円に対して 37.32%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 623 円に対して36.44%のプレミアム)とする再提案を行いました。これに対して、当該提案価格は対象者として依然として受け入れることができないとして、本特別委員会から、同月 24 日、本公開買付価格を 980 円(同月 23 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 654 円に対して 49.85%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 638 円に対して 53.61%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 619 円に対して 58.32%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 623 円に対して 57.30%のプレミアム)とする提案を受けました。公開買付者は、本特別委員会からかかる提案があったことを踏まえ、同月 27 日、本公開買付価格を 865 円(同月 26 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 628 円に対して 37.74%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 637 円に対して35.79%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 621 円に対して 39.29%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 622 円に対して 39.07%のプレミアム)とする再提案を行いました。これに対して、当該提案価格は対象者として依然として受け入れることができないとして、本特別委員会から、同月 27 日、本公開買付価格を 920 円(同月 26 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 628 円に対して 46.50%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 637 円に対して 44.43%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 621 円に対して 48.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 622 円に対して 47.91%のプレミアム)とする提案を受けました。公開買付者は、本特別委員会からかかる提案があったことを踏まえ、同月 30 日、本公開買付価格を 880 円(同月 27 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 633 円に対して 39.02%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 636 円に対して 38.36%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 621 円に対して 41.71%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 622 円に対して 41.48%のプレミアム)とする再提案を行いました。これに対して、当該提案価格は対象者が株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨できる水準に達しておらず、対象者として受け入れることができないとして、本特別委員会から、同月 30 日、本公開買付価格を 900 円(同月 27 日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値 633 円に対して 42.18%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値 636 円に対して 41.51%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値 621 円に対して 44.93%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値 622 円に対して 44.69%のプレミアム)とする提案を受けました。公開買付者は、本特別委員会からかかる提案があったことを踏まえ検討し、同月 31 日、当該提案を受け入れることとしました。 応募予定株主とは、2022年4月中旬から2022年5月下旬において、本応募契約の条件のうち、特に本公開買付け実行の前提条件、表明保証事由、誓約事項、解除事由、補償額の請求期間・上限について協議及び交渉を重ねてまいりました。但し、応募予定株主は対象者の代表取締役及びその配偶者であることから、公正性担保措置のため、本公開買付価格に関する協議は実施しておりません。 これらの協議・交渉を踏まえて、公開買付者は、本日開催の取締役会において、本公開買付価格を900円として、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決議し、同日、応募予定株主との間10 で本応募契約を締結しました(なお、本応募契約の詳細につきましては、下記「(6) 公開買付者と対象者の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。)。 対象者プレスリリースによれば、対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由 ② 対象者における意思決定の過程及び理由 は、以下のとおりであるとのことです。 (ⅰ) 検討体制の構築の経緯 対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び代表取締役社長である中川賢司氏は、2021 年 10 月下旬に、公開買付者から、初期的に、対象者の今後の事業運営のあり方や公開買付者グループと対象者との協業等についての協議を開始したい旨の打診を受けたとのことです。その後、2021 年 12 月中旬までに具体的な協議の用意があることを相互に確認し、対象者は、2021 年 12 月中旬から 2022 年3月上旬にかけて公開買付者による初期的なデュー・ディリジェンス及び 2022 年3月上旬実施の対象者の施設の視察等を受け入れ、この間、対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び代表取締役社長である中川賢司氏並びに常務取締役である佐藤伸一氏と公開買付者との間で、公開買付者と対象者の協業の可否、シナジーの有無、本取引のスキーム、スケジュール、検討の進め方等について複数回に亘る協議を重ねるとともに、2022 年1月下旬に、対象者が過去にファイナンシャル・アドバイザーとして起用したことのある JCP の紹介により、対象者及び公開買付者から独立した法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、西村あさひ法律事務所の助言を踏まえ、対象者の企業価値の向上及び対象者の少数株主の皆様の利益の確保の観点から、公開買付者グループと対象者との協業等の検討及び公開買付者との協議を行ったとのことです。その後、対象者は、2022 年3月 16 日に、公開買付者から本意向表明書を受領し、公開買付者が対象者株式の全て(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を完全子会社とする本取引の提案を受けた(なお、当該提案時点において、本取引の価格については提示されていないとのことです。)とのことです。 そして、対象者は、本取引は支配株主による従属会社の買収やいわゆるマネジメント・バイアウトに該当しないものの、対象者株式 187,400 株を所有する対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び対象者株式 448,500 株を所有する対象者の代表取締役社長である中川賢司氏が、公開買付者との間で、その所有する対象者株式の全てについて本応募契約をそれぞれ締結する可能性があること等を踏まえ、対象者の取締役会において本取引の是非を検討するに際して、対象者の意思決定過程の恣意性を排除し、その公正性、透明性及び客観性を担保することを目的として、2022 年3月 22 日開催の取締役会の決議に基づき、松﨑堅太朗氏(対象者独立社外監査役、公認会計士、税理士、税理士法人mkパートナーズ代表)、芦部喜一氏(対象者独立社外取締役、元天竜精機株式会社代表取締役会長)、佐藤尚子氏(対象者独立社外取締役、元長野県こども・若者担当部長)及び浦野正敏氏(対象者独立社外監査役、元KOA 株式会社常勤監査役)の4名を委員として、対象者及び公開買付者並びに本取引の成否から独立性を有する特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(詳細については、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本特別委員会に対して、(a)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。)、(b)本取引の取引条件の公正性・妥当性、(c)本取引の11 手続の公正性、(d)本取引が対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか、並びに(e)上記(a)乃至(d)を踏まえて対象者取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、上記(a)乃至(e)を総称して「本諮問事項」といいます。)に対する意見(答申)の提出を委嘱したとのことです。また、上記の取締役会においては、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当該取引条件による本取引に賛同しないことを決定したとのことです。 なお、上記のとおり、対象者の代表取締役会長である中川博司氏及び対象者の代表取締役社長である中川賢司氏は、公開買付者との間で本応募契約をそれぞれ締結する可能性があることに鑑み、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保するため、本意向表明書の受領以降は、上記取締役会における審議及び決議を含めて、対象者の取締役会における本取引に係る審議及び決議に参加しておらず、また、対象者の立場において公開買付者との間の本取引に係る協議及び交渉にも参加していないとのことです。 また、対象者は、上記の取締役会の決議に基づき、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会の適切な判断を確保し、その役割を十分に果たすため、本特別委員会に対して、(ア)本特別委員会の財務アドバイザー・第三者評価機関や法務アドバイザー(以下「アドバイザー等」といいます。)を選任し、又は対象者のアドバイザー等を指名し若しくは承認(事後承認を含みます。)する権限(なお、本特別委員会は、対象者のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、本特別委員会として対象者のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、対象者のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができ、また、本特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は対象者の負担とするものとしているとのことです。)、(イ)本取引に関係する対象者の役員若しくは従業員又は本取引に係る対象者のアドバイザー等に対して、本特別委員会への出席を要求し、必要な事項について説明を求める権限、及び(ウ)本取引の取引条件等に関する対象者による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与したとのことです。 本特別委員会は、上記の権限に基づき、2022 年3月 22 日開催の第1回特別委員会において、対象者のアドバイザー等の選任に関して、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、対象者が既に選任していた西村あさひ法律事務所を対象者の法務アドバイザーとすることを承認するとともに、対象者が、過去にもファイナンシャル・アドバイザーとして起用したことのある JCP を対象者のファイナンシャル・アドバイザーとして選任する予定であり、また、いくつかの第三者算定機関の候補先の中から総合的な判断の結果、Stand by C を対象者の第三者算定機関として選任する予定であることを踏まえ、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、JCP を対象者のファイナンシャル・アドバイザーとすること及び Stand by C を対象者の第三者算定機関とすることを、それぞれ承認したとのことです。なお、本特別委員会は、自らのアドバイザー等を選任しておらず、対象者のアドバイザー等から専門的助言を受けているとのことです。以上のほか、本特別委員会の設置等の経緯、検討の過程及び判断の内容等については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。 12 そして、対象者は、上記の本特別委員会による承認を受けて、2022 年3月下旬に、対象者及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして JCP を、また、対象者及び公開買付者から独立した第三者算定機関として Stand by C をそれぞれ選任したとのことです。 なお、JCP は、対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、本取引に係る JCP の報酬には、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬が含まれているものの、対象者としては、仮に本取引が不成立となった場合に対象者に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、かかる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断したとのことです。 (ⅱ) 検討及び交渉の経緯 対象者は、西村あさひ法律事務所から受けた本取引における手続の公正性を確保するための対応等に関する法的助言、JCP から受けた公開買付者との交渉方針等に関する助言、Stand by C から受けた対象者株式の株式価値の算定結果の報告等を踏まえ、本取引の是非及び本公開買付価格を含む本取引の取引条件について、慎重に検討の上、公開買付者との間で継続的に協議及び交渉を行ったとのことです。 具体的には、対象者は、2022 年4月 22 日に、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり 780 円とする提案を受けたものの、 本特別委員会は、当該提案価格は対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準から明らかに乖離していると考え、同月 25 日に、公開買付者に対して、当該提案価格を再検討するように要請したとのことです。その後、公開買付者から、同月 27 日に、対象者として具体的な価格を提案するように要請を受けたことを踏まえ、本特別委員会は、同年5月 23 日に、公開買付者に対して、当該提案価格は対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を大きく下回るものであり、対象者としてはこれを受け入れることはできないとして、本公開買付価格を1株当たり1,030 円とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者から、同月 24 日、本公開買付価格を 850 円とする再提案を受けたところ、本特別委員会は、同月 24 日に、公開買付者に対して、当該提案価格は依然として対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を下回るものであり、対象者としてはこれを受け入れることはできないとして、本公開買付価格を 980 円とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者から、同月 27 日に、本公開買付価格を 865 円とする再提案を受けたところ、本特別委員会は、同月 27 日に、公開買付者に対して、当該提案価格は依然として対象者株式の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を下回るものであり、対象者としてはこれを受け入れることはできないとして、本公開買付価格を 920 円とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者から、同月 30 日に、本公開買付価格を 880 円とする再提案を受けたところ、本特別委員会は、同月 30 日に、公開買付者に対して、当該提案価格は対象者の取締役会が対象者の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議できる水準に達しておらず、対象者としてはこれを受け入れることはできないとして、本公開買付価格を 900 円とする最終提案を行ったとのことです。そして、公開買付者から、同月 31 日に、当該最終提案を受け入れる旨の回答を得たとのことです。 (ⅲ) 意思決定の内容 以上の経緯を踏まえ、対象者は、本日開催の取締役会において、西村あさひ法律事務所から受けた法的助言、JCP から受けた財務的見地からの助言及び Stand by C から提出を受けた対象者株式の株式価値の算定結果に関する 2022 年5月 31 日付株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本日付答申書(以下「本答申書」といいます。 な13 お、本答申書の概要については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅲ) 答申の概要」をご参照ください。)において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か、また、本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討及び審議を行ったとのことです。 その結果、対象者は、以下の点を踏まえ、本公開買付けを含む本取引は対象者の企業価値の向上に資するものであると判断するに至ったとのことです。 第1に、前臨床試験の受託はグローバル市場が舞台であるところ、対象者においては、国内はもちろん海外の製薬企業を含めた顧客からの受託体制を強化することが喫緊の課題となっているとのことです。対象者としては、このような受託体制の強化には、グローバルな競争環境の中で各現地国での受託獲得を遂行できる一定以上の企業規模が必要であると認識しており、本取引により対象者が公開買付者グループの一員となることは、この規模拡大に資すると認識しているとのことです。 第2に、対象者は、現在、海外からの前臨床試験の受託拡大に注力しており、特にアジア圏での受託による昨今の業績への好影響は顕著であったと認識しているとのことです。一方、公開買付者は米国・欧州圏での受託獲得にも強みがあり、本取引により対象者が公開買付者グループの一員となることによって、対象者がグローバル市場で受託を獲得できる蓋然性が一層高まるものと認識しているとのことです。 第3に、対象者においては、昨今の大動物等の試験資材の価格高騰を踏まえ、その安定調達が喫緊かつ重要な課題となっているとのことです。上記「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」を CRO として唯一構築できていると認識しており、本取引により対象者が公開買付者グループの一員となることは、対象者における試験資材の調達の安定化に資すると認識しているとのことです。 第4に、本取引により対象者が非上場会社となることによって、昨今の市場再編により厳格化された上場維持基準への適合や、2021 年6月に改訂がなされ、新市場区分への移行により対象者の属するスタンダード市場においても全原則が適用されることとなったコーポレートガバナンス・コードへの対応等を含めた、近時増加した上場維持に係る業務・コスト負担に加え、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査法人に委託する会計監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務

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