フジテック(6406) – 当社株主による主張に対する取締役会決議に関するお知らせ

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開示日時:2022/05/30 16:00:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 16,879,500 1,066,500 1,099,300 109.73
2019.03 17,075,900 1,031,300 1,055,900 114.07
2020.03 18,123,200 1,337,600 1,353,700 122.4
2021.03 16,957,300 1,328,900 1,357,500 114.46

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
2,558.0 2,499.46 2,532.495 15.93

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 835,700 1,187,000
2019.03 655,800 958,900
2020.03 830,900 1,107,800
2021.03 1,844,300 2,154,200

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

各 位 2022 年 5 月 30 日 上場会社 フジテック株式会社 代表者 代表取締役社長 内山 高一 (コード番号 6406) 問合せ先責任者 取締役専務執行役員財務本部長 土畑 雅志 (TEL 072-622-8151) 当社株主による主張に対する取締役会決議に関するお知らせ 当社は、当社株主の運用会社であるOasis Management Company Ltd.(以下「当社株主」といいます。)から、2022年5月19日に公開した資料において、当社と当社代表取締役である内山高一氏及びその関係会社との間での関連当事者取引その他行為(以下「本取引」といいます。)について、企業統治上の問題がある等の指摘を受けております。 当社取締役会は、2022年5月29日、臨時取締役会を開催し、外部の専門弁護士による調査、これまでに当社取締役会、社外取締役のみによる会議体その他で重ねてきた審議、検討の結果を踏まえ、本取引のいずれについても、法的にも、企業統治上も問題ないという結論に至り、その旨決議いたしました。 もっとも、当社取締役会は、当社の開示書類その他公開情報等からみて、当社が過去及び現在において行った関連当事者取引について一部の株主に疑念を生じさせたことは、真摯に受け止めるべきであり、今後、株主の皆様に同様の疑念を抱かせることのないよう、当社社外取締役の主導の下、可及的速やかに、関連当事者取引の管理・監督に限らず企業統治全般の体制の強化を図っていく所存であります。 なお、当社の調査の経緯等及び調査結果は以下のとおりです。 1. 調査の経緯等 ① 調査の契機及び体制 当社は、2022年3月14日、当社株主から、関連当事者取引についての調査を求める書簡を受領いたしました。なお、2022年5月19日に、当社株主から指摘がなされたもののうち、内山高一氏が当社社員をその自宅の庭の手入れに私的利用したという疑惑以外の大部分は、同書簡にて指摘されていたものでした。 当社において、至急、指摘された取引等に関する関連資料を精査したところ、いずれの取引等についても、取締役会決議を要する取引については特別利害関係者が参加していない取締役会において承認決議が行われている等、適正な手続を経た上で取引が実行されており、また、当該取引等に関して、監査法人や税務当局からも疑義が呈された事実は認められませんでした。 他方で、取締役及び監査役全員において検討した結果、法令違反行為が行われたという疑義が株主から呈された以上、当社から独立した立場にある者が事実確認を行うことが望ましいと判断し、当社の社外取締役が外部の専門の弁護士の協力を得て調査を実施することが相当であるとの判断に至りました。 2022年4月1日、当社の社外取締役を含む取締役及び監査役全員の了承を得た上で、ともに社外取締役である杉田伸樹氏及び山添茂氏が本件の調査を担当することとし、当社は、本件のような調査案件について専門性を有する西村あさひ法律事務所所属の平尾覚弁護士に対して、関連する事実関係の調査及びその結果判明した事実関係に対する法的評価を依頼いたしました。 なお、平尾弁護士は、これまで当社の法律事務を取り扱ったことは一度もなく、当社としましては、本件の調査の実施にあたり独立した専門家であると考えております。また、平尾弁護士が所属する法律事務所と当社との間には、長年にわたる顧問関係もありません。 ② 調査の手法 杉田氏及び山添氏の指示に基づき、平尾弁護士において、その補助者である弁護士とともに、本取引に係る取締役会議事録等の関係資料を精査するとともに、内山高一氏を始めとした関係者に対するヒアリングを実施する等して調査を実施いたしました。 ③ 取締役会における報告 2022年4月15日に開催された取締役会において、杉田氏及び山添氏は、同日時点までに調査した調査結果を報告し、いずれの取引等についても、当社が法令上必要な手続を欠いていた事実及び当社取締役の善管注意義務違反は認められないとの報告を行いました。それに対して、取締役及び監査役から、質疑応答及び事実関係の詳細の明確化等の要請がなされ、杉田氏及び山添氏は、当該指摘がなされた点について追加調査を行うことを確認いたしました。 そして、2022年5月13日に開催された取締役会において、杉田氏及び山添氏から、2022年4月15日に開催された取締役会において指摘された点について追加調査の報告を行い、その結果としても、同取締役会において報告したものと結論は変わることはない旨の説明がなされました。当社の取締役及び監査役からは、いずれの取引についても法的な問題はないと概ね了解され、事実関係の詳細のさらなる明確化等の要請がなされました。 そのうえで、2022年5月29日に開催された臨時取締役会において、杉田氏及び山添氏からは、2022年5月13日に開催された取締役会において指摘された点について追加調査の報告がなされ、審議の結果、いずれの取引についても法的にも企業統治上も問題ないということが確認され、最終調査報告が承認されるに至りました。 なお、内山高一氏は特別利害関係人に該当する可能性があるため、上記各取締役会における審議に参加しておりません。 ④ 当社株主とのエンゲージメント 当社は、2022年4月18日、当社代理人弁護士を通じて、当社株主代理人弁護士に対して、その時点における調査結果に基づき、指摘された大部分の取引等はいずれも所定の法令・手続等に従ってなされた適法かつ適切な取引である旨書面にて回答致しました。 そのうえで、当社代理人弁護士から、当社株主の代理人弁護士に対して、具体的な情報は機密性のある内部情報となる可能性もあるため、より具体的な回答をするためには、秘密保持誓約書の提出が必要である旨の要請をいたしましたが、同代理人弁護士からは、秘密保持誓約書の提出が拒否されておりました。 なお、当社は、当社株主の要請を受け、2022年3月14日以降、本日までに、代表取締役である内山高一氏が2回、また、2名の当社社外取締役が各々1回の面談を当社株主との間で実施する等、建設的な対話を図るべく、積極的なエンゲージメントを行っておりました。 2. 調査結果の開示 当社取締役会は、2022年5月29日、平尾弁護士より最終の調査報告書を受領したことから、本日、添付のとおり、その概要を開示します。 (注)弁護士作成の調査報告書の固有名詞の一部については、今回の開示にあたり匿名化処理を行っております。 以 上 (添付資料) フジテック株式会社 取締役 杉田伸樹 様 取締役 山添 茂 様 2022 年(令和 4 年)5 月 29 日 西村あさひ法律事務所 弁護士 平尾 覚 調査結果 Oasis Management Company Ltd.(以下「オアシス」という。)は、2022 年(令和 4 年)5 月 19日、フジテック株式会社(以下「フジテック」という。)に関し、「関連当事者取引の詳細およびガバナンス上の問題」(以下「本件問題」という。)1と題する資料及び「フジテックを守るために」と題する詳細資料(以下「本件詳細資料」という。)2を公開した。オアシスは、2022年(令和 4 年)3 月中旬以降、本件問題及び本件詳細資料に記載されている問題点の一部をフジテックに指摘していたところ、フジテックにおいては、オアシスからの指摘を受け、同年 4 月 1 日、社外取締役が、当職の支援を受けつつ、事実関係の調査を行うこととした。当職は、社外取締役の指示に従い、フジテックから提供された取締役会議事録等の関係資料の精査確認及びフジテック関係者に対する聴取を実施した。また、当職は、調査の進捗状況を、2022 年(令和 4 年)4 月 8 日以降、上記社外取締役等に逐次報告し、社外取締役から追加の指示等を受けつつ調査を進めてきた。なお、当職は、従前フジテックの法律事務を取り扱ったことはない。 調査の結果判明した事実関係の概要は、下記のとおりである。 1 (1)私的な不動産の購入、(2)フジテックによる内山社長が保有する法人への巨額な資金の貸付、(3)フジテックから内山家が保有する法人への不可解な賃料の支払いについて、(4)不可解な、内山社長が保有する法人への会社持分の売却について、(5)内山社長が保有する法人の行った投資の失敗を補填させるため、その物件をフジテックが買い取った疑惑、(6)内山家の関連企業 2 社と密接な関係にある個人税務アドバイザーへの報酬の支払いの 6 項目の問題点が指摘されている。 https://www.protectfujitec.com/related-party-transactions-and-governance-issues-jp 2 (1)内山家の関連会社、(2)フジテックが内山家の私的利用のために超高級マンションを取得した疑惑、(3)フジテックは内山社長が保有する法人に莫大な額の現金を貸付、(4)フジテックから内山社長が保有する法人に不明な賃料支払い、(5)フジテックが非公開会社の株式を内山社長が保有する法人に売却、(6)内山社長が保有する法人の行った投資の失敗を補填させるため、その物件をフジテックが買い取った疑惑、(7)内山家が保有する会社に密接な関係を持つ個人経営の税理士をフジテックが起用して、報酬を支払った疑惑、(8)内山社長が自宅の庭の手入れにフジテック社員を利用した疑惑の 8 項目の問題点が指摘されている。 https://static1.squarespace.com/static/628452ce917b956ad3d21980/t/6285de49d2d2700b13049949/1652940381918/Protect+Fujitec+%28jpn%29.pdf – 1 – 記 第 1 ドムス元麻布 104 号室に関する取引(本件問題第 1 項、本件詳細資料第 1、第 2 項関連) 1 ドムス元麻布 104 号室の取得及び賃貸借契約締結 フジテックは、2013 年(平成 25 年)2 月 14 日、フジテックとは関係のない第三者(有限会社)との間で、ドムス元麻布 104 号室に係る売買契約を締結した。 当時、フジテックは、首都圏への本格進出を企図しており、首都圏でのステータス向上に向けたトップセールスを行うためのレセプション施設としてドムス元麻布 104 号室を活用することを考えていた。また、フジテックは、レセプション活動を積極的に行うため、レセプションのホストである代表取締役社長の居所をレセプションエリアに隣接して設ける必要があると判断し、ドムス元麻布 104 号室をレセプションエリアと居住用エリアに区分けし、内山高一氏にドムス元麻布 104 号室の居住用エリアへの居住を要請した。内山高一氏及びその家族は、フジテックの要請を受け、所定の居住用エリアに係る家賃を支払い、ドムス元麻布 104 号室の居住用エリアに居住することとした。 ドムス元麻布 104 号室の取得価格は、定評ある不動産会社から取得した不動産価格査定の範囲内である 2 億 9000 万円であった。また、ドムス元麻布 104 号室の居住用エリアの賃料は、所得税法基本通達において、役員に対して貸与した住宅等に係る通常の賃料とされる金額を踏まえた上で算出した。 ドムス元麻布 104 号室取得の件は、2013 年(平成 25 年)2 月 8 日の取締役会に諮られ、利益相反の可能性がある内山高一氏が参加しない形で取締役会決議がなされた。 フジテックは、2013 年(平成 25 年)の取得以降、ドムス元麻布 104 号室のレセプション用エリアについて、継続的にレセプション施設として使用しており、そのことは客観資料からも確認できる。また、その間、ドムス元麻布 104 号室の居住用エリアには、内山高一氏及びその家族が居住していた。 2 ドムス元麻布 104 号室の売却 フジテックは、2021 年(令和 3 年)6 月 28 日、内山雄介氏が代表取締役を務めるサント株式会社(以下「サント」という。)との間で、ドムス元麻布 104 号室及び建物内に存する動産に係る売買契約を締結した。 ドムス元麻布 104 号室を売却した理由は、ドムス元麻布 104 号室の取得から 8 年が経過し、首都圏におけるステータス向上に向けたトップセールス強化という当初の目的を達成することができたこと、及び折からのコロナ渦の影響により、レセプションによる営業活動を行うことが困難となっていたためであった。 – 2 – ドムス元麻布 104 号室の売却価格は、定評ある不動産会社 2 社から取得した不動産価格査定の平均価格である 3 億 6893 万 5000 円に、建物内に存する動産の 2021 年(令和 3 年)3月末時点の簿価相当額 287 万 3241 円を加えた金額である 3 億 7180 万 8241 円であった。 ドムス元麻布 104 号室売却の件は、2021 年(令和 3 年)5 月 12 日の取締役会に諮られ、利益相反の可能性がある内山高一氏が参加しない形で取締役会決議がなされた。 第 2 株式会社ウチヤマ・インターナショナル(以下「現 UI」という。)に対する貸付(本件問題第 1、第 2 項、本件詳細資料第 3 項関連) 1 正和開発興産株式会社(以下「正和開発興産」という。現 UI。)への貸付 (1) 正和開発興産(現 UI)への貸付以前の経緯 ア フジテックと正和開発興産との間の土地売買 フジテックは、1989 年(平成元年)3 月期(第 42 期)決算において、約 30 億円の当期純損失を計上する見込みとなったことから、その補填を行い財務体質の強化・健全化を図るために、大阪支社(営業本部)として利用していた、フジテック所有の土地(大阪市西区靱本町 1 丁目 78 番・80 番所在。以下「本件土地」という。)を鑑定評価額の 1 割増しの金額で正和開発興産に売却することとした(以下「本件土地売買」という。)。また、フジテックは、本件土地売買後も本件土地を大阪支社(営業本部)として利用し続けるべく、正和開発興産との間で、本件土地に係る賃貸借契約を締結することとした(以下「本件賃貸借契約」という。)。本件土地売買及び本件賃貸借契約について、1989 年(平成元年)6 月 30 日付け取締役会にて承認決議がなされたが、利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役社長であった内山正太郎氏は当該決議に参加しなかった。 他方、正和開発興産は、本件土地売買の代金を調達するために、A 銀行から 35 億円、B銀行から 30 億円の計 65 億円を借り入れた(以下「本件借入」という。)。 その後、1989 年(平成元年)9 月 20 日に、本件土地売買が実行されるとともに、翌 21 日付けで、フジテックと正和開発興産との間では本件賃貸借契約が締結されるに至った。 イ 本件土地売買後のフジテックによる保証予約差入れと本保証 フジテックは、A 銀行及び B 銀行からの要請を受けて、1999 年(平成 11 年)2 月 19 日付け取締役会にて承認決議を行った上で、両行に対して保証予約差入れを行った。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役会長であった内山正太郎氏は当該決議に参加しなかった。 その後、フジテックは、B 銀行からの要請を受けて、2002 年(平成 14 年)2 月 22 日付け取- 3 – 締役会にて承認決議を行った上で、A 銀行及び B 銀行に対する保証予約を本保証に変更した。利益相反の可能性がある当時フジテックの取締役名誉会長であった内山正太郎氏は当該決議に参加しなかった。 (2) 正和開発興産(現 UI)への貸付 フジテックにおいては、2003 年(平成 15 年)8 月 28 日付け取締役会にて、大阪支社(営業本部)を本件土地から、「なんばパークス パークスタワー」(大阪市浪速区難波中 2 丁目 10番 70 号)に移転させることが決議された。 この移転に伴い、本件土地をより有効に活用すべく、同日付け取締役会において、フジテックが本件土地を正和開発興産及び有限会社ウチヤマ・インターナショナルより鑑定評価書記載の金額である 10 億 2300 万円にて買い戻すこと(以下「本件土地買戻」という。)につき承認決議された。さらに、同日付け取締役会においては、正和開発興産に対して、返済期日は 2005 年(平成 17 年)9 月 30 日、担保は正和開発興産が有する不動産・有価証券(評価額 41 億 700 万円)、金利は外部調達コストに 0.1%を加えた利率とするとの条件で 41 億円の貸付(以下「本件貸付」という。)を行うことについても承認決議された。本件貸付の目的は、本件土地売買の際に正和開発興産が負担した本件借入を返済させる点にあったが、上記(1)イのとおり、フジテックは本件借入に係る保証を行っていたため、正和開発興産をして本件借入を返済させることは、フジテックの保証債務を消滅させるという側面も有していた。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役会長であった大谷謙治氏3(以下「大谷氏」という。)及び同社代表取締役社長であった内山高一氏はいずれの決議にも参加しなかった。 その後、本件土地買戻及び本件貸付は、2003 年(平成 15 年)9 月 30 日に実行された。 2 本件貸付の返済期日延長等 フジテックにおいては、正和開発興産からの申し入れを受け、2004 年(平成 16 年)11 月12 日付け取締役会にて、本件貸付につき 2008 年(平成 20 年)9 月 30 日まで返済期日を延長する旨が承認決議された。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役会長であった大谷氏及び当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏は当該決議に参加しなかった。 その後も、フジテックにおいては、本件貸付について、現 UI からの申し入れを受けて、複数回に亘って、返済期日を延長する旨の取締役会の承認決議がなされた。具体的には、2008 年(平成 20 年)9 月 29 日付け取締役会にて 2011 年(平成 23 年)9 月 30 日まで返済期日を延長する旨の承認決議、2011 年(平成 23 年)7 月 14 日付け取締役会にて 2014 年(平成 26 3 大谷氏は、内山正太郎氏と親族関係にある。 – 4 – 年)9 月 30 日まで返済期日を延長する旨の承認決議、2014 年(平成 26 年)8 月 7 日付け取締役会にて 2017 年(平成 29 年)9 月 30 日まで返済期日を延長する旨の承認決議がそれぞれなされた。一連の取締役会においては、本件貸付の返済期日を延長する旨の承認決議を行うにあたって、現 UI の財務状況やキャッシュフローの見通し等が検討されていた。また、いずれの取締役会についても、利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏は当該決議に参加しなかった。 なお、現 UI からフジテックに対しては、本件貸付につき、2006 年(平成 18 年)3 月に 4億 5000 万円、同年 9 月に 17 億 5000 万円、2013 年(平成 25 年)12 月に 2 億円、2015 年(平成 27 年)3 月に残額 17 億円の返済がそれぞれ行われた。 第 3 高輪ビル(旧東京フィット)に関する取引(本件問題第 3、第 4 項、本件詳細資料第 1、第 4、第 5 項関連) 1 高輪ビル(旧東京フィット)証券化スキームに係る投資及び賃貸借の開始 フジテックは、従前より、現 UI から、現 UI 所有の高輪ビル(旧東京フィット。東京都港区高輪二丁目 85 番地所在)を賃借し、首都圏におけるセーフネットセンター4として利用していたところ、現 UI は、2006 年(平成 18 年)9 月上旬を目処に、高輪ビルの土地建物の管理処分を C 信託銀行に信託するとともに、当該信託に係る信託受益権を合同会社 SPC に譲渡すること、当該合同会社への出資は匿名組合契約に基づく匿名組合出資と有限責任中間法人からの出資(その原資は当該匿名組合出資者から拠出される基金)により行うことなどを内容とする高輪ビルの証券化を行うことを決定した。 他方、フジテックは、2006 年(平成 18 年)6 月頃、A 銀行及び C 信託銀行より、上記の高輪ビル証券化スキームへの参加や高輪ビルの賃借継続等に関する提案を受け、同年 8 月 10日付け取締役会にて、そのメリットとデメリット等を比較検討した上で、高輪ビル証券化スキームへの参加等を承認決議した。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役会長であった大谷氏と代表取締役社長であった内山高一氏はいずれも当該決議に参加しなかった。 その後、フジテックは、当該決議に従い、2006 年(平成 18 年)9 月 21 日に、高輪ビルの証券化スキームにおける SPC として設立された高輪 FT インベストメント合同会社(以下「本件 SPC」という。)に対して匿名組合出資を実行し、高輪 FT インベストメント有限責任中間法人(後の高輪 FT インベストメント一般社団法人)に対して基金拠出を実行した。 また、フジテックは、C 信託銀行との間で、高輪ビルに係る定期建物賃貸借契約兼不動産管理委託契約(賃料月額 1050 万円(税別)等)を締結した。 4 エレベータを 24 時間 365 日遠隔操作でき、かつ、緊急時にはメンテナンス用のカメラからエレベータ内の状況を確認し、利用者がエレベータ内にいる場合には速やかに救出の手配を行う拠点である。 – 5 – 2 高輪ビル証券化スキームに係る投資及び賃貸借の継続 高輪ビル証券化スキームについては、2011 年(平成 23 年)7 月頃までに、本件 SPC に対するリファイナンス条件が調ったことから、フジテックとしては、当該リファイナンスを前提とする条件の下で、高輪ビル証券化スキームに係る投資及び賃貸借を継続するか否かを判断することとなった。そして、フジテックにおいては、2011 年(平成 23 年)7 月 14 日付け取締役会にて、投資や賃貸借を継続するメリットやデメリット等が協議された上で、高輪ビル証券化スキームに係る投資及び賃貸借の継続につき承認決議がなされた。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏は当該決議に参加しなかった。 フジテックは、当該決議に従って、2011 年(平成 23 年)9 月 30 日に、C 信託銀行との間で、改めて高輪ビルに係る定期建物賃貸借契約兼不動産管理委託契約書(賃料月額 1499 万7000 円5(税別)等)を締結した。 3 高輪ビル証券化スキームに係る投資及び賃貸借契約の終了 フジテックにおいては、2014 年(平成 26 年)8 月 7 日付け取締役会にて、首都圏の再開発状況とそれに伴うフジテックの営業状態の変化等を踏まえ、匿名組合出資持分を鑑定評価額に基づく 1 億 7869 万 5000 円、基金拠出分を拠出額である 375 万円で現 UI に譲渡することが協議された上で、承認決議がなされた。利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏は当該決議に参加しなかった。 その後、フジテックは、2014 年(平成 26 年)9 月 30 日に、現 UI に対する当該持分等譲渡を実行した。なお、当該持分等譲渡の前後で上記賃貸借契約に基づく賃貸借の実態は変更されていないものの、当該持分等譲渡の結果、当該賃貸借契約が関連当事者取引に該当することとなったため、2015 年(平成 27 年)3 月期の関連当事者取引における賃料額は、2014年(平成 26 年)3 月期の 54 百万円から、当該賃貸借に基づく 2014 年(平成 26 年)10 月分から 2015 年(平成 27 年)3 月までの 6 か月分の支払賃料額計 88 百万円が増加して 141 百万円となった。また、2016 年(平成 28 年)3 月期の関連当事者取引における賃料額は、2015 年(平成 27 年)3 月期の 141 百万円から 88 百万円増加して 229 百万円となったが、これは、上記賃貸借に基づく支払賃料について、2015 年(平成 27 年)3 月期には 6 か月分が計上されていたのに対して、2016 年(平成 28 年)3 月期には 1 年分が計上されることになり、6 か月分の支払賃料額計 88 百万円が増加したためである。 フジテックは、当該持分等譲渡後も、C 信託銀行との間の定期建物賃貸借契約兼不動産 5 但し、実際の 1 か月当たりの支払賃料額は、賃料 1499 万 7000 円から C 信託銀行に対する業務委託報酬 31 万 5000 円を控除した 1468 万 2000 円であった。 – 6 – 管理委託契約を継続していたが、本件 SPC が、第三者に対して高輪ビル証券化スキームに係る信託受益権を売却し、2019 年(平成 31 年)3 月 29 日までに同社に当該信託受益権を移転させることとなったため、フジテックは、C 信託銀行との間で、2019 年(平成 31 年)3 月末をもって当該契約を合意解除した。 第 4 「飛翔寮」=アーバンウエル茨木に関する取引(本件問題第 3 項、本件詳細資料第 1、第4 項関連) フジテックは、1982 年(昭和 57 年)、現 UI の前身である正和開発興産との間で、同社から第一飛翔寮を賃借する賃貸借契約を締結し、1985 年(昭和 60 年)、フジテックとは関係のない第三者(株式会社)から第二飛翔寮を賃借する賃貸借契約を締結し、これらの建物を社員寮として従業員らに利用させていた。 2007 年(平成 19 年)11 月 30 日、フジテックは、第一飛翔寮及び第二飛翔寮の老朽化が進んだことから、これらの賃貸借契約を解消し、同年 12 月 28 日、現 UI との間で、新たに同社からアーバンウエル茨木のうち 50 室等を賃借する旨の賃貸借契約(賃料月額 413 万円(社員寮 50 室分 375 万 6000 円、談話室分 37 万 4000 円。))を締結した6。アーバンウエル茨木のフジテックに対する賃料は、フジテック以外の第三者に対する賃料と同程度であった。 第一飛翔寮及び第二飛翔寮の賃貸借契約の解消並びにアーバンウエル茨木の賃貸借契約締結等7により、フジテックにおいては、年間 4200 万円の賃料等の削減及び寮まかないの廃止による年間 1800 万円の削減によって、合計年間 6000 万円の費用削減が見込まれた。 アーバンウエル茨木賃貸の件は、2007 年(平成 19 年)11 月 6 日の取締役会において承認決議された。当時フジテックの取締役会長であった大谷氏及び当時フジテックの代表取締役社長であり、現 UI の代表者でもあった利益相反の可能性がある内山高一氏は決議に参加しなかった。 その後、フジテックは、アーバンウエル茨木のフジテックが賃借している部分以外の賃料が下落しているとの情報を得た。そこで、2013 年(平成 25 年)12 月 6 日、フジテックは、現 UI との間のアーバンウエル茨木の賃貸借契約について賃料を月額 413 万円(社員寮 50 室分 375 万 6000 円、談話室分 37 万 4000 円。)から 402 万 2000 円(社員寮 50 室分 365 万 6000円、談話室分 36 万 6000 円。)に変更する旨の建物賃貸借変更契約書を締結した8。 2021 年(令和 3 年)10 月 1 日、フジテックは、現 UI から賃貸人の地位を承継したサント 6 当時、50 室中 39 室が利用されるという見込みであり、2021 年(令和 3 年)10 月 1 日時点においては、50 室中 43 室が利用されているという状態であった。 7 これと同時にフィットウィル彦根の利用契約締結も行われた。 8 フジテックが賃借していた社員寮部分の 1 室当たりの月額賃料は、上記賃料減額前は 375 万 6000 円÷50(室)=7 万 5120 円、減額後は 365 万 6000 円÷50(室)=7 万 3120 円であり、当時の他社の広告記載のアーバンウエル茨木の賃料水準(6 万 7000 円から 7 万 3000 円)に近づけるものであったと評価できる。 – 7 – との間のアーバンウエル茨木の賃貸借契約について、対象物件を 50 室及び談話室 1 室から、5 室及び談話室 1 室(賃料月額合計 73 万 1600 円。1 室当たりの賃料に変更なし。)に変更する合意書を締結した9。 なお、2013 年(平成 25 年)の賃料減額、2021 年(令和 3 年)の契約変更(戸数の変更)についても、当時フジテックの代表取締役社長であった利益相反の可能性がある内山高一氏が決議に参加しない形で取締役会決議がなされている(大谷氏は取締役を退任していた。)。 第 5 フィットウィル彦根に関する取引(本件問題第 5 項、本件詳細資料第 1、第 6 項関連) 1 フィットウィル彦根の施設利用契約締結 フィットウィル彦根は、元々、社会保険健康事業財団によって、彦根社会保険健康センター「ペアーレ彦根」として運営されていたが、2007 年(平成 19 年)3 月に閉鎖されることが予定されており、2006 年(平成 18 年)秋には、事業の継続を求める彦根市民による署名活動が行われるなどしていた。そのような中、現 UI が、土地及び建物を引き継ぎ、2007 年(平成 19 年)4 月、「フィットウィル彦根」として運営を継続するに至った。 フジテックは、2007 年(平成 19 年)12 月、現 UI との間で、従業員の福利厚生目的で、フィットウィル彦根の施設利用契約を締結した。 施設利用契約締結の件は、2007 年(平成 19 年)11 月 6 日の取締役会に諮られ、決議がなされた。利益相反の可能性がある当時フジテックの取締役会長であった大谷氏及び当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏は決議には参加しなかった。 取締役会においては、施設利用料は、近隣施設の指導を踏まえて決定されており妥当な金額である旨説明されている。 2 フィットウィル彦根の事業譲受け フジテックは、2009 年(平成 21 年)9 月 15 日、現 UI から、フィットウィル彦根の土地及び建物を含む、スポーツ・カルチャー事業を譲り受けた。 フィットウィル彦根の事業を譲り受ける目的等につき、2009 年(平成 21 年)8 月 5 日の取締役会において、①従業員の健康増進のための福利厚生の一環として有効利用を図ること、②企業市民活動の一環として地域社会への貢献を図ることにある旨説明されている。また、当該取締役会において、フィットウィル彦根の取得の主目的は、収益をあげることになく、従業員の福利厚生の充実を図ること及び地域住民に貢献することにあるものの、 9 この賃貸借契約の変更に伴い、アーバンウエル茨木の社員寮を退寮した者は、フジテックが別途借り上げた物件(賃貸人はいずれもフジテックとの関係は確認されていない。)に転居したが、その月額賃料(共益費込み)は、6 万 4500 円から 9 万 2000 円までの範囲であり、フジテックが賃借していたアーバンウエル茨木の社員寮部分の 1 室当たりの月額賃料 7 万 3120 円と同程度の金額であった。 – 8 – フジテックの経営に大きな負担とならないよう、収益性を十分に管理・監視をしていく必要がある旨説明されている。なお、フジテックは、フィットウィル彦根が彦根市民の福利厚生に貢献するものであるとして、フィットウィル彦根の運営を引き継ぐよう、彦根市長から要請を受けていた。 フィットウィル彦根の事業譲受けの譲渡金額は、土地及び建物の不動産鑑定評価額に、その他の固定資産の 2009 年(平成 21 年)8 月末時点の簿価相当額を加えた金額であった。 フィットウィル彦根の事業譲受けの件は、2009 年(平成 21 年)8 月 5 日の取締役会及び同年 9 月 15 日の取締役会(書面決議)に諮られ、利益相反の可能性がある当時フジテックの代表取締役社長であった内山高一氏が参加しない形で決議された(大谷氏は取締役を退任していた。)10。 3 フィットウィル彦根の営業終了及び土地・建物の売却 フジテックは、コロナ禍において、フィットウィル彦根の営業継続が困難であると判断し、2021 年(令和 3 年)12 月末をもって営業を終了した。 その後、フジテックは、2022 年(令和 4 年)1 月 11 日、フジテックとは関係のない第三者(社会福祉法人)との間で、フィットウィル彦根の土地及び建物に係る売買契約を締結した。フィットウィル彦根の土地及び建物の売却金額は、不動産鑑定評価額と同程度であっ なお、フジテックの取締役会規定上、フィットウィル彦根の土地及び建物の売却については、その売却金額から、取締役会の決議は不要であった。 第 6 篠原祥哲氏(以下「篠原氏」という。)について(本件問題第 6 項、本件詳細資料第 7 項た。 関連) 2013 年(平成 25 年)、フジテックは、顧問税理士の高齢化などを踏まえ、篠原氏等11との間で、新たに税務に関する顧問契約の締結を行い、顧問税理士の切替えを行った12。篠原氏は、大手会計事務所の副理事長、代表社員相談役等を経験し、他社の社外監査役の経験も有する公認会計士であるが、フジテックと篠原氏等との間の顧問契約上の報酬は月額 12万円であった。 また、2013 年(平成 25 年)以降、篠原氏等は、フジテックに対する税務調査対応を行っ 10 なお、2009 年(平成 21 年)6 月 25 日に開催された定時株主総会において、フジテックの事業目的にスポーツ施設やカルチャー施設の運営等を追加することなどを内容とする定款変更議案が上程され、承認決議がなされている。 11 篠原氏とは別の税理士とともに契約をしている。 12 移転価格税制等の対応については、別の税理士法人と顧問契約を締結している。 – 9 – ている。 なお、篠原氏が代表社員を務める大阪駅前税理士法人は、2020 年(令和 2 年)に、現 UI、サント13とそれぞれ税務相談等に関する顧問契約を締結しているが、これらの顧問契約締結は、フジテックが、篠原氏等と顧問契約締結を行った後の出来事であり、篠原氏との顧問契約がいわゆる取締役の利益相反取引等に該当することを示す事実や、本件詳細資料が「可能性」などとして指摘する「篠原氏が内山家と関係があることを背景に、報酬を支払って雇用し」た事実や、「内山家の会社が支払うべき報酬を、内山家に代わって篠原氏へ支払っていた」事実は確認されていない。 第 7 内山高一氏の自宅の庭の手入れについて(本件詳細資料第 8 項関連) 本件詳細資料においては、「フジテックが従業員へ給与を支払い、内山家の私的な仕事を行うことは非常に不適切であると懸念」として、フジテックの現従業員が勤務時間中に内山高一氏の自宅の庭の手入れを行い、フジテックが当該現従業員に対して給与を支払っている可能性が指摘されているが、そのような事実は認められなかった。 内山高一氏は、フジテックとは関係なく、当該個人に対して、実費等を支払って自宅の庭の手入れを依頼していた。 当該個人による庭の手入れは、2018 年(平成 30 年)4 月頃から開始して現在も継続しているところ、フジテックと当該個人との間の雇用関係は、2021 年(令和 3 年)6 月 30 日をもって終了しており、また、当該個人がフジテックのアルバイトであった期間中(2016 年(平成28 年)6 月 1 日~2021 年(令和 3 年)6 月 30 日)、当該個人は、あくまでアルバイトの勤務時間外に庭の手入れを行っていた。 なお、本件詳細資料の写真に写っている軽トラックは、当該個人の所有物である。 以 上 13 サントの設立は、篠原氏等とフジテックが契約を締結した 2013 年(平成 25 年)より後の 2015 年(平成 27 年)である。 – 10 –

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