サカイホールディングス(9446) – 改善報告書

URLをコピーする
URLをコピーしました!

開示日時:2022/05/26 15:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.09 1,884,208 86,678 86,751 31.57
2019.09 1,674,781 98,162 93,762 35.04
2020.09 1,531,479 150,425 149,526 74.24

※金額の単位は[万円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.09 -47,779 194,148
2019.09 -177,028 85,501
2020.09 234,444 265,922

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

改善報告書 2022年5月26日 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 山道 裕己 殿 株式会社サカイホールディングス 代表取締役会長 山口 伸淑 このたびの、過年度の決算短信並びに有価証券報告書及び四半期報告書の訂正について、有価証券上場規程第504条第3項の規定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。 1 目 次 1. 経緯…………………………………………………………………………………………………………………… 3 (1) 過年度決算訂正の内容……………………………………………………………………………………… 3 ① 訂正した過年度決算短信等…………………………………………………………………………… 3 ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響………………………………………………. 4 (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因…………………………………………… 6 ① 会計監査人による2022年9月期第1四半期レビューの過程で発覚…………….. ② 独立調査委員会の設置………………………………………………………………………………….. (3) 本件不正会計の概要…………………………………………………………………………………………. 7 ① 代理店手数料収入の仕組み…………………………………………………………………………… 7 ② 売上計上基準………………………………………………………………………………………………… ③ 具体的手法……………………………………………………………………………………………………. 2.改善措置…………………………………………………………………………………………………………….. (1) 不適正開示の発生原因の分析…………………………………………………………………………… ① 内部統制の不備……………………………………………………………………………………………. ② 監査役会における監査機能の不備………………………………………………………………… ③ 取締役会における監督機能の不備………………………………………………………………… ④ コンプラアンス意識の欠如………………………………………………………………………….. ⑤ 権限の集中…………………………………………………………………………………………………… ⑥ 子会社管理の不備………………………………………………………………………………………… (2) 再発防止に向けた改善措置(実施済のものを含む。)…………………………………….. ① 内部統制の再構築(2.(1)①に対応)……………………………………………………….. ② 役員体制の再整備(2.(1)③に対応)……………………………………………………….. ③ トップ主導の企業風土改革(2.(1)③⑤に対応)………………………………………. ④ コーポレート・ガバナンスの再構築(2.(1)②③④⑤に対応)…………………. ⑤ コンプライアンス意識の醸成(2.(1)④に対応)………………………………………. ⑥ 子会社管理の強化(2.(1)④⑥に対応)……………………………………………………. (3) 改善措置の実施スケジュール…………………………………………………………………………… 3. 不適切な情報開示等が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識……………. 2 6 7 8 9 11 11 11 12 13 13 16 16 16 16 18 19 20 22 24 25 26 1.経緯 株式会社サカイホールディングス(以下、「SHD」という。)は、2022年3月25日付「独立調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、独立調査委員会から同日付で「調査報告書」を受領し、同年3月31日に過年度決算の訂正を行いました。訂正した過年度決算及び当該訂正が業績に及ぼす影響額については、以下のとおりです。 (1) 過年度決算訂正の内容 ① 訂正した過年度決算短信等 a.有価証券報告書 第27期(自 2016年10月1日 至 2017年9月30日) 第28期(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日) 第29期(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) 第30期(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日) 第31期(自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) b.四半期報告書 第29期第1四半期(自 2018年10月1日 至 2018年12月31日) 第29期第2四半期(自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) 第29期第3四半期(自 2019年4月1日 至 2019年6月30日) 第30期第1四半期(自 2019年10月1日 至 2019年12月31日) 第30期第2四半期(自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) 第30期第3四半期(自 2020年4月1日 至 2020年6月30日) 第31期第1四半期(自 2020年10月1日 至 2020年12月31日) 第31期第2四半期(自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) 第31期第3四半期(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日) c.決算短信 2021年9月期決算短信(連結) 3 ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響 a. 有価証券報告書・決算短信 (単位:百万円) 期間 項目 訂正前 a 訂正後 b 影響額 b-a 増減率(%) 17,765 17,580 -185 -172 -172 -42 -199 -198 -253 -245 -245 -183 -466 -444 -311 -300 -302 -145 -677 -639 98 49 59 32 42 59 52 45 -1.0% -23.8% -23.6% -9.5% -4.7% -0.8% -1.3% -28.3% -34.0% -52.3% -11.0% -1.7% -1.9% -30.7% -38.4% -39.4% -20.6% -2.4% 0.6% 3.3% 4.5% 4.2% 0.3% 4.7% 4.6% 6.5% -621 -609 -16.6% -2.2% 第 27 期 売上高 (2017 年 9 月期) 営業利益 通期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 28 期 (2018 年 9 月期) 営業利益 通期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 29 期 (2019 年 9 月期) 営業利益 通期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 30 期 (2020 年 9 月期) 営業利益 通期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 31 期 (2021 年 9 月期) 営業利益 通期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 725 729 446 4,291 23,755 18,842 866 722 350 4,225 26,152 16,747 981 787 367 3,282 26,757 15,314 1,504 1,337 770 3,748 27,972 15,129 1,256 1,157 695 4,390 552 557 403 4,091 23,556 18,589 621 476 167 3,759 25,708 16,436 680 484 222 2,605 26,118 15,413 1,554 1,397 802 3,127 27,362 15,171 1,315 1,210 740 3,840 4 26,783 26,244 -550 -538 -12.5% -2.0% b. 四半期報告書 (単位:百万円) 期間 項目 訂正前 a 訂正後 b 影響額 b-a 増減率(%) 4,233 4,195 -0.9% 第 29 期 売上高 (2019 年 9 月期) 営業利益 第 1 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 29 期 (2019 年 9 月期) 営業利益 第 2 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 29 期 (2019 年 9 月期) 営業利益 第 3 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 30 期 (2020 年 9 月期) 営業利益 第 1 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 30 期 (2020 年 9 月期) 営業利益 第 2 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 30 期 (2020 年 9 月期) 営業利益 第 3 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 14 -35 -28 2,996 25,257 8,672 390 295 180 3,191 26,114 12,418 573 457 271 3,139 26,219 4,173 216 163 36 550 463 219 3,201 26,221 11,387 875 760 388 -17 -68 -43 2,508 24,788 8,526 259 165 117 2,631 25,568 12,201 376 260 177 2,532 25,687 4,236 290 238 75 630 545 259 2,577 25,634 11,474 991 878 449 3,220 2,596 26,646 26,057 8,287 8,352 3,318 2,720 27,883 27,332 5 -37 -32 -32 -14 -488 -469 -145 -130 -130 -62 -560 -546 -216 -197 -197 -93 -606 -531 -624 -589 63 73 75 38 65 79 81 39 -623 -587 87 116 117 60 -598 -551 – – – -16.3% -1.9% -1.7% -33.4% -44.1% -34.7% -17.6% -2.1% -1.7% -34.4% -43.1% -34.5% -19.3% -2.0% 1.5% 34.2% 46.3% 107.9% -19.4% -2.2% 0.8% 14.5% 17.6% 18.1% -19.5% -2.2% 0.8% 13.3% 15.5% 15.4% -18.0% -2.0% 項目 訂正前 a 訂正後 b 影響額 b-a 増減率(%) 期間 第 31 期 売上高 (2021 年 9 月期) 営業利益 第 1 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 31 期 (2021 年 9 月期) 営業利益 第 2 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 第 31 期 (2021 年 9 月期) 営業利益 第 3 四半期 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 売上高 純資産 総資産 3,889 3,890 256 220 126 256 221 117 3,774 3,147 27,689 27,060 7,644 7,649 540 530 381 4,100 27,368 11,559 992 942 653 547 536 393 3,502 26,770 11,569 1,003 954 667 0 0 0 -9 5 6 6 -627 -629 11 -597 -598 9 11 11 13 0.0% 0.3% 0.3% -7.1% -16.6% -2.3% 0.1% 1.2% 1.3% 2.9% -14.6% -2.2% 0.1% 1.2% 1.2% 2.1% 4,236 3,642 26,976 26,383 -593 -593 -14.0% -2.2% (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因 ① 会計監査人による2022年9月期第1四半期レビューの過程で発覚 2022年1月25日から行われたSHDの会計監査人による2022年9月期第1四半期レビューの過程において、SHDの連結子会社で、保険代理店事業を行う株式会社セントラルパートナーズ(以下、「CPS」という。)の過年度の売掛金について過大計上の疑義があるとの指摘がされたことをきっかけに発覚しました。具体的には、会計監査人が、昨今の監査環境を踏まえた不正リスクシナリオの見直しを行ったことを契機に、CPSの売上を管理している売掛金元帳について、保険契約ごとに代理店手数料(後述1.(3)①)を詳細に分析した結果、同一の証券番号の明細が多数含まれていることが発見され、この発見を受けて、売掛金元帳の作成を担当していたCPS経理責任者に事実確認を実施したところ、意図的に改ざんしたデータをもとに売掛金元帳を作成していたことを認めたため、外部の専門家による調査を実施することとしました。 6 ② 独立調査委員会の設置 SHDは、透明性の高い調査を迅速かつ徹底的に行うため、2022年2月9日開催のSHD取締役会において、日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した、外部専門家を委員とする独立調査委員会を設置することを決議しました。委員長は、行政の情報公開審査会会長を務め、企業法務、コンプライアンスで豊富な経験を持つ川上明彦弁護士、委員は企業税務や会計業務で豊富な経験を持つ柴田和範公認会計士及び、愛知県弁護士会のコンプライアンスチームのチーム長、上場企業の第三者委員会の委員長を務めた経験のあるSHD社外取締役の矢崎信也弁護士に依頼をし、承認を得ました。矢崎信也弁護士は社外取締役としての職責から独立性・中立性が失われることはなく、短期間で迅速にかつ徹底的に調査を進めるために、SHDと独立調査委員会との間で円滑な連携の必要性からというもSHDは、2022年3月25日付で独立調査委員会から「調査報告書」を受領し、本件不正会計の全容が判明したことから、2022年3月31日に過年度の決算短信等の訂正のです。 を行いました。 (3) 本件不正会計の概要 本件調査の結果、判明した不正会計の概要は以下のとおりです(なお、役職名は本件不正会計発覚当時のもので記載しています。)。 本件不正会計は、SHDの2016年9月期第2四半期以降、CPSの代理店手数料収入(後述1.(3)①)について架空の売上・売掛金が計上されたというものです。 本件不正会計は、CPS代表取締役社長の指示により、CPS経理責任者であったSHD経理部次長により実行されました。独立調査委員会の調査報告書によれば、CPS代表取締役社長は、二代のオーナー社長のCPSないし自身への期待に応え、是が非でも事業計画を達成し利益をあげなければならないとの強い思いから、部下であるCPS営業部長やCPS経理責任者に対し、CPSの経営状況を良く見せるために、強いプレッシャーをかけ、CPS経理責任者に指示をして本件不正会計をするに至らしめたとされています。 ① 代理店手数料収入の仕組み CPSの事業は、コールセンターを拠点とした保険代理店事業で、その中心的な事業モデルは、代理店契約を締結した保険会社の保険商品(主に医療保険)を消費者向けに紹介・販売し、これにより成約した保険契約について、保険会社から保険料に応じて支払われる代理店手数料収入を得るというものです。CPSが取得できる代理店手数7 料は、保険会社ごと・保険商品ごとに支払条件が異なっているものの、いずれの場合においても、保険契約者が保険会社に支払う保険料に対する代理店手数料の割合、代理店手数料の発生期間(たとえば5年間又は10年間)、保険契約が途中解約等により早期に失効した場合の既払代理店手数料の戻入方法等が決められています。また、代理店手数料は、保険契約者と保険会社との間の保険契約が継続していることを前提として支払われます。 ② 売上計上基準 CPSは、売上計上基準に、代理店手数料の見積計上という手法を採用していました。これは、いったん成立した保険契約は、一定期間の継続が見込まれ、ある月に保険料が支払われた保険契約について、翌月に保険料の支払いが突如途絶えるという割合は、決して高いものではなく、したがって、今月、代理店手数料が発生した保険契約については、来月以降も代理店手数料が発生する見込みが高いということを踏まえ、保険契約の継続が合理的に期待できる期間の将来の代理店手数料収入は、現在の売上として計上してよいという考えに基づくものです。保険契約の継続が合理的に期待できる期間については、CPSが募集した保険契約の平均的な継続率(継続期間)に関するデータを踏まえて、当月に代理店手数料が発生した保険契約につき、来月から2年間の代理店手数料見込額を現実の入金額に加算して当月売上に計上するという、2年基準を採用していました。しかし、CPSは、保険契約の当事者ではないため、保険契約継続の有無や保険料支払いの有無に関する情報を直接入手することはできず、保険会社から毎月取得する代理店手数料の入金に関する明細(以下、「代理店手数料明細」という。)により、これらの情報を知ることができます。この明細は、保険会社によってやや異なるものの、保険契約者の氏名、証券番号、代理店手数料等の情報が含まれています。 CPSでは、毎月、保険会社から取得した代理店手数料明細をもとに2年基準に基づいて計算した売掛金元帳を作成した上、これを利用して売上に関する仕訳データを作成していました。本件不正会計の手法で特に重要な点は、当月1か月分の代理店手数料明細をもとに、2年基準による売上を算出している点です(この結果、当月分の代理店手数料明細のみを書き換えることにより、将来2年分に入金が見込まれる売上を改ざんできることになる。)。CPSの売掛金元帳は、表計算ソフトを用いて作成した複数のスプレッドシートの集合体で、このスプレッドシートにより、月別・保険会社別・保険種類別・証券番号別に、保険契約ごとの売掛金残高(前述のとおり、これは翌月から24か月間の代理店手数料の見込額の合計である。)を管理していました。 8 ③ 具体的手法 本件不正会計にかかる主な具体的な手法は、2年基準による売上・売掛金計算の基礎となる、保険会社から毎月取得する代理店手数料明細を改ざんするというものでした。SHDの会計監査人は、決算期末(毎年9月30日)時点において、保険会社への残高確認を行い、保険会社から得られる代理店手数料の合計件数及び合計金額と、 CPSのそれらとを照合しているため、代理店手数料明細を改ざんしたことにより、代理店手数料明細の合計件数と合計金額において保険会社の回答との間に差異が生じると改ざんの証跡となり、不正会計が発覚するおそれが高まることから、代理店手数料明細の合計件数と合計金額を変えずに架空の売上・売掛金を計上するという巧妙な手法を取っていました。例えば、代理店手数料明細上の手数料金額を書き換えて、代理店手数料の金額を水増しするというものでした。例えば、あらかじめ1セットの架空の代理店手数料明細を作成しておき、これらを毎月の真正な代理店手数料明細に追加する方法に変更していました。具体的な手順は、以下のとおりです。 (ア) まず、1 セットの架空の代理店手数料明細約15,000件を準備する。代理店手数料明細から任意の保険契約のレコードをコピーし、証券番号と契約者名を架空のものに書き換え、保険料及び代理店手数料に一定の倍率を乗じて水増ししたものである。また、改ざんする手数料は13回目以降とするのが効率的な売上の水増しにつながるため、架空の手数料明細における支払回数は、いずれも13 回目以降とされている。 (イ) 準備した架空の明細は、必ずしもそのすべてが真正な代理店手数料明細の改ざんに用いられるわけではない。まず改ざん後の売上をいくらにするのかを決め、ここから逆算して、架空の代理店手数料合計額を決める。この金額に応じ、真正な代理店手数料明細に追加する明細を、(ア)の架空の代理店手数料明細から抽出する。たとえば 2021年9月では、改ざん後の売上を32,012 千円と決定し、次に、(ア)の架空の代理店手数料明細のセットから合計金額が32,012千円になるように明細の一部を抽出した。この結果、10,347 件の代理店手数料明細が抽出された。 (ウ) 抽出した架空の代理店手数料明細を真正な代理店手数料明細に追加する準備として、保険料が発生しているものの当月の代理店手数料がゼロになっている保険契約に着目する(A社は、代理店手数料は初回の保険料の支払いから5年しか支払われないため、保険契約は存続し保険料が支払われていても、代理店手数料が発生しない保険契約が存在する。)。真正な代理店手数料明細から、代理店手数料がゼロになっている明細を削除することで、代理店手数料の合計件数を変えないで、架空の代理店手数料明細を追加することができるようになる。2021年9月においては、このような保険契約が15,115 件存在した。このうち14,596 件の明細を削除し、架空の代理店手数料明細を追加しても明細の 件数が増加しないようにすることができる。 9 (エ) (ウ)の操作を行った後の真正な代理店手数料明細に対し、(イ)で抽出した架空の代理店手数料明細を追加する。2021年9月については、(イ)で抽出した10,347件(金額にして 32,012千円)の架空の代理店手数料明細を、(ウ)の操作により14,596件分の明細を削除 した代理店手数料明細に追加した。 (オ) (エ)の操作により、代理店手数料明細全体の合計手数料額が増加したため、会計監査人による残高確認において不正が発覚しないように、マイナスの代理店手数料明細を追加して代理店手数料の合計額を真正な代理店手数料明細と同一にする。2021年9月については、(ウ)で14,596件の真正な代理店手数料明細を削除し、(エ)で10,347件の架空の代理店手数料明細を追加したため、代理店手数料明細全体では残り4,249 件の架空の明細を追加することができる。そこで、合計△32,012千円の金額を適当に按分し、4,249 件のマイナスの代理店手数料明細を作成し、代理店手数料明細に追加する。以上の操作の結果、改ざんされた代理店手数料明細では、プラスの代理店手数料の合計は32,012千円水増しされているが、マイナスの手数料も含めた手数料明細全体の手数料合計額は真正な代理店手数料明細と一致している。また、14,596件の真正な明細を削除し、10,347 件のプラスの架空明細と4,249 件のマイナスの架空明細を追加しているため、改ざん前後を通じて明細の件数は一致している。代理店手数料明細全体の合計件数と代理店手数料合計金額は、保険会社からの回答と一致するため、SHD の会計監査人の残高確認によっても不正は検出されないことになる。 手数料区分 件数 金額 手数料プラス 手数料マイナス 手数料ゼロ 合計 10,347件 4,249件 ▲14,596件 0件 32,012千円 ▲32,012千円 0千円 0千円 (カ) (ア)から(オ)までの方法により改ざんされた手数料明細をもとに、2年基準に基づく売上を計算する。(ア)のとおり、架空の手数料明細は13回目以降のものとされているため、プラスの架空手数料の合計額を24倍した金額が、架空の売上高及び売掛金となる。2021 年9月の例では、プラスの架空手数料の合計額32,012千円を24倍した768,300千円の売上・売掛金が架空のものとしてA社の売掛金元帳に計上される。 (キ) マイナスの代理店手数料は、2年基準による売上計算の対象外である。(オ)により追加されたマイナスの手数料は、売掛金元帳の残高に影響を及ぼさない。 10 以上の手法につき、2021年9月に改ざんした後の代理店手数料明細と真正な代理店手数料明細を比較すると比較すると以下のとおりです。 A.改ざんされた代理店手数料明細 B.真正な代理店手数料明細 Bに追加した代理店手数料明細 円 件数 手数料 件数 手数料 件数 手数料 プラス 58,243 60,503,435 47,896 28,490,903 10,347 32,012,532 マイナス 7,891 -43,551,672 3,642 -11,539,140 4,249 -32,012,532 ゼロ 2,981 0 17,577 0 -14,596 合計 69,115 16,951,763 69,115 16,951,763 0 0 0 売掛金の 24 か月計算の基礎となる手数料の合計額、60,503 千円のうち 32,012 千円が架空。 会計監査人は合計件数と合計金額について保険会社に残高を確認する。 会計監査人のチェックを免れるため、プラスの金額 32,012 千円と同額になるようにマイナス金額 32,012 千円を増やしている。また、件数についてもネットでゼロになるように調整している。 2.改善措置 (1) 不適正開示の発生原因の分析 ① 内 部 統 制 の 不 備 a. CPSの 経 理 体 制 の 不 備 2013年12月から2021年1月までの7年間にわたり、CPS経理責任者が固定されていました。また、CPSの経理部門は、時期によるものの、CPS経理責任者を含めて概ね2名しかおらず、この間、CPS経理責任者の上司となるCPS管理本部責任者は、経理業務に関与することはなく、また、管理本部責任者が不在の期間もありました。さらに、歴代のCPS管理本部責任者は営業出身者であり、会計の十分な知識を持つ者がいない状態が続いていました。本件不正会計は、実行者であるCPS経理責任者以外の者が、保険会社から入手する真正な代理店手数料明細と2年基準に基づく売上・売掛金の計上に用いられた代理店手数料明細や売掛金元帳のデータと比較し、あるいは、代わりに売掛金元帳の作成を行っていれば、より早期に発見され、又は、けん制が働き不正が防止されたと考えられます。 また、2年基準に基づいた代理店手数料収入にかかる売上・売掛金の算出は、保険会社から取得する毎月の代理店手数料入出金明細のデータをもとに、スプレッドシート(表計算ソフト)を利用して行われていましたが、2016年1月以降、本件不正会計の実行者であるCPS経理責任者は、自ら2年基準に基づく売上高の算出作業を行うようになり、本件不正会計が行われる機会が生まれました。代理店手数料明細をもとに行う売上高の算出作業に関するマニュアルは作成されておらず、ほかにこの売上高11 の算出作業をできる者はいない状況となってしまっていました。 b. SHD管理部門の不備 SHD管理部門は、子会社を含めグループの各事業部門に対してのけん制機能が求められますが、十分な人材が配置されず、慢性的な人材不足の状況が続いていました。SHD常勤監査役らがSHD社長に管理部門の人材強化を求めたことはあったものの、常に営業部門が優先され、管理部門の人材強化と教育に十分な投資を行うことはありませんでした。 c. 内部監査の不備 SHDでは、2019年まで内部監査部門が存在せず、内部監査部門を設置後も株式会社エスケーアイ(SHD連結子会社、以下「SKI」という。)のみを内部監査の対象としており、本件不正会計が行われていたCPSは内部監査の対象ではありませんでした。また、SHD内部監査部門には専任の人員も配置されていない不十分な体制でした。また、内部監査計画の策定においては、不正リスクを含めたリスク管理を行ってこなかったこと、監査役や会計監査人と計画策定から実施結果に至るまで十分に協議していなかったことから、不正リスクを意識した内部監査手続きを設計できず、かつ、そのスキルを保有した人材も存在しておりませんでした。 また、CPSには内部監査部門が存在せず、監査対象となる部署であるCPS管理本部の担当者が形式的な内部監査を行うことになっていたため、有効性に問題があり、少なくとも会計面については、全く機能していませんでした。 ② 監査役会における監査機能の不備 a. SHD監査役 SHD常勤監査役は、複数の子会社の監査役を兼任し、負担も大きく、本来の業務である監査機能を十分に発揮しきれていなかったと認識しています。SHD常勤監査役は会社の課題を認識しつつも、SHD経 営 陣 に 強 い 提 言 が で き て お ら ず 、SHDグ ル ー プ 子 会 社 の 監 査 役 と の 情 報 交 換 も ほ と ん ど 行 わ れ て い ま せ ん でし た 。 b. CPS監査役 本件不正会計が行われたCPSの監査役は、監査役協会に登録する等の措置を講じることなく、監査役監査の知識不足から、従業員の規程違反の有無等が中心で、会計処理の適正性といった課題に踏み込んで実施されることはありませんでした。 12 ③ 取締役会における監督機能の不備 本件不正会計の発覚当時、SHDには社外役員が5名おり、社外役員のみの意見交換は行われていたものの、社外役員とSHD社長との意見交換はほとんど行われず、また、SHD社長及び管理部門担当取締役に権限と情報が集中し、さらに、SHD総務部担当から社外役員に提供される情報が限定的であり、SHD取締役会開催の直前での資料提供もあったため、会社としての問題点の把握に社外役員の知見を十分に活用できていませんでした。 ④ コンプライアンス意識の欠如 囲気が醸成されていたこと a. 良好な営業成績を維持することがコンプライアンスを遵守するより優先される雰SHDグループでは、毎月、子会社ごとに会長承認会議(1か月間の営業成績、今後の事業計画・経営方針についてSHD社長に報告し承認を得る会議、SHD社長の子会社での肩書によって会長承認会議または社長承認会議、以下「会長承認会議等」という。)を行ってきましたが、この会議において、SHD社長によい報告をするために常に事業計画を達成し続けなければいけないという強いプレッシャーが、CPSでは、不適切な会計処理を行ってまでも実現しなければならないという解釈に歪められ、本件不正会計の実行につながってしまったと認識しています。 独立調査委員会が実施した企業風土に関する従業員アンケートにおいて「売上や利益のためなら、法令や倫理的にグレーな部分があったとしても構わないという雰囲気がある」という問に対し、CPS及びSHDグループ全体で「いいえ」の回答が55%となっており、半数近くの従業員がコンプライアンス遵守が徹底されていない雰囲気を感じているとの結果がでています。良好な営業成績を維持することが、コンプライアンスを遵守することよりも優先される雰囲気が醸成されていたと認識しています。 b. SHDグループ経営陣の規範意識やコンプライアンス体制の構築に関する意識が鈍麻していたこと SHDグループでは、コーポレート・ガバナンスやリスク管理、コンプライアンスを推進するために、以下の組織・会議体を設置していましたが、いずれもその役割を果たしていたとは言えないと認識しています。 13 名称 主な役割等 課題等 コンプライアコンプライアンス・リスク管2012年10月から2021年6月までのンス・リスク管理委員会 理体制の構築に関する取り組間で開催されたのは僅か9回で、みの具体策についての審議・形骸化していたと言わざるを得な決定、コンプライアンスに関連い。また、組織上、SHD代表取締する問題が発生した場合に、そ役社長の指示命令に服す位置付けの内容・対処案を取締役会等にになっていた。 報告すること等。 常勤取締役会 社外取締役を除く常勤取締役本件不正会計発覚時、SHD社長、で構成、経営の意思決定、業管理部門担当取締役含め3名の取務執行監督が主な役割で、経締役で構成され、SHD社長及び管営計画の策定、取締役会への理部門担当取締役への権限と情報付議事項の決定等を行う。 の集中を招いてしまった(左記の役割の会議体として経営会議が設置されてはいたものの、直近では開催実績がなく、常勤取締役会が経営会議に取って代わっていた)。 (常勤取締役会及び経営会議は2022年4月に廃止) コーポレーガバナンス体制及び内部統制専任者がおらず、契約書のリーガト・ガバナン強化に向け、法務に関する検ルチェック等が中心で、ガバナンス室 討、コーポレート・ガバナンス体制や内部統制の強化に向けたスコードへの対応、不正行為取り組みには至っていなかった。 の防止、リスク対応等。 (2022年5月に廃止) 執行役員会議 予算、事業計画の立案、常勤予算、事業計画の立案、実行を主取締役会への上申、業務執行な役割としており、リスク管理等の進捗、対応策の報告、提案については議論していなかった。 等。 (2022年4月に廃止) これらの組織・会議体のほか、過去にはコンプライアンス担当役員(SHD管理部門担当役員が兼務)を設置していた時期もありましたが、具体的な活動実績はなく、形骸化していたと言わざるを得ないと認識しています。なお、2020年12月に管理部門担当取締役の交代があったこともあり、それ以降、コンプライアンス担当役員は設置されておりません。 リスク管理については、リスク管理方針の定めがなく、子会社を含めリスク管理 14 規程は定めていましたが、実態として、規程に沿った適切なリスク管理を行っていたとは言えないと認識しています。また、SHDにおいて、子会社の管理部署が明確ではありませんでした。 さらに、2019年以降、SHDは、グループ内で発生した不祥事に関し、以下のとおり、社内調査委員会を3回、外部調査委員会を1回設置し、それぞれ調査報告書を受領しています。 過去の不祥事に関する調査 報告書の日付 委員会の種類 内容 2019年7月22日 2020年4月27日 2020年9月17日 2020年11月13日 社内 社内 社内 外部 同上 グループ子会社店舗における不祥事 第三者への貸付に関する不祥事 太陽光発電所用地の転貸借に関する不祥事 これらの不祥事は本件不正会計と直接の関連性があるものではありませんが、各調査報告書では、繰り返し、コンプアライアンス意識の不足、ガバナンス体制の構築の必要性と内部統制の不備が指摘されていました。SHDでは、その都度、関係者の処分や表層的な改善を行うに止まり、実効性のある本質的な再発防止策が実行されるには至りませんでした。調査委員会を設置するまでの不祥事が複数発生し、調査報告書を受領したにも関わらず、根本原因から目を背け、経営の改善に活かすことができていないということは、SHDグループ経営陣の規範意識やコンプライアンス体制の構築に関する意識が鈍麻していたと言わざるを得ないものと認識しています。 c. コンプライアンスに関する従業員への教育、情報発信ができていないこと SHDグループでは、コンプライアンスに関する十分な教育、啓発活動や情報発信が組織として実施できておりませんでした。明文の法令・ルールの遵守に止まらず、株主・投資家の皆さま、お取引先さま、お客さま、従業員等ステークホルダーへの誠実な対応や、上場企業として適正な開示を行うことの重要性の認識や会計知識といったことを教育・啓発してこなかった結果、「この会計処理をやったらまずいのではないか」、「この数値はきちんとチェックされているか」といった会計に関する倫理観が欠如し、上場企業として適正な開示を行うことの重要性が理解されず、本件不正会計を生じさせたものと認識しています。 d. 内部通報制度の不備 SHDグループは、内部通報制度を設けていましたが、従業員に対する周知が不十分だったため、十分に機能していなかったと認識しています。また、2021年7月に社外相談窓口を追加し、2020年12月から2022年2月まで通報実績は6件あり、個別 15 に対処していますが、全ての従業員が制度を知っているか、躊躇なく利用できるか等、制度の運用状況を定期的に確認することは行っておりませんでした。 ⑤ 権限の集中 社外役員に対しての十分な説明がないまま、SHD取締役会においてSHD社長の権限を強化する職務権限規程の改訂がなされる等、取締役や従業員の権限に対するけん制を目的とした適切かつ具体的な規程や体制の整備が行われてきませんでした。 また、SHD常勤取締役のみで開催されるSHD常勤取締役会、子会社ごとに開催される会長承認会議等は、グループ横断での情報共有、意思決定がなされず、権限の集中、不透明な意思決定の温床になっていたと認識しています。 ⑥ 子会社管理の不備 SHDでは、関係会社管理規程を制定し、子会社の経営管理を行う体制は、制度上は存在していたものの、実態は、子会社ごとに毎月開催される会長承認会議等において、営業成績の報告・承認を得るというものに止まっていました。SHD社長ほか役員や、SHD及び子会社の管理部門は、承認会議に提出される数値がどのような処理プロセスを経ているのか、潜在する会計リスクの状況を含め子会社の経営実態を把握しようということはありませんでした。 (2) 再発防止に向けた改善措置(実施済のものを含む。) ① 内部統制の再構築(2.(1)①に対応) a. CPS経理体制の整備 本件不正会計の直接的な原因は、長年にわたり、CPS経理責任者による業務の属人化を許し、相互けん制が全く効いてなかったことです。今後、CPS経理業務フロー上のダブルチェック(業務フロー上で、CPS経理及びSHD経理部のチェックを行うこととします。対象業務、タイミングは、経理業務に関するマニュアル整備の過程で検討、決定することとします。)、内部監査部門による内部監査(四半期ごと)を実施することで、けん制が行われる体制とします(後述、2.(2)①a.(マニュアル整備・運用の考え方))。 CPS経理は現在2名(課長1名専任、パート1名専任)の体制ですが、2022年6月末までに、新規採用乃至人事異動で専任2名、SHD兼任1名、計3名を増員し(増員する3名のうち1名は経理経験者とする。)、計5名体制とします。 16 また、経理業務に関するマニュアルについて、改善報告書提出後に点検し、全面的に修正等を行ったうえで、CPS経理部内でのマニュアルの読み合わせ(週次)を行うとともに、業務内容や社内ルールの変更があった時等、必要に応じて修正、加筆を行い常時正しい業務フローが共有される状況とします。マニュアル整備は、実効性の高いものとするべく、顧問契約を締結した公認会計士(大手監査法人で上場企業の会計・内部統制の監査の経験を豊富に有する公認会計士、2022年2月、経理、会計、内部統制の再構築に関する助言を目的に顧問契約を締結。以下「顧問公認会計士」という。)の助言を得つつ、検討、実施することとします。CPS経理とSHD経理が連携して、2022年7月末までに整備します。 (マニュアル整備・運用の考え方) ・ 本件不正会計が行われた売掛金元帳の作成プロセスだけでなく、CPS経理の業務全般の洗出しを行い、財務諸表の作成・開示プロセスに大きな影響を与える業務を中心に、特に重要な業務、ミスが起こりやすい業務をピックアップする。 ・ 特に重要な業務、ミスが起こりやすい業務を、業務フロー上、ダブルチェックの対象とし、チェックの項目、方法、タイミング、チェック者を決定する。 ・ ダブルチェックで発覚した不備やミスが発生した場合に、「いつ、どの工程で、どんなミスが発生したのか」記録していくフォーマットを制定する。フォーマットには、記録者(不備やミスを発生させた者)、内容、原因、再発防止策を記録できるものとする。 ・ マニュアルどおり業務が実施されているか、2022年8月以降、内部監査部門が月次で監査を実施し、9月末時点で有効性を検証する(その後、内部監査部門の監査は四半期ごとに実施)。 ・ 内部監査部門による検証結果を踏まえ、マニュアルに不備が認められた場合、検証後1ケ月以内に、CPS経理がSHD経理と連携して再整備する。 b. 管理部門(第2線)の人員拡充・良質な人材の確保 SHDは、経理・総務等の管理部門の人材の確保・採用・育成が十分にできていない状況でした。不正の予防・ミスの検知体制を強化するため、上場企業での管理部門の経験者を中心に即戦力となる人材の登用を主な方針として、2022年6月末までにSHD人財戦略部が具体的な人員計画を立案し、2022年10月末までに実施する予定です。具体的には、SHD人財戦略部が、子会社含め、経理・総務等の管理部門(CPS経理は前述(2)2.①a.のとおり別途すすめる)にヒアリングを行い、「実際の業務 17 量」や「どういうスキルを持つ人材が何人必要なのか」等を把握し、管理部門、各子会社、グループ全体で必要人員を積み上げたうえで立案します。計画の実施状況は、集中再生プロジェクトチーム(後述2.(2)③)が確認することとします。 c. 内部監査部門(第3線)の人員拡充・良質な人材の確保 これまで、内部監査部門は2名体制(SHD 在籍者で監査対象は SKI 店舗のみ)で、十分な内部監査が行えない体制でした。2022 年6月末までに、新規採用1名及び人事異動1名で2名増員し、SHD 内部監査部は専任者4名の体制とし、SKI 店舗のみではなく、SHD 各部門も監査対象に含める予定です。新規採用1名は内部監査の経験者とし(大手金融機関の内部監査経験者の採用が決定しており、2022 年6月より内部監査部の責任者として配置予定)、人事異動1名は SHD グループでのキャリアが長く過去に内部監査部門の経験を有する部長クラスとし、さらに、顧問公認会計士から内部監査の実務にかかる助言を受けることで、内部監査部の監査レベルを向上させていきます。 不正リスクを含めたリスク管理がなされていなかった内部監査計画については、SHD 内部監査部が、計画の見直しに向け、監査役及び会計監査人と協議を行います(2022 年6月末)。監査役及び会計監査人の意見を反映した内部監査計画をもとに、監査役及び会計監査人と連携し、その実施状況を四半期ごとに点検してまいります。 d. グループ内部監査の強化 CPS は内部監査室を新たに設置し、専任の担当者1名を配置致します(2022 年6月末、他社の内部監査経験者で公認内部監査人の資格保有者を予定)。また、SHD 内部監査部の業務分掌、規程の変更を行い、子会社の内部監査を SHD で実施できるようにします(検討 2022 年6月、実施 2022 年9月)。そのうえで、SHD と CPS の内部監査担当者が月1回以上、意見交換を行うとともに、四半期ごとにグループ内部監査連絡会を開催し、CPS の内部監査の実施状況や課題を常時、SHD が把握できるようにし、CPS の内部監査担当における監査と SHD の内部監査担当によるグループ監査で業務監査のみならず、会計監査までできる体制とします(2022 年9月)。 ② 役員体制の再整備(2.(1)③に対応) SHDは、本件不正会計にかかる経営責任を明確にするため、2022年3月28日付「代表取締役・取締役の異動に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、SHD役員体制の再整備を実施しました。内部統制システムの構築の責任者であるSHD代表取締役社長及びSHD管理部門担当取締役は、子会社を含めSHDグループの一切の役職から退くこととし、SHDの新たな代表取締役には、再発防止を確固たるものとし、内部統制、コンプライアンス、ガバナンスの強化に向け、社外取締役が代表取締役会長に就任いたしました(2022年3月28日付就任)。2015年からSHDの社外取締役 18 に就任していることから社内の状況も十分に把握しております。なお、SHD社長職は、適任者の選任に時間を要するため、当面、空席とし、会長が代表取締役として、会社を代表し、業務に関する取引や裁判上の行為をする権限と責任を持つこととします。また、SHD管理部門担当役員には、財務諸表が適正に作成、開示され、その他適時開示に責任を持つとともに、監査法人への対応、株主・投資家の皆さまとの対話が十分にできることを求め、会計・内部統制等の知識や経験を持つ人材を選定することとし、選任に時間を要するため、2022年12月のSHD定時株主総会で選任する予定です。SHD管理部門担当役員が就任するまでの間、SHD経営企画部の執行役員及び管理部門の部長職がSHD管理部門の業務執行を担当し、SHD取締役会が監督することとしています。 本件不正会計が行われたCPSの経営体制は、代表取締役を交代したうえで代表2名体制(2022年6月予定)とするとともに、監査役も1名増員し2名体制(2022年5月)とし、取締役・監査役による経営の監督・監査機能を強化します。 ③ トップ主導の企業風土改革(2.(1)③⑤に対応) SHD社長及び管理部門担当役員に権限と情報が集中していた状況は、以下の施策を通じて改善します。具体的には、以下の施策を実行してまいります。 SHD代表取締役会長をリーダーとする「集中再生プロジェクトチーム」を2022年3月25日付で設置しました。集中再生プロジェクトチームは、SHD取締役会直下に位置し、代表取締役会長山口伸淑がリーダーを務め、メンバーには、矢崎信也社外取締役(弁護士)、椿隆二郎社外取締役、顧問公認会計士、SHD本部社員(経営企画、管理部門等の部長、次長等)が就き、社外取締役、専門家と課題を共有し、知見を活用しつつ、SHD本部社員がグループ各社と連携することで、再発防止策を実効的に推進していきます。集中再生プロジェクトチームミーティングを週1回以上実施して、改善措置実施スケジュール等の遅延が発生しないよう実行状況を把握し、活動状況は2022年6月よりSHD取締役会に隔月で報告します。SHD取締役会は、その報告を踏まえ、成果を検証し、成果が不十分な場合は、集中再生プロジェクトチームに対し是正を求め、是正結果の確認を行います。 19 集中再生プロジェクトチームミーティング開催状況 開催日 主な内容 3月25日 原因の洗出し、再発防止策 4月5日 グループの役員人事 重要規程(職務権限規程、取締役会規程、執行役員規程、役員規程)4月8日 の見直し 4月12日 今後の会議運営(グループ経営会議の付議基準等) 4月19日 コンプライアンス推進体制 4月26日 CPS経理体制 4月28日 管理部門(経理、内部監査)の人員計画 5月10日 コンプライアンス教育の計画案 5月17日 グループ内部監査の体制 ④ コーポレート・ガバナンスの再構築(2.(1)②③④⑤に対応) a. 取締役会による監督機能の確保 業務執行を適切に監督することができるように、SHD経営企画部が、SHD取締役会の実効性評価の実施を検討していきます(2022年9月末までに評価手法を検討し2022年10月末まで実施する予定です。)。特に、取締役の体制(SHD代表取締役の交代、前述2.(2)②)・取締役会の権限(重要規程の改訂、後述2.(2)④ b.)を見直すことでSHD取締役会の運営において、監督機能を強化するべく、議案の審議・説明に十分な時間を費やし、透明性の高い経営を実現できるように改善を進めていきます。 また、社外役員の知見を十分に活用するべく、常勤役員・執行役員・各部門の責任者と、社外役員とのコミュニケーションを活性化させていく予定です。これまで、社外役員とのコミュニケーションは取締役会に限られていましたが、今後は意見交換の機会を設けていきます。初回は2022年8月に実施します。 具体的には以下を想定しています。 各業務執行部門の責任者が普段の業務につき社外役員に説明・意見交換する機会(原則四半期ごと、初回は2022年8月) 社外役員と代表取締役の会合(原則年1回、初回は2022年10月) b. 取締役会の権限の見直し 社外役員に対して十分な説明がなされないまま、SHD社長の権限を強化する改訂がなされた職務権限規程等を含む重要規程については、2022年5月13日のSHD取締役会にて改訂決議を行いました。(改訂決議を行った規程:取締役会規程、執行役員 20 ります。 規程、職務権限規程、職務権限一覧表)また、本規程の改訂においては外部の弁護士による法務確認、及び2週間以上の期間を設けた取締役・監査役による確認を実施しておc. 取締役へ必要な情報を共有する体制の整備及び事前説明の充実 以前は、取締役会当日に資料提供を行うこともありましたが、各取締役が議事について事前に確認し、意見形成をし、十分な時間を割いて議論を実施することができるように、総務部担当または関連部署の責任者が取締役会開催日の原則3営業日前迄に情報提供し、必要に応じて取締役会の開催前に事前の説明をすることとし、2022年6月より運用していきます。 d. 監査役会による監査機能の強化 本件不正会計が行われ、監査役監査も十分に行われていなかったCPS、重要な子会社であるSKIやエスケーアイマネージメント株式会社(SHD連結子会社、以下「SKIM」という。)の監査役については、知識と経験を有する専任の監査役を選任するべきであると認識しています。適任の人材(取締役会にて的確な提言を行うべく、会計監査の実務に精通した専門家)の確保に時間を要するため、本件不正会計が行われたCPSでは、現任の監査役に加え、SHD常勤監査役をCPS監査役兼任とし、監査役2名体制としました(2022年5月)。監査役監査の知識の共有と監査の補完を行うこととします。引き続き、重要な子会社(CPS、SKI、SKIM)の監査役は、知識と経験を有する専任の監査役を選任するべく、人材の確保に努めます(遅くとも2022年12月までに実施)。 あると認識しています。 また、SHDについても、法務・会計監査の実務に精通した専門家の登用も必要で今後は、四半期ごとに開催していたSHD監査役会・会計監査人との連携以外に、これまで実施されていなかったSHD内部監査部との連携(2022年6、9月)、子会社監査役との連携(2022年7、10月)を追加し、それぞれ四半期ごとに会議を開催するほか、月次での意見交換も行うことで、情報の共有と監査役監査の実効性を高めていきます。 e. グループ経営会議の設置 従来、グループ横断での情報共有がなされず、権限の集中により、意思決定の過程が不透明であったことを改善するため、SHD常勤取締役会、SHD執行役員会議、子会社ごとの会長承認会議等を廃止し、今後、SHDグループの重要な業務執行に関する事項の報告・審議は、グループ経営会議に一本化します(会則ルール等整備)。ま 21 た、直近で開催実績のなかった経営会議、リスク対応等に関して形骸化していたコーポレート・ガバナンス室についても廃止します。グループ経営会議は、SHD取締役会の直下に位置し、代表取締役会長が議長を務め、メンバーはSHDグループの会長、社長、常勤役員、執行役員、各部門の責任者等とし、原則月2回以上開催し、取締役会決定事項のうちあらかじめ協議を必要とする事項、執行上の重要事項等について、グループ横断での情報共有、意思決定を行っていきます。事務局はSHD経営企画部とします。グループ横断の活発な議論を促すことで、透明性の高い意思決定を行っていきます。なお、グループ経営会議は、2022年6月から開始予定ですが、試行として、SHDグループの幹部(会長、社長、常勤役員、執行役員、各部門の責任者等)の情報共有を目的に、グループ連絡会を4月26日及び5月17日に開催しました。今後のコーポレート・ガバナンス体制に関する組織図(予定)は別紙をご参照ください。 ⑤ コンプライアンス意識の醸成(2.(1)④に対応) 今後は、SHD総務部が主管となって、SHDを中心としたコンプライアンス体制を2022年8月までに構築します。構築後のコンプライアンス体制としては以下を想定しています。 コンプライアンスSHDグループのコンプライアンス体制を管理、運営、遂行担当役員の設置する責任者で、SHDグループ各部門のコンプライアンス責(社内取締役また任者を任命し、コンプライアンス責任者と連携して業務をは執行役員の兼行います。過去に設置していたコンプライアス担当役員任) は、具体的な活動実績がありませんでしたが、今回設置するコンプライアンス担当役員は、SHD取締役会、コンプライアンス・リスク管理委員会、グループ経営会議等における、コンプライアンス・リスク管理に関する指示事項、課題等について、SHD総務部、コンプライアンス責任者と連携して対応することとします。 コンプライアンスSHD総務部とします。 担当部署の決定 トップメッセージ経営トップ自らが、企業経営においてコンプライアンスがの発信 最重要であることのメッセージを社内グループウェアを通じて、SHDグループの役員・従業員に対して継続的に発信していきます。初回は2022年6月を予定し、それ以降は四半期に1回の頻度で発信していく予定です。 22 コンプライアン(組織上の位置づけ) ス・リスク管理委SHD代表取締役の指揮命令に服さず、SHD取締役会の直下員会の定期開催 として独立性を確保したうえで、四半期ごとに定期開催するほか、コンプライアンスに関する問題が発生した時等臨時開催することとします。 (構成) ・SHD取締役全員、総務部部長(委員長は代表取締役) (主な役割) ・コンプライアンス・リスク管理体制の構築に関する取り組みの具体策についての審議・決定 ・コンプライアンス・マニュアルの策定 ・教育計画の策定 守状況の監査 ・コンプライアンス施策の運用状況と法令及び社内規程類の遵・その他コンプライアンスの実践に関する事項 SHD各部門にコンコンプライアンスに関する事項、社内通知等を各部署内でプライアンス責任周知徹底します。また、部署内の従業員が遂行する業務に者を配置 関連する法令や社内規定に精通するようにし必要な助言や教育を進んで実施し、コンプライアンスに対する意識の向内部通報制度の充社内グループウェアのトップページに内部通報制度のアイ実 コンを新たに設置し、周知を図りました(2022年5月実施上を図ります。 済)。 また、内部通報の内容、対応状況につき、四半期ごとに開催するコンプライアンス・リスク管理委員会に報告し、運用状況を定期的に改善していきます。 また、SHD総務部によるコンプライアンス推進にかかる活動は以下を想定しています。今後、具体的な体制とともに検討していきます。 コンプライアンス・初回は2022年7月とし、四半期ごとに開催していきまリスク管理委員会のす。 事務局 リスク管理方針の制SHDグループにおける、リスク管理の目的、考え方、推定 進体制等を定めた「リスク管理方針」を制定します。2022年6月から着手し8月制定の予定です。 23 これまで、ほとんど開催されることがなく形骸化していたコンプライアンス・リスク管理委員会は、SHD総務部を事務局として四半期ごとに定期開催し、グループのリスク管理に主体的に取り組むこととし、各部署においてリスク管理に必要な研修、マニュアルの作成、配布等についても、同委員会にて検討いたします。 コンプライアンス規現状のリスク管理規程及びコンプライアンス規程につい程及びリスク管理規て点検し(2022年6月)、不足がある場合、見直しを実程の見直し等 施いたします(2022年8月)。 コンプライアンス・コンプライアンス上の重点テーマに対する具体的な取りマニュアルの制定改組み方針、求められる取り組み、やってはならないこと廃 の具体例等を掲載することを想定しています。SHDグループの全ての役員、従業員に配布(公開)します。業務レベルでの具体的なコンプライアンス意識を醸成するとともに、コンプライアンス教育の教材としても活用していくことを想定しています。2022年6月から着手し8月制定の予定です。 コンプライアンス教全ての役員、従業員を対象に、階層に応じたコンプライ育の計画、実施 アンス教育を計画的かつ継続的に実施していきます。初回は2022年6月を予定しており、コンプライアンス知識を各階層に応じて整理するとともに、内部統制や財務報告等、必要なテーマを特定して、階層別・テーマ別の体系的な知識の習得に向けた構成とします。 コンプライアンス違SHDグループでコンプライアンス違反が発生した場合、反発生時の対応 SHD総務部が以下を中心に対応し、SHDコンプライアンス・リスク管理委員会に報告します。 ・発生事象の確認、調査要否の検討、調査結果の確認、是正措置の確認等 ⑥ 子会社管理の強化(2.(1)④⑥に対応) グループ横断

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしたい方はこちらからどうぞ
URLをコピーする
URLをコピーしました!