クリーマ(4017) – 上場申請のための有価証券報告書の訂正報告書

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開示日時:2022/05/25 16:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2019.02 115,030 -36,657 -36,653 -96.1
2020.02 151,767 4,869 4,905 -4.6
2021.02 206,248 22,609 21,648 34.29

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
1,209.0 1,431.22 2,728.28 89.62

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2019.02 -28,712 -26,290
2020.02 -19,716 -16,459
2021.02 68,868 68,924

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部)の訂正報告書 株式会社クリーマ 【表紙】 【提出書類】 【提出先】 【提出日】 【会社名】 【英訳名】 【代表者の役職氏名】 【本店の所在の場所】 【電話番号】 【事務連絡者氏名】 【最寄りの連絡場所】 【電話番号】 【事務連絡者氏名】 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の訂正報告書 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿 2022 年5月 25 日 株式会社クリーマ CREEMA LTD. 代表取締役社長 丸林 耕太郎 東京都渋谷区神宮前二丁目 34 番 17 号 03-6447-0105 東京都渋谷区神宮前二丁目 34 番 17 号 03-6447-0105 執行役員 コーポレートディビジョンGM 伊藤 彩紀 執行役員 コーポレートディビジョンGM 伊藤 彩紀 1【新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の訂正報告書の提出理由】 2018 年 12 月 25 日開催の当社臨時株主総会におきまして、原案通り承認可決されました「第 4 号議案その他資本剰余金の額を減少して損失金の欠損填補に充てる件」につきましては、今般、当該決議の内容が企業会計基準に反し、会社法の定めに反する内容となっていたことが判明いたしました。 企業会計基準(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第 61 項)において、その他資本剰余金による補てんの対象となる利益剰余金は、既に確定した年度決算時の負の残高に限られるものとされております。この基準に則れば、当社においては 2018 年 2 月期末の利益剰余金の負の残高は 1,381,756 千円 であったことから、補てんの対象となる利益剰余金の上限額は 1,381,756 千円であると解されるものであります。これに対し、当社は、前述の株主総会決議において、1,421,120 千円を補てんすることを決議しており、係る決議はその内容において当該企業会計基準に反し、会社法の定めに反すると解されるものであります。従いまして、当該決議は無効となり、本議案によるその他資本剰余金の繰越利益剰余金への振替は効力を生じないこととなりましたため、当社は、過去に提出済みの有価証券報告書等に記載されております連結財務諸表及び財務諸表並びに四半期連結財務諸表等で対象となる部分について、訂正することといたしました。 この決算訂正により、当社が 2020 年 10 月 23 日に提出いたしました新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の記載事項の一部を訂正する必要が生じましたので、新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の訂正報告書を提出するものであります。 なお、訂正後の連結財務諸表及び財務諸表並びに四半期連結財務諸表については、有限責任監査法人トーマツにより監査及び四半期レビューを受けており、その監査報告書及び四半期レビュー報告書を添付しております。 2【訂正事項】 第一部 企業情報 第5 経理の状況 …………………………………………………………………………………………………… 2.監査証明について…………………………………………………………………………………………… 1 連結財務諸表等 ……………………………………………………………………………………………… (1)連結財務諸表 ……………………………………………………………………………………………… ①連結貸借対照表…………………………………………………………………………………………… 四半期連結貸借対照表…………………………………………………………………………………… ③連結株主資本等変動計算書……………………………………………………………………………… 2 財務諸表等 …………………………………………………………………………………………………… 104 (1)財務諸表 …………………………………………………………………………………………………… 104 ①貸借対照表………………………………………………………………………………………………… 104 ②株主資本等変動計算書…………………………………………………………………………………… 107 60 60 61 61 61 62 67 監査報告書 四半期レビュー報告書 3【訂正箇所】 訂正箇所は___を付して表示しております。なお、上記の訂正事項については、訂正後のみを記載しております。 目次 表紙 頁 1 1 1 4 5 11 11 12 12 14 17 21 21 22 22 22 22 23 23 48 49 50 60 61 61 第一部 企業情報 ……………………………………………………………………………………………………… 第1 企業の概況 ……………………………………………………………………………………………………… 1.主要な経営指標等の推移 …………………………………………………………………………………… 2.沿革 …………………………………………………………………………………………………………… 3.事業の内容 …………………………………………………………………………………………………… 4.関係会社の状況 ……………………………………………………………………………………………… 5.従業員の状況 ………………………………………………………………………………………………… 第2 事業の状況 ……………………………………………………………………………………………………… 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ……………………………………………………………… 2.事業等のリスク ……………………………………………………………………………………………… 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 …………………………… 4.経営上の重要な契約等 ……………………………………………………………………………………… 5.研究開発活動 ………………………………………………………………………………………………… 第3 設備の状況 ……………………………………………………………………………………………………… 1.設備投資等の概要 …………………………………………………………………………………………… 2.主要な設備の状況 …………………………………………………………………………………………… 3.設備の新設、除却等の計画 ………………………………………………………………………………… 第4 提出会社の状況 ………………………………………………………………………………………………… 1.株式等の状況 ………………………………………………………………………………………………… 2.自己株式の取得等の状況 …………………………………………………………………………………… 3.配当政策 ……………………………………………………………………………………………………… 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 ……………………………………………………………………… 第5 経理の状況 ……………………………………………………………………………………………………… 1.連結財務諸表等 ……………………………………………………………………………………………… (1)連結財務諸表 ……………………………………………………………………………………………… (2)その他 ……………………………………………………………………………………………………… 103 2.財務諸表等 …………………………………………………………………………………………………… 104 (1)財務諸表 …………………………………………………………………………………………………… 104 (2)主な資産及び負債の内容 ………………………………………………………………………………… 116 (3)その他 ……………………………………………………………………………………………………… 116 第6 提出会社の株式事務の概要 …………………………………………………………………………………… 117 第7 提出会社の参考情報 …………………………………………………………………………………………… 118 1.提出会社の親会社等の情報 ………………………………………………………………………………… 118 2.その他の参考情報 …………………………………………………………………………………………… 118 第二部 提出会社の保証会社等の情報 ……………………………………………………………………………… 119 第三部 特別情報 ……………………………………………………………………………………………………… 120 第1 連動子会社の最近の財務諸表 ………………………………………………………………………………… 120 第四部 株式公開情報 ………………………………………………………………………………………………… 121 第1 特別利害関係者等の株式等の移動状況 ……………………………………………………………………… 121 第2 第三者割当等の概況 …………………………………………………………………………………………… 124 1.第三者割当等による株式等の発行の内容 ………………………………………………………………… 124 2.取得者の概況 ………………………………………………………………………………………………… 127 3.取得者の株式等の移動状況 ………………………………………………………………………………… 129 第3 株主の状況 ……………………………………………………………………………………………………… 130 [監査報告書] 頁 第一部【企業情報】 第1【企業の概況】 1【主要な経営指標等の推移】 (1)連結経営指標等 回次 第10期 第11期 決算年月 2019年2月 2020年2月 売上高 (千円) 1,150,296 1,517,668 経常利益又は経常損失(△) 親会社株主に帰属する当期純損失(△) 包括利益 純資産額 総資産額 (千円) △372,886 45,914 (千円) △373,402 △28,035 (千円) △371,177 △30,952 (千円) △130,069 39,068 (千円) 1,650,659 1,943,793 1株当たり純資産額 (円) △422.01 △430.37 1株当たり当期純損失(△) 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 (円) △100.92 △7.58 (円) - 自己資本比率 (%) △8.0 自己資本利益率 株価収益率 (%) (倍) - - - 1.9 - - 営業活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物の期(千円) △262,904 △164,590 (千円) △90,124 △29,195 (千円) 515,267 422,732 (千円) 1,179,436 1,403,426 末残高 従業員数 数〕 〔外、平均臨時雇用者(名) 48 61 〔7〕 〔16〕 (注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。 2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。 3.第10期及び第11期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。 4.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。 5.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含み、派遣社員は除く)は、年間の平均人員を外数で〔 〕内に記載しております。 6.前連結会計年度(第10期)及び当連結会計年度(第11期)の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条第6項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。 7.当社は、2020年8月17日開催の取締役会決議により、2020年9月3日付で普通株式1株につき1,000株の割 - 1 - 合で株式分割を行っておりますが、第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。 (2)提出会社の経営指標等 回次 第7期 第8期 第9期 第10期 第11期 決算年月 2016年2月 2017年2月 2018年2月 2019年2月 2020年2月 売上高 (千円) 442,025 812,886 890,539 1,133,081 1,492,619 経常利益又は経常損失(△) 当期純利益又は当期純損失(△) (千円) △410,063 △453,328 △346,390 △433,322 70,557 (千円) △410,513 △461,632 △347,750 △433,838 25,389 資本金 (千円) 297,462 487,350 662,310 100,000 100,000 発行済株式総数 3,700 3,700 3,700 3,700 3,700 (千円) 20,319 △61,591 △59,050 △192,730 32,750 (千円) 880,925 1,344,136 1,365,256 1,570,089 1,879,043 1株当たり純資産額 (円) △102,938.47 △227,704.12 △321,690.88 △438.94 △432.08 - - - - - (-) (-)(-)(-)(-) (円) △110,949.61 △124,765.65 △93,986.76 △117.25 6.86 普通株式 A種優先株式 B種優先株式 C種優先株式 D種優先株式 純資産額 総資産額 1株当たり配当額 (うち、1株当たり中間配当額) 1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 自己資本比率 自己資本利益率 株価収益率 配当性向 従業員数 数〕 (株) (円) (円) (%) (%) (倍) (%) 828 - - - - 2.2 - - - 21 828 516 - - 828 516 432 - 828 516 432 300 - - - - 48 828 516 432 500 - 1.6 - - - 61 - - △4.7 △4.4 △12.4 - - - 30 - - - 35 〔外、平均臨時雇用者(名) 〔3〕 〔2〕〔4〕〔7〕〔16〕 (注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。 2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第10期以前は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第11期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。 3.自己資本利益率については、第7期、第8期、第9期及び第10期の自己資本利益率は、当期純損失であるため、第11期は期首及び期末の自己資本の合計がマイナスであるため記載しておりません。 - 2 - 4.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。 5.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含み、派遣社員は除く)は、年間の平均人員を外数で〔 〕内に記載しております。 6.前事業年度(第10期)及び当事業年度(第11期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条第6項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。 7.第7期から第9期については「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条第6項の規定に基づく監査証明を受けておりません。 8.2020年8月17日付で、A種優先株主、B種優先株主、C種優先株主及びD種優先株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、全ての優先株式を自己株式として取得し、当該優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2020年8月17日開催の取締役会決議により、当該種類株式を消却しております。なお、当社は2020年8月31日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止して9.当社は、2020年8月17日開催の取締役会決議により、2020年9月3日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っておりますが、第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。 10.上記9.のとおり、当社は2020年9月3日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っておりおります。 ます。 そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。 なお、第7期、第8期及び第9期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。 回次 決算年月 第7期 第8期 第9期 第10期 第11期 2016年2月 2017年2月 2018年2月 2019年2月 2020年2月 1株当たり純資産額 (円) △102.94 △227.70 △321.69 △438.94 △432.08 1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 1株当たり配当額 (うち1株当たり中間配当額) (円) (円) △110.95 △124.77 △93.99 △117.25 6.86 (円) - - - - - - (-) - (-) - (-) - (-) - (-) - 3 - 2【沿革】 当社の創業者である丸林耕太郎は、プロとして音楽活動に取り組んでいた慶應義塾大学在学中、ある企業経営者との出会いから、一人の音楽家として社会を変えていくよりも、自ら事業を興し、その事業を通じて社会を変革していくことの方が、より幸せな世界づくりに貢献できると確信し、2009年3月、「赤丸ホールディングス株式会社(現当社)」を創業いたしました。 年 月 2009年3月 変 遷 の 内 容 東京都渋谷区渋谷にて多世代型コミュニティマンション事業を行う赤丸ホールディングス株式会社(現当社)〔資本金9,000千円〕を設立 2010年5月 ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリースし販売を開始 2010年12月 初のリアルイベントとなる「HandMade In Japan AWARD by Creema」をドイツのベルリンにて開催 2013年7月 日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’」をスタート(以降本書提出日までに、東京で9回開催) 2014年3月 ルミネ新宿2に常設エディトリアルショップである「Creema Store 新宿」をオープン(本書提出日現在、3店舗まで拡大) 2014年6月 株式会社クリーマに商号変更 2014年12月 西日本最大級のハンドメイドイベント「Creema Craft Party」をスタート(以降本書提出日までに、大阪、台北で計7回の開催) 2016年5月 台湾台北市に子会社 可利瑪股份有限公司を設立 2016年7月 「Creema」中国語版の提供開始により香港・台湾事業をスタート 2016年10月 「全国いいもの発見プロジェクト」を皮切りに、外部広告サービスの提供を開始 2017年8月 新潟県糸魚川市「匠の里創生事業」とクリエイター支援における連携を皮切りに、地方創生領域にも進出 2017年9月 地方創生を目的として全国各地で市を開く「Creema Craft Caravan」をスタート 2017年11月 クリエイター向けに「スピード振込サービス」の提供を開始し、会員サービスをスタート 2018年9月 クリエイター向けに「作品プロモーション」機能をリリースし、内部広告サービスの提供を開始 2019年5月 東京都港区に本社移転 2020年6月 クリエイターの創造的な活動を支援する「Creema SPRINGS」をリリースし、クラウドファンディングサービスの提供を開始 2020年8月 タレントの千秋さんが創業したハンドメイド関連サービス「ハローサーカス」をM&Aにより事業譲受 - 4 - 3【事業の内容】 当社グループは、当社及び海外子会社1社で構成されており、クリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントでの事業運営を行っております。 本事業は、「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」をコンセプトに、創作活動に取り組む全国のクリエイターと生活者(ユーザー)が、オンライン上で直接オリジナル作品を売買できるCtoCのハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を2010年より行ってまいりました。 また2013年以降は、来場者数5万人を誇る、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベント開催や、常設ショップ「Creema Store(新宿・札幌)」「暮らしとクリーマ(二子玉川)」の運営等、「Creema」に出店するクリエイターにさらなる活躍の場を提供すると同時に、生活者(ユーザー)がリアルの場で作品に触れられる機会を数多く創出することで、日本のクラフト文化を創造・牽引しながら、クリエイターの活動支援に長年注力して参りました。 上述のとおり、当社グループの事業活動はクリエイターの活動支援に注力してきた関係から、本業として作家活動を行うクリエイターや、これから本格的に作家としての活動を志望しているクリエイター等、プロ志向のクリエイターから支持を頂いております。品質の高いプロ志向のクリエイターの作品が多く集まるため、当社グループのマーケットプレイスでは高品質の作品を求める生活者(ユーザー)の安定的な集客が可能となっており、これが感度の高い良質なコミュニティの構築につながり、当社グループのサービスの明確な独自性・競争優位性のひとつとなっています。 当社グループの収益は、マーケットプレイスサービスにおける「Creema」 上での販売手数料収入に加え、プラットフォームサービスにおける各種広告収入、イベント・ストアサービスにおける出店料・入場料、及び販売手数料収入、そして、クラウドファンディングサービスの成約手数料等から構成されています。 - 5 - 以下に当社グループの事業系統図を記載いたします。 (事業系統図) - 6 - <具体的な製・商品またはサービスの特徴> (1)マーケットプレイスサービス 「Creema」はオンライン上で個人が直接、オリジナルのハンドメイド作品を売買できるCtoCマーケットプレイスであり、当社の中心的なサービスです。「Creema」は日本国内におけるハンドメイドマーケットプレイスの先駆的サービスでもあり、2010年5月のリリース以降、多くのクリエイターの支持を獲得してきました。 「Creema」では、クリエイターが自身の作品を当社のマーケットプレイスに出品し、ユーザーがその作品を購入する際、当社が決済の仲介を行い、購入代金から一定の販売手数料を当社が差し引き、その残金を売上金としてクリエイターに入金するというビジネスモデルとなっています。 「Creema」では、各クリエイターのページに掲示板を設けており、掲示板を使ってユーザーがクリエイターに直接連絡を取ることができます。作品に関する質問をしたり、オーダーメイドや発注数の相談をしたりといったコミュニケーションも可能となっており、オンラインでの購買でありながら「つながる楽しさ」も提供しております。また、クリエイターはこうしたコミュニケーション機能を通じて、クリエイター自身のファン構築をすることもでき、本業としての活動を広げることが可能となっています。 <「Creema」画面イメージ> 2016年7月には、海外展開の第一歩として、中国語版「Creema」をリリースするとともに、海外子会社「可利瑪股份有限公司」を台湾(台北市)に設立いたしました。中国語版「Creema」のリリースにより、日本国内で活動するプロ・セミプロのクリエイターが、台湾・香港のユーザーに向けて自身の作品を簡単に出品することが可能となりました。また、日本にいるユーザーも、台湾・香港のクリエイター作品を手軽に購入できるようになっております。国境を越えての出店はすべて事前審査制としているため、作品品質を維持しつつ、越境取引でもユーザーに安心してお買い物を楽しんでいただける仕組みとなっています。サイト、出品、取引メッセージまで、中国語版「Creema」はすべて中国語(繁体字)化しており、出品やメッセージのやりとりには自動翻訳機能が対応しているため、安心でスムーズな取引が可能です。さらに、日本語・中国語が堪能かつ、台湾・香港のECに精通したスタッフが、出品や取引に関するコミュニケーションに対して全面的なサポートを行っております。そのため、クリエイター・ユーザーともに、利用しやすい環境が実現されていると言えます。 設立当初より「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」をコンセプトに、クリエイター支援を主軸として「Creema」を運営してきました。そうした企業姿勢・各種取り組みの結果、業界内でもプロ及びプロを目指すクリエイターの出品が出品作品の中心となっており、品質の高い作品が集まるハンドメイドマーケットプレイスとしての地位を確立、現在まで次表のとおり急成長を遂げております。 - 7 - <「Creema」重要指標推移表> 2017年 2月期末 実績 2018年2月期末 2019年2月期末 2020年2月期末 実績 前期比 実績 前期比 実績 前期比 2021年2月期第2四半期末 実績 358 529 147.9% 695 131.3% 866 124.7% 1,019 468 654 139.9% 838 128.0% 974 116.2% 1,049 6,537 7,375 112.8% 7,875 106.8% 8,998 114.3% 7,997 ※登録作品数はサービス開始時点から当該期末までの累積数、アプリダウンロード数はアプリリリース時点から当該期末までの累積数、流通総登録作品数(万点) アプリダウンロード数(万回) 流通総額(百万円) 額は当該期間の合計。 (2)プラットフォームサービス 「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援等を行うプラットフォームサービスも提供しております。その一環として、作品プロモーションと呼ばれる広告機能を2018年9月にリリースし、内部広告サービスの提供を開始しました。これにより、クリエイターは自身の作品の広告を「Creema」上にある所定の広告枠に表示することができるようになりました。本サービスにより、クリエイターは、自身の作品を効果的に多くのユーザーに認知させることが可能となり、「Creema」出店クリエイターの売上増に貢献しています。なお、本広告機能はクリック課金型の収益モデルとなっており、表示された広告作品をユーザーがクリックするごとに、設定されたクリック単価をクリエイターが当社に支払う仕組みとなっています。 また、「Creema」のプラットフォーム上で蓄積された、巨大なユーザー基盤を活用し、企業や地方公共団体をクライアントとする広告サービスである外部広告サービスも提供しております。地方創生を目的として全国各地で市を開く「Creema Craft Caravan」や、Creemaプラットフォームを活用した伝統工芸士団体のデジタルシフト支援、また、玩具、ジュエリー、日用品等の様々な業種のメーカーとコラボレーションして当社のクリエイターが作品を制作する広告企画など、当社でしかできない独自性のある広告商品を多数提供しております。 上記のほか、会員向けのサービスとして、「Creema」での売上金の受け取りを、通常の振込日である月末まで待たずに早期に行いたいというクリエイターのニーズに対応するスピード振込サービスを提供しております。本サービスは、振込対象金額に所定の料率を乗じた手数料をいただいております。また、クリエイターに対し、販売やプロモーションに留まらず、商品企画等創作活動全般に関するコンサルティングを行うプレミアムコンサルサービスも提供しております。なお、プレミアムコンサルサービスでは「Creema」での通常の販売手数料率に加え、サービス分を上乗せした料率での契約を、対象クリエイターと個別に締結しております。 (3)イベント・ストアサービス 当社は、クリエイター作品の販路として、ハンドメイドマーケットプレイス(オンライン)の提供だけでなく、直接クリエイターとユーザーとをリアルの世界で結びつけるクラフトイベントやエディトリアルショップ(常設店舗)も積極的に展開しております。これらの展開は、当社サービスの認知度向上はもちろんのこと、クリエイターやユーザーとのエンゲージメント強化にも意味を持つと同時に、ハンドメイド市場やハンドメイドカルチャーの拡大にも貢献していると認識しています。そのため、イベント・ストアサービスは、クリエイターの支援、当社の収益源としての位置づけにとどまらず、PR活動のひとつとしても取り組んでおります。 以下に当社が毎年定期的に開催している主要な2つのクラフトイベントを記載いたします。 (a) 「HandMade In Japan Fes’」 2013年から「クラフトの市場/カルチャーを日本に確立するために、ミュージシャンにとっての音楽フェスと同様に、クリエイターにも祭典とよべるステージをつくりたい」という想いから、東京ビッグサイトにて「HandMade In Japan Fes’」を開催しております。イベント名称には「日本発のクリエイティブカルチャーを国内外に大きく 発信していこう」という想いが込められています。 全国のクリエイターによる作品販売ブースやワークショップがあつまる「クリエイターエリア」、人気バンドのステージ等を楽しめる「ミュージック&プレイエリア」、手作りにこだわった「フードエリア」等で構成され、イベント出店者と来場者の感性が直接触れ合い、うねりを起こす、クリエイティブな2日間のフェスティバルとなっており、普段はオンライン上で作品の売買を行っているクリエイターとユーザーのリアルでの接点の場にもなっています。 2013年の開催以降、動員数を着実に伸ばし続けており、2013年開催時点では出店数約1,960店、来場者数約26,000人でしたが、2019年夏の開催時には出店数で約3,000店、来場者数は約50,000人を記録しました。現在で - 8 - は日本最大級のクラフトイベントと呼べる規模にまで成長しております。 <「HandMade in Japan Fes’」の開催風景> (b) 「Creema Craft Party」 「Creema Craft Party」は、丁寧であたたかなクラフトの世界が感じられる空間で、ものづくりの魅力を体感できる大規模クラフトイベントであり、大阪・台北(台湾)の2箇所で継続的に開催しています。クリエイターがオリジナル作品を販売する「マーケットエリア」、手作りにこだわった焼き菓子やパン等を販売する「フードエリア」、人気クリエイターによる「ワークショップエリア」、実力派アーティストのライブパフォーマンスを楽しめる「ミュージック&プレイエリア」等を設けております。 「Creema Craft Party」は、「HandMade In Japan Fes’」に続いて2014年冬に大阪で始まり、2018年は過去最大規模となる約3,000名の出店と約18,000人の来場となりました。今後も出店者・来場者ともに増加を見込んでおり、こちらも関西最大級のクラフトイベントとしての地位を確立しています。 また、2017年と2019年には台湾でも同様のイベントを開催しており、日本のクラフト文化を世界に発信する象徴的なイベントとなっています。 <「Creema Craft Party」の開催風景> また、当社は「Creema」出店クリエイターの作品を展示販売する常設エディトリアルショップの企画、運営を行っております。クリエイターの作品出品料は無料とし、販売手数料を設定のうえ、当社にて販売受託を行っております。出店期間とテーマを決め、クリエイターからの出店の募集を実施。クリエイターの作品の世界観やクオリティ、価格等を重点的に評価した上で、出店の可否を決定しております。そのため、エディトリアルショップのテーマに沿った高品質な作品が常時ショップに並ぶ仕組みとなっています。 エディトリアルショップでの作品の販売は当社スタッフがクリエイターに代わり行っておりますが、クリエイターからの要望がある場合には、クリエイターがエディトリアルショップのブースに立合い、接客を行うことも可能としております。 2014年にアクセサリーを主軸とした「Creema Store 新宿」をオープン後、2018年9月には二子玉川ライズにて「暮らしとクリーマ」をオープンしました。「Creema Store 新宿」が女性向けのアクセサリーを中心に扱っているのに対し、「暮らしとクリーマ」では『物語と暮らす、世界にひとつのおうち時間』をコンセプトに、器や生活雑貨、インテリア、フード等、毎日を彩るハンドメイド作品がずらりと並ぶ当社グループ初のライフスタイル特化型エディトリアルショップとなっています。 2019年3月には北海道にCreema Storeの2号店となる「Creema Store 札幌」をオープン。今後も、「Creema」で構築した豊富な作品基盤・ユーザー基盤を活用し、より一層リアルの世界での展開を強化してまいります。- 9 - <エディトリアルショップの外観> (4)クラウドファンディングサービス 当社では、2020年6月に、ハンドメイドに限定することなく、あらゆるジャンルのクリエイターの創造的な活動を応援することに特化した、購入型クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」も開始しております。「Creema」にご登録いただいているクリエイターをはじめ、クリエイターが「新しいブランドをつくりたい」「工房・アトリエを作りたい」「海外で個展を開催したい」など様々なアイディアや夢、想いをかたちにするプロジェクトを発信し、その想いに共感する支援者(ユーザー)からプロジェクト実現のための資金を募ることができる場を提供しております。支援者は、自身が応援したいクリエイター・プロジェクトを見つけて資金提供を行い、そのリターンとして、複数のプランから任意に選択した作品・商品またはサービスの提供を受けることができます。 本サービスは、目標金額に到達した場合のみプロジェクトの実施及び商品の提供が決定する「目標達成型」のプロジェクトと、目標金額に到達しない場合でもプロジェクトの実施及び商品の提供が行われる「実行確約型」プロジェクトの2つが存在しており、クリエイターは任意の方法で必要資金の調達が可能です。 - 10 - 4【関係会社の状況】 名称 住所 関係内容 資本金 (千台湾ドル) 主要な事業の内容 議決権の所有(又は被所有)割合 (%) (連結子会社) 可利瑪股份有限公司 台湾 台北市 2,000 クリエイターエンパワーメント事業 100 役員の兼任あり (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。 2.有価証券届出書または有価証券報告書を提出している会社はありません。 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 クリエイターエンパワーメント事業 合計 略しております。 ります。 (2)提出会社の状況 セグメントの名称 従業員数(名) 2020年9月30日現在〔16〕 70 70 〔16〕 (注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含み、派遣社員は除く)は、最近1年間の平均人員を外数で〔 〕内に記載しております。 2.当社グループはクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省3.従業員数が最近1年間において12名増加しておりますが、これは業務拡大に伴う人員の増加によるものであ従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円) 70 〔16〕 30.7 2.3 4,026 2020年9月30日現在 (注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含み、派遣社員は除く)は、最近1年間の平均人員を外数で〔 〕内に記載しております。 2.当社はクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略してお3.従業員数が最近1年間において12名増加しておりますが、これは業務拡大に伴う人員の増加によるものであります。 ります。 (3)労働組合の状況 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 - 11 - 第2【事業の状況】 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、 クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store(新宿・札幌)」等の店舗を展開するイベント・ストアサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」など、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリエイター経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。 (2)経営戦略等 当社グループでは、マーケットプレイスサービスにてユーザー数(アプリDL数や訪問数等)を安定的に積み上げつつ、マーケットプレイスの運営を通じて構築される豊富なユーザー基盤、プラットフォーム基盤を活用し、広告サービスやイベント・ストアサービス等、周辺領域でのサービス収益もスケールしていくモデルとなっております。そのため、事業収益の基盤であり起点となるマーケットプレイスサービスの品質向上を通じたストック収益と戦略資産の積み上げに対し優先的にリソースを投下しつつ、そこで得た資産を活用する事業にもリソースを投下することで、シナジーの効く事業領域での収益源の多角化を図って参ります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループの事業においては、中心的なサービスである「Creema」の、プラットフォームとしての価値を高めることが重要であるため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額であると考えております。 (4)当社グループの経営成績に影響を与える経営環境 日本のハンドメイドマーケット市場は、2010年、日本初のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を当社がリリースしたことに端を発する比較的新しい市場であり、現在の国内市場では、当社グループが運営する「Creema」と、GMOペパボ株式会社が運営する「minne」の二大サービスが市場を牽引しております。 一般社団法人日本ホビー協会が発行している『ホビー白書2018年版』によれば、日本のハンドメイドマーケット市場の直近4ヵ年の年平均成長率(CAGR)は168%と非常に高い水準で推移しております。 また、近年ではスマートフォンの普及等を背景に個人間の電子商取引(CtoC)の市場が年々拡大を続けております。それにともない、個人によるECサイトの開設や、企業によるECサイトの提供が増加基調にあり、これまで実店舗にてハンドメイド製品を提供していた企業がハンドメイド専門のECサイトを作成する等、オンライン上でのハンドメイド製品の流通が一般化しており、今後も市場規模は引き続き一定水準以上の高成長率で拡大することが見込まれます。 さらに、当社グループのマーケットプレイスはプラットフォームとしての一面を持つため、流通規模が拡大するにつれて、取引に携わるクリエイター数や会員数、作品数等が増加し、それに伴い、プラットフォームとしての価値も高まっていく構造にあります。プラットフォームとしての価値の高まりが、我々のプラットフォームが生み出す収益、例えば広告サービスからの収益や、クリエイター・会員向けの支援サービスの収益を押し上げることで、当社グループの事業が関わる市場規模は一層拡大していきます。そのため、当社グループのサービスの潜在市場規模は、単純なハンドメイドマーケット市場の市場規模を優に超える巨大なポテンシャルを保持していると考えております。 足元では、新型コロナウイルスの影響により、人々の生活様式や消費行動にも大きな変化がみられています。当社グループにおいても、大型イベントの開催中止や実店舗の休業を余儀なくされるなど、売上の減少要因となる影響が出ている一方、マーケットプレイスサービスにおいては「巣ごもり消費」のニーズを捉えて、売上を大きく伸ばしている他、従来より進めて参りました収益モデルの複層化の進展もあり、事業全体としては堅調に成長することができており、現時点において、新型コロナウイルスの当社事業への影響は限定的であると考えております。 新型コロナウイルスの収束には、相当程度の時間を要すると想定しており、また、収束後であっても、人々の生活様式等が元の通りに戻るとは限らないと想定されます。当社は常に、世の中の変化に迅速かつ柔軟に対応し、市場の動向やトレンド、ニーズを的確に捉えた経営を行っていく所存であります。 なお、2020年3月より、当社グループでは、従業員の安全を最優先し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、時差通勤およびリモートワークの導入等を行っておりますが、現状、事業継続にあたって大きな問題は生じておりま - 12 - せん。 (5)対処すべき課題 ①プロダクトの強化と新技術への対応 2020年8月末時点において約19万人の登録クリエイターと、約1,000万品の登録作品を抱えるハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営こそ、事業ポートフォリオ上で最も重要な事業と位置付けております。そのため、「Creema」のWebサイト・アプリのプロダクト品質向上を通じてサービスのユーザビリティを高め、消費者により優れた購買体験を提供し、クリエイターの方々に、「Creema」上でより多くの売上をあげていただくことこそが、当社の事業運営上最も重要なテーマと考えております。それ故に、まずは当社の競争力の源泉である「Creema」アプリ・Webサイトを中心にプロダクトの磨き込みを行い、消費者・ユーザー側のユーザビリティを高めて参ります。合わせて、クリエイターの利便性を高める複数機能のローンチ等も組み合わせることで、引き続きより多くの方に愛されるサービスに育ててまいります。 ②マーケットの拡張 ハンドメイドマーケット市場は年々大幅に成長しておりますが、更なる市場拡大に向けては、今までハンドメイド製品に関心を持っていなかった非ハンドメイドユーザー層にもアプローチを行い、新しい顧客層を獲得していくことが重要であると考えております。まず、ファッションやアクセサリー、インテリア等、「Creema」が展開するカテゴリーの内、競争優位性があり、かつ世間全体のニーズも強い戦略カテゴリーの拡張を行い、当該カテゴリーのクリエイター数、登録作品数を増加させ、ハンドメイドユーザー層に限らず、非ハンドメイドユーザー層も含めたより多くの方々にも商品起点でサービスの魅力を訴求してまいります。また、東京や北海道に展開しているリアル店舗を引き続き運営し、今までオンラインでのハンドメイド作品の購入に馴染みのなかった方々との接触機会を増やし、消費者の裾野を広げていきたいと考えております。さらに、「HandMade in Japan Fes’」をはじめとする大型イベントの磨き込みや、地方自治体と連携した各種取り組みの強化も行い、国内外でより一層のハンドメイド文化の醸成を進めてまいります。 ③収益モデルの複層化 当社では「Creema」を始めとする各種サービスの運営を通じて、豊富なユーザー基盤、プラットフォーム基盤を保持しております。こうした資産を活かしながら、クリエイター支援を目的とする新サービスを提供することで、結果として収益の強化・複層化につながります。例えば、クリエイターが自身の作品広告を「Creema」上でPRできる内部広告サービスや、企業・地方自治体とのタイアップを行う外部広告サービスを本格化させる等、「Creema」という大規模プラットフォーム上で展開される広告及びその他の収益機会は年々拡大を続けています。また、現在、クリエイター向けに展開しているスピード振込サービスに加え、クリエイター・ユーザーの利便性向上に資する会員事業の拡張を通して、日頃「Creema」をご利用いただいている方々への多様なニーズに応えられるよう準備を進めてまいります。さらに、「Creema」で活躍されているクリエイターの創作活動を支援する追加サービスや、ミュージシャンや芸術家等、ハンドメイド以外のクリエイター支援領域も含め、当社が蓄積してきた資産を活用した「新市場への参入」も積極的に推進してまいります。 ④優秀な人材採用と企業文化の醸成 事業の継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を採用すると同時に、強い企業文化を醸成していくことが重要であると考えております。当社では、引き続き優秀な人材の獲得に注力しつつ、ユニークな企業文化を今後一層発展させるべく、時代に沿った新たな人事制度の構築を行い、当社グループのブランド価値向上と強い企業体の構築に努めて参ります。 ⑤経営管理と内部管理体制の強化 当社グループでは、事業の継続的な成長を実現していくために、経営管理体制の更なる強化・充実が必要不可欠であると考えております。事業成長に伴い、組織が拡大していく中で、重要指標のモニタリングや、会議体の設計・運用などを通して、組織の健全かつ効率的なマネジメントに取り組んでおります。また、今後更なる事業拡大を図るために、事業基盤を盤石にさせることが重要な課題であると認識しております。そのため、従業員に対して業務フローやコンプライアンス、情報管理等を徹底的に認知させるとともに、内部管理体制の強化・業務の効率化を行って参ります。 - 13 - 2【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項の内、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)インターネット関連市場について 当社グループはオンラインマーケットプレイス「Creema」の運営を主力サービスとし、同サイト上からの販売手数料収入と広告収入を主な収益源としています。同サービスの持続的な成長のためには、インターネットにおける技術の改善、環境の整備、そして利用の拡充が今後とも継続することが重要な要因と考えております。しかしながら、革新的な新技術や大幅な規制変更により、インターネット関連市場の利便性が損なわれ、今後のインターネットショッピングサイトの運営の遂行が困難になった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)ビジネスモデルや消費者の嗜好の変化について 当社グループが主力サービスを運営するインターネット業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の開発、新しいビジネスモデルによる新規参入者、顧客のニーズの変化等のリスクが存在します。そのため当社グループの事業の成長及び成功は、このような経営環境の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応する経営執行能力及び技術開発力に依存しています。しかしながら、当社グループが、このような事業環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)サービスの健全性の維持について 当社グループが運営するオンラインマーケットプレイスは、クリエイター(出店者)とユーザー(購入者)の間での取引の場としてのプラットフォームを提供しています。当社グループでは、プラットフォームとしての健全性確保のため、サービス内における禁止事項を利用規約に明記し、当社グループのサービスにおいて禁止行為を排除するための監視を行うとともに、通報制度を設けています。 しかしながら、当社グループのサービスにおいて、知的財産権を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、禁止事項を発見または排除することができないことにより、プラットフォームとしての健全性を確保できない場合、当社グループのサービスに対する信頼性が低下し、会員離れが発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)システムトラブルについて 当社グループはオンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、その安定的な運用のためのシステム強化及びセキュリティ対策に注力しています。しかしながら、システムへの一時的な過負荷、ソフトウェアの不具合、外部からの不正なアクセスによるシステムへの侵入、地震や火事等の災害、予期せぬ電力供給の停止、事故等によって、当社グループのシステムがダウンした場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5)当社グループ運営サイトの会員間トラブルが与える影響について 会員(クリエイター及びユーザー)間でトラブルが発生し、会員が当社グループへトラブル内容の連絡をしてきた場合、当社で事実確認を行ったうえで、該当会員への説明及びトラブルの原因となった事項の改善を求め、また、当社グループの判断によっては当社運営サイトの利用制限を設ける等の措置を講じております。 しかしながら、すべての会員が当社グループの対応に納得するとは限らないため、当社グループ及び当社グループ運営サイトに対する評判の低下、または風評により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)情報セキュリティについて 当社グループは、第三者からのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システム等で常時モニタリングを行い、データの送受信にあたっては暗号化を行う等のセキュリティ対策を講じております。 しかしながら、ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により、顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手される可能性や、顧客が利用するデータが改竄される可能性、または各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止する可能性は否定できません。 このような事態が生じた場合には、当社グループに対する法的責任の追求、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 - 14 - (7)個人情報の管理について 当社グループは、オンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、そこで扱っている会員等の個人情報につきまして、システムを設計するうえでの配慮は当然ながら、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定や外部のデータセンターでの厳重な情報管理等、サーバー、管理画面及び物理的な側面からもその取り扱いに注意を払っております。 また、社内での個人情報保護に関する研修を行なっており、個人情報を漏洩した際のリスクを含め個人情報保護の重要性の認識の周知徹底を行なっております。 しかしながら、外部からの不正アクセスや、故意または過失による情報漏洩、またそれら以外の想定していない事態は完全には排除できないことから、個人情報の外部流出等が発生する可能性があります。 このような事態が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権について 当社グループは、運営するサイト及びイベントの名称について商標登録を行っており、当社グループが使用する知的財産権の保護を図っています。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合、または知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう監視を行っていますが、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合、またその紛争解決のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9)第三者への依存について 当社グループは、ユーザーにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle LLCが運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザーの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済等の外部の事業者が提供するサービスを

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