協和キリン(4151) – アニュアルレポート2021

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開示日時:2022/05/21 00:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.12 34,653,100 5,879,100 7,429,000 99.3
2019.12 30,582,000 5,537,300 4,079,000 124.46
2020.12 31,835,200 5,899,000 4,979,900 87.5

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
3,040.0 3,311.46 3,568.14 37.2 26.22

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.12 3,603,900 5,618,100
2019.12 3,240,000 5,365,700
2020.12 427,400 3,950,100

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

アニュアルレポート20212021 年12月期Life-changingContents02INTRODUCTION02 社長メッセージ06 価値創造の歴史08 経営理念、価値観09 2030年に向けたビジョン10 価値創造ストーリー11 マテリアリティ12 中期経営計画の概要13 財務戦略15AT A GLANCE15 ヘッドラインニュース16 財務ハイライト17 非財務ハイライト18 パイプライン20価値創造の戦略20 アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供・グローバル戦略3品・患者さんの笑顔のために(研究開発活動)・次世代戦略品27 患者さんを中心においた医療ニーズへの対応(ペイシェントアドボカシー活動)32 社会からの信頼獲得・高品質な医薬品を世界中の患者さんへ・豊かな地球環境を未来世代へ60財務情報61 11か年財務サマリー62 MD&A67 事業等のリスク38価値創造の基盤40 DX戦略42 人材46 ガバナンス52 社外取締役対談55 役員紹介58 コンプライアンス59 リスクマネジメント70会社情報70 企業データ71 投資家情報 高いステークホルダーにとっての重要度アニュアルレポート(PDF版)https://ir.kyowakirin.com/ja/library/annual.html本レポートで報告コーポレートサイト https://www.kyowakirin.co.jpウェブサイトで報告株主・投資家の皆様(IRサイト) https://ir.kyowakirin.com/ja/index.html・有価証券報告書 https://ir.kyowakirin.com/ja/library/securities.html・コーポレートガバナンス報告書 https://ir.kyowakirin.com/ja/management/governance.html社会との共有価値(CSRサイト) https://www.kyowakirin.co.jp/csr/index.html・ESGデータ集 https://www.kyowakirin.co.jp/csr/esg_data/index.html経営にとっての重要度 高い・GRIスタンダード対照表 https://www.kyowakirin.co.jp/csr/gri/index.html対象範囲協和キリン株式会社および連結子会社※ 報告範囲が異なる場合にはその旨明記しています。対象期間2021年1月〜12月※ 発行時点での最新情報も可能なかぎり記載しています。注意事項今後の計画や見通しに関する記述は、現時点で当社が入手可能な情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、さまざまなリスクや不確実な要素により実際の業績や結果は異なる可能性があります。また、医療用医薬品や開発品に関する記述は、広告宣伝やプロモーション、医療上のアドバイスを目的とするものではありません。アニュアルレポートに関するお問い合わせ協和キリン株式会社 コーポレートコミュニケーション部 IRグループ03-5205-7206 / https://faq.kirin.co.jp/form/kkc_04.html01常務執行役員 財務経理部長 (コーポレートコミュニケーション部 および調達部担当)川口 元彦統合報告書の発行にあたって 協和キリンの統合報告書は、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーの皆さまに、「新しい価値の創造により世界の人々の健康と豊かさに貢献する」ことを目指す私たちのことを、財務・非財務の両面からご紹介するために発行しています。制作にあたっては、価値報告財団(VRF)が提唱する「国際統合報告フレームワーク」や経済産業省の「価値協創ガイダンス」等を参考にしています。 本レポートは、コーポレートコミュニケーション部IRグループが中心となり、経営企画部をはじめとする各部門とともに組織横断的に協働して制作しており、コーポレートコミュニケーション部を担当する私は、その記載内容が正当であることを確認しております。 本レポートがステークホルダーの皆さまとの有益なコミュニケーションツールとなり、新たな共有価値の創造につながることを願っております。協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION社長メッセージ02患者さんを笑顔にする、これが私たちの活動すべての原動力です代表取締役社長宮本 昌志2021年度の振り返り 2021年度の業績は増収増益となり、通期計画も達成することがでで成長するための基盤として確立しつつあることも、大きな成果と評価しています。今年は、従来の2軸に「製品(フランチャイズ)」軸を加きました。2021年からの5か年中期経営計画の初年度として、順調える試みを始めました。私たちが実現したいことは、強いリージョンな滑り出しができたと考えています。また、研究開発パイプラインもを持つことでも、強いファンクションを持つことでもなく、私たちにし着実に進(cid:7743)し、中長期的な企業価値の最大化に向けて、多くの実りか生み出すことのできない価値を患者さんに提供することです。そのがあった年になりました。ためには、より深く患者さんと向き合うフランチャイズ軸での観点が 2019年から始まった、4つの「地域(リージョン)」軸と、研究開発不可欠と考えたわけです。現状はグローバル戦略品の3つだけですや品質保証など「機能(ファンクション)」軸を組み合わせたマトリッが、今後、次世代戦略品についてもフランチャイズ軸に組み込むことクスマネジメント体制「One Kyowa Kirin」が 、私たちがグローバルを計画しています。売上収益(前年度対比)(億円)コア営業利益(前年度対比)(億円)売上収益+339億円(+11%)コア営業利益+57億円(+10%)3,6003,4003,2003,000–31–313,1843,184+79+79+77+77+25+25+189+1893,5223,5221,000800600400200+265+265–190–190–54–54+36+366006006576572020年度 日本北米EMEAAPACその他2021年度02020年度売上総利益販売管理費研究開発費2021年度持分法による投資損益協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION03中計の進(cid:7743)と今後の取り組みグローバルパートナーとして、ともにKHK4083の価値を最大化でき 次世代戦略品は順調に進(cid:7743)していますが 、臨床前のパイプラインアンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供ると考えています。また、アトピー性皮膚炎以外の適応疾患を探すうは、まだまだ足りていません。現在の候補品がすべて臨床フェーズに 2022年度の重要なミッションの一つは、最大市場である北米におえでも、同社の持っている力には非常に期待しています。進めるとは限りませんので、このゾーンのボリュームは、さらなる充けるCrysvitaの自社販売体制の構築です。Crysvitaの販売は、2023  次 に、MEI Pharma社と 共 同 開 発 を 進 め てい る がん 領 域 の実が必要です。協和キリンの10年後の生命線を育てる意味でも、今年4月にUltragenyx社から当社へ移管する予定ですので、現在、ME-401については、着実に開発が進(cid:7743)しています。今後、継続的な後さらに力を入れていきます。そのために(cid:20276)となるのが、オープンイマーケティング手法を含めたノウハウのすべてを円滑に引き継げる投資は必要となりますが 、大きなポテンシャルを持っていますので、ノベーションの活用です。これをさらに加速するために、2021年4月よう、Ultragenyx社と密に連携をとっています。また、Crysvitaは、将来的には大型薬になる可能性を感じています。に研究開発本部の体制を刷新し、外部の知見を研究の中により多くまだまだ薬を提供できていない地域がありますので、より多くの患者 国内市場向けの腎領域の開発品であるRTA 402は、2021年7月取り込める組織として稼働を始めています。さらに、これまで当社は、さんにお届けできるよう、引き続き各国当局との交渉を迅速かつ着にアルポート症候群を対象とした承認申請を行いました。糖尿病性ベンチャーキャピタル(VC)に一定程度の出資を行い、最先端の情報実に進めていきます。腎臓病の適応では国内第3相臨床試験を実施しており、長期の安全を獲得する仕組みを整備してきましたが、より多くのアーリーな技術 次世代戦略品の状況については、まず大型薬として期待の高まる性データを含む確固としたエビデンスを得て、承認を目指していきまや開発候補品にアクセスできるよう、コーポレートベンチャーキャピアトピー性皮膚炎治療薬のKHK4083を、この領域で実績のある米国す。また、透析施行中の高リン血症治療薬のKHK7791も十分な治験タル(CVC)の開始を計画しています。このように自社の研究開発力Amgen社と提携して、共同で開発・販売を行うことを決定しましデータがまとまってきているので、今後の日本での承認申請に向けてと他社の力をうまく融合させ、持続的成長の基盤となるパイプラインた。競合が数多く存在する疾患領域ではありますが、Amgen社のバ着実に一つひとつのタスクをこなしていきます。の拡充を目指していきます。イオファーマとしての開発力、製造力、販売力は際立っていますので、持続的成長の基盤となるパイプラインの拡充を目指す次世代戦略品国/地域*1適応症*2KHK4083 北米/欧州/日本 アトピー性皮膚炎KW-6356 北米/欧州/日本 パーキンソン病ME-401北米/欧州/日本 濾胞性リンパ腫辺縁帯リンパ腫RTA 402日本/アジア承認年*3 市場規模*4 患者数*516,000K★★★3,500K~800K2025/20262026TBD★★★★★★KHK7791 日本アルポート症候群糖尿病性腎臓病常染色体優性多発性囊胞腎透析施行中の高リン血症TBD202420252023★★★2,500K~★☆☆250K*1記載されたすべての国/地域では承認または上市されない可能性があります。*2最終的に規制当局から承認される適応症とは異なる可能性があります。*3 最初に承認が期待される年です。*4 記載の国/地域全体および適応症を前提として期待し得る全市場ポテンシャル(total addressable market)であり、当社製品のみで獲得し得る売上高の予測や目標値ではありません。 ★は500億円未満、★★は500~1,000億円、★★★は1,000億円超を表します。*5 記載の国/地域における推定患者数の合計です。※市場規模および患者数は、当社独自の推計によるものです。協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION04患者さんを中心においた医療ニーズへの対応社会からの信頼獲得 私たちには、患者さんとその周囲の方々など、病気に向き合う人々 協和キリンは、医薬品という高い品質が求められる製品をグローLife-changingな価値を実現する人材・基盤の強化 協和キリンでは、2019年から企業文化改革を進めており、「壁をを「笑顔にする」という目標があります。そのためには、患者さんが何バルに安定的に供給するために、強固な生産体制を目指すとともに、乗り越えよう(KABEGOE)」というスローガンのもと、常に変化・進に本当に困っているのかを知り、私たちができることを適切に提供す品質保証体制およびサプライチェーンマネジメントの強化を進めて化し、行動に移し、学びを重ねる組織体を目指しています。ることが大切です。そしてそれこそが、私たちが進める「ペイシェントいます。現在は、製造委託先も含めて、まだまだ体制として不十分な この活動の先に何があるのか、ゴールはあるのかということをよくアドボカシー 」の根幹をなしています。点もありますので、時間はかかりますが 、一つひとつのプロセスを社員から尋ねられますが 、私はこの活動にゴールはないと考えてい 例えば 、CrysvitaはX染色体連鎖性低リン血症(XLH)を適応症としっかりと着実に対処していきたいと考えています。ます。一つの山頂に(cid:7735)り着くことはできますが、そこからの景色にはする唯一の薬であり、私たちにしかその価値をお届けすることはでき また、企業として世界規模の気候変動へ対応し、持続可能な社会次の山が必ず見えます。つまり企業文化改革は、終わりはなく、常にませんが、そのためにはまず、患者さんご自身や周辺の方々が不調にの確立に貢献することも非常に重要な要素となります。協和キリン進化して、学習していくという活動なのです。こうした改革を浸透さ気づき、医療機関を受診し、お医者さんがXLHと診断することからが属するキリングループでは、「キリングループ環境ビジョン2050」せていくことこそが 、協和キリンのユニークさにもつながり、世界の治療がスタートし、そこで本当の価値が生まれます。実際に、XLHののもと、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目大手製薬会社と戦っていくための大きな力になると考えています。患者さんは、ご自身が病気であることに気がつかないことも多く、適標として掲げています。当社もこれに連携して、温室効果ガス排出量 さらに、この改革では、地域、部門、役職を超えて、世界中の社員切な治療を受けていない方も数多く存在します。だからこそ、まずはの削減を進めています。また、省エネの推進、再生可能エネルギーのが個人のビジョンを率直にぶつけ合うことを推奨しています。個人が病気のことを多くの人に知ってもらうことが肝要であり、そのために導入・拡大、化石燃料から電力へのエネルギー転換なども継続的にそれぞれに実現したいビジョンがその上長に尊重され、組織のビ私たちは、疾患啓発活動や患者さんの支援活動に力を入れているの進めています。豊かな地球環境を未来世代につなげるべく、今後もジョンと有機的に連動し、そして会社のビジョンにもつながっていくです。これは、XLHに限らず、皮膚T細胞性白血病やパーキンソン病、キリンホールディングス(株)と協力しながら取り組みを進めてまいりことが理想であると私は考えています。腎臓病などに関しても同様です。ます。 さらに、患者さんのQOL(Quality of Life /生活の質)の向上を突き詰めていくと、薬を創って提供するだけでよいのかという発想に行き着きます。つまり、もっと広い視野で、医薬品にとどまらない価値を提供することにも、製薬企業としてしっかりと取り組んでいかねばならないのです。病気に関する周辺サービスやヘルスケア領域への対応など、私たちには、まだまだやるべきことがたくさんあります。こうした活動が、薬の価値を高め、さらに協和キリンのプレゼンス向上にもつながっていくと私は考えます。患者さんの笑顔のためにやるべきことはたくさんあります協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION05DX戦略 私たちが取り組むべきDX戦略の柱は、当社のサイズ感でいかに未来に向けて 今般のパンデミックが象徴的ですが、未来の社会変化を予測するそ、心に宿したビジョンにいかに価値があるかを自問自答してもらい折し、あきらめてしまう気持ちも生まれるでしょう。しかし、その時こ効率的なオペレーションをグローバルで実現していくかということだことは、とても難しいです。だからこそ、このように先の見えない未たい。それは簡単にあきらめることのできるものではないはずです。と考えています。ですので、ファンクションごとに個別にシステムを考来の中で、私たちが行うべきことは、どのような変化が起きたときに個人のビジョンは、会社としても全力で後押しします。そして、そのえるのではなく、協和キリンとして全体最適の観点でシステムを構築も柔軟に対応できる組織を構築し、時代のニーズに応えていける会個人のビジョンを会社のビジョンとリンクさせていく過程こそが、サすることを最重要視しています。つまり、部分的なDXではなく、大局社になることです。そのために、新しい価値観を受け入れる企業文化ステナブルな成長につながっていくと私は確信しています。的な視座から、当社グループのDX戦略の青写真を描いていかねばを持ち、柔軟に変化できる経営戦略を備えていくことが最も大切で 当社は、株主・投資家の皆さまのご支援もあり、過去10年、着実ならないのです。すでに、グループ全体にとって何が優先度が高いかあると考えています。もちろん、中期的視点でパイプライン設計を行に企業価値を向上することができました。ただし、私は協和キリンの議論を行ない、その中で決定された優先順位に従い、順次投資を始い、持続的な成長ストーリーはこれからもしっかり示していきますポテンシャルは、まだまだこの程度ではないと思っています。日本発めているところです。が、やはり大事なのは、「予測できない変化は起きる」という心構えののグローバル・スペシャリティファーマとして、今まさに翼を大きく もちろん、ハード面だけを強化していては、DXの本領を発揮するもと、それにどう対処できるかということだと思います。広げて羽ばたき始めた協和キリンに、今後ともご理解、ご支援を何ことはできません。当社の事業戦略とIT/デジタルの両方に精通した それに加えて、変化や失敗を恐れず、果敢に挑戦する社員をどんど卒よろしくお願いいたします。人材育成は喫緊の課題であると認識しています。場合によっては外ん増やしていきたいと思います。私は役員や社員に対して、ここを目部の力も借りながら、ハードとソフトの両面からDX戦略を推進して指すと決めたビジョンに関しては絶対にディスカウントしてはならないと常々発信しています。さまざまな困難に直面すれば、人は時に挫いきます。時価総額(億円)18,00015,00012,0009,0006,0003,00016,92916,92913,89413,89415,19615,19612,56212,56211,97411,97411,04011,0409,3169,3166,6816,6816,5496,5495,4305,4304,8944,894020112012201320142015201620172018201920202021どのような変化が起きたときにも柔軟に対応できる組織を構築する協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION価値創造の歴史キリン  1885年麒麟麦酒(株)の前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニー設立キリン  1907年麒麟麦酒(株)設立キリン  1984年Kirin-Amgen社の設立米国Amgen社とエリスロポエチンの研究開発等を目的とした合弁会社Kirin-Amgen社(現Amgen K-A社)を設立。同社はのちに、年間売上1兆円を超える大型製品の権利を有する会社に成長。キリンの医薬事業の存在が世界的に認知されることにつながりました。キリン  1982年キリンビール、医薬事業進出を決断社内で事業多角化の必要性を指摘する声が大きくなった1982年、本社に研究開発部を新設し、医薬事業が本格的に始動。開発科学研究所ではエリスロポエチンの本格的な研究を開始しました。協和発酵  1949年企業整備計画に基づき協和産業(株)の第二会社として協和発酵工業(株)創立協和発酵 1956年抗悪性腫瘍剤マイトマイシンCを分離し工業化に成功キリン  1988年オープンイノベーションの推進1988年、将来の免疫研究への展開を考えていた当社は、世界を代表する免疫学の研究所「ラホヤ免疫研究所」の設立を支援。現在も続くこの提携は、KHK4083の発見に貢献しただけでなく、多くの当社の研究員が最先端の研究に触れる学びの機会にもなっています。06キリン  完全ヒト抗体産生技術の確立感染症やがんなどの治療薬への応用に向けて、ヒト抗体の大量生産を可能にする技術の開発が待ち望まれていました。そうした中、当社の研究者は世界に先駆けてHAC(Human Artificial Chromosome/ヒト人工染色体)技術を考案し、完全ヒト抗体を産生するマウスの開発に成功しました。これにより、抗体の医薬品としての可能性がさらに拡大することとなりました。2008年協和発酵キリン株式会社発足2008年10月、協和発酵工業とキリンファーマの合併により、新会社「協和発酵キリン」が誕生。バイオテクノロジーを基盤とした世界トップクラスの研究開発型ライフサイエンス企業を目指す、「日本発のグローバル・スペシャリティーファーマ(GSP)」への挑戦が始まりました。協和発酵  1951年協和発酵、医薬ビジネスに参入結核は亡国病とさえ言われたこの時代、当社でもストレプトマイシンの研究に取り組んでいたものの、事業として成立するまでの大量生産は実現できていませんでした。そこで、米国メルク社から製造技術を導入し、日本初となるストレプトマイシンの量産化に成功。日本での結核の撲滅に貢献しました。協和発酵  2003年POTELLIGENT®の確立とBioWa社の設立抗体の活性を飛躍的に高める画期的な抗体作製技術「POTELLIGENT®」を確立した当社は 、より多くの人々に貢献したいという強い想いから、2003年に米国にBioWa, Incを設立し、この技術に関するライセンスビジネスを開始。この技術を役立てたいという研究員の強い想いは、度重なる苦難を乗り越え、のちに本技術を搭載した世界初の抗体医薬品として「ポテリジオ」を生み出すことになりました。協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION2011年英国ProStrakan社を子会社化2010年バイオ生産技術研究所に国内有数の抗体原薬製造設備を竣工2018年Crysvita発売(欧米)X染色体連鎖性低リン血症性くる病(XLH)は、発症頻度が2万人に1人といわれる希少疾患。これまで患者さんは成長不全や夜眠れないほどの痛みに苦しんでいましたが、治療は対症療法に限られている状態でした。また、遺伝病であるこの病の患者さんは、親子代々この疾患に苦しんでいました。Crysvitaは、十分な治療法のなかったXLHを適応症とする初の治療薬となりました。2013年ノウリアスト発売(日本)“Dopaminergic” な薬 剤 が 圧 倒 的に主 流である中、“Non-dopaminergic”な本剤の研究開発は困難の連続でした。挑戦しやすい企業文化がプロジェクトを後押しし、2013年、ついに努力は実を結びました。2012年ポテリジオ発売(日本)成人T細胞白血病(ATL)は当時、有効な治療法が存在しない難病でした。本剤の研究開発に携わったすべての人々は、「必ずこれを薬にしなければいけない」という強い想いでバトンを受け渡し、2012年、ポテリジオはPOTELLIGENT技術を応用した世界初の抗体医薬として発売に至りました。2012年富士フイルム(株)との合弁会社「協和キリン富士フイルムバイオロジクス」の発足2014年英国Archimedes社を子会社化2016年高崎工場内にバイオ医薬原薬製造棟が竣工し生産能力が増大2019年協和発酵バイオ(株)をキリンホールディングス(株)に譲渡2019年クリースビータ発売(日本)2019年Nourianz発売(米国)2018年Poteligeo発売(米国)2018年ファセンラ発売(欧米日)ファセンラは当社が創製し、AstraZeneca社に開発・販売権を導出した抗体医薬品。現在では同社のブロックバスター製品になるまで成長しています。07「Crysvitaを表現するとどんな言葉になりますか?」そう尋ねられたある患者さんは、少しだけ考えて「Life Change」と答えました。2019年One Kyowa Kirin体制の始動グローバル戦略品の成長が進む中、日本・EMEA・北米・APACの「地域」軸と、地域を超えた「機能」軸を組み合わせた、マトリックスマネジメント体制を開始。両軸による密な連携と牽制により、業務効率化とガバナンス強化が可能になりました。2021年Amgen社とKHK4083/AMG 451の共同開発・販売に関する契約を締結2020年高崎工場において新品質棟着工2020年Poteligeo発売(欧州)2021年One Kyowa Kirin 体制の進化より患者さんを意識した活動を強化すべく、「地域」「機能」に加えて「製品」軸を追加。グローバル戦略品のさらなる価値最大化を目指します。To The Future未来に向けて私たちの挑戦は続きます協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION協和キリン アニュアルレポート2021INTRODUCTION経営理念、価値観OUR PHILOSOPHY 経営理念協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。08情熱を持ち、楽しみながら、生活を変革しよう。 全ての業務において、現状維持を良しとせずチャレンジしよう。CORE VALUES 価値観この地球上で最も大切な存在のために働こう。 患者さん、 患者さんを介護する人、医療従事者、 そしてお客様のために価値を創造しよう。正しいことをしよう。一貫して誠実で倫理的であろう。公正な事業運営を通じて、より良い世の中を造ろう。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン。 多様性のあるチームで働き、お互いに尊重しよう。 組織の枠を超えよう、そしてステークホルダーと連携しよう。AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報2030 年に向けたビジョン09協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値*の継続的な創出を実現します。アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使し協和キリンの強みを生かした創薬により、有効な治療法のない病気の治療に取り組んでいきます。患者さんを 中心においた医療ニーズへの対応医薬品事業で培った 疾患に関する知見と 最先端の科学・技術の応用に努め、 医薬品にとどまらない 社会の医療ニーズに応えていきます。社会からの 信頼獲得常に信頼され、成長が期待される企業であり続けるため、世界トップクラスの製品品質とオペレーショナルエクセレンスを追求し続けます。* 病気と向き合う人々の満たされていない医療ニーズを見出し、その課題を解決するための新たな薬やサービスを創造し、提供することで、患者さんが「生活が劇的に良くなった」と感じ笑顔になること協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION価値創造ストーリー・・・未来世代地域社会インプット価値創造プロセス(事業プロセス)中計達成に向けた戦略ステークホルダー取引先投資家株主医療従事者アウトプット10人的資本 多様な個性が輝くワンチーム5,752人 従業員数(グローバル) 女性経営職比率(日本) 12.4% 女性リーダー比率(グローバル) 29% 知的資本オンリーワンにこだわった Life-changingな価値創造への挑戦 研究開発費 研究開発費比率 577億円16.4%製造資本確かな品質の医薬品の安定供給 製造サイト(グローバル) 3拠点社会関係資本「One Kyowa Kirin」の進化とステークホルダーの信頼獲得 事業展開国数 42か国自然資本地球環境保全への貢献 エネルギー使用量 水使用量(取水量) 1,004,699 GJ1,672 千m3財務資本持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資 資産合計 資本合計 9,219億円7,372億円アンメット メディカルニーズを 満たす医薬品の 提供患者さんを 中心においた 医療ニーズへの 対応社会からの 信頼獲得Life-changingな 価値を実現する 人材・基盤の強化社員患者さんCSV経営 (価値の共創)患者さんに医薬品を届けるプロセスにおける価値創造経営理念価値観マテリアリティへの対応企業価値増幅の サイクル製品・品質・流通における価値創造研究開発によるUMNを満たす価値創造社会的価値 Life-changing valueの 継続的創出と提供 経済的価値 2021年度実績 売上収益 3,522億円 コア営業利益 657億円 コア営業利益率  18.6% ROE 7.3% アウトカム2030年に向けたビジョンの達成協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONマテリアリティ〜2021 年からの中期経営計画で対応すべき重要課題の特定〜社会と事業の両方の視点から優先的に取り組むべき課題を特定し、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の成長を目指します。11 重要課題抽出(競合他社・業界・専門家レビュー、データ分析)STEP 1課題の抽出STEP 2社会の持続性と事業へのインパクトの評価 社会軸の評価(メディア調査、動向調査) 事業軸の評価(内部資料分析、経営層ヒアリング、社内ワークショップ) マテリアリティ・マトリックス案作成STEP 3重点課題の特定STEP 4妥当性の確認・確定 社会の持続性へのインパクト主な取り組み(KPI)関連するSDGs〜ひとりでも多くの人に笑顔を〜成長機会〇 イノベーションの継続的創出〇 患者アドボカシー〇 医薬へのアクセス向上 アンメットメディカルニーズを満たす 医薬品の提供 P20 患者さんのための取り組み 上市国数P28成長基盤 コーポレートガバナンス 高品質な医薬品を世界中の患者さんへ P46P33〜より信頼される企業へ〜〇 コーポレートガバナンス〇 製品の品質保証と安定供給 患者さんの安全性の確保と適正使用の推進 サプライチェーンマネジメント 法令遵守と倫理ある事業活動 偽造医薬品への対応 リスクマネジメントの強化 人権の尊重 事業活動の透明性・情報開示および対話活動 ステークホルダー・ダイアログ実施 経営層参加の社内会議体での確認・議論 マテリアリティの中期経営計画への組み込み 取締役会での確定マテリアリティマトリックス〜多様な個性が輝くワンチーム〜組織風土・人材〇 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン 社員の健康と安全 社員の能力開発と成長機会の提供P42 多様な人材がLife-changingな価値の実現を目指して活躍できるワンチーム 女性経営職比率 (日本) 女性リーダー比率 (グローバル) 年次有給休暇取得率(日本) ウォーキングキャンペーン参加率(日本)協和キリングループマテリアリティ社会基盤 豊かな地球環境を未来世代へ CO2排出量の低減(2019年比)P35〜豊かな地球環境を未来世代に〜〇 気候変動の緩和と適応 生物多様性の確保 地球環境への負荷の低減 水資源管理 社会貢献活動(医学発展への貢献)グループの事業へのインパクト〇:今期の最重要項目 協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION中期経営計画の概要協和キリングループは、2021年2月に2021年から2025年までの新たな中期経営計画を発表しました。この中期経営計画では、2025年のありたい姿として、定性面と定量面の目標を設定し、ビジョン実現に向け、この5年間に取り組むべき戦略を示しました。また、マテリアリティも見直し、社会からの要請と期待に応えつつ、自社の成長を目指しています。12 グローバル製品の価値最大化 グローバルでの安定供給体制確立 2025年以降の成長を牽引するパイプラインの確保 医薬品にとどまらないサービスの具体化 グローバル事業展開にふさわしい企業文化の醸成経営理念ビジョン2025年のありたい姿 10%以上 ROE 売上収益成長率 CAGR 10%以上 研究開発費率 18 〜20%を目処に 積極投資 コア営業利益率 25%以上(2025年度) 配当性向 コアEPSの40%を目処に 継続増配 患者さんを中心においた医療ニーズへの対応 アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供 社会からの信頼獲得 Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化協和キリンマテリアリティひとりでも多くの人に笑顔をより信頼される企業へ多様な個性が輝くワンチーム豊かな地球環境を未来世代に* 協和キリングループは、経営理念において、世界の人々の健康と豊かさに貢献することを目的に、ライフサイエンスとテクノロジーを強みとして、 新しい価値を創造することを謳っています。この「新しい価値」はすなわち社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)です。 当社グループは、「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しています。CSV 経営*SDGsへの貢献経営戦略協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION財務戦略13グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指す中期経営計画の進(cid:7743)状況 当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、2025年以降の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すための重要な財務指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、株主資本コストを安定的に上回る「10%以上」を早期に達成し、この水準を中長期的に維持向上させていくことを目標としています。 この目標実現のためには、「成長性」「イノベーション創出能力」「収益性」の3つを持続的に高めていくことが重要と考えており、そのための指標として、「売 これら3つの財務指標の目標達成に取り組み、売上収益の成長率を上回る利益成長を実現することにより、「中長期的なROE向上」と「継続増配」を実現し、グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指していきます。 2021年度は、Crysvitaを中心とするグローバル戦略品がトップライン成長を牽引し、売上収益は3,522億円と前期に比べ339億円(11%)増加しました。コア営 業 利 益 は657億 円(コア営 業 利 益 率18.6%)と前 期 に比べ57億 円(10%)、当期利益は523億円と前期に比べ53億円(11%)それぞれ増加し、増上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」の3つをKPIとしています。収増益となりました。コロナ禍においても、売上収益、コア営業利益および当 まず、「売上収益成長率」(成長性の指標)については、グローバル戦略品の収益拡大・価値最大化のための取り組みをさらに推進し、また、次世代戦略品を着実に上市していくことで、中期経営計画期間の5か年を通じて「年平均10%以上」の飛躍的なトップライン成長を目指しています。一方で、研究開発費については、2025年以降の成長を加速・牽引するパイプラインの充実のために、「研究開発費率」(イノベーション創出能力強化の指標)「18〜20%」を目処に積極的な研究開期利益ともに中期経営計画の初年度の計画を達成することができました。ROEも7.3%(前期は6.8%)に改善しました。 中期経営計画2年目となる2022年度においては、日本では薬価基準引下げが実施されますが、北米およびEMEAを中心とするグローバル戦略品のさらなる伸長と技術収入の増加により、売上収益は278億円増収の3,800億円(2020年度を基準年度とした年平均成長率9.3%)を計画しています。一方、販売費発投資を継続的に実行しながらも、コストコントロールの強化による販管費率の及び一般管理費については、引き続きグローバル戦略品の価値最大化とグ低減など収益性の向上に取り組むことで、計画最終年度の2025年には「コア営業利益率」(収益性の指標)を「25%以上」に高めることを目標としています。ローバルな事業基盤の早期確立に向けたITデジタル基盤や人材への積極的な投資に加えて、2023年春から始まる北米Crysvitaの自社販売に向けた準備の財務指標(計数ガイダンス)ROE10%以上(早期達成/中長期的に維持向上)売上収益成長率CAGR*1 10%以上研究開発費率18〜20%を目処に積極投資コア営業利益率*225%以上(2025年度)ROE10%以上中長期的向上ROEROE6.8%6.8%ROEROE7.3%7.3%ROEROE7.1%7.1%売上収益成長率CAGR10%以上売上収益売上収益3,522億円3,522億円売上収益売上収益3,800億円3,800億円売上収益売上収益3,184億円3,184億円配当性向40%を目処に継続増配(コアEPS*3に対する配当性向)*1 2020年度を基準年度とした5か年の平均成長率*2 コア営業利益:「売上総利益」−「販売費及び一般管理費」 − 「研究開発費」+「持分法による投資損益」*3 「コア当期利益」(「当期利益」−「その他の収益・費用(税金影響控除後)」)÷「期中平均株式数」16%19%202016%19%2021研究開発費率18〜20%コア営業利益率コア営業利益率25%以上18%18%2022(予想)2025(計画)常務執行役員財務経理部長川口 元彦協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTION14ための一過性投資(約50億円)により、184億円(13%)の増額を計画しており、研究開発費についても、KHK4083など次世代戦略品の後期開発プロジェクトの進展等に伴い、123億円(21%)増額の700億円(研究開発費率18.4%)を投じる計画です。これらによりコア営業利益は、13億円(2%)増益の670億円(コア営業利益率17.6%)を計画しています。2022年度もしっかり投資を行い、グローバル・スペシャリティファーマとしての強固なビジネス基盤を構築することで、グローバルでの中長期の成長につなげていきます。目指した開発投資に注力するとともに、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出す技術プラットフォームの構築など長期的なイノベーションに向け2,000万ユーロを支出しました。また、ADC(抗体薬物複合体)創製技術に関するライセンス契約をSynaffix社と締結し、契約一時金を支出しました。さらに、た研究投資も積極的に行い、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創最先端の創薬技術情報やプロダクト情報へいち早くアクセスする手段を増やす出することを目指しています。ため、複数のVC(Venture Capital)ファンドへの出資を継続的に行っています。 2021年度は、売上収益の16.4%にあたる577億円のR&D投資を実行しました。主な内容は、次世代戦略品であるME-401、RTA402、KHK7791等の後期開発費用です。また、KHK4083については、2021年6月にAmgen社との共同設備投資開発・販売に関する契約を締結し、開発活動の加速化と可能性の拡大を目指投資も積極的に実施します。特に、安全で高品質な医薬品をグローバルに安 グローバル戦略品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤整備のための定供給するための強固な品質保証・生産体制の確立に注力します。また、グローバルにビジネスを展開していく中で、戦略的なIT・デジタル活用基盤の構築・整備や、グローバルガバナンスおよびリスクマネジメントの強化に向けたキャッシュ・アロケーション 2021-2025年中期経営計画の5か年のキャッシュ・アロケーション計画では、資金の源泉として、手元資金に加えて、5か年で新たに生み出すキャッシュとして8千億円以上の研究開発費控除前営業キャッシュ・フローの創出を見込しています。戦略投資 オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーション投資など、グローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えの取り込みやパイプラインの獲得を目的として、戦略的なパートナリング活動るグローバルな事業基盤の早期確立を目指します。んでいます。考えています。 当該キャッシュのアロケーションとしては、2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取り組みます。中 2021年度は、145億円の設備投資(無形資産、長期前払費用を含む)を実長期的なグローバルパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー行しました。主な内容は、グローバル戦略品の安定供給生産体制の構築・強R&D投資 2021-2025年中期経営計画においては、売上収益の18 〜20%を目処に研究開発費を継続的に積極投資することを目標としています。研究開発活動への資源投入としては、次世代戦略品を中心とするパイプラインの価値最大化を創出、Only-one valueの創出機会の拡大を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指しています。これらの戦略的な成長投資に関しては、社長の宮本を中心に月2回程度の頻度で開催している「戦略的投資検討会議」におい化のための投資や、グローバルERP構築やグローバル品質管理システム構築などのIT・デジタル投資です。て具体的な案件の検討を積極的に行っています。 これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の 2021年度は、戦略投資として、日本におけるIlofotase Alfaの独占的開発・販売権を獲得するライセンス契約をAM-Pharma社と締結し、契約一時金皆さまが当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基キャッシュ・アロケーションソースアロケーション1株当たり配当金推移(円)2021年中計期間中 (5年間累計)に 新たに生み出すキャッシュ研究開発費控除前営業CF:8千億円以上(営業CF+研究開発費)手元資金:約3千億円(2020年末)+借入余力R&D投資:約4千億円(研究開発費率18 〜20%)戦略投資(パイプライン拡充、創薬技術等)設備投資:約1千億円(グローバル安定供給生産体制、IT・デジタル投資等)配当(コアEPSに対する配当性向40%)自己株式取得(機動的検討)成長投資株主還元6050403020103535272742424444464648482025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資を最優先する。株主還元は中長期的な利益成長に応じた継続増配を目指し、自己株式取得は機動的に検討する。0201720182019202020212022(予定)準としています。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しています。株主還元 配当方針については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向(以下、「配当性向」)40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指していきます。この方針に基づき、2021年度は、2020年度より2円増配の46円(配当性向43.2%)の配当を実施しました。また、2022年度の配当については48円(配当性向47.9%)と、6期連続の増配を予定しています。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで機動的に検討します。 日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、成長性、イノベーション創出能力、収益性を高め、中長期的なROE向上と継続増配を目指していきます。協和キリン アニュアルレポート2021AT A GLANCE価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCEヘッドラインニュース2021年6月米国Amgen社とアトピー性皮膚炎治療薬KHK4083の共同開発・販売に関する契約を締結詳細はP24152021年8月Synaffix社 とADC創 製 技術に関するライセンス契約を締結2021年10月RNA構造を標的とする創薬に向けてxFOREST社・Axcelead社と三社間共同研究契約を締結詳細はP22I n n o v a t e w i t h I n t e l l i g e n c e2021年12月AI創薬に関するInveniAI社との共同研究を拡大R詳細はP22詳細はP222021年12月「グローバルDE&I宣言」を策定詳細はP432021年11月LGBTQに関する取り組みを評価する「PRIDE指 標2021」においてシルバー認定を取得詳細はP432022年1月富士リサーチパークおよびCMC研究センターに「アクアプレミアム」を導入詳細はP352021年11月気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の 提 言への賛同を表明詳細はP372022年3月「健康経営銘柄」に初めて、「健康経営優良法人ホワイト500」に6年連続で選定詳細はP452021年12月NPO法人ASridが設立した希少疾患情報コミュニティ「STEP」に参画詳細はP29協和キリン アニュアルレポート2021価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCE財務ハイライト決算のポイント売上収益 2020年・2021年と2年連続で実施された薬価基準の引下げや、2020年に一部製品の共同販売を終了した影響により、日本は減収となりました。一方、欧米で2,000グローバル戦略品が順調に伸長したことにより、海外は増収となりました。また、技術収入も増収となりまし1,000た。これらの 結 果、2021年 の 売 上 収 益 は339億 円(11%)の増収、海外売上比率は前年から6ポイント増加し54%となりました。売上収益(億円)4,0003,0002,7152,7153,8003,8003,5223,5223,0583,0583,1843,184海外売上収益/海外売上比率(億円) (%)研究開発費/研究開発費比率(億円) (%)2,2552,2551001,00016.816.817.517.516.416.416.416.418.418.47007005355355235235775774574571,9031,90354.054.059.359.31,5171,51747.747.72,5002,0001,5001,0005001,1961,19639.139.188088032.432.4020182019202020212022(予想)020182019202020212022(予想) 海外売上収益(左軸) 海外売上比率(右軸)020182019202020212022(予想) 研究開発費(左軸) 研究開発費比率(右軸)コア営業利益/コア営業利益率(億円) 当期利益/ROE(自己資本利益率)(億円) (%)配当金/配当性向*(円) (%)コア営業利益 北米におけるCrysvitaプロフィットシェア費用の増加、グローバル戦略品の価値最大化とグローバル事業基盤の早期確立に向けたITデジタル・人材への積極投資、ME-401やKHK7791など後期開発パイプラインの進展により、販売費及び一般管理費・研究開発費はともに増加したものの、売上収益の増加に伴う売上総利 益の増 加および持 分 法 投 資 損 益の増 加により、2021年のコア営業利益は57億円(10%)の増益となりました。80060040020065765767067059459460060050350318.518.519.419.418.818.818.618.617.617.667167110.110.16005445444008.68.680020040302010048484646(%)10044444242353550.350.347.947.943.243.25235235305304704706.86.87.37.37.17.135.235.233.733.70201820192020202102018201920202021020182019202020212022(予想)2022(予想)2022(予想) コア営業利益(左軸) コア営業利益率(右軸) 当期利益(左軸) ROE(右軸) 配当金(左軸) 配当性向(右軸)* 2021年および2022年の配当性向はコア当期利益(「当期利益」–「その他の収益・費用(税金影響控除後)」に対する配当性向80060040020050403020108060402002015105016201612840806040200協和キリン アニュアルレポート2021価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCE非財務ハイライト17詳しくはESGデータ集へhttps://www.kyowakirin.co.jp/csr/esg_data/index.html2520151050(%)50.040.020.010.0(千m3 /億円)廃棄物発生量 *2(t) 労働災害度数率 *3、4(%)(%)1.21,5001,4271,4271,4081,4081,2771,2772.0全産業平均1.831.831.801.801.661.661.951.95CO2排出量 *1(t-CO2) 100,00023.423.4(t-CO2 /億円)取水量 *1(千m3) 1.131.136,00020.320.317.017.055,00255,00251,93151,93112.912.980,00060,00064,62064,62042,36840,00036,74034,68710.910.941,07441,07438,24938,24920,00022,25218,26217,24417,18516,3552030(目標)23,88921,89423,36923,3692,0004,0003,1143,1140.860.860.730.732,3252,3252,2292,2290.550.550.470.471,7461,7461,6721,6721,1581,1581,1601,1601,2000.7220.7220.89006003001,3371,3370.42030(目標)0 Scope1(左軸)  Scope2(左軸) 連結売上高原単位(右軸) 取水量(左軸) 連結売上高原単位(右軸) 廃棄物発生量(左軸) 最終処分率(右軸)従業員数/海外従業員比率(人) 女性管理職数/女性管理職比率 *5(人) (%)障害者雇用率 *6(%)02017201820192020202102017201820192020202102017201820192020202100201720182019202020210.0910.0910.1090.1090.0040.0040.0020.0020.360.36(2)(2)0.130.13(1)(1)0.190.19(1)(1)0.390.39(4)(4)0.000.00(0)(0)10,0008,0004,0002,0007,5327,53280061239123.923.97,2427,24287167827.227.26,0004245,7295,26929.729.730.030.05,4235,4235,7525,75230.028.028.04597163005,2675,2675086583485347584353,7923,9094,0251231231011011031038.98.99.79.711.211.215010091917.87.85014214218.018.018.03.012.412.412.02.02.002.002.452.452.332.332.592.592.452.452.432.43法定雇用率2.302.302.202.206.01.02025(目標)0 協和キリングループ(国内)020172018201920202021002017201820192020202102017201820192020202120182019202020212022 日本  北米  EMEA  APAC 海外従業員比率(右軸) 女性管理職数(左軸) 女性管理職比率(右軸) 社内取締役数 独立社外取締役数*1 グローバルの生産研究事業場を対象としています。*2 国内の生産研究事業場を対象としています。*3 2018年までは協和キリン、協和メデックス、協和発酵バイオ、協和ファーマケミカルの生産研究事業場を、2019年および2020年は協和キリンの全事業場を、2021年は*4 100万のべ実労働時間当たりの休業災害死傷者数を表します。*5 協和キリンを対象としています。*6 各年6月時点のデータです。協和キリングループの国内全事業場と海外生産研究事業場を対象にしています。1.00.80.60.40.21.51.00.51086420 労働災害度数率 ( )内は休業災害件数取締役数(人)88357725884477349954協和キリン アニュアルレポート2021価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCEパイプライン(2021 年12月31日現在)抗体たんぱく製剤低分子化合物 開発番号の◎は新規成分2021年1月〜12月の進(cid:7743)開発番号(一般名)<剤形>作用機序等対象疾患KHK7580(エボカルセト)<経口剤>カルシウム受容体作動薬二次性副甲状腺機能亢進症◎RTA 402(バルドキソロンメチル)<経口剤>Antioxidant Inflammation Modulatorアルポート症候群糖尿病性腎臓病常染色体優性多発性嚢胞腎KW-3357(アンチトロンビンガンマ)<注射剤> 遺伝子組換えヒトアンチトロンビン 妊娠高血圧腎症KHK7791(テナパノル塩酸塩)<経口剤>NHE3阻害剤透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症腎領域 がん領域KW-0761(モガムリズマブ)<注射剤>ヒト化抗CCR4抗体菌状息肉腫およびセザリー症候群KRN125(ペグフィルグラスチム)<注射剤>持続型顆粒球コロニー形成刺激因子自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員◎KHK2455<経口剤>IDO1阻害剤◎ME-401(ザンデリシブ)<経口剤>PI3Kδ阻害剤同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした自動投与デバイス固形がん膀胱がん濾胞性リンパ腫/辺縁帯リンパ腫濾胞性リンパ腫辺縁帯リンパ腫B細胞悪性腫瘍低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫日本日本日本日本日本韓国日本日本日本北米北米欧州日本日本スイス/サウジアラビア/豪州中国/カナダ/クウェート日本/北米/欧州/アジア/オセアニア/その他北米/欧州/アジア/オセアニア開発地域中国/アジア第1相第2相申請承認開発段階第3相2021年12月31日現在自社or導入田辺三菱製薬(株)18Reata社自社Ardelyx社自社自社Amgen K-A社MEI Pharma社用語解説 出典:くすりの情報Q&A55(日本製薬工業協会)第1相臨床試験(フェーズⅠ) 少数の健康な人(試験によっては患者さん)を対象に、副作用などの安全性について確認します。第2相臨床試験(フェーズⅡ) 少数の患者さんを対象に、有効で安全な用量や用法などを確認します。第3相臨床試験(フェーズⅢ) 多数の患者さんを対象に、既存の標準薬などと比較して、有効性と安全性を確認します。※すべての臨床試験は被験者の同意を得て治験医師の管理下で行われます。協和キリン アニュアルレポート2021価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCE免疫・アレルギー疾患領域 開発番号(一般名)<剤型>作用機序等対象疾患開発地域第1相第2相申請承認開発段階第3相台湾/マレーシアKHK4827(ブロダルマブ)<注射剤>ヒト型抗IL-17受容体A抗体強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎強直性脊椎炎全身性強皮症掌蹠膿疱症◎KHK4083/AMG 451(rocatinlimab )<注射剤>ヒト型抗OX40抗体アトピー性皮膚炎日本/北米/欧州KW-6002(イストラデフィリン)<経口剤>アデノシンA2A受容体拮抗剤パーキンソン病アデノシンA2A受容体拮抗剤/逆作動剤パーキンソン病中枢神経領域◎KW-6356<経口剤>◎KHK6640<注射剤>その他KRN23(ブロスマブ)<注射剤>ヒト型抗FGF23抗体タイ日本日本欧州日本中国欧州韓国タイ中国欧州日本中国/バーレーン/サウジアラビア/シンガポール/豪州タイ/マレーシアイスラエル/カナダマレーシア/シンガポールX染色体連鎖性低リン血症腫瘍性骨軟化症免疫抑制療法に不応又は免疫抑制療法が適用とならない再生不良性貧血既存治療に抵抗性の成人の再生不良性貧血他の治療法に抵抗性の成人の慢性免疫性血小板減少症/既存治療に抵抗性の成人の再生不良性貧血免疫性血小板減少症先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向、アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群滲出型加齢黄斑変性AMG531(ロミプロスチム)<注射剤>トロンボポエチン受容体作動薬Amgen K-A社KW-3357(アンチトロンビンガンマ)<注射剤> 遺伝子組換えヒトアンチトロンビンKHK4951免疫抑制療法未治療の再生不良性貧血日本/アジア第2/第3相抗アミロイドβペプチド抗体アルツハイマー型認知症日本/欧州イムナス・ファーマ(株)192021年12月31日現在自社or導入Amgen K-A社自社自社自社自社自社自社協和キリン アニュアルレポート2021価値創造の戦略価値創造の基盤財務情報会社情報INTRODUCTIONAT A GLANCE20価値創造の戦略Kyowa Kirin, Inc.ラホヤ研究所のミッションは、自己免疫疾患や炎症性疾患の新薬開発です。私はそこで、研究チームオープンイノベーションチームの同僚とともに、新たな創薬ターゲットの探索と評価に日々取り組んでいます。私たちの創り出した治療薬が継続的に優位性を示すことができるよう、創薬研究に革新的技術を取り込むことが重要だと考えています。常に変化し続ける環境の中で、最新の生命科学研究とLife-changingな価値、すなわち患者さんの笑顔とをどう

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