日本触媒(4114) – TCFDレポート 2022年4月

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開示日時:2022/05/20 00:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 32,280,100 2,672,800 2,807,700 608.84
2019.03 33,886,900 2,617,000 2,617,000 598.05
2020.03 30,215,000 1,317,800 1,317,800 278.21
2021.03 27,316,300 -1,592,000 -1,592,000 -273.33

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
5,480.0 5,371.2 5,608.8 80.54 10.53

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 1,148,400 3,882,300
2019.03 324,300 3,591,800
2020.03 347,000 3,749,900
2021.03 389,100 3,527,700

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

TCFDレポート2022年 4⽉Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.⽬次1. 2050年カーボンニュートラル達成を⽬指して ・・・・・・・・・・・・・・22. 気候変動問題に関するガバナンス体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・33. 気候変動問題に関するリスク管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34. 気候変動問題に関する戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44-1. マテリアリティ(重要課題)4-2. 気候変動問題に関するシナリオ分析の実施4-2-1.シナリオ分析の前提4-2-2.シナリオ分析の範囲の特定4-2-3.参考とした科学的根拠など4-2-4.1.5℃シナリオ分析結果4-2-5.4℃シナリオ分析結果4-3. シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価4-3-1.気候変動に関する機会の評価結果4-3-2.気候変動に関するリスクの評価結果5. 気候変動問題に関する指標と⽬標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125-1.2050年に向けた⽣産段階(Scope1、Scope2)におけるCO2排出削減に向けた取り組み5-2.サプライチェーン(Scope3)を通じたCO2排出量削減の取り組み5-3.環境貢献製品の認定6. 気候変動問題対応に貢献する製品の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・167. 最後に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.11. 2050年カーボンニュートラル達成を⽬指して当社は、2021年4⽉、グループの成⻑に向けて、10年後の2030年の⽬指す姿を描いた⽇本触媒⻑期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を策定、公表しました。その中で2030年に次の3つの姿を⽬指すこととし、これらを実現させるため、3つの変⾰を掲げています。<2030年の⽬指す姿>■⼈と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供していること■社会の変化を⾒極め、進化し続ける化学会社であること■社内外の様々なステークホルダーとともに成⻑していること<⽬指す姿に向けた3つの変⾰>① 事業の変⾰② 環境対応への変⾰ ︓2050年カーボンニュートラル実現に向けたサステナビ︓既存分野から成⻑分野へのポートフォリオ変⾰③ 組織の変⾰︓成⻑し続ける組織、多様な⼈財がいきいきと働く会社リティ推進への変⾰このうち、②環境対応への変⾰に関しては、温室効果ガス(GHG、特にCO2)排出量削減によるカーボンニュートラル達成を⽬指した活動が最も重要と考えています。具体的なアプローチの⼿法として、まず、⾃社の⽣産(Scope1、Scope2)におけるCO2排出削減に向け、原料のバイオマス化、省エネルギー推進、プロセスの改善、エネルギーのグリーン化などに取り組みます。また、サプライチェーン(Scope3)におけるCO2排出削減に向け、環境貢献製品の普及促進、カーボンリサイクル技術の開発、⾼吸⽔性樹脂(SAP)を含む資源のリサイクルなどの活動を強⼒に進めていきます。⽇本触媒の⽬指す姿(2030年と2050年の姿)Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.22. 気候変動問題に関するガバナンス体制環境問題の中でも気候変動問題は、製造、研究段階にとどまらない全社的な課題であることから、サステナビリティに関して当社経営の中核的なテーマの⽅針、戦略を決定する「テクノアメニティ推進委員会(委員⻑︓社⻑)」で集中的に検討を⾏うこととし、取り組みを加速しています。取締役会は、本委員会で議論される気候変動問題に対する、⽅針、戦略、計画、実績について報告を受け、必要となる指⽰を⾏います。気候変動問題に関するガバナンス体制取締役会指⽰報告テクノアメニティ推進委員会サステナビリティ推進に関する⽅針や戦略の決定。各部⾨に対する計画、施策策定の指⽰、その実績評価を⾏う。(気候変動問題への対応も含まれる)3. 気候変動問題に関するリスク管理当社グループ全体のリスク管理は、「グループ重⼤リスク」と「部⾨リスク」に区分して取り組んでいます。「グループ重⼤リスク」については、当社グループの経営戦略遂⾏、持続的企業価値向上、ステークホルダーからの信頼の獲得に潜在する重⼤なリスクを管理対象とし取締役会がリスクの特定、評価、対応要否の決定および執⾏部⾨によるリスク管理の状況の監督を実施する体制を構築しています。⼀⽅で「部⾨リスク」については、各部⾨・関係会社の事業戦略または業務の遂⾏に潜在するリスクを管理対象とし、迅速に対応する体制を構築しています。この中でサステナビリティの対応不⾜を「グループ重⼤リスク」と捉え、テクノアメニティ推進委員会で管理しています。特に気候変動問題については解決すべき重要な社会課題と認識し、必要に応じ分科会を設置するなど機動的に対応しています。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.34. 気候変動問題に関する戦略4-1. マテリアリティ(重要課題)テクノアメニティ推進委員会において、当社が社会的責任を果たし、事業を持続的に⾏う上で重要な5項⽬をマテリアリティ(重要課題)として設定しました。この中でも気候変動問題対応は緊急性、重要性が特に⾼い項⽬として集中的に検討を⾏っています。マテリアリティ(重要課題)気候変動対応の推進⼈財育成・活躍推進コーポレート・ガバナンスの強化安全・安定⽣産活動の推進顧客課題解決への貢献4-2. 気候変動問題に関するシナリオ分析の実施当社は2021年3⽉にTCFD(気候関連財務情報開⽰タスクフォース)提⾔に賛同しました。これを契機に以前より⾏っていた気候変動問題に関する機会・リスクのシナリオ分析をTCFD提⾔に沿う形で改めて実施しました。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.44. 気候変動問題に関する戦略4-2-1. シナリオ分析の前提シナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業⾰命以前に⽐べて1.5℃に抑える努⼒を追求する」というパリ協定⽬標やIPCCの第6次評価報告書を踏まえ、急速な低炭素移⾏シナリオである1.5℃シナリオと、より⾼い温暖化結果とより重⼤な物理的影響を予測する4℃シナリオを軸に検討しました。当社グループは、バリューチェーンの上流に位置する化学品から下流に近い製品までを扱っていることから数多くのシナリオが想定されますが、次に⽰すように範囲を特定することで、より重要なシナリオを中⼼に分析を⾏うことにより、より効率的に気候変動問題への対応が可能になると考えました。Global surface temperature change relative to 1850-1900出典︓IPCC AR6 図SPM .84-2-2.シナリオ分析の範囲の特定シナリオ分析を⾏うにあたって、2050年のカーボンニュートラル達成を⽬指しつつ、2030年を分析対象としました。また、当社の事業にとって、① 重要な成⻑分野② 事業に与える可能性が⾼い気候変動に伴うリスクと機会③ バリューチェーン全般にわたる潜在的な気候変動の影響を分析範囲としました。以上の時間軸と事業範囲について、2030年の機会とリスクを評価しました。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.54. 気候変動問題に関する戦略4-2-3.参考とした科学的根拠など公表されている多数のシナリオ、あるいはそれらのシナリオから導き出された予測資料などから、当社の事業環境を分析し、新規参⼊・売り⼿・買い⼿・⾃社を中⼼とした業界などの世界観を整理するために、以下の表に⽰すようなシナリオを参考にしました。現在1.5℃の世界4℃の世界出所−−−−−−−−−−炭素排出⽬標・政策発電量(世界) ⾵⼒(%は⽐率) 太陽光1423TWh(5%)665TWh(2%)4770TWh(15%)4315TWh(14%)3361TWh(10%)2764TWh(8%)IEA WEO2020再⽣可能電⼒による⽔素製造(世界)833TWh(2030)IRENA GET2050CO2排出量(世界)36064百万トン16834百万トン(2040)炭素価格(先進国)63$/t(2025)140$/t(2030)電気事業者CO2排出係数(⽇本)0.444kg‐CO2/kWh(2019調整後)0.37kg‐CO2/kWh(2030)⽔素発電(⽇本)100万kW(2030)太陽光発電(世界)17GW/y(2010)300GW/y(2030)燃料電池(エネファーム)35万台(2020)530万台(2030)蓄電池(世界)4.67TWh(2017)6.62〜7.82TWhIRENA ERCM203011.89〜15.27TWh(2030)技術市場リサイクル⾃然災害電気⾃動⾞(世界)50万台以下(2010)157百万台(2030)CO2回収160Mt(2020)650Mt(2030)廃棄物リサイクル(EU)46%(2017)60%(2030)洪⽔発⽣頻度2倍(2℃)4倍⾼潮(東京湾)5%増加(2℃)13%増加:Energy Technology PerspectivesETPWEM :World Energy ModelWEO :World Energy OutlookGETERCM :ELECTRICITY STORAGE AND RENEWABLES:COSTS AND MARKETS TO 2030CCU:Global Energy Transformation A Roadmap To 2050:Special Report on Carbon Capture Utilisation and Storage CCUS in clean energy transitionsIEA ETP2020IEA WEM2020電事連 低炭素実⾏計画資源エネルギー庁⽔素基本戦略IRENA GET2050第5次エネルギー基本計画IRENA GET2050IEA ETP2020 CCUDirective(EU)2018/851国交省 気候変動を踏まえた治⽔計画の在り⽅提⾔環境省 気候変動による災害激甚化に関する影響評価−−1倍−Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.64. 気候変動問題に関する戦略4-2-4.1.5℃シナリオ分析結果1.5°Cシナリオでは、気候変動の影響を⼤きく緩和するため脱炭素社会への移⾏に向け強⼒に対応することが求められます。移⾏に伴う市場の変化として、再⽣可能エネルギーの利活⽤を中⼼とした社会インフラやそれに対応する製品が主流となることが想定されます。具体的には、⾃動⾞の電動化やエネルギー貯蔵関連の素材提供、リサイクル促進、バイオマス原料活⽤などがあげられます。また、脱炭素に向けた法規制の導⼊、顧客、投資家からの要求が⾼まることが予想されます。1.5℃シナリオ(低炭素移⾏シナリオ)分析結果新規参⼊者 カーボンオフセットなどの認証やCO2排出量のラベリングを利⽤した⽯化製品 バイオマス由来基礎化学品 CO2を原料にした基礎化学品業界 バイオマス原料の活⽤ ⽣産⼯程の省エネ・脱炭素へ向け、技術投資などが活発化 市場では、脱炭素、 CO2回収・再資源化、⽔素関連、再エネ関連の素材がトレンド化 特にEV関連、⽔素利活⽤に伴う蓄電池、燃料電池材料の要求 マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの推進によるCO2削減売り⼿(原材料サプライヤー) 炭素規制により調達コストが⾼騰 原料のバイオマス化や再⽣材料の使⽤率が上がり調達・製造コスト増加 再エネが主流になりつつあり、⽣産コストが増加 激甚災害の対策コスト増加売り⼿(エネルギー) 再エネ電源⽐率増加で電⼒CO2排出係数減少 電⼒単価の上昇政府 炭素税の導⼊ 排出量取引の導⼊ 補助⾦充実など省エネ・再エネ普及、低炭素化促進政策を実施 電気⾃動⾞や⽔素社会実現に向けた政策実施 リサイクル関連規制強化投資家 投資要件に低炭素・脱炭素が重点項⽬化買い⼿(顧客) バイオマス由来素材要求 低炭素、脱炭素関連製品に関連する素材要求 化⽯燃料を使⽤する内燃機関の廃⽌とそれに伴う電動化 認証やラベリングの対応要求 バリューチェーンからの環境貢献要求 炭素価格の転嫁されていない製品の選択Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.74. 気候変動問題に関する戦略4-2-5.4℃シナリオ分析結果IPCC評価報告書では、2030年時点で1.5℃と4℃のシナリオではほぼ同様な気候変化となっていますが、2030年以降シナリオ間の差が拡⼤していきます。4℃シナリオでは、現在の延⻑線上の対応にとどまり低炭素・脱炭素は1.5℃シナリオほど進展せず成り⾏きとなり、2030年以降は気温上昇による⾃然災害の激甚化や慢性的な気温上昇に関する様々な物理的なリスクを免れないことになります。具体的には、バイオマス原料の⼊⼿困難化や異常気象に伴う製造設備などへの物理的な被害、サプライチェーンの⼨断、光熱費増⼤などによる事業運営費の増加が避けられなくなると予想されます。4℃シナリオ(物理的気候シナリオ)分析結果新規参⼊者 カーボンオフセットなどの認証やCO2排出量のラベリングを利⽤した⽯化製品は、限定的に供給されるにとどまり新規参⼊は困難 バイオマス由来基礎化学品やCO2を原料にした基礎化学品は限定的で限られた市場にのみ流通業界 従来通りの再エネ・省エネ施策を実施するため、⼤きな変化なし マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル ⽣産拠点に対する浸⽔や強⾵などの物理的リは⼤きく進展せずスクの顕在化 ヒートストレスによる労働⽣産性の低下 BCP対策費⽤の増加政府 炭素税の導⼊⾒送り 排出量取引の導⼊は⾒送り 補助⾦充実など省エネ・再エネ普及、低炭素化促進政策を実施するも1.5℃ほど推進されない 電気⾃動⾞や⽔素社会実現に向けた政策実施は進まない リサイクル関連規制強化されない投資家 投資要件の低炭素・脱炭素重点項⽬化は1.5℃ほど進まない買い⼿(顧客) バイオマス由来素材要求は限定的 低炭素、脱炭素関連製品に関連する素材要求は1.5℃ほど増加しない 認証やラベリングの対応も1.5℃ほど増加しない バリューチェーンからの環境貢献要求は成り⾏き 炭素価格の転嫁は1.5℃ほど実施されない売り⼿(原材料サプライヤー) 炭素規制は未導⼊ 原料のバイオマス化や再⽣材料の使⽤率は成り⾏き 再エネは主流にならない 激甚災害の対策コスト増加 化⽯原料採掘現場や⽯油精製プラントなど原材料サプライヤー物理的リスク顕在化売り⼿(エネルギー) 再エネ電源⽐率は増加せず電⼒CO2排出係数は減少しない 電⼒単価は⼤きくは上昇しないCopyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.84. 気候変動問題に関する戦略4-3. シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価市場変化や企業活動の変化、低炭素社会、循環型社会への移⾏を推進するための政策や法規制、ステークホルダーからの評価などを考慮したシナリオ分析により財務的な影響の程度を次表のとおり整理しました。当社にとって財務的にプラスの影響を機会、マイナスの影響をリスクと捉えており、財務への影響は、関連する財務指標に与える影響を鑑みて、⼤、中、⼩の三段階で評価しています。事業機会としては、低炭素、脱炭素に寄与する素材の需要増加があげられます。なかでも⾃動⾞は、ガソリンエンジンから電気駆動モーターへの切り替えの加速、さらなる⾃動⾞の軽量化による消費エネルギーの低減が期待されており、当社のリチウムイオン電池関連材料、⾃動⾞の軽量化に寄与する⾃動⾞関連材料の提供が貢献できると考えています。また、⼆酸化炭素の排出を著しく削減またはゼロにすることが当⾯は困難な事業所として発電所や製鉄所などがあり、排出される⼆酸化炭素を回収し、回収した⼆酸化炭素を資源として有効利⽤することが試みられています。そういった分野においても、当社のCO2吸収剤やメタン製造触媒の開発が課題解決に貢献できると考えています。さらに、⽔素社会を⾒据えて、再⽣可能エネルギーによる⽔の電気分解、電気分解で⽣産した⽔素のアンモニアへの転換、アンモニア燃焼時の有害物質除去といった⼀連の流れでも当社の触媒や素材の提供による貢献が期待できます。脱化⽯燃料を⽬指し再⽣可能エネルギーを利⽤する分野では素材産業への期待は⼤きく、事業機会に与える財務的影響も⼤きいと判断されます。リスクとしては、気候変動関連の技術開発、エネルギーや製品原料のグリーン化が遅れることで顧客の選別から外れ事業機会を喪失することなどがあげられます。これらのリスクについても、機動的に低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化を⾏い市場からの要求に対応するとともに、原料や燃料の⾮化⽯化を進めていきます。将来、1.5℃シナリオから逸脱し4℃シナリオに移⾏した場合のことも考慮し、想定されるリスクについても対応を検討しています。製造設備については、これまでも⾃然災害に対する対策を実施してきていますが、今後も製造設備のレジリエンス対策を進めるとともに、サプライチェーン⼨断に備えBCP強化を進めていきます。また、⻑期的な気候変動により植物原料の調達が困難になると予想されますので、多様な原料調達と代替原料について検討を始めています。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.94. 気候変動問題に関する戦略4-3-1.気候変動に関する機会の評価結果1.5℃シナリオ主な機会⽇本触媒の対応⾃動⾞の電動化に伴う電池材料などの需要増加リチウムイオン電池関連材料電気⾃動⾞関連部材向け材料CO2吸収・回収・再資源化技術、固定化技術関連製品の需要増加CO2吸収剤メタン製造触媒技術市場低炭素、脱炭素関連製品の需要の増加リサイクルの推進⽔素・アンモニア合成/分解触媒の利活⽤・⽔素関連技術の開発促進・アンモニアへの燃料転換に伴う排ガス触媒の採⽤増加使⽤段階にて省エネに寄与する環境貢献製品の需要増加アルカリ⽔電解⽤セパレータ燃料電池材料アンモニア合成/分解触媒脱硝触媒⾃動⾞軽量化材料、省エネ関連素材などリサイクル対応製品の需要増加紙おむつ(⾼吸⽔性樹脂)リサイクル促進政策法規制炭素価格の上昇炭素関連の法規制・政策省エネ・GHG削減設備の普及触媒湿式酸化排⽔処理⽤触媒独⾃の省エネプロセス開発顧客要請・評判バイオマス原料活⽤やCO2排出量の少ないエネルギー・燃料の導⼊要求使⽤段階においてCO2排出削減に貢献する製品の要求気候変動への取り組み外部評価気候変動対応による事業機会の拡⼤環境貢献製品の需要増加バイオマス原料の利⽤エネルギーのグリーン化⼤環境貢献製品の開発促進及び認定強化環境格付けによる企業価値向上中積極的な気候変動関連の情報公開評価結果⼤⼤⼤⼤⼤⼤⼤Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.104. 気候変動問題に関する戦略4-3-2.気候変動に関するリスクの評価結果1.5℃シナリオ主なリスク⽇本触媒の対応技術市場低炭素、脱炭素関連製品の需要増加リサイクルの推進脱炭素に関する研究開発の遅れによる市場占有率の減少⽯化由来原料を使⽤した製品の販売減少リサイクル技術の技術的困難性政策法規制炭素価格の上昇炭素関連の法規制・政策原料・エネルギー調達コスト増加省エネ・GHG削減設備導⼊によるコスト増加顧客要請・評判バイオマス原料活⽤やCO2排出量の少ないエネルギー/燃料の導⼊要求使⽤段階においてCO2排出削減に貢献する製品の要求気候変動への取り組み外部評価他社製品への置き換わり脱炭素化が進まないことでの顧客、投資家などの評価の低下低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化廃棄物発⽣の少ない製造⼯程・製品の開発SAPリサイクル技術の開発エネルギー証書の活⽤エネルギーのグリーン化、バイオマス原料の活⽤プロセスの効率化バイオマス原料活⽤エネルギーのグリーン化環境貢献製品の開発促進環境格付けによる企業価値低下積極的な気候変動関連の情報公開4℃シナリオ主なリスク⽇本触媒の対応急性災害に激甚化慢性平均気温の上昇⾼潮、強⾵による製造設備の冠⽔、破壊洪⽔によるサプライチェーン⼨断による⽣産停⽌、販売機会喪失拡⼤バイオマス原料調達困難熱中症対策費⽤の増加⾵⽔害対策の強化レジリエンス対策BCP強化原料調達多様化の推進代替原料の確保作業環境の更なる改善デジタルトランスフォーメーションの活⽤推進評価結果⼤⼤⼤⼤中中⼤⼤⼩評価結果Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.115. 気候変動問題に関する指標と⽬標当社は2020年3⽉、事業活動に伴い発⽣するGHGの排出(Scope1、Scope2)を削減するため、2014年を基準年とし2030年までにGHG排出量を10%削減する⽬標を設定し公表しました。しかし、その後、2021年4⽉に⽇本政府は、2013年を基準年とした2030年のGHG排出削減⽬標を、それまでの26%から46%とする⼤幅な⾒直しを公表しました。さらに、2021年に公表されたIPCCの第6次評価報告書では、第5次評価報告書(2014年版)に⽐べて、産業⾰命以前に⽐べて世界の平均気温が1.5℃を超えるのは10年早まったことが明らかになっています。これを受け、当社は⽬標の⾒直しを検討し、グループ会社を含めた国内全体を対象に、2014年を基準年とした2030年のGHG排出量削減⽬標を10%から30%に⾒直し、2021年11⽉に公表しました。また、環境貢献製品の開発・普及を促進するため売上収益全体に占める環境貢献製品の売上収益総額(当社単体とグループ会社)を2020年度の290億円に対し、2024年度550億円、2030年度1,350億円とする⽬標を新たに設定しました(下表の環境貢献製品については16⾴で詳しく説明します)。気候変動問題に関する指標と2030年の⽬標GHG排出量 Scope1+2(万t-CO2 国内)2014年度基準削減率(% Scope1+2)環境貢献製品売上収益(億円 グループ会社を含む)82–79429057301,3502014年度実績 2020年度実績 2030年度⽬標Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.125. 気候変動問題に関する指標と⽬標5-1.2050年に向けた⽣産段階(Scope1、Scope2)におけるCO2排出削減に向けた取り組み当社グループの事業活動に伴い排出されるGHGの⼤半をCO2が占めています。事業活動によるCO2排出は、製品の⽣産活動に伴うエネルギー使⽤によるCO2と酸化反応プロセスから排出されるCO2 、⽣産活動で⽣じる廃棄物の処理に伴い発⽣するCO2があります。2030年までは、可能な範囲で原料のバイオマス化を進め、省エネルギー推進、グリーンエネルギーの利⽤促進、プロセスの改善、触媒の効率向上などの対策を中⼼にCO2排出量削減を進めます。2030年から2050年までは、上記の対策を引き続き進めるなかで、原料のバイオマス化の拡⼤、加えて、リサイクル原料利⽤、グリーン燃料(⽔素、アンモニア)の利⽤促進、カーボンリサイクル技術の実証(CO2回収・再利⽤)を進めていく予定です。上記取り組みをゴールに導くとともにバイオ由来CO2の回収・再利⽤も⾏い、カーボンニュートラル達成を⽬指します。2050年に向けたGHG排出削減ロードマップCopyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.135. 気候変動問題に関する指標と⽬標5-2.サプライチェーン(Scope3)を通じたCO2排出量削減の取り組み気候変動の課題を解決するためには、⾃社製品の製造段階だけではなく使⽤や廃棄などの段階を含めたサプライチェーン全体のCO2排出量削減に取り組むことも重要です。当社では、製品の利⽤段階などにおいて、これまでの製品に⽐べてCO2の排出量を削減できる製品(環境貢献製品)を提供しているほか、新たな環境貢献製品の開発も進めています。また、サプライチェーン全体でのCO2の排出量削減に寄与する新たな技術の開発(CO2変換触媒の開発など)を進めています。さらに、炭素を循環(リサイクル)することによるCO2排出削減を⽬指して、⾼吸⽔性樹脂(SAP)を含むオムツのリサイクル推進システムの開発にも取り組んでいます。サプライチェーンにおけるCO2排出削減への貢献〇 環境貢献製品の開発、普及拡⼤・利⽤段階での省エネ効果によりCO2排出削減に貢献・省エネに寄与する製品に組み込まれCO2排出削減に貢献・原料のバイオマス化によりCO2排出削減に貢献〇 CO2吸収・再利⽤・CO2吸収材料、CO2変換触媒など〇 マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの開発、社会実装・⾼吸⽔性樹脂(SAP)を含む紙オムツのリサイクル推進Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.145. 気候変動問題に関する指標と⽬標5-3.環境貢献製品の認定化学⼯業製品は、⽣産時に地球上の資源を利⽤し、GHGや廃棄物を排出することで環境に影響を与えています。しかし、原料調達から最終製品の廃棄までのライフサイクル全体でみると、この化学⼯業製品があることにより環境負荷の低減に貢献している場合があります。当社の製品が、サプライチェーンを通じて使⽤され、私たちの⾝の回りの製品やそのような製品を⽣み出すための設備、あるいは社会インフラなどに利⽤されることで、GHG削減をはじめとした環境負荷低減にどのように貢献しているかを評価しています。当社は、2019年度より社内基準を整備し、チェック項⽬、数値データなどをもとに審査し、「環境貢献製品」として認定する社内認定制度を発⾜させました。認定審査会で認定された製品は、レスポンシブル・ケア推進委員会への報告後、WebサイトやRCレポートなどの報告書で公表しています。事業部グループ会社など①申請②ヒアリング事務局(RC本部)③調査・効果測定④事前審査⑤補完調査⑥審査依頼認定審査会(審査会⻑︓RC本部⻑)2022年3⽉までに認定した環境貢献製品*当社グループ会社の製品貢献理由⽤途認定製品製品ライフステージ製造⿂類養殖飼料粘結剤コンクリート混和剤リチウムイオン電池材料温室効果ガス削減使⽤固体電池材料CO2吸収剤塗料、粘・接着剤原料、反応性希釈剤廃棄塗料、粘・接着剤原料製造UV硬化型反応性希釈剤固体酸化物形燃料電池材料使⽤⾃動⾞⽤制振材省エネルギー化学物質排出量削減使⽤⽔系接着剤光学材料、電⼦材料⽔系塗料UV硬化型塗料地球温暖化防⽌省エネルギー化学物質排出減⼤気保全排⽔中の有害物質の酸化・分解⽔資源保全⽔質保全⽣物多様性保全⽔質汚濁防⽌⽔処理剤使⽤廃棄洗剤ビルダー⽣分解性廃棄洗剤原料資源使⽤量削減資源使⽤量削減廃棄物削減廃棄物削減使⽤廃棄中空⽷膜コンクリート混和剤アクアリック®H(飼料⽤)アクアロック®イオネル®ICPDAP®・ICPSEB®アミノアルコール(⽇本乳化剤(株))*イソボルニルアクリレートアクリル酸エチルVEEA®固体酸化物形燃料電池⽤電解質シートアクリセット®(制振材⽤)ジルコスター®ユーダブル®・アクリセット®(⽔系塗料⽤)エポクロス®AOMA®⾃動⾞触媒ダイオキシン類分解触媒・装置触媒湿式酸化排⽔処理⽤触媒エポミン®アクアリック®L(洗剤⽤)ソフタノール®HIDS®ポリビニルピロリドンアクアガード®⼤気汚染防⽌使⽤排ガスのHC(ハイドロカーボン)、NOx、ダイオキシン類などの除去排ガス処理⽤触媒脱硝触媒・装置Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.156. 気候変動問題対応に貢献する製品の開発リチウムイオン電池⽤電解質イオネル®グリーン⽔素の普及促進やCO2排出量削減に貢献する アルカリ⽔電解⽤セパレータリチウムイオン電池は電気⾃動⾞や携帯電話、定置⽤電源およびドローンなど様々な⽤途への応⽤が期待されています。⽇本触媒は独⾃の合成 ・ 精 製 ⽅ 法 に よ り 2013 年 に 世 界 で 初 め てLiFSI(商標名イオネル®)の⼯業的⽣産プロセスを開発し、世界各国で多数の特許権を取得しています。イオネル®は⾼純度、⾼品質であり、安定した電気化学特性を⽰し、イオネルをリチウムイオン電池の電解質に使うことで広い温度範囲で電池の⻑寿命化、⼊出⼒特性の改善、保存特性の向上、膨張抑制などに効果を⽰すことが明らかになっています。すでにこれまでに国内外で多くのリチウムイオン電池電解質として採⽤・認証実績があり、その⽤途は⾞載、⺠⽣、定置と多岐に及びます。今後の低炭素・循環型クリーンエネルギー技術としてより⼀層の貢献・採⽤が期待されており、更なる⽣産能⼒増強を計画しています。アルカリ⽔電解⽤セパレータは、グリーン⽔素※1の製法 として注⽬を集める「アルカリ⽔電解」※2に使⽤するセパレータです。⽔素エネルギーは使⽤時にCO2を排出しないため、⾞載⽤や家庭⽤などの燃料電池として利⽤が広まっています。同セパレータは⽔素製造効率に⼤きく寄与する素材で、⽔の電気分解効率が⾼いこと(低い膜抵抗)、⽣成した⽔素と酸素を透過しないこと(⾼ガスバリア性)の2点の性能が要求されます。⾼温・⾼濃度のアルカリ⽔という過酷な条件下で耐久性のある実⽤的なセパレータは限られていましたが、当社独⾃の有機無機複合技術とシート成形技術により、これらの性能を両⽴する製品開発に成功しました。消費電⼒の抑制や、⽣成⽔素の純度向上などのメリットが期待でき、グリーン⽔素の普及促進やCO2排出量削減 に貢献していきます。※1 再⽣可能エネルギーを利⽤してCO2排出を抑制した製法で作られた⽔素※2 ⽔酸化カリウムなどの強アルカリ溶液を⽤いて⽔電解を⾏う⽅法アルカリ⽔電解の模式図イオネル®の外観アルカリ⽔電解⽤セパレータCopyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.166. 気候変動問題対応に貢献する製品の開発海⽔淡⽔化・廃⽔処理向け素材浸透圧発⽣剤新たな価値「使い捨て」から「循環利⽤」への転換による廃棄物削減浸透圧発⽣剤(DS︓Draw Solute)は、次世代 の 海 ⽔ 淡 ⽔ 化 技 術 で あ る 正 浸 透 ( FO ︓Forward Osmosis)システムの主要部材です。当社が開発したDSは、FOシステムの中で、⾼い浸透圧により海⽔から⽔を引き出し、その後、加熱により⽔と分離する性質を利⽤して、効率良く淡⽔を取り出すことができます。この際に⽤いる熱源は、⼯場排熱や太陽熱を利 ⽤ す る こ と で 、 逆 浸 透 ( RO ︓ ReverseOsmosis)システムのような既存の海⽔淡⽔化技術よりも省エネ、CO2排出量削減、低コスト化が可能となります。また、当社DSは繰り返し使⽤が可能であるため、環境負荷も⼩さくなります。さ ら に 、 FO シ ス テ ム は 、 ⼯ 業 廃 ⽔ 処 理(ZLD︓Zero Liquid Discharge[無廃⽔化])の⽤途にも適⽤できるため、年々厳しさを増す世界的廃⽔規制に対応しうる技術としても注⽬されています。紙おむつは、主に紙パルプ、プラスチック、⾼吸⽔性樹脂(SAP)で構成されています。使⽤済み紙おむつのリサイクルは、トータルケア・システム株式会社により、原料の⼀部で実⽤化されています。リサイクル処理後の再⽣パルプは建築資材の原料(外壁材、内装材など)として有効利⽤され、プラスチックは固形燃料としてサーマルリサイクルされています。⽇本触媒は、まだ実⽤化されていないSAPのリサイクル技術について検討を開始し、⼤⼈⽤紙おむつメーカー⼤⼿の株式会社リブドゥコーポレーションとトータルケア・システムとの3社共同で、新規リサイクル技術の開発に成功しました。この技術は、①尿を吸収して⼤きく膨らんだSAPに処理を施して紙パルプとの分離性を⾼め、紙パルプの回収率を向上させる技術、②SAPの性能低下を最⼩限に抑えつつ回収ができ、かつリサイクル時の省エネルギー化や河川などの⽔質保全にも配慮した技術の2点です。これらの技術は、当社が⽣産する全てのSAPはもちろん、他社のさまざまなSAPにも適⽤できる技術です。今後はこの技術を実⽤レベルまで⾼めていくとともに、リサイクルしやすい素材と処理技術の開発を進め、3社共同によるリサイクルシステムの構築に取り組んでいきます。正浸透システムの模式図Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.176. 気候変動問題対応に貢献する製品の開発バイオマス原料から作るアクリル酸・⾼吸⽔性樹脂⼆酸化炭素吸収液 アミノアルコール(⽇本乳化剤株式会社 製品)アミノアルコールは、CO2、H2Sなどの酸性ガスを吸収する「ガス吸収剤」です。CO2、H2Sを吸収し、加温によりそれを容易に放出する性質があり、吸収・放散させるために必要な熱量が少なく、吸収速度が速いという優れた特性があります。CO2を⼤量に発⽣する⽕⼒発電所や製鉄所、⽯油精製における脱炭酸、脱硫、化学産業におけるガス精製に⽤いられています。気候変動対策として不可⽋なCO2回収・貯留に寄与し、⼤幅な排出量の削減の効果が期待できます。アクリル酸は、紙おむつの吸⽔成分である⾼吸⽔性樹脂や塗料・粘接着剤の主剤や添加剤であるアクリル酸エステルなどの原料として、幅広く使われています。しかし、紙おむつなどの最終製品は使⽤後に廃棄・焼却されると、CO2の排出源となります。そこで、⽇本触媒では、⽯油由来プロピレンからバイオ由来プロピレンへの代替検討や、バイオマス原料からプロピレンを経由しないアクリル酸の新製法の開発を進めています。バイオマスは空気中のCO2が光合成により吸収・固定されたものであるため、焼却時に排出されるCO2はカーボンニュートラルと⾒なすことができ、 CO2排出削減につながります。プロピレンを経由しないバイオ由来アクリル酸は、2022-2024年度の中期経営計画期間中に量産技術開発に⽬途をつけ、2030年までのなるべく早い時期での商業⽣産を⽬指します。⾼吸⽔性樹脂やアクリル酸エステルへも展開を図り、お客様の最終製品を含めたライフサイクル全体でのCO2排出削減に貢献することを⽬指していきます。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.187. 最後に当社グループは、“TechnoAmenity〜私たちはテクノロジーをもって⼈と社会に豊かさと快適さを提供します”を企業理念として掲げ活動してきており、これはSDGs(持続可能な開発⽬標)にも通じるものであると考えています。気候変動問題を含めた環境の変化に対しても、リスクを最⼩化し、機会を最⼤限に捉え、⾰新的な技術・製品の提供を⾏い、カーボンニュートラル、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。Copyright NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. All rights reserved.19

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