第一三共(4568) – 2022年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

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開示日時:2022/04/27 13:00:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 96,019,500 7,628,200 7,628,200 30.37
2019.03 92,971,700 8,370,600 8,370,600 47.96
2020.03 98,179,300 13,880,100 13,880,100 66.27
2021.03 96,251,600 6,379,500 6,379,500 39.11

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
2,698.0 2,859.21 2,691.2476 58.88 61.74

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 7,043,100 10,843,900
2019.03 2,542,000 9,203,300
2020.03 14,403,600 19,660,100
2021.03 12,811,400 19,220,700

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

2022年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)2022年4月27日上場会社名第一三共株式会社上場取引所 東コード番号4568URL https://www.daiichisankyo.co.jp代表者(役職名)代表取締役社長(氏名)眞鍋 淳問合せ先責任者(役職名)コーポレートコミュニケーション部長(氏名)朝倉 健太郎TEL 03-6225-1125定時株主総会開催予定日2022年6月27日配当支払開始予定日2022年6月28日有価証券報告書提出予定日2022年6月27日決算補足説明資料作成の有無:有決算説明会開催の有無 :有(機関投資家、証券アナリスト、報道関係者向け)(百万円未満切捨て)(1)連結経営成績(%表示は対前期増減率)売上収益営業利益税引前利益当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益当期包括利益合計額百万円%百万円%百万円%百万円%百万円%百万円%2022年3月期1,044,8928.673,02514.573,516△0.866,972△11.766,972△11.8130,29213.32021年3月期962,516△2.063,795△54.074,124△47.575,830△41.275,958△41.2114,98213.2基本的1株当たり当期利益希薄化後1株当たり当期利益親会社所有者帰属持分当期利益率資産合計税引前利益率売上収益営業利益率円 銭円 銭%%%2022年3月期34.9434.915.13.47.02021年3月期39.1739.115.93.56.6(参考)持分法による投資損益2022年3月期129百万円2021年3月期168百万円資産合計資本合計親会社の所有者に帰属する持分親会社所有者帰属持分比率1株当たり親会社所有者帰属持分百万円百万円百万円%円 銭2022年3月期2,221,4021,350,8721,350,87260.8704.762021年3月期2,085,1781,272,0531,272,05361.0663.85営業活動によるキャッシュ・フロー投資活動によるキャッシュ・フロー財務活動によるキャッシュ・フロー現金及び現金同等物期末残高百万円百万円百万円百万円2022年3月期139,226212,339△86,231662,4772021年3月期192,207△39,246△202,433380,547年間配当金配当金総額(合計)配当性向(連結)親会社所有者帰属持分配当率(連結)第1四半期末第2四半期末第3四半期末期末合計円 銭円 銭円 銭円 銭円 銭百万円%%2021年3月期-40.50-13.50-52,13268.94.02022年3月期-13.50-13.5027.0051,75277.33.92023年3月期(予想)-13.50-13.5027.0062.41.2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。「基本的1株当たり当期利益」及び「希薄   化後1株当たり当期利益」につきましては、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。(2)連結財政状態(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。「1株当たり親会社所有者帰属持分」につ   きましては、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。(3)連結キャッシュ・フローの状況2.配当の状況(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。2021年3月期の第2四半期末の配当につい   ては、当該株式分割前の配当金を記載しております。2021年3月期の年間配当金については、株式分割の実施により単純合計ができないた   め、表示しておりません。なお、株式分割前ベースでの年間配当金は1株当たり81円となります。詳細は、12ページ「1.経営成績等の概   況(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」をご覧ください。(%表示は、対前期増減率)売上収益コア営業利益営業利益税引前利益当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益基本的1株当たり当期利益百万円%百万円%百万円%百万円%百万円%百万円%円 銭通期1,150,00010.1105,00015.9105,00043.8105,00042.883,00023.983,00023.943.30① 期末発行済株式数(自己株式を含む)2022年3月期1,947,034,029株2021年3月期2,127,034,029株② 期末自己株式数2022年3月期30,247,523株2021年3月期210,868,203株③ 期中平均株式数2022年3月期1,916,602,512株2021年3月期1,939,343,390株(1)個別経営成績(%表示は対前期増減率)売上高営業利益経常利益当期純利益百万円%百万円%百万円%百万円%2022年3月期754,0077.610,157△74.447,688△43.639,273△51.52021年3月期701,0005.439,652146.584,54370.081,002△27.31株当たり当期純利益潜在株式調整後1株当たり当期純利益円 銭円 銭2022年3月期20.4920.472021年3月期41.7741.71総資産純資産自己資本比率1株当たり純資産百万円百万円%円 銭2022年3月期1,638,011930,26656.7484.902021年3月期1,589,239947,76659.6494.07(参考)自己資本2022年3月期929,444百万円2021年3月期946,727百万円3.2023年3月期の連結業績予想(2022年4月1日~2023年3月31日)(注)当社グループは、経常的な収益性を示す指標として営業利益から一過性の損益を除外したコア営業利益を開示しております。コア営業利益   の定義につきましては、2ページ「1.経営成績等の概況(1)当期の経営成績の概況 ①業績全般の概況」をご覧ください。※ 注記事項(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動):無(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更① IFRSにより要求される会計方針の変更:無② ①以外の会計方針の変更 :無③ 会計上の見積りの変更 :無(3)発行済株式数(普通株式)(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。「発行済株式数(普通株式)」につきましては、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。(参考)個別業績の概要1.2022年3月期の個別業績(2021年4月1日~2022年3月31日)(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」につきましては、前事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。(2)個別財政状態(注)当社は、2020年10月1日(木)を効力発生日として、普通株式1株を3株に分割いたしました。「1株当たり純資産」につきましては、前事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。※ 決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により異なる可能性があります。なお、業績予想に関する事項は、11ページ「1.経営成績等の概況(3)今後の見通し」をご覧ください。○添付資料の目次1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………… 2 (1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………… 2 (2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………… 10 (3)今後の見通し ……………………………………………………………………… 11 (4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………… 12 (5)対処すべき課題 …………………………………………………………………… 13 (6)戦略目標や今後の見通し等に関する注意事項………………………………… 17 2.コーポレートガバナンスの状況……………………………………………………… 18 (1)コーポレートガバナンスに関する体制 ………………………………………… 18 (2)株式の大量取得を目的とする買付けに対する基本的な考え方 ……………… 24 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………… 24 4.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………… 25 (1)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………… 25 (2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………… 27 (3)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………… 29 (4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………… 31 (5)連結財務諸表に関する注記 ……………………………………………………… 32 (継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………… 32 (セグメント情報等) …………………………………………………………… 32 (1株当たり情報) ……………………………………………………………… 34 (重要な後発事象) ……………………………………………………………… 34 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信1.経営成績等の概況 (1)当期の経営成績の概況 ① 業績全般の概況 【連結業績】 2021 年3月期 2022 年3月期 対前期増減 (単位:百万円。百万円未満切捨て) ※ 売上収益962,516 1,044,892 売上原価337,751 348,036 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費※ 318,468 352,125 研 究 開 発 費 ※ 227,442 254,124 コ ア 営 業 利 益 ※ 78,853 90,605 一 過 性 の 収 益※ 557 3,912 一 過 性 の 費 用※ 15,615 21,492 営税業利益 63,795 73,025 引前利益 74,124 73,516 親 会 社 の 所 有 者 に 帰 属 す る 益 当利期75,958 66,972 当 期 包 括 利 益 合 計 額 114,982 130,292 82,375 8.6% 10,284 3.0% 33,656 10.6% 26,682 11.7% 11,751 14.9% 3,354 602.1% 5,876 37.6% 9,230 14.5% △608 △0.8% △8,985 △11.8% 15,310 13.3% ※ 当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の収益・費用を除外したコア営業利益を開示しています。一過性の収益・費用には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産・無形資産・のれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。 本表では、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費について、一過性の収益・費用を除く実績を示しています。営業利益からコア営業利益への調整表は、決算補足資料に記載しています。 <主要通貨の日本円への換算レート(期中平均レート)> 1米ドル/円 1ユーロ/円 2021 年3月期 106.06 123.70 2022 年3月期 112.38 130.56 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信2a.売上収益 ・当期(2021年4月1日~2022年3月31日)の売上収益は、前期比824億円(8.6%)増収の1兆449億円となりました。 ・グローバル主力品リクシアナ(一般名:エドキサバン)、エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201)等の伸長等により、増収となりました。 ・売上収益に係る為替の増収影響は287億円でした。 b.コア営業利益 ・コア営業利益は、前期比118億円(14.9%)増益の906億円となりました。 ・売上原価は、売上収益が増加したものの、製品構成の変化に伴う原価率改善により、103億円(3.0%)増加の3,480億円に留まりました。 ・販売費及び一般管理費は、エンハーツに係るアストラゼネカとのプロフィット・シェアの増加による費用増等により、337億円(10.6%)増加の3,521億円となりました。 ・研究開発費は、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)への研究開発投資の増加等により、267億円(11.7%)増加の2,541億円となりました。 ・コア営業利益に係る為替の増益影響は39億円でした。 c.営業利益 ・営業利益は、前期比92億円(14.5%)増益の730億円となりました。 ・旧野洲川工場の環境対策費用等の計上により、一過性の費用が増加したため、コア営業利益に比べて増益額が減少しました。 d.税引前利益 ・税引前利益は、前期比6億円(0.8%)減益の735億円となりました。 e.親会社の所有者に帰属する当期利益 ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比90億円(11.8%)減益の670億円となりま・前期は、将来の課税所得見込額の増加に伴い繰延税金資産が増加したため、法人税等がマイナスとなっていました。この影響等により、前期に比べ法人税率が増加した結果、税引前利益を上回る減益率となりました。 f.当期包括利益合計額 ・当期包括利益合計額は、前期比153億円(13.3%)増益の1,303億円となりました。 ・金融資産評価差額金が悪化したものの、海外子会社の純資産に係る為替換算差額が改 した。 善したことから増益となりました。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信3【ユニット別売上収益状況】 当期におけるユニット別売上収益は、以下の通りです。なお、製品別の売上収益については、決算補足資料に記載しています。 a.ジャパンビジネスユニット ジャパンビジネスユニットの売上収益には、イノベーティブ医薬品事業、ワクチン事業及び第一三共エスファ株式会社が取り扱うジェネリック事業の製品売上収益が含まれております。 当ユニットの売上収益は、薬価改定の影響や、共同販促が終了したネキシウムの減収、独占販売期間の満了に伴うジェネリック参入によるメマリーの減収等があったものの、リクシアナ、タリージェ、エンハーツ、エムガルティ等が伸長したことにより、前期並みの4,895億円となりました。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年4月、片頭痛発作の発症抑制薬エムガルティの新発売 2021年5月、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブのバイオシ 2021年8月、リクシアナ錠15mg、リクシアナOD錠15mgの用法及び用量の追加に係る一ミラーの新発売 部変更承認取得 2021年8月、片頭痛治療剤レイボーの日本における販売提携契約締結 2021年11月、がん治療用ウイルスG47Δ製品デリタクトの新発売 2021年12月、抗血小板剤エフィエント錠3.75㎎、エフィエント錠2.5㎎の用法及び用量の追加に係る一部変更承認取得 2022年1月、片頭痛治療剤レイボーの製造販売承認取得※1 2022年3月、疼痛治療剤タリージェの効能又は効果に係る一部変更承認の取得 ※1 リバース コ・プロモーション契約を締結した日本イーライリリー社が承認を取得 b.第一三共ヘルスケアユニット c.オンコロジービジネスユニット 第一三共ヘルスケアユニットの売上収益は、ルル等の感冒薬の減収により、前期比25億円(3.7%)減収の647億円となりました。 オンコロジービジネスユニットの売上収益には、第一三共Inc.(米国)の製品売上収益及び第一三共ヨーロッパのがん製品売上収益が含まれております。 当ユニットの売上収益は、欧米におけるエンハーツの伸長により、前期比222億円(46.9%)増収の696億円、現地通貨ベースでは、173百万米ドル(38.7%)増収の619百万米ドルとなりました。 d.アメリカンリージェントユニット アメリカンリージェントユニットの売上収益は、昨年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたインジェクタファー等の増収により、前期比277億円(22.8%)増収の1,495億円、現地通貨ベースでは、182百万米ドル(15.9%)増収の1,330百万米ドルとなりました。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信4e.EUスペシャルティビジネスユニット EUスペシャルティビジネスユニットの売上収益には、がん製品を除く第一三共ヨーロッパの製品売上収益が含まれております。 当ユニットの売上収益は、リクシアナの順調な伸長により、前期比166億円(14.9%)増収の1,282億円、現地通貨ベースでは80百万ユーロ(8.8%)増収の982百万ユーロとなりました。 f.ASCAビジネスユニット ASCA※2ビジネスユニットの売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。 当ユニットの売上収益は、中国におけるオルメサルタン等の伸長により、前期比145億円(14.5%)増収の1,141億円となりました。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年4月、アジア・南米地域におけるEsperion社の高コレステロール血症治療剤ベムペド酸の導入 2022年3月、中国におけるクラビット製剤の製造販売権及び第一三共製薬(北京)有限公司の出資持分の全てを重慶薬友製薬有限責任公司に譲渡する契約の締結 ※2 Asia, South & Central Americaの略 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信5② 研究開発の状況 当社グループは、3ADC※1の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC※2を変革する製品群(Alpha)の創薬を目指す「3 and Alpha」戦略のもと、外部との積極的な協業も含め、研究開発に取り組んでおります。また、グローバル臨床開発の加速化にも注力しております。 中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ※3の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。 ※1 Antibody Drug Conjugateの略、抗体薬物複合体。抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬品で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤 ※2 Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法 ※3 ADC、核酸医薬、治療用ウイルス、細胞治療等の新規治療手段 【3ADC】 当期における3ADCの臨床開発の状況は以下の通りです。なお、各臨床試験の状況については、決算補足資料に掲載しています。 a.トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ) 製品名エンハーツとして販売しております。がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるトリプルネガティブ乳がんを対象としたフェーズ1b/2試験(試験名:BEGONIA)及び、HER2発現大腸がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-CRC01)の最新データ発表 2021年6月、HER2陽性乳がん患者への1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast09)開始 2021年6月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Gastric02)の試験結果概要入手 2021年6月、HER2過剰発現又はHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者への2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung01)の試験結果概要入手 2021年7月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Gastric04)開始 2021年8月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast03)の中間解析における主要評価項目の達成及び、米国食品医薬品局(FDA)からのRTOR※4(Real-Time Oncology Review)の指定獲得 2021年9月、中国におけるHER2陽性胃がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Gastric06)開始 2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるHER2陽性乳がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Breast01)、DESTINY-Breast03試験、DESTINY-Gastric02試験及び、DESTINY-Lung01試験の最新データ発表 2021年10月、HER2陽性乳がん患者への2次治療以降を対象としたFDAからの画期的治療薬※5(Breakthrough Therapy)の指定獲得 2021年11月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象とした欧州医薬品庁(EMA)による一部変更承認申請の受理 2021年11月、HER2陽性早期乳がん患者における術前療法を対象としたフェーズ3試験 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信6(試験名:DESTINY-Breast11)開始 2021年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)におけるDESTINY-Breast03試験の脳転移サブグループ解析結果の発表 2021年12月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした国内における一部変更承認申請及び、EMAによる一部変更承認申請の受理 2021年12月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者における1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Lung04)開始 2022年1月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした米国における一部変更承認申請の受理 2022年2月、HER2低発現乳がん患者を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast04)における主要評価項目の達成 2022年3月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした中国における承認申請の受理 ※4 患者が安全かつ効果的な治療を出来るだけ早期に受けられるよう、より効率的な審査プロセスの探求を目指した制度。申請者が正式に完全な申請書を提出する前に、FDAが多くのデータを早期に審査することが可能になる。 ※5 重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度 b.ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC) がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年5月、欧州臨床腫瘍学会乳がん学会議(ESMO Breast Cancer 2021)における固形がんを対象としたフェーズ1試験(試験名:TROPION-PanTumor01)のうち、トリプルネガティブ乳がん患者に関する最新データ発表 2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、非小細胞肺がん患者に関する最新データ発表 2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、非小細胞肺がん患者に関する最新データ発表 2021年10月、非小細胞肺がん患者への1次治療を対象とした免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung08)実施に関するMerck & Co., Inc.との契約の締結 2021年11月、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の転移性乳がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)の開始 2021年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、トリプルネガティブ乳がん患者に関する最新データ発表 2022年3月、TROPION-Lung08試験の開始 c.パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC) 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるEGFR変異を有する非小細胞肺がんを対象としたフェーズ1試験の最新データ発表 2021年6月、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者を対象としたチロシンキナーゼ阻害剤オシメルチニブとの併用を評価するフェーズ1試験開始 2021年12月、EGFR遺伝子変異を有する転移性非小細胞肺がん患者を対象としたFDAからの画期的治療薬の指定獲得 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信7【Alpha】 当期におけるAlphaの臨床開発の主な進捗は以下の通りです。なお、各臨床試験の状況については、決算補足資料に掲載しています。 2021年4月、DS-1594(Menin-MLL結合阻害剤)の急性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病患者を対象としたフェーズ1/2試験開始 2021年4月、ペキシダルチニブ(PLX3397:CSF-1R阻害剤、米国製品名:TURALIO)の腱滑膜巨細胞腫を対象とした国内におけるフェーズ2試験開始 2021年4月、DS-6016(抗ALK2抗体)の進行性骨化性線維異形成症を対象としたフェーズ1試験開始 2021年5月、疼痛治療剤ミロガバリン(DS-5565:α2δリガンド、製品名:タリージェ)の中枢性神経障害性疼痛に係る国内における効能追加に係る一部変更承認申請 2021年6月、がん治療用ウイルス テセルパツレブ(DS-1647:G47Δ、製品名:デリタクト注)の国内における製造販売承認取得 2021年6月、欧州血液学会(EHA)における、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤)の非ホジキンリンパ腫患者を対象としたフェーズ1試験の最新データ発表 2021年6月、バレメトスタットの再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)及び成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者を対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINE-PTCL01)開始 2021年6月、VN-0200(RSウイルスワクチン)の日本人健康成人及び健康高齢者を対象としたフェーズ1試験開始 2021年8月、抗凝固剤エドキサバン(製品名:リクシアナ)の経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行した心房細動患者を対象としたENVISAGE-TAVI AF試験における主要評価項目の達成及び、欧州心臓病学会議(ESC Congress 2021)における試験結果発表 2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるDS-7300(抗B7-H3 ADC)の固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の最新データ発表 2021年11月、キザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、国内製品名:ヴァンフリタ)の急性骨髄性白血病(AML)患者への1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:QuANTUM-First)における主要評価項目の達成 2021年12月、米国血液学会(ASH)におけるバレメトスタットの再発または難治性のATL患者を対象とした国内フェーズ2試験の最新データ発表、厚生労働省からの希少疾病用医薬品※6の指定獲得及び、国内における製造販売承認申請 2021年12月、バレメトスタットのPTCL治療を対象とした FDAからの希少疾病用医薬品※7(Orphan Drug)の指定獲得 2022年2月、DS-7011(抗TLR7抗体)の全身性エリテマトーデス患者を対象としたフェーズ1試験開始 ※6 国内における患者数5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとし※7 米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として、て、開発の支援・促進を目的として指定される制度 開発の支援・促進を目的として指定される制度 2022年3月、持続的な成長に向けた研究開発力を一層強化するため、Plexxikon Inc.の研究開発機能を終了し、リソース・アロケーションの最適化を図りました。 【その他】 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信8③ 新型コロナウイルス感染症への取り組み 当社は、社会的に急務となっている新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)に対する予防・治療法の確立に向けて積極的に取り組んでおります。当社の持つ研究財産、技術及び知識を最大限に活用し、外部機関とも連携して、以下の研究開発を推進しております。 a.DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン) COVID-19の予防を目指し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)が支援する「新型コロナウイルス(2019-nCoV※1)の制圧に向けての基盤研究」※2に参画し、当社が見出した新規核酸送達技術※3を用いた「新型コロナウイルス(2019-nCoV)に対するmRNAワクチン開発」を分担しております。 厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業※4(第1次公募)」の事業者に、また、AMEDが実施する創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(企業主導型)※5(第2次公募)」にも採択されております。 健康成人及び健康高齢者を対象とした日本での臨床試験を実施しております。 ※1 2019-nCoVはSARS-CoV-2の暫定名称で同義語 ※2 流行が世界各国へ拡大しているCOVID-19に関して、政府全体の緊急的な取組みの一部として、AMEDが支援することを決定したワクチン開発課題の一つ ※3 脂質ナノ粒子構造を形成し、医薬品有効成分の安定化ならびに免疫細胞内への核酸デリバリーを実現することで、従来のワクチン技術と比較して、より至適な免疫応答を誘導することを確認 ※4 COVID-19をはじめとした予期せぬ感染症の流行阻止・重症化予防に必要なワクチンを可能な限り迅速に製造し、日本国民のために確保するため、ワクチンを含むバイオ医薬品の実生産(大規模生産)体制を早期構築することを目的とした事業 ※5 企業においてすでに研究開発が進められているCOVID-19に対するワクチンの開発を重点的に支援し、安全かつ有効なワクチンを早期に実用化することを目的とした事業 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年11月、製造プロセスを最適化した治験薬を用い、安全性を評価し推奨用量を決定するフェーズ2試験開始 2022年1月、日本において承認されたCOVID-19に対するワクチンの初回接種(1回目・2回目接種)完了済みで、接種から6か月以上経過した健康成人及び高齢者を対象としたフェーズ1/2/3試験の開始 b.DS-2319(ナファモスタット吸入製剤) COVID-19の治療を目指し、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人理化学研究所及び日医工株式会社と共同でナファモスタット吸入製剤の研究開発を進めておりました。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年6月、実施中の非臨床試験及びフェーズ1試験のデータを検討した結果、本剤開発中止を決定 c.アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン バキスゼブリア筋注の供給 アストラゼネカと締結した本ワクチンの製造委受託契約に基づき、2021年3月より当社子会社である第一三共バイオテック株式会社において本ワクチンの製剤化(バイアル充填、包装等を含む)を行っております。 当期における主な進捗は以下の通りです。 2021年6月、日本政府を通じた、本ワクチンの東南アジア等への提供 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信9(2)当期の財政状態の概況 ① 資産、負債及び資本の状況 ・当期末における資産合計は2兆2,214億円となりました。その他の金融資産(流動)が減少した一方で、現金及び現金同等物、並びに有形固定資産の増加等により、前期末より1,362億円の増加となりました。 ・負債合計は8,705億円となりました。社債及び借入金(非流動)が減少した一方で、営業債務及びその他の債務、並びにその他の非流動負債の増加等により、前期末より574億円の増加となりました。 ・資本合計は1兆3,509億円となりました。配当金の支払による減少があった一方で、当期利益の計上等により、前期末より788億円の増加となりました。 ・親会社所有者帰属持分比率は60.8%となり、前期末より0.2%減少しております。 ② キャッシュ・フローの状況 当期末における現金及び現金同等物は、2,819億円増加の6,625億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) ・営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益735億円、減価償却費及び償却費582億円等の非資金項目の他、ダトポタマブ デルクステカンの戦略的提携の契約時一時金の収入等により、1,392億円の収入(前期は1,922億円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) ・投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や無形資産の取得による支出があった一方で、定期預金の払戻等による収入等により、2,123億円の収入(前期は392億円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) ・財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払、並びに借入金の返済等により、862億円の支出(前期は2,024億円の支出)となりました。 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりです。 親会社所有者帰属持分比率(%) 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) 2021年3月期 2022年3月期 61.0 296.4 1.03 118.83 60.8 231.2 1.26 91.95 親会社所有者帰属持分比率 :親会社所有者帰属持分/資産合計 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計 キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 (注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 (注3)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」から「利息の支払額」及び「法人所得税の支払額」を控除した数値を利用しております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を利用しております。 (注4)有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信10(3)今後の見通し 2023 年3月期の連結業績予想(2022 年4月1日~2023 年3月 31 日) 2022年3月期 2023年3月期 増減額 増減率(%) (単位:百万円。百万円未満切捨て) 売上収益 1,044,892 1,150,000 105,107 10.1 コ ア 営 業 利 益 ※ 90,605 105,000 14,394 15.9 営業利益 73,025 105,000 31,974 43.8 税 引 前 利 益 73,516 105,000 31,483 42.8 当当期期利利益 益 親会社の所有者に帰属する66,972 83,000 16,027 23.9 66,972 83,000 16,027 23.9 ※ 当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の損益を除外したコア営業利益を開示しています。一過性の損益には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産・無形資産・のれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。営業利益からコア営業利益への調整表は、決算補足資料をご覧ください。 売上収益につきましては、国内における薬価改定、ネキシウムの販売提携終了(2021年9月)などの減収要因があるものの、エンハーツ、リクシアナ、タリージェをはじめとする主力製品の増収により、前期比10.1%増収の1兆1,500億円を見込んでおります。 コア営業利益につきましては、エンハーツの売上拡大に伴うアストラゼネカへのプロフィット・シェアの支払い増加、3ADCの開発計画の拡大等、がん事業への集中的な資源投入により、経費の増加が見込まれる一方で、増収及び製品構成の変化に伴う原価率の改善等により、売上総利益の増加が見込まれるため、前期比15.9%増益の1,050億円を見込んでおります。 営業利益につきましては、前期に旧野洲川工場の環境対策費用等を一過性の損益として計上した一方、2023年3月期は一過性の損益を予定していないことから、前期比43.8%増益の1,050億円を見込んでおります。 当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、それぞれ前期比23.9%増益の830億円を見込んでおります。 為替レートは1米ドル130円、1ユーロ140円を前提としております。 新型コロナウイルス感染症により、引き続き一定の活動制限が継続することを想定しておりますが、当社グループの営業利益への影響は軽微であると見込んでおります。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信11(4) 利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ・当社は、持続的な企業価値の向上を図るため、成長戦略の展開に不可欠な投資の実行と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、利益配分を決定することを経営の基本方針としております。 ・当期につきましては、上記方針に基づき、2021年12月1日に中間配当として1株当たり13円50銭をお支払いしました。なお、期末配当は1株当たり13円50銭、年間配当金は1株当たり27円を予定しています。 ・次期につきましては、第5期中期経営計画における株主還元方針※1に基づき、中間配当として1株当たり13円50銭、期末配当として1株当たり13円50銭、年間配当として1株当たり27円を予定しています。 ※1 第5期中期経営計画における株主還元方針については、13ページ「1.経営成績等の概況(5)対処すべき 課題」をご覧ください。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信12(5) 対処すべき課題 ① 第一三共の価値創造プロセスと ESG 経営 当社グループでは、ESG経営を「ESGの要素を経営戦略に反映させることで、財務的価値と非財務的価値の双方を高める、長期目線に立った経営」と定義し、実践しています。 社会からの多様な要請に応えるため、社内外の様々な経営資源を価値創造プロセスに投入し、「サイエンス&テクノロジー」を競争優位の最大の源泉として、各ステークホルダーや社会への価値を提供しています。この価値創造プロセスを循環させることで、企業と社会の持続的成長を両立させることができると考えています。 中長期的な企業価値へ影響を及ぼす重要度と、様々なステークホルダーを含む社会からの期待の両面から、8つの重要課題をマテリアリティとして特定し、事業に関わるマテリアリティと事業基盤に関わるマテリアリティに整理しています。 第一三共の価値創造プロセス ② 2030 年ビジョン ESG経営のもと、新たに「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」となることを2030年ビジョンとして掲げました。 パーパス(存在意義)である「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」の実現に向けて、当社グループに期待される社会課題の解決(革新的医薬品の創出、SDGsへの取り組みなど)をめざし、われわれの強みである“サイエンス&テクノロジー”に基づき、イノベーティブなソリューション提供に挑戦し続けます。 ③ 第5期中期経営計画(2021 年度‐2025 年度) ESG経営を実践しつつ、2025年度目標「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を達成し、2030年ビジョン実現に向けた成長ステージに移行することを目指した計画として、第5期中期経営計画を策定し、4つの戦略の柱を設定しました。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信13第5期中期経営計画(2021 年度-2025 年度) 【4つの戦略の柱】 a. 3ADC 最大化の実現 第5期中期経営計画においては、エンハーツ、Dato-DXd、HER3-DXdの3ADCの最大化の実現が最重要課題となります。 エンハーツについては、アストラゼネカとの戦略的提携を通じた市場浸透と新適応の取得を加速していきます。また、HER2を標的とする競合品に対する優位性を確立するとともに、乳がん治療におけるHER2低発現コンセプトの定着を目指します。 Dato-DXdについては、アストラゼネカとの戦略的提携を通じて、より早いタイミングでの承認取得とその後の適応追加を目指します。また、効果的な上市計画を策定・実行するとともに、TROP2を標的とする競合品に対する優位性を確立していきます。 HER3-DXdについては、自社開発による最速での上市を目指します。また、効果的な上市計画を策定・実行した上で、がん治療ターゲットとしてのHER3を確立していきます。 以上の取り組みに加え、間質性肺疾患(ILD)のモニタリングとリスク分析を通じた適正使用を促進するとともに、製品ポテンシャルに合わせて効率的かつ段階的に要員と供給キャパシティを拡大していきます。 当期におきましては、エンハーツでは、日米欧における対象市場での新規患者シェアが拡大し、製品売上が着実に伸長しました。また、HER2陽性乳がん患者を対象とした2次治療の適応取得に向けたDESTINY-Breast03試験において、無増悪生存期間の前例のない改善を示すデータを獲得し、日米欧及び中国で承認申請するとともに、化学療法既治療のHER2低発現乳がん患者を対象としたDESTINY-Breast04試験においても主要評価項目を達成する等、製品価値最大化に向けた取り組みが大きく進展しました。Dato-DXd及びHER3-DXdでは、早期の市場参入が重要と考えており、開発を加速しました。今後も、3ADCへの効果的な開発投資により、第5期中期経営計画後半における飛躍的成長に繋げるよう、3ADCの最大化の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信14b. 既存事業・製品の利益成長 持続的な成長に向けた投資を継続していくために、がん事業のみならず、既存事業・製品における利益成長も重要な課題です。 リクシアナについては、収益性の高い、安定した利益を生み出す製品であることから、当該製品より得た収益を、3ADC及び3ADCに次ぐ成長ドライバーへの投資の源泉とすべく、売上収益の更なる拡大に取り組みます。 タリージェ、Nilemdo等の新製品については、適応追加等を通じた、早期拡大を目指します。リクシアナに加え、これら新製品の早期拡大により、がん以外の新薬事業においても持続的な成長を目指します。 各地域においては、新薬を軸とした収益構造へのトランスフォーメーションを強化することで、持続的な利益成長を支える事業構造へと転換を図っていきます。 アメリカン・リージェントについては、インジェクタファー、ジェネリック注射剤を中心とした利益成長を目指します。第一三共ヘルスケアについては、国内店舗販売や通販事業を中心とした利益成長を目指します。 当期におきましては、リクシアナ、インジェクタファー、タリージェ、Nilemdo等の売上が順調に伸長しました。また、事業構造の転換のため、米国における既存品の製造及び商業化の権利並びに、中国におけるクラビット製剤の製造販売権及び第一三共製薬(北京)有限公司の出資持分の全てをグループ外に譲渡する契約を締結しました。今後も、収益性の高い製品の売上を拡大することで、持続的な利益成長を支える事業構造へと転換を図っていきます。 c. 更なる成長の柱の見極めと構築 持続的成長を図るため、3ADCに次ぐ成長ドライバーを見極めるとともに、マルチモダリティ研究戦略によりポストDXd-ADCモダリティを選定することも重要な課題です。 3ADCに次ぐ成長ドライバーについて、DXd-ADCファミリー、第二世代・新コンセプトADC、改変型抗体、ENA○R ファミリー※1等の領域から見極めていきます。 様々なモダリティ技術の中から、持続的成長のためのポストDXd-ADCモダリティを選定していきます。LNP-mRNAについては、新型コロナウイルス感染症以外でのワクチンにも活用して、ワクチン事業の成長につなげていきます。 当期におきましては、DS-7300(抗B7-H3 ADC)、DS-6000(抗CDH6 ADC)について、良好なデータが得られたことから「Rising Star」と位置づけ、開発を推進しています。今後も、当社独自のADC技術を用いた更なる成長の柱の見極めと構築を進めていきます。 ※1 2‘-O,4’-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsの略。第一三共の独自技術を用いた修飾核酸 d. ステークホルダーとの価値共創 長期視点でESG経営を進めていく上で、患者さん、株主、社会・環境、従業員といったステークホルダーとの価値共創も重要な課題です。 3ADCによる様々ながん種への展開や、希少疾患の比重が高まる中、医薬品開発のみならずバリューチェーン全体で、患者さんを中心としたマインド(Patient Centric Mindset)による取り組みを強化し、患者さんへの貢献を果たしていきます。 持続的な企業価値の向上を図るため、バランスのとれた成長投資と株主還元を実現していきます。 脱炭素社会、サーキュラーエコノミー、自然共生社会といった、社会・環境課題に対し、研究開発から営業に至るバリューチェーン全体で、環境負荷の低減に向けた様々な取り組みにチャレンジし、社会・環境へ貢献していきます。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信15 平時における自社生産拠点からの季節性インフルエンザワクチン等の安定供給に加え、COVID-19及び将来の新興・再興感染症ワクチンにも応用可能な技術の確立、将来のパンデミック時のワクチン供給体制の整備を通じて、社会へ貢献していきます。 グループ共通の核となる行動様式(Core Behavior)を定め、グループ全体で実践していくことで、独自の企業文化「One DS Culture」の醸成を図り、グローバル組織と人材における強みを更に強化していきます。 当社では、従来からCOMPASS活動※2を推進しておりますが、当期におきましては、国内の全社員がその活動情報を共有することで、日々の仕事の中で患者さんを意識し、患者さんの気持ちに寄り添う「Patient Centric Mindset」を一層強化しました。また、社会の一員として環境課題に対する取り組みを進める中で、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的イニシアチブである「RE100※3」に加盟しました。引き続き、「Patient Centric Mindset」及び「One DS Culture」の浸透をはじめ、ステークホルダーとの価値創造プロセスの強化に向けた諸施策を実践していきます。 ※2 “Compassion for Patients”Strategy活動。当社スローガン“Compassion for Patients(ひとに思いやりを)”に基づき、世界中の人々の『笑顔のある生活』の実現に貢献することを目指し、患者さんや医療従事者と当社従業員が直接交流する機会を企画・提供する社内外活動 ※3 国際環境NGOであるThe Climate Groupと企業に気候変動対策に関して情報開示を促しているCDPによって運営される、企業の再生可能エネルギー100%を推進する国際的イニシアチブ 【戦略の実行を支える基盤】 4つの戦略の柱の実行を支える基盤を強化するため、DX推進によるデータ駆動型経営を実現するとともに、先進デジタル技術による変革を進めていきます。加えて、新たなグローバルマネジメント体制により迅速な意思決定を実現していきます。 当期におきましては、社内外のエンハーツの統合データ分析が可能な分析基盤をグローバルで運用開始しました。また、オンコロジービジネスユニットを新設し、がん領域における治療体系や市場環境の急速な変化に対し、ビジネスとサイエンスの両面から迅速に対応しています。今後も、業容の変化と拡大にあわせてデータ駆動型経営を加速するとともに、グローバル体制を強化していきます。 【株主還元方針】 普通配当1株当たり27円の維持に加え、利益成長に応じて増配、あるいは機動的に自己株式取得を実施することで、株主還元のさらなる充実を図っていきます。 KPIとして、株主資本を基準とする株主資本配当率※4(DOE)を採用し、安定的な株主還元を行う方針とし、2025年度のDOEは株主資本コストを上回る8%以上を目標に掲げ、株主価値の最大化を目指します。 当期におきましては、1株当たり13円50銭の中間配当を実施しました。期末配当13円50銭と合計で1株当たり年間27円の配当を予定しております。また、2021年4月には、1億8千万株の自己株式を消却しました。当期のDOEは3.9%となり、引き続き2025年度のDOE8%以上を目指します。 ※4 株主資本配当率=配当総額÷株主資本(親会社の所有者に帰属する持分) 【2025年度における計数目標】 売上収益:1兆 6,000 億円(がん領域:6,000 億円以上) 研究開発費控除前コア営業利益率:40%以上 ROE:16%以上 DOE:8%以上 2025 年度為替レートの前提:1USD=105 円、1EUR=120 円 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信16(6) 戦略目標や今後の見通し等に関する注意事項 本資料において開示する戦略目標や今後の見通し等の情報は、開示時点で当社が入手している情報に基づく一定の前提、仮定及び将来の予測等を基礎に当社が判断したものです。これらには様々なリスク及び不確実性が内在しており、実際の結果とは大きく乖離する可能性があります。 これらのリスク及び不確実性には、「エンハーツ/Dato-DXdの臨床試験に係るリスク」、「事業投資後の回収不能リスク」等の様々なリスク及び不確実性が含まれています。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信172.コーポレートガバナンスの状況 (1) コーポレートガバナンスに関する体制 当社は、経営環境の変化に対してより迅速かつ機動的に対応できる経営体制を構築するとともに、法令の遵守と経営の透明性を確保し、経営と執行に対する監督機能の強化を図り、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの信頼に応えることのできるコーポレートガバナンス体制の構築を重視しております。 ① コーポレートガバナンス体制 a. 取締役の経営責任の明確化と経営と執行に対する監督機能の強化を目的として、取締役の任期を1年と定め、取締役9名中4名を社外取締役とする体制としております。なお、2020 年6月より社外取締役が取締役会議長に就任しております。 b. 経営の透明性確保を目的として、取締役会の諮問機関である指名委員会及び報酬委員会を任意の組織として設置し、取締役及び執行役員の候補者選定、CEO 後継者計画及び役員報酬制度等について両委員会において審議しております。 両委員会は、社外取締役4名で構成され、社外監査役各1名がオブザーバーとして参加しております。 c. 経営の適法性及び健全性を監査する目的で、監査役制度を採用し、社外監査役3名を含む監査役5名により構成される監査役会を設置しております。 d. 社外役員の独立性判断に関する具体的基準及び取締役・監査役の職務遂行にあたっての基本事項を定めております。 e. グローバルマネジメント体制の下、ユニット長等をメンバーとした経営会議を適宜開催し、グループ経営の戦略・方針及び執行に関する重要事項について審議し、経営の意思決定に資する体制としております。 f. 執行役員制度を採用することにより、適正かつ迅速な経営の意思決定と業務執行に資する体制としております。 g. 業務の有効性及び効率性確保、財務報告の信頼性確保、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全を目的として、執行機能を担う各組織によるセルフモニタリング(一次統制)、コーポレート組織による各組織への方針展開とモニタリング(二次統制)、監査部によるモニタリングを含む内部監査(三次統制)による内部統制システムを構築しております。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信18② 取締役、監査役、CEO の選任にあたっての方針と手続 取締役は、人格・識見に優れ、当社グループの企業価値の最大化に資する人材であることを要件としております。 取締役は、経営方針等の継続性を尊重しつつも、経営環境の変化を見据えた適時的確な判断が行えるよう、就任期間や年齢等においても適切であることを要件としております。 取締役は、企業経営・経営戦略、財務・会計、サイエンス&テクノロジー、事業戦略・マーケティング、グローバルビジネス、人事・人材育成、法務・リスクマネジメント、サステナビリティ・ESG、DX・IT 等のいずれか、あるいはそれら複数の分野における専門知識・経験・識見に優れた人材であることを要件としております。 取締役には、多様な視点に基づく決定機能の強化と、執行に対する監督機能の強化を目的として、必ず社外取締役が含まれていることを要件としております。 社外取締役の上場会社の役員の兼職については、原則として当社を除き3社以内であることを要件としております。 当社は、ジェンダーや国際性及び人種等の面を含む取締役の多様性を確保し、多様な意見を経営に取り入れることが、取締役会の監督機能及び意思決定の強化につながる重要なことであると認識しております。今後も取締役候補者の選定においてかかる観点を踏まえ検討を続けてまいります。 取締役候補者の選定にあたっては、メンバーの過半数を社外取締役で構成する指名委員会において十分に審議された上で、取締役会において選定しております。 取締役は、止むを得ない事情がない限り、取締役会に出席すべきものとし、少なくとも 75%以上の出席率を保持すべきとしております。 監査役は、職責を全うすることが可能か、代表取締役、取締役及び業務執行者からの独立性が確保できるか等を要件としております。 監査役候補者の選定にあたっては、指名委員会において審議し、監査役会の同意を経て、取締役会において選定しております。 社外役員は、独立性判断に関する具体的基準に照らして問題がないことを確認しております。 候補者として選定された取締役及び監査役の選任については、株主総会に諮ることとしております。 CEO 候補者は、指名委員会において議論を重ねている後継者計画、資格要件定義等に基づき、選定しております。 CEO の選任(再任を含む)にあたっては、指名委員会において十分に審議し、同委員会の答申を受けて、取締役会の決議により決定することとしております。 ③ 取締役、CEO の解任にあたっての方針と手続 取締役が会社法及び取締役規程に定める資格・職務遂行要件等を満たさない場合、取締役の解任要件に該当すると判断し、当該取締役の解任について、指名委員会及び取締役会における審議を経て、株主総会に諮ることとしております CEO の解任については、会社法及び CEO 資格要件定義、職務遂行要件等に照らし合わせて判断し、選任同様、指名委員会において十分に審議し、同委員会の答申を受け、取締役会の決議により決定することとしております。 第一三共株式会社<4568>2022年3月期 決算短信19④ 取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に関する事項等 当社は、2021 年 5 月 13 日開催の取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を定めております。その概要は、以下のとおりです。 1.報酬方針 当社の取締役の報酬等は、以

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