長谷川香料(4958) – 長谷川香料サステナビリティレポート2022

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開示日時:2022/06/02 00:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.09 4,975,100 506,400 516,700 96.43
2019.09 5,049,300 468,300 477,900 98.77
2020.09 5,019,200 536,000 547,600 122.34

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
2,618.0 2,817.38 2,583.91 15.72 13.5

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.09 388,600 589,400
2019.09 706,000 923,000
2020.09 309,900 638,700

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

サステナビリティレポート2022目次 長谷川香料株式会社 サステナビリティレポート 2022 長谷川香料グループが考えるサステナビリティ ………………………………………………………………………………….. 3 トップメッセージ …………………………………………………………………………………………………………………………. 3 長谷川香料グループの存在意義 ……………………………………………………………………………………………………… 5 長谷川香料グループの価値創造プロセス ………………………………………………………………………………………… 6 持続的成長に向けて ……………………………………………………………………………………………………………………… 7 長谷川香料グループのサステナビリティ推進体制 …………………………………………………………………………… 8 ステークホルダー・エンゲージメント …………………………………………………………………………………………. 12 賛同・参画している主な団体・イニシアティブ ……………………………………………………………………………. 13 長谷川香料企業行動規範 ……………………………………………………………………………………………………………… 15 サステナビリティへの取り組み ………………………………………………………………………………………………………… 17 CSR 方針 1 調達 ……………………………………………………………………………………………………………………….. 17 CSR 方針 2 環境 ……………………………………………………………………………………………………………………….. 20 CSR 方針 3 人権労働 …………………………………………………………………………………………………………………. 31 CSR 方針 4 品質安全 …………………………………………………………………………………………………………………. 40 CSR 方針 5 ガバナンス 公正な企業活動 …………………………………………………………………………………… 47 CSR 方針 6 イノベーション……………………………………………………………………………………………………….. 61 1 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 編集方針 本レポートは、当社グループとステークホルダーとの関係性や価値創造をお伝えするとともに、当社の CSR 方針に基づき、重要性の高い取り組みについて報告することを目的としています。本レポートを通じて、ステークホルダーとの関係性の強化や価値創造、サステナビリティへの取り組みの進展につなげていきます。 なお当社では、年に1回、原則として毎年 4 月にサステナビリティレポートを発行しています。本レポートは、代表取締役及び代表取締役が指名した執行役員で構成する戦略会議での承認を経て開示しています。また、本レポートを補足する資料として、ESG データに特化した ESG データブック 2022、GRI スタンダード内容索引も開示しています。 しています。 参考にしたガイドライン:GRI スタンダード。本レポートは GRI スタンダードを参照して作成 報告対象組織:原則、長谷川香料株式会社。「長谷川香料グループ」「当社グループ」と記載の箇所は、当社及びその子会社を指します。 報告対象期間:原則、2021 年度(2020 年 10 月 1 日~2021 年 9 月末日)。一部、2022 年度の取り組みも紹介しています。なお、ESG データブック 2022 に記載の事業年度は、前年の 10 月1 日から当年の 9 月末日までを指します。 本報告書に関する問合せ先:長谷川香料株式会社 CSR 部 E-mail: eco@t-hasegawa.co.jp 次回発行予定:2023 年 4 月 前回発行 :2021 年 4 月 30 日 2 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 長谷川香料グループが考えるサステナビリティ トップメッセージ 事業環境認識 新型コロナウイルス感染症の影響は長期化しており、世界各国で人命、社会経済活動に甚大な影響を及ぼしています。変異株の発生などにより医療提供体制が逼迫する中で、感染防止と経済活動の両立が引き続き大きな課題となっています。 また、気候変動をはじめとする社会課題への対応も急務となっています。温暖化による異常気象は、天然原料の収量や品質の低下、災害による設備の損壊、サプライチェーンの断絶に伴う事業活動の中断や 気温上昇等をもたらし、顧客ニーズや消費者動向に変化を与長谷川香料株式会社 代表取締役社長 海野 隆雄 えるだけでなく、長期的には水資源への影響も見込まれます。さらに、少子高齢化、人口減少等の人口構造の変化は、労働力不足や消費市場の縮小など、多岐にわたり影響を及ぼします。 当社グループはこれらの対応すべき社会課題を認識し、潜在するニーズや機会を見出して事業成長へとつなげています。例えば、コロナ禍を機とした新しい生活様式は、生活者や顧客の新たなニーズをもたらしています。また、国際社会がカーボンニュートラルへと向かう中で、食品原料及び天然原料の代替素材への需要は増加しています。少子高齢化を背景とした健康志向の高まりのほか、世界的な人口増加、新興国における生活水準の向上も香料市場の拡大につながっています。 当社グループの事業は、食品や日用品など人々の生活に密着しています。香りの技術を通じて社会に貢献していくことで事業成長を実現していきます。 基本戦略とカスタマーサクセス 現在、当社グループは、「コアビジネス(調合香料)の拡大に注力」「国内市場における収益の確保」「海外市場における成長」の 3 つの基本戦略のもと、事業を展開しています。これらの戦略を確実に成果につなげるべく、2017 年から変化を恐れず挑戦する組織づくりに向けた経営改革を進めてきました。改革の成果は着実に表れており、2020 年度に引き続き 2021 年度も、最高益を更新しています。 また、この改革では「カスタマーファースト」から「カスタマーサクセス」へのシフトを重視してきました。当社グループは「カスタマーサクセス」を、顧客の企業価値向上に貢献することだと考えています。顧客からの依頼をただ待っているのではなく、顧客の抱える課題や生活者の潜在的欲求を自ら調査・分析し、香りの技術を活かしたソリューションを提供することで、顧客の事業の成功に貢献するとともに、顧3 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 客にとって最も価値ある存在になることを目指します。その実現に向けて、提案力を強化し、多様化・高度化する顧客の要望に迅速に対応するために、研究、営業、マーケティングを統括するビジネスソリューション本部を 2020 年 10 月に立ち上げました。新部署の設立から 1 年以上経過し、顧客からも好評をいただいており、「カスタマーサクセス」が着実に形になっていると感じます。 成長ドライバーと位置付けている海外市場では、成長スピードを上げるために投資を拡大しています。2021 年度には、米国にて買収した食品香料会社 MISSION 社の PMI(Post Merger Integration:買収後統合)が完了しました。現在、海外売上高比率は 4 割を超え、今後も伸長する見込みです。 サステナブルな社会の構築に向けて 自社の収益拡大を追求するだけでは、持続的な成長は望めません。国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の発効を背景に、社会課題の解決に向けた動きが世界で加速しています。香料メーカーとしてステークホルダーの要請に応えるとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを一層推進していくために、2020 年 8 月、当社は国連グローバル・コンパクトに署名しました。また、2021年には事業戦略と一体となったサステナビリティの取り組みを組織的に推進することを目的として、サステナビリティ委員会を設置しました。2022 年には気候変動対応のさらなる推進に向けて、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。 当社グループが注力している、枯渇する食品原料を代替する香料の開発や健康志向への対応等は、食料不足をはじめとする現代社会が抱える課題解決に寄与するものです。こうした香りの可能性を引き出し、「カスタマーサクセス」につなげてきたのは、1903 年の創業以来当社グループを支えてきた「人財」です。あらゆる部門の従業員がそれぞれの立場で、品質管理と安全性の確保を第一に、安全・安心な製品の提供に努め、「専門家としての揺るぎない視点」「ニーズに対応していく熱意」そして「仕事を成し遂げる力」を発揮することで、当社グループは発展してきました。社是である『技術立社』とは、各部門が常に連携し、刺激し合いながら、香料を通じて世界へ貢献するという私たちの姿勢を表明したものです。 当社グループは、世界が抱える課題を香りの技術を使って解決し、人々が豊かで健やかな暮らしができるサステナブルな社会の構築に貢献してまいります。 2022 年 4 月 4 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 長谷川香料グループの存在意義 『技術立社』を社是とし、香りを通じて豊かな社会づくりに貢献します 長谷川香料グループは、『技術立社』を社是として、香料に徹し顧客に安心して使っていただける製品の提供に取り組んでいます。各部門が常に連携し、切磋琢磨すると同時に外部との連携・共同研究を重ね、ものづくりのパートナーとして、生活者のニーズや潜在的欲求を捉えた顧客の期待を超える提案により、カスタマーサクセスへとつなげていきます。また、社会の一員として各ステークホルダーとの信頼関係を構築・強化し、社会が抱える課題を香りの技術を使って解決し、豊かな社会づくりに貢献していきます。 5 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 長谷川香料グループの価値創造プロセス 世界で唯一の香りの「Creation」及び高品質で安全な製品の「Production」の循環により カスタマーサクセスへと導きます 長谷川香料グループの価値創造は まります。 (1) 営業とマーケティングが生活者のニーズを分析し、顧客の要望や潜在的欲求を把握するところから始(2) 研究開発では、顧客の要望や潜在的欲求を形にした香料サンプルを迅速に創香します。 (3) 調達では、サプライチェーンを意識した原料調達を行います。 (4) 製造では、最適な生産設備を用いて年間約 12,000 品目の「香り」を効率的かつ正確に創り出します。 そして、万全な品質管理体制のもと、安全・安心な製品を顧客にタイムリーに提供します。 6 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 持続的成長に向けて イノベーションで事業機会を拡大し、 環境・社会に配慮しながらリスクを低減することにより目指す姿を実現します 国内における少子高齢化や気候変動、食糧不足、生活者のニーズの変化などが香料業界にも大きな影響を及ぼします。こうした事業環境の変化に対応し、「創香力」によるイノベーションで事業機会を捉えつつ、責任ある調達、環境負荷軽減、人権労働、品質安全などサステナビリティへの取り組みも強化し、リスク管理を徹底することにより、香りを通じて豊かな社会づくりに貢献していきます。 7 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 長谷川香料グループのサステナビリティ推進体制 CSR 方針を策定し、全社的に推進体制を整備して進めています (1)CSR 方針の策定 当社が以前から行ってきた CSR 活動と、IFRA-IOFI サステナビリティ憲章や、国連グローバル・コンパクトへの賛同を踏まえ、社会課題解決に対する「事業プロセスを通じた貢献」と「製品を通じた貢献」の 2 つの側面から当社のマテリアリティを検討し、6 つの CSR 方針として定めました。 【CSR 方針 策定プロセスと定期的なレビュー】 当社グループ及びステークホルダーにとっての重要性の視点で検討し、代表取締役及び代表取締役が指名した執行役員で構成する戦略会議の承認を得て、CSR 方針を策定しました。また、今後 CSR 方針を変更する場合も戦略会議の承認のもと、変更することとしています。 8 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 【CSR 方針】 【CSR 方針とリスク・機会、事業戦略との関係】 CSR 方針とリスク・機会、事業戦略との関係性を確認し、整理しています。 9 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved (2)サステナビリティ推進体制の整備 当社グループは、イノベーションで事業機会を捉えつつ、サステナビリティへの取り組みを強化し、リスク管理を徹底することにより、香りを通じて豊かな社会づくりに貢献していきます。 当社グループは、CSR 方針に掲げる事項や ESG を含めたサステナビリティへの取り組みをグループ全体で戦略的に推進していくため、サステナビリティ委員会を設置しています。同委員会では、グループ全体のサステナビリティに関する事業戦略の立案、取り組み内容等の重要事項についての審議・決議を行います。サステナビリティ委員会の審議事項は、必要に応じて戦略会議、取締役会に付議・報告します。また、内容に応じて関係各部に権限移譲を行っています。 CSR 方針に掲げる事項や ESG を含めたサステナビリティへの取り組みをグループ全体で戦略的に推進すサステナビリティ委員会の概要 ・目的 ・委員 ることを目的としています。 成しています。 ・事務局 ・2021 年 9 月期の実績 同委員会は、管理部門管掌役員を委員長とし、各部門の管掌役員の推薦により委員長が任命した委員で構同委員会の事務局は、経営企画部及び CSR 部で構成しています。 委員会を 1 回開催し、サステナビリティ委員会の役割、サステナビリティレポートの作成、GRI スタンダード内容索引の開示に向けた方向性の確認を行いました。 10 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved (3)KPI の策定 当社は、CSR 方針(マテリアリティ)に実効的に取り組んでいくために、KPI を設定しました。 11 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ステークホルダー・エンゲージメント ステークホルダーとの信頼関係の構築に注力しています 当社グループは、当社グループの価値創造に関わる全ての組織・人をステークホルダーと捉え、ステークホルダーの皆様との対話を重視し、信頼関係の構築に注力しています。 12 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 賛同・参画している主な団体・イニシアティブ 幅広いサステナビリティへのグローバルな取り組みに賛同・参画しています IFRA-IOFI サステナビリティ憲章に署名 当社が加入する日本香料工業会は、国際的な団体である International Fragrance Association(国際香粧品香料協会、「IFRA」)の会員であり、また、当社は国際的な団体である International Organization of the Flavor Industry(国際食品香料工業協会、「IOFI」)の会員です。当社は、直接、または日本香料工業会の活動への参加を通じて、これらの団体が実施する香料の安全性確保に向けた諸活動に寄与しています。 IFRA -IOFI は、企業のビジネス戦略の中にサステナビリティを定着させることは、繁栄と存続可能な未来にとって必要不可欠であるという共通の信念をもち、これをサステナビリティ憲章として定めています。当社は、サステナビリティを最も重視して、以前から様々な活動を行ってきましたが、これらを公約として高いレベルで表明するため、2020 年 3 月 31 日に上記サステナビリティ憲章に署名しました。当社は、サステナブルな社会の実現に向けて、上記サステナビリティ憲章に定める次の 5 つの領域に取り組んでいきます。 IFRA-IOFI サステナビリティへの取り組み 1. バリューチェーン全体において責任ある調達を確実にします。 2. 我々業界の環境フットプリントを減らし、気候変動へ対応します。 3. 従業員の福利向上と働きがいのある労働環境を実現します。 4. 製品の安全性に関して先端的な担い手となります。 5. 透明性を確保し、社会にとって信頼できるパートナーになります。 13 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 国連グローバル・コンパクトに署名 当社は、国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト」に署名し、2020 年 8 月 24 日付で参加企業として登録されました。また、同日付で日本における国連グローバル・コンパクトのローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しました。 国連グローバル・コンパクトは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。 当社は、国連グローバル・コンパクトの掲げる「人権・労働・環境・腐敗防止」に関する 10 原則を支持し、持続可能な世界の実現に向けて、今後も全てのステークホルダーに対して責任のある経営を推進していきます。 14 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 長谷川香料企業行動規範 『技術立社』を社是とし、香りを通じて豊かな社会づくりに貢献するため、 一人ひとりが遵守すべき事項として企業行動規範を定めています 当社グループは、『技術立社』を社是とし、香料に徹して顧客に安心して使っていただける製品の提供に取り組んでいます。また、社会の一員として各ステークホルダーとの信頼関係を構築・強化し、社会が抱える課題を香りの技術を使って解決し、豊かな社会づくりに貢献することを目指しています。その目指す姿の実現に向け、「長谷川香料企業行動規範」を定め、当社グループ全体に周知徹底しています。当社グループの全役員及び全従業員がこの行動規範を理解・遵守し、高い倫理観を持って誠実で公正に行動し、社会的責任を果たしていきます。 長谷川香料企業行動規範 わたしたちは、法令等に常に注意を払い、その理解に努め、社会的良識を持って行動します。 わたしたちは、社会の一員として環境問題の改善に積極的に取組み、環境保全に努めます。 わたしたちは、反社会勢力およびこれに類する団体とは断固として対決し、一切の関係を遮断わたしたちは、一人ひとりの基本的人権を尊重し、不当な差別や嫌がらせは一切行いません。 わたしたちは、会社業務を遂行する上で第三者の権利を尊重し、その権利を侵害しません。 わたしたちは、厳格な品質管理体制のもと、法令に適合した安全な製品の提供に努めます。 7.インサイダー取引の禁止 式売買は一切行いません。 わたしたちは、公正な株式売買を行い、インサイダー取引およびその疑いをもたれるような株15 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 1.法令等の遵守 2.環境問題への取組 3.反社会勢力との対決 いたします。 4.人権の尊重 5.第三者の権利の尊重 6.品質安全基準の遵守 8.利益相反行為の禁止 わたしたちは、下記に例示されるような、自己の利益と会社の利益が衝突するような、またはそのおそれのある行為は行いません。 (1)会社と競業する他の会社の役員・従業員になること。 (2)会社と競業する他の会社の営業活動を助長または支援する行為。 (3)会社の事業と競業する行為。 9.社内情報の取り扱い わたしたちは、会社の保有する情報および会社が第三者から提供された情報の価値を十分認識の上、社規の「機密情報管理規程」、「内部情報管理およびインサイダー取引規制に関する規程」 を遵守し、厳重にこれを管理します。 10.取引先に対する行動 逸脱した行為は一切行いません。 11.納入業者との関係 正に接します。 わたしたちは、接待、贈答に関しては、贈収賄行為はもとより、社会通念上のビジネス慣習を(1)わたしたちは、納入業者との商取引において、良識と誠実さをもって接し、公平かつ公(2)わたしたちは、納入業者に対し、会社の優越的地位を乱用するなどして不当に不利益を課すことはありません。 (3)わたしたちは、納入業者からリベート等を一切受けません。 16 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved サステナビリティへの取り組み CSR 方針 1 調達 基本的な考え方 バリューチェーン全体において責任ある調達を推進します。 当社グループは、『技術立社』の社是のもと、香りを通じて豊かな社会づくりに貢献することを目指し、顧客に安心して使っていただける製品の提供に取り組んでいます。そのためには良質で価格競争力のある材料の安定調達を可能とするサプライチェーンの構築が不可欠です。公正かつ公平で透明性の高い取引を通してサプライヤーと長期的な信頼関係を構築し、サプライチェーン全体で持続可能な成長を実現できるよう資源・環境・人権に配慮した調達活動を推進します。 長谷川香料グループ調達方針 各国・各地域における法令・社会規範を遵守し、サプライヤーとともに高い倫理観と社会的良1. 法令遵守・倫理的な取引 識をもった調達活動を推進します。 2. 人権への配慮 いかなる場合においても人権を尊重し、一切の差別を行わないようサプライチェーン全体において人権侵害につながるような活動を行わないように努めます。 3. 地球環境への配慮 達活動を行います。 全てのサプライヤーとともに環境負荷の低減を意識し、地球環境保全に配慮した持続可能な調4. サプライヤーとの相互信頼と共存・共栄 公正かつ公平な競争原則のもと相互信頼をベースに相手の立場を尊重し、サプライヤーを含む全てのビジネスパートナーと共存・共栄を図ります。 5. 安全・安心とカスタマーサクセス 顧客さらにはその先の消費者に安全で良質な製品を提供することにより、カスタマーサクセス及び安全・安心の実現を目指した調達活動を行います。 17 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ステークホルダーとの関係性 サプライチェーン全体において責任ある調達を推進するため「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」を制定しています。公正かつ公平で透明性の高い取引を通してサプライヤーと長期的な信頼関係を構築します。 長谷川香料グループのサプライヤー概況 当社グループでは、化学メーカー、同業の香料メーカー、食品添加物メーカー、食品メーカー、商社、委託製造メーカー、副資材メーカーと取引を行っています。2021 年度に当社単体で取引のあったサプライヤーの総数は約 460 社で、仕入品目の総数は 3,200 品に上ります。主な内訳は香料原料(天然香料、合成香料)と食品、食品添加物であり、その比率は半々となっています。輸入品と国内調達の比率は 35:65 となっており、各サプライヤーの所在地は国内、中国、米国、EU、英国、インド、ブラジル、アルゼンチン等世界各国にわたります。少量多品種であり、比較的単価の高い原料を扱っていることが特徴です。 貢献を目指す SDGs 推進体制・ガバナンス 原料調達は主に資材部が推進します。また、代表取締役社長を委員長とし、取締役をメンバーに含むグループ会社の横断的な組織であるリスク管理委員会において調達に関するリスクの管理・検証を行います。その際、資材部が調達に関するリスクを収集し、リスク管理委員会に報告しています。 リスク・機会と戦略 リスク ・気候変動による天然資源由来の香料原料の調達不全 ・サプライチェーンの社会・環境問題への対応の遅れによる事業活動の停滞と企業価値の棄損 機会 ・調達品目及び調達先の多様化による製造開発の強化やリードタイムの短縮化 戦略 ・グローバルな原料調達の実践 ・代替原料の調査、開発 ・サプライヤーへのサステナビリティ調査と支援 18 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 2021 年度の主な取り組み RSPO 認証を継続するとともに、「長谷川香料グループ調達方針」を策定しました。また、サプライヤーガイドライン制定やアセスメント実施に向けた情報収集を行いました。 シソオイルの調達 長谷川香料は国内の特徴のある香料原料について積極的に利用を推進して、日本特有の風味の開発に挑戦しています。その一つの重要な香料原料であるシソオイルの調達のために、下記のとおり生産組合と連携を図り、品質・数量の安定的な生産と事業継続のための支援を行っています。 ・種の提供:品質の安定、収量の安定を目的に毎年、生産者に種を提供しています。また種苗メーカーの協力のもと、生産地の状況確認を行っています。 ・技術支援:生産性向上のために、当社より研究員・技術員を派遣し製法改良、装置改修の助言・支・品質向上支援:生産組合だけでは習得の難しい品質検査の方法について、研究員を派遣し教育・支援を行っています。(※) 援を行っています。 ・包材等の支給:生産組合に充填容器、包装資材を提供しています。 ・事業継続:生産者の収益が安定するよう、栽培面積を大きく増減させることなく複数年先を見据えた計画的な調達を推進しています。 (※)シソオイル採油設備の老朽化に伴う改修時、生産組合では設備の評価・設計が難しい面もあることから、当社より設備担当者及び設備業者を派遣し、2021 年に改修を実施しました。 今後に向けて リティ調達を推進します。 2022 年度以降は、下記の取り組みを進めることで、サプライヤーとの関係性をより強固にし、サステナビ・サプライヤーへの「長谷川香料グループ・サプライヤーガイドライン」の共有 ・サプライチェーンを構成するサプライヤーに対し、サステナビリティの推進を依頼 ・グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンによる CSR 調達セルフ・アセスメント・ツールを活用し、サプライヤーへの回答を依頼 サプライヤーアセスメントの実施 ・2022 年度:実施率 60% ・2023 年度:実施率 70% ・2024 年度:実施率 80% 19 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved CSR 方針 2 環境 環境負荷軽減の重要性を理解し、積極的に環境保全・向上活動に取り組みます。 基本的な考え方 当社では、環境保全に対する姿勢を明確にする目的で「環境理念」を制定するとともに、その理念の具現化を進めていくために「環境安全活動方針」を策定しています。 長谷川香料株式会社はかけがえのない地球を未来に引き継ぐことが人類共通の重要課題であることを認識し、総合香料メーカーとしての全ての事業活動において地球環境保全に配慮して行動します。 当社では、「環境保全」と同様に、「保安防災」「労働安全衛生」「化学品安全」についても企業の重要なテーマとして「環境安全活動方針」に盛り込み、取り組みを行っています。 環境理念 環境安全活動方針 環境保全 1. 省エネルギーの推進 2. 省資源、廃棄物の有効利用の推進 3. 臭気対策、環境汚染物質の排出低減 4. 環境管理体制の充実 5. グリーン購入の推進 保安防災 1. 危険物安全対策の推進 2. 防災安全対策の推進 労働安全衛生 1. 労働安全対策の推進 2. 労働衛生活動の推進 3. 労働環境の改善 化学品安全 1. 化学物質管理体制の整備 2. 化学品安全対策の推進 20 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ステークホルダーとの関係性 顧客向けの情報開示 調査への回答を実施しています。 従業員向け環境教育 提供しています。 ・社内環境セミナー います。 ・社外環境セミナー アップに努めています。 ・新人教育 CSR 調達セルフ・アセスメント・ツール(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)、Sedex、EcoVadis、CDP 等のプラットフォームを通じた情報開示を行うとともに、お取引先からのサプライヤー環境教育を多面的に実施して、従業員の環境意識の向上に努めています。 ・社内イントラネットによる教育、情報提供 環境関連ページを社内イントラネット上に掲載し、「サステナビリティレポート」をはじめ環境情報を各事業所の環境安全委員会、教育委員会等が企画して、環境問題に関するセミナー・勉強会を開催して環境安全業務に携わる者は、専門的セミナー・講演会・展示会などに参加して、環境関連知識のレベル新入社員に対する教育を各事業所において実施しています。また、従業員に対する社内セミナーにおいて、環境・安全に関する研修を実施しています。 ・環境マネジメントシステム(ISO14001)による環境教育 深谷工場、板倉工場及び総合研究所では、ISO14001 環境マネジメントシステムの中で教育・訓練を計画的に実施しています。また、各職場では「ISO14001 掲示板」を設置して環境方針、環境推進ポスター、その他環境関連情報を掲示し、環境保全の促進に努めています。 当社 HP にてサステナビリティ(本レポート含む)に関する情報を開示しています。 21 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 株主への情報開示 貢献を目指す SDGs 推進体制・ガバナンス 推進体制 「環境安全管理規程」に基づき環境安全管理体制を構築し、推進しています。 また、環境マネジメントシステムの国際規格 ISO14001 の認証を深谷工場・板倉工場・総合研究所で取得し、生産部門と研究部門が一体となって運用しています。 (1)全社環境安全委員会 ①代表取締役社長が任命する CSR 部担当役員を委員長とする委員会で、環境保全及び安全対策に関する全社的な方針、活動計画などを審議・決定します。 ②各事業所の環境安全に関する活動計画・活動実績等の報告を受け、全社的な調整を行います。 ③環境安全監査(環境保全 / 保安防災 / 労働安全衛生)の監査員を選任し、各事業所で毎年監査を実施します。 (2)各事業所環境安全委員会 (3)CSR 部 ①本社、総合研究所、深谷工場及び板倉工場に、それぞれ環境安全委員会を設置し、事業所長などを委員長として、毎月開催しています。 ②それぞれが具体的な活動方針・目標を定めて、環境及び安全に関する活動を推進しています。 ①CSR・SDGs に関する基本施策の立案・推進を行っています。 ②長谷川香料の環境安全活動について総括管理を行っています。 ③全社環境安全委員会及び環境安全監査などを事務局として計画・運営しています。 ④サステナビリティレポートや当社 HP 等を通じて関連情報を開示しています。 22 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved (4)ISO14001 2001 年に深谷工場及び板倉工場において、一般財団法人日本規格協会より環境マネジメントシステム ISO14001 の認証を取得し、活動してきました。なお、現在の認証機関は DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社となっています。また、生産部門は、当社の中でも特に環境負荷の大きい部門ですが、両工場が歩調を合わせて、ISO14001 のシステムに基づき、PDCA サイクルを回して継続的改善に取り組んでいます。また、2012 年 6 月には、総合研究所を認証登録範囲に加え、研究開発段階から環境負荷軽減への取り組みを強化しています。 「ISO14001 環境方針」 長谷川香料株式会社深谷事業所、総合研究所は食品香料、香粧品香料、合成香料、食品添加物、食品および香粧品素材などの生産・研究開発を行う総合香料メーカーとして環境との調和の重要性を認識し、社会に信頼される企業を目指します。この実現のため、以下の方針に基づき環境に関する活動を実施していきます。 ①省資源、省エネルギーを推進し、地球環境の保護に努めます。 ②廃棄物の削減及びリサイクルを推進します。 ③適用サイト及び周辺の環境管理を強化し、汚染の予防に努め、地域社会との共生を図ります。 ④環境に関する大気、水質等の法律、協定を順守します。 ⑤内部監査等を行い、環境マネジメントシステムの継続的な改善を図ります。 ⑥環境教育を行い、全従業員の環境に関する意識の向上に努めます。 各事業所において環境安全監査を毎年実施しています。その結果を戦略会議で報告することを環境安全管理規程で定めています。また、ISO14001 の認証を取得している生産部門・研究部門では、外部審査機関による定期維持監査を受け、これらの定期的な監査により環境管理システムが有効に機能しているかを確認 ガバナンス し、改善を図っています。 全社環境安全委員会による環境安全監査 1997 年から全社環境安全委員会が、環境保全と安全対策に関する監査を実施してきました。 2008 年以降、監査内容を「環境保全監査」「保安防災監査」及び「労働安全衛生監査」に区分し、きめ細かくチェックする仕組みに変更しました。監査に際しては、それぞれ専門的な監査員を選任し、監査員は環境に関わる法令の遵守、活動の状況、関連施設管理状況等をチェックし、改善すべき事項には改善指摘書を発行します。これに対し被監査事業所では、指摘事項に対する改善計画を作成し、全社環境安全委員会に報告した上で改善を実施していきます。2021 年度は 8 月に新型コロナウイルス感染症対策を行いつつ、各事業所においてそれぞれ監査を実施し、全社環境安全委員会で審議後、戦略会議へ報告しました。 23 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ISO14001 定期維持審査と内部環境監査 環境マネジメントシステム ISO14001 の認証を取得している深谷工場・板倉工場・総合研究所では、外部審査機関 DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社の定期維持審査を受け、システムの定着・運用を確認している一方、部門内においても環境マニュアルで規定され登録・承認された内部環境監査員により内部環境監査を実施しています。 当社の中でも特に環境負荷の大きい生産部門は、両工場が歩調を合わせて、ISO14001 のシステムに基づき、PDCA サイクルを回して運用に取り組んでいます。 指摘や改善推奨事項が示された場合には迅速に是正対応し、継続的な改善を図っています。 リスク・機会と戦略・対応 リスク 法令・規制遵守徹底の不備による行政処分や訴訟 地域社会の環境保全の阻害 社会的評価の低下 顧客からの取引停止等 気候変動による原材料の不作 災害等によるサプライチェーンの寸断 機会 ・気候変動によって生じる社会的ニーズへの対応 戦略 リスクへの対応 への啓蒙 機会への対応 ・法令遵守やリスクへの対応を徹底します。 ・CSR 方針に則り、環境課題を解決し、成長戦略へとつなげていきます。 ・戦略会議における長期視点での目標検討・決定と全社環境安全委員会での施策の進捗管理、グループ全体・地球温暖化対策の徹底(環境安全委員会活動を通じたエネルギー消費量・CO2 の削減、原料等の省資源、廃棄物の堆肥化を通じた有効利用) ・CSR 調達セルフ・アセスメント・ツール(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)、Sedex、EcoVadis、CDP 等のプラットフォームに加盟、情報開示の実施と透明性の維持 ・情報開示、トレーサビリティーの担保による顧客との取引拡大 ・イノベーションの加速、SDGs の目標の実現に向けた新製品の開発・提案、販売 24 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ・炭酸感増強香料(炭酸エンハンサー®)、天然光劣化防止剤等の使用で、ペットボトルの薄肉化や軽量化により容器原材料の省資源化に貢献 TCFD への取り組み TCFD 提言へ 2022 年 3 月に賛同を表明しました。 現在、当社にとっての気候変動のリスク、機会とそれらが及ぼす影響を見極め、対応策を開示すべく、準世界が脱炭素化社会の実現に向けて取り組みを加速する中、当社も気候変動問題に対して積極的に取り組備しています。 んでいきます。 25 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 環境保全活動を効率的かつ効果的に進めていくために、環境省の「環境会計ガイドライン」を参考にし、2021 年度の主な取り組み (1)環境会計 環境会計を実施しました。(参照:ESG データブック 2022) (2)環境負荷軽減に向けた取り組み ・エネルギー使用 当社は省エネルギーを重要な課題として捉え、積極的に取り組んでいます。全社的な省エネルギー活動を実施するほか、生産部門の全ボイラーを効率の良い機種に更新するとともに、特別高圧受変電設備や、エネルギー監視システムを導入するなど省エネルギーを推進してきました。省エネ法の第一種エネルギー管理指定工場である深谷工場及び板倉工場では、エネルギー使用の合理化基準を定め、省エネルギーに努めています。 2021年度は製造工程の改良、蒸気の有効活用による蒸気ロスの削減、ボイラー運転の効率化を実施することで、エネルギー使用量を前期比5.39千GJ削減し、エネルギー原単位は0.6%改善しましたが、目標値-1.8%を達成することができませんでした。これからも、効果的な施策を実施してエネルギー使用量の削減に努めます。(参照:ESGデータブック2022) 省エネ法定期報告書 事業者クラス分け評価制度にて2015年度~2020年度まで6年連続‟ S“クラス評価を獲得 省エネ法定期報告書 / 事業者クラス分け評価制度とは、経済産業省が定期報告書を提出する全ての事業者を S・A・B・C の 4 段階にクラス分けし評価、同省の HP で公表する制度です。当社は2020 年度報告/2019 年度実績まで、エネルギー原単位の過去 5 年の平均の変化が 99.0%となり、省エネ法で定められているエネルギー原単位年平均1%以上の改善を達成しておりました。 2015 年度に初めて S クラスを獲得し、以降 2020 年度報告分まで 6 年連続で S クラス評価を維持することができました。 今後も全社環境安全委員会が中心となり、省エネ施策を立案し、生産部門を中心にエネルギー効率のよい新型設備への切り替えや、エネルギー設備の運用状況の監視、改善を実施してまいります。また、生産部門と研究部門のコラボレーションによる製造工程の改良等から省エネを実現できるよう、全社一丸となってエネルギー対策の PDCA サイクルを展開し、このような高い評価を再び獲得できるように、今後もさらなる省エネ対策を実施してまいります。 26 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ・CO2排出 ・用水使用 2021年度も引き続き効率的な生産活動を行い、エネルギー使用量を大幅に削減できました。その結果、スコープ1、2排出量は前期比3.7%削減、また2013年度(18, 814t)を基準年とする2030年度までの46%削減目標に対して、2013年度比20.6%削減となりました。 また、スコープ3排出量について、算出可能なカテゴリより算出を開始しました。今後はCO2排出量算定について第三者検証を受けることで、環境負荷の実態把握を一層進めるとともに、長期的なCO2排出量の削減に取り組んでまいります。(参照:ESGデータブック2022) 当社は、用水を製造水以外にも冷却及び洗浄用として使用しています。これまで製造方法の改善による冷却水の削減、洗浄方法の改善や冷却水循環式設備の増設などで用水使用の削減に努めてきました。 2021年度は、用水使用量442,776㎥と前期比4.5%削減しました。限りある水資源を有効に利用し、今後も用水使用の削減に努めます。現時点の当社生産エリアでの水リスクは高くないと認識していますが、今後も継続してチェックし、適切に対応できるようにしてまいります。(参照:ESGデータブック2022) ・廃棄物の有効利用 当社は多品種の香料製品を製造しており、その製造に伴い、様々な廃棄物が発生します。この廃棄物の有効利用に取り組むとともに、廃缶類、紙類、廃ガラス、廃油等の再資源化を積極的に推進しています。また、埋立廃棄物の発生抑制に努めてまいりました。 契約するにあたり、引き取り業者を見学し、適正に処理が行われているか確認、定期的に監査を実施しています。また、廃棄物は排出者責任があるため、環境安全監査にて年に一度状況確認を行い、全社で情報を共有し、さらに指摘事項は速やかに是正を行っています。 有害廃棄物も廃棄物業者で処理しているため、マニフェストで管理しています。処分されなかったものはないと把握しています。 2021年度は、廃棄物量は前年比0.4%減少、廃棄物の有効利用率は 97.6%でした。また埋立廃棄物は深谷工場にて台風で破損したスレート瓦(アスベスト含有)を埋立処理したため、ゼロ目標は達成できませんでした。(参照:ESGデータブック2022) また、当社では、特に天然物抽出後の残渣(植物性残渣)が廃棄物として多量に発生します。この植物性残渣は、長野県南佐久郡小海町にて、長谷川香料(出資比率45%)及び廃棄物運搬会社とで出資している堆肥製造会社の株式会社小海コンポースで発酵堆肥化された後、高原野菜農家等で利用されています。 堆肥散布(長野県小海町) 野菜畑(長野県小海町) 27 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ・臭気対策 香料を製造する企業として、臭気対策(悪臭防止)には特別に注意を払っています。様々な脱臭技術を採用した多数の脱臭装置の稼働により、臭気の排出防止に努めています。 また、臭気対策の一環として、構内及び周辺地域の環境パトロールを定期的に実施しています。 ・排水処理 1969年、深谷工場に排水処理施設を設置して以来、活性汚泥法、加圧浮上法、嫌気性処理法、凝集沈殿法、膜濾過法など様々な排水浄化技術を採用した排水処理施設を増設し、排水処理の改善に努めてきました。 各工場の排水は排水処理設備で三次処理を行い適切に処理し、研究所の排水は排水処理設備で二次処理まで行い下水へ排水していま脱臭設備(板倉工場) す。水質汚濁防止法、県条例及び地域との協定で定められた排水規排水処理設備(板倉工場) 制値等の排水基準を遵守しています。 ・生物多様性の保全 生物多様性の保全は、社会全体で取り組むべき重要課題の一つです。香料の製造には、エネルギーや天然原料及び合成原料、水などの資源を利用しており、バリューチェーン全体でみると生態系に何らかの影響を与えている可能性があります。 香料が貢献できるテーマの一つが「消費量の多い食資源の代替品開発と使用量削減」です。例えば、肉類、乳、砂糖、ラード、パーム、コーヒー、茶、カカオ、ナッツなど需要の増加が見込まれる食品については、加工食品中の使用量を減らしても風味を香料で補えば、嗜好度を落とすことなく生活者に届けることができます。また香料の使用は、食資源保護につながることに加え、天然の食材よりも、低価格にて安定供給することが可能です。 二つ目は、「フードロス削減」です。製剤化技術で香料を粉末化することで、香料を運ぶための容器コストと輸送コストの削減につなげるだけでなく、食品の保存性能の向上につなげることが可能です。また、炭酸感増強剤や光劣化防止剤を利用することで、ペットボトルの軽量化や食品の賞味期限の長期化に貢献しています。 今後は当社の事業性や地域性に配慮した活動を推進するとともに、事業活動と生物多様性との関係性を体系的に把握し、社内教育などを通じて生物多様性への理解を深めていけるよう努めていきます。 28 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved (3)環境目標と実績 今後に向けて ・再生エネルギー調達を開始し、スコープ 1、2 の中長期的な CO2 排出量削減に取り組んでまいります。 ・CO2排出量第三者検証を取得し、算定方法の透明性とデータの信頼性を図っていきます。 ・CDPサプライチェーンプログラムを通して、サプライチェーン全体のCO2排出量の把握に努めてまいります。 ・TCFD の提言に沿った開示を進めるべく、気候変動リスク、機会とそれらが及ぼす影響を見極め、対応策等の検討を進めてまいります。 29 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 30 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 人権と多様性を尊重し、従業員の福利向上と安全で働きやすい職場を実現します。 CSR 方針 3 人権労働 基本的な考え方 人権基本方針 当社は、「世界人権宣言」「労働における基本的原則及び権利に関する ILO 宣言」「国連グローバル・コンパクト」等の国際的な人権基準を支持するとともに、「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、以下の方針に従い行動します。 1. 児童労働や強制労働を決して行いません。 2. 法律で定められた労働時間、休日休暇、最低賃金を遵守します。 3. 採用や昇格、昇進にあたり、いかなる差別も行いません。 4. 労働者や職場環境を害するいかなるハラスメントも許しません。 5. 職場と労働者の安全衛生の確保を優先し、事故防止、災害防止に努めます。 6. 労働者代表と適切かつ誠実に協議します。 上記方針 1~6 の遵守状況を確認するとともに、当社の事業活動に関係する人権への負の影響を特定し、防止、軽減するための仕組みを構築するよう努めます。 また、当社が人権への負の影響を及ぼした、あるいは助長したことが明らかになった場合は、適切な手続きを通じてその救済・是正に取り組みます。 推進体制・ガバナンス す。 人権尊重への取り組み 人権・労働はコンプライアンスの根幹に関わるとの考えのもと、代表取締役社長を委員長とし、取締役をメンバーに含むコンプライアンス委員会で人権・労働に関する課題を把握し、必要に応じて改善を図りま当社グループでは、コンプライアンス規程を制定し、事業活動を行うにあたり全ての従業員が従うべき事項として「長谷川香料企業行動規範」を定めており、その項目には「人権の尊重」が含まれています。人権尊重の意識の浸透とともに、人権課題の発生を未然に防ぐため、行動規範の周知、徹底に努めています。また、当社では同規程のもと、従業員からの通報の窓口を社内外に設置し、人権課題の早期発見並びに対応に努めています。また通報がない場合でもリスクを掌握できるように、リスク管理委員会並びにコンプライアンス委員会が合同で毎年、各部署へリスク調査を実施しています。 31 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 貢献を目指す SDGs 【人財育成】 リスク・機会と戦略 リスク ・従業員のモチベーション向上 ・職場環境改善による生産効率の向上 戦略 ・適切なスキルを持つ人財が不足した場合、事業が停滞し、技術継承が難化 機会 「従業員の働きやすい環境を整備する」という経営方針に則り、「人財が成長し、働く意欲・モチベーションを維持できる活気あふれる企業風土」を目指すとともに、キャリアアップの機会を人種、国籍、性別、宗教、障がいの有無などに関わらず平等に提供することを定めています。 教育体系 ※配属3年目を目安に配属先と異なる研究所で研修を行い、知見やスキルの向上を図る制度 中核人財の登用等における多様性の確保 ・多様性確保についての考え方 32 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 当社は、社員一人ひとりの多様性を尊重し、性別・国籍・キャリア採用者に関わりなく優秀な人財を積極的に管理職として登用してきました。管理職登用後も、マネジメント研修をはじめ継続的に教育を実施しスキルアップを図ります。当社は女性管理職比率についてさらなる向上を目指し、今後も変化する経営環境に対応すべく、女性・キャリア採用者の管理職登用を進めてまいります。また、成長戦略における海外事業の拡大を進めるべく、優秀な外国人の登用も継続していきます。 【多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標及び状況】 項目 現状 目標 達成時期 女性管理職比率 16.8% キャリア採用者管理職16.3% 18%以上 18%以上 2024 年 9 月末 2024 年 9 月末 比率 管理職比率 外国人従業員に占める30.0% 30%以上 現状維持 ※現状は 2021 年 9 月末時点の実績 2021 年度の主な取り組み 各階層における役割を理解し、求められるスキルを身に付ける。 ・階層別研修 新入社員、中堅社員、新任管理職を対象とした研修を実施しています。各階層に応じた役割理解やスキルを身に付けることを目的とした研修を実施します。PDCA を実践し、よりよい研修となるように企画、運営をできるよう改善に努めています。 自ら学び、成長する従業員を応援する。 ・通信教育補助制度 自己啓発を促進するために、幅広いニーズに応えることができるように講座編成を行っています。スキルアップをより促すために当年度より優秀修了者への受講料の補助率を引き上げました。 ・資格取得支援制度 ・社内セミナー 税理士や社会保険労務士など会社が認めた資格を取得する際の受講料を最大半額補助します。また会社が指定した TOEIC スコアを取得するなど一定の要件を満たした従業員には、奨励金を支給しています。 当社の各部署所属の従業員が講師となり、自部署の業務や時事情報を講義しています。受講者が長谷川香料全体を理解するだけでなく、自部署と講義を担当した部署とのつながりや関係性を理解し、自身の業務に役立てることができます。また講師も他者に教えることで自部署の業務理解を深めることができます。 ・ライフプランセミナー 額会社負担で提供しています。 定年退職後の充実したセカンドライフを過ごすための社外セミナーを希望する従業員とその配偶者へ全33 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved ・定年退職者向けの再就職等支援 定年退職後の新たな一歩を踏み出すために、再就職を目指す人へ再就職のノウハウ等を提供する「再就職支援プログラム」と起業や海外移住等のセカンドキャリアを目指す人への「セカンドライフプログラ中長期に及ぶビジョンを描く能力を養うこと、経営管理能力の習得、経営への参画意識を高めることをム」を希望者に提供しています。 若手への経営意識の醸成を行う。 ・ジュニアボード 目的とした選抜型の研修を実施しています。 グローバル人財の育成を支援する。 ・語学研修 ています。 ・海外赴任前研修 英語、中国語のスキルが必要な従業員へ全額会社負担でネイティブスピーカーによるレッスンを提供し海外子会社へ赴任が決定した従業員を対象に、社外講師を招いて赴任先の海外文化や赴任先の法律、商習慣などを講義しています。 成長と自律を促すマネジメントを支援する。 ・マネジメント研修 管理職に対して部下の成長と自律を促すマネジメントを理解して実践できるようになることを目的とします。皆が同じ視点、考え方を持つことができるように管理職へ登用された一定期間を経過した従業員を受講対象としています。 経営幹部を育成する。 ・経営幹部研修 今後に向けて 人事制度改革 2名の経営幹部がビジネススクールの講座を受講しました。 等級制度、評価制度、報酬制度、人財育成をトータルに見直しました。 34 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 会社の求める役割(等級制度)を明示し、これに沿った評価制度を導入することでパフォーマンスに見合った報酬に報いる人事制度としました。 また、2021 年度の取り組みを継続するとともに、人事制度に合わせたより効果的な体系的教育制度を検討しています。 人事考課と育成のための面談の確実な実施 新人事制度改革に合わせ、人事評価のシステム化を進めます。 100%を目指します。 人事制度改革に合わせた考課者研修の実施 目標設定、評価の各面談において実施記録の確認を容易にし、休業者などを除いた評価対象者の面談実施新人事制度改革の意図を理解し、正しい評価、育成を行えるように考課者を対象とした研修を実施します。 【安全で働きがいのある職場づくり】 ・労働災害の発生に伴う行政処分、訴訟、社会的評価の低下 リスク・機会と戦略 リスク ・労働災害の発生 ・職場環境の悪化による優秀な人財の離職 ・介護や育児を理由とした離職 ・社会的評価の低下による採用の難化 機会 ・採用応募者の志望度向上と従業員の定着 ・職場環境改善による生産効率の向上 35 Copyright© T.HASEGAWA CO., LTD. All rights reserved 戦略 「従業員の働きやすい環境を整備する」という経営方針に則り、「人財が成長し、働く意欲・モチベーションを維持できる活気あふれる企業風土」を目指しています。 働きやすい職場環境のための制度 制度 内容 自己申告制度 職場の活性化、適正かつ有効な人員配置、人財の有効活ノー残業デー 毎週水曜日はノー残業デーとし仕事のやり方を見直して用を目的として、従業員が自身の仕事のみならず個人の事情などを会社に伝えることができる制度。 業務効率化を図っています。併せて所定外労働を削減することによりプライベートの時間を充実させ健康的な生育児/介護のための休暇や短時間勤務制度 休暇:該当する家族がいる従業員が 1 年間につき 5 日間(2 名以上の場合は 10 日間)を有給にて休暇を取得でき活を促します。 る制度。 育児/介護による離職者の求職登録制度 育児・介護等を事由で退職し、中途採用情報の提供を希短時間制度:該当する家族がいる従業員は 1 日の所定時間を 5 時間または 6 時間とする制度。 望する従業員に対し、該当する求人があった際に情報提供を行う制度。 永年勤続表彰 勤続 15、25、35 周年を迎えた従業員にリフレッシュ休暇及び副賞を授与しています。 文化体育行事 従業員の自主的な参加により、仕事以外でも相互の親睦を図るとともに仕事に

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