カゴメ(2811) – 統合報告書2022

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開示日時:2022/04/07 00:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.12 20,986,500 1,200,100 1,200,500 129.9
2019.12 18,084,900 1,397,000 1,397,000 114.73
2020.12 18,304,100 1,159,700 1,159,700 83.59

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
3,180.0 3,012.18 2,951.09 29.36 30.92

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.12 1,013,000 1,013,000
2019.12 178,000 1,222,400
2020.12 1,433,500 2,044,200

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社本社〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦3丁目14番15号TEL.(052)951-3571(代表)東京本社〒103-8461 東京都中央区日本橋浜町3丁目21番1号日本橋浜町 FタワーTEL.(03)5623-8501(代表)環境に配慮したFSC®認証紙と植物油インキを使用しています。Printed in JapanKAGOMEINTEGRATED REPORT統合報告書2022K A G O M E C O V E R S T O R Y食を通じて社会課題の解決に取り組み、 持続的に成長できる強い企業になる健康寿命の延伸農業振興・地方創生持続可能な地球環境トマトの会社から野菜の会社にカゴメの 目 指 す 姿2025年のありたい姿取り組む社会課題ビジョン行 動 規 範共助人権の尊重フェアネス考 え 方 の 根 底 にあるもの・こころ・姿 勢企業理念 時代を経ても変わらずに継承される「経営のこころ」ブランドステートメント 社会やお客様への約束感謝私たちは、自然の恵みと多くの人々との出会いに感謝し、 自然を自然の恵みがもつ抗酸化力や免疫力を活用して、 自然生態系と人間性を尊重します。食と健康を深く追求すること。自然私たちは、自然の恵みを活かして、時代に先がけた おいしく自然に反する添加物や技術にたよらず、 深みのある価値を創造し、お客様の健康に貢献します。体にやさしいおいしさを実現すること。開かれた企業私たちは、おたがいの個性・能力を認め合い、 楽しく地球環境と体内環境に十分配慮して、 公正・透明な企業活動につとめ、開かれた企業を目指します。食の楽しさの新しい需要を創造すること。カゴメ株式会社 統合報告書20220101カゴメ株式会社 統合報告書2022K A G O M E C O V E R S T O R Y カゴメが重点的に取り組む社会課題は、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」です。農から価値を形成するユニークなバリューチェーンと、多様なパートナーとの協業により、農と健康と暮らしをつなぐ商品やサービスを提供することで、社会課題の解決に貢献し、持続的な企業価値の向上を実現します。、 社 会 へ提供されカゴメグループが 取り組む社会課題る価値果結のそ提 供 価 値健康寿命 の 延 伸野菜の力で日本の未来を切り開く野菜は、ビタミンやミネラルなど、様々な栄養素の重要な供給源です。野菜を多く摂取することは、様々な疾患の予防に有効であることが多くの疫学研究で明らかにされています。日本における1人当たりの平均野菜摂取量は約290g※1で、国が推奨する1日の野菜摂取目標量350g※2に対して60g不足しています。カゴメは、人々に野菜をとることの大切さを丁寧に伝え、忙しい毎日においても無理のない上手な野菜のとり方を お勧めし、魅力的な野菜の商品を開発することで「健康寿命の延伸」に貢献します。※1 平成22年〜令和元年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)による日本の1人当たりの平均野菜摂取量は約290g※2 「厚生労働省 健康日本21」が推奨する1日の野菜摂取目標量は350g事例1日本の野菜摂取量を増やす取り組み2020年1月から「野菜をとろうキャンペーン」を開始しました。「野菜をとろう あと60g」をスローガンに、多くの企業や団体と協働した、野菜摂取意欲を高める様々な施策を展開しています。野菜の栄養を、手軽に・おいしく・楽しく摂取できる価値情報や商品を通じて、生活者と野菜の接点を増やしていくことで、野菜摂取量の向上を図ります。02カゴメ株式会社 統合報告書2022提 供 価 値農業 振興・ 地方 創生農業を支え、地域の持 続的成 長に貢 献高齢化や労働人口の減少が急激に進む地域では、農業生産基盤の脆弱化が問題となっています。また、世界的には気候変動による水不足など、農業を持続する上でのリスクが顕在化しています。カゴメは、野菜の産地形成と加工による地域農業ビジネスの振興、農業の生産性・持続性を向上させる技術やサービスの開発、事業活動を通じた国内農産物の魅力発信などに取り組むことで、農業振興・地方創生に貢献します。提 供 価 値持続 可能な 地球環境自然の恵みを届ける企業としての、 環境への取り組み自然の恵みを活かして人々の健康に貢献してきたカゴメのものづくりは、「畑が第一の工場」との考え方のもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な原料づくりを基本としてきました。自然の恵みを享受し、お客様にお届けする企業の責任として、持続可能な地球環境への取り組みを進めています。情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全にも注力することで、持続可能な地球環境の実現を目指します。事例 2農業法 人との協業による、 拠点開 発と地域の活性化 野菜の新たな調達・製造拠点の開発と、地域・農業の活性化を目的とした、農業 法人との協業を進めています。2020年に北海道で設立した「そうべつアグリフーズ株式会社」は、2021年秋から生たまねぎの販売を開始しました。事例 3資源・エネルギー循環型 菜園長野県にある「八ヶ岳みらい菜園」では、隣接するカゴメ富士見工場の排温水からヒートポンプで熱回収し、生鮮トマト栽培の暖房に活用しています。またボイラー排ガスの CO2の一部をハウス内の光合成促進に活用しています。KAGOME COVER STORYCONTENTS カゴメ株式会社 統合報告書2022KAGOME COVER STORY価値創造基盤の強化̶マテリアリティへの対応GLOSSARYTOP MESSAGEカゴメの価値創造事業概況持続可能な地球環境多様性の尊重/人的資本の拡充安心・安全な商品の提供持続可能なサプライチェーンの構築カゴメグループの歴史カゴメのマネジメントカゴメの価値創造プロセス成長を支える経営資本カゴメのビジネスモデル社外取締役からの提言コーポレート・ガバナンスコンプライアンス内部統制株主・投資家への責任カゴメの成長戦略課題認識 第2次中期経営計画の振り返りと 役員一覧第3次中期経営計画 全体像財務パフォーマンス/企業情報 サステナビリティに関する取り組みの 主要財務・非財務データ強化とマテリアリティの見直しCFO/ CRO MESSAGE連結財務諸表会社概要株式情報48 52 56 58 60 62 68 69 69 70 72 74 77 78 事業戦略国内加工食品事業国内農事業国際事業01 05 06 12 14 16 18 24 26 28 34 36 42 44 46 編集方針報告対象期間・範囲カゴメグループは1999年度の環境報告書発行から現在まで、報告対象期間は2021年1月1日〜2021年12月31日ですが、必事業を通した社会貢献への取り組みを「サステナビリティレ要に応じて一部当該期間の前後の活動に関する記述も含まれポート」(CSR活動報告)や「カゴメストーリー」(会社案内)をます。報告対象範囲はカゴメ株式会社及び連結子会社となり通してステークホルダーの皆様にご報告してきました。本報告ますが、カゴメ株式会社のみの記述なども一部含まれます。書は、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様に、カゴメの中長期的な企業価値向上に向けた取り組みをお参考ガイドライン伝えすることで、新たな対話の機会を創出することを目的とし本報告書は、国際統合報告評議会(IIRC)の国際統合報告フて発行しています。また、本報告書に掲載しきれない財務情報レームワーク及び経済産業省「価値共創ガイダンス」を参考にや CSR活動報告については、当社 Webサイトで情報をご覧くしています。また、CSR活動については当社 Webサイトで報告しており、本報告書ではESGの側面からハイライトを掲載しています。 https://www.kagome.co.jp/company/【見通しに関する特記事項】本報告書に掲載されている情報には、将来の見通しに関する記述が含まれています。これらは本報告書作成時点の当社の本報告書で表示している金額のうち、億円単位のものは一億円判断に基づくものであり、リスクや不確定な要因を含んでい未満を切り捨て、百万円単位のものは百万円未満を切り捨てます。今後、様々な要因の変化によって、記述されている将来て表示しています。また、%は四捨五入で表示しています。見通しとは異なる結果となる可能性がありますことをご承知おきください。ださい。当社 Webサイト表示単位エンゲージメント仕事に対して熱意・没頭・活力の3要素が(cid:7975)ったポジティブな心 理状態。組織と個人が対等に オーガニック成長/ インオーガニック成 長事業利益売上収益から売上原価 、販売費オーガニック成長とは、既存事業及び一般管理費を控除し、持分を安定的に成長させること。イン法による投資損益を加えた当社つながること、そのつながりの強さオーガニック成長とは、M&Aなどの経常的な事業の業績を測る利を指し、強いほど組織生産性が により、新たな資源を得て成長す益指標。高まる。ること。スマートアグリ事業生物多 様性ベジチェック ®AIを活用した加工用トマトの営農生きものの種類の多さと、その 支 援 事 業。NECと共 同 開 発し生きものたちによって成り立っていた。センサーや衛星写真によりトる生態系の豊かさやバランスが マトの生育状況や土壌の状態を保たれている状態。生物多様性可視化するサービスとAIを活用し条 約では、生 態 系 の 多 様 性・ た営農アドバイスサービスの販売種の多様性・遺伝子の多様性とセンサーに手のひらを押し当て数十秒で、野菜摂取レベル(0.1〜12.0)と推 定 野 菜 摂 取 量(6段階、g)が分かる機器。数十秒で測定が完了することから、利用者がその場で結果を見ることができを行う。いう3つのレベルで多様性があるる簡便さが特徴。としている。植物性 領域野菜摂 取推進プロジェクト野菜をとろうキャンペーン当社の成長ドライバーの一つとし「野菜をとろうキャンペーン」の一野菜不足という日本の社会課題ている植物性領域とは、既存事環として、趣旨に賛同していただの解決を目的とする活動。「野菜業である野菜飲料や野菜素材以いた企業・団体と連携し、「野菜をとろう あと60g」をスローガンに外の、植物性ミルクなど新たに挑をとろう!」という機運を高めること2020年1月から展開。知見・技戦する領域のこと。を目的とする。2021年12月時点術・サービス・商品全てを総動員の参加企業は19社(当社除く)。し、野菜のとり方を進化させ、野菜不足解消に向けて活動中。04カゴメ株式会社 統合報告書202205GLOSSARY 用語集TOP MESSAGE第3次中期経営計画を推進し、社会課題の解決と企業としての成長を両立させることで、 2025年のありたい姿を 実現していきます。2022年度から、新たに第3次中期経営計画が始まります。 2025年のありたい姿の実現に向けた集大成として、 社会課題の解決によるカゴメグループの成長の実現を、 ステークホルダーの皆様にお約束いたします。2021年度の市場環境と 業績に対する評価代表取締役社長 2021年度は、新型コロナウイルスの感染状況により、内食、中食、外食のバランスが目まぐるしく変化する見通しにくい市場環境が続きました。また、外出の制限やリモートワークの定着により、都心から郊外へと商品が購入・消費される場所も大きく変化しました。回復傾向となりました。 こうした状況は、食品メーカーである当社のビジネスにも 非常に難しい経営環境でしたが、2021年度の業績は売上大きな影響をもたらしました。商品の販売動向が刻々と変化収益1,896億円(前年度比+3.6%)、事業利益141億円(前する中で、営業部門とSCM・生産・調達部門が密に連携し、年度比+4.0%)となり、前年度比で増収増益という結果で着サプライチェーンのコントロールに奔走した1年であったと思地することができました。需要動向が見通しにくい中、販売います。一方で、お客様の健康意識が高まったことで、免疫量の変動に臨機応変に対応し食品メーカーとしての供給責され、当社の基幹商品である野菜飲料の販売が拡大すると売先の開拓に取り組むなど、一つひとつの粘り強い活動が、いった追い風もありました。国際事業においては、外食向けこうした結果につながったのだと思います。諦めない姿勢をの商品構成比が高いこともあり、ロックダウンの影響を如実貫いた従業員やご協力いただいた取引先の皆様に感謝するに受けることになりましたが、2021年度の後半は、日本よりとともに、この経験値は、第3次中期経営計画における新た早いタイミングで外食需要が持ち直したこともあり、収益はな価値提供を実現する基盤になると確信しています。力を高める効果が期待できる食材として緑黄色野菜が注目任を果たすとともに、消費行動の変化に合わせた新しい販益水準は著しく低下し、危機的な状況にありました。そのたことに起因しています。第1次、第2次中期経営計画の 振り返りけると、2017年をピークに鈍化していることは明らかです。つまり現状の当社の課題は、利益を上げる力は付いたが成長する力が足りない企業となってしまったことにあります。これは、既存事業を深化させ、その効率性を高める活動と、成長に向けて新たな事業を探索する活動のバランスを欠いたこ 第1次中期経営計画がスタートした2016年当時、当社の利と、また事業投資における「確度」の検証が不十分であっため、第1次、第2次中期経営計画を通じて当社が最も注力した 2022年度から始まる第3次中期経営計画は、こうした振りのが収益構造の改革です。様々な施策により、第2次中期経返りを踏まえ、成長に軸足を置いた戦略となっています。営計画の最終年度である2021年度の事業利益は、2015年2016年に掲げた「2025年のありたい姿」の実現に向けた集度比で約2倍に拡大し、いわゆる利益体質の企業へと転換す大成の経営計画となりますので、設定した目標達成に集中ることができたと思っています。一方で、成長の部分に目を向し、必要な投資や費用投下を強化していきます。06カゴメ株式会社 統合報告書202207カゴメ株式会社 統合報告書2022TOP MESSAGE成長に軸足を置いた 第3次中期経営計画気持ちになっていただくかです。しかしながら、野菜摂取に 対する行動を具体的に変えていただくこと(行動変容)は、簡単なことではありません。そこで、2020年からスタートしている 「野菜をとろうキャンペーン」を第3次中期経営計画期間においても継続し、粘り強く行動変容の促進に取り組んでいきます。 カゴメは「食と健康」を事業ドメインとしています。この領域 また、当社だけでは実現できないこと、アプローチできないがこれからの社会において、非常に有望であることはご存知ステークホルダーもあるため、キャンペーンの一環として多くの通りかと思います。多くの企業が「食と健康」にフォーカスしの企業・団体と連携した「野菜摂取推進プロジェクト」を発足た新たな施策を次々と打ち出し、異業種からの参入も相次いでしています。プロジェクトからの情報発信を強化していくこといます。大変厳しい競争環境に置かれていることは間違いありで、社会的なムーブメントとなるところまで活動を盛り上げ、 ませんが、その中でも、「お客様に選んでいただける企業として「野菜をとろう!」という機運を高めていきたいと思います。あり続け、その結果、持続的な成長を成し遂げていきたい」という想いが、第3次中期経営計画の根幹となっています。 第3次中期経営計画の基本戦略は、以下の4つのアクションを推進するとともに、それぞれを有機的に連携させることで持続的成長の実現を目指すというものです。2 ファンベースドマーケティングへの変革 既存事業を安定的に成長させていくオーガニックとM&Aな グループ経営基盤の強化については、バリューチェーンの強 「野菜をとろうキャンペーン」をはじめとして、環境・食育へどにより新たな資源・リソースを得ることで成長するインオー化に継続的に取り組むことがポイントとなります。現在、調達の取り組み、野菜生産者との良好なパートナーシップ、野菜生ガニックの両面から、持続的な成長を追求します。や生産にかかるコストは上昇局面にあり、また、気候変動の深活ファームによる地域活性化などの当社の企業活動に共感し オーガニック成長については、これまで述べた「野菜摂取に刻化による調達リスクも高まっています。そのため、国産原料3 オーガニック・インオーガニック、両面で4 グループ経営基盤の強化と の成長追求挑戦する風土の醸成1 野菜摂取に対する行動変容の促進ていただき、ファン顧客となっていただくことで、店頭で商品対する行動変容の促進」「ファンベースドマーケティングへの調達力の維持・向上、グローバルな調達拠点の分散、環境対に出会う前から当社が選ばれるように、お客様との関係性を変革」のアクションに加え、生産体制・利益構造の見直しに取応のための生産設備投資、物流コスト低減に向けた体制構築 2025年に向けた成長戦略の起点となるのは、全社を挙げた強化していきます。り組み、年率で2%程度の持続的な売上収益の成長を実現しなどの課題に対応していきます。こうした施策により既存事業「野菜摂取量を増やす」取り組みです。この取り組みは、「健康 そのために、商品を買っていただくための従来の一過性のてきます。の収益を安定的に拡大することが、新しい事業への挑戦を可寿命の延伸」という社会課題の解決に直接貢献するものであ広告戦略から、関係性が継続し増大していくストック型のコミュ インオーガニック成長については、海外及びオープンイノベー能にします。るとともに、野菜飲料などの需要拡大により当社の成長にもつニケーションに変革していきます。農と健康と暮らしをつなぐションがポイントになると考えています。国内の食市場が縮小 また、イノベーションを創出し成長を実現するためには、社ながっていきます。野菜の摂取量を増やしていくためのポイン統合的なマーケティングの展開により、「食と健康」領域でのしていく中で、海外での成長は非常に重要になります。最重要内のいたるところで従業員が自発的に挑戦できる環境があるトは、いかに多くのお客様に「たくさん野菜をとろう」という 差別化されたブランドポジションを確立していきます。課題として、今後人口が増加し続け、しっかりとした社会インフことが重要です。そのために必要となるのが、組織・チームのラが構築されている米国市場をターゲットとした事業探索を進中で、自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できめていきます。タイムリーかつスピーディな意思決定を進めるる「心理的安全性」が確保されていることです。率直な意見やために、新たに社長直轄の米国成長戦略プロジェクト室を設アイデアをぶつけ合える組織やチームはモチベーションが高置し、活動を開始しています。く、多くのイノベーションを創出しています。まだまだ全社に浸 もう一つ、インオーガニック成長を加速させていくために、透しているわけではないのですが、管理職への360度フィードオープンイノベーションを積極的に推進します。食品メーカーバックやダイバーシティ&インクルージョンを意識したマネジだけでなく異業種や大学などの研究機関が持つ知見と当社メントを強化することで、制度・仕組みの面からも心理的安全の知見を組み合わせることで、新しい成長の可能性を見出す性を高め、挑戦する風土を醸成していきます。活動を強化していきます。 また、今後成長が期待できるプラントベースフード、野菜摂取に貢献できる野菜スープや DtoC(Direct To Consumer:消費者直接取引)などについては、オーガニック・インオーガニック両方からのアプローチで新たな収益の獲得を目指します。これらの領域におけるM&Aについては、2020年に設置した事業開発室を中心に様々な案件についてのディスカッションを進めています。08カゴメ株式会社 統合報告書202209カゴメ株式会社 統合報告書2022地方創生」「世界の食糧問題」の3つを定めました。これらのして検討することで、選任の要件についても見直しを始めて たものも含め、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。課題を解決することは、サステナブルな社会の実現に貢献すいます。強みを発揮し第3次中期経営計画を推進することで、持続的成長を実現 当社の最大の強みは、時間をかけて認めていただいた 「ブランドへの信頼」です。企業理念が示す通り、当社はトマトをはじめとした野菜や果物といった自然の恵みを活かした商品づくりや事業を進めてきました。その過程において、生ションを起点とした商品開発、また、個人株主の方々との意見交換に取り組んできましたが、その全てが合わさり積み重なって「カゴメブランド」を形づくっています。これは農から価値を形成しお客様の健康につなげる当社独自のものであり、この強みにさらに磨きをかけることが、持続的な成長を実現することになると考えています。 今なお続くコロナ禍は、働き方や生活様式、考え方といっ産者の皆様と協働した原料づくりや、お客様とのコミュニケー願い申し上げます。私は、この変化の本質は「加速」であると考えています。社会の変化のスピードがコロナ禍によって加速され、想定よりも早い対応を迫られたということだと思います。第3次中期経営計画においても、食を通じて社会課題を解決することで社会に貢献していくというカゴメグループの使命は変えることなく、その軸をしっかりと意識しながら、スピード感を持って持続的に成長できる企業へと生まれ変わります。 ステークホルダーの皆様には、成長できていない現状に対し、厳しくも温かいご声援を頂いています。そのご期待にお応えするために、第3次中期経営計画で描いた成長戦略を確実に実行してまいります。2025年のありたい姿を実現していくことで、さらなる企業価値の向上をお約束いたしますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお2022年3月代表取締役社長山口 聡TOP MESSAGE自己資本比率※を意識し、 積極的な成長投資を行うることであるとともに、当社の持続的な成長につながるビジネスチャンスでもあり、この2つの両立を目指していくことを当社の中期的な事業活動の中核としました。 第3次中期経営計画のゴールである2025年に、「食を通じ また、「世界の食糧問題」については、気候変動の深刻化とて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企それに対する企業への要求の高まりを踏まえ、第3次中期経営業になる」「トマトの会社から野菜の会社になる」という2つの 計画から「持続可能な地球環境」へと進化させ、より広範な施目標の実現を目指すことに変わりはありません。但し、その策にスピード感を持って取り組んでいきます。その一環として、目標の達成度をより分かりやすくするため、KGI(Key Goal 当社のCO2排出削減目標を、2021年のCOP26でも議論されIndicator:重要目標達成指標)とKPI(Key Performance たSBT1.5℃目標にコミットすることに見直しました。この目標Indicator:重要業績評価指標)を今回設定しています。に対しては「CO2排出削減プロジェクト」として2030年までの 「持続的に成長できる強い企業」のKGIは、「4年間の平均売ロードマップを策定し、長期的な視点での環境投資を積極的上成長率2%以上で毎年トップラインを成長させる、かつ、2025に行うことで達成していきます。年の事業利益率7%以上」を達成するというものです。また、「野 こうした環境への対応も含めて、カゴメグループのサステ菜の会社」のKGIは2025年の収益目標の達成とし、KPIとしてナビリティとは、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持野菜摂取に貢献できる事業領域の2021年度比の売上収益増続的に成長できる強い企業」を目指す事業活動そのもので分額を設定しています。具体的には、野菜飲料、惣菜・加工用、す。また近年は、企業のサステナビリティへの取り組みがお野菜スープ、植物性食品の4つの事業領域の売上収益増分を客様のブランド選択の重要な要件にもなってきています。今達成し、成長の柱に育成できているかが指標となります。後は、具体的な活動を様々な媒体を通して積極的に発信する このKGI・KPIを達成する上での前提条件として、特に重視しことで、当社の考え方や取り組みをご評価いただけるようにているのは、自己資本比率※50%以上を堅持するということで努めていきます。す。詳細はCFO/CROメッセージで解説していますが、健全な自己資本比率※を保ち、現在の信用格付シングル Aを維持しながら、インオーガニックの成長規模に合わせた投資を実行していきます。自己資本比率※50%以上を堅持し、年率2%のオーガニック成長が実現できれば、借入可能額と合わせて、当社がターゲットにするインオーガニック成長投資の原資は確保できカゴメグループのガバナンス強化るという試算になっています。また、投下した資本で効率的に カゴメのコーポレート・ガバナンスの歩みは、まさに企業成長しているかという視点は重要となりますので、2021年から理念に掲げる「開かれた企業」を実現するものでした。お互は資本効率を高めるためにROICを重要指標とし、その向上をいの個性・能力を認め合い、公正・透明な企業活動を推進目指した様々な施策に取り組んでいます。することが基本となっています。※ 親会社所有者帰属持分比率事業を通じた社会課題の解決がカゴメグループのサステナビリティ 社外取締役の構成比のアップ、報酬・指名諮問委員会の設置、監査等委員会の活動の推進、執行役員制度による経営と監督の分離など、形・仕組みについては整えてきました。今後は、その実効性をいかに高め、進化させていくかが重要であり、取締役会の活性化に向けて各取締役との議論を増やし、様々な取り組みに挑戦していく考えです。取締役の多様性の確保については、この統合報告書にもスキルマップを掲載していますが、2025年のありたい姿の実現に向けて、当社がど 2015年の第1次中期経営計画の策定にあたり、食を通じてのような事業を進め、それを支える社内・社外の取締役には解決する社会課題として「健康寿命の延伸」「農業振興・ どのようなスキルが必要なのか、目指す姿からバックキャスト10 カゴメ株式会社 統合報告書20221011カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメの価値創造カゴメの価値創造カゴメの価値創造カゴメの価値創造事業概況 創業者の蟹江一太郎は、青臭いにおいと見慣れない真っ赤な色が敬遠されて当時は全く売れなかったトマトを、試行錯誤を重ねて、トマトソースに加工し、加工食品事業をスタートさせました。今ではトマトだけでなく、にんじんやその他の野菜を様々な形態でお届けし、世界中の人々の「食と健康」に貢献しています。セグメント構成比(2021年度) 国内加工食品事業 ( 飲料  通販  食品他 )  国内農事業  国際事業  その他事業売上収益事業利益売上収益国内加工食品事業 P42〜43飲料、調味料、通販・贈答用製品などの製造、販売を手掛けています。(2021年度)1,367億29百万円 754億80百万円 135億18百万円 477億30百万円食品他通販飲料事業利益112億31百万円(2021年度)飲料通販食品他 71億65百万円 12億72百万円 27億93百万円売上収益95億37百万円(2021年度)事業利益2億86百万円(2021年度)売上収益424億47百万円(2021年度)事業利益25億56百万円(2021年度)※セグメント間の消去及び調整後数値国内農事業 P44〜45生鮮トマト、ベビーリーフなどの生産、7.1%販売を手掛けています。国際事業 P46〜47種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しています。39.8%50.7%25.2%5.0%22.4%9.0%19.8%2.0%18.1%0.5%0.4%売上収益総計1,896 億52百万円事業利益総計141億38百万円百万円 200,000100,00050,000百万円 15,0005,0000百万円 60,00045,00030,00015,0000売上収益セグメント構成比の推移85.8% (2011年度) 72.1%(2021年度)売上収益/事業利益の推移164,321154,506153,469150,0009,9308,984114,476140,526146,913157,642157,72512,80310,700132,914132,485134,495136,7298,14311,03011,17811,2166,3594,5925,185百万円16,00012,00011,2318,0004,0000201120122013201420152016201720182018201920202021(年度)0日本基準IFRS 売上高/売上収益(左軸)  営業利益/事業利益(右軸)売上収益セグメント構成比の推移4.2% (2011年度) 5.0%(2021年度)売上収益セグメント構成比の推移8.9% (2011年度) 22.4%(2021年度)売上収益/事業利益の推移10,0007,6359,6838,9318066737,49386273210,98211,48711,40911,46411,1699,56710,189 9,537百万円1,2008004000272286–5,000201120122013201420152016201720182018201920202021(年度)–400–70–10–161–97–236–225日本基準IFRS 売上高/売上収益(左軸)  営業利益/事業利益(右軸)売上収益/事業利益の推移35,93328,08321,14016,018–1,824–656–683–82842,62442,73544,13639,55839,30737,86137,57242,4471,250203837336523752178百万円8,0006,0002,00002,5564,000–15,000201120122013201420152016201720182018201920202021(年度)–2,000日本基準IFRS 売上高/売上収益(左軸)  営業利益/事業利益(右軸)※ セグメント間売上収益の消去及び調整後数値 ※ 2014年度は事業年度変更に伴い、2014年4月1日〜12月31日の9ヶ月間となっています。 ※ 2019年度よりIFRSを適用しています。また、ご参考までに2018年度のIFRSに準拠した数値も併記しています。12カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書20221313カゴメの価値創造カゴメグループの歴史 カゴメグループの歴史は、創業者の蟹江一太郎が初めてトマトの発芽を見たときに始まります。当時まだ珍しかった西洋野菜の栽培に「先進志向」で挑み、新たな農業を開拓しました。以来、パートナーとの協働・共助により、自然の恵みを活かした商品を世に送り出すことで、食を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。これからも、野菜の消費量を増やすことで人々の健康と農業の発展を結び付け、持続的に成長できる強い企業を目指していきます。変革の歴史1899〜1900年代トマト栽培・加工のはじまりPOINT 新たな農業の開拓 パートナーとの協働・共助1960〜1970年代カゴメブランドの確立POINT 新しい価値の創造 ローカルメーカーからナショナルメーカーへカゴメの価値創造積み上げたカゴメの強み多様な野菜提供力 カゴメ商品を通じた緑黄色野菜供給量 60.4万トン(日本の緑黄色野菜消費量の17.9%に相当)出典: VEGE-DAS(カゴメ野菜供給量算出システム)、 農林水産省「食料供給表」R2年度概算値年間の野菜調達量 60万トン超イノベーション力 年間特許公開数※ 42件うち、新規事業関連の特許公開数 13件(31%)※ 2021年1月1日〜12月31日に公開された特許出願ブランド力 野菜飲料市場のシェア 58.4%調達拠点 154拠点(2020年度実績)出典: 株式会社インテージ(SRI+)期間2021年1月〜12月 単位:金額シェア、 業態:スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター1980〜1990年代多角化と調達基盤の強化2000年〜ガバナンスの強化と持続的な成長POINT グローバルネットワークの構築 野菜飲料市場の創造POINT コーポレート・ガバナンスの強化 社会課題の解決による持続的な成長へ 創業者の蟹江一太郎は、西洋野菜の栽培という新しい農業にチャレン 1966年に世界初のプラスチックチューブ入りトマトケチャップを発売す 1980年代に入ると、商品の多角化を推進しトマトに頼らない成長戦略 2000年代に入ると、金融機関との持ち合い株を解消し、「カゴメファンジし、栽培技術や加工技術を磨きながら、トマトソースの製造ビジネスへるなど、技術革新により新しい付加価値を生み出しました。1963年に社名を描きました。1990年代には「キャロット100」「野菜生活100」などのヒッ株主づくり」を推進すると同時に、コーポレート・ガバナンス体制を強化しと発展させました。またカゴメの「契約栽培」の仕組みは、安定的な調達を愛知トマト株式会社からカゴメ株式会社に変更しました。1966年にはトにより、トマトに次ぐ第2の野菜としてにんじんが基幹素材となりました。 ました。2016年には持続的な成長と社会課題の解決を目指して「ビジョン」だけではなく、トマト栽培を担う農家など、パートナーとの共生も実現させ世界初のプラスチックチューブ入りトマトケチャップを発売するなど、技術また、野菜飲料市場を創造し、新しい野菜のとり方として野菜飲料を定着と「2025年のありたい姿」を定めました。これからも、人々の健康と農業てきました。革新により新しい付加価値を生み出しました。1970年代後半にはトマトさせました。トルコでのトマト調達強化やにんじん原料の調達先の開拓なの発展を結び付け、地球環境に配慮して持続的に成長できる強い企業をジュースブームが到来し、健康飲料として定着。日本全国に営業拠点を設ど、成長に合わせて海外の調達基盤を強化しました。目指していきます。立し、カゴメブランドを確立した時期でもありました。1990年〜: 野菜不足の食生活に必要な 緑黄色野菜の栄養素に注目し、 トマトや野菜の健康価値を発信2020年: 「野菜をとろうキャンペーン」による 野菜摂取意欲を高める様々な施策の展開1967年: 台湾可果美設立、 初の海外進出1988年: 海外業務用事業スタート 米国法人 Kagome USA. Inc.設立2003年: イタリアにベジタリア社設立、 冷凍グリル野菜の輸入開始ビジネスモデルの強化販売・需要創造1930年代トマトケチャップ、ウスターソースの使い方の 情報発信による洋食メニューの普及推進1966年: プラスチックチューブ入り ケチャップの普及による 家庭での洋食メニューの 普及促進生産1906年 愛知県東海市新尾町西屋敷に工場を建設、 トマトソースの本格生産を開始1908年: トマトケチャップ及びウスターソースの製造開始調達・一次加工1903年 トマトソース(現在のトマトピューレ―)の製造に着手1960年代: 台湾でのトマトペースト製造、 輸入を開始商品開発1903年トマトソース販売開始1933年: トマトジュース発売1966年: 世界初プラスチックチューブ入り ケチャップ発売種苗生産・栽培1906年創業者の蟹江一太郎、 親戚にトマト栽培を委託、初の契約栽培1974年: 加工用トマト無支柱栽培に 100%移行研究141962年頃 基礎研究から容器、 製造加工に関する研究所を発足1970年: ジュース用トマト品種「カゴメ70」を開発1982年: 世界初 RO濃縮技術による トマトジュースの濃縮の実用化1993年: トルコTAT社に投資 トマト缶詰ライン竣工1992年: 「カゴメキャロット100」発売1995年: 「野菜生活100」発売1987年: トルコにTAT種苗社設立、 加工用トマトの栽培開始1999年: 第一号の大型ガラス温室を (cid:7962)城県に設立1989年頃: トマトの機能性研究に着手2003年: 大手トマト加工品メーカー(南イタリア)から カットトマト・ホールトマトなどの輸入開始2001年:生鮮トマト(こくみトマト)発売2004年:「野菜一日これ一本」発売2006年: 「植物性乳酸菌ラブレ」発売2014年: ベビーリーフ発売2015年: 西アフリカで試験栽培開始2004年:植物性乳酸菌の研究に着手2013年:米国 United Genetics社を傘下に2016年: ポルトガルにカゴメアグリビジネス 研究開発センター設立15カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメの価値創造カゴメの価値創造プロセス 当社は、「企業理念」をゆるぎないカゴメの価値観、「ブランドステートメント」を社会やお客様への約束として経営の根底に置くことで、組織が一貫した行動をとっています。環境変化を予測し、成長を支える経営資本を活用することで、農から価値を形成 するバリューチェーンを、多様なパートナーと協業しながら進化させています。 現在は、国内加工食品事業、国内農事業、国際事業の3つのセグメントと、それを支える価値創造基盤により、農と健康と暮らしをつなぐ商品とサービスを提供しています。事業を通じて「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の 3つの社会課題解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業となることで、社会価値と経済価値を創出します。成長を支える経営資本・社会環境の変化(INPUT)ビジネスモデル P24〜25事業活動(OUTPUT)目指す未来、提供価値成長を支える経営資本 P18〜23新たな価値を創造する健康・農業・安全研究知的資本国内外の幅広い調達ネットワーク社会関係資本 自然資本多様な野菜提供力 製造資本 社会関係資本知的資本安心・安全のブランド力知的資本財務資本人的資本事業を支える財務基盤先進志向の多様な人材社会環境の変化環境予測リスク認識世界共通の 課題お客様お客様多 様なパートナー多 様なパートナー様様客客おお造造創創要要需需・・売売販販生生産産バリューチェーンバリューチェーン研究研究研研究究機機関関種種苗苗生生産産・・栽栽培培農から価 値形成する 農から価 値形成する バリューチェーンを バリューチェーンを 多様なパートナーとの 多様なパートナーとの 協業により進化協業により進化地地域域社社会会・・NNPPOO発発開開品品商商人人法法業業農農・・家家農農約約契契調達・一次 加 工調達・一次 加 工ササププライヤー、流通など取 引 先ライヤー、流通など取 引 先2022〜2025年2022〜2025年第3次中期経営計画マテリアリティ P26〜35農と健康と 暮らしをつなぐ、 商品とサービス国内加工食品事業 P42〜43国内農事業 P44〜45国際事業 P46〜47価値創造基盤の強化 持続可能な地球環境 安心・安全な商品の提供 持続可能なサプライチェーンの構築 多様性の尊重・ 人的資本の拡充 コーポレート・ ガバナンスの強化提供価値社会価値 P2〜3健康寿命の延伸農業振興・地方創生持続可能な地球環境経済価値持続的成長の実現企業理念感謝自然開かれた企業ブランドステートメント自然を おいしく 楽しく16 カゴメ株式会社 統合報告書202216カゴメ株式会社 統合報告書20221717カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本新たな価値を創造する健康・農業・安全研究国内外の幅広い調達ネットワーク イノベーション本部では「野菜の力による社会課題の解決」を目的とした健康・農業・安全に関する研究に果敢に カゴメでは安心・安全な商品を安定してお届けするため、国内外に幅広い調達ネットワークを構築してきました。チャレンジし、その成果を事業につなげることによってカゴメグループの持続的な成長に貢献しています。農産物をペーストなどに加工して製造販売する一次加工のグループ会社のほか、海外の農産加工メーカー(サプイノベーション本部における研究分野健康研究農業研究安全研究 緑黄色野菜を主とした機能性研究を中心 約7,500種に及ぶトマトの遺伝資源を活用に、健康情報の発信、野菜摂取の行動変容し、気候変動や病害虫への耐性がある加工用につながる仕組みの社会実装研究を行ってトマト、市場のニーズに沿った生鮮・園芸用トいます。積極的に研究をオープン化し、大学マトの新品種開発や栽培技術の研究を行っの医学部などとの産学官連携を推進していています。従来の手法に加え、遺伝子に関連 食に関わる様々なリスク与件の収集活動、高度な分析評価技術の装備、原材料の安全性評価など、「畑から一貫して安全を保障する基盤技術」を維持、強化しています。ます。するビッグデータ活用や、スマート農業に関連する先端技術の開発・活用を進めています。知的資産の保護・活用 持続的な競争力を維持するため、自社の研究開発活動における発明・発見や、定期的な他社特許調査を主 な 取り組 み通じて知的財産関連基盤(知財の取得、保護、妨害・訴訟予防)を強化しています。さらに、保有する知的財トマトジュース・トマトケチャップの特許を活用した 競争優位の維持ベジチェック ®特許による 競争優位確立の推進トマト収穫機の特許を 活用した農作業効率向上 及び技術利用料収入産の社外での有効活用にも取り組んでいます。オープンイノベーションの取り組み例事 例 1事 例 2「ナトカリ比」を食と行動変容の新指標にトマト加工品の夾雑物検出技術の開発 ̶東北大学(COI東北拠点/東北メディカル・メガバンク機構)との「ナトカリ」普及に向けた取り組み̶ 2018年より、AIを活用してトマトの夾雑物を判別する実験を開始し、AI 画像判定サービスを強みとする株式会社 YE DIGITALとロボット技術を活 食塩のとりすぎは高血圧の原因となる一方、野菜や果物などに含まれる用したシステム構築の実績を持つ末松九機株式会社とともに開発を進め、カリウムを多く摂取することで血圧が低下するといわれています。塩と野菜AIによる夾雑物除去システムを当社の摂取バランスを示す、ナトリウム・カリウム比(ナトカリ比)とその指標に基(cid:7962)城工場で導入しました。本設備づいて食行動を変える仕組みの普及を、東北大学との連携で進めています。は、ベルトコンベアを流れるダイストナトリウム量を縦軸、カリウム量を横軸に様々なメニューを配置した「ナトカマトを連続撮影した画像から、AIがリマップ ®※」を作成し、視覚的に分かりやすくすることで、食に対する行動夾雑物を判別し、ロボットで吸引除去するものです。商品の安心・安全を確保するとともに人手不足の対応にも貢献できる技術です。(cid:7962)城工場に導入された夾雑物除去 システム変容をサポートしています。ナトカリの取り組みは、厚生労働省の大規模実証事業にも採択されており、当社も参画しています。※ 「ナトカリマップ ®」は東北大学とカゴメの登録商標であり、両者が共同で特許出願中です。今後の強化策〇 研究クリエイティビティと橋渡し(事業化)ができるT字型人材育成のさらなる推進 (積極的な大学・他社への研究出向、ベンチャー企業出向、外部コンサルなどの実施)〇 知的財産の獲得・維持・価値創造・発信の強化と知的財産による参入障壁の構築〇 原料調達の環境変化に対応した品種開発と開発拠点の海外展開〇 食品安全コンサル活動を通じた「安全」基盤強化ライヤー)からも調達しています。いずれの拠点も、基本的にカゴメ社員が調達先を訪問し、栽培から製造工程までの品質管理状況の確認を行い、品質の向上に努めています。 グローバルネットワーク−主力原料の産地−調達拠点数:154拠点(2020年度実績)スペイン トマト りんご ポルトガル トマト フランス にんじんドイツ りんご イタリア トマト にんじん 冷凍野菜 Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(HIT) トマトペーストなどの製造販売トルコ トマト にんじん南アフリカ りんごオーストリア りんごポーランド りんご日本 トマト りんご にんじん米国 トマト にんじんIngomar Packing Company, LLC トマトペースト・ダイストマトの製造販売Kagome Australia Pty Ltd.(KAU) トマトペースト、にんじんピューレー、りんごピューレーなどの製造販売チリ トマト りんごニュージーランド りんご にんじんオーストラリア にんじん トマト りんごブラジル オレンジアルゼンチン ぶどう主な調達品目について表示(2020年度実績)原料調達主な調達品目と使用商品 自らが事業として栽培から原料加工を行っているため生産・ 年間約13万 t※に及ぶ野菜及び果実の加工品を安定して調達し品質・コストなどの知見やノウハウがあり、これらの項目についており、世界有数の規模を誇ります。てカゴメが期待することを明確に伝えることで、適切な価格で※ 生換算していない実重量ベースの値中長期的な取引ができ、一緒に品質を高めていけるサプライヤーを選定することを可能にしています。また、「CSR調達方針」を制定し、調達先とともに持続可能な社会の実現を目指しています。トマト加工品 7.7万 tにんじん加工品 2.0万 tりんご加工品 1.9万 t冷凍野菜 3千 t2020年度の実績をもとに作成今後の強化策〇 原材料のコスト上昇が続く中、原価を抑える高濃縮や高リコピンなどのトマト加工品原料の独自開発と調達 〇 機械化収穫や最適品種による国内産トマト・にんじん原料の調達強化による国内農業への貢献〇 調達先との協働、物流、容器包装改良による調達品の CO2排出量削減 1819カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本多様な野菜提供力野 菜 の 商 品 開 発 力と需 要 創 造 力 多様な野菜を、多様な加工法・形態で、多様な市場に提供し、野菜の供給量を増やしていきます。ここで要求されるのは野菜の商品開発力と需要創造力です。これまで蓄えてきた野菜の豊富な知見・技術を磨いて新しい商品を世に送り出し、野菜の需要を喚起して、野菜不足の解決に貢献しています。提供素材 トマト にんじん たまねぎ 赤ピーマン ベビーリーフ 大豆 など野菜をどのように供給するか 生鮮野菜商品開発力 飲料提供形態 提供市場需要創造力 • 商品・ メニュー提案 • 販売促進 内食 中食 外食 トマトケチャップ、トマト調味料 野菜素材 (冷凍野菜、ピューレー、 野菜だしなど) 野菜スープ サプリメント など野菜の商品開発力0102自然素材を活かし、 無添加にこだわる商品づくり長年蓄積されてきた 野菜飲料の開発ノウハウ 野菜や果実が持つ自然の味や栄養素を大切にし、なるべ 過去の野菜飲料開発で蓄えた加工技術・制菌方法などのく無添加で加工することにこだわっています。野菜や果実知見や配合の事例などが、新商品の開発に活かされていの最適な組み合わせや、トマトやにんじんのパルプなど独ます。 野菜のえぐみや酸味を制御する製法や技術を活かし、飲みやすい飲料を開発しています。自に開発した野菜素材を用いて、狙った味や性状を生み出します。産地によって微妙に味が異なる野菜や果実ですが、商品ごとにどの産地の野菜・果実が何%まで使用可能かを数値化し、常に同じ味になるように配合を調整できる仕組みを構築しています。事 例 1事 例 2事 例 3トマトジュース、野菜一日これ一本野菜生活100Smoothie野菜一日これ一本 Light 野菜生活100Smoothieは増粘剤を使用せずに、野菜や果物と食物由来の食物繊維を複 雑 に組 み 合 わ せて狙った食感やとろみ、飲み心地を実現しています。 野菜生活これ一本 Lightは糖質を抑えるために、糖質の少ない白菜などの野菜が使われています。白菜の後味を抑えるための処理を施し、クセを抑えておいしさの両立を実現しています。 トマトジュースや 野菜一日これ一本は香料や栄養強化剤を使 用 せ ずに、トマトや 野菜由来の栄養とおいしさを提供しています。20カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本需要創造力0102利用シーンに合わせた 最適な「原料×製法×容器形態」顧客の困りごとへの ソリューションを提案 野菜の素材は、ピューレー状の野菜、冷凍グリル野菜、野 量販店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、生協、EC、菜だしなど様々な素材を保有しています。これらを用いた外食など多様な流通に対し、メニューやプロモーションなメニューの提案は、様々な業態が抱える悩み解決や野菜どの提案を通じて需要創造活動を行っています。の供給量の向上につながっています。 加工用などのお客様に対しては、開発者が営業部門ととも 商品開発本部には容器専門の開発グループがあり、お客に現場に行き、お客様から実際の声を聞くことで、困りごと様の使いやすさの向上や環境への負荷を低減する工夫なへのソリューション提案(メニュー、独自素材活用法、価値ど、容器に特化した研究を進めています。情報など)を行っています。03管理栄養士による、「食と健康」に関する コンテンツの開発・提案 カゴメには、管理栄養士資格保有者71人による専門チーム「野菜と生活 管理栄養士ラボ」があります。 野菜の研究活動で培った知見や、お客様とのコミュニケーション活動で培った提案力を活かして、「食と健康」に関するコンテンツを開発・提案しています。事 例 1事 例 2事 例 3外食業態が抱える課題に野菜摂取に貢献するお客様の声を反映した対応した冷凍野菜新商品開発新容器開発 旬に収穫して加工した冷 凍グリル 野 菜 や オニオンソテーは、仕込みの手間や食品ロスの削減につながります。 独自製法で開発した野菜だしを使った野菜スープは、今後の注力商品です。野菜をスープでとる価値を、商品とともに発信していきます。 醸熟ソースは、お客様の声 を 反 映 して 開 発 した、 お子様からご高齢の方でも簡 単 に 開 け 閉 め が でき、 注ぎやすい容器を採用しています。今後の強化策〇 「原料×製法×容器形態」の新しい組み合わせによるスピーディーな商品設計〇 野菜スープや植物性領域など新しい商品領域の拡大〇 新しい商品化技術や独自素材の開発〇 チャレンジを楽しむことができる開発者の育成〇 「野菜をとろうキャンペーン」を中核とした、生活者の野菜をとる行動変容の促進〇 デジタルを活用した、生活者と野菜の接点の多点化21カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメ株式会社 統合報告書2022カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本カゴメの価値創造成 長 を 支 える経 営 資 本安心・安全のブランド力事業を支える財務基盤 カゴメには、「畑は第一の工場」という考え方があり、畑から原材料の品質向上に取り組み、安心・安全とおい カゴメグループの継続的な成長を支え、大きな環境変化にも耐えうるには、財務基盤の安定性が重要です。2022しさを両立した商品づくりを行っています。また、無添加で健康に役立つ商品を提供し、多くの商品で国内ナンバー年度から始まる第3次中期経営計画においては、資金調達により事業拡大を図りつつも、信用格付 A(安定的)のワンのシェアを獲得しており、外部のブランドランキングなどで高い評価をいただいています。維持と、自己資本比率を50%以上に保つことで財務基盤の安全性との両立を実現していきます。 P36〜39国内ナンバーワンのシェアを誇る商品群安定的な財務基盤の構築日本国内においては、これまで築いてきた安心・安全のブランド力によって多くの商品で高シェアを獲得しています。 これまで自己資本比率※は概ね高い水準であり、信用格付機関からの格付もA(安定的)を維持しています。また、個人株主が多い当社トマトケチャップ野菜果実 ミックスジュース野菜ミックスジューストマトジュース60.5%64.8%45.0%60.4%出典:株式会社インテージSRI+ 期間:2021年1〜12月 金額ベース対象エリア:全国  対象業態:スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターブランド戦略サーベイ2021 (株式会社日経リサーチ)「安全で間違いのない品質」 3位「商品の良さを実感できる」 3位外 部ランキング2021年セット好感度※ランキング(株式会社日経 BPコンサルティング)1位・3位セット好感度/順位メッセージ企業名1234自然を、おいしく、楽しく。 KAGOMEカゴメ水と生きる SUNTORY野菜をとろう あと60gおいしく たのしく すこやかにサントリーカゴメ森永製菓セット好感度(pt)43.740.240.039.8※ 企業名とメッセージをセットで提示し、「あなたはこの企業が伝えるこのメッセージについてどのように感じましたか」と質問。好感度に関する5段階の各選択肢(「とても好感が持てる」〜「全く好感が持てない」)にそれぞれ加重値を与え、–100〜100間でスコア化。〇 ブランドが持つ価値に共感するお客様のロイヤリティを高めてファンを育成する「ファンベースドマーケティング」への変革〇 野菜生活ファームや各拠点のキッチンを活用するなど、体験を交えた統合型コミュニケーションの実施今後の強化策独自の株主構成は、多くのファン株主との長期的な関係構築につながっています。信用格付の状況(2021年度)格付機関格付格付の方向性格付投資情報センター(R&I)日本格付研究所(JCR)AA安定的安定的自己資本比率※2018年度2019年度2020年度2021年度50.2%53.9%49.3%54.6%※ 親会社所有者帰属持分比率株主数(2021年12月末現在)195,877名株主構成金融商品取引業者1,750千株1.86%外国人7,671千株8.13%金融機関16,892千株17.89%個人・その他53,001千株56.17%自己株式5,790千株6.14%その他 国内法人9,259千株9.81%成 長 を 支 える経 営 資 本先進志向の多様な人材 カ

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