テラ(2191) – 追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ

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開示日時:2022/03/22 16:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.12 51,621 -68,502 -68,446 -54.03
2019.12 20,218 -71,607 -77,079 -53.81
2020.12 7,636 -138,758 -140,751 -45.26

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
78.0 88.62 152.27 -10.0

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.12 -105,222 -103,276
2019.12 -77,958 -74,920
2020.12 -131,744 -131,547

※金額の単位は[万円]

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2022年3月22日 会 社 名 テ ラ 株 式 会 社 代表者名 代表取締役社長 真 船 達 (コード番号: 2191) 問合せ先 管理本部広報IR 高森 眞子登 (電話:03-5937-2111) 追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ 当社は、2022年3月4日付適時開示「追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ」においてお知らせしたとおり、当社から独立的立場を保有する東京市谷法律事務所(以下「本法律事務所」といいます。)より「調査報告書」(以下「追加(2回目)報告書」といいます。)を受領いたしました。 この追加(2回目)報告書は、機密情報保護等及び捜査中の刑事事件に支障を来す恐れがあることから、部分的に非開示措置を施したうえで開示しておりましたが、本日、非開示措置を施していた部分の一部についても公表することとなりましたので、改めて調査報告書を公表いたします。 なお、当社は、追加(2回目)報告書において記載された、再発防止策の提言を踏まえ、今後、具体的な再発防止策を策定したうえ、決定次第速やかに開示いたします。 また、当社は、2021年10月13日付適時開示「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求に関するお知らせ」にて公表しておりますが、当社株式は2021年10月14日に株式会社東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されております。それに伴う特設注意市場銘柄指定の解除に向けた内部管理体制の改善のための取り組みについては、後日、改めて公表する予定であります。 株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。当社は、皆さまからの信頼回復に努めてまいる所存でありますので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 1.追加(2回目)報告書の公表について 当社は、2022年2月28日付適時開示「追加調査(2回目)となる社内調査報告書受領に関するお知らせ 」にてお知らせしたとおり、本法律事務所より既に追加(2回目)報告書を受領しておりますが、追加(2回目)報告書により新たに判明した事実とその重要性に鑑み、2022年3月4日付適時開示「追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ」においてお知らせしたとおり、当社としては、追加(2回目)報告書の一部について部分的な非開示措置を施した暫定版を公表いたしました。 本日、非開示措置を施していた部分の一部について公表させていただきますが、今回新たに公表する内容の具体的な箇所は別添の「調査報告書(公表版)」27頁28行目から138頁目までであります(なお、当該箇所は下線表示を付しておりません。)。 2.追加(2回目)報告書により新たに判明した主な事実 下記(1)に記載の①から⑧のうち下線表示の無い内容については、すでに2022年3月4日付適時開示「追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ」において公表済であります。 (1) 2020年に当社が実施したCENEGENICS JAPAN株式会社(以下「セネジェニックス・ジャパン」といいま記 1 各 位 す。)を割当先とする第三者割当増資(以下「2020年の増資」といいます。)の失権について 追加(2回目)報告書により新たに判明した2020年の増資の失権にかかる主な事実は以下のとおりです。 なお、下記①から⑥までについては2022年3月4日付適時開示「追加調査(2回目)となる社内調査報告書の公表に関するお知らせ」においてお知らせしておりますが、今回非開示措置を施していた部分を公開するにあたり、新たに判明した事実は⑦及び⑧であります。 ①2020年7月13日付の当社取締役会決議による10億円の第6回無担保社債の発行に関し(なお、当該社債10億円は2020年の増資においてDESの対象となった。)、当該社債を引き受けたセネジェニックス・ジャパンへの資金提供者はE社であるとされており、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)にもその旨説明がなされていたが、実際の10億円の資金提供者はG社であると考えられ、社債払込資金はE社の自己資金からセネジェニックス・ジャパンに入金されたものではなかった。仮にE社とセネジェニックス・ジャパンの間で金銭消費貸借書が交わされていたとしても、E社は自己資金をもって社債の払込金10億円をセネジェニックス・ジャパンに融資した事実は確認されない。 ②セネジェニックス・ジャパンから当社に対して提出された一部のE社の預金通帳写しには、その信頼性に強い疑義(事実に反する加工の疑い)があることが判明した。 ③セネジェニックス・ジャパンから当社に対して提出され、当社が東証等に対して提出した書類の一部について信頼性に強い疑義(事実に反する加工の疑い)があることが判明した。 ④E社のセネジェニックス・ジャパンに対する融資業務の委任を受けたとするF弁護士による証明文書について、同弁護士は、当該各文書の一部について作成及び押印を否定し、かつ、E社からセネジェニックス・ジャパンへの融資業務自体の委任を受けたことはなかった旨を述べており、当該文書の証明内容の信頼性にも疑義があることが判明した。 ⑤E社名義のホームページの内容には事実に反する内容が存在することが判明した。E社は自社のホームページの中で、当社への第三者割当増資を行うため、2020年11月13日付でE社からセネジェニックス・ジャパンに対して融資金26億円を送金した旨が記載されていたが、セネジェニックス・ジャパンの預金取引明細書にはE社からの払い込みは確認できなかった。 ⑥したがって、2020年11月13日にE社からセネジェニックス・ジャパンに対し26億円の送金手続を行い、これが翌営業日の同年11月16日になってセネジェニックス・ジャパンに着金したとの話は、事実に反することが判明した。 ⑦2020年11月30日付「融資延期理由書」について、F弁護士は、同文書を作成したことはなく、自らが同文書に記載されている2020年に「ユーチューバーから嫌がらせ」を受けた事実も全くないと回答しており、同文書の作成過程及び信頼性について疑義がある。 ⑧E社が振込手続を実施しようとしたが、銀行のシステム障害により振込みができなかったとの報告内容の信用性を直ちに否定する証跡は発見できなかった。 (2)ストックオプション関連の債権債務関係の不記載について 追加(2回目)報告書により判明した2020年の増資の実施の決定時点における当社の元代表取締役社長の平智之氏及び当社の元取締役の遊佐精一氏(以下「当社の元役員ら」といいます。)とセネジェニックス・ジャパンとの間の関係性にかかる主な事実は以下のとおりです。 ①2020年10月28日付取締役会決議による第三者割当増資の募集事項が決定された際、割当予定先(セネジェニックス・ジャパン)との関係を含む適時開示が行われたが、その当時、当社の元役員らは、ストックオプション行使により取得した各12万株の当社株式をセネジェニックス・ジャパンに譲渡し、当該株式の名義変更手続が完了していた。 ②当社の元役員らは、①に記載のとおり当社株式をセネジェニックス・ジャパンに譲渡したものの、譲渡代金の払込みがなく内容証明郵便でセネジェニックス・ジャパンに対して支払の催告を行っていたことから、セネジェニックス・ジャパンとの間には債権債務関係が存在していたが、2020年の増資に係る有価証届出書及び適時開示にはその旨を記載していなかった。 2 (3)D教授関連についての報告懈怠 追加(2回目)報告書により判明した2020年のメキシコでのCOVID-19治療新薬開発の治験責任医師とされるD教授と当社代表取締役社長である真船氏(以下「真船氏」といいます。)が接触していたことを真船氏が同時期に社内調査を実施していた本法律事務所に報告していなかったことに係る主な事実は以下のとおりです。 ①2021年8月3日に真船氏はD教授と接触したが、真船氏本人としてはそのことを軽微なことと捉えたこと。しかし、D教授が複数回にわたり当社子会社であるテラファーマの施設を訪問し、さらに同社技術者に対して技術研修を行おうとしていたことを踏まえると軽微なこととはいえない。 ②また、当社の元取締役であり、その当時は当社の執行役員であった遊佐精一氏についても、真船氏と同様にD教授と面談していたが、D教授よりその技術について開示を受けなかったこと等から、当該面談の事実を報告する必要はないとの認識のもとで本法律事務所に対して報告をしなかった。 ③2021年2月10日、D教授の技術を専門的見地から検証するため、平氏と遊佐氏他1名がH社の顧問であるとされたI氏とともに、井上肇氏(2021年3月30日に当社の監査等委員である取締役に就任し、2022年2月1日に同取締役を辞任)を訪問したところ、井上氏より、D教授のメキシコでの臨床試験の結果はコロナの治療薬ではなくサイトカインストームあるいはARDS(急性呼吸窮迫症候群)の治療薬と理解することが正しい等の回答があった。 3.追加(2回目)報告書を受けた今後の対応方針について 当社は、追加(2回目)報告書において記載された、再発防止策の提言を踏まえ、今後、具体的な再発防止策を策定したうえ、決定次第速やかに開示いたします。 4.今後の見通し あり、判明次第お知らせいたします。 追加(2回目)報告書を受けての今後の対応が当社の2022年12月期通期連結業績に与える影響は精査中でなお、追加(2回目)報告書を受けて、関連する適時開示の訂正を速やかに行い、公表する予定です。 また、2021年10月13日付適時開示「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求に関するお知らせ」にて公表しておりますが、当社株式は2021年10月14日に株式会社東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されております。それに伴う特設注意市場銘柄指定の解除に向けた内部管理体制の改善のための取り組みについては、後日、改めて公表する予定であります。 以 上 3 調査報告書(公表版) 2022年3月22日 テラ株式会社 御中 東京市谷法律事務所 弁護士 平 英 毅 弁護士 中 村 涼 1 <目次> 第1 総論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 頁 1 本報告書作成の経緯及び目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 頁 2 本件調査の基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 頁 3 本件調査の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 頁 4 前提事実及び留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 頁 第2 テラの当時の組織体制及び財務状況等の概観・・・・・・・・・・・・・・・14 頁 第3 第三者割当増資の一部失権に至る事実経過及び原因分析・・・・・・・・・・15 頁 1 事実経過全体の総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 頁 2 具体的な事実経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 頁 3 テラの適時開示内容の適正性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 139 頁 4 本件第三者割当増資の一部失権を招いた原因分析・・・・・・・・・・・・ 140 頁 第4 本件第三者割当増資の決定時点におけるテラの平元社長及び遊佐元取締役とセネジェニックス・ジャパンとの間の債権債務関係の存在に関して・・・・・・・・ 157 頁 1 問題の所在・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 頁 2 事実経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 頁 3 関連する事実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 164 頁 4 原因分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 169 頁 第5 テラとセネジェニックス・ジャパンとの間の共同事業契約に基づくメキシコにおける COVID-19 治療新薬開発に関する試験の実在性に関する追加調査について(D教授に関連する事項)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・171 頁 1 問題の所在・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 171 頁 2 本件に関する事実経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 172 頁 3 当職らの第1回調査報告書及び第2回調査報告書の記載内容への影響の有無 182 頁 4 原因分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 182 頁 第6 再発防止策の提言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 186 頁 1 第三者割当増資の失権の再発防止について・・・・・・・・・・・・・・・ 186 頁 2 ストックオプション関連の債権債務の不記載について・・・・・・・・・・ 187 頁 3 D教授関連についての報告懈怠について・・・・・・・・・・・・・・・・ 188 頁 別紙 <関連するテラの内部規程>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 190 頁 2 第1 総論 1 本報告書作成の経緯及び目的 当職らは、テラ株式会社(以下「テラ」という。)の 2021 年 8 月 6 日付「社内調査報告書(公表版)」(以下「第1回調査報告書」という。)に記載のとおり、テラとCENEGENICS JAPAN 株式会社(以下「セネジェニックス・ジャパン」という。)との間で信頼関係に疑義が生じ、テラと同社との間での取引全般についての事実関係を確認するための社内調査の依頼を受け、社内調査を実施した(以下「前社内事実調査」という。)。 もっとも、前社内事実調査に基づく報告書は、テラより依頼を受けた時点では非公表とすることが予定されていたものの、その後、テラより、テラの株主に対して説明責任を果たす観点から、前社内事実調査報告書のうち、公表することが当該説明責任を果たす観点から必要かつ相当と考えられる部分を抽出した社内事実調査報告書の公表版の作成の要望があったため、当職らは、第1回調査報告書を提出した。 前社内事実調査の結果、テラがこれまでセネジェニックス・ジャパンとの間で行った新型コロナウイルス感染症に有効な医薬品開発等をはじめとする適時開示の内容と事実関係が符合しない可能性が高い部分又はその可能性がある部分が確認された。 そこで、テラより、当職らに対し、前社内事実調査による結果及び追加調査を実施のうえ、テラが新型コロナウイルス感染症 COVID-19 治療新薬開発に関する事実に関して事実と異なる適時開示に至った原因分析と今後の再発防止策の提言及びこれに関する報告書を作成することの依頼を受け、同年 9 月 27 日付「再発防止に向けた報告書」(以下「第2回調査報告書」という。)を提出した。 今般、テラより別途、2020 年 10 月 28 日付のテラ取締役会決議に基づくセネジェニックス・ジャパンに対する第三者割当増資に関する手続き及びその後2度にわたる払込期日の延期を経て最終的に失権に至った経緯及び問題がある場合にはその原因分析と今後の再発防止策の提言及びこれらに関する報告書の作成についての依頼があったものである。 また、上記第三者割当増資に関する適時開示等の時点で、テラの一部の役員等について、セネジェニックス・ジャパンとの間で、ストックオプション行使に基づき取得したテラ株式を売却したことに伴う債権債務関係が生じていたにもかかわらず、これらが当該適時開示等に記載されていなかった事実も判明したことから、かかる事実に関する経緯とその原因分析、再発防止策の提言及びこれらに関する報告書の作成についても依頼があった。 加えて、当職らによる前社内事実調査及び前メキシコ事業に関する検証が実施されているにもかかわらず、当職らに何らの報告や連絡等がされることがないまま、テラの代表者等がメキシコにおける臨床試験の治験責任医師とされた人物と面談し、その 3 後、当該医師は、テラ子会社であるテラファーマ株式会社(以下「テラファーマ」という。)の施設見学を実施している事実が判明したことから、かかる事実経過、当職らの前社内事実調査結果への影響の有無の検証、当職らに報告等が無かったことの理由、かかる対応における問題の所在、原因分析、再発防止策の提言及びこれらに関する報告書の作成についても依頼があった。 以下では、上記第三者割当増資手続に関連する検証、2020 年 10 月 28 日付適時開示において当時のテラの一部の役員とセネジェニックス・ジャパンとの間の債権債務関係が記載されなかったことに関連する調査、メキシコにおける臨床試験の治験責任医師とされた人物との接触に関連する調査をまとめて、「本件調査」といい、本件調査をまとめた文書を「本件調査報告書」という。 2 本件調査の基本方針 (1)日弁連ガイドラインの準用 本件調査の実施及び本件調査の結果を記載した報告書の作成にあたり、当職らは、日本弁護士連合会 2010 年 7 月 15 日発行(同年 12 月 17 日改訂)「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「日弁連ガイドライン」という。)、「第 6.その他」、「5」において「本ガイドラインの全部又は一部が、適宜、内部調査委員会に準用されることも期待される。」と規定されていることを踏まえ、テラとの間で、日弁連ガイドラインの適用に関する確認書を取り交わし、同ガイドラインを準用する適用範囲を確認した。 (2)当職らの立場 当職らのうち平英毅弁護士は、過去にテラの 2021 年 1 月 7 日付改善報告書の作成に関する法的助言及びテラのセネジェニックス・ジャパンに対するプロメテウス・バイオテック株式譲渡に伴う譲渡代金債権に関する債権譲渡契約書の作成業務を行ったことがあるが、当該事項を除き、当職らとテラとの間には、過去において受任関係やその他の取引関係はない。 そして、前述の過去の助言提供等は、本件調査を含む当職らによるテラに対する調査開始の時点で既に終了しており、本件調査に必要な独立的立場を保持していると判断している。 (3)本件調査の範囲 本件調査の範囲は以下のとおりである。 ア テラのセネジェニックス・ジャパンを割当先とした第三者割当増資に関して失権に至るまでの一連の経緯(払込期日が2回に亘り変更された事実経過を含む。)の事実調査、並びに、同経緯に関する事実調査を踏まえて、これに関連するテラの適時開示の内容の適正性、及び、失権を防止する観点からテラの対応に不足していた点その他不適正な点が無かったか否かの検証及び不適正な点がある場合に 4 おける原因分析並びに再発防止策の提言 イ テラの 2020 年 10 月 28 日付適時開示において、当時の一部のテラ役員とセネジェニックス・ジャパンとの間に債権債務関係が存在していたにもかかわらず、これらが開示されなかったことの経緯、原因分析及び再発防止策の提言 ウ メキシコにおける臨床試験の治験責任医師であるとして報告を受けていた医師(以下「D教授」という。)との間で、テラ代表者等が面談のうえ、テラファーマの施設見学等が実施されていたことの事実経緯、当職らに何らの報告等がされなかったことの理由、原因分析及び再発防止策の提言 (4)本件調査の方法 ア 当職らは、前社内事実調査及び第2回調査報告書に関する調査において下記の調査を実施していることから、本件調査及び本件調査報告書の作成にあたり、前社内事実調査報告書(第1回調査報告書を含む。)及び第2回調査報告書による ・テラ適時開示文書、プレスリリース、有価証券届出書、大量保有報告書(変更調査結果を踏まえている。 記 報告書を含む。)等の精査 ・関係者へのヒアリング(※1) 託(※2) ・メキシコ合衆国(以下「メキシコ」という。)現地法律事務所への調査事項の委 ・テラが保持する英語又はスペイン語による契約締結文書、連絡文書その他関連資料についての外部業者への翻訳の委託 ・取締役会議事録、監査等委員会議事録その他テラ内部文書資料の精査(※3) ・メキシコにおける新薬開発事業に関してセネジェニックス・ジャパンから随時提供されていたテラ内部資料及びテラ独自で取得した資料等の精査(※3) ・調査事項のうちテラが当事務所以外の法律事務所に委託して取得した調査報告 書を引き継いだ調査(但し、セネジェニックス・ジャパンのテラ株式譲渡の経 ・任意提出を受けた電子メール及び LINE データの精査(※3) 緯に関するものに限る。) ・弁護士会照会の実施 ・本件調査事項に関連するインターネット上で取得可能な公開情報及び公開記事(現在は閲覧できないものの、過去に公開されていた情報を含む。)の精査 (※1):当該関係者へのヒアリングの実施状況は以下のとおりである。 対象者 平智之氏 所属・役職等 テラ元代表取締役 (2019 年 3 月~2021 年 7 月 20 日) 方法 面談 実施状況 2021.4.15 2021.4.28 2021.5.17 5 明石法彦氏 テラ元監査等委員 2021.8.24 面談 廣川勝昱氏 テラ元監査等委員 2021.8.19 WEB 面談 遊佐精一氏 テラ元取締役 (2017 年 4 月~2021 年 3 月) 藤森徹也氏 テラ元監査等委員 (2020 年 3 月~2021 年 3 月) セネジェニックス・ジャパン元代表取締役・同社株主 (2019 年 3 月~2021 年 3 月) (2019 年 3 月~2021 年 3 月) テラにおける元管理本部長 (2020 年 3 月~2021 年 3 月) テラ内部監査室 (2020 年 3 月から 2021 年 3 月) テラ元管理本部長 当時における社外の内部監査担当者 虎見英俊氏 テラ元取締役 (2019 年 3 月~2020 年 3 月) 深川哲也氏 テラ元監査等委員 A氏 B氏 C氏 (2019 年 3 月~2020 年 3 月) セネジェニックス・ジャパン役員・同社株主 セネジェニックス・ジャパン役員・同社株主 プロメテウス・バイオテック代表者 2021.6.9 2021.6.16 2021.8.17 2021.8.23 2021.8.26 2021.6.16 2021.8.20 未了 面談 2021.9.7 電話面談 2021.9.3 WEB 面談 WEB 面談(但し音声のみ) 2021.9.3 未了 未了 2021.5.31 付メールによる質問書の送付 上記のうち、藤森氏、A氏、B氏に対して、文書によりヒアリングの申し込みをし、いずれも当該書面の到着を確認したものの、これらの対象者から何ら回答はなく、ヒアリングは実施できなかった。 また、プロメテウス・バイオテックの代表者とされるC氏に対しては、メールによる照会を行い、当該メールの到達が確認されたものの、当該メールへの回答はなかった。 施することはできなかった。 更に、虎見英俊氏については、第2回調査報告書に反映可能なヒアリングを実 (※2):メキシコ現地における調査は、次のメキシコ現地法律事務所に依頼して行った。 TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V. 6 Hegel 153, 901, Col. Polanco V sección, C.P. 11560, Alcaldía Miguel Hidalgo, Ciudad de México, México なお、同事務所とテラ及びセネジェニックス・ジャパンを含む本件に関連する会社と取引関係を有したことは過去になく、前社内事実調査報告書及び第2回調査報告書作成時点においてもないことをテラ及び同事務所から確認を受けており、本件調査の中立性及び公正性を害する事由はないものと判断している。 (※3):テラ、平智之氏(以下「平元社長」という。)、遊佐精一氏(以下「遊佐元取締役」という。)及びテラの従業員が保持していた関連資料及び電磁的記録媒体について、2021 年 3 月 3 日の時点で、テラの取引先等が強制調査を受けている関係先として証券取引等監視委員会により差押等がされたため、差し押さえ対象となった関連資料及び電磁的記録媒体について検討できていない。 株主総会議事録、取締役会議事録及び監査等委員会議事録の各原本自体も、テラに対する上記強制調査の結果、当局に押収されているが、後述のとおり、第2回調査にあたり、当局から全参加者の押印があり完成されている原本の写しについては、謄写を受け、精査している。 上記強制調査前に平元社長から提出を受けている電子メール、LINE その他の資料及び原本が差し押さえられた資料の中で電子データが残っているもの、あるいは、原稿のデータが残っている当該資料データ等についてはこれを確認した。 なお、LINE については平元社長及び遊佐元取締役の携帯端末の本体が捜査機関に差し押さえがされているため、当職らが平元社長から任意に提供されていた平元社長の LINE でやりとりされた本文のみが検討対象となっており、当該 LINE 本文以外の LINE に添付された写真・情報を確認するには至っていない。 イ 本件調査にあたり、必要な限度で、上記「ア」の調査に加えて、以下の調査を新たに実施した。 ・関係者に対するヒアリング(※4) ・フォレンジック調査の実施(※5) ・破産手続き中のセネジェニックス・ジャパンについて、当該破産事件に関する記録の閲覧謄写及び当該破産者の破産管財人からの資料取得 (※4)本件調査にあたり新たに実施したヒアリングの状況は以下のとおりである。 対象者 所属・役職等 実施状況 7 眞船達氏 池田徹氏 テラ代表取締役 テラ取締役 2021.12.27 面談 書面によるヒアリングの実施(D教中島日出夫氏 テラ監査等委員 書面によるヒアリングの実施(D教東海林秀樹氏 テラ監査等委員 書面によるヒアリングの実施(D教西村國彦氏 テラ元監査等委員 書面によるヒアリングの実施((Dテラ元監査等委員 2022.1.25 WEB面談( D教授関教授関連)但し、未回答。 授関連) 授関連) 授関連) 連) テラ元代表取締役 対象者の意向に基づき、書面による井上肇氏 平元社長 明石法彦氏 廣川勝昱氏 遊佐精一氏 J氏 テラ元管理本部長 K弁護士 藤森徹也氏 A氏 B氏 E社 テラ元監査等委員 テラ元監査等委員 テラ執行役員(テラ元取締役) テラファーマ従業員 テラ元従業員 第三者割当増資においてテラの法務手続を担当 テラ元監査等委員 セネジェニックス・ジャパン元代表取締役 セネジェニックス・ジャパン元取締役 セネジェニックス・ジャパン元取締役 セネジェニックス・ジャパンに対する本件第三者割当増資の融資元とされた企業 ヒアリングの実施 2022.1.27 WEB面談 2022.2.1 WEB面談 2022.1.6 面談 書面によるヒアリングの実施 メールによるヒアリングの打診に対する返答なくヒアリング未了。 2022.1.25 面談 内容証明郵便及び特定記録郵便によりヒアリングを打診し、いずれの書面も到着が確認されたものの返答なく、ヒアリング未了。 ※ 参照 内容証明郵便及び特定記録郵便によりヒアリングを打診し、いずれの書面も到着が確認されたものの返答なく、ヒアリング未了。 登記簿上の住所に内容証明郵便及び特定記録郵便によりヒアリングを打診したものの、同郵便物はいずれも宛所尋ねあたらずにより到着せず。 その他の調査により同法人への郵送可能な住所を調査したものの探知するには至っていない。 登記簿上の住所に内容証明郵便及び特定記録郵便によりヒアリングを打診したものの、同郵便物は、宛所尋ねあたらずにより到着せず。 F弁護士から同氏の携帯電話番号を聴取のうえ、電話によりヒアリングの打診をしたところ、電話に出た人物がE社代表者と認める回答をした後、「弁E社代表者 8 護士と相談する。後日追って連絡する。」旨の回答をしたが、その後、それぞれ別日に2回架電するも応答はなく、その後も返信等を得られておらずヒアリング未了。 なお、この電話にて、通知を送る場所を尋ねたものの回答されるには至らなかった。 2022.1.14 面談 2022.1.20 面談 同社の顧問とされるI氏、D教授、同社の副社長の名刺を有するL氏との各面談を内容証明郵便及び特定記録により打診をし、このうち特定記録郵便による書面等の到着が確認された。 また、テラより伝えられたメールアドレスにも送信をしてヒアリングを打診したが、応じられておらずヒアリング未了。 但し、その後、I氏から、当職らのヒアリングに代替する趣旨とのことで、同氏のD教授との接触状況や、本件調査の在り方、L氏にH社の名刺が交付された趣旨等が記載された書面の送付を受けた。 ヒアリングを申入れ実施予定であったものの、先方の都合により未実施。 同人の所有する名刺記載の所属先に電話連絡をし、当該電話時にはつながらなかったものの、後日、当該所属先から折り返しの連絡があったため用件を伝えて、同名刺記載のメールアドレスにヒアリングを打診するメールを送信してよいか否かの意向確認を求めたところ、当該所属先から折り返す旨の返答があった。しかし、現在まで返答はなくヒアリング未了である。 当職らの調査により判明したメールアドレス及びフォレンジック調査の結果判明したメールアドレスに、当職らが質問事項(スペイン語)を記載したメールを送付した。 但し、現在に至るまで未回答の状況である。 F弁護士 H社 E 社 の セ ネ ジ ェ ニ ッ クス・ジャパンに対する融資業務の委任を受けたとされる弁護士 D教授との面談を取り次いだとされるI氏が顧問として帰属する企業 G社代表者 L氏 G社は 2020 年 6 月 30 日時点におけるテラの筆頭株主 セネジェニックス・ジャパンの債権者とされる者 D教授 テラ及びセネジェニックス・ジャパンとの間の共同事業契約に基づくメキシコにおける新薬開発の治験責任医師とされていた者 9 ※ A氏に対しては、当職らより、2021 年 12 月 21 日付の内容証明郵便及び特定記録郵便によりヒアリングを打診し、このうち、内容証明郵便については不在のため持ち戻りとなった後、郵便局の保管期限が経過したため当職らに返送された。他方、特定記録郵便については同年 12 月 22 日に到着が確認され、その後 2022 年 2 月 16 日まで何らの返答もなかった。 しかし、調査期間終了間際の同年 2 月 16 日になってテラから、A氏からの同年 2 月 15日付通知書をテラが受領した旨の連絡を受けた。 同書面においては、A氏としては、本件調査を行うためにはA氏自身が保持する重要な客観証拠なくして完遂できるとは考えられないところ、当該客観証拠は捜査機関により差押等がされており、A氏の手元には存在しない等の事情から当職らの調査に応じることはできないと考えていたが、今般、近日中に当該客観証拠が返還されることが見込まれるため、当該返還された段階で調査に協力する意向がある旨が記載されている。 本件調査報告書の提出時点において、A氏からのヒアリングは未了である。 (※5)本件調査にあたり実施したフォレンジック調査の概要は以下のとおりである。 ・本件調査におけるフォレンジック調査を実施するにあたり、同業務の専門会社であるアスエイト・アドバイザリー株式会社を起用した。 ・前述のとおり 2021 年 3 月 3 日にテラの取引先等が強制調査を受けている関係先として証券取引等監視委員会により差押え等がされたため、差し押さえ対象となった関連資料及び電磁的記録媒体についてフォレンジック調査の対象とすることはできないことを踏まえて、本件調査に必要な範囲として、以下の媒体等についてデータ保全を実施した。その後、第三者割当増資手続関連及びD教授の関連について、以下の検証条件の下で、検索して抽出されたメール等の全データを当職らにおいて閲覧のうえ検証した。 調査対象 第三者割当増資手続関連 フォレンジック対象 平元社長、遊佐元取締役及び元管理本部長のテラが利用していたクラウドメールサービス上のデータ D教授関連(※) ・ 眞 船 社 長 の 貸 与 パ ソ コ ン 1台、貸与携帯1台、私用携帯1台 ・J氏の貸与パソコン1台、貸与携帯1台 ・平元社長の貸与携帯1台 ・遊佐元取締役の貸与パソコン1台 ・平元社長及び遊佐元取締役のテラが利用していたクラウドサ10 検証条件 ・対象期間:2020 年 2 月 1 日から 2021 年 1 月 31 日まで ・キーワード等:メールアドレス 11 個及びキーワード 20 個 ・対象期間:2021 年 3 月 1 日からフォレンジック実施に基づく情報の保全日である 2021年 12 月 28 日まで ・キーワード等:13 個 ービス上のデータ ※ D教授関連として、テラの取締役会議事録の記載から、井上元監査等委員がD教授とのWEB面談に参加していたことがあった事実が認められた。同氏は社外取締役であるためテラから同氏への携帯やパソコン等の貸与はないことから、当職らは、同氏に対し、同氏がテラの業務と無関係に使用している携帯、パソコン、メールサーバ等に対するフォレンジックへの協力を打診したものの、所属する勤務先からの情報の持ち出し制限や職業上の守秘義務等の観点から協力を得ることができず、この点の調査は未了である。 3 本件調査の実施期間 作成した。 4 前提事実及び留意事項 当職らは、2021 年 12 月 21 日にテラより本件調査及び本件調査報告書の作成業務についての依頼を受け、直ちに着手し、本日まで調査を実施のうえ、本件調査報告書を(1)本件調査にあたり、テラ及び本件ヒアリング対象者が当職らに開示した資料は全て真正な原本と同一性を有する写しであり、また本件ヒアリング対象者が当職らに開示した情報は全て真正かつ正確であることを本件調査にあたっての前提としている。 (2)また、本件調査及び本件調査報告書の作成にあたっては、当職らが先行して実施した前社内事実調査及び第2回調査の結果を前提としている。 (3)前社内事実調査、第2回調査及び本件調査に関しては、当職らによる法的な強制力のない任意での調査による限界が存在する。 (4)また、2021 年 3 月 3 日にテラの取引先等が強制調査を受けている関係先として、証券取引等監視委員会による強制調査を受け、当時のテラ役員の携帯端末や電磁的記録媒体又は取締役会議事録、監査等委員会議事録をはじめとするテラ社内の関連資料が差押等されている状況に起因する調査の限界が存在する。 (5)本件調査にあたり、取締役会、及び、監査等委員会における決議事項・報告事項・参加者の発言は、テラに残る取締役会議事録、及び、監査等委員会議事録の最終原稿データに基づき記載をしており、その記載内容が正しいことを本件調査報告書の前提としている(本件調査報告書では、「議事録の記載」として引用する。)。 なお、テラ元管理本部長からのヒアリングによれば、取締役会、及び、監査等委員会の議事録の原稿データは、これらに事務局として出席した同人が、終了後に、録音又は手控えメモから作成し、平元社長に提出しているものであるが、その後出席取締役・監査等委員である取締役らの押印まで済んでいないままのものもあった11 とのことである。 当職らは、テラの委任を受けて証券取引等監視委員会から、同委員会が差押中のテラの取締役会議事録、及び、監査等委員会議事録のうち 2020 年 1 月から 12 月までの閲覧謄写を求めたところ、2021 年 9 月 1 日、差押されたファイルの中の議事録で押印のある議事録の謄写が交付された。 しかし、上記期間中の取締役会議事録のうち押印があるものとして交付を受けたものは、1月 14 日、1 月 29 日(会社法第 370 条に基づく決議。以下「書面決議」という。)、2 月 2 日、2 月 7 日(書面決議)、2 月 13 日、3 月 9 日、3 月 25 日、3 月 31日(書面決議)、4 月 13 日、4 月 27 日、6 月 8 日、6 月 23 日、7 月 13 日、8 月 25 日の議事録であった。押印済み議事録の内容は、ほとんど体裁の点を除き原稿データ内容は一致していたが、4 月 27 日の議事録については、原稿データには当日までに付議取下げになった 2 つの議案が記載され、そのうち1つの議案はそもそも取締役会決議の対象ではない旨記載されていたが、押印済みの議事録では当該議案について抹消済みで記載がないとの違いがあった。 また、上記期間中、監査等委員会議事録のうち押印があるものとして交付を受けたものは、1 月 14 日、2 月 6 日、2 月 13 日、3 月 25 日、5 月 11 日の議事録であった。押印済み議事録の内容は、原稿データと差異はなかった。 (6)更に、前述のとおり、セネジェニックス・ジャパン関係者からの任意の協力が得られないことに起因する調査の限界が存在する。 (7)本件調査は、テラからの依頼に基づき作成されたもので、当職らはテラ以外の第三者に対していかなる責任を負うものではない。 更に、本件調査は、テラ役員等(テラの役員であった者を含む。)の法的な責任追及を目的とするものではなく、本件調査報告書の各記載内容について、当該テラ役員等の責任追及の目的で使用されることを想定していない。 (8)本件調査報告書においては、テラの役員(元役員であったものを含む。)については実名とし、テラの役員以外の従業員は役職名、テラ関係者以外の第三者については必要な限度で本件調査の対象となった事項について氏名等と無関係のアルファベット表記とした。 なお、本件調査報告書で引用する有価証券届出書ないし適時開示の表記においても、以下に該当する者はアルファベットにて表記する。 当該アルファベット表記は以下のとおりである。 A氏 B氏 C氏 D教授 セネジェニックス・ジャパン役員・同社株主 セネジェニックス・ジャパン役員・同社株主 プロメテウス・バイオテック及びセネジェニックス・メキシコの代表者とされる者 メキシコにおける試験において治験責任医師とされた者 12 E社 F弁護士 K弁護士 G社 H社 I氏 J氏 L氏 M氏 N社 O氏 本件第三者割当増資におけるセネジェニックス・ジャパンに対する払込資金の融資元とされた会社 E社からセネジェニックス・ジャパンへの融資業務の委任を受けていると伝えられていた弁護士 本件第三者割当増資の当時、テラの筆頭株主であった会社 テラと業務提携に向けた協議を行っているとされた会社 H社の顧問であるとされた者 テラファーマの従業員であり、D教授の研究施設の往訪についての実務を担当した者 テラに対し本件第三者割当増資についての適時開示や有価証券届出書作成等に関する法的助言及び対応をした外部弁護士 セネジェニックス・ジャパンの債権者であるとされた者 YouTube 上でテラのメキシコでの新薬開発事業等に疑義を呈する動画を投稿していた人物 質権実行によりセネジェニックス・ジャパンからテラ株式の譲渡を受けたとされる会社 セネジェニックス・ジャパンの従業員と思われる者 13 第2 テラの当時の組織体制及び財務状況等の概観 1 当職らの第2回調査報告書の 13 頁から 21 頁を参照されたい。 2 本件調査において必要な範囲で付加する内部規程の状況は、別紙のとおりである。 14 第3 第三者割当増資の一部失権に至る事実経過及び原因分析 以下では、調査資料に基づき、テラの 2020 年 10 月 28 日の取締役会決議に基づく第三者割当増資について、最終的に同年 12 月 16 日には、割当予定先とされたセネジェニックス・ジャパンから、当初予定していた発行価額の総額である 3,574,350,000 円からテラ第6回無担保社債の償還債務との相殺により払込みがされる 1,000,000,000 円を控除した残額である 2,574,350,000 円について、その一部である 1,001,300 円( ※註:但し、後述のとおり 1,000,078 円の払込みのみしか確認できない。)のみ払い込まれ、残りの 2,573,348,700 円について払込期日に払込みが行われないこととなり、当初発行予定であった本新株式 5,850,000 株のうち、当該 2,573,348,700 円分に相当する本新株式 4,211,700 株について失権が生じた(同年 12 月 17 日付適時開示)とされていることに関連する事実経過、原因分析及び再発防止策を述べる。 事実経過については、最初に、本件第三者割当増資に関する事実経過を総括し(後記1)、次に、時系列に沿って、具体的な事実関係、並びに、これらの事実関係について当職らの本件調査において収集した資料から判明した事実及び関係当事者のヒアリングにおける回答内容等を注釈(「※註」と表示されるもの)を加えつつ述べるものとする(後記2)。 なお、以下に記載した事実関係は、調査事項である第三者割当増資に関連する主な事実関係を抽出したものである(メキシコの新薬開発に関連する主な事実関係は、第2回調査報告書において記載した)。また、テラ関係者と外部機関、株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)及びセネジェニックス関係者等との間では、以下に記載した事実関係以外に電話、メール、LINE 等による質問・回答その他による大量のやり取りがあったものと考えられ、以下に記載した事実関係が第三者割当増資の関係者のやり取りのすべてではないことを念のため付言する。 1 事実経過全体の総括 (1) テラのセネジェニックス・ジャパンからの資金調達は、以下の経過を辿った。 ① 2020 年 7 月 13 日、同日付取締役会決議による 10 億円の第 6 回無担保社債の発行、及び、同年 7 月 27 日までのセネジェニックス・ジャパンによる 10 億 ② 同年 10 月 28 日付取締役会決議による本件第三者割当増資の発行事項の決定(募集株式の数 5,850,000 株、払込総額 3,574,350,000 円、申込期日・払込期日 同年 11 月 13 日。払込みのうち 10 億円は上記社債の償還債務との相殺円の払込み完了 を予定) ③ 同年 11 月 13 日付取締役会決議による第三者割当増資の申込期日・払込期日の変更(同年 11 月 30 日への延期) 15 ④ 同年 11 月 30 日付取締役会決議による第三者割当増資の申込期日・払込期日の変更(同年 12 月 16 日への延期) ⑤ 最終的な払込期日である同年 12 月 16 日、セネジェニックス・ジャパンは当初予定していた発行価額の総額である 3,574,350,000 円からテラ第6回無担保社債の償還債務との相殺により払込みがされる 10 億円を控除した残額である 2,574,350,000 円について、その一部である 1,000,078 円(※註:但し、同日の適時開示では「1,001,300 円」と記載されている)のみが払込期日に本新株式の払込金として払込取扱場所に払い込まれた。 そのため、当初発行予定であった本新株式 5,850,000 株のうち、本新株式 4,211,700 株について一部失権が生じることとなり、1,638,300 株が発行された。 (2) 本件調査においては、後述(後記2)のとおり、以下の事実が判明した。 ※註 なお、本項で引用するセネジェニックス・ジャパンからテラに提出された下記①ないし⑲の資料のうち、特に、テラの有価証券届出書(訂正有価証券届出書を含む)ないし適時開示で引用された資料は下線で示す。 ア 2020 年 7 月 13 日付取締役会決議による 10 億円の第 6 回無担保社債の発行は、セネジェニックス・ジャパンへの資金提供者はE社であるとされており、東証にもその旨説明がされていたが、実際の 10 億円の資金提供者はG社であると考えられ、E社の自己資金から社債払込資金がセネジェニックス・ジャパンに入金されていなかった。 即ち、前述①の 2020 年 7 月 13 日付取締役会決議による 10 億円の第 6 回無担保社債の発行は、テラがセネジェニックス・ジャパンを引受人とする第三者割当増資の準備を進める中で、同年 7 月に、課徴金支払いなど切迫する資金需要から、第三者割当増資に先行してセネジェニックス・ジャパンが 10 億円の社債引受けを行ったものである。 セネジェニックス・ジャパンはテラに対して、従来より第三者割当増資の払込資金の提供者(借入先)はE社である旨の説明をしており、裏付けとして、 ①E社名義の同年 7 月 1 日付「融資証明書」(融資金額 70 億円) ②E社の普通預金通帳写し(3 月 24 日部分のみ。約 72 億円の残高) が送信されていた。そして、上記社債引受けの際には、改めてセネジェニックス・ジャパンからテラに対してE社の融資金の資金使途に「社債のため」の文言を追加した以下の書面が交付されている。 ③E社名義の同年 7 月 13 日付「融資証明書」(融資金額 70 億円) テラは、東証からセネジェニックス・ジャパンへの「裏に資金の出し手」がいる場合はその確認をするよう求められ、社債払込資金の借入先がE社である旨回答し、E社の反社チェック等の資料を提出している。 16 しかしながら、本件調査において破産管財人から提供を受けたセネジェニックス・ジャパンの銀行預金口座の取引履歴(銀行により「預金取引明細書」、「取引明細証明書」、「月中取引一覧表」等名称は異なる。)を確認したところ、後述のとおりE社の自己資金による 10 億円の社債払込金の融資の記載はなく、同年 7 月 21 日にG社から 10 億円が送金され、これがセネジェニックス・ジャパンの別口座に移転された後テラに対する社債の払込に充てられていることが判明したものである。 イ 2020 年 10 月 28 日付取締役会決議による本件第三者割当増資の発行事項の決定までには、セネジェニックス・ジャパンの払込資金の調達先とされるE社の財産存在確認資料として、セネジェニックス・ジャパンからテラに対して、以下の資料が提出され、これらが、テラから外部機関や東証に対して提出された。 ④E社の銀行預金口座の ATM のご利用明細写し(8 月 17 日の残高が約 51 億 ⑤E社の普通預金通帳写し(8 月 17 日時点の残高部分のみ。約 51 億円の残 ⑥F弁護士名義の 2020 年 8 月 20 日付「融資証明書」(融資金額 50 億円) ⑦E社の普通預金通帳写し(1 月 23 日から 8 月 13 日までの取引履歴が記円) 高) 載) ⑧E社の普通預金通帳写し(⑦の通帳の続きの取引が記載されたものであり、8 月 13 日から 9 月 14 日までの取引履歴が記載。9 月 14 日時点の残高が約 75 億円) ⑨E社名義の同年 10 月 2 日付「融資証明書」(融資金額 75 億円) ⑩F弁護士名義の同年 10 月 2 日付証明書(F弁護士がE社からセネジェニックス・ジャパンへの融資業務を受任している。E社の資金は代表者個人が貸し付けた長期貸付金である等) ⑪F弁護士名義の同年 10 月 8 日付証明書(F弁護士がE社からセネジェニックス・ジャパンへの 75 億円の融資業務の委任を受けている。E社の資金は、代表者個人が不動産や株式の運用等で形成した財産である等) しかしながら、本件調査においては、後述のとおり、セネジェニックス・ジャパンから提出された②⑤⑦⑧のE社預金通帳写しの内容には、信頼性に強い疑い(事実に反する加工の疑い)があることが判明した。 また、⑩⑪F弁護士の証明文書については、後述のとおり、F弁護士は当職らのヒアリングに対して、当該⑩⑪文書の作成ないし押印をしたことを否定し、かつ、E社からセネジェニックス・ジャパンへの融資業務自体の委任を受けたことはなかった旨述べており、証明内容の信頼性には疑義がある。 ウ 当初の払込期日である 2020 年 11 月 13 日には、セネジェニックス・ジャパンからテラに対する第三者割当増資の払込みは実施されず、テラは失権を避けるため、 17 同日付取締役会で第三者割当増資の申込期日・払込期日の変更(同年 11 月 30 日への延期)を決議する。 払込が実施されなかった理由については、テラの同年 11 月 13 日付訂正有価証券届出書、同年 11 月 14 日付適時開示において、払込資金の貸付予定日であった 2020年 11 月 12 日にE社からセネジェニックス・ジャパンへの融資がされず、11 月 13 日になって融資がされた、これによりセネジェニックス・ジャパンからテラへの払込金額の送金手続の遅れが生じ 11 月 13 日の着金が確認できなかった旨が開示されている。 更に、テラの同年 11 月 27 日提出の訂正有価証券届出書、及び、同日付適時開示においては、セネジェニックス・ジャパンからテラに対しては、E社がセネジェニックス・ジャパンに対し同年 11 月 13 日午後になって融資を実行したが、銀行において手続が実施された時間との関係上、E社から割当予定先への着金が同日中に間に合わず、E社の融資金 26 億円は 11 月 16 日(※註 翌営業日である月曜日)にセネジェニクス・ジャパンに着金したので、当初の払込期日である 11 日 13 日中のテラへの送金ができなかったとの説明があった旨、また、セネジェニックス・ジャパンはE社にこの 26 億円を返還しているとの説明があった旨が開示されている。 上記開示に先立ち、セネジェニックス・ジャパンからテラに対して、以下の裏付け資料が交付され、外部機関及び東証にも提出されている。 ⑫セネジェニックス・ジャパン名義のZ銀行の普通預金通帳写し(11 月 16日にE社からセネジェニックス・ジャパンへの 26 億円の送金、及び、同日の 26 億円の出金の記載があるもの) ⑬「振込受付書(兼手数料受取書)」写し(11 月 16 日にセネジェニックス・ジャパンからE社のX銀行の普通預金口座への 26 億円の振込手続の ⑭「預金払戻請求書・預金口座振替による振込受付書(兼手数料受取書)」を何らかの媒体により撮影した写真データ(11 月 13 日のE社からセネジェニックス・ジャパンのZ銀行の普通預金口座への 26 億円の振込手続の記載があるもの)。 記載があるもの) また、同年 11 月 17 日頃、E社名義のホームページが公開された。その内容は、E社はセネジェニックス・ジャパンに対して、テラへの第三者割当増資を行うことを条件として令和 2 年 11 月 13 日に融資を実行したこと、治療薬が虚偽でないことを証明しない限り融資を延期する旨を表明したが、E社がメキシコに委託した調査会社からテラが開発した治療薬が実在し、メキシコ・イダルゴ州において確かに薬事承認が得られているとの調査結果が報告されたので、融資を実行したが、以上の判断が増資期限ギリギリになされたためテラの増資は延長となってしまったとの内容であった。 18 しかしながら、本件調査において破産管財人から提供を受けたセネジェニックス・ジャパンのZ銀行の普通預金口座の取引履歴を確認したところ、上記⑫の通帳写しに記載の口座番号の預金口座の取引履歴には、11 月 16 日に 26 億円の送金及び出金の記載はなく、E社から 105,000 円の入金の記載があるのみであった。 よって、E社からセネジェニックス・ジャパンに 11 月 13 日に 26 億円の送金手続を行い、これが翌営業日の 11 月 16 日になってセネジェニックス・ジャパンに着金し、かつ、同日中にセネジェニックス・ジャパンがE社に 26 億円を返還した旨の説明は、事実に反することが判明した。 セネジェニックス・ジャパンがテラに提出した上記⑫⑬⑭の資料には、事実に反する加工があることになる。 が存在すると考えられる。 また、E社名義のホームページの内容は上記の点で主要な点に事実に反する内容 E社からは「当該調査結果は、近日中に公開する。」とされていたE社独自の調査結果なるものもその後公開されていない。 エ 第1回目の延期後の払込期日である 2020 年 11 月 30 日には、以下の過程を経て、セネジェニックス・ジャパンからテラに対する第三者割当増資の払込みは実施されず、テラは失権を避けるため、同日付取締役会で第三者割当増資の申込期日・払込期日の変更(同年 12 月 16 日への延期)を決議した。 (ア)同年 11 月 27 日、セネジェニックス・ジャパンからテラに対して、一度は、金額未確認ながらE社代表者からセネジェニックス・ジャパンへの払込資金の融資を実行したとの電話があった旨連絡がされたが、11 月 30 日には、F弁護士がE社代表者の振込指示を止めていたためE社からセネジェニックス・ジャパンへの入金がされていなかったとの訂正報告がされた。 そして、セネジェニックス・ジャパンはテラに対して、F弁護士がE社の延期理由書を発行すると説明し、以下の文書が提出された。 ⑮E社名義の 11 月 30 日付「融資延期理由書」 同「融資延期理由書」の名義はF弁護士名義ではなくE社名義であったが、その内容は、E社は、2020 年 11 月 27 日付での融資に向けた準備を行ってきたが一部ユーチューバーを中心にE社及びE社顧問弁護士が常軌を逸した嫌がらせを受けているとして、これに関するテラの対応の不備を問題視し、現状の事態が改善されなければ増資資金の提供による協力を行う理由はないとして、治療薬の開発状況のテラ IR での明示、及び、一部ユーチューバーを中心としたE社への嫌がらせに対する改善努力の2点について前進が見られた場合には融資実行を確約する旨の内容が記載されている。 しかしながら、F弁護士は、上記 11 月 30 日付「融資延期理由書」については、本件調査において、後述のとおり、当職らのヒアリングに対して、F弁護士は同 19 文書を作成したことはないこと、同文書に記載されている 2020 年に「ユーチュ

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