インフロニア・ホールディングス(5076) – 東洋建設株式会社株式(証券コード:1890)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

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開示日時:2022/03/22 11:00:00

株価

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2022 年3月 22 日 会 社 名 インフロニア・ホールディングス株式会社 代表者名 代表執行役社長 岐部 一誠 問合せ先 (コード番号:5076 東証第一部) 経営戦略部長 古川 建作 (03-6380-8253) 東洋建設株式会社株式(証券コード:1890)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ インフロニア・ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会において、以下のとおり、東洋建設株式会社(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部、証券コード:1890、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決定いたしましたので、お知らせいたし 各 位 ます。 1.買付け等の目的 (1)本公開買付けの概要 公開買付者は、本日現在、対象者の株主名簿の閲覧請求等の対象者の株主としての権利行使の可能性を確保する観点から東京証券取引所市場第一部に上場している対象者株式100株(所有割合(注):0.00%)を所有しており、公開買付者の完全子会社である前田建設工業株式会社(以下「前田建設工業」といいます。)は、対象者株式19,047,510株(所有割合:20.19%)を所有する主要株主である筆頭株主です。 (注) 「所有割合」とは、対象者が2022年2月8日に提出した第102期第3四半期報告書(以下「対象者 四 半 期報 告 書」 とい いま す。 ) に 記 載さ れ た 2021 年12 月 31 日 現在 の 発 行済 株式 総 数(94,371,183株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(43,105株)(但し、同日現在において役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(以下「BIP信託」といいます。)が所有する対象者株式346,325株を除きます。)を控除した株式数(94,328,078株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいい、以下同じとします。 この度、公開買付者は、本日開催の取締役会において、対象者株式の全て(但し、公開買付者及び前田建設工業が所有する対象者株式並びに対象者が所有する自己株式を除きます。以下同じとします。)を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議いたしました。 公開買付者は、本公開買付けにおいては、43,837,790株(所有割合:46.47%)を買付予定数の下限と設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。他方、上記のとおり、公開買付者は、対象者株式の全てを取得することを企図しておりますので、買付予定数の上限は設けておらず、買付予定数の下限以上の応募があった場合は、応募株券等の全ての買付け等を行います。なお、買付予定数の下限は、対象者四半期報告書に記載された2021年12月31日現在の発行済株式総数(94,371,183株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(43,105株)(但し、同日現在においてBIP信託が所有する対象者株式346,325株を除きます。)、公開買付者が所有する対象者株式数(100株)及び公開買付者の完記 1 全子会社である前田建設工業が所有する対象者株式数(19,047,510株)の合計株式数(19,090,715株、所有割合:20.24%)を控除した株式数(75,280,468株)の過半数に相当する株式数(37,640,235株、所有割合:39.90%)、すなわち、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主が所有する対象者株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数を上回るものとなります。また、公開買付者が対象者を完全子会社とすることを目的としており、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の完全子会社化のために必要な本株式併合(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。)の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を着実に遂行すべく、本公開買付けが成立した場合に公開買付者が所有する対象者の議決権数の合計が対象者の議決権数(対象者四半期報告書に記載された2021年12月31日現在の発行済株式総数(94,371,183株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(43,105株)(但し、同日現在においてBIP信託が所有する対象者株式346,325株を除きます。)を控除した株式数(94,328,078株)の3分の2に相当する株式数から対象者株式1単元(100株)未満に係る数を切り上げた株式数(62,885,400株)から,公開買付者が所有する対象者株式数(100株)及び公開買付者の完全子会社である前田建設工業が所有する対象者株式数(19,047,510株)を控除した株式数(43,837,790株)以上となるよう設定したものです。 公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにより対象者株式の全てを取得できなかった場合には、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者が対象者株式の全てを取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続を実施することを予定しております。 なお、本公開買付けに際し、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合には、対象者の主要株主である筆頭株主であり、公開買付者の完全子会社である前田建設工業が所有する対象者株式の全てを配当財産として交付を受け、又は吸収分割等の組織再編により、譲渡代金を支払うことなく取得することを予定しているため、本日付で、前田建設工業が所有する対象者株式の全て(所有株式数:19,047,510株、所有割合:20.19%)について本公開買付けに応募しない旨、並びに、本公開買付けの成立後、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会において本株式併合の議案及びこれに関連する議案に賛成する旨の議決権を行使する旨を口頭により合意(以下「本不応募合意」といいます。)しております。 本不応募合意の詳細につきましては、下記「(6)公開買付者と対象者の株主・取締役等との間における本公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。 一方、対象者が本日公表した「インフロニア・ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は本日開催の対象者取締役会において、本公開買付けについて賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に応募を推奨することの決議をしたとのことです。 なお、対象者の意思決定の過程に係る詳細については、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑤対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照下さい。 (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方 針 ア. 本公開買付けの背景及び目的等 公開買付者は、2021年10月1日に共同株式移転の方法により前田建設工業、前田道路株式会社(以下「前田道路」といいます。)及び株式会社前田製作所(以下「前田製作所」といいます。)の完全親会社として設立されました。公開買付者のもとで、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、これをグループ全体戦略として強力に推進することとしております。公開買付者は、2021年10月1日開催の取締役会において2022年3月期から2024年3月期を対象事業年度として策定された中期経営計画『INFRONEER Medium-term Vision 2024』(以下「公開買付者中期経営計画」といいます。)に基づき、グループ各社のエンジニアリング力の結集と積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化することで、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDX(注1)の推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼され2 る企業」を目指しております。 (注1)「DX」とは、デジタルトランスフォーメーションを意味し、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを指します。 公開買付者グループは、前田建設工業、前田道路及び前田製作所をはじめとする子会社62社及び関連会社24社(本日現在)で構成され、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を主な事業とし、さらにリテール事業から不動産事業まで幅広く展開しております。 公開買付者は、公開買付者中期経営計画の中で、①生産性改革、②新たな収益基盤の確立、③体質強化・改善を戦略三本柱とし、それぞれの主な重点施策を定めるとともに、当該中期経営計画を、公開買付者の中長期経営計画における「成長フェーズ」に向けた「基盤構築フェーズ」と位置づけ、グループシナジーの追求、新規事業領域への体制構築、DX/シェアード化の推進及びM&A推進を特に注力する施策として掲げるなど、公開買付者が目指す姿である「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取組みを行っております。 一方、対象者は、1929年7月に、兵庫県西宮市鳴尾地区に工業用地及び工事港を造成することを目的に、阪神築港株式会社として設立され、1932年に建設請負業を開始し、戦時中の経済情勢により鳴尾埋立事業を一時中断し、海洋土木工事の請負を主業として、事業を展開されてきたとのことです。また、1964年5月に商号を東洋建設株式会社に変更しているとのことです。鳴尾埋立事業は1967年5月に再開され、1986年9月に完了されており、1965年以降は陸上土木工事、1975年以降は建築工事について本格的に取り組まれているとのことです。株式市場との関係では、1961年10月に株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)市場第二部に、1962年10月に東京証券取引所市場第二部に上場され、1964年8月に東京、大阪証券取引所市場第一部に指定されました。その後、2013年7月に大阪証券取引所と東京証券取引所の現物市場が統合されたことに伴い、本日現在まで東京証券取引所市場第一部に上場されております。対象者グループは、本日現在、対象者、連結子会社8社、非連結子会社4社及びその他の関係会社2社で構成され、国内土木事業、国内建築事業、海外建設事業、不動産事業を主な事業の内容としているとのことです。対象者は、2029年7月に迎える創立100周年に向けて、建設産業を取り巻く環境の急速かつ急激な変化にフレキシブルに対応できる、しなやかな強さを備えた持続可能な「レジリエント企業」を目指し、国内土木においては海上土木の事業規模の維持・安定や成長ドライバーである洋上風力関連事業の強化に向けた取組み、建築事業においては組織営業力の強化や収益力の強化、及び、デジタル化による生産性の向上に向けた取組み、海外建設事業においては海外市場における収益力の強化等、中長期的な事業環境の変化を見据えた各種取組みを推進されているとのことです。 公開買付者の完全子会社である前田建設工業と対象者は、2002年7月に業務提携を締結し、前田建設工業の陸上工事における強みと対象者の海洋工事における強みを互いに活用する取組みを推進してまいりました。前田建設工業は、2002年12月には提携強化を目的として事業会社との相対取引により対象者株式850,000株(所有割合(各時点の議決権を有する発行済み普通株式総数から自己株式数を控除した数に対する当該各時点において前田建設工業が所有する累計での対象者株式数の割合を記載しております。以下同じです。):0.41%)を取得し、2003年10月には第三者割当増資の引受けにより対象者株式57,692,000株を取得することで対象者を持分法適用関連会社といたしました(所有割合:22.18%)。以降、所有割合を概ね維持する対象者株式の取得として、2006年5月に第1回優先株式(2003年8月に対象者への財政支援のために金融機関に対して発行された議決権のない対象者の優先株式をいい、2006年3月に第1回優先株式1,150,000株、2008年3月に第2回優先株式2,000,000株を、前田建設工業が金融機関からそれぞれ取得したものです。なお、本日時点においては第1回優先株式及び第2回優先株式は全数を普通株式に転換済みです。以下同じです。)の普通株式への転換により対象者株式6,209,503株(所有割合:21.08%)、2008年6月に第2回優先株式の普通株式への転換により対象者株式1,079,913株(所有割合:19.52%)、同月に第2回優先株式の普通株式への転換により対象者株式2,159,827株(所有割合:20.16%)、同年9月に市場からの購入により対象者株式3,000,000株(所有割合:21.05%)、2011年6月に第2回優先株式の普通株式への転換により対象者株式2,659,574株(所有割合:20.41%)、同年9月に第2回優先株式の普通株式への転換により対象者株式3,191,489株(所有割合:20.47%)、同年10月に第2回優先株式の普通株式への転換により対象者株式1,595,744株(所有割合:20.16%)、2012年2月に市場からの購入により対象者株式1,500,000株(所有割合:19.98%)、同月に市場からの購入により対象者株式600,000株(所有割合:20.13%)、同月に市場からの購入により対象者株式200,000株(所有割合:20.18%)をそれぞれ取得し、2012年9月の対象者の株式併合(1:5)による株数の減少を経て、2015年3月に第三者割当増資の引受けにより対象者株式2,800,000株(所有割合:20.09%)、同月に市場からの購入により50,000株(所有割合:20.14%)、同月に市場からの購入により50,000株(所有割合:20.19%)をそれぞれ取得し、2022年3月8日に公開買付者に対象者株式100株を売却し、現在は公開買付者が対象者株式を100株(所有割合:0.00%)、前田建設工業が対象者株式を19,047,510株(所有割合:20.19%)所有し、対象者を引き 3 続き持分法適用関連会社としております。 対象者は、“夢と若さをもって全員一致協力し 新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め 会社の安定成長と従業員の福祉向上を期する”、“「人間尊重」「創意革新」「責任自覚」”を経営理念として掲げ、港湾建設を主体とした海洋土木工事を強みとし、2021年3月期の連結売上高は約1,730億円と、海洋ゼネコン業界において有価証券報告書を提出又は事業報告を公開している合計8社中第3位の売上実績となっている(注2)など、同業界の事業者として確固たる地位を築かれていると考えております。 (注2)海洋ゼネコン業界において有価証券報告書を提出又は事業報告を公開している合計8社の開示内容より。 しかしながら、土木建設投資の動向は2016年度以降約20兆円から22兆円の間でおおむね横ばいで推移してきた一方、地方公共団体の海洋関連投資額は2000年代前半の1.2兆円程度に比べおよそ半分の0.6兆円程度に減少するなど(注3)、市場環境は厳しさを増しております。また、将来の長期的な経営環境についても、少子高齢化、人口減少が加速度的に進んでいくことは間違いなく、対象者の強みとする土木事業において、発注主体の7割超を占める(注3)国や地方公共団体の財政は今後ますます厳しくなり、建設投資も縮小していくことが予想されます。さらに、担い手不足の深刻化やデジタル化への変革が不可避であることも踏まえると、抜本的な生産性改革が喫緊の課題であると考えられます。 (注3)国土交通省「令和3年度(2021年度)建設投資見通し(令和3年10月)」、一般社団法人海洋産業研究・振興協会「海洋開発の市場構造に関する調査(2021年12月)」より。 このように、対象者を取り巻く経営環境が著しく変化していく中で、公開買付者は、2021年10月1日の設立以降、公開買付者グループにおいて企業価値向上を図るためにはグループ全体として競争力を強化することが必要であると考えてまいりました。具体的には、公開買付者は、2021年10月1日以降、同日の共同株式移転による公開買付者の設立によって、それぞれ上場会社であった前田建設工業、前田道路及び前田製作所が公開買付者の完全子会社となったことで相互の連携が強化されたものと考えており、残る上場会社である対象者との連携の強化が公開買付者グループとして残された重要な経営課題となったものと考えてまいりました。上記のとおり厳しい市場環境に置かれた対象者が中長期的に事業基盤を拡大し、更なる成長を実現することにより、公開買付者グループが全体としてさらなる企業価値向上を実現していくためには、共同して技術開発や人材交流等に取り組んできた公開買付者グループと対象者との連携をさらに強化し、環境変化に対応できる経営基盤の構築や経営資源の最適配分等、両社のシナジーを最大限発揮していくことが不可欠と考えてまいりました。さらに、公開買付者は、公開買付者グループ全体の競争力を中長期的に強化するための施策と、対象者グループの短期的な利益を最大化する施策とが一致しない場合があることから対象者を公開買付者の連結子会社として上場を維持することは検討せず、対象者を公開買付者の完全子会社とすることにより、公開買付者と対象者の一般株主との間の潜在的な利益相反の関係を解消し、これにより、グループ全体として永続的成長を遂げるためのグループ戦略を一体となって遂行することが、両社の企業価値向上に資するものと確信し、2022年1月下旬、本公開買付けを含む本取引によって対象者を完全子会社化することが最適であると判断いたしました。 具体的には、以下のようなシナジーが想定されます。 ① 公共インフラの包括管理やPPP・コンセッション分野での協業による新たな収益基盤の確立 日本では、少子高齢化に伴う社会構造の変化により、国や地方公共団体の財政は今後さらに逼迫していくことが想定されます。一方で、インフラ老朽化への対策が急増するため、新規建設はおろか、国や地方公共団体が管理する道路、橋梁、港湾、上下水道、空港等の既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。さらには今般のコロナ禍による財政調整基金の枯渇も重なり、建設投資縮減の傾向は加速されると予想され、その解決策として公共インフラの包括管理委託業務やPPP・コンセッションといった官民連携の新たな市場が今後数年間で拡大すると考えられます。 日本国内において、公的不動産・公的インフラの規模は約730兆円と推計され、コンセッション事業を適用できるといわれている利用料金の徴収を行う公共インフラ資産はそのうち約25%の約185兆円と推計されております(注4)。そのうち、特にクルーズ船旅客ターミナルなどの港湾関係の公共インフラ資産は0.73兆円と推計されており(注4)、対象者のこれまでの港湾土木事業で培ったノウハウや技術力と公開買付者のコンセッション事業での維持管理・運営、補修・更新の技術・ノウハウ・知見を掛け合わせることにより、高い競争優位性を発揮できると考えられます。 (注4)日本経済再生本部第6回産業競争力会議(2013年4月17日開催)資料より。 また、内閣府民間資金等活用事業推進会議がPPP・コンセッション分野の推進に向けて2021年6月18日に公表したPPP/PFI推進アクションプラン(令和3年改定版)及び内閣府によると、日本国内における利用料金の徴収を行わない地方公共団体の公共土木インフラや公共施設においても包括管理委託業務の導入が始まっており、これらのいわゆる「キャッシュフローを生み出しにく4 いインフラ」へのアベイラビリティペイメント方式(注5)の導入も地方公共団体において検討段階に入っているとのことです。今後包括管理委託業務やアベイラビリティペイメント事業の市場も拡大していくものと考えており、グループ会社間の連携による優位性の創出が十分期待できると考えております。 (注5)「アベイラビリティペイメント方式」とは、インフラ施設・設備の現実の利用量ではなく、利用可能性(アベイラビリティ)やサービスレベルに関する指標等に基づき、公共部門が民間コンセッション会社等の事業者にサービス対価を支払う方式を指します。 このような背景から、公開買付者は、「総合インフラサービス企業」の実現に向け、上記の社会課題を解決し、公開買付者グループの新たな収益基盤を確立することを成長戦略と定め、PPP・コンセッション分野等の官民連携事業への取組みを強力に推進しております。 これまでも、公開買付者の完全子会社である前田建設工業と対象者においては、2002年7月の業務提携や2003年6月の前田建設工業の増資引受けによる持分法適用関連会社化以降、各種委員会活動を定期的に行い、営業、設計、調達、施工、安全、品質、海外事業などあらゆる分野における連携を行ってきました。本公開買付けにより、グループ全体としてインフラ運営事業におけるシナジー創出に向けた取組みがさらに活発化すると考えております。特に、今後予定されている港湾インフラのコンセッション事業や洋上風力発電をはじめとした再生エネルギー事業において、対象者が培ってきた港湾分野での技術やノウハウを活かし、これらの新たな事業を担うことになれば、対象者の新たな収益基盤の確立にも寄与すると考えられ、さらなる利益の拡大が期待できます。さらに、中長期的に縮小傾向にある国内市場を中心とした事業戦略を見直し、公開買付者が展開を目指す海外でのコンセッション案件においても、対象者の培ってきた海外事業の技術やノウハウを掛け合わせることにより競争優位性を発揮できると考えております。これらは、対象者が公開買付者グループの中核企業として、グループ全体での連携強化をさらに深化させれば、確実かつ早期の実現が可能だと考えております。 ② グループ全体でのDX、人材育成の共同推進 近年の建設業界においては、少子高齢化による生産年齢人口減少の影響による働き手の不足が特に表れており、省人化、省力化による生産性向上は業界を上げて取り組むべき喫緊の課題であります。同時に、デジタル技術の発展はめざましく、福島県会津若松市や静岡県裾野市などにおけるスマートシティ、スマートインフラ等のまちづくりにおいてすでに見られるように、従来建設業の専門であった事業領域に建設業以外の情報産業等異業種の事業者が積極的に参入してきており、近い将来、競争環境はさらに多様化し、激しさを増していくと考えております。 このような変化は、コロナ禍によりますます加速しており、この環境変化の中で今後も生き残り、持続的成長を遂げるためには、早急な対応が必須であるという強い危機感を持っております。公開買付者は、こうした環境下における成長戦略には、建設生産やインフラ運営に関するビッグデータの集積と最大活用、及び人材育成が必須の要件であり、それらは、単独の取組みではなく、グループが一丸となって進めることに加えて、多種多様なパートナーとの協業・連携が重要であり、各社の技術開発及び人材開発拠点を連携することにより、その効果を最大化できるものと考えております。 対象者においても、公開買付者グループの有する技術・人材開発環境やデジタル化戦略を共有し、最大活用することにより、将来の変化への対応力をより効率的かつ効果的に強化することが可能になると考えているとのことです。さらに、対象者及び公開買付者をはじめとするグループ会社が保有する技術・ノウハウをビッグデータとして一元管理することで、個々で取り組むよりも高い精度でデータを分析することが可能になり、それに基づくグループ全体の戦略立案、経営の効率化、サービスの高度化、さらには技術・システム開発をより強力に推進することができます。本公開買付けにより、今後さらにグループ会社が保有する技術やノウハウなどのビックデータを最大活用することで、対象者の事業全体における業務効率化や生産性向上に寄与するものと考えており、シナジーによる価値創出がより早く確実に実現することが可能になると考えております。 以上の検討を踏まえ、公開買付者は2022年1月26日に、対象者に対して、(ⅰ)公開買付者グループ全体の競争力を中長期的に強化するための施策と、対象者グループの短期的な利益を最大化する施策とが一致しない場合があることから対象者を公開買付者の連結子会社として上場を維持することは検討せず、対象者を公開買付者の完全子会社とすることにより、公開買付者と対象者の一般株主との間の潜在的な利益相反の関係を解消し、これにより、グループ全体として永続的成長を遂げるためのグループ戦略を一体となって遂行することが、両社の企業価値向上に資するものと確信し、本公開買付けを含む本取引によって対象者を完全子会社化することが最適であると判断したこと、また、(ⅱ)完全子会社化の手法として、株式と比較して流動性の高い金銭を対価とすることにより、当該交付された金銭を用いて公開買付者の株式5 を購入し、公開買付者の株主となることも含めた選択の機会を対象者の株主の皆様に提供できる手法である公開買付けの方法によることが最適であると判断したことから、対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する初期的な提案を対面で行い、対象者より持ち帰って検討する旨の回答を受領しました。また、公開買付者は、上記のとおり、公開買付けにより対象者を完全子会社化することが最適であると判断していたことから、まずは対象者に対して本取引に関する初期的な提案を行い、その反応を見た上で、本格的な検討・協議を行うための準備としてアドバイザーを選任することとし、同年2月中旬に、公開買付者及び前田建設工業並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして瓜生・糸賀法律事務所をそれぞれ選任いたしました。公開買付者は、同年1月下旬から同年3月中旬にかけて対象者との間で、本取引の手法等に関して継続的な検討・協議を重ねました。公開買付者は、同年1月下旬、当該検討・協議の過程において、前田建設工業の所有する対象者株式については、前田建設工業が公開買付者の完全子会社であることから、配当財産として交付を受け、又は吸収分割等の組織再編により譲渡代金を支払うことなく取得することができるため、公開買付けの方法により譲渡代金を支払って前田建設工業から対象者株式を取得することで買付けに要する資金が増加し、当該買付け資金の調達のために追加の借入による経済的負担が生じることには経済合理性がないと判断したこと、また、前田建設工業の所有する対象者株式を公開買付けによる取得の対象としない場合にも、前田建設工業との間で公開買付けの成立後に対象者を完全子会社化する手続に賛成する旨(これに沿って議決権を行使する旨を含みます。)を合意することで対象者の完全子会社化を実現することができると判断したことから、本取引の手法として、前田建設工業が所有する対象者株式を取得しないことといたしました。同年2月22日、対象者から、本取引の実施に向けた具体的な準備を進めることを了承する旨の回答を受領しました。当該回答を受けて、公開買付者は、対象者の了解を得て、同年2月下旬から3月中旬にかけて、対象者に対するデュー・ディリジェンスを実施いたしました。また、同年3月2日に公開買付者から正式な意向表明書を交付し、同年3月上旬以降、対象者との間で、本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)に関して複数回に亘り協議・交渉を重ねてまいりました。 具体的には、公開買付者は、対象者の過去の株価推移に着目し、株価純資産倍率(PBR)1倍にあたる株価水準(2022年12月31日時点の1株当たり連結純資産は、約700円)を上回る価格とすること、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果においてその算定範囲に含まれることを総合的に考慮の上、2022年3月9日に本公開買付価格を720円としたい旨の提案を行いました(なお、公開買付者は、本公開買付価格を720円とする提案が、2019年7月から2022年1月に行われた発行者以外の者による完全子会社化を前提とした公開買付けの事例(71事例)において付与されたプレミアムの実例(平均値は、公表日直前が43.0%、直近1ヶ月間が45.4%、直近3ヶ月間が47.0%、直近6ヶ月間が47.9%であり、中央値は、公表日直前が41.2%、直近1ヶ月間が41.4%、直近3ヶ月間が39.9%、直近6ヶ月間が43.5%)と比較すると、2022年3月8日の終値(574円)に対するプレミアムは約25%にとどまるものの、上記のとおり、対象者の過去の株価推移をふまえ、株価純資産倍率(PBR)1倍にあたる株価水準を上回る価格とすることに着目しているため、対象者株主にとって経済合理性があると判断しておりました。)。これに対して対象者は、同月10日、対象者の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準から明らかに乖離していると考えるとして、提案内容の再検討を公開買付者に要請したため、公開買付者は、同月11日に、本公開買付価格を730円としたい旨の提案を行いました。これに対して対象者は、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)及び対象者が設置した特別委員会のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフーリハン・ローキー株式会社(以下「フーリハン・ローキー」といいます。)の株式価値評価に加え、本件において参照すべき他の類似事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「公正なM&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日から2021年12月31日までの期間における発行者又は支配株主以外の者による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(開示書類にマネジメント・バイアウト(MBO)と記載されている事例を除いた35件))において付与されたプレミアムの実例(平均値は、公表日直前が53.8%、直近1ヶ月間が59.6%、直近3ヶ月間が62.9%、直近6ヶ月間が65.4%)等を総合的に勘案すると、再提案を受けた価格は、あるべき価格水準から著しい乖離があり、対象者の少数株主に対してその妥当性を説明することが不可能であるとして、2022年3月12日、公開買付者に対し、本公開買付価格の再検討を要請しました。 その後、公開買付者は、同年3月9日の価格提案時と同様の理由及び再検討を要請されたことを踏まえ、同月15日に、745円を本公開買付価格としたい旨の提案を行いました。これに対して対象者は、当該価格は対象者の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を下回っていると考えられること、また、支配株主による非公開化も含めた他の類似事例(経済産業省が公正なM&A指針を公表した2019年6月28日から2021年12月31日までの期間における支配株主による非公開化も含めた他の類似事例(同期間における発行者以外の者による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(97件))において付与されたプレミアムの実例(平均値は、公表日直前が46.3%、直近1ヶ月間が49.4%、直近3ヶ月間が52.3%、直近6ヶ月間6 が52.8%)からも乖離があることから、2022年3月16日、公開買付者に対し、本公開買付価格の再検討を要請しました。 その後、公開買付者は再検討を要請されたことを踏まえ、同月17日に、770円を本公開買付価格としたい旨の最終提案を行いました。対象者は、同月17日、本特別委員会(下記「イ.対象者における意思決定の過程及び理由」において定義します。)から、公開買付者からのかかる提案について検討し、同価格は一般株主の利益を害する水準にはないことを確認しつつ、一般株主の利益の最大化を図るため交渉を続けるべきであるとし、対象者代表取締役社長において、公開買付者とトップ協議を行い、価格の引き上げを求める方針で最終的な交渉を行うよう要請を受け、同日、かかる要請に基づき、公開買付者に対してトップ協議を申し入れたとのことです。 これを受け、同月18日、公開買付者の代表執行役社長は、対象者代表取締役社長と協議を行い、その結果、公開買付者は、2022年3月18日に、本公開買付価格を770円として本公開買付けを実施することにつき対象者との間で合意に至り、本日、本取引の実施及びその一環として本公開買付けを実施することを決定いたしました。 イ.対象者における意思決定の過程及び理由 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに賛同しており、対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由は、以下のとおりであるとのことです。 ① 検討体制の構築の経緯 対象者は、上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「ア. 本公開買付けの背景及び目的等」に記載のとおり、2022年1月26日に公開買付者より本取引に関する初期的な提案を対面で受け、持ち帰って検討する旨を回答したとのことです。そして、対象者は、2022年1月下旬から同年3月中旬にかけて公開買付者との間で、本取引の手法等に関して継続的な検討・協議を重ねたとのことです。対象者は、2022年2月22日、公開買付者に対し、本取引の実施に向けた具体的な準備を進めることを了承する旨を回答し、当該回答を受けて、公開買付者は、対象者の了解を得て、同年2月下旬から3月中旬にかけて、対象者に対するデュー・ディリジェンスを実施しました。また、2022年3月2日に公開買付者から正式な意向表明書を受領し、2022年3月上旬以降、公開買付者との間で、本公開買付価格に関して複数回にわたり協議・交渉を重ねてきたとのことです。対象者は、公開買付者との間で本取引に係る協議を開始するに際し、対象者は公開買付者又は前田建設工業の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当しないものの、当該時点において、公開買付者の完全子会社である前田建設工業は対象者株式を19,047,610株(所有割合:20.19%)所有し、対象者を持分法適用関連会社としていること、公開買付者が対象者を完全子会社とし対象者株式の非公開化を企図していること等に鑑み、本取引の公正性を担保するため、2022年2月中旬に対象者並びに公開買付者及び前田建設工業から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を、また、リーガル・アドバイザーとして三浦法律事務所をそれぞれ選任し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び三浦法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、公開買付者から独立した立場で、対象者の企業価値の向上及び対象者の少数株主(一般株主)の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始したとのことです。 具体的には、2022年2月中旬より、対象者の独立社外取締役及び社外有識者から構成される特別委員会の設置に向けた準備を開始し、2022年2月24日の対象者取締役会決議により、福田善夫氏(対象者独立社外取締役)、吉田豊氏(対象者独立社外取締役)及び社外有識者である西本強氏(弁護士、日比谷パーク法律事務所)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(詳細については、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「①対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性、(ⅱ)本取引に係る手続の公正性(対象者株主の利益への十分な配慮がなされているか)、及び(ⅲ)本取引に係る取引条件の公正性・妥当性等の観点から、本取引を行うこと(本公開買付けに対して対象者取締役会が賛同意見表明をすること及び対象者株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は対象者の少数株主(一般株主)にとって不利益ではないかについて検討し、対象者取締役会に意見を述べることについて諮問(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)したとのことです。 また、対象者取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(a)本諮問事項についての判断及び検討に必要な情報を収集・受領する権限、(b)本特別委員会が必要と判断する場合には自らの財務のアドバイザー若しくは第三者算定機関及び法務のアドバイザー(以下「アドバイザー等」といいま7 ② 検討・交渉の経緯 す。)を選任又は指名すること、又は対象者のアドバイザー等を承認する権限、(c)本特別委員会が必要と判断する場合には対象者と公開買付者との協議・交渉に参加し、対象者のために協議・交渉する権限、及び(d)本取引のために講じるべき公正性担保措置の程度を検討し、必要に応じて意見・提言する権限を付与することを決議したとのことです。 また、本特別委員会は、2022年2月24日開催の第1回特別委員会において、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関とすること並びに三浦法律事務所を対象者のリーガル・アドバイザーとすることについて承認したとのことです。また、本特別委員会は、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「①対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、上記の権限に基づき、2022年3月1日、その独立性及び専門性を確認の上、独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてフーリハン・ローキーを選任したとのことです。 以上のほか、本特別委員会の設置等の経緯、検討の過程及び判断の内容等については、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「①対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。 対象者は、2022年3月9日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり720円とする提案を受領し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券による対象者株式の株式価値の算定結果や公開買付者との交渉方針等を含めた財務的な助言及び三浦法律事務所からの本取引における手続の公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言等を踏まえ、公開買付者との間で、本公開買付価格を含む本取引における諸条件について、継続的に協議・交渉を行ったとのことです。具体的には、以下のとおりです。 ・ 対象者は、2022年3月9日に公開買付者から本公開買付価格を720円とする提案を受けましたが、提案された価格は、対象者の株式価値を適切に反映したあるべき水準から明らかに乖離していると考え、2022年3月10日、公開買付者に対し、本公開買付価格の再検討を要請したとのことです。 ・ 対象者は、2022年3月11日、公開買付者から本公開買付価格を730円とする再提案を受けましたが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフーリハン・ローキーの株式価値評価に加え、本件において参照すべき他の類似事例(経済産業省が公正なM&A指針を公表した2019年6月28日から2021年12月31日までの期間における発行者又は支配株主以外の者による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(開示書類にマネジメント・バイアウト(MBO)と記載されている事例を除いた35件))において付与されたプレミアムの実例(平均値は、公表日直前が53.8%、直近1ヶ月間が59.6%、直近3ヶ月間が62.9%、直近6ヶ月間が65.4%)等を総合的に勘案すると、再提案を受けた価格は、あるべき価格水準から著しい乖離があり、対象者の少数株主に対してその妥当性を説明することが不可能であるとして、2022年3月12日、公開買付者に対し、本公開買付価格の再検討を要請したとのことです。 ・ 対象者は、2022年3月15日、公開買付者から本公開買付価格を745円とする再々提案を受けましたが、当該価格は対象者の株式価値を適切に反映したあるべき価格水準を下回っていると考えられること、また、支配株主による非公開化も含めた他の類似事例(経済産業省が公正なM&A指針を公表した2019年6月28日から2021年12月31日までの期間における支配株主による非公開化も含めた他の類似事例(同期間における発行者以外の者による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(97件))において付与されたプレミアムの実例(平均値は、公表日直前が46.3%、直近1ヶ月間が49.4%、直近3ヶ月間が52.3%、直近6ヶ月間が52.8%)からも乖離があることから、2022年3月16日、公開買付者に対し、本公開買付価格の再検討を要請したとのことです。 その結果、対象者は、2022年3月17日に、公開買付者から、公開買付価格を1株当たり770円とする最終提案を受けるに至ったとのことです。対象者は、同月17日、本特別委員会から、公開買付者からのかかる提案について検討し、同価格は一般株主の利益を害する水準にはないことを確認しつつ、一般株主の利益の最大化を図るため交渉を続けるべきであるとし、対象者代表取締役社長において、公開買付者とトップ協議を行い、価格の引き上げを求める方針で最終的な交渉を行うよう要請を受け、同日、かかる要請に基づき、公開買付者に対してトップ協議を申し入れたとのことです。これを受け、2022年3月18日、対象者代表取締役は、公開買付者の代表執行役社長と協議を行い、その結果、対象者は、本公開買付価格を770円とする最終提案は、本公開買付けの実施についての公8 表日の前営業日である2022年3月18日の対象者株式の終値599円に対して28.55%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間(2022年2月21日から同年3月18日まで)の終値単純平均値592円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して30.07%、同日までの過去3ヶ月間(2021年12月20日から2022年3月18日まで)の終値単純平均値578円に対して33.22%、同日までの過去6ヶ月間(2021年9月21日から2022年3月18日まで)の終値単純平均値575円に対して33.91%のプレミアムがそれぞれ加算されており、経済産業省が公正なM&A指針を公表した2019年6月28日から2021年12月31日までの期間における、発行者以外の者による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(97件)において付与されたプレミアムの水準(平均値は、公表日直前が46.3%、直近1ヶ月間が49.4%、直近3ヶ月間が52.3%、直近6ヶ月間が52.8%)と比較するといずれの時点においても下回るものの、上記の他社事例(97件)のうち、公表日直前の終値に対するプレミアムが30%を下回る事例が28件、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが35%を下回る事例が30件、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが35%を下回る事例が30件、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが35%を下回る事例が30件、といずれの時点を参照した場合においても、本公開買付価格に付されているプレミアム水準と同水準以下の事例が相当数存在することを考慮すると、同種他社事例との比較において不相応な水準とまではいえず、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が取られており、少数株主(一般株主)の利益への配慮がなされていると認められ、その上で対象者と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われたこと、さらに、リーマンショック発生日(2008年9月16日)以降における対象者株式の市場株価の最高値である677円を上回る価格であって、少数株主(一般株主)の皆様が対象者株式を取得価格より高い価格で売却できる機会を得られることを踏まえると、対象者の少数株主(一般株主)の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、対象者の少数株主(一般株主)の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものと判断し、2022年3月18日に本公開買付価格を770円とすることについて同意する旨の回答を行ったとのことです(対象者が本公開買付価格を770円とすることに同意した理由の詳細は下記「③対象者の意思決定の内容」をご参照ください。)。 以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、対象者や対象者のアドバイザー等から報告を受け、確認及び意見の申述等を行ったとのことです。具体的には、対象者は、対象者が作成した2022年3月期から2026年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けたとのことです。また、対象者のファイナンシャル・アドバイザーは、公開買付者との交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、公開買付者から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行ったとのことです。加えて、本特別委員会は、その独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてフーリハン・ローキーを選任した上で、対象者株式の算定結果に関する2022年3月22日付株式価値算定書(以下「対象者算定書(フーリハン・ローキー)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり770円が対象者の株主(公開買付者及び前田建設工業を除きます。)にとって財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出を受けたとのことです。そして、対象者は、本日、本特別委員会から、対象者の取締役会における本公開買付けを含む本取引についての決定、つまり、本公開買付けに賛同の意見を表明し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、及び、本取引の一環として本公開買付け後に行う本株式売渡請求(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。)又は本株式併合等に係る決定は、対象者の少数株主(一般株主)にとって不利益なものではないと考える旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けたとのことです(本答申書の概要については、下記「2 買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「イ.算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「①対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。 ③ 対象者の意思決定の内容 以上の経緯のもとで、本日開催の対象者取締役会において、三浦法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から受けた財務的見地からの助言及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券から提出を受けた対象者の株式価値の算定結果に関する2022年3月18日付株式価値9 算定書(以下「対象者算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)」といいます。)並びに本特別委員会を通じて提出を受けた対象者算定書(フーリハン・ローキー)及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討を行ったとのことです。 その結果、対象者は、以下のとおり、本取引は対象者の企業価値の向上に資するものであると判断するに至ったとのことです。 対象者においても、国内土木・建築業界を巡る状況については、今後5年間(2025年度まで)は、政府が、2020年12月11日に策定した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」もあり外部環境は変わらず、対象者の業績も同様に5年後まではある程度の予測は可能であるものの、10年、20年後の動向は、少子高齢化の影響で日本の財政状態は今後厳しくなり、公共投資の先行きは減少傾向になり、新設から維持更新へとその質を変えていく建設市場の変化が生じる可能性、また、原材料の高騰が落ち着く見通しが不透明な状況、かつ少子高齢化による生産人口数の減少に伴う労働市場の変化に対応する担い手確保や生産性向上に対する技術革新が急務であり、さらに、近年の時代の潮流に沿った働き方改革による職場環境改善や対象者が2022年2月25日に制定したサステナビリティ基本方針に基づく経営(注1)の推進が必要であると認識しているところであるとのことです。 (注1)「サステナビリティ基本方針」とは、対象者の経営理念に基づき行動規範を遵守し、社会とより良い関係を保ちつつ、公正で信頼される事業活動を展開することにより、持続可能な社会の発展に貢献していくことを指すとのことです。 さらに、公開買付者グループへ対象者が参画することも含め両社において、上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「ア. 本公開買付けの背景及び目的等」に記載のとおり、2022年1月26日に公開買付者より本取引に関する初期的な提案を受けたことを契機として、同時期より公開買付者と対象者の実務者間で具体的なプロセスの協議を開始しました。特に、公開買付者による①2021年10月の公開買付者中期経営計画の発表、2021年11月の2022年3月期第2四半期決算、及び2022年2月の2022年3月期第3四半期決算の発表を受け、公開買付者及び公開買付者グループの経営方針やガバナンス体制の構築がより一層可視化されたこと、②2021年12月の着床式洋上風力発電事業(秋田県能代市・三種市及び男鹿市沖、秋田県由利本荘沖、千葉県銚子沖)の公募結果を受けて、下記「(a)再生可能エネルギー事業における経営資源の共有と競争力のある取組み体制の構築」に記載のとおり、国内の洋上風力発電事業を取り巻く事業環境が変化していることを踏まえ、公開買付者が対象者株式を100株(所有割合:0.00%)、公開買付者の完全子会社である前田建設工業が対象者株式を19,047,510株(所有割合:20.19%)所有し、対象者が前田建設工業の持分法適用関連会社であるこれまでの関係性では顧客情報・技術情報等の情報共有における制約や、両社間の協業が案件単位の連携に留まり経営レベルの協業関係の構築に至らないことから、2022年2月中旬、従前の資本・業務提携の枠組みを超えて公開買付者グループへ参画することで、公開買付者及び対象者の関係性がより強固なものになることは、対象者にとって以下のような各施策を実施するために必要であると考えるに至ったとのことです。 対象者は、「建設市場の変化」と「労働市場の変化」という2つの大きな課題を解決し、持続的な企業価値の向上

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