明治機械(6334) – 独立調査委員会からの調査報告書の受領のお知らせ

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開示日時:2022/02/03 20:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.03 715,347 17,950 17,836 36.1
2019.03 796,851 11,004 11,225 9.79
2020.03 898,881 10,480 10,851 -23.47
2021.03 1,294,998 -57,040 -56,763 -84.02

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
279.0 213.22 254.82

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.03 -194,219 -191,595
2019.03 3,878 13,890
2020.03 91,107 126,899
2021.03 131,851 162,820

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

2022 年2月3日 各 位 会 社 名 明治機械株式会社 代 表 者 名 代表取締役社長 日根 年治 (コード番号 6334 東証第二部) 問い合せ先 管理部長 高工 弘 (TEL.03-5295-3511) 独立調査委員会からの調査報告書の受領のお知らせ 当社は、2022 年 1 月 20 日付「独立調査委員会の設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社株主である日本コンベヤ株式会社(以下「提案株主」といいます。)により提案を受けました「会社法 316 条 2 項に定める当社の業務及び財産の状況を調査する者の選任の件」の招集理由を鑑み、同日付で当社と利害関係を有しない外部の専門家から構成される独立調査委員会を設置し、以下の事項について調査を委ねておりました。 1. 当社の 2021 年 3 月期における決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯 2. 当社の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期における決算の適正性 3. これらに関連して独立調査委員会が必要と認める一切の事項 本日、独立調査委員会より調査報告書を受領いたしましたので、添付のとおり公表いたします。 独立調査委員会による調査結果は、下記のとおりです。 【独立調査委員会による調査結果】 1 「明治機械の 2021 年 3 月期における明治機械決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯」について、問題となる点は見受けられなかった。 2 明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期決算書は、本調査対象に関して、問題となる点は見受けられなかった。 当社は、提案株主が指摘する 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期について、監査法人から無限定適正意見の監査報告書を受領しており、また、2022 年 1 月 20 日付「独立調査委員会の設置に関するお知らせ」にてお知らせしておりますとおり、当社監査等委員会より、第 146 回定時株主総会での中尾俊哉取締役(当時)の答弁内容である「工事進行基準」に関する問題は確認されず、適正な会計処理が行われたことを確認した旨、当社取締役会に報告されておりましたが、この度の独立調査委員会における調査においても、問題がないことが確認されましたことをご報告申し上げます。 以上 以 上 記 1 添付資料 明治機械株式会社 取締役会 御中 調査報告書 2022 年 2 月 3 日 独立調査委員会 公認会計士 小峰雄一 公認会計士 新妻正幸 弁護士 海宝三敬 第一 独立調査委員会設置の経緯 1 少数株主による臨時株主総会招集請求 明治機械株式会社(以下「明治機械」という。)は、2022 年 1 月 4 日、明治機械の総株式の 16.91%を保有する日本コンベヤ株式会社(以下「NC」という。)より、2021年 12 月 28 日付臨時株主総会招集請求書を受領した(以下「本件臨時株主総会招集請求書」という。)(明治機械の 2022 年 1 月 4 日付適時開示「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ」参照)。 本件臨時株主総会招集請求書には、臨時株主総会における 3 つの議案が提案されているところ、第3 号議案「会社法 316 条第 2 項に定める明治機械の業務及び財産の状況を調査する者の選任の件」における、調査の目的事項として、「(イ)調査の目的事項:明治機械の 2021 年 3 月期における明治機械決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯、明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期における明治機械決算の適正性、並びに、これらに関連して調査者が必要と認める一切の事項」と記載されている(本件臨時株主総会招集請求書 11 頁)。 2 明治機械による適時開示 明治機械は、2021 年 4 月 15 日に「工事損失引当金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損ならびに特別損失の計上に関するお知らせ」を適時開示し、さらに、2021 年 5 月 13 日に「(開示事項の経過)工事損失引当金及び特別損失(工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額、棚卸資産評価損)の計上に関するお知らせ」を適時開示した。 3 監査法人の無限定適正意見 明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期決算については、明治機械と監査契約を締結している監査法人元和により、無限定適正意見が表明されている。 4 監査等委員会による社内調査 (1)2021 年 6 月下旬に開催された明治機械の定時株主総会において、株主からの質問に対し、明治機械の中尾取締役(前代表取締役社長。以下「中尾前社長」という。)が、工事進行基準に関する不明瞭な回答をした(後掲「別紙 参考資料2」に記載する発言)。 (2)そこで、明治機械の監査等委員会において、明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期における工事損失引当金繰入額と工事進行基準について、調査すべきであるという提案がなされた。 (3)明治機械の監査等委員会(委員長:加藤晃章社外取締役、委員:石田稔夫社外取締役(NC 取締役)、委員:北脇俊之社外取締役)が、2021 年 12 月、東日本地域における大型プラント工事案件における工事進行基準に関する調査を実施した。 (4)その結果、明治機械の監査等委員会は、東日本地域におけるプラント工事案件について、2021 年12 月 15 日付「工事進行基準適用に関する調査結果報告書」(後掲「別紙 参考資料1」。以下「本件監査等委員会報告書」という。)を、明治機械の取締役会に提出した。 (5)本件監査等委員会報告書によれば、明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期決算において、東日本地域におけるプラント工事案件において、工事進行基準の適用について修正すべき点はないということであった。 5 独立調査委員会設置の目的 2 明治機械は、少数株主である NC からの本件臨時株主総会招集請求書第 3 号議案の提案を真摯に受け止め、会計処理の透明性の一層の確保を図るべく、明治機械と利害関係を有しない中立かつ公正な外部の専門家から構成される独立調査委員会(以下「本委員会」という。)を設置し、調査を委嘱することにした。 第二 調査対象 調査対象は、NC からの本件臨時株主総会招集請求書に記載されている(1)「明治機械の 2021 年 3月期における明治機械決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯」、(2)「明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3月期における明治機械決算の適正性」、(3)「これらに関連して本委員会が必要と認める一切の事項」である。 なお、上記 2 期における決算の適正性は、上記工事損失引当金繰入額等を計上した経緯の観点から問題となるものと考えられるため、当該観点から調査することとした。 付言するが、第 145 期(2019 年 4 月1日から 2020 年 3 月 31 日)及び第 146 期(2020 年 4 月1日から 2021 年 3 月 31 日)において、(1)明治機械は監査法人から無限定適正意見の監査報告書を受領しており、(2)いずれの会計年度の決算書も、それぞれ 2020 年 5 月 22 日及び 2021 年 5 月 21 日付で、同社監査等委員会(両日付の監査等委員会の委員長は石田稔夫社外取締役であった。)において承認されたものであり、(3)いずれの会計年度の決算書も、それぞれ 2020 年 5 月 22 日及び 2021 年 5 月21 日付で、同社取締役会において、同社取締役会の出席者全員一致で承認されており、(4)2020 年5 月 22 日付及び 2021 年 5 月 21 日付取締役会においては、いずれも、中尾前社長が議長を務めていたものであった。 第三 本委員会の体制 委員長 公認会計士 税理士 公認会計士 税理士 委 員 弁護士 委 員 第四 調査手続の概要 1 調査実施期間 小峰 雄一 (税理士法人綜合税務会計 代表社員) 新妻 正幸 (新妻公認会計士事務所 代表) 海宝 三敬 (海宝法律事務所 代表) 本委員会は 2022 年 1 月 20 日から同年 2 月 3 日までの間、調査及び調査結果に基づく検討を実施した。ただし、本委員会の調査は、主として 2022 年 1 月 31 日までに入手した情報に基づいている。 2 調査対象期間 第 145 期(2019 年 4 月 1 日~2020 年 3 月 31 日) 第 146 期(2020 年 4 月 1 日~2021 年 3 月 31 日) 3 実施した手続の概要 本委員会は、関係資料の精査・検証のほか、明治機械の役職員に対するヒアリング(取締役監査等委員も含む。)、明治機械の会計監査人であった監査法人元和の監査責任者及び担当者らからのヒアリングを実施した。ただし、中尾前社長についてヒアリングの依頼をしたが欠席との連絡を受けたので、当該ヒアリングは実施されていない。 第五 調査結果 1 「明治機械の 2021 年 3 月期における明治機械決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯」について、問題となる点は見受けられなかった。 2 明治機械の 2020 年 3 月期及び 2021 年 3 月期決算書は、本調査対象に関して、問題となる点は見受けられなかった。 3 第六 調査対象1・・・工事損失引当金繰入額 一 工事進行基準 1 工事進行基準とは、工事契約に関して、その工事の完成以前に工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積もり、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を計上する方法をいう(企業会計基準第 15 号「工事契約に関する会計基準」第 14 項~第 17 項)。 2 具体的には、工事進行基準の適用に際して、原価比例法を採用する場合には、工事収益及び工事原価は次の算式によって算定される。 3 工事進行基準を適用するためには、「工事収益総額」、「工事原価総額」及び「工事進捗度」の3要素について信頼性をもって見積もることができなければならない。 この3要素が信頼性をもって見積もることができる場合には、工事進行基準を適用する必要があり、逆に3要素が信頼性をもって見積もることができない場合には、工事完成基準を適用する必要がある。 4 明治機械は、明治機械が受注するプラント工事に適用する会計基準ルールを社内で独自に「工事進行基準の適用ルール」として定めており、その 1-(2)で「請負金額が 3 千万円以上かつ実施工期が 3 か月以上の工事」については「工事進行基準」を適用し、それ以外の工事については「工事完成基準」を適用するものとしている。工期がごく短いものは、通常、金額的な重要性が乏しいこと等が多いと考えられ、そのような工事については工事完成基準によって処理することが企業会計基準第 15 号「工事契約に関する会計基準」第 53 項によって認められており、明治機械の上記ルールもこれに従ったものである。 5 さて、工事の受注時または工事の進捗に伴い、工事損失が見込まれる場合がある。当初から赤字となる受注をすることはないが、工事契約締結後の工事発注者に起因する設計変更や、工事の進捗遅延による経費の増加、想定外の資材価格の高騰など、受注後のさまざまな要因により当該契約の履行により損失が発生すると見込まれるケースがあり得る。 この場合、損失の発生は「工事契約の締結」に起因して発生する可能性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合には、引当金の要件を満たすことになるため、都度、工事損失引当金の計上の要否を検討する必要がある。 すなわち、「工事原価総額」が「工事収益総額」を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、その超過すると見込まれる額(以下「工事損失」という。)のうち、既に計上された損益の額を控除した残額を、工事損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しなければならない。当該処理は工事進行基準であるか工事完成基準であるかにかかわらず適用する必要がある(企業会計基準第 15 号「工事契約に関する会計基準」第 19 項~第 20 項)。 6 上記のとおり、工事進行基準の会計処理を行うには、各期末での工事収益総額と工事原価総額の見積りと発生した工事原価の測定が必要になる。 この点、工事収益総額は見積りではあるが主に顧客との交渉によって定まり、工事原価は実際に発生した費用の集計であることから、実際には、社内で行う工事原価総額の見積りによる虚偽表示のリスクが高い。このため、社内の経理処理上も慎重かつ適切な対応が求められるものであり、一方監査法人によ 4 工事収益(工事売上高)〇工事原価= 工事収益総額 × 工事進捗度 - 前月(前期)末までに計上した工事収益(工事売上高)合計= 当月(当期)に発生した工事原価〇【工事進捗度】〇工事進捗度 =月末(期末)日までに発生した工事原価月末(期末)日時点の見積工事原価総額〇当期までに計上済の累計損益工事損失引当金計上額 = 見積工事原価総額 - 見積工事収益総額 - る監査手続上も厳格性が求められるところである。 具体的には、工事原価総額が過小見積りとなった場合、会計上は以下の虚偽表示が発生する。 (1)工事収益(売上高)の過大計上 各期末での見積工事原価総額が過小見積りとなった場合、工事進捗度(4 ページ参照)が過大と赤字工事において、各期末での見積工事原価総額が過小見積りとなった場合、工事損失引当なるため、工事収益が過大計上されることになる。 (2)工事損失引当金の過小計上 金が過小計上されることになる。 二 大型プラント工事案件(東日本地域) 1 大型プラント工事案件(東日本地域)の特殊性 本案件は、明治機械が 2019 年 7 月 30 日に、A 企業から、飼料プラント(東日本地域)の製造を、工期 2019 年 12 月1日~2022 年 7 月 31 日、契約金総額 73 億円(最終的には 81 億円になった。)という内容で受注した案件であった。 明治機械のプラント工事案件は、概ね 1 年間で 10 億円以上の案件は1件~2件程度であり、10 億円以上の案件の粗利益率は 5%前後である。本件大型プラント工事案件(東日本地域)は、他の工事案件に比べて金額及び期間いずれも突出した極めて特殊な案件である。 2 発生事実 本案件の契約金総額の大部分を占める工事契約(注)を対象に、2020 年 12 月末時点の見積工事原価総額に対する実際の工事原価の発生割合(工事原価予算の消化率)を算定したところ 38.9%であったが、同時点の発注残高(既に発注は行われているものの、工事現場への納入等が未了のため、上記の工事原価の発生割合の算出に含まれていない費用)を集計したところ約 21 億円となり、これを含めた場合の工事原価予算の消化率は 73.1%に達していることが判明した。 上記のとおり、本案件の工期は 2019 年 12 月 1 日~2022 年 7 月 31 日であり、上記判明した事実と、残り約 1 年半の工期中に発生するであろうと予測される工事原価を合わせて考慮すると、最終的な工事原価総額が従来予想していた工事原価総額だけでなく契約金総額をも上回る可能性があることがわかった。 (注)本案件は複数の工事契約で構成されており、上記の工事原価予算の消化率に関する調査はそのうち本案件の契約金総額の大部分を占める工事契約を対象に行っている。 3 内部監査室による調査 そのため、第 146 期第 4 四半期に入り、2021 年1月 25 日~同年 4 月、内部監査室が現場事務所に立ち入り、工事責任者と担当者に今後の発注予定の内容と金額についてヒアリングを実施した。 そのヒアリングを基に工事収益と工事原価及び見積工事原価総額を月別に算出し精査した結果、本案件の見積工事原価総額は 8,912 百万円となり、見積工事収益総額 8,165 百万円を 747 百万円上回ることが判明した。なお、この間 2 か月程度の時間を要していたのは、コロナ禍であり、移動等が制限されていた中で、見積原価総額の妥当性を詳細に検討していたことによる。 4 適時開示 明治機械は、2021 年 4 月 15 日付「工事損失引当金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損ならびに特別損失の計上に関するお知らせ」を適時開示した。 明治機械は、2021 年 4 月 27 日に、監査法人から工事損失の見積額について、見直しが適切に行われ、実行予算に基づいて合理的に見積もられていることの確認を取り、見積工事原価総額が漸く確定した。(※参考までに第 147 期(2022 年 3 月期)第 2 四半期における見積工事原価総額は 8,905 百万円であり、第 146 期末(2021 年 3 月期)の見積工事原価総額 8,912 百万円に比べて 7 百万円低減したとの説明を受けている。) 5 内部監査室の調査時期が第 4 四半期になった理由 調査時期が第 4 四半期になった理由として、中尾前社長が 2020 年 4 月に、非常に短期間で、しかもコロナ禍で社内における操作教育が十分に行き届いていない環境下にもかかわらず、建設業向けの(新)原価管理システム(「どっと原価 NEO」)を導入し、社内での運用を開始したことに加え、(旧)産業機械事業部の独立採算制を目標に、(新)産業機械事業部とプラント事業部に分けた事業部別損益計算を明らかな準備不足なまま開始したことによって、部門損益の実績値の算出に精一杯で各案件の詳 5 細な分析まで手が回らず、現場の原価管理の運用に混乱を来し、そのため毎月行われている案件別の工事収益や工事原価の確定に時間を要してしまい、原価分析や見積工事原価総額の見直しのための十分な時間を確保できなかったことが挙げられる。 6 第 146 期(2021 年 3 月期)の第 4 四半期で損失を計上した経緯 明治機械の第 146 期の第 4 四半期に、外部経済環境の変化に伴う鉄鋼価格など建設資材の大幅な高騰があったので、本案件について再積算したところ、当初の見積りに対して工事原価の増加が見込まれたため、損失見込額として 316 百万円を工事損失引当金繰入額として売上原価に計上した。 これは、本案件が、まず基本設計に基づき請負契約を締結し、その後、顧客との協議で詳細設計及び製作設計を詰めながら仕様が確定していくという手順を追う中で、契約時には、その時点で知り得る限りの情報を基に見積工事原価総額を算出するほかなく、上記の仕様確定の段階で実際の原価が確定し、上記外部経済環境の変化及び仕様変更に伴う発注資材の増加等の影響を受けて、その時点で見積工事原価総額が大幅に上回ることが判明したものである。よって、受注当初から損失の発生が見込まれていたものではない。 明治機械の社内において毎月行われている営業課及び設計課からの報告において、2020 年 9 月に、本案件の現場からはじめて、本案件についての予算超過の可能性に関する報告があった。この報告は、上記5に記載のように、工事原価管理の混乱中に、「どっと原価NEO」の集計の正確性を検証するうえで、現場の肌感覚で報告されたものであり、社内システムに適正に集計された数値データに基づいているものではない。 そこで、責任者の指示のもと、本案件についての予算超過を回避すべく、同現場において今後新設予定の事務所棟の業者の見直し、仕様の見直しなどの原価圧縮に向けた対応が、2020 年 10 月から 12月にかけて継続的に行われていた。 しかし、上記のとおり 2021 年 1 月~4 月までの調査で、最終的な工事原価総額が従来予想していた工事原価総額だけでなく契約金総額をも上回る可能性があることがわかったので、2021 年 3 月期第 4四半期において損失を計上した。 7 第 146 期第 4 四半期に内部監査室の調査により見積工事原価総額を見直した結果、工事損失引当金は下記のとおり算出された。 (単位:百万円) ① 見 積 工 事 収益総額 ② 修正後見積工事原価総額 ③ 修 正 後 工 事利益 (① -②) ④第 146 期 3 月期末修正後工事利益累計額 ⑤第 146 期 3 月期末工事損失引当金計上額 8,165 8,912 △747 △430 △316 (③-④) 8 原価の高騰時期と見積工事原価総額の見直しの相関性について 第 146 期の第 4 四半期(2021 年1月~3 月)以降の工期にかけて、東京オリンピック(2021 年 8 月開催)や全国的な災害復興対応による労働者不足による人件費の大幅な上昇、世界的な材料不足による鋼材価格の上昇により、受注当初予定していた価格を大幅に超える見積書が協力業者より相次いで提出された。 主要鋼材価格の変化を表した以下のグラフのとおり、鋼材価格上昇の兆候は 2021 年 1 月以降に顕著であり、原価の高騰時期と見積工事原価総額の見直し時期には相当の相関性が認められ、見直しの時期としては 2021 年 1 月以降の外部環境から鑑みても妥当と判断される。 6 (出典:https://image.itmedia.co.jp/l/im/mn/articles/2112/20/l_tiketani1630690_metaldaily2112_fig01_w490.jpg ) 9 見積原価の妥当性 明治機械の積算担当者及び責任者にヒアリングを実施したところ、2019 年 2 月にマスター工程表が承認され、それから設計担当者が図面を作成、その図面をもとに各積算担当者(購入品担当、製作品担当、建築担当、電気工事担当、設計担当、工事担当等)が積算して、その積算データを集約した。 当時、図面は完成していたが、顧客の方針(B 棟隣接案、純更地案、平行稼働案など)が二転三転する中で、各積算担当者が当時の知り得る限りの情報を活用して積算を実施していた。 2020 年 2 月 5 日に積算データをもとに見積書素案を作成し、ワークフローと呼ばれる決裁システム上で稟議をかけ、中尾前社長が 2020 年 3 月 31 日に若干の指示事項を留保して仮承認をした後、最終的に 2020 年 4 月 15 日に正式に決裁しており、当該稟議に添付されている予算資料上は、将来の工事損失の発生は予測されていなかった。また、2019 年 7 月 30 日の取締役会議事録には、本案件の受注が全員一致で承認されていること、本案件の想定粗利率は 4.29%であることが記載されている。上記の事実に鑑みて、見積工事原価の算出にあたっては相当の注意を払い検討したことが確認され、恣意性は認められない。 10 計上時期の妥当性 第 145 期(2020 年 3 月期)の第 4 四半期段階では、本案件が請負金額総額 73 億円のうちの約1億円のみ計上する程度の工事進捗率であり、この時点で工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性を合理的に見積もれる段階ではなかったと思料する。 また、鋼材価格も、前記グラフの価格推移をみても、2020 年 3 月末段階では上昇する兆候は見られていない。 したがって、内部監査室が 2021 年 1 月 25 日~4 月に渡って調査を実施した結果、その損失の金額が合理的に見積もれたと考えられる 2021 年第 4 四半期を工事損失引当金繰入額の計上時期としたことに問題はないと考えられる。 第七 調査対象2・・・工事遅延損害金 1 大型プラント工事案件(西日本地域) 本案件は、明治機械が 2018 年 8 月 16 日に、B企業から、飼料プラントの製造(西日本地域)を、工期 2019 年 2 月 15 日~2020 年 3 月 31 日、契約金総額 36 億円という内容で受注した案件である。 2 発生事実 物件の納期は 2020 年 3 月 31 日として合意されていたものの、設計変更や天候不順等の事情から、実際には同年 11 月末に引き渡され、引渡しが 8 か月間遅延した。 7 請負契約書には、「本契約に定められた期限内に本契約を履行できなかったときは、相手方当事者の請求により年率 6 パーセントに相当する額を支払わなければならない。」と記載されている。 過去において、明治機械側の原因により物件の納期が遅延しても遅延損害金を請求されたことはなく、同様に本案件においても遅延損害金を請求される可能性は低いと判断していた。しかしながら、本物件は B 企業から更に商社等他の企業へ引き渡されることが予定されており、その引渡しも同様に遅延してしまったことから、B 企業及び他の企業との遅延損害金の支払交渉が難航し、B 企業が飼料プラントの検収時に明治機械に対して最終支払代金を支払わない状態が続いていた。 担当者レベルで継続的に交渉は行っていたものの進展が見られなかったため、2021 年 4 月 21 日に、B 企業の代表取締役、工場長代理及び課長、並びに明治機械の日根常務取締役(当時)、プラント事業部長、及びプラント事業副部長が協議した結果、明治機械が 126 百万円(36 億円×6%×7 か月/12 か月)の遅延損害金を、B 企業に対して支払うことで合意し、明治機械の中尾前社長の承認を得て確定したものである。 3 計上時期の妥当性 8 か月間の納期遅延があったものの、実際には 2020 年 11 月末に飼料プラント工事は完成して引き渡していたこと、そして設計変更や天候不順等が納期遅延要因であったことから、明治機械としてはB企業から請求されるまで遅延損害金の支払いは必要ないと考えており、また、契約条項に定められている遅延損害金の請求も上記合意に至るまでB企業からなされたことはなかった。 しかしながら、上記のとおり 2021 年 4 月 21 日に交渉した結果、遅延損害金の支払いが確定したため、後発事象として 2021 年 3 月期に計上したものであり、計上時期としては問題ないと考えられる。 第八 調査対象3・・・貸倒引当金繰入額 一 太陽光発電設備案件 A(東日本地域) 1 本案件は、明治機械が 2019 年 9 月に P 企業から太陽光発電設備 2 基を購入するというものであり、明治機械がその購入資金(前渡金)としてP企業に対し 152 百万円を支払っている。本案件を推進した取締役は、中尾前社長(環境事業本部(太陽光事業含む)管掌)であった。 太陽光発電設備の開発に当たって共通する課題は資金調達であり、金融機関は企業の信用力又は担保力がなければ当然融資に消極的である。明治機械は企業の信用力又は担保力がなく金融機関が融資しない先について、設備の建設及び売却先が確実であることを前提に太陽光発電設備を積極的に取得すべく、購入先に前渡金を支払って、太陽光事業を進めようとしていた。 2 発生事実 明治機械は、2019 年 9 月に P 企業から太陽光発電設備を仕入れ、それを 2019 年 10 月に R 企業に転売する予定をしていたが、P 企業が太陽光発電設備の建設に着手せず、販売先へ販売できない状況が続いていた。 その後、P 企業から、明治機械に対し、両社の間で 2019 年 9 月 5 日に締結した太陽光発電設備の売買契約を合意解除して、請負契約として再契約してほしい旨の要求があり、2020 年7月 28 日に、両社で協議し、その席上で当初の売買契約の解除及び前渡金 152 百万円の返還について合意がなされた。 上記協議の席上での合意は、書面で交わされていなかったため、明治機械は、P 企業に対し前記合意を書面で締結することを申し入れたが、P 企業は、関係各所との調整に時間を要しているとの理由で、合意の書面化に応じることはなく、また、前渡金も返還されることはなかった。 そのため、明治機械は、顧問弁護士を通じて、前渡金の返還を求めて、2021 年1月 22 日付「通知書」を発送し、同月 25 日に当該通知書が P 企業に到達した。 2021 年 2 月 9 日、P 企業から明治機械に対し、前記合意の書面での締結及び前渡金の返還に応じない旨の回答書が、明治機械の顧問弁護士宛てに送られてきた。 その後、P 企業が前渡金の返還について応じなかったため、明治機械は 2021 年 4 月 20 日付で、東京地方裁判所へ P 企業を被告として損害賠償請求訴訟を提起した。 3 特別損失の計上 以上の状況を踏まえ、2021 年 3 月期決算において、明治機械としては、P企業のこれまでの対応に鑑みて債権回収可能性が低いと判断し、前渡金相当額 152 百万円全額を、貸倒引当金繰入額として 8 特別損失に計上した。 二 太陽光発電設備案件 B(東日本地域) 1 本案件は、明治機械が 2018 年 11 月に Q 企業から太陽光発電設備を購入するというものであり、明治機械は Q 企業に対し、その購入資金(前渡金)として 187 百万円を支払っている。本案件を推進した取締役は、中尾前社長(当時は太陽光事業部長兼総務部長)であった。 2 発生事実 明治機械は、2018 年 11 月に Q 企業から太陽光発電設備を仕入れ、それを 2019 年 5 月に転売する予定であった。 2019 年 4 月に、Q 企業は太陽光発電設備工事を完了する予定であったが、当初の計画において可能であると考えられていた支障木の伐採が不可能であることが判明し、想定される発電量が見込めなくなったことから、明治機械は、Q 企業との契約条項である「契約違反又は合意による解除」の規定に基づき、案件の解約に係る「合意書」を 2019 年 11 月 1 日付にて締結した。 上記合意に基づき、Q 企業から明治機械に対して 2020 年 3 月 31 日に前渡金が返金される予定であったが、実際には返金されることはなかった。しかし、その時に、Q 企業から合意解除した物件の販売先が決まったとの連絡があり、また、その売買契約書も確認できたため、しばらくの間、Q 企業の販売動向を注視していた。 しかし、2020 年秋頃、明治機械は、Q 企業から上記売買契約の話がなくなったとの通知を受け、また、その後、2021 年 3 月 2 日に、Q 企業から前渡金のごく一部である 150 万円が返金されたのみであったことから、残額である 186 百万円については回収可能性が極めて低いと判断するに至った。明治機械は、Q 企業と、早期返金に向けて引き続き協議中であるものの、Q 企業が前渡金を他の太陽光発電設備の権利取得に流用していたため、早期返金の目途が立たない状況であった。 3 特別損失の計上 以上の状況を踏まえ、2021 年 3 月期決算において、前渡金残額の全額回収には相当期間要する可能性が高いと判断し、明治機械が Q 企業に支払留保していた 19 百万円を控除した残額 167 百万円を貸倒引当金繰入額として特別損失に計上した。 三 計上時期の妥当性 いずれの案件も、2021 年 3 月期において貸倒懸念が発生したものであり、両案件を合計した 319 百万円(152 百万円+167 百万円)の計上時期として、問題ないと考えられる。 第九 調査対象4・・・棚卸資産評価損 一 太陽光発電設備案件 C(西日本地域) 本案件は、明治機械が 2018 年 5 月に NC からの紹介もあり、現NCの社長梶原浩規氏(当時は明治機械の太陽光発電事業部東京グループ部長)が関係し、中尾前社長(当時太陽光事業部長兼総務部長)が推進した案件で、明治機械がX企業に対して、土地代、権利代及び設備代として前渡金 315 百万円を支払っている。 二 発生事実 本案件は、当初の契約では 2018 年 12 月 31 日にX企業が太陽光発電設備を完成させ、明治機械が当該設備をW企業に引き渡すこととされていたが、W企業との間の契約で定められている販売代金の支払期日において造成工事等が遅延していたことや発電設備が未完成であったことから、W 企業から支払猶予の申し出を受けた。そこで、明治機械は、2019 年 1 月 15 日に支払期日を変更する旨を承諾した。その後も、造成工事の進捗状況等について断続的に確認するとともに、明治機械担当者が現地実査を行い、順調に工事が進捗していることを確認していたが、販売先であるW企業が 2020 年 9 月 11日付で東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。 三 棚卸資産評価損の計上 上記のように、W企業が破産手続開始決定を受け、W企業への売却が頓挫し、新たな転売先を見つけるまでに相当期間を要する可能性が懸念されたため、当該発電設備から得られると想定される売電収入等の割引現在価値等から算出した時価をもって棚卸資産を計上するとともに、前渡金との差額である178 百万円を 2021 年 3 月期決算において棚卸資産評価損として特別損失に計上した。 四 計上時期の妥当性 9 上記のように、当初転売を予定していたW企業が破産手続開始決定を受けた時期等の事情に鑑みれば、2021 年 3 月期において棚卸資産評価損を計上した会社の判断及び会計処理には特段の問題はないと考えられる。 以 上 10 一 参考資料1・・・明治機械の監査等委員会作成に係る「工事進行基準適用に関する調査結果報告書」(2021 年 12 月 15 日) 別 紙 取締役 各位 2021 年 12 月 15 日 監査等委員会 委員長 加藤晃章 工事進行基準適用に関する調査結果報告書 第 146 回定時株主総会における株主からの質問、すなわち「第 3 四半期の業績と本決算の業績との比較(第 4 四半期の業績下落要因)」に関し、中尾俊哉取締役(当時)からの「工事進行基準を適用すべきでない工事案件があり、前期(注:第 145 期)の有価証券報告書の修正が必要であると考えている。」旨の発言があった。 当監査等委員会においては、2021 年 5 月 11 日に監査法人元和から、第 146 期決算に係る監査結果についての説明を受けており、その実施した手続き及びその結果については同意しているが、株主総会における当該やり取りに関して、改めて調査を行ったので、本報告書としてとりまとめるものである。 1. 調査の方法 問題となった A 案件に関する資料(概ね監査法人の監査時に提出されたもの)に基づき、当社の工事進行基準の適用状況並びにその結果に関して、2021 年 12 月 9 日(木)に明治機械㈱東京事業所の大会議室にて、下記「2.対応者」から説明を受けるとともに、適宜、質問を実施した。 2. 対応者 取締役 小林敏敬(監査室担当) 監査室 I 氏 3. 監査等委員会出席者 1)加藤晃章 2)石田稔夫(NC 取締役) 3)北脇俊之 4. 調査の概要 A 案件工事番号 5-00 の第 3 四半期工事進行基準進行率は、約 39%と違和感はなかったものの、原価未計上ながらも発注残高を確認してみると想定以上に発注が進んでいる感触があった。このため、第 4 四半期に入り、発注状況を監査室で後記のとおり確認。 2021年 1 月時点で発注残:約 2,100 百万円、予算消化率:約 73%、発注可能額:約 1,650 百万円。 全体工程に対して予算消化率が高水準だったため、今後の発注予定額の調査を実施するに至った。 2021 年 1 月下旬に、監査室の I 氏が A 現場事務所にて、工事責任者と担当者に、今後の発注予定の内容と金額のヒアリングを実施し、月別の売上高・売上原価及び見積総原価を算出。その結果、第 3 四半期で見積っていた見積総原価を大幅に上回ることが判明した。 その後も調査とヒアリングを重ね、2021 年 4 月 15 日に本件に係る工事損失引当金の計11 上に関しての開示を行うとともに、2021 年 4 月 27 日に至って、その時点における見積総原価を漸く確定した。 調査時期が第 4 四半期になった理由として、第 146 期期初から新基幹システムの運用を開始したことにより、現業部門が非常に混乱したことが挙げられる。中尾俊哉社長(当時)より、導入から非常に短い期間で運用開始するよう業務命令があり、無理なスケジュールで運用開始した結果、毎月の売上高や売上原価確定に時間を要し、未確定要素を含む総原価を高い確度で見積もることが困難になった。 なお、この総原価見積については、前基幹システムでは、毎月総原価を見積る仕組みができており、いつでも確認できていたが、工事案件については新システム、産業機械(製品)については従来のシステムと 2 つの基幹システムが稼働する中、システム間の自動連携が取れず、時間を要する手作業が発生していた状況にあった。 第 147 期では第 146 期の反省を踏まえて、工事進行基準案件における運用ルールを再構築し、運用するとともに、工事進行基準を適用する案件について、案件ごとに管理担当者を明確にして、毎月、大きな変更点等があった場合について、会議体を設けて共有、またデータの修正を行う等の対応を取っている。 なお、第 145 期に係る A の売上総利益は、工事番号 4-00A の約 7 百万円(当該売上高:約 125 百万円)に留まり、決算に与えた影響は軽微であるものと考える。 5. 調査の結果 本件調査の結果、首記の経緯により前期(第 146 期)決算中、重要な工事進行基準案件である A 案件について本調査を行ったものであるが、上記対応者からの説明において、監査法人元和が実施した監査手続き並びにその結果についての特段の不審な点はなく、本調査をもって、前々期及び前期に監査法人に提出された資料等が適正なものであったと認めるものである。 一方で、前期の社内業務管理のチェック体制が、必ずしも盤石ではなかったと考えられることから、監査等委員会からは、上記の運用が適正に実施されるためにも、チェック機能が働く体制を維持し、イレギュラー事象が発生した場合は、適宜取締役会に報告するよう、申し入れをした。 以 上 (注)案件名のみ具体名から A 案件と変更している。 二 参考資料2・・・第 146 期定時株主総会(2021 年 6 月 24 日開催)における質疑応答 1 株主(NC 村田取締役)の質問 えーとあの、議長の日根社長にご質問させていただきたいのですが、招集通知 4 ページに親会社株主に帰属する当期純損失が 8 億 5 千 6 百万円と記載されております。旧越谷工場の譲渡に係る固定資産売却益 2 億 3 千 1 百万円と書いてございますので、そのまま考慮いたしますと、およそ 11 億 8 千 7 百万円の損失が 2021 年 3 月期に計上されたことになると思います。しかもこれは、第 4 四半期に突然出てきたような話でございます。一年間に 12 億円の損失が発生したということでよろしいのでしょうか?ちょっと奇異な感じがいたします。今日も取締役の方全員、この急な損失に気づかなかったのか、先程来、他の株主様から出ていますけれど、私どもとして、明治機械はエンジニアリング会社なので、長期にわたるプラント工事が多いだろうと思います。そんな中で工事進行基準でですね、売上原価等を計上する会計処理になっていると思っております。ですんで、この損失は数年前からちょっとずつ出てましてですね、2021 年 3 月期にまとめてこの損失を処理したという理解でよろしかったでしょうか。 理由というか、突然出てきたという、普通は先程来あるということはないので、2 年 3 年という長期のプラント工事につきまして、おそらく工事進行基準でやってらっしゃると思うのです。ですから、その見積もった損失というものをですね、一気に処理したということ、先に処 12 理したという考え方でよろしいのでしょうか。 あの一気に 12 億もの損失がでるという交渉というのは、ちょっと信じられないのですが、あの日根社長はちょっとご就任されたばかりなので、当該期は中尾社長(ママ)が、当時ですね前社長がこちらのほう全般的にやってらっしゃったとお聞きしますので、是非この件について中尾社長(ママ)に、前社長に事実を確認させていただきたいのですが。 2 中尾取締役(前代表取締役)の回答 ●番日本コンベヤ様、●番××様(個人株主につき、記載省略) ご指摘の件につきまして、私よりご報告させていただきます。 株主様からご指摘の通り、今回の件につきましては、発覚した時点で昨年度に及ぶ有価証券報告書の提出が必要な事案であるいうふうに認識しております。 それは先程来、日根社長、小林取締役から出ておりましたように、工事進行基準における未確認の原価、これについて十分に把握できていない中で、進行基準の計算をしている。 その結果、今期第4四半期において、大幅な損失を計上することになっていると思います。 よって本来であるならば、昨年の有価証券報告書において、不十分な原価、未確認の原価があるうえの記載というものは、お示しする必要があったと私は考えておりますし、訂正する必要があるというふうに認識しております。以上報告いたしました。 よろしいでしょうか。 3 株主の発言 ありがとうございます。納得いたしました。 もしそうであるとすれば、この招集通知自体が訂正の必要があるのではないでしょうか? それであれば…、 (他の株主から、「不規則発言、止めたらどうですか?」) (挙手して)じゃ、お願いします。 今、中尾前社長のほうから前年以前の有価証券報告書の訂正が必要な事案であるというお話がありました。もちろんこのように株主総会の場で、しっかりご発言をいただいたということで、これは粉飾ではないと思いますが、当然過去の有価証券報告書を訂正が必要であると思います。 それであれば、この招集通知自体が間違っているということになりますので、えーと、議決は無効になると私は考えているのですが、議長、その辺はどうお考えでしょうか? 三 参考資料3・・・本件臨時株主総会招集請求書(10~16 頁)に記載されている第3号議案 (3)会社法 316 条2項に定める明治機械の業務及び財産の状況を調査する者の選任の件 ア 議案の要領 (ア) 業務及び財産の状況を調査する者 調査の目的事項に記載の事項を調査させるため、会社法 316 条2項に定める株式会社の業務及び財産の状況を調査する者(以下「調査者」という。)を選任する。本議案の成立により調査者の選任は効力を生じ、当社との間で別途契約を締結することを要しない。なお、調査者候補者は追って指定する。 (イ) 調査の目的事項 当社の 2021 年3月期における当社決算において 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した経緯、当社の 2020 年3月期及び 2021 年3月期における当社決算の適正性、並びに、これらに関連して調査者が必要と認める一切の事項 (ウ) 調査及び報告の方法 1調査者は当社からも請求人からも独立して調査を行う。 2調査期間は、本件臨時株主総会により調査者が選任された日から起算して1か月とする。 13 3調査者は、調査期間末日までに、必要な調査を行ったうえで当該調査の結果を記載した書面(以下「調査報告書」という。)を明治機械に交付するとともに、その内容を公表する。 4調査者は当社の役職員に対して、調査のため必要と考える書類等の開示、交付等を求め、また調査のため必要と考える事項について報告を求めることができ、当社の役職員はこれを拒否できない。 5調査者は、当社の役職員その他の者が調査に協力せず、又は調査を拒否若しくは妨害した場合、又は当社の役職員その他の者から調査者若しくは補助者が直接的又は間接的に圧力等を受けた場合、これを調査報告書に記載する。 6調査者は、当社等と協議の上、調査対象とする事実の範囲(以下「調査スコープ」という。)を決定する。調査スコープは、調査者選任の目的を達成するために必要十分なものとする。また、調査者は、その判断により、必要に応じて、調査スコープを拡大、変更等を行うことができ、この場合には、調査報告書でその経緯を説明する。 7調査者は、当社の企業価値に著しい悪影響を与えることのないよう、当社のコストやリソース配分にも配慮して、調査スコープを設定する。 (エ)報酬 1 当社は、調査者に対して、社会通念上合理的な範囲で、調査に要した費用(調査者及び補助者の日当を含む)を支給する。調査者及び補助者がその通常の業務に当たってタイムチャージに基づき報酬を請求する場合には、当該タイムチャージに基づいて算定される報酬は社会通念上合理的なものとみなす。 2 調査者の請求に対して、当社が調査に要した費用の全部又は一部の支給を拒否する場合、請求人が、調査者に対して、当該支給を受けられなかった費用を補償する。 (オ)その他の事項 調査者は、各自、適当と認める者を補助者に選任し、調査者の業務の一部を委任することができる。ただし、当社の役職員を補助者とすることはできない。 イ 招集の理由 当社は、2021 年3月期に 941 百万円の工事損失引当金繰入額、工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損を計上した(2021 年5月 13 日付け当社プレスリリース「(開示事項の経過)工事損失引当金繰入額及び特別損失(工事遅延損害金、貸倒引当金繰入額、棚卸資産評価損)の計上に関するお知らせ」において公表された)。この点について、請求人は、2021 年6月 24 日開催の当社の定時株主総会において、「2021 年3月期におけるこれらの計上項目は、長期プラント工事の売上原価等がまとめて会計処理されたことに起因するか」という旨の質問をした。 これに対し、当社代表取締役社長日根年治氏(以下「日根社長」という。)は、プラント工事は複数年にわたるが、その間に様々な業者と交渉した結果、資材の価格が決定された時期が 2021 年3月期に重なったこと、当該資材の価格は上昇したこと、それに伴う仕様の見直しが困難であったこと、2021 年3月期の決算に誤りはないことを答弁した。 他方、同社取締役前社長中尾俊哉氏(以下「中尾前社長」という。なお、中尾前社長は、当該定時株主総会の前日である 2021 年6月 23 日開催の当社臨時取締役会において当社代表取締役社長を解職されていた)は、工事進行基準を適用するに当たって未確認の原価がある中で計算を行った結果、2021 年3月期の第4四半期において大幅な損失を計上するに至ったこと、本事象は昨年(2020 年)に発覚したものであり、昨年(2020 年3月期)の有価証券報告書の訂正が必要という認識であることを答弁したため、日根社長と中尾前社長の答弁の間には著しい齟齬と矛盾があった。 これらの答弁によれば、当社では、未確認の原価がある中で工事進行基準による原価計算を行ったか、あるいは、意図的に原価計上を遅らせたため、本来ならば過年度の有価証券報告書において反映させるべきであった売上原価が過去の決算に反映されておらず、その結果、2021 年3月期に大幅な損失を計上するに至った可能性がある。言い換えると、2020 年3月期以前の有価証券報告書に虚偽記載があった可能性がある。このように、当社の 2021 年3月期及び過年度の計算書類が、当社の決算を適正に反映しているか否かについては、不透明な状況が生じており、これに関して実態が明らかにされていない。 なお、当社では、このような過年度における決算の誤りの可能性があるにもかかわらず、2020 年6月開催の定時株主総会の決議に基づき、1株につき4円に創業 120 周年記念配当1円を加えた5円を配当 14 していた。 請求人は、当社に対する 2021 年 10 月 26 日付け質問状において、この点の経緯について同年 11月2日までの回答を求めたが、当社からは現時点に至るまで回答を留保されている。 当社における適正な決算を確保するためには、当社経営陣から独立した調査者による調査を行うことにより、このような不透明な状況の実態を明らかにする必要がある。そして、これらの調査は、計算書類及びその附属明細書並びに連結計算書類について、当社の状況を正しく反映し、もって適切な経営を図るものであるから、直ちに調査を実施すべきものである。 請求人は、調査者候補者として、十分な専門性や経験を有し、当社経営陣のみならず請求人からも独立した者を追って指定するが、そのような調査者により、公正かつ客観的な実態解明に取り組むことを企図している。 以上 15

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