メタリアル(6182) – 改善報告書

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開示日時:2022/01/31 15:30:00

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.02 200,698 -1,275 -1,112 -121.71
2019.02 290,804 33,805 33,996 24.25
2020.02 391,048 44,886 44,788 29.05
2021.02 407,588 30,042 32,112 13.02

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
1,226.0 1,288.04 1,596.77 49.96

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.02 -28,541 8,196
2019.02 8,731 82,500
2020.02 -28,050 96,358
2021.02 28,127 135,174

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

改 善 報 告 書 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 山道 裕己殿 2022 年 1 月 31 日 株式会社メタリアル 代表取締役社長 五石 順一 このたびの過年度決算短信及び四半期決算短信、並びに有価証券報告書及び四半期報告書の訂正の件について、有価証券上場規程第 502 条第 3 項の規定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。 1 目次 1.経緯 ………………………………………………………………………………………………………………….. 3 (1) 過年度決算訂正の内容 …………………………………………………………………………………….. 3 ① 訂正した過年度決算短信等 …………………………………………………………………………… 3 ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額 ………………………………………………. 3 (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 ……………………………………………………….. 7 ① 売上過大計上 ………………………………………………………………………………………………. 8 ② ソフトウェア資産から研究開発費用への振替 …………………………………………………. 8 ③ ソフトウェア減損計上 ………………………………………………………………………………….. 9 2.改善措置 ………………………………………………………………………………………………………….. 10 (1) 不適正開示の発生原因の分析 …………………………………………………………………………. 10 ① 代表取締役を含む経営幹部の会計基準等に関する理解不足 ……………………………. 10 ② 経理部門の脆弱性 ………………………………………………………………………………………. 10 ③ 会計監査人とのコミュニケーションの不足 ……………………………………………………. 11 ④ ソフトウェアの資産性評価の見直し契機の逸失 …………………………………………….. 12 ⑤ 契約内容及び権利関係の整理の不足 …………………………………………………………….. 12 ⑥ ソフトウェア仮勘定の取扱いに関する情報共有及び管理の不十分性 ……………….. 13 ⑦ 監査役会と会計監査人とのコミュニケーションの不足 …………………………………… 13 (2) 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む)……………………………………… 14 ① 経営幹部を含む役員等が会計基準等への理解を深める機会の付与(2.(1)①に対応) ……………………………………………………………………………………………………………………… 14 ② 会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行(2.(1)①②⑥に対応) ……………………………………………………………………………………………………………. 14 ③ 管理部門に関する体制の強化(2.(1)②に対応) ……………………………………………. 16 ④ 会計監査人とのコミュニケーション不足の解消(2.(1)③④に対応) ……………….. 17 ⑤ 経営幹部を含む役員等の間でのコミュニケーションの確保(2.(1)①に対応) ….. 18 ⑥ 契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み(2.(1)⑤に対応) ……… 18 ⑦ 開発プロジェクト管理に関するルールの策定及び運用並びにモニタリングの実行(2.(1)⑥に対応) …………………………………………………………………………………………… 19 ⑧ 監査役会と会計監査人とのコミュニケーション不足の解消(2.(1)⑦に対応) ….. 20 (3) 本件不適切会計発覚を契機として発覚した不備に対する改善策 ………………………… 20 ① 実効性のある内部監査を実施するための環境整備 …………………………………………. 20 ② 適切な内部通報制度の設計及び報告窓口の指定 …………………………………………….. 21 (4) 改善措置の実施スケジュール …………………………………………………………………………. 21 3.経営責任等の明確化について …………………………………………………………………………….. 24 4.不適切な情報開示等が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識 ……………….. 24 2 1.経緯 (1) 過年度決算訂正の内容 当社は、2021 年 11 月 29 日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、特別調査委員会から同日付「調査報告書」を受領し、同月 30 日に過年度決算短信等の訂正を行いました。訂正した過年度決算短信等及び本件訂正が業績に及ぼす影響額については、以下のとおりです。 ① 訂正した過年度決算短信等 【有価証券報告書】 第 15 期(自 2018 年 3 月 1 日 至 2019 年 2 月 28 日) 第 16 期(自 2019 年 3 月 1 日 至 2020 年 2 月 29 日) 第 17 期(自 2020 年 3 月 1 日 至 2021 年 2 月 28 日) 【四半期報告書】 第 15 期 第 3 四半期(自 2018 年 9 月 1 日 至 2018 年 11 月 30 日) 第 16 期 第 1 四半期(自 2019 年 3 月 1 日 至 2019 年 9 月 31 日) 第 16 期 第 2 四半期(自 2019 年 6 月 1 日 至 2019 年 8 月 31 日) 第 16 期 第 3 四半期(自 2019 年 9 月 1 日 至 2019 年 11 月 30 日) 第 17 期 第 1 四半期(自 2020 年 3 月 1 日 至 2020 年 5 月 31 日) 第 17 期 第 2 四半期(自 2020 年 6 月 1 日 至 2020 年 8 月 31 日) 第 17 期 第 3 四半期(自 2020 年 9 月 1 日 至 2020 年 11 月 30 日) 第 18 期 第 1 四半期(自 2021 年 3 月 1 日 至 2021 年 5 月 31 日) 第 17 期(自 2020 年 3 月 1 日 至 2021 年 2 月 28 日) 【決算短信】 【四半期決算短信】 第 18 期 第 1 四半期(自 2021 年 3 月 1 日 至 2021 年 5 月 31 日) ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額 会計年度 項目 訂正前(a) 訂正後影響額 (b) (b-a) 影響率 売上高 2,058,739 2,058,739 – 0.0% (単位:千円) 3 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 営業利益 179,585 179,584 △1 △0.0% 経常利益 179,477 179,476 △1 △0.0% 第 15 期 (2019 年 2 月期) 第 3 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益 129,025 117,565 △11,459 △8.9% 2,352,143 2,340,683 △11,459 △0.5% 1,045,099 1,033,640 △11,459 △1.1% 2,908,042 2,907,042 △1,000 △0.0% 営業利益 338,044 336,476 △1,568 △0.5% 経常利益 337,316 335,748 △1,568 △0.5% (2019 年 2 月期) 第 15 期 通期 親会社株主に帰属する当期純利益 255,869 238,848 △17,021 △6.7% 2,642,850 2,625,631 △17,219 △0.7% 1,194,166 1,177,145 △17,021 △1.4% 975,364 976,364 1,000 0.1% 営業利益 170,525 156,113 △14,412 △8.5% 経常利益 170,443 156,031 △14,412 △8.5% 第 16 期 (2020 年 2 月期) 第 1 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益 110,673 99,880 △10,793 △9.8% 2,861,958 2,835,496 △26,462 △0.9% 1,304,105 1,276,291 △27,814 △2.1% 1,935,744 1,936,744 1,000 0.1% 第 16 期 (2020 年 2 月期) 第 2 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益 営業利益 309,778 279,865 △29,912 △9.7% 経常利益 310,918 281,006 △29,912 △9.6% 168,710 148,355 △20,354 △12.1% 総資産 2,937,769 2,904,233 △33,535 △1.1% 4 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 第 16 期 (2020 年 2 月期) 第 3 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益 1,372,241 1,334,865 △37,375 △2.7% 2,933,317 2,934,317 1,000 0.0% 営業利益 405,690 327,732 △77,958 △19.2% 経常利益 403,504 325,546 △77,958 △19.3% 236,463 179,309 △57,154 △24.2% 3,330,112 3,243,728 △86,383 △2.6% 1,432,170 1,357,995 △74,175 △5.2% 3,910,479 3,911,479 1,000 0.0% 営業利益 448,860 298,236 △150,623 △33.6% 経常利益 445,904 295,280 △150,623 △33.8% (2020 年 2 月期) 第 16 期 通期 親会社株主に帰属する当期純利益 308,365 195,086 △113,278 △36.7% 3,753,905 3,614,522 △139,383 △3.7% 1,504,072 1,373,772 △130,300 △8.7% 1,067,438 1,044,189 △23,248 △2.2% 営業利益 181,637 107,640 △73,997 △40.7% 経常利益 181,879 107,882 △73,997 △40.7% 第 17 期 (2021 年 2 月期) 第 1 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益 121,949 60,531 △61,417 △50.4% 3,859,019 3,651,453 △207,566 △5.4% 1,626,413 1,434,695 △191,717 △11.8% 1,997,838 1,946,138 △51,700 △2.6% 第 17 期 第 2 四半期 (2021 年 2 月期) 営業利益 222,789 77,747 △145,041 △65.1% 経常利益 176,735 31,693 △145,041 △82.1% 5 親会社株主に帰属する四半期純利益 123,011 4,714 △118,297 △96.2% 5,084,226 4,839,061 △245,165 △4.8% 2,728,122 2,479,524 △248,597 △9.1% 3,019,351 2,947,651 △71,700 △2.4% 営業利益 261,896 58,868 △203,028 △77.5% 経常利益 230,481 27,453 △203,028 △88.1% 136,510 △58,680 △195,190 赤字化 5,990,899 5,667,040 △323,859 △5.4% 2,788,965 2,463,474 △325,490 △11.7% 4,075,885 4,004,185 △71,700 △1.8% 第 17 期 (2021 年 2 月期) 第 3 四半期 親会社株主に帰属する当期純利益 営業利益 300,419 75,820 △224,598 △74.8% 経常利益 275,573 50,975 △224,598 △81.5% (2021 年 2 月期) 第 17 期 通期 親会社株主に帰属する当期純利益 140,463 △68,691 △209,154 赤字化 6,166,837 5,820,801 △346,036 △5.6% 2,790,243 2,450,788 △339,454 △12.2% 1,048,738 1,033,738 △15,000 △1.4% 営業利益 62,860 38,971 △23,889 △38.0% 経常利益 71,439 47,550 △23,889 △33.4% 第 18 期 (2022 年 2 月期) 第 1 四半期 親会社株主に帰属する当期純利益 49,437 31,777 △17,659 △35.7% 5,999,323 5,639,143 △360,180 △6.0% 2,725,737 2,368,622 △357,114 △13.1% △15,000 6 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 総資産 純資産 売上高 第 18 期 (2022 年 2 月期) 第 2 四半期 親会社株主に帰属する当期純利益 営業利益 経常利益 総資産 純資産 △24,851 △24,851 6,406 △336,310 △333,048 (単位:千円) 過年度利益 への訂正影響 累計額(B) 構成比 (B/A) 年度別の利益への訂正影響額の内訳 2019 年 2020 年 2021 年 2 月期 2 月期 2 月期 売上過大計上 △71,700 21.1% △1,000 1,000 △71,700 から研究開発費用△306,281 90.2% △1,578 △144,596 △160,107 △59,634 17.6% △20,609 3,295 △42,320 96,969 △28.6% 5,156 34,048 57,764 その他 1,192 △0.4% 1,010 △7,026 7,209 合計額(A) △339,454 100.0% △17,021 △113,278 △209,154 ソフトウェア資産への振替 ソフトウェア 減損計上 税額及び 税効果会計の修正 (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 当社は、2021 年 10 月 15 日付け「外部機関からの指摘及び同指摘を踏まえた特別調査委員会の設置に関するお知らせ」で開示したとおり、当社の MT 事業における開発プロジェクト及びプロダクトの一部について、「収益認識及び期間帰属の妥当性」並びに「ソフトウェア資産計上の妥当性」等について外部から指摘を受けました。 そこで、当社は指摘を受けた事項について中立・公平な立場からの調査を行うため、2021年 10 月 15 日開催の取締役会において、当社と利害関係を有しない外部専門家のみにより7 構成される特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。 当社は、2021 年 11 月 29 日に特別調査委員会より調査報告書を受領いたしましたが、特別調査委員会による調査の結果、「収益認識の妥当性」及び「ソフトウェア資産計上の妥当性」について、売上から研究開発費用の減額のための振替、ソフトウェア資産から研究開発費用への修正などの会計処理が必要との判断をいたしました。 これに伴い、当社は特別調査委員会による調査によって判明した事項、広範囲にソフトウェア資産にかかる会計処理を自主点検して新たに検出された事項及び会計監査人によって指摘された事項につき、過去に提出済みの有価証券報告書及び四半期報告書に記載されております連結財務諸表及び財務諸表並びに四半期連結財務諸表等で対象となる部分についなお、訂正に際しては、過年度において重要性がないため訂正を行っていなかった事項のて訂正することといたしました。 訂正も併せて行っております。 特別調査委員会の調査結果及び訂正内容の詳細は下記のとおりです。 ① 売上過大計上 ました。 した。 当社は、X 社との製品の共同開発の会計処理について、従前は、当社子会社が X 社より受け取った共同研究開発にかかる制作費用の分担額を売上高として計上しておりました。しかし、調査の結果、X 社の分担額は、当社側で一時的に負担した制作費用総額から減額し、減額後の当社負担分を研究開発費として費用処理すべきであると判断されそのため、当社は、X 社との製品の共同開発の会計処理について、従前は、売上高として計上していたものを、当社側で負担した制作費用総額を減額するよう修正いたしま ② ソフトウェア資産から研究開発費用への振替 i. T-4PO Construction 「T-4PO Construction」の制作費は、従前は、資産としてソフトウェア仮勘定に計上しておりましたが、調査の結果、制作開始時よりその制作費用はソフトウェア仮勘定への計上は行わず、研究開発費として計上すべきと判断されました。 そのため、当社は、制作開始時より資産としてソフトウェア仮勘定に計上していたものを、研究開発費として計上するよう修正いたしました。 ii. T-4PO アイトラッキング 「T-4PO アイトラッキング」の制作費は、従前は、資産としてソフトウェア仮勘定に計上しておりましたが、調査の結果、制作開始時よりその制作費用はソフトウェア仮勘定への計上は行わず、研究開発費として計上すべきと判断されました。 そのため、当社は、制作開始時より資産としてソフトウェア仮勘定に計上していたものを、研究開発費として計上するよう修正いたしました。 8 iii. T-4PO Medicare 「T-4PO Medicare」の制作費は、従前は、資産としてソフトウェア仮勘定に計上しておりましたが、調査の結果、制作開始時よりその制作費用はソフトウェア仮勘定への計上は行わず、研究開発費として計上すべきと判断されました。 そのため、当社は、制作開始時より資産としてソフトウェア仮勘定に計上していたものを、研究開発費として計上するよう修正いたしました。 iv. T-4PO Mission/オンヤク 「T-4PO Mission/オンヤク」の制作費は、従前は、資産としてソフトウェア仮勘定に計上しておりましたが、調査の結果、2021 年 2 月以降に発生する機能改善やバージョンアップに向けたソフトウェア制作費については、従前どおりソフトウェア資産として資産計上でよい一方、制作開始時より 2021 年 1 月までは、その制作費用はソフトウェア仮勘定への計上は行わず、研究開発費として計上すべきと判断されました。 そのため、当社は、制作開始時より資産としてソフトウェア仮勘定に計上していたものの内、制作開始時より 2021 年 1 月までの期間については、研究開発費として計上するよう修正いたしました。 ③ ソフトウェア減損計上 ⅰ 自動増殖 「自動増殖」の制作費は、従前は、資産としてソフトウェア仮勘定に計上し、制作開始当初から累積しておりました。調査の結果、資産としてソフトウェア仮勘定に計上することは妥当と判断されましたが、一方で、減価償却の開始については、2020 年5 月、同年 9 月にソフトウェア仮勘定からソフトウェア本勘定に振り替え、償却を始めるべきと判断されました。また、同年 10 月以降に資産計上した分については減損処理をすべきであると判断されました。 そのため、当社は、「自動増殖」の制作費は、従前は、制作開始当初から資産としてソフトウェア仮勘定に累積計上していたものを、2020 年 5 月、同年 9 月にソフトウェア仮勘定からソフトウェア本勘定に振り替え、償却を始め、同年 10 月以降発生分について減損処理するように修正いたしました。 ⅱ その他のソフトウェア資産 特別調査委員会による件外調査の結果、ソフトウェア資産の個別検証において、従前の会計処理に、主に「ソフトウェア仮勘定からソフトウェア勘定への振替遅れ及び振替漏れ」「減損処理すべきソフトウェア仮勘定の減損処理漏れ」の類似の不適切な会計処理が検出され、適切なタイミングで、償却開始、減損処理をすべきであると判断されました。 そのため、当社は、件外調査で検出された「ソフトウェア仮勘定からソフトウェア勘定への振替遅れ及び振替漏れ」「減損処理すべきソフトウェア仮勘定の減損処理漏9 れ」の類似の不適切な会計処理について、適切なタイミングで、償却開始、減損処理をするよう修正いたしました。 2.改善措置 (1) 不適正開示の発生原因の分析 ① 代表取締役を含む経営幹部の会計基準等に関する理解不足 これまで、当社では、ソフトウェアの資産性評価において、「会計制度委員会報告第 12号 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(※)に則り、「ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書、ソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等」の証憑が作成・承認された時点を資産計上の開始時点であると考えており、そのフローを経た開発内容をすべて資産計上対象とするよう、開発工数集計用のタグコード等を作成しておりました。しかし、今回の調査結果を受け、特に収益獲得及び費用削減の確実性を立証するための実質的な要件・論点として、新規性や収益確実性の判断時における客観的な指標を用いた基準が必要であることなど、会計基準・実務に関する理解不足が経営幹部にあったと認識いたしました。 ※ 「将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定する。立証できる証憑の具体例としては、ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書、ソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等が挙げられる」(実務指針 12 項) 会計基準・実務に関する理解不足があったことに鑑みれば、当社は、会計基準の適用については会計監査人から意見や異議が出ない限り特段問題はないという考えがあり、経営幹部が会計基準・実務に関する理解を深めるための経営幹部への重要な会計基準の啓発や共有及び外部の専門家も交えた論点理解の確認といった取組みを積極的に行うことができていなかったと認識いたしました。そして、経営幹部が会計基準・実務に関する理解を深めるために、経理部門、内部統制部門などにおいて収集した情報を経営幹部へ共有して啓発する機会や、外部の専門家と重要論点に関して意見交換する機会などを設ける必要があったと認識いたしました。 ② 経理部門の脆弱性 今回の訂正対象となった該当の期間中に経理部門における人員不足、能力不足、短期間での入れ替わりによる業務レベルの低下という問題がありました。より詳細には、高度な会計判断や経理部門全体の運営を期待されるマネジャー層以上の人員は最大でも 3名を上回ることがなく、2 年を超えてマネジャー層以上の職位に在籍していたものもいないという状況でした。また、事務手続等の単純作業を行う人員についても、2017 年 210 月以降に入社した 5 名は 2021 年 2 月時点には全員が異動・退職済という状況であり、結果として経理部門では「過去のソフトウェアプロジェクト開発開始の経緯への理解」及び「プロジェクト開始時の定型的な資料以外の能動的な情報収集、資料内容の確実性検討のための協議への積極的な参加のための業務時間確保」ができず、「ソフトウェア資産計上の根拠となった開発内容への理解不足」、「開発部門との十分な協議がないまま、事務的に資産計上が行われる」及び「通常の起票・決算業務に忙殺され、新たな開発プロジェクトや会計論点等の検討が消極的になる」といった業務への影響が発生いたしました。 このような状況に至った背景として、人員不足によって各人の業務負担が慢性的に重くなっていた中、(経理部門在籍者の退職理由の詳細を個別に把握しているわけではないものの、)過重な業務負担が理由と推察される退職者が相次いだことにより、残った経理部門在籍者の業務負担がより一層重くなり、さらに退職が続くことで業務負担が重くなっていくという悪循環に陥っていたと考えております。また、業務負担が慢性的に重いことにより、各人が適切な能力獲得(会計基準への能動的な理解や会社状況へのあてはめ)のための時間を確保することができず、また、各種の処理を行うにあたっての会社内外の情報(開発計画詳細や同計画を積み上げるにあたっての事業部門、開発部門それぞれの判断等)収集に時間を割けないために、会社内の会計上の論点・問題を発見し、適切に対処するための能力が不足した状態が生じておりました。 ③ 会計監査人とのコミュニケーションの不足 適正な会計判断のため、これまで、当社は会計監査人と相談する中で会計監査人の見解を確認しつつ、会計処理をしてきたと考えておりましたが、この点についても、調査結果を受け、会計監査人とのコミュニケーションや情報共有の点で不十分な点があったと認識いたしました。 従前は、当社では、四半期毎に行われた経営者と会計監査人との間における定期的な重要論点協議(各ソフトウェア開発状況、会社が認識している事業リスク、足元の業績及び今後の業績見込み等の協議)、開発部門への開発内容及び進捗ヒアリング(開発プロジェクトの内容、工数、完成予定時期等のヒアリング)、監査役会と会計監査人との間での論点共有、都度の当社から会計監査人への会計処理相談、会計監査人から当社に対する(会計帳票を査閲した上での)取引質問・契約書等の資料依頼等を行っておりました。しかしながら、当社の認識と会計監査人の認識に齟齬を生じさせないためには、当社が、「収益獲得・費用削減の確実性」疎明における確実性の判定基準について、売上や受注実績等の客観的指標の有無を示すこと、客観的指標がない場合の確実性の疎明方法を示すこと、既存商品との連続性や一体としてみなすべき商品・開発内容群等を明確化した上でコミュニケーションを取ること、それらを明示的に根拠付ける資料(売上根拠となる契約書、覚書及び受注実績推移等の客観的指標自体の資料、開発内容・商品がテキスト翻訳・音声翻訳などの商品群のうちいずれに属するかを明示的に示した意見書・仕様書等)を共有することといった対応をより緊密に行う必要があったにもかかわらず、上述した経理体制の脆弱性や、「提供した資料・コミュニケーションに問題がある場合には会計監査人よりその指摘が生じるであろう」という認識の甘さから、それらの対応が実11 施できておりませんでした。 ④ ソフトウェアの資産性評価の見直し契機の逸失 T-4PO Construction の資産性に関して、外部取引先の公認会計士の問題提起と同じタイミングで会計監査人より指摘があり、併せて社内で協議をいたしました。その当時、「T-4PO Construction は資産計上しているが問題ないか」を、会計監査人にメールにて確認を行っております。また、その後のやり取りも含め、会計監査人からは資産性について否定されなかったことから、T-4PO Construction の資産性については当社の主張が認められたと認識いたしました。その後、商品化のめどがつきそうな段階、四半期決算、期末決算、GU 事業の会計処理の訂正など、当社の行った T-4PO Construction の資産性評価について確認を受ける機会はありましたが、いずれも会計監査人からは、当該資産性評価について否定されなかったため、当社は、正しく会計処理できているものと考えておりました。 また、当社は、外部取引先の公認会計士の問題提起の内容について、会計監査人にとっては既知であろう参照すべき会計基準の条文を紹介したに過ぎないと思っていたため、「会計監査人に対して、外部取引先の公認会計士からの問題提起の内容を明示的に伝えなければ、会計監査人が問題意識を持たない可能性がある」という考えに至らず、会計監査人に対して明示的には伝えておりませんでした。 しかし、調査の結果、当社が明示的に会計監査人に対して外部取引先の公認会計士からの問題提起の内容を伝えなかったため、資産性評価の見直し契機を逸失したと認識いたしました。これについても、会計監査人から意見や異議が出ない限り特段問題はないだろうという認識の甘さがあり、その当時、当社は会計監査人とそれ以上の深い議論ができておりませんでした。 ⑤ 契約内容及び権利関係の整理の不足 当社は、調査の結果、X 社との製品の共同開発契約(以下「本共同開発契約」といいます。)においては、契約内容及び権利関係の整理及び会計処理との関係性の検討が不十分であったと認識いたしました。 本共同開発契約の契約書のドラフトは X 社が作成したものであるところ、開発のベースとなる既存のソフトウェアや新規に開発するソフトウェアに関する権利関係の整理及び本共同開発契約の性質が共同保有に主眼を置くソフトウェアの開発なのか新規開発の開発受託に主眼を置いたものなのかについての整理が十分ではありませんでした。また、当社から弁護士に依頼した際の内容の説明やその重要度に関する説明も不足していた結果、当該弁護士によるチェックも形式的なものにとどまっておりました。また、第 1 フェーズから第 2 フェーズに移行するタイミングで改めて契約書の整理・検討を行ったものの、X 社からの出資の可能性が将来的に残っていたことや、本共同開発契約スキームへの第三者の参画が積極的に検討されていたこと、社内に権利関係に詳しい人物がいなかったこと等が相まって、その再整理・再検討も不十分なものとなってしまいました。コロナ禍で先行き不透明な中、「無契約の状況を続けるよりは一旦は契約締結し、 12 内容が固まった段階で改めて整理・検討すればよい」という意識が働いたことも否めま当社にとっては先行事例のない取組みであったにもかかわらず、権利関係や会計処理との関係について整理する意識が全社的に欠如していたことで、外部の弁護士や会計士等をより積極的に活用した上での十分な整理・検討の必要性に思い至らなかったと考えせん。 ております。 ⑥ ソフトウェア仮勘定の取扱いに関する情報共有及び管理の不十分性 当社は、調査の結果、部門間での情報共有(売上根拠となる契約書、覚書及び受注実績推移等の客観的指標自体の資料、開発内容・商品がテキスト翻訳・音声翻訳などの商品群のうちいずれの商品群に属するかを明示的に示した意見書・仕様書等の共有やソフトウェア開発状況進捗の都度の確認、既に完成・償却すべきソフトウェア有無の適時な確認等の情報の共有)が適時適切にされなかったとの指摘を受け、開発プロジェクトを管理するためのルール、ソフトウェア開発の資産性評価に必要な資料を経理部門に提供する仕組み、経理部門が開発部門から裏付けを取得する仕組みについても、見直しの必要があると認識いたしました。 従前、経理部門は、ソフトウェア資産の計上開始、償却開始(完成)を、開発部門からの申請をもって行っていたものの、開発状況の見直しや進捗管理は高度な技術や同業他社の動向等の知見がある開発部門の判断に委ねており、資産計上開始時・完成時以外に経理部門と開発部門で適時に情報を共有するフローはなく、会計監査や四半期レビューにおいて論点となった場合に、経理部門及び会計監査人が個別に開発部門へヒアリングを行って情報を取得するというフローとなっておりました。 また、開発部門が「開発内容は収益獲得・費用削減の確実性が担保されており、資産計上することが適切である」と考えている場合、開発部門から経理部門に対して行われる資産性評価疎明(どのような開発内容、商品であり、収益獲得・費用削減の確実性がどのように担保されるかの疎明)にあたっても、経理部門の確認は開発部門から「資産計上を行うことの申請(資産計上対象として工数集計開始すること)」自体が存在することの確認に終始しており、開発内容自体の経理部門・開発部門間での情報共有や共有した情報に基づく収益獲得・費用削減の確実性の前提となる開発内容説明資料(客観的指標等含む)の吟味について不十分な面がございました。 ⑦ 監査役会と会計監査人とのコミュニケーションの不足 す。 監査役会と会計監査人との連携につきましては、会計監査人からの監査計画の説明会、四半期レビュー及び年度監査の報告会を通して意見交換を行っておりましたが、監査役会が会計基準等を十分に理解していなかったことに加え、会計監査について会計監査人との十分なコミュニケーションが取れていなかった点に問題があったと考えておりまその原因としては、監査役会は、職業的専門家である会計監査人に会計監査を委ね、適法性監査及び業務監査を主体に監査役監査を行うことで足りると考えていたため、定13 期的に行われる監査報告会が形骸化していたのではないかと考えております。 (2) 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む) ① 経営幹部を含む役員等が会計基準等への理解を深める機会の付与(2.(1)①に対応) 当社は、調査結果を受けて、指摘内容を十分に吟味し、会計基準等についての理解を深めることに努めます。 具体的には、経理部門と会計監査人との間で当社に現存する会計上の重要論点の協議を行い、その論点一覧並びにポイント、当社の処理及びその処理の前提となる事実関係の整理を取締役会に報告いたします。また、その報告内容について、取締役会で各役員の視点から議論を行い、必要な対応を検討いたします。今後、2022 年 2 月期より四半期毎に実施予定であり、初回は 2022 年 2 月期を対象として 2022 年 3 月頃の取締役会での報告を予定しております。 また、会計監査人のみならず、他の監査法人、アドバイザリー会社が開催しているセミナーといった知見を獲得する機会について、経理部門及び内部統制部門にて広く情報収集し、特に重要で高難度の領域(会計上の見積りに関連する領域であって、当社においては金額が非常に大きい取引等に関連する領域)を取り上げるセミナー等については経営幹部も積極的に受講するようにいたします。セミナー等が開催されるか否かにもよりますが、少なくとも半期に一度を目安にセミナー等を受講し、また、そのようなセミナー等を受講した役職員が、受講しなかった役職員に対して情報共有するための機会を設定するようにいたします。今後、2022 年 5 月までにセミナー等の開催状況の確認や受講すべき重要論点の整理等を行い、グループ管理本部マネジャー層以上の協議を踏まえた上で、2022 年 8 月末までにはセミナー等の受講開始を模索いたします。 さらに、ソフトウェア開発・減損について経理部門から開発部門に啓発活動を実施し(詳細は 2.(2)②参照)、その状況について経営幹部にも共有いたします。 ② 会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行(2.(1)①②⑥に対応) 当社は、ソフトウェアの会計処理に係る具体的な社内基準、それを適切に運用できる業務フロー、モニタリングの仕組みについて、開発部門及び経理部門が主管となり、2022年 3 月を目途に見直し、再整備を行います。なお、規程策定等、一部は先行して整備することを予定しております。 従前は、投資委員会等で投資可否及び資産性有無等にかかる協議・判定を行い、その結果をもとに金額に応じて取締役会や経営会議などで正式に意思決定をするという業務フローとなっておりましたが、協議に必要な情報として「収益獲得・費用削減の確実性」を占める客観的な資料共有や既存顧客との重複についての資料を必要とすることがフローとして明確に定められておりませんでした。これに対して、社内規程については、経理部門主導により、開発するソフトウェアの「収益獲得・費用削減の確実性」の疎明又は確認の局面における資産性判定基準として、「商品・機能の想定顧客(利用者)の重14 複について、半数以上の超過が認められる」「特に新しい顧客や技術を前提としたサービスについて、売上や受注等の客観的な指標を用いた判定を重視する」旨を明確に記載した上で、同判定基準に則して資産性の判定を行うことを明確に記載いたします。また、具体的な事務フローについては、開発部門と営業部門に在籍する開発担当者、開発責任者及び営業責任者の協議を経て、「収益獲得・費用収益の確実性が担保されており資産計上すべき」と判断された個別プロジェクトについて、ワークフロー(稟議)システム内において、資産性評価に要する資料(売上・受注実績等の客観的資料、いずれの商品群に属する開発か、機能の仕様書等)を開発担当者が添付した上で、開発責任者が再度の承認を行い、経理部門へと渡すことにいたします。その後、経理部門における各種判定において、資産計上の妥当性が判断できない個別プロジェクトについて、改めて Teams上において「開発担当者」「開発承認者」「経理部門担当者」が協議を行い、協議の中で、いつ時点で何を合意したかの結論部分を Teams 上に記載するようにいたします。さらに、同協議を踏まえた上で、経理部門承認者が再度全体的に資産計上要件を満たしているかの確認を都度行います。加えて、四半期毎に、当初資産計上することが妥当と認めていた個別プロジェクトであっても大きな前提の変更や誤認がなかったか、経理部門責任者がソフトウェア仮勘定一覧表をもとにして四半期ごとの確認を行います。 また、ソフトウェアの会計処理について、契約内容や開発のための作業内容、開発成果物の性質に応じた現場部門での工数管理用フローの見直しを図るとともに、経理部門サイドにおいては、そのフローに応じた会計処理について会計基準や実務指針等を踏まえたフロー解説書類を作成いたします。さらに、同フロー解説書類については、開発部門の GM(ジェネラルマネジャー)級のみならず、マネジャー級へも周知・啓発を行います。 さらに、ソフトウェアの減損の会計処理についても、概念及びそれにより行われる会計処理、減損判定の基準となる開発期間の目安等を整備し、開発部門への概念・フロー及びそれらを理解することの重要性を啓発するために、開発部門におけるプロジェクト作成、資産登録のためのマニュアルにも会計処理・会計基準を記載するようにいたします。また、ソフトウェアの減損についての概念的な背景、各人の開発部門プロジェクト選択や開始がどのような影響を与えるかについて、四半期毎に開発部門の GM 及び PM(プロジェクトマネージャー)層に会議及び Teams 書き込みを通して啓発いたします。 上記の「規程・意思決定機関の見直し」「開発についてのフロー、必要情報について開発部門-管理部門間での重要性確認」「減損についてのフロー、必要情報について開発部門-管理部門間での重要性確認」を行うことにより、「開発部門、管理部門ともに、必要情報の種類、発言者・資産性評価をする際に誰が、何の資料、どういった判断に基づいて資産化するのか」が明確になり、透明性が高くなるため、議論が浅いまま、資産計上が行われることを防ぐことができるようになると考えております。 一方で、経営幹部は、後述の経理部門体制強化に加えて、経理部門及び開発部門における啓発活動が行われていることを確認いたします。具体的には、四半期毎に経理部門責任者と開発部門責任者に対して、改善策全般並びに啓発活動の開催頻度及び実施内容についてのレポートを求め、十分な内容・活動を行っているか否かを取締役会として認定・評価いたします。 15 ③ 管理部門に関する体制の強化(2.(1)②に対応) 当社は、経理部門の脆弱性を放置してきたことを深く反省し、管理体制整備の重要性を改めて認識しております。管理体制について、今後は、本件不適切会計時には未入社又は責任ある立場として直接的に関与しなかった現管理部門担当取締役による指揮下で改善していく所存です。 アウトソーシングによる単純業務の効率化・整理による業務負担の軽減は進んでいるものの、高い退職率により、経理部門においては社内の情報・経緯を理解・集約した上で、会計上の高度な判断について知見を有し、内外の関係者(会計監査人・開発部門)と適宜適切にコミュニケーションを取ることができる人員が不足しております。また、現在取締役グループ管理本部長は各種事務作業・月次業績分析等に加え、本年退職者が相次いでいる IR 部門・情報システム部門の業務のカバー・体制整備も担当しており、リソースが限られている状態です。 今後の改善策として、管理部門取締役の業務を他の者へ委譲し、日商簿記一級保有者に相当する会計の知見を有していることが期待できる人員の採用を強化することや、情報システム部門の人員を強化することを通じて、再発防止策各所に記載している体制整備(管理部門取締役自身による会計上の判断も含む)へと業務リソースを回すことを行ってまいります(現時点で予定している採用スケジュールは※のとおりです。)。また、今後は単純作業・事務作業部分のさらなるアウトソーシング並びに年度計画作成及び月次毎の計画分析に伴う集計自動化により、社内コミュニケーション能力・会計上の判断軸を有する人間のリソースの開放を進めていき、管理部門取締役による体制整備のためのリソースを確保し、また、取締役を除く管理部門上位層であるマネジャー層も参加し、ソフトウェアの資産計上も含めた「高度な会計知見を前提としたフロー」を整備、啓発するためのリソースを確保していく予定です。なお、「高度な会計知見を前提としたフロー」の整備について、具体的には、会計基準上の「収益計上・費用削減の確実性」や「会計上の見積」といった論点・考え方について、実務上のどの資料やフローが会計基準上で求められる根拠資料と紐づくのかという点や、概念的な会計基準上の記載が開発業務や事業活動におけるどの業務に該当するのかという点を理解し、会計基準とフローとの紐づけを進めていくことを想定しております。 ※ 訂正開示の開示日である 2021 年 11 月 30 日現在の経理部門は取締役も併せて人員が 2 人(アウトソーシング部分を除きます。)の体制となっております。 その後、各部門の分掌及びアウトソーシング先に移管する業務内容について、整備を進めており、具体的には、2022 年 1 月 31 日現在において下記施策を実施済み又は実施予定です。 2022 年 1 月より、公認会計士を 1 名採用しております(既存の前提や会社情報等にとらわれない、新鮮な視点での資産計上フロー整備、マニュアル作成をはじめとした開発部門との協議及び従前管理部門取締役が行っていた、管理会計・業績管理業務について替わって主担当となるのに加えて、会計監査人とのコミュニケーション・資料収集メンバーとしての追加人員も兼ねる予定です。)。 2022 年 1 月において、情報システム部門へ 1 名の人員を追加し、また、同部門16 において最も社歴が長く、実質的に旧情報システム部門長業務を引き継いでいる人員をマネジャーに昇格の上同部門業務の主責任者へと変更いたしました。 2022 年 3 月より、経理部門アシスタントマネジャーを 1 名採用予定です(内定済み)。 ④ 会計監査人とのコミュニケーション不足の解消(2.(1)③④に対応) まず、ソフトウェアの開発実体に関しては、開発プロジェクトに詳しい複数の役職員(最低でも、開発部門責任者・開発 PMO・管理部門責任者・管理部門担当者の 4 名は参加し、各ヒアリングの中でより詳細に担当者の開発状況・所感等を確認する必要がある場合、追加することを想定しております。なお、※参照。)が会計監査人に対して直接説明を行うようにいたします。これにより、会計監査人に対して、開発プロジェクトの詳細な内容、開発プロジェクトが外部ともかかわりのあるものである場合にはその元となっている契約内容や取引先との関係、取引先への質問可否等に加え、「2.(2)② 会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行」に記載の四半期毎のモニタリング結果について、適時適切に共有いたします。なお、本項目で記載した改善策については、風化防止のため、経営者確認書や依頼資料リストひな形に明記する方向で検討しており、今後、2022 年 2 月期末決算にかかる経営者確認書や依頼資料リストに基づいて書式を検討し、2022 年 4 月末までに整備いたします。 ※ 開発部門責任者:開発依頼の実現、仕様設計等についての責任者であり、工数や期間などについての意思決定及び管理オーナーです。 開発 PMO:複数のプロジェクトを横串で管理支援する事務局的な組織。 また、当社は、今後は、会計監査人とのコミュニケーション不足やミスコミュニケーションが生じないよう工夫を凝らす努力をする所存です。具体的には、資料の授受や会計処理についての合意については必ず証跡を残し、双方でその内容について確認することで、どういった合意がなされているかについての認識相違が起こらないようにいたします。従前は、口頭で協議した結果を当社チャットログや、社内コミュニケーション用掲示板に記載する、あるいは認識についての概要メモをメールで会計監査人に送付するという形態でしたが、今後は、会議議事録又は、音声ファイルによる協議ログを当社から都度共有する、あるいは会計監査人から議事録の共有を受けた上で、個別具体的な処理をどのようにするかについても明記したものを証跡とするようにいたします。これら会計監査人に対する対応については、経理規程内に 2022 年 5 月までに追記した上、当該規程について取締役会で決議をいたします。 さらに、各部門人員・体制強化を前提として、会計監査人とのやり取りにおいて対応する人員の追加を行い、「そもそも会計論点が俎上に上がらないこと」「俎上に上がった論点について会計監査人と協議したものの、最終結論を明文化して認識合わせを行っていないままになること」を防止いたします。従前は、会計監査人とのやり取りを行う窓口が、管理部門責任者 1 人体制や、他部門兼務者による対応であったところ、会計論点について知見を有するメンバーを追加し、管理部門取締役、経理部門の体制強化に向け17 て採用した新入社員(公認会計士)、経理部門マネジャーの 3 名体制とすることで、即時・適時の対応、協議が可能になると考えております。 ⑤ 経営幹部を含む役員等の間でのコミュニケーションの確保(2.(1)①に対応) 当社は、少しでも問題意識を持ったことについては、経営幹部を含む役員等の間で問題意識を共有して議論を尽くすことについて、その重要性を再認識し、実現するよう努めてまいります。議論の活性化により、会計基準及びソフトウェア開発の管理状況等に関する問題を早期に検知することや、経営幹部を含む役員等の会計基準等への理解を促進することが可能になると考えております。 具体的には、各会議体の場で経営幹部が発言しない役職員に対して発言を促し、より多くの役職員の意見を聴取し議論の活性化を図ってまいります。また、経営幹部は、口頭での共有や補完ではなく、どのような論点について、どのような資料・前提について協議し、何について決定したいのかを明確にした資料の作成を図った上で、取締役会で協議を行うことにより、コミュニケーションの円滑化を図ります。 加えて、役職員が意見を言いやすい風土を作るため、「人の意見に耳を傾ける。」「人の意見を頭ごなしに否定しない。」「高圧的に言わない。」「反対意見の人と議論し、よく話す。」などのルールを設定いたします。 前述の施策について、2022 年 5 月までの取締役会で決議を取り、規程又は会社方針等に明記いたします。 ⑥ 契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み(2.(1)⑤に対応) 契約書などの立案、指導、審査、管理について、当社では社長室の業務分掌となっておりますが、現状は、取引内容や紐づく権利関係、会計処理及びそれを受けた契約内容の表記などについては最終的には事業部門での判断となっており、社長室では表記面のチェック及びリスクの提示を行うに留まっていたため、契約内容と会計処理との関係を適切に紐づけるフローが不足しておりました。 今後は、契約内容のチェックの際に、事業部門から経理部門にも、契約内容、取引内容及び事業部門としてはどのような会計処理になることを想定して契約書類の内容を捉えているか等の詳細を共有し、不明点等が生じた場合には即時にミーティングを実施いたします。共有された契約内容及びこれに基づく権利関係の整理に基づき、経理部門において妥当な会計処理を整理・決定した上で、その結果としての会計処理と影響額を事業部門に対して共有するようにいたします。今後、案件の増加に伴い業務量が増える場合には、増員や業務分掌の見直しを検討いたしますが、状況を見ながら進めてまいります。 上記の取り組みによって契約内容に関する社内での共通認識が醸成され、その結果、契約先との契約に関する認識の齟齬が防止軽減できるものと期待しております。 また、会計処理に必要な情報・フローの整備については、経理部門と事業部門で連携して、ソフトウェア制作・研究開発・追加開発・運用保守・受託開発等の概念と具体的な業務内容を整理した上で、それぞれの契約形態に応じた当社標準契約の雛形を再整備 18 するとともに、標準契約に当てはまらない案件が発生した際の業務フローを整備し、業務フローを明文化いたします。これらについては、2022 年 5 月末までに実施してまいこれにより、社内での担当者間の認識を揃えることができ、より効率的に契約内容の整理が進められるものと考えております。なお、これらの取組みを進めるにあたっては、積極的に外部専門家を活用して意見を聞き、知見を取り入れながら進めてまいります。 ⑦ 開発プロジェクト管理に関するルールの策定及び運用並びにモニタリングの実行ります。 (2.(1)⑥に対応) 当社は、各子会社の事業部門と当社管理部門とが連携して、開発プロジェクト管理に関するルール、それを適切に運用できる業務プロセス、モニタリングの仕組みについて見直し、2022 年 2 月中を目途に再整備を行います。より具体的には、以下のとおりです。 i. 開発関連業務の整理と類型化:ソフトウェア制作・研究開発・追加開発・運用保守・受託開発等の概念と具体的な業務内容との関係を再整理(例:「論文で発表されたニューラル機械翻訳の実装」は「研究開発」とする、等)し、「2.(2)②会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行」及び「2.(2)⑥契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み」の各改善措置と平仄を合わせます。これにより、開発関連の各業務と、それに対応する適切な契約内容及び適切な会計処理との間に恣意性が入らないようにいたします。 ii. 開発プロジェクトに係る承認決裁ワークフロー(WF)の見直し:開発プロジェクトの組成時・進行時・完了時それぞれのタイミングにおける作成文書と承認手続きを再整理し、「2.(2)②会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行」及び「2.(2)⑥契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み」の各改善措置と平仄を合わせます。これにより、開発関連の各業務と、それに対応する適切な契約内容及び適切な会計処理との間に恣意性が入らないようにすると同時に、従前は不十分であったプロジェクト進行中の状況確認と、それに応じた適切な会計処理が適切なタイミングで行われるようにいたします。 iii. 対訳コーパス等のコンテンツに係る管理方法の見直し:ニューラル機械翻訳の開発には、学習データである「対訳コーパス」が重要な役割を果たしており、対訳コーパスを含む電子データ・情報資産である「コンテンツ」として適切な管理と会計処理が必要であるとの認識を踏まえ、コンテンツ毎の属性や利用形態、ソフトウェアとの関連等の管理項目を再整理し、「2.(2)②会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行」及び「2.(2)⑥契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み」の各改善措置と平仄を合わせます。これにより、無形固定資産としてのコンテンツ及びそれを使用して開発・運用されるソフトウェアについて、ルールに則った会19 計処理が一貫して行われるようにいたします。 iv. プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)による一元管理:開発プロジェクト・コンテンツ・ソフトウェア資産等の管理を開発部門下で横断的に行う組織であるプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を強化し、情報の一元化・管理の集約をすることにより、プロジェクト横断的なモニタリングを実行するとともに、経理部門含む管理部門や会計監査人による確認や検証の際には正確な情報を迅速に伝えられる体制といたします。 ⑧ 監査役会と会計監査人とのコミュニケーション不足の解消(2.(1)⑦に対応) 監査役会は、まず、会計監査人の監査計画の報告を受ける際、これまでは行ってこなかった、前期の監査結果を踏まえた今期の監査上の重点課題などを事前に確認し、その内容をしっかりと検討した上で、会計監査人と十分な意見交換を行うようにいたします。また、期中においては、これまでの四半期レビューの報告会に加え、2 か月に 1 回の定期的面談を設定することで、協議の頻度を高めてまいります。その際には、会計監査が当初の予定どおりに進捗しているか、会計監査の過程で何か問題が生じていないか(会計監査に必要な資料等が当社から提出されているか)、会計監査人の監査計画を修正・変更する必要はないか等について確認することで、協議の深度も深めてまいります。また、会計監査人からの報告を受けるだけでなく、監査役が認識している課題等についても意見交換を十分に行い、会計監査人との双方向のコミュニケーションに努めてまいります。 (3) 本件不適切会計発覚を契機として発覚した不備に対する改善策 本件不適切会計発覚を契機として、当社の内部監査及び内部通報制度に以下の不備が判明しており、それらに対する改善策を策定しております。 ① 実効性のある内部監査を実施するための環境整備 これまでの当社の内部監査部門の監査内容は、社内規程や業務フローに従った運用を行っているかを確認する日常業務の執行監査及び労務監査を中心とした業務監査に主眼を置きつつも、ソフトウェアの資産性評価やソフトウェア仮勘定の管理が社内で定められたプロセスに則って適切に実行されているかをモニタリングする役割が内部監査項目として明記されていないなど、会計コンプライアンスに重点を置いた監査の深度に欠けておりました。 今後は、内部監査部門の役割として、社内規程や業務フローに従った運用を行っているかを確認する業務監査に加え、ソフトウェアの資産性評価やソフトウェア仮勘定の管理の業務が社内で定められたプロセスに則って適切に実行されているかを評価し、その適切性をモニタリングするなど、会計コンプライアンス面(証憑を基にした決算に係る諸手続及び数値確認が適切になされているかなど、会計処理プロセスが正しく実施されているか)のチェックも実施いたします。社長室にて今期中(2022 年 2 月末まで)に内20 部監査項目に追加し、今後確実に実施していくことで、ソフトウェアの資産性評価やソフトウェア仮勘定の管理における齟齬が軽減できると考えております。 また、その役割を遂行するための内部監査体制の十分性については、現在の内部監査部門である社長室にて改めて今期中(2022 年 2 月末まで)に検討し、不十分であれば2022 年 5 月末までに取締役会に諮り体制を見直したいと考えております。 併せて、内部監査部門と監査役会及び会計監査人との三者間の連携を強化するため、三者による定期的な協議の場を四半期に 1 回の頻度で設け、重点監査項目や監査計画に基づく実行進捗及び課題の共有を行ってまいります。 ② 適切な内部通報制度の設計及び報告窓口の指定 当社は、コンプライアンス規程において内部通報制度として『内部通報相談窓口』を社長室に設置・運営する旨定めております。それに従い、社長室を内部通報窓口としておりましたが、経営幹部と近い部署が窓口となっており、加えて外部に独立した窓口などは設けておりませんでした。結果、社内からの通報をより行いやすくするための制度としては不十分であったと認識いたしました。 今後は、内部通報相談窓口として社内窓口が現状のまま社長室であることの妥当性、並びに監査役や外部専門家などのより利用しやすい

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