EduLab(4427) – 改善報告書

URLをコピーする
URLをコピーしました!

開示日時:2022/01/25 15:30:00

PDFを拡大して表示

損益

決算期 売上高 営業益 経常益 EPS
2018.09 396,847 96,463 89,553 73.03
2019.09 627,213 146,218 122,403 84.22
2020.09 825,228 186,929 168,409 115.51

※金額の単位は[万円]

株価

前日終値 50日平均 200日平均 実績PER 予想PER
913.0 1,236.5 3,709.47

※金額の単位は[円]

キャッシュフロー

決算期 フリーCF 営業CF
2018.09 -82,394 23,100
2019.09 -23,350 73,351
2020.09 2,591 136,745

※金額の単位は[万円]

▼テキスト箇所の抽出

改 善 報 告 書 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 山道 裕己 殿 2022 年1月 25 日 株式会社 EduLab 代表取締役社長 廣實 学 このたび、過年度の決算短信及び四半期決算短信、並びに有価証券報告書及び四半期報告書(以下「過年度決算短信等」といいます。)の一部訂正の件について、有価証券上場規程第 502 条第3項の規定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。 1 目次 I. 経緯 ……………………………………………………………………………………………………………… 3 1. 過年度決算訂正の内容 ……………………………………………………………………………………. 3 2. 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等 …………………………………………………… 5 (1) 2021 年 10 月 15 日の中間報告書受領までの経緯 ……………………………………………….. 5 (2) 中間報告書により判明した事実の概要 …………………………………………………………….. 5 (3) 過年度決算の訂正及び特別調査委員会の調査継続の経緯 …………………………………… 6 (4) 意見(結論)不表明の経緯 …………………………………………………………………………….. 7 (5) 過年度訂正の処理の内容 ………………………………………………………………………………… 8 II. 改善措置 ……………………………………………………………………………………………………… 10 1. 過年度決算訂正に至った原因の分析 ………………………………………………………………. 10 (1) 取締役会を始めとした各監督機能の課題 …………………………………………………………. 11 (2) 適切な会計処理および開示に対する理解不足 …………………………………………………… 11 (3) 顧客との取引における価格(含む資産取引)の妥当性や、関係会社向けのライセンス価格の適正性の検証体制 ……………………………………………………………………………. 11 (4) 内部統制上の手続(契約書締結、承認プロセス等)の課題 ………………………………. 11 (5) 社内規程等を遵守する意識および規程違反のモニタリング体制における課題 …………. 12 2. 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む。) …………………………………… 12 (1) 取締役会の構造改革( II.1.(1)に対応) …………………………………………………….. 12 (2) 経営責任の明確化(II.1.(1)に対応) …………………………………………………………. 12 (3) 当社グループ役職員における会計処理に対する理解の醸成(II.1.(2)に対応) 13 (4) コンプライアンス意識の徹底(II.1.(2)、(3)及び(5)に対応) …………………. 13 (5) ガバナンス体制の強化(II. 1.(1)及び(4)対応) …………………………………………. 14 (6) 管理・監査体制の強化(II.1.(1)(3)及び(4)に対応) ……………………………….. 15 3. 意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み …………………………………….. 15 III.改善措置の実施スケジュール ………………………………………………………………………. 17 IV. 不適切な情報開示が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識 ……………… 18 2 I. 経緯 1. 過年度決算訂正の内容 当社は、2021 年8月2日、特別調査委員会の設置等について開示し、同年 10 月 15 日、当社における会計処理に関する特別調査委員会の中間報告書の受領と追加調査の継続について開示するとともに、過年度の決算内容の訂正を開示しました。 中間報告書では、当社及び当社子会社では、取引先との共同事業において事業損失引当金が計上されていなかったこと、当社関連会社に対する売上が過大に計上されていたこと及び連結範囲の調整等が行われていたことが指摘されました。 また、当社は、連結の範囲を見直し、従前非連結子会社としていた傑愛夢科技(北京)有限公司社、教测网络科技(上海)有限公司社、至優教育科技有限公司、Kyoshi Education Private Limited 社及び SmartCloud Infofusion Private Limited 社を連結子会社とすることを決議するとともに、検知された業務提携先との取引に関する会計処理を修正し、過年度に係る 2018 年9月期からの有価証券報告書等の訂正を行いました。 訂正した過年度決算短信等及び業績への影響額については、以下のとおりです。 【訂正した過年度有価証券報告書、四半期報告書及び有価証券届出書】 2018年9月期 有価証券報告書 (自 2017年10月1日 至 2018年9月30日) 2019年9月期 第1四半期報告書 (自 2018年10月1日 至 2018年12月31日) 2019年9月期 第2四半期報告書 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) 2019年9月期 第3四半期報告書 (自 2019年4月1日 至 2019年6月30日) 2019年9月期 有価証券報告書 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) 2020年9月期 第1四半期報告書 (自 2019年10月1日 至 2019年12月31日) 2020年9月期 第2四半期報告書 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) 2020年9月期 第3四半期報告書 (自 2020年4月1日 至 2020年6月30日) 2020年9月期 有価証券報告書 (自 2019年10月1日 至 2020年9月30日) 2021年9月期 第1四半期報告書 (自 2020年10月1日 至 2020年12月31日) 2021年9月期 第2四半期報告書 (自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) (新規公開時) 有価証券届出書 (提出日:2018年12月5日) 【訂正した過年度決算短信等】 〔日本基準〕 (連結) 2019 年9月期 決算短信 2020 年9月期 決算短信 〔日本基準〕 (連結) 2021 年9月期 第1四半期決算短信 〔日本基準〕 (連結) 2021 年9月期 第2四半期決算短信 〔日本基準〕 (連結) 3 【過年度決算短信等の訂正による連結業績への影響額】 調査結果で判明した事項に基づき生じる連結財務諸表等の修正事項の主な内容は、以下のとおりです。 会計年度 項目 訂正前 訂正後 影響額 増減率 (単位:百万円) 2016 年9月期 (平成 28 年) 通期 2017 年9月期 (平成 29 年) 通期 2018 年9月期 (平成 30 年) 通期 2019 年9月期 (令和1年) 通期 2020 年9月期 (令和2年) 通期 2021 年9月期 (令和3年) 第1四半期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 13 23 17 17 △5 △17 △6 5,167 358 279 89 4,255 685 3,442 463 402 211 5,842 1,351 3,849 688 624 337 7,563 2,171 5,897 1,017 742 389 12,312 6,052 8,048 0.3% 7.0% 6.7% 23.7% △0.1% △2.4% △0.2% △125 △21.3% △129 △24.3% △124 △37.1% △2.3% △136 △9.4% △140 △3.0% △118 △275 △28.6% △279 △30.9% △211 △38.6% △3.1% △238 △355 △14.1% △6.0% △374 △444 △30.4% △448 △37.6% △397 △50.5% △4.2% △541 △739 △10.9% △2.5% △203 792 △1,076 △57.6% △967 △60.3% 637 △687 △61.4% 431 △1.6% 16,009 △263 6,748 △1,276 △15.9% 1.5% 25 1,767 – △462 △519 – △317 △491 – △271 △408 △1.3% 20,260 △259 11,778 △1, 505 △11.3% 5,154 335 262 72 4,260 702 3,449 588 532 335 5,978 1,492 3,968 964 904 549 7,802 2,527 6,272 1,462 1,190 787 12,853 6,792 8,252 1,869 1,605 1,118 16,272 8,024 1,741 △56 △173 △137 20,520 13,284 4 会計年度 項目 訂正前 訂正後 (単位:百万円) 影響額 増減率 2021 年9月期 (令和3年) 第2四半期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 4,319 105 △32 △63 23,290 13,595 △51 4,267 △918 △813 117 84 △9 △72 22,521 △768 12,327 △1,267 △1.2% – – – △3.3% △9.3% 2. 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等 (1) 2021 年 10 月 15 日の中間報告書受領までの経緯 当社は、当社の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」といいます。)による 2021 年9月期第3四半期レビュー手続の過程で、あずさ監査法人から、当社及び当社連結子会社である株式会社教育測定研究所(以下「教育測定研究所」といいます。)と、その取引先である法人 A との間で行う CBT1に関する共同事業に係る取引(以下「CBT 取引」といいます。)について経済合理性の調査を行う必要があるとの連絡を受けました。これを受け、2021 年8月2日、当社は、当社と利害関係を有さない弁護士及び公認会計士からなる特別調査委員会を設置して CBT 取引に関する経済合理性や連結財務諸表への影響の有無等について調査することとし、調査期間を確保するため、同年8月 13 日に 2021 年9月期第3四半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請書を関東財務局に提出し、同日、承認を受けました。 その後の特別調査委員会による調査の過程において、CBT 取引とは関連性のない、当社の連結子会社である教育測定研究所及び DoubleYard Inc.と持分法適用関連会社である関連会社 B との間の一部取引(以下「グループ間取引」といいます。)に関して、売上の計上が実態を伴うものであるかについての懸念が検出されたため、あずさ監査法人より、追加の調査が必要となる旨の報告を受けたことから、同年9月 16 日、当社はグループ間取引の売上計上の妥当性についての調査を特別調査委員会に追加委嘱するとともに、2021 年9月期第3四半期報告書の提出期限の延長に係る再延長承認申請書を関東財務局に提出し、同日、同年 10 月 15 日までの延長承認を受けました。しかし、その後あずさ監査法人により、その監査手続の中で、上記の特別調査委員会の調査の範囲外である当社及び当社連結子会社と複数の業務提携先等との間の4件の取引(以下「業務提携先との取引等」といいます。)についても、売上高の実在性及び期間帰属の根拠となる証憑の信頼性に疑義がある旨の新たな指摘を受けました。そのため、当社は同年 10 月 15 日に特別調査委員会に対して業務提携先との取引等に関しても調査を委嘱するとともに、暫定的な調査結果の概要をまとめた中間報告書を特別調査委員会から受領しました。 (2) 中間報告書により判明した事実の概要 特別調査委員会の調査により、CBT 取引については、その取引対象の実在性自体には疑義は生じていないものの、法人 A との基本契約書を精査したところ、共同事業から発生する利益を双方が享受する(以下「プロフィットシェア」といいます。)とともに、損失も双方で負担する(以下「ロスシェア」といいます。)ことが規定されて1 CBT(Computer Based Testing):コンピュータ上で実施する各種試験の形態。試験に関わる一連の作業の自動化を実現する。 5 いたことや、当該事業の精算として当社グループが取得した資産については、その取得価格の算定の根拠等が十分とはいえないものも存在することが明らかになりました。また、特別調査委員会から、法人 A との契約にロスシェアが規定されていたことから、将来発生する可能性がある損失に対して 2020 年9月期の第3四半期から 2021年9月期の第2四半期にかけて遡及的に事業損失引当金の計上が必要であることを指摘されました。さらに、調査の対象となった法人 A から取得した資産等については、会計上、資産計上すべきものか費用処理すべきものかの検討は別途必要であるとの指摘を受け、再検討した結果、取得資産の一部をその支出時に費用処理する会計処理を行うこととしました(訂正の内容は(5)①にて後述)。 また、追加調査対象であるグループ間取引については対価に見合う役務提供があったとは認められず、売上の減額を行う必要があるとの指摘を受けました(訂正の内容は(5)②にて後述)。 かかる追加調査の過程において、当社及び連結子会社と、非連結子会社との間の他の取引についても、類似の疑義のある取引が存在しないかを調査したところ、対価の合理性が確認できない契約等が複数検出され、さらに、過年度において当社の連結範囲の決定に際して、連結財務諸表に表示される連結業績を意識した意図的な調整が行われていたとの指摘を受けました。当社は、非連結子会社を遡って連結範囲に含める連結財務諸表の修正を行う方針としました(訂正の内容は(5)④にて後述)。 (3) 過年度決算の訂正及び特別調査委員会の調査継続の経緯 上記(1)に記載のとおり、2021 年9月期第3四半期報告書の提出期限の延長承認を得た後、新たにあずさ監査法人より指摘を受けた業務提携先との取引等についても、当社は特別調査委員会による専門的かつ客観的な調査が必要であると判断しました。調査の委嘱範囲の拡大を検討する中で、特別調査委員会に業務提携先との取引等にかかる調査を追加委嘱した場合は、関東財務局から延長承認を受けた 2021 年9月期第3四半期報告書の提出期限までに特別調査委員会による調査やあずさ監査法人による監査等が完了しないことを認識しました。そのため、投資家保護の観点から市場に対して当該時点での情報を発信する必要性があると考え、延長期限である 2021 年 10 月15 日、2021 年9月期第3四半期報告書を提出するとともに、前記(2)の中間報告書で受けた指摘事項及び、業務提携先との取引等について、当該時点で当社として修正が必要と判断した取引について会計処理を修正し、2016 年9月期から 2021 年9月期第2四半期までの過年度の財務諸表等の訂正を行いました。 業務提携先との取引等の調査に際しては、当社は、後記のとおり、監査意見が意見不表明等になった事態を重く受け止めて、特別調査委員会の調査とは別に、当社独自で、業務提携先等との間の一定規模以上の取引等を中心として個別取引の会計処理について自主点検を進めることとし、業務提携先との取引等と類似する取引を抽出して調査を進めることとしました。このような自主点検を進める中で、当社は、新たに過年度の会計処理を訂正する必要又はその可能性がある複数の取引を認識したため、これらの取引のうち会計処理の訂正範囲に与える影響が大きいもの及び質的に重要な影響を与える可能性がある取引類型について、会計処理の訂正内容を検証しその原因を究明するためには、専門的かつ客観的な調査が必要であると判断し、12 月 24 日付けで、特別調査委員会に追加で調査を委嘱することを決議しました。12 月 28 日には2021 年9月期の有価証券報告書提出期限の延長に係る延長承認申請書を関東財務局に提出し、2022 年1月4日、関東財務局から同年2月 28 日までの提出期限の延長が認められ、現在も特別調査委員会による調査及び自主点検を継続しております。 6 (4) 意見(結論)不表明の経緯 前記のとおり、当社は 2016 年9月期から 2021 年9月期第2四半期までの過年度の有価証券報告書等の訂正を行うとともに 2021 年9月期第3四半期報告書を提出しましたが、これらに含まれる財務諸表等に対する監査報告書等は、2016 年9月期の個別財務諸表が限定付適正意見であった以外は、全て意見不表明又は結論不表明となりました。 訂正後の連結財務諸表等のあずさ監査法人の監査報告書における意見不表明の根拠は次のとおり伝えられております。 『会社は特別調査委員会を設置し、会社及び会社の連結子会社である株式会社教育測定研究所とその特定顧客との間の一部取引(以下、「テストセンター取引」)について、一連の経緯や価格の妥当性を踏まえて経済合理性の調査を実施している中で、有限責任あずさ監査法人(以下「当監査法人」といいます。)の監査において、テストセンター取引とは関連性のない株式会社教育測定研究所と会社の関連会社との間の一部取引等(以下、「グループ会社間取引」)に関連して、売上の計上が実態を伴うものであるかについての懸念を検出した。 これを受け、会社は特別調査委員会による追加調査を実施した。その後、当監査法人の監査において、新たに、株式会社教育測定研究所の売上高の実在性及び期間帰属の根拠となる証憑の信頼性に疑義がある複数取引(以下、「業務提携先等との取引」)が判明したため、会社は 2021 年 10 月 15 日に特別調査委員会の調査範囲をさらに拡大し、特別調査委員会は会社及び会社の連結子会社の業務提携先等との取引及び類似取引の有無についての調査を継続している。 会社は中間報告書に基づきテストセンター取引及びグループ会社間取引についての会計処理の修正を行い、連結子会社の範囲を拡大した。また、会社は自ら、業務提携先等との取引について売上高及び関連する勘定科目の会計処理を修正した。しかしながら、当監査法人は複数の業務提携先に対する売上高の実在性及び期間帰属の適切性に関連する証憑類の信頼性に疑義を抱いたため、当該業務提携先等との取引の裏付けとして入手した証憑類が十分かつ適切な監査証拠であると判断することができず、業務提携先等との取引以外の売上高等においても同様に会計処理の裏付けを入手できていない取引が存在するか否かについての心証を得ることができなかった。 会社は、二度にわたり特別調査委員会の調査範囲を拡大し、売上高に関する事実関係、内部統制への影響及び他の財務数値への影響についての調査を継続中である。当該調査の結果によっては、売上高以外の勘定科目を含めて、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性がある。 上記により、当監査法人は、会社の前連結会計年度に係る訂正後の連結財務諸表に対して意見表明の根拠となる十分かつ適切な証拠を入手することができず、当該連結財務諸表に重要な修正が必要かどうかについて判断することができなかった。このため、当監査法人は、前連結会計年度に係る訂正後の連結財務諸表に対して監査意見を表明していない。当該事項が当連結会計年度の連結財務諸表と比較情報である前連結会計年度の連結財務諸表との比較可能性に影響を及ぼす可能性がある。 加えて、当監査法人は、会社の当連結会計年度に係る訂正後の連結財務諸表に対しても前連結会計年度以前と同様の理由から意見表明の根拠となる十分かつ適切な証拠を入手することができず、訂正後の連結財務諸表に重要な修正が必要かどうかについて判断することができなかった。 これらの理由により、当監査法人は、当連結会計年度の訂正後の連結財務諸表に対して意見を表明していない。』 7 (5) 過年度訂正の処理の内容 特別調査委員会による調査は、現在も継続しており、今後訂正の可能性もある状況ですが、当社は、2021 年 10 月 15 日、特別調査委員会作成の中間報告書等の内容を踏まえ、下記の通り過年度訂正の処理を行っております。 ① CBT 取引 2020 年9月期の第3四半期から 2021 年9月期の第2四半期にかけて、法人 A との共同事業において発生していた事業損失について、基本契約に基づき、両者がそれぞれ個別に計上した収益及び費用に基づく損益を合算した上で、損失を 1/2 ずつ負担するように精算金を受払いする必要があることが判明しました。そのため、当社グループが契約書上負担すべきとされるロスシェア相当分について事業損失引当金(流動負債)の計上を行うと共に、当該取引の相手方である法人 A 向け売上高の減額を行い、また、同社より取得したシステム・コンテンツ資産の取得価額のうち、43 百万円部分については、対価の合理的根拠がないとの中間報告書における指摘に従い、資産(ソフトウェア仮勘定)の減額修正を行いました。さらに、中間報告書を踏まえ、法人 Aから当社グループが取得し資産計上していたシステム・コンテンツ資産合計 12.7 億円のうち 3.8 億円分について、取得時に遡って販売費及び一般管理費(研究開発費等)として費用化し、会計処理を修正いたしました。 ② グループ間取引 前記(1)に記載のグループ間取引に関し、当社関連会社に対する取引として、2020 年9月期に当社連結子会社で計上した1億円の売上について、対価関係が成立する役務の提供が行われたと評価することは困難であるとの中間報告書における指摘に従い、6百万円の売上に減額修正し、残りは預り金として計上しました。 ③ 業務提携先との取引等 上記①、②に加えて、前記(2)に記載の業務提携先との取引等の一部について、当社において必要と判断した限りで、以下の通りの会計処理を行いました。 <取引1:業務提携先との取引> 当社子会社である教育測定研究所が法人 C 社へソフトウェアを販売し 2018 年 9 月期に一括で 70 百万円の売上計上を行った一方で、販売先から同ソフトウェアのライセンスを受けていた取引につき、当該取引をセール・アンド・リースバック取引とみなすべきと判断し、その売上取引および 2018 年9月期以降の売り先に対するライセンスフィーの売上を取消し、70 百万円のリース資産およびリース債務を計上し、期間(5年)で償却することといたしました。 <取引2:業務提携先との取引> 当社子会社である教育測定研究所が運営するオンライン多教科教育プラットフォームに参画する法人 C 社に、プロフィットシェアを受ける権利を付与する取引で、2018 年4月から 2021 年3月まで 540 百万円を売上計上しておりましたが、プラットフォームの開発コストが初期に集中することなどから、C 社の支払額を初期に傾斜させ、前半部分に売上が多く計上される建付けとなっていました。それらの傾斜分 216百万円一部をプラットフォーム利用期間(2018 年4月から5年)に応じて期間均等按分で売上認識することとし、同期間の売上を 324 百万円に修正することといたしました。 8 <取引3:業務提携先との取引> 当社子会社である教育測定研究所が運営するオンライン多教科教育プラットフォームに法人 D 社が参画し、プロフィットシェアを受ける権利に関する取引を行った後で、法人 D 社から、プラットフォームでコンテンツを提供するためのシステム上の試験環境と本番環境の提供を行うことの対価として受け取った 2019 年9月に一括で計上した売上 100 百万円をプラットフォーム利用期間(2019 年7月から 63 カ月)に応じて期間均等按分で売上を計上することといたしました。 <取引4:業務提携先との取引> 当社が法人 C 社に提供した非認知能力育成・指導プロダクトに関する基本設計書を提供し、2021 年3月に計上した売上取引(50 百万円)の納品日・検収日を再確認した結果、2021 年4月 13 日に納品・検収が行われていたため、2021 年4月の売上に修正することといたしました。 ④ 連結の範囲の見直し 上記記載のとおり、当社は、特別調査委員会から受領した中間報告書において、過年度において当社の連結範囲の決定に際して、意図的な調整が行われていたとの指摘を受けました。当社は連結の範囲を見直し、原則として全ての子会社を含めたグループ業績を報告するため、非連結子会社としていた傑愛夢科技(北京)有限公司、教测网络科技(上海)有限公司、至優教育科技有限公司、Kyoshi Education Private Limited社及び SmartCloud Infoservices Private Limited 社を連結子会社とすることで、当社の子会社 15 社のうち、14 社を連結子会社(その他1社2を非連結子会社)とすることといたしました。なお、DoubleYard Inc.社、DY Europe Inc.社及び JIEM INDIA PRIVATE LIMITED 社につきましては、2020 年9月期より連結子会社としておりましたが、DoubleYard Inc.社については 2019 年9月期に、JIEM INDIA PRIVATE LIMITED 社については 2016 年9月期に遡及して連結の範囲に含めることといたしました。 非連結子会社の連結処理の結果は以下の通りです。 (連結処理された非連結子会社3と決算期) 非連結子会社名 北京公司 上海公司 無錫公司 DY DYEU JIEMIN JICS(Kyoshi) SmartCloud 連結処理を行った決算期 2016/9 ● ● – – – ● ● – 2017/9 ● ● ● – – ● ● – 2018/9 ● ● ● ● – ● ● – 2019/9 ● ● ● ● – ● ● – 2020/9 ● ● ● 2021/9 ● ● ● ● 既連結 既連結 既連結 既連結 ● ● 2 Edulab Edtech Parners LP は、米国のベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーシップに共同投資者とともに投資するために設立した会社であり、当社グループと継続する取引がなく、重要性も低いため、非連結子会社としております。 3 過年度を含めこの 8 社以外にも非連結子会社は存在しますが、事業に係る連結会社との取引がない非連結子会社は連結処理の対象としておりません。 9 (非連結子会社の連結処理に伴う連結財務諸表への影響額) 連 結 貸 借 対 照 表 (単位:百万円) 2016/9期期末 2017/9期期末 2018/9期期末 2019/9期期末 2020/9期期末 2021/9期 2Q 末 流動資産 固定資産 資産合計 流動負債 固定負債 負債合計 純資産合計4 16 △21 △5 12 - 12 △17 24 △151 △127 4 - 1 △224 △223 67 - 4 △131 67 △290 △394 △37 △431 127 - 127 △558 △302 △218 △520 112 - 112 △632 △249 △271 △520 127 - 127 △647 連 結 損 益 計 算 書 (単位:百万円) 2016/9期通期 2017/9期通期 2018/9期通期 2019/9期通期 2020/9期通期 2021/9期 2Q 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益5 14 23 18 17 8 △110 △114 △115 22 △189 △193 △157 △197 △263 △267 △281 △44 △252 △233 △224 27 △37 △37 △35 II. 改善措置 1. 過年度決算訂正に至った原因の分析 当社取締役会は、構成メンバーにおける社内取締役の比率が14名中12名と高くなっておりました。さらに社内取締役の多くは、グループ会社における会議体のメンバーと重複しており、グループ会社間やグループ会社と業務提携先との取引に関して、本来それぞれ別会社としての認識や監督する立場として意思決定が十分に出来ていなかった可能性があったと考えております。また、社内取締役の数が多いことで相対的に社外取締役の比率が低くなり、議案についての社外取締役の影響力が低下していたことや、社内取締役の中にも当社取締役会における議論に積極的に参加しないまま議案を承認する者が多くなるなどの問題点もあったと考えております。 また、当社グループにおいては、長年に渡って取引関係のある業務提携先やグループ会社間の取引が多く、通常の第三者との取引と異なるプロセスのもとで、財・サービスの価格などの条件が決定されているケースが散見されました。このような商習慣が全社的に当たり前になっていたこと、また、こうした環境の下で会計上疑義が生じ得る取引を未然に抑止・防止するために本来あるべき内部統制機能が十分に機能していなかったことも今般の過年度決算訂正を行うに至る原因になったと考えております。 内部監査体制については、過去より専担者による内部監査を行っていましたが、今回の不祥事の内容を踏まえると、会社の事業の特質や経営環境を踏まえたリスク評価とそれに対応した手続が十分ではなかったと考えております。したがって、内部監査について、体 4 その他の包括利益累計額、非支配株主持分にも影響が生じております。 5 親会社株主に帰属する当期純利益であり、非支配株主に帰属する当期純利益は含まれません。 10 制の強化が望ましい状況にあると考えております。また、当社では内部通報制度を設けており、これまで通報実績もあったものの、この度の特別調査委員会による調査の対象となっている一連の取引等については特段の通報が寄せられなかったことを踏まえ、内部通報制度の周知徹底や活用の啓蒙について不足がなかったか見直しを行う必要があると認識しております。 以下では、過年度決算訂正の原因となった問題点の分析と、これを監視・モニタリングする内部統制に課題があったことについて、現時点における当社としての認識を整理いたします。 (1) 取締役会を始めとした各監督機能の課題 当社の取締役会は、社内取締役の数が多く相対的に社外取締役の影響力が低下していたことや、社内取締役において取締役会における議論や検証の重要性に対する理解が不足しており、議論に積極的に参加しないまま議案を承認する社内取締役が多かった等の理由からガバナンスが十分に効いていなかったと認識しております。また、役職員においても、規程に対する理解が不足しており、重要な契約内容について取締役会上程前に十分な議論、検証がされていない、適時適切なタイミングで上程されていない、配布される説明資料において取引の全体像等を理解する上で必要となる十分な情報が開示されていない及びそもそも上程されていないことが問題であると認識しております。例えば、非連結子会社及び関係会社とのグループ間取引が関連当事者取引であるとの認識が不十分であり、関連当事者取引規程通りの運用が出来ていなかったことが発覚しております。また、取締役の指名・報酬等に関する手続きの客観性・透明性を高めるために、社外取締役を中心とした指名・報酬委員会の設置を検討する等、ガバナンスの強化に向けた議論が不十分であったことを認識しております。 (2) 適切な会計処理および開示に対する理解不足 今回の調査で検収日と納品日に即した適切な会計処理がなされていない取引等が複数検出されております。事業部門では、顧客との契約に基づいて適切な会計処理を正確に行うために、受注稟議や発注稟議等、各種稟議を適切なタイミングとプロセスに則って運用しなければならないという認識が十分浸透せず、上長及び担当取締役についても、誤った日付が記された検収書が添付された売上報告稟議を承認しておりました。また、経理部から会計上の指摘を受けた取引についても、これを迂回するような取引が事業部で進められたことがセール・アンド・リースバック取引で検知されております。また、役職員の会計に対する知識、理解力が不足しており、それらを改善するための取り組みがなされていなかったことも要因の一つであったと認識しております。 (3) 顧客との取引における価格(含む資産取引)の妥当性や、関係会社向けのライセンス価格の適正性の検証体制 業務提携先や関連会社との取引において、第三者との取引と同水準の価格設定や取得する資産の価値に対する第三者評価を取得する等、適切なプロセスを経ずに取引が行われており、その算定根拠等が不十分であったことが判明しました。また、一部の業務提携先や関連会社との取引については対価に見合う役務提供があったとは認められず、売上の減額を行う必要があるとの指摘を受けました。 (4) 内部統制上の手続(契約書締結、承認プロセス等)の課題 当社は、事業部門において新規事業の構築や契約の締結をする場合、管理部門の関与の度合いを高め、法律的・会計的論点を早期に洗い出して、事業部門に検証させるプロセスが十分構築されておりませんでした。事業部から申請される、稟議内容を精11 査する体制が不足し、会計上重要な影響を与えるため取締役会等の会議体に上程すべき基本契約等の締結について、当該契約等に取引金額が記載されていなかったため、付議基準への該当性につき形式的な判断で見落とされ、また、経理を中心とした管理部門による内容の検証が不十分で、取引条件の合理性を確認できていない等、内部統制に課題がありました。 (5) 社内規程等を遵守する意識および規程違反のモニタリング体制における課題 社内規程等を遵守する意識が不十分であり、また規程違反についてのモニタリングの手法が十分でなかったと考えております。特に契約締結に際して日付のバックデートを行うことに対する問題意識が十分でなかったこと等が、今回の過年度決算訂正の大きな原因の一つとなったと考えております。また、職務権限規程などの理解が不十分且つ規程遵守の意識が弱く、適切に取締役会や経営戦略会議への上程ができていなかったこと、取引を行う前に契約を締結するという意識に欠け、適切な対応が取れていなかったこと、取締役会回避のための意図的な契約の分割等を検知する仕組み等の十分なモニタリング体制が構築されていなかったことを認識しております。 2. 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む。) 当社は、2021 年 10 月 15 日付で、中間報告書という形で特別調査委員会による調査報告書を受領しました。それらは暫定的な内容ではあるものの、監査意見が不表明となったことも含め当社は真摯に受け止め、全社の内部統制の在り方について自主的に見直すことと致しました。ただし、2022 年2月下旬に受領する予定の最終調査報告書の内容に応じて、今後、再発防止に向けた改善策を変更する可能性があります。 (1) 取締役会の構造改革( II.1.(1)に対応) (ア)社外取締役の充実 これまでの社内取締役の比率が高かったことを見直し、2021 年 12 月 23 日の定時株主総会において、社内取締役の数を 12 名から4名に減らし、社外取締役の数を2名から4名に増やすことで、社外取締役比率を半数に変更しております。また、今後のガバナンス体制および内部統制の体制を早期に再構築し、世代交代を行うことによって事業活動を再度軌道に乗せることを目的に、髙村淳一、松田浩史及び関伸彦を当社代表取締役として再任せず、新たに廣實学を代表取締役に選定いたしました。なお、これらの役員体制は次回 2022 年3月開催予定の臨時株主総会までの暫定的なものとし、今後受領する予定の特別調査委員会による調査結果の内容を踏まえ、再度検討する予定です。 (イ)指名・報酬委員会設置 取締役の指名・報酬等に関する手続きの客観性・透明性を確保するために、任意の指名・報酬委員会設置に向けた規程案を 2021 年 12 月 23 日の取締役会にて報告し、2022 年1月 26 日の取締役会において決議する予定です。次回 2022 年3月に予定されている臨時株主総会では、この指名・報酬委員会の答申を得た取締役候補を提案する方針です。また、その報酬額についても、同委員会の答申を得たものとすることを念頭においております。 (2) 経営責任の明確化(II.1.(1)に対応) 当社は、現時点で中間報告を受領した段階であり、その内容を踏まえて取締役会の構造改革に取り組んでおります。経営責任の明確化および社内処分については、特別12 調査委員会による報告書の内容を踏まえて最終的に決定する予定です。 (3) 当社グループ役職員における会計処理に対する理解の醸成(II.1.(2)に対応) 当社は、会計上の疑義を生じた案件についてケーススタディ化し、経理知識と経理手続きの重要性について、経営層に対する定期的な研修(最低半年に1回)と事例共有を行うとともに、経理業務と取引ストラクチャリング業務の分離と再確認の徹底や、類似の事態が発生する予兆を捉え、速やかに情報の共有を行い、再発を防ぐ体制を整えます。上記研修は 2022 年2月から開始し、講師は会計に詳しい管理業務所管の管理職、社内の有資格者、社外の関連資格を保有するアドバイザーの何れかの者又はその組み合わせにて行うことを想定しております。 (4) コンプライアンス意識の徹底(II.1.(2)、(3)及び(5)に対応) (ア)全社的な役職員に対するコンプライアンス研修の充実 これまで当社はコンプライアンスに関わる研修を年に1度行ってまいりましたが、今後はこれに内部統制や、規程の理解促進を主題としたものを取り入れ、内容の充実化を図るとともに、年間を通じて必要な研修を複数回実施してまいります。 ① 内部統制の理解促進 2022 年1月より全社の役職員を対象とした「J-SOX 法と内部統制の理解」を目的とした e-Learning 研修を実施しております。この研修は年に1度、継続的に実施してまいります。 ② 規程の理解促進 2022 年4月を目処に、規程の理解促進を目的とした研修を規程に基づき業務を行うことが必須の職員を対象に実施します。この研修は半年に1度、継続的に実施してまいります。 (イ)階層別の意識向上・醸成の機会設定 コンプライアンス意識向上・醸成の礎として、当社代表取締役社長からグループ社員全員に対して、内部統制の重要性に関するメッセージを半期毎に発信します。その上で、階層別に意識向上・醸成の機会を設けることとします。 ① 役員としての責務の再認識と法令等改正にキャッチアップする機会 社内役員を対象として、他社における内部統制整備や強化の豊富な実務経験を有し、役員の経験を有する講師の知見に基づき、会社法・投資家からの期待といった観点で、取締役に求められる責務を再認識する機会を設けます。2022 年4月以降に初回を実施する予定です。 また法令等の改正点についてもアップデートする機会を設けます。目下、2022 年2月を目途に 2021 年6月のコーポレートガバナンスコード改訂等に関して、有識者による講話を実施する予定です。上記に加え、社外役員の知見のアップデートに向けた施策を具体化します。 ② 職員間の討議 役職員(特に事業企画や営業の上位職者)にケーススタディに基づく研修13 を実施することを検討しています。研修参加者を少人数のグループに分け、担当業務に類似したリスクが潜在しないか等を討議し、コンプライアンス意識醸成の機会とします。 ③ スモールミーティングの実施 社員との距離感を縮め、帰属意識の向上や必要な情報が経営層に伝わりやすい組織の醸成に取り組むことを目的に、代表取締役社長とグループ内の従業員との少人数ベースでのコミュニケーションの場を設けることとし、2022年 1 月から開始しており、年に2回の開催を予定しております。 (5) ガバナンス体制の強化(II. 1.(1)及び(4)に対応) (ア)取締役会による監督機能強化 ① 上程案件に関する事前説明の機会増 これまでは取締役会に向けて事前に資料の共有を行い、質問を受けたときに対応するのみでしたが、今後はより本質的な討議や意見交換が行われるよう、2022 年1月より社内役員向けに上程議案の説明会の実施を新たに開始しました。また社外役員に対しても上程議案に関する事前説明の機会を設けます。 ② 関連当事者取引の監視強化 当社は、非連結子会社及び関連会社との取引に問題があったと認識し、連結範囲を見直して原則的に全ての子会社を連結しました。関連当事者間取引については、事前のスクリーニングの強化による検出および契約の内容とその適切性の確認が必要であると認識しており、経理・財務・法務等の管理部門が契約締結前に事業部と協議を行います。 (イ)社内規程の整備・改訂及び業務フローの見直し ガバナンス体制の実効性を高めることを目的として、他社事例にも詳しい公認会計士などの有資格者の助言等も得ながら社内規程及び業務フローの点検を行います。主要規程については、2022 年5月までに整備・改訂を行います。また、事業部門において新規事業の構築や契約の締結をする際に、管理部門の関与の度合いを高め、法律的・会計的論点を早期に洗い出すプロセスを構築してまいります。特に業務提携先や関連会社との取引においては、第三者との取引と同水準の価格設定や取得する資産の価値に対する第三者評価を可及的に取得すること、また成果物の適正性を確認する体制を構築いたします。 (ウ)稟議の承認フローの見直しとモニタリング強化 前項の施策を踏まえ、稟議の承認フローについて 2022 年6月を目途に改善します。現在は稟議受付ステップの担当者を増員し、手続き上のミスや意図的な稟議の分割等を防止する等モニタリング体制を強化し、実効性のあるガバナンス体制の構築に継続的に取り組んでまいります。 (エ)内部通報制度の周知徹底 内部通報制度の活用を 2022 年1月より定期的に(3か月に1回)社内へ電子メールにより周知します。その上で、利用状況と通報を受けた会社の対応状況については、通報者保護に配慮しつつ社内で共有します。 14 (オ)社内規程の周知徹底 一連の不祥事に基づき、或いは点検を通じて改訂される社内規程について周知いたします。これまで入社時および規程改訂時に周知していた他、全社員が常時閲覧可能な状態にしておりましたが、今後は上記の規程の理解促進のための研修を実施するとともに、社内の周知を徹底いたします。 (6) 管理・監査体制の強化(II.1.(1) (3)及び(4)に対応) (ア)管理部門のスタッフ増強 管理体制の強化を目的として、管理部門(総務人事、財務企画、経理の各本部)及び内部監査室で現在 20 名のところ、29 名とすることを目処に人員増強を行います。当社は、内部統制の再構築を最重要の課題と捉え、2022 年1月に内部統制の専門スタッフを採用し、専門的な知見を取り入れながら最適な体制を構築すべく、具体的な人員計画を 2022 年3月末までに策定いたします。 (イ)内部監査体制の見直し 内部監査室の内部監査の計画と手続きを見直し、これを行うために監査業務の経験があるスタッフを増員いたします。リスク評価にあたっては、内部監査室のメンバーが社内重要会議への出席機会を拡げるなど、リスクを特定、分析、評価するために必要な体制を 2022 年4月末までに構築してまいります。 (ウ)監査役、内部監査、会計監査人の連携強化 前項の内部監査体制の見直しを通じて、内部監査室によるリスク評価において、監査役会・会計監査人と意見や情報の交換を強化するなど、より緊密な連携体制を構築します。 監査役会は三者間の連携の状況を把握し、その充実をはかるために積極的に行動してまいります。 3. 意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み 当社は、2021 年8月2日に開示した「2021 年9月期第3四半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請書提出に関するお知らせ」を始めとして、決算開示の延長申請を繰り返しており、現在も 2021 年9月期の有価証券報告書が提出出来ていない状態です。また、2021 年 10 月 15 日には 2018 年9月期からの有価証券報告書等の訂正を行うと同時に、当社の会計監査人であるあずさ監査法人より過去の決算書において意見不表明・結論不表明の表明を受けております。 意見不表明・結論不表明の理由として、あずさ監査法人からは、複数の業務提携先に対する売上高の実在性及び期間帰属の適切性に関連する証憑類の信頼性に疑義を抱いたため、当該業務提携先等との取引の裏付けとして入手した証憑類が十分かつ適切な監査証拠であると判断することができず、業務提携先等との取引以外の売上高等においても同様に会計処理の裏付けを入手できていない取引が存在するか否かについての心証を得ることができなかったと伝えられております。 当社は、この事態を重く受けとめ、一刻も早くこの事態を解消すべく、特別調査委員会の調査と並行して、特別調査委員会による調査の対象となっている案件と類似する案件と考えられる業務提携先等との間の一定規模以上の取引等を中心とした個別取引の会計処理について点検を進めており、2021 年 10 月 15 日から開始し現在も継続中です。2022 年 1 月以降は、当該自主点検の客観性を高めるため、社外監査役の監督の下、当社内のリソースに加えて、当社からの中立性の高い弁護士および会計士からな15 る外部専門家の支援を得ながら実施しております。 この過程で、当社は、新たに複数の取引の売上計上等に関し、過年度の会計処理を訂正する必要又はその可能性があることを検知しております。これらの取引類型のうち、会計処理の訂正範囲に与える影響が大きいもの及び質的に重要な影響を与える可能性があるものについては、会計処理の訂正内容及び原因究明について、自主点検のみによるのではなく、専門的かつ客観的な調査が必要であると判断いたしました。これを受けて、当社は、12 月 24 日付けで上記取引に関しても特別調査委員会に追加で調査を委嘱することを決議し、12 月 28 日には 2021 年9月期の有価証券報告書提出期限の延長に係る延長承認申請書を関東財務局に提出し、2022 年1月4日、関東財務局から同年2月 28 日までの提出期限の延長が認められ、現在も調査を継続しております。 新規追加取引としては、①取引量の多い特定の取引先から受託した多数のシステム開発に関する受託案件についてのソフトウェア資産計上の妥当性や収益の期間帰属の妥当性の確認を要する取引として、類型別に代表的な取引3件、及び、②深度ある原因分析を要するものとして、当社のプラットフォーム事業に関する特定の業務提携先等との取引1件を抽出しております。 当社としましては、上記の特別委員会の調査とともに自主点検を進め、当社の過年度の会計処理に係る調査を完遂し、当社のガバナンス体制及び内部統制の体制を早期に再構築し、過年度の数字を点検することで、2021 年9月期だけではなく、意見不表明又は結論不表明とされた 2016 年9月期から 2020 年9月期の連結財務諸表等についても、適正意見の監査報告書又は無限定の結論の四半期レビュー報告書を受領すべく、あずさ監査法人と引き続き協議を継続してまいります。当社は、有価証券報告書の延長後の提出期限である 2022 年2月 28 日までに調査報告書を受領し、適正意見を取得した上で、一刻も早く有価証券報告書の提出ができるよう全社一丸となって取り組んでまいります。 16 III. 改善措置の実施スケジュール 17 IV. 不適切な情報開示が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識 当社は、この度、過年度決算を訂正することとなり、関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。 今後このような事案を二度と起こさないように、内部管理体制を早急に整え、前述Ⅱ.改善措置に述べました再発防止策を全役職員一丸となって確実に実行し、上場会社としての信頼の回復に努めてまいります。 また、当社は引き続き、特別調査委員会の調査に全面的に協力し、調査結果につきましても、調査報告書の受領後、速やかにお知らせいたします。 以上 18

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしたい方はこちらからどうぞ
URLをコピーする
URLをコピーしました!