コニカミノル(4902) – 統合報告書2021

URLをコピーする
URLをコピーしました!

開示日時:2022/01/11 00:30:00

PDFを拡大して表示

損益情報

※金額の単位は万円

発表日 売上高 営業益 経常益 EPS
2018/03/31 103125600.0 5384400.0 5384400.0 64.96
2019/03/31 105912000.0 6244400.0 6244400.0 84.03
2020/03/31 99610100.0 821100.0 821100.0 -6.21
2021/03/31 86338100.0 -1626700.0 -1626700.0 -30.75

▼テキスト箇所の抽出

統合報告書2021RETHINK WHAT’S POSSIBLE1統合報告書財務情報●有価証券報告書●決算短信●招集通知/株主通信  など非財務情報●サステナビリティサイト●コーポレートガバナンス報告書  ●知的財産報告書●テクノロジーレポート  ●IT(DX)パフォーマンスレポート など目次目次 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1はじめに ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・2統合報告書2021の位置づけ価値創造ストーリー・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・3コニカミノルタフィロソフィー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・4コニカミノルタのDNA ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・5価値創造プロセス ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・6価値創造に向けたマテリアリティ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7投資家の関心中長期の価値創造戦略 ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11当社にとっての重要度価値創造を支える基盤・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 41データセクション中期経営計画の変遷 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・12CEOメッセージ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・13 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17中期経営計画「DX2022」 CFOメッセージ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27中長期の成長ドライバー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・29環境戦略 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・37コーポレートガバナンスの概要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・42取締役会議長メッセージ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・43指名・監査・報酬委員長メッセージ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・45コーポレートガバナンス ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48リスクマネジメント ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・55役員一覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・57外部評価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・60財務データハイライト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・61非財務データハイライト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・63マテリアリティごとのKPI(2022年度の中期計画) ・ ・ ・ ・ ・ ・65事業セグメント別データハイライト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・67SASB対照表 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・69会社概要・株式情報 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・70用語集 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・71見通しに関する注意事項この統合報告書に記載されている当社の現在の計画・戦略および将来の業績見通しは、現在入手可能な情報に基づき、当社が現時点で合理的であると判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績はさまざまな要素によりこの統合報告書の内容とは異なる可能性のあることをご承知おきください。表紙の「RETHINK」についてRETHINKとは、コニカミノルタがグローバルで掲げる共通メッセージです。コニカミノルタはさまざまな物ごとをRETHINKすることで、本当の課題を見出し、新しい視点や技術で解決していきます。KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針2参考にしているフレームワーク●Value Reporting Foundation(VRF)「統合報告フレームワーク」●経済産業省「価値協創のための総合的開示・対話ガイダンス」※サステナビリティサイトでは、GRIスタンダード、SASBスタンダードを参考に情報を開示しています。GRIスタンダード対照表:https://www.konicaminolta.jp/about/csr/csr/vision/gri.htmlSASBスタンダード対照表:https://www.konicaminolta.jp/about/csr/csr/vision/gri-sasb.html賛同している主な国際的イニシアティブ●国連グローバル・コンパクト●持続可能な開発目標(SDGs)●TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)●RE100はじめに当社は、2020年度に、2030年を見据えた長期の経営ビジョンと2022年をゴールとする中期経営計画「DX2022」を策定し、これからの10年を見据えた新たな経営をスタートさせました。本報告書では、この経営ビジョン、中期経営計画「DX2022」を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた事業ポートフォリオ転換に向けた戦略や、その戦略を支える無形資産の強化策などについて報告しています。また、企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス強化に向けた取り組みを報告しています。本報告書の作成にあたっては、Value Reporting Foundation(VRF)が提唱する「統合報告フレームワーク」や、経済産業省が提唱する「価値協創のための総合的開示・対話ガイダンス」なども参照しながら、全社横断的に各部門が協力して編集しています。私は、その作成プロセスおよび記載内容が正当であることを確認しました。当社は、財務情報と非財務情報を体系的にまとめることで、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様に当社をご理解いただくためのコミュニケーションツールとして、この統合報告書を作成してきました。2015年度から統合思考のアニュアルレポート(2017年からは媒体名を「統合報告書」に改称)を発行しており、今回が7回目の発行となります。今後も統合報告書を対話のツールとして活用し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。代表執行役社長 兼 CEO山名 昌衛KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針3価値創造ストーリー「Imaging」の力で、新しい価値の創造へKONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針4コニカミノルタフィロソフィーコニカミノルタは、2030年を見据えた長期での経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」を策定しました。それにともない、2003年のコニカミノルタ発足以来不変の「経営理念」、2030年を見据えて目指す姿を示した「経営ビジョン」、価値創造の源泉としての企業文化・風土である「6つのバリュー」、そして「お客様への約束」で構成されるコニカミノルタフィロソフィーの体系を再整理しました。KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針人々の“みたい”に応え、新しい価値を創造するコニカミノルタのDNA当社は創業以来150年近くにわたってカメラ、写真事業で培ってきた画像の入出力、画像処理を中核とする「イメージング」技術を活用して、世界中のお客様の“みたい”という想いに応え、人々の生きがいを実現してきました。これこそ私たちの原点であり、これからも引き継いでゆくべきDNAだと考えています。“みたい”に応える、進化の系譜原点カメラやフィルムの技術材料光学コア技術画像微細加工5看たい 介護スタッフの業務をみえる化疾病の兆候をみえる化社会における安全・安心のみえる化印刷のプロセスの課題をみえる化バーチャルな世界をみえる化診たい疾病を早期にみえる化視たいモノづくりの品質をみえる化見たい印刷物を高精彩にみえる化観たい美しい映像をみえる化見たいビジネスドキュメントをみえる化オフィス内の出力環境をみえる化業務プロセスの課題をみえる化KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針6将来的な社会課題を見据え持続的な価値創造へマテリアリティP7働きがい向上及び企業活性化将来的な社会課題価値創造プロセスコニカミノルタは、「顧客接点」「技術」「人財」といった無形資産を活かして、独自の「画像IoTプラットフォーム」をベースとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、各事業の競争力強化を図っています。各事業において、お客様の“みたい”というニーズに応えるソリューションを提供することでマテリアリティを追求し、将来的な社会課題の解決に貢献していきます。事業活動デジタルワークプレイスP21画像IoTプラットフォームP20プロフェッショナルプリントP21ヘルスケアP22インダストリーP22健康で高い生活の質の実現社会における安全・安心確保ワークフロー変革、業務生産性の向上印刷現場のワークフロー変革、マーケティングROI向上社会課題の解決早期診断・早期発見、診断の質の向上気候変動への対応工業製品の品質向上、製造現場の生産性向上有限な資源の有効利用ガバナンスP42財務・非財務資本への再投資・配分無形資産 P23技術財務資本 P272030IMPACTキャッシュ・フローの創出OUTCOMEOUTPUTINPUT“みたい”に応える顧客価値提供●ビジネスライフサイクルの 短縮傾向●先進国の労働人口減少/ 少子高齢化●医療費負担の増加●医師不足●介護スタッフ不足●社会インフラの老朽化●気候変動●情報セキュリティーリスクの増大●テロ・災害の脅威●資源枯渇●●● ●顧客企業: 約200万社●セールス・ サービス体制: 約150カ国●特許保有件数: 約2万件●研究開発費: 650億円●戦略投資:約3,000億円(過去10年間の合計)●自己資本比率:45.3%(格付け用)人財●画像IoT人財: 約500人●システム エンジニア: 約2,000人顧客接点KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針価値創造に向けたマテリアリティ2030年からバックキャストし、5つのマテリアリティを特定マテリアリティ2030年に目指す姿関連するSDGs今日、人口構成の変化や社会保障費の増大、気候変動、資源枯渇などの社会課題が顕在化しつつあります。コニカミノルタは、2030年を見据えて、これらの課題が当社グループと社会に与える影響を機会とリスクの観点から評価し、そこからバックキャストして「今、私たちがなすべき」ことを5つのマテリアリティとして再特定しました。これらのマテリアリティを軸に事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することで、中長期の企業価値向上につなげていきます。7働きがい向上及び企業活性化を整備自社およびお客様・社会での生産性を高め、創造的な時間を創出し、個々が輝ける環境健康で高い生活の質の実現自社およびお客様・社会での健康で高い生活の質を提供し、個々の豊かな生活を実現社会における安全・安心確保お客様・社会の労働や暮らしにおける安全・安心を高めるとともに、自社製品・サービスのリスクを最小化気候変動への対応自社のCO2排出を削減しつつ、お客様・調達先でのCO2削減を拡大し、社会のカーボン量をマイナスに有限な資源の有効利用自社資源の有効利用を進めつつ、お客様・調達先などでの資源の有効利用貢献量を創出KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針8STEP3妥当性確認、特定サステナビリティ推進会議で議長を務めるグループサステナビリティ責任者(サステナビリティ担当役員)は、これらのマテリアリティの評価プロセスおよび分析結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを確認します。特定したマテリアリティは、経営層による審議の上、取締役会による承認を受けています。本マテリアリティ特定プロセスについて、毎年見直しが行われます。この見直しにより、課題設定と計画の妥当性を担保しています。価値創造に向けたマテリアリティマテリアリティ特定プロセスSTEP1課題のリストアップGRIスタンダードやSDGsなどの国際的なフレームワークやガイドライン、各専門分野のマクロトレンドなどを参照しながら環境・社会・経済面での課題を広範囲にリストアップしました。リストアップにあたっては、ストックホルム・レジリエンス・センター※の「SDGsウェディングケーキモデル」を参照しました。このモデルはSDGsの概念を表す構造モデルとして作成され、SDGsで設定されている17の目標の関係性をつかむことにつながります。17の目標 が「ECONOMY」「SOCIETY」「BIOSPHERE」の3層に分類されており、「BIOSPHERE」が土台となって持続可能な「SOCIETY」「ECONOMY」を 支 え、「SOCIETY」の目標を達成することで持続 可 能な「ECONOMY」の基 盤を作ることができます。この関係性を念頭に置きながら、課題を抽出しました。また抽出にあたっては、コニカミノルタが関連する、あるいは関連する可能性がある事業領域、そのサプライチェーン/バリューチェーンを範囲として、社会・環境変 化や規 制・政 策 動 向、ステークホルダーからの要請事項などを考慮して進めています。※ ストックホルム・レジリエンス・センター:https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06-14-how-food-connects-all-the-sdgs.htmlSTEP2課題の抽出と重要度評価リストアップした課題のなかから、特にコニカミノルタの事業に関連性の高い分野を抽出したうえで、マテリアリティ分析(重要度評価)を行いました。コニカミノルタのマテリアリティ分析は、リスクと機会の側面をそれぞれ評価している点に特徴があります。リスクと機会をそれぞれ評価することで、SDGsを進めるにあたり、企業に期待されている「社会・環境課題を機会と捉えビジネスを通じて解決することで事業成長を図る」ことを実践しています。マテリアリティ分析は、それぞれ「ステークホルダーにとっての重要度(お客様、お取引先、株主・投資家、従業員など)」と「事業にとっての重要度(財務的な影響度)」の2軸で5段階評価し、優先順位を付けました。機会側面リスク側面事業としての重要度(DX事業)利益貢献事業としての重要度利益貢献671241453108131617 189121511ステークホルダーにとっての重要度123456789101112131415161718デジタル技術を使った「働き方」のソリューション提供による、お客様企業の生産性向上と創造的な時間の創出現場で働く人のワークフローを変革する製品・サービスの提供による、お客様企業のサプライチェーンでの生産性と働きがいの向上新しい価値を生み出す源泉である「人財」の潜在力を引き出し、「個が輝く」組織へ中小企業のデジタルデバイド(IT格差)解消による、人手不足の解消とサイバーセキュリティーの強化画像IoTを使ったシステムと現場オペレーションのコンサルティングサービスによる介護業務のワークフロー変革と介護業界の労働力創出高付加価値の医療サービスを提供することで、疾病予防、疾患を早期発見し、医療費を削減遺伝子検査技術などを活用した創薬プロセスの革新による、医薬品開発の効率化途上国における医療サービスのアクセシビリティ向上ガス等を可視化する製品・サービスの提供による、お客様企業の現場および社会の安全・安心向上高度な計測・検査を可能にする製品・サービスの提供による、お客様企業の品質確保製造プロセスへのソリューション提供による、お客様・社会のエネルギー /CO2負荷低減働き方変革ソリューションの提供による、ペーパーレス、ユビキタス社会の実現DXを活用したお取引先の環境負荷低減支援による飛躍的なCO2削減とコスト削減の実現オンデマンド生産による無駄のないお客様企業のサプライチェーン構築お客様企業のワークフロー、サプライチェーンのロス削減SDGsイノベーション創出が埋め込まれた企業文化の形成投資家とのESGリレーションの向上ESGを活用した顧客関係強化4391178561012●■ 働きがい向上及び企業活性化●■ 健康で高い生活の質の実現●■ 社会における安全・安心確保●■ 気候変動への対応●■ 有限な資源の有効利用●■ 横断的課題● 事業での価値創出■ 自社活動(機能)での価値創出急速な制度・環境の変化にともなう社内のスキルと業務とのミスマッチの発生ダイバーシティを重視した環境づくりの停滞による、従業員の多様性と自律性、イノベーション力の低下製品・サービスにおいて、使用者の生命、身体に重大な被害を及ぼす事故が起きた場合の社会的信用の失墜製品・サービスにおいて、情報漏洩・プライバシー侵害につながる重大なセキュリティー事故が発生した場合の社会的信用の失墜生態系汚染やヒトへの健康被害につながる物質の使用による操業・製品出荷への影響エネルギー価格の高騰/原料不足による部材コストアップ/供給の不安定化エネルギー価格の高騰/原料不足によるペーパーレスの進行異常気象によるサプライチェーンの寸断サーキュラーエコノミーへの対応遅れによる競争力低下水資源の枯渇・水リスクによる生産の遅延・停滞ビジネスパートナーのガバナンス不足による社会的信用の低下ステークホルダーにとっての重要度1234567891011KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針9価値創造に向けたマテリアリティマテリアリティごとの機会とリスク、中期計画マテリアリティ働きがい向上および企業活性化健康で高い生活の質の実現社会における安全・安心確保2030年を想定した環境・社会課題日本をはじめ、世界の多くの経済圏において労働力が不足すると予想されています。産業構造が変容するなか、必要とされる労働力に偏重が見られることにより、結果として労働力の不足が発生し、「スキルのミスマッチ」が広がると想定されます。2030年にはGDP上位70%を占める国において約1億人の労働力不足が起こるともいわれています。例えばロボットや自動化といったテクノロジーが多くの仕事にとって変わります。それは製造現場だけでなく、オフィスでも同様です。したがって、生産性を高めることも重要ですが、人の創造性を高めながら、世界的な労働力不足を解決していくことが必要になります。先進国では、高齢化によってさまざまな疾患による患者数が増加し、またそれにともなって医療や介護需要が拡大し、社会保障費が増大すると予測されています。また、過疎地や途上国では、医療・介護へのアクセスが制限されることが懸念されています。また、日本における介護需給のギャップは、2030年に約50万人に広がると想定されています。※1今後、他の先進国においても同様の課題が生じると考えられます。医療・介護現場の生産性や安全性を向上させるとともに、疾病予防・早期発見、治験の効率化による新薬開発期間の短縮や創薬成功率の向上により、医療サービスの質・アクセスの向上と社会保障費の抑制を進める必要があります。工場・設備の老朽化や人材不足、経験豊富なベテランの引退などにより、製造現場での災害リスクが増大し、労働災害発生のリスクも高まると考えられます。また、人材確保の観点からも、より安全な労働環境の実現が求められています。インターネットの世界では、サイバー攻撃が激化・巧妙化して、かつてないほどの被害をもたらし、その被害総額は全世界で90兆ドルにものぼるとも想定されています。※2社会インフラをはじめとした労働現場の危険および情報セキュリティーリスクの見える化や、人々の労働や暮らしに貢献する製品・サービスの高度化を通じ、安全・安心な社会を実現することが必要です。機会事業●デジタル技術を使った「働き方」のソリューション提供による、お客様企業の生産性向上と創造的な時間の創出●現場で働く人のワークフローを変革する製品・サービスの提供による、お客様企業のサプライチェーンでの生産性と働きがいの向上●中小企業のデジタルデバイド(IT格差)解消による、人手不足の解消とサイバーセキュリティーの強化事業●高付加価値の医療サービスを提供することで、疾病を予防、疾患を早期発見し、医療費を削減●遺伝子検査技術などを活用した創薬プロセスの革新による、医薬品開発の効率化●途上国における医療サービスのアクセシビリティ向上●画像IoTを使ったシステムと現場オペレーションのコンサルティングサービスによる介護業務のワークフロー変革と介護業界の労働力創出自社内●新しい価値を生み出す源泉である「人財」の潜在力を引き出し、「個が輝く」組織へ自社内実現●いきいきと働くことのできる安全で快適な職場(会社)の●高度な計測・検査を可能にする製品・サービスの提供によるお客様企業の品質確保●ガスなどを可視化する製品・サービスの提供による、お客様事業企業の現場および社会の安全・安心向上リスク自社内●急速な制度・環境の変化にともなう社内のスキルと業務とのミスマッチの発生●ダイバーシティを重視した環境づくりの停滞による、従業員の多様性と自律性、イノベーション力の低下ー自社内●製品・サービスにおいて、使用者の生命、身体に重大な被害を及ぼす事故が起きた場合の社会的信用の失墜●製品・サービスにおいて、情報漏洩・プライバシー侵害につながる重大なセキュリティー事故が発生した場合の社会批判の増大●生態系汚染やヒトへの健康被害につながる物質の使用による操業・製品出荷への影響2022年度の中期計画●お客様の生産性を高め、創造的な時間を創出●人財の潜在力を引き出す、「個が輝く」組織づくり KPI幹部候補人財の戦略的配置/ DXリーダー育成数/従業員エンゲージメントスコア/女性管理職比率●お客様の健康で高い生活の質を提供●お客様の労働や暮らしにおける安全・安心の提供●いきいきと働くことのできる安全で快適な職場(会社)の実現KPILevel 4職場の削減率/組織健康度上位レベル移行率/フィジカルハイリスク者数/メンタル不調によるのべ休務日数●自社製品サービスの安全・安心リスクを最小化KPI化学物質に起因する重大事故発生件数、事業損失額/製品の重大事故発生件数、事業損失額/情報セキュリティの重大事故発生件数、事業損失額※1 2018年4月9日 経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」報告書より※2 出典:The Atlantic Council and the Zurich Insurance, Risk Nexus, 2015KPI各KPIの目標値はP65-66参照KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針価値創造に向けたマテリアリティ10マテリアリティ気候変動への対応有限な資源の有効利用2030年を想定した環境・社会課題パリ協定の合意のもと、世界全体が加速的かつ野心的に低炭素社会へ移行する可能性があります。一方、移行が思うように進まず世界各地で気候変動の著しい影響が顕在化してしまうおそれもあります。低炭素社会へ移行した場合には、再生可能エネルギーの促進や抜本的な省エネルギーの推進など、産業界全体のエネルギー構造が大きく変わります。一方、気候変動の影響が顕在化した場合には、海面上昇による土地の水没や生物多様性の喪失が進みます。また、猛烈な台風やハリケーンといった異常気象が頻発し、産業だけでなく人間生活そのものに大きな影響を及ぼします。低炭素社会へ移行するために、従来のワークフローを大きく変革することでエネルギーの使い方を根本から見直す必要があります。また気候変動の影響が顕在化した場合に備え、異常気象の発生に耐え得る産業構造の構築が必要です。世界の人口増加にともない、2030年には人間が必要とする資源の消費量は、地球2個分に達すると推計されています。限りある資源を有効に活用するために、廃棄物の回収・再生利活用だけでなく、無駄な資源の使用を減らすことが重要です。例えば、オンデマンド生産やIoT技術を活用し、サプライチェーン上の資源のムダを減らすなど、抜本的なワークフローの変革が求められます。これらに加えて資源の循環に貢献する材料技術や回収網の構築による、循環型経済への対応が求められます。機会事業●製造プロセスへのソリューション提供による、お客様・社会のエネルギー/ CO2負荷低減●働き方変革ソリューションの提供による、ペーパーレス、ユビキタス社会の実現自社内●DXを活用したお取引先の環境負荷低減支援による飛躍的なCO2削減と コスト削減の実現事業●オンデマンド生産による無駄のないお客様企業のサプライチェーンの構築●お客様企業のワークフロー、サプライチェーンのロス削減リスク自社内●エネルギー価格の高騰/原料不足による部材コストアップ、供給の不安定化●エネルギー価格の高騰/原料不足によるペーパーレスの進行●異常気象によるサプライチェーンの寸断自社内●サーキュラーエコノミーへの対応遅れによる競争力低下●水資源の枯渇・水リスクによる生産の遅延・停滞2022年度の中期計画●お客様の業務プロセス変革でエネルギー・CO2を削減カーボンマイナス貢献量/ソリューション売上高KPI●お客様の業務プロセス変革で資源を有効利用お客様・お取引先・社会における排出物削減量/ソリューション売上高●自社拠点、自社製品・サービス、お取引先のエネルギー・CO2を削減KPICO2削減量/エネルギー削減金額換算/再生可能エネルギー調達によるCO2削減量/サステナブルソリューション売上高/エネルギー削減金額換算●自社拠点、自社製品・サービスの資源を有効利用排出物削減量/排出物削減金額換算/省資源・再生資源活用量/サステナブルソリューション売上高KPIKPIKPI各KPIの目標値はP65-66参照KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針11中長期の価値創造戦略DXによって、事業ポートフォリオの転換へKONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針12中期経営計画の変遷G PLAN 2013TRANSFORM 2016SHINKA 2019DX2022基本方針成果と課題IT企業のM&AによりITサービスの提供能力を強化●成長の実現による規模の拡大●「真のグローバル企業」 への進化●「コニカミノルタ」ブランドの認知度向上メーカー型ビジネスからソリューションビジネスへの業容転換を本格化●持続的な利益成長の実現●顧客密着型企業への変革●強靭な企業体質の確立●主力の情報機器事業においてITサービス 会 社 のM&Aを 実 施し、複 合 機とITサービスを組み合わせたハイブリッド型販売体制を構築●純粋持株会社から事業会社に移行し、One Konica Minoltaとして顧 客 価 値を提供できる体制を構築●リーマンショック、東日本大震災による影響から脱し、成長軌道に転換●ジャンルトップ戦略に基づきHDD用ガラス基板事業から撤退●ITサービス会社のM&Aを継続、主力の情報機器事業のハイブリッド型販売が奏功し、顧客一社当たりの収益率が向上●各事業で戦略的M&Aを実行し、事業の高付加価値化や新事業創出につながる技術、知見、ノウハウ、人財を獲得●ビジネスイノベーションセンター(BIC)を立ち上げ、オープンイノベーションにより新規事業を生み出す仕組みを構築データ活用を軸としたプラットフォームビジネスを開始●2021年度をターゲットに「課題提起型デジタルカンパニー」へ進化●基盤・成長事業の収益力を大幅に高め、新規事業を確実に立ち上げる●売上の大半を占めるオフィス事業では、中国・アジアなどの成長国でカラー複合機が高シェアを獲得するも、原価低減策が遅れ、収益力が低下●プロダクションプリント、機能材料、IJコンポーネント、計測機器などのビジネスユニットで、高付加価値化が進展●Workplace Hub、プレシジョンメディシンなど、社会ニーズを捉えた新規事業の展開を開始。先行投資が続き収益貢献には至らないものの、売上は増加●DX により高収益ビジネスへと飛躍●真の社会課題解決企業へ2030年の長期の経営ビジョン●お客さまの「みたい」を実現することで、グローバル社会から支持され、必要とされる企業●人と社会の持続的な成長に貢献する、足腰のしっかりした、進化し続けるイノベーション企業売上高の推移売上高(億円)12,0009,0006,0003,0000フォトイメージングカメラ事業、フォト事業の撤退を発表G PLAN 2013TRANSFORM 2016SHINKA 2019DX2022リーマンショック以降の金融不安の影響東日本大震災新型コロナウイルス感染症の拡大8,6339,400(予想)20032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212030(年度)J-GAAP(日本基準)IFRS(国際会計基準)KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針CEOメッセージ13経営資源の大胆なシフトと補強により、持続的な成長が可能な事業構成および収益の多角化を実現。事業ポートフォリオ転換の完遂なくして明日はないという覚悟をもって経営を進めます。代表執行役社長 兼 CEO 山名 昌衛コロナ禍で社会が大きく変動するなか、当社のリスクと機会を再定義2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界各国の社会・経済に多大な影響を及ぼすと同時に、人々の働き方やライフスタイル、価値観などの変化を大きく加速させ、当社グループの事業にも、大きく影響を及ぼしました。これら社会変化や人々の行動変容により、今後の当社グループにとっての新たなリスクと機会が顕在化した1年であったと感じています。リスク面では、テレワークの拡大・定着によりオフィスへの出社率が低下し、プリントレスの流れが加速しました。これは当社がもともと想定し、徐々に進みつつあった構造的変化が、コロナ禍によって加速したと認識しています。当社ではプリントレスの潮流を見据えて、早くからオフィス事業においてソリューションビジネスやITサービスへの転換を進めてきました。また、イベントの開催中止やKONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針CEOメッセージ14店舗の休業などにともない商業印刷需要が激減しましたが、これはコロナ禍でけて、「2つのポートフォリオ転換」を必ずやり遂げる決意です。の一過性の現象であり、感染が収束した後には、特に当社が手掛けるデジタル一つ目は、オフィス事業を、従来の複合機中心のビジネスモデルからデジタル印刷への需要が回復していくものと想定しています。ワークプレイス事業へと大きく転換することです。コロナ禍を経て、それまでの一方、コロナ禍によって、人々の働き方や暮らしにおける「個別化・分散化」「リ事務所に社員が集中する働き方から、テレワークが広まり、社員が分散した状モート・非接触」といったキーワードで表現できる行動の変容が加速し、「安全・態で働くことが常態になりつつあります。企業はそうした環境でも情報セキュリ安心」「健康」に対する社会の要求が高まりました。私は、これらの社会の変容は、当社に新たな事業機会をもたらすと確信しています。例えば、テレワークの普及にともない情報セキュリティーの重要性が一層高まっていますが、この1ティーを担保し、ワークフローを効率的に進めることが急務となりました。当社が提供する「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」は、クラウドとエッジを連携させて、新しい情報セキュリティーのあり方を提案するソリューションであり、年、当社の高度なセキュリティー技術やデジタルを活用したワークフロー変革こうしたニーズにきめ細かく対応できます。また、企業や政府・自治体においての提案が、さまざまなお客様から求められ、当社のソリューションへの評価が高も、紙の書類による申請・承認業務のワークフローをデジタル化する動きが活まっています。また、さまざまな業務の現場において「感染」や「密」を回避するための方法が模索されていますが、当社の画像診断による検温スクリーニングサービスや、病院における遠隔診療、工場における検査工程の無人化を実現す発化しつつあり、これらのドキュメント電子化についてもセキュリティー技術を活かして積極的に取り組んでいきます。さらに、中小規模のお客様のITインフラを一括管理する「マネージドITサービス」を、欧米を中心に展開してきましたが、るサービスなどは、多くの引き合いをいただきました。さらにコロナ禍によってこの事業も一層強化していきます。「セキュリティーで当社の強みをつくる」人々の健康意識が高まるなかで、早期診断や個別化医療を支援するサービス――これを強力に推進していきます。も着実に成長している手応えを感じています。長期的な成長を実現するために不可欠な2つのポートフォリオ転換を完遂する当社が持続的な成長と企業価値向上を果たしていくためには、こうしたリスクと機会も踏まえながら、事業構造改革を確実に実行していかなければなりません。それを完遂させるのが、CEOとしての私の最重要課題です。2020年度から3カ年中期経営計画「DX2022」を推進していますが、その基本方針は「デジタルトランスフォーメーション(DX)により高収益のビジネスへと飛躍する」、そして「真の社会課題解決企業へと転換していく」ことです。これらの実現に向そして二つ目は、現在の売上高の約5割を占めるオフィス事業への依存度を下げ、インダストリー事業やヘルスケア事業の成長を加速させる全社的な事業ポートフォリオの転換です。インダストリー事業のセンシング分野では、当社はディスプレイ向けの計測器で、世界トップのポジションを確立しています。その強みを活かし、ディスプレイ領域での事業をさらに伸ばしていくことはもちろん、ディスプレイ以外の新領域――自動車向け外観検査や食品・医薬品関連の成分検査などの領域へ事業を拡大していきます。また画像IoT分野では、ドイツのMOBOTIX社のエッジ処理型のインテリジェントカメラをベースに行動を検知・解析する技術を確立しています。このAI(人工知能)ネットワークカメラや各種センシングデバイス、解析ソフトウェアなどを組み合わせ、新しいプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」として展開しています。多彩なパートナーの技術や製品KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針CEOメッセージ15と連携しながら、プラント、倉庫、物流エリアのモニタリングをはじめ、顔認識と連などのデータを統合したマルチオミックス・プラットフォーム「LATTICE(ラティス)」動させ体温を自動計測するサーマルカメラ、介護施設での見守りサービスなど、さまざまな現場における「安全・安心」や「非接触・省力化」のニーズに応えていきます。の提供を開始します。このように、さまざまなアプローチを通じて早期診断、早期治療を支援し、人々のQOL向上に貢献していきます。ヘルスケア事業では、当社は早期診断領域に強みを持っているため、その分野でさらなる成長を目指していきます。当社が得意とするデジタルX線画像診断システムは、静止画から動画でのリアルタイム撮影へと進化しており、その動画とAIによる動態解析を組み合わせることで、医師による、より正確な読影・診「転換」の実行スピードを加速させるためマネジメントシステムの再構築に着手断を支援できるようになりました。世界に先駆けて提供しているこの当社の技術は、医療現場からも高い評価を受けており、医療現場の負担軽減と早期診断当社では、これら2つの転換の最終ゴールを2025年度に設定していますが、そのマイルストーンとして中期経営計画「DX2022」の最終年度である2022年の実現に貢献しています。またプレシジョンメディシン分野では、米国子会社のAmbry Genetics社が遺伝子検査、Invicro社が画像診断の領域で高い技術度までに一定の成果を出すべく、研究開発や人財などの経営資源をこれらの成長領域に大きくシフトさせます。一方、転換の実行スピードをあげることは、前を有しています。その強みを活かして、健常者向け遺伝子検査サービス、創薬中期経営計画期間中にできなかった大きな課題と認識しており、マネジメントシ支援サービスを展開します。加えて、これまで蓄積してきた遺伝子や診断画像ステムの抜本的な見直しも進めます。そのために、この数カ月間、私自身の手で当社のマネジメントシステムを総点検して課題を洗い出しました。現在はその課題解決を含めた再構築に取り組んでいるところです。マネジメント改革の大きなポイントの一つは、OODA(Observe=観察/Orient=状況判断、方向づけ/ Decide=意思決定/ Act=行動)ループの導入による意思決定と行動のスピードアップです。昨今のように変化が激しく先の読めない事業環境においては、じっくりと計画を練ってから実行に移すよりも、「何を成し遂げたいのか」を明確化したうえで、現状の情報から最善の判断を下し、即座に実行に移す――OODAループを回した方が確実に目標達成に近づけるはずです。この新しい意思決定のフレームワークを効果的に運用していくため、各事業現場からのビジネスレポートの収集・分析方法の検討や、会議・意思決定の仕組みの見直しなどを進めています。同時に、スピーディーに経営判断をしていくために、各部門の自律性が極めて大切だと認識しており、今後はより事業現場に近いところに積極的に権限委譲していく方針です。KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針CEOメッセージ16もちろん、2つの転換を加速させるブースターとして、DXへの取り組みの一層手を中心としたメンバーが自ら提案してスタートした社会課題解決プロジェクの強化も欠かせません。当社では、各事業のビジネスをデジタルで進化させ、お客様への提供価値の最大化を図る「ビジネスDX」と、事業に横串を通して全社的なレベルアップを目指す「オペレーショナルDX」の2つの側面からDXを推進しています。「ビジネスDX」では、お客様のビジネスプロセスを俯瞰してお客様自トが稼働するなど、自発的な取り組みが活発化しています。世の中を本気で良くしたいという信念を持つ人財がいることを、大変心強く感じています。そして2020年度には、当社が事業活動を通じて社会の課題解決に貢献するテーマを、「働きがい向上及び企業活性化」「健康で高い生活の質の実現」「社身も気づいていない課題を見える化し、最適な解決策をお客様とともに導き出して、ビジネスプロセスやビジネスモデルの革新を支援します。今後も当社の強みであるイメージング技術にAIやIoTを組み合わせるのはもちろん、さまざまなパートナーの技術・サービスとの連携が可能なプラットフォームを構築し、幅広いお客様にソリューションを提供していく計画です。一方、「オペレーショナルDX」でもマレーシア工場で構築したデジタルマニュファクチャリングの他工場への展開、SCMではAIを活用した高精度なフォーキャストの実現、フィールドではお客様に提供するメンテナンスサービスの最適化などに取り組んでいきます。サステナビリティを経営戦略の根幹に据え、中長期的な企業価値の向上へ会における安全/安心確保」「気候変動への対応」「有限な資源の有効利用」の5つのマテリアリティとして明確化しました。とりわけ、グローバルな課題である「気候変動」に対しては、2009年に長期環境ビジョン「エコビジョン2050」を策定して以来、長期的な目標を掲げて取り組んできました。そして2020年度には、「カーボンマイナス」の目標達成期限を大幅に前倒し、2030年に「カーボンマイナス」を実現するという意欲的な目標を定めました。当社の環境経営のノウハウや技術をお客様企業やお取引先といったパートナーと共有し、バリューチェーン全体の環境負荷低減を図り、当社のCO2排出量に比べお客様企業やお取引先でのCO2削減貢献量を大きくすることを目指します。今後は、環境以外のマテリアリティについても、当社の取り組みが及ぼす社会的・経済的なインパクトを定量化し、具体的なKPIを設定することで活動を加速させていきます。当社は、経営理念「新しい価値の創造」のもと、これからもあらゆる事業活動「DX2022」の策定にあたり、当社は10年後の2030年の社会のありたい姿を通じて環境・社会価値と経済価値を創出していきます。そして、真の社会課と、その実現に向けて解決すべき環境・社会課題について徹底的に議論しまし題解決企業として持続可能な社会の実現に貢献すると同時に、中長期的な企た。そして世界が「持続的に発展する自律分散型の社会」に向かうとの認識の業価値の向上を実現してまいります。ステークホルダーの皆様には今後も変わもと、「持続可能な社会の実現」と「人間中心の生きがい追求」に貢献していくこらぬご支援を賜りますようお願い申しあげます。とを当社の存在意義と再定義しました。これは2003年の統合以来、当社が経営戦略の根幹に据えてきた姿勢でもあり、私自身も社長就任以来、「持続可能な社会、誰もが生きがいを持って暮らせる社会の実現に貢献することこそが、企業の持続的成長を可能にする」との信念のもと経営に取り組んできました。こうした考えは社員にも浸透しており、若コニカミノルタ株式会社代表執行役社長 兼 CEOKONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針中期経営計画「DX2022」172020年度からスタートした中期経営計画「DX2022」では、2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたオフィス事業の収益力を2021年度には2018年度レベルに一気に回復させるため、2020年度中に構造改革を実施することでキャッシュカウとしての位置付けを強化し、同時に2つのポートフォリオ転換を進めていくことでオフィス事業に続く柱となる事業の構築を進めています。事業ポートフォリオ転換を完遂するために必要な投資もしながら、2021年度および2022年度の主要経営指標を達成していきます。さらなる飛躍へ営業利益計画(億円)1,0008006004002000-200624黒字転換へ55036082-1622020201820192021(計画)2022(計画)2030(年度)主要経営指標営業利益営業利益率2021年度(計画)2022年度(計画)360億円550億円3.8%+1pt以上営業キャッシュ・フロー1,900億円ROIC2.8%+1pt以上KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針18戦略の方向性戦略の方向性外部環境認識新型コロナウイルス感染症の拡大により、働き方、生活様式、価値観が変化リスクコニカミノルタの売上の5割強を占めるオフィスプリンティング分野の需要減少●顧客企業のオフィスのプリントボリューム減少が加速●顧客企業内の集中印刷室のプリントボリューム減少が加速●プリントボリューム減少にともないハード販売数量が減少機会社会ニーズが高まる分野でイメージングを核としたビジネスチャンスが増大●DXによる働き方改革が加速●さまざまな分野での個別化・多様化ニーズが増加●非接触/分散/リモートのニーズが増加●安全・安心、衛生分野の需要が増大オフィスプリンティング事業に続く新規事業の確立へオフィスプリンティング事業の収益構造改革●営業プロセス改革●アフターサービスの生産性向上●開発費削減●生産固定費削減オフィス事業の2021年度の営業利益を 2018年度レベルに回復新たな柱となる事業の構築デジタルワークプレイスワークプレイスハブ/ITサービス事業の成長プロフェッショナルプリント計測・検査・診断領域での事業基盤の確立ヘルスケアインダストリーDXによるビジネスモデルの進化中期経営計画「DX2022」KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針19目指すべき事業ポートフォリオ利益の過半をインダストリーとヘルスケアでオフィスプリンティングに依存しない事業ポートフォリオの実現を目指し、2つのポートフォリオ転換にを、今後の当社の事業の柱としていくべく、人財や研究開発費、投融資などのリソースを配分していきます。DX2022の期間中に、これらの転換のための施策をスピーディーに実行することで、2025年度に事業ポートフォリオ転換を完遂し、各事業の営業利益構成比を大きく変えていきます。スピードをあげて取り組みます。一つ目は、オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換です。当社がこれまでオフィス事業で培ってきた顧客を資産として、顧客のワークフローを見える化し、そのDX化や分散化を支援するサービスとして、顧客企業のテレワーク環境も含むITインフラストラクチャーを一括管理するマネージドITサービスや、重要性の高まる情報セキュリティーに対する診断と対策ソリューション、顧客の業務や業種に特化したソリューションなどを提供することで、事業の高付加価値化を図ります。二つ目は、全社として計測・検査・診断の領域での事業成長を加速させる事業ポートフォリオの転換です。「個別化・分散化・省人化」をデジタルで実現するプロフェッショナルプリント事業、遺伝子診断を含む早期診断機能をデジタルで高度化し「安全・安心・リモート・個別化」に応えるヘルスケア事業、画像IoTをプラットフォームとして計測・検査の「安全・安心・リモート・省人化」に応えるインダストリー事業オフィス事業に依存しない事業ポートフォリオの実現に向けた2つの転換オフィス事業2つの転換① オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換デジタルワークプレイス事業② 「計測・検査・診断」領域での事業成長インダストリー事業ヘルスケア事業プロフェッショナルプリント事業セグメント別の営業利益構成比2021年度(計画)2025年度(ゴールイメージ)■ デジタルワークプレイス事業(オフィス事業含む)■ プロフェッショナルプリント事業■ ヘルスケア事業■ インダストリー事業オフィス事業が大半39%2022年度(計画)5%オフィス事業の比率縮小38%37%360億円53%10%550億円18%20%36%イメージオフィス事業への依存脱却24%19%中期経営計画「DX2022」KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針20DXによるビジネスモデルの変革データを活用したプラットフォームビジネスの確立へ事業ポートフォリオ転換を推し進めるにあたって、プロダクト主体のモノ売りビジネスから、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)を主体としたビジネスへと業容転換を図っています。そのために、コニカミノルタが長い歴史のなかで培ってきた画像技術と、最新のIoTやAIの技術を組み合わせた独自のプラットフォームビジネスを確立していきます。当社の強みであるセンサーデバイスを通じてお客様の現場から画像などの情報を読み取り、データに変換してAIによって解析することで、さまざまな現場で働くプロフェッショナルの課題までをも“みえる化”できるようになります。これらの情報を顧客業種ごとに蓄積し、ソリューションサービスとして提供します。こうしたサービスを提供するプラットフォームを確立し、ビジネスパートナーやお客様がつながるエコシステムを構築することで、継続的かつ安定的に収益を確保できるビジネスを創出していきます。約200万社との顧客接点をはじめ、これまでに培ってきたイメージング技術、世界4万人超のグループ人財といった無形資産を結集し、ビジネスモデル変革を実現します。IoTプラットフォーム画像AIセンサーデバイス顧客価値の創出+継続的収益の確保高付加価値サービス印刷自動化支援ソリューション自治体DXソリューション創薬支援サービス遺伝子検査サービス防災支援サービス事故防止サービス介護支援サービス印刷自治体医療製造介護顧客業種ごとに情報を蓄積し、サービス化人行動先端医療検査画像認識・解析さまざまな情報をインプット画像IoTプラットフォームLATTICE無形資産顧客接点技術人財中期経営計画「DX2022」KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針212022年度に向けた各事業のDX戦略デジタルワークプレイス事業戦略 – オフィス印刷の減少を前提にデジタルワークプレイス事業へ転換プロフェッショナルプリント事業戦略 – 伸長する商業・産業デジタル印刷市場で競争優位性を拡大● オフィス事業で培った顧客基盤を維持拡大しながら、業種に特化したデジタルワークフローサービス、業種によらないマネージドITサービスやサイバーセキュリティーサービスなどを付加価値サービスとして追加提供。顧客のライフタイムバリューを拡大することにより、デジタルワークプレイス事業へと転換。● 2020年度に勢揃いした複合機新製品による大口顧客獲得、および既存顧客の旧製品置き換えによるサービス原価低減(消耗品交換頻度低減、リモートサービスメンテナンス拡大)、定額制の提案によって、粗利率を向上。トップクラスのシェアを持つ成長市場(中国・インド・APAC)で顧客基盤を拡大。● 粗利率の高い自社開発ソフトウェアの販売拡大、月間経常収益(Monthly Recurring Revenue)モデルに対応する商材の拡大によって、安定収益基盤を確立。セクター別(教育・医療・法律・金融・自治体など)の業務プロセスDX化サービスの販売を拡大。● 顧客ターゲティングおよび提案作成におけるAI活用による販売生産性の向上、コロナ禍で成功したインサイドセールス・リモート営業などの継続拡大、サービスバックオフィスのアウトソースによって、売上原価を低減。開発テーマの絞り込みにより、研究開発費を低減。● 今後も成長が見込まれるデジタル印刷市場において牽引役となるなか、大手印刷会社を獲得するため、ヘビープロダクション機(HPP)と産業印刷機器を組み合わせ、印刷ワークフローのDXを支援することにより、顧客のビジネスと当社の事業を拡大。顧客のアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトを加速。● 加えて、HPP同様の機能を搭載したライトプロダクション機(LPP)およびミッドプロダクション機(MPP)の新製品により、中小印刷会社での生産効率向上、同市場でのトップシェアを維持。圧倒的トップシェアを持つ成長市場(中国・インド)で販売を拡大。● センシング事業の技術を活かした自動品質最適化機能(IQ-501)に自動検品機能を追加し、作業効率を大幅に改善することで、プリントボリュームを拡大。LPP・MPPの新製品の展開にともないリモートサービスメンテナンスを拡大することで、サービス原価を低減。● デジタル印刷量が大きく伸長する産業印刷領域で、高速ラベル印刷機の新機種を上市し、販売を拡大。加えて、パッケージ印刷にも対応する高速インクジェット印刷機とデジタル加飾印刷機を組み合わせたトータルソリューションにより、販売を拡大。それらによりノンハード売上を大きく拡大。各市場のCAGR(2020→2022年)戦略的KPI各市場のCAGR(2020→2022年)戦略的KPI複合機ハードノンハードITサービス※ 当社推定+2%+3%+8%20212022MRR※成長率+15%以上/年 +15%以上/年顧客維持率1pt改善/年2pt改善/年業種別売上成長率+15%以上/年 +20%以上/年サービスファクトリー展開国数自社開発商材売上金額成長率10カ国25カ国+15%以上/年 +15%以上/年※ MRR:Monthly Recurring Revenue商業印刷ラベル印刷パッケージ印刷※ 当社推定+7%+6%+15%20212022HPP市場シェア35%40%ノンハード対前年売上高伸長率プロダクションプリント+22%+5%産業印刷+24%+28%中期経営計画「DX2022」KONICA MINOLTA Integrated Report 2021データセクション価値創造を支える基盤中長期の価値創造戦略価値創造ストーリー目次・編集方針222022年度に向けた各事業のDX戦略ヘルスケア事業戦略 – 既存技術と顧客基盤をベースにAIとデータ活用で課題解決インダストリー事業戦略 – 成長産業にセンサー、画像IoT/AI技術、キーデバイスで領域拡大● 先進国における診断の高度化、予防医療やオンライン診断、病院施設間連携による医療資源活用の効率化、新興国における医療アクセスの向上、製薬プロセスの効率化、個別化医療

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしたい方はこちらからどうぞ
URLをコピーする
URLをコピーしました!