コニカミノル(4902) – サステナビリティレポート2021(2/2)

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開示日時:2022/01/11 00:30:00

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損益情報

※金額の単位は万円

発表日 売上高 営業益 経常益 EPS
2018/03/31 103,125,600.0 5384400.0 5384400.0 64.96
2019/03/31 105,912,000.0 6244400.0 6244400.0 84.03
2020/03/31 99,610,100.0 821100.0 821100.0 -6.21
2021/03/31 86,338,100.0 -1626700.0 -1626700.0 -30.75

▼テキスト箇所の抽出

コニカミノルタはイメージング技術をコアに、現場で働く人の業務フロー変革を通じて、社会や人々の豊かな生活に貢献していきます。これを実現するために、価値創造の源泉である「人財」の潜在力を引き出し「個が輝く」会社となるべく、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、すべての従業員が生きがい・働きがいを実感できる環境・風土の整備を進めています。また、持続可能な社会の構築に向けて、サプライチェーンにおける責任や人権への取り組みを進めています。ヒューマンキャピタルダイバーシティ基本的な考え方ワークスタイル変革人財育成労働安全衛生従業員の健康管理企業風土改革とコミュニケーションの推進基本的な考え方女性のキャリア形成支援社外での経験・グローバル視点の活用多様な人財の活躍支援障がい者雇用顧客満足向上と製品安全責任あるサプライチェーン基本的な考え方コニカミノルタのアプローチコニカミノルタのサプライチェーン管理CSR調達の取り組み責任ある鉱物調達への対応調達に関する取り組み人権基本的な考え方品質マネジメント高信頼品質の実現製品・サービスのセキュリティ強化新たな品質価値の創出社会的に有用な製品の提供社会貢献活動基本方針健康・医学・スポーツを通した貢献環境活動を通した貢献学術・研究・教育の支援災害支援・ボランティア活動ESGデータ139基本的な考え方価値創造を担う人財力の向上をコニカミノルタは、持続的な成長に向けて、デジタルの技術でお客様とともに課題解決を導く「課題提起型デジタルカンパニー」へと進化を図っています。この進化により、顧客企業で働くプロフェッショナルの方々へ価値を提供することが、その先にある“人”の課題、人間社会の課題解決につながると考えています。この戦略を実現していくのはほかならぬ人財であり、人財力を強化し、個が輝くことが必要です。そのために、一人ひとりが生産性・創造性を高め、働きがいを持って成長できる環境づくりを積極的に進めてきています。従業員が持てる力を最大限に発揮するためには、一人ひとりが心身ともに健康であることが重要と考え、健康経営を力強く推進するとともに、従業員による顧客価値の創造に向けたチャレンジを後押しし、自律的な成長を加速するよう、ワークスタイル変革、人財育成に取り組んでいます。この取り組みをグループ共通の課題として、グローバルな規模で展開していくことで、グループ全体のヒューマンキャピタルを最大化し、価値創造力の強化につなげていきます。140ワークスタイル変革人財育成コニカミノルタのアプローチコニカミノルタのアプローチイノベーション創出のための制度の拡充人財育成制度兼業・副業の解禁、ジョブ・リターン制度経営幹部育成プログラムリモートワークの拡大仕事と育児の両立に向けた制度の拡充人財育成体系KM-Way選抜プログラム女性従業員の育児とキャリアを両立させるための支援ICT人財育成・認定制度男性従業員の育児参画を促進する取り組み次世代育成手当の支給労働安全衛生従業員の健康管理コニカミノルタのアプローチコニカミノルタのアプローチコニカミノルタカレッジ若手海外派遣プログラム年齢別キャリアデザイン研修人財活性化を促進する人事制度評価・処遇制度人財公募制度・FA制度社外からの評価「グッドキャリア企業アワード2019」イノベーション賞・厚生労働省人材開発統括官表彰受賞グローバル人事組織の設置健康第一の風土醸成を通じた健全な経営の推進健康リスク保有者の最少化過重労働対策感染症対策従業員の健康度の「見える化」による健康増進活動(健康ムーブメント)「健康経営銘柄」に選定労働安全衛生管理体制就業時災害の防止安全教育の実施安全マインドリフレッシュ教育危険体感教育ドライブレコーダーを活用した交通安全対策と教育国内拠点のヒヤリハット共有の取り組み(自主活動)安全管理の強化中国安全衛生責任者会議安全衛生の総合リスクマネジメントの強化推進海外(マレーシア生産拠点)における安全活動企業風土改革とコミュニケーションの推進コニカミノルタのアプローチ企業風土改革の推進組織カルチャー変革社内コミュニケーションの推進ネットワーキング推進イントラネットの活用グループ報の活用コミュニケーションコーディネーター制度働きがいのある職場環境と従業員の定着141ヒューマンキャピタルワークスタイル変革コニカミノルタのアプローチイノベーション創出のための制度の拡充兼業・副業の解禁、ジョブ・リターン制度リモートワークの拡大仕事と育児の両立に向けた制度の拡充女性従業員の育児とキャリアを両立させるための支援男性従業員の育児参画を促進する取り組み次世代育成手当の支給コニカミノルタのアプローチ背景と課題認識当社が目指す「課題提起型デジタルカンパニー」へと進化するためには、人財力を最大限に引き出すことが欠かせません。従業員一人ひとりが持てる能力を最大限発揮できるよう、ワークスタイルの変革が必要だと認識しています。目指す姿コニカミノルタは、業務プロセス、人財活用、役割と権限、制度、環境といった多角的視点からワークスタイルの変革を進めていきます。これにより、従業員一人ひとりの仕事に対する満足度と労働生産性の向上を図ります。同時に、非連続な変化が発生し続ける環境下で、競争力の源泉となる創造性とイノベーションを創出していきます。重点施策業務・職場環境の整備業務プロセスの改革多様な人財活用142イノベーション創出のための制度の拡充兼業・副業の解禁、ジョブ・リターン制度コニカミノルタ(株)では、個の多様性を高めるため、2017年12月より、「イノベーション創出のための兼業・副業の解禁」と、「ジョブ・リターン制度の導入」を実施しました。兼業・副業の解禁は、「コニカミノルタで働きながら、自ら起業したい」「IT・プログラミングなどの技術を高めたい」といった意欲を持った従業員のニーズに応えるだけでなく、兼業・副業先の経験を通して得た知見や技術を活かして、イノベーション創出の起点となることが期待されます。また、ジョブ・リターン制度は、育児や介護、配偶者の転勤などによって本人の意図に反して退職せざるを得なかった人財や、自己のキャリアアップのための留学・転職などを理由に退職した人財に、復職の機会を提供する制度です。退職前に培った知識や経験に加えて、退職後に得た知見や人脈、経験を活かして、さらなる活躍が期待されます。リモートワークの拡大コニカミノルタでは、「ワークスタイル変革」の実現に向けた施策の柱の一つに、場所に縛られない働き方の実現を掲げています。その一環として、コニカミノルタ(株)では2017年4月より全従業員を対象に「リモートワーク」の本格展開を開始しました。また、国内外販売会社でもリモートワークを拡大しています。この展開にあたっては、持ち運びを前提としたPCへの置き換えや、クラウドへのファイル保管、外部からの社内システムへのアクセス、WEB会議システムの導入など、環境面を整えてきました。環境面での準備が整っていたことで、2020年春からの急速な在宅勤務の拡大要請に対しても全社でスムーズに適応し、丸の内本社では出社率は10%台で推移しています。引き続き、リモートワークの積極的な活用を前提として、RPA を導入した業務の効率化を図るなど、業務プロセスを改善し、※業務の質を高めていきます。■2021年4月の国内主要サイト出社率  48% (内、丸の内本社 14%)※RPA(Robotic Process Automation):パソコンでの定型作業の自動化仕事と育児の両立に向けた制度の拡充従業員の仕事と育児の両立を支援していますコニカミノルタ(株)では、従業員のワーク・ライフ・バランス支援の一環として、育児期においても安心して業務に専念でき、十分に能力を発揮できる環境づくりを進めています。2017年8月には、これまでの取り組みが評価され、子育て支援におけるトップレベルの企業として、厚生労働省より「プラチナくるみん」の認定を取得しました。女性従業員の育児とキャリアを両立させるための支援コニカミノルタ(株)の育児休職制度は、1992年の導入以来、着実に根づいており、取得率、復職率はともに100%を維持しています。待機児童問題に鑑み、2月生まれ、3月生まれの子どもでも4月時点での保育園入園機会を2回持てるよう、育児休職の取得可能期間を2歳3カ月になるまでとしています。これにともない、育児休業給付金の支給期間を越えた育児休職期間においては、会社が給与補助を実施しています。育児休職から復職した後も、子どもが小学校を卒業するまでの間、「短時間勤務」「在宅勤務」「リモートワーク」など、さまざまな勤務形態を選択することができ、家庭の事情や本人の考えにあわせてキャリア形成を図ることが可能です。また2018年度からは時間単位休暇を導入しています。男性従業員の育児参画を促進する取り組み男性従業員は、法定で取得可能である育児休職制度に加え、「妻の出産休暇」(有給)として、出産予定日前後1カ月以内に合計5日までの休暇を取得することができます。「2020年度の男性育児休職取得率13%」という目標を掲げ、対象者とその上司への啓発活動の強化などの取り組みの結果、2019年度の取得率は19%となり、前倒しでの達成となりました。今後も、さらなる高みを目指し、取り組んでいきます。143次世代育成手当の支給コニカミノルタ(株)では、2012年に「家族手当」「住宅手当」に代わって「次世代育成手当」を創設し、18歳未満の子どもを育てる従業員に対して手当てを支給し、子育て世代の従業員を支援しています。また、2008年度からは、従来は本人の病気や怪我のための「ストック休暇(有給の積立式休暇)」の利用範囲を、育児休職や子どもの学級閉鎖にともなう休暇にも拡大しています。両立支援制度の利用実績の詳細は、ESGデータ内の社会データをご参照ください144ヒューマンキャピタル人財育成コニカミノルタのアプローチ人財育成制度グローバルDXリーダー育成人財育成体系ICT人財育成・認定制度コニカミノルタカレッジ若手海外派遣プログラム次世代リーダーの計画的育成(サクセッションプラン実行)ビジネスプロデューサー育成プログラム(CGF)人財育成を促進する人事制度社外からの評価評価・処遇制度「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」で東京都知事賞を受賞人財公募制度・FA制度グローバル人事組織の設置コニカミノルタのアプローチ背景と課題認識現在、世界中の企業が膨大な収集データとAI・ICT技術とを組み合わせながら新しいサービスの創出を競い合っています。コニカミノルタも「課題提起型デジタルカンパニー」への進化を目指しており、そのための鍵となるのが「人財のトランスフォーム」です。お客様や社会のニーズを的確に把握したうえで、コニカミノルタならではの革新的な価値を創造・提供することができる人財を継続的・計画的に育成していくことが不可欠だと認識しています。目指す姿革新的な価値を創造していくためには、一人ひとりが輝き、多様な考え方を持つ人財が自由闊達に議論を尽くしていくことが大切です。目指す人財像として、「変革の先頭に立ち、オーナーシップを貫いて、最後までやり遂げる人財」、「創造力を発揮して、他を巻き込み、顧客価値を生み出す人財」」――すなわち「グローバルで勝ち抜くビジネスアスリート」を掲げ、プロフェッショナルとしての個の進化、ひいては企業としての進化を遂げていきます。145重点施策とKPI若手の早期抜擢や女性役員候補のパイプライン強化による、リーダーシップ人財の計画的な育成顧客ニーズにデジタルで応えるリーダー(DXリーダー)をグローバルに育成し、2022年度までにグローバルなDXポジションへのアサイン完了幹部候補人財の戦略的配置(%)(戦略的リーダーシップポジションに対する人財配置割合)DXリーダー育成数(人)実績目標2020年度 2020年度 2021年度 2022年度70-70-10010027-コニカミノルタでは、激しい競争に勝ち抜くため、イノベーションの創出による持続的ビジネス成長をリードする人財の育成を進めています。人財育成制度ビジネス成長をリードできる人財育成を推進しています。次世代リーダーの計画的育成(サクセッションプラン実行)DX推進による会社の持続的成長を支えるため、リーダーシップ人財を計画的に育成することが必要です。特に、若手の早期抜擢や女性役員候補パイプラインの強化、候補者への具体的育成プラン策定は急務となっています。この施策として、代表執行役社長と事業トップが各事業のタレントをレビューする場を定期的に設けています。レビューを通じて、各事業の現状および3〜5年後に想定される組織課題と求められるリーダーシップポジションの人財要件を明確化したうえで、後任候補を短期・中期でリストアップし、人財育成プランの検討を実施しています。特に、次世代を担う若手の早期抜擢の観点、多様な力を活かすうえでの女性抜擢の観点を含めて、トップ間で真剣な議論を行っています。146グローバルDXリーダー育成DXを強力に推し進めるため、現場に近いところで、専門組織をオーケストレートし、顧客ニーズにデジタルで応えるリーダー育成をグローバルに展開することが必要と認識しています。これにあたり、DXリーダー要件を定め、グローバルで候補人財を可視化、絞り込んだうえで、社外教育機関と連携した教育プログラムを実施しています。まずは、デジタルワークプレイスの領域を先行させ、戦略的なグローバルアサインメントにより、DXビジネスの拡大を成し遂げていきます。人財育成体系※コニカミノルタ(株)では、OJD を基本として、その効果をより高めるため、役割、立場の変化にあわせた「階層別研修」と、各種の「知識、スキル向上研修」を実施するとともに、それらを補完するさまざまな教育プログラムを整備しています。さらに、コニカミノルタの将来を担うビジネスプロデューサーを育成する選抜育成プログラムにも注力しています。2020年度に実施した研修(階層別研修、コニカミノルタカレッジ含む)の受講者数は、のべ約8,600名で、のべ研修時間は約64,000時間でした。また、従業員一人当たりの年間平均研修時間は約13時間(約1.5日)でした。※OJD:On the Job Development(業務を通じた能力開発)の略。OJT(On the Job Training)の発展形であり、上司の指導のもと、課題を共有しながら能力開発を行うこと。147ビジネスプロデューサー育成プログラム(CGF)コニカミノルタ(株)では、事業の力強い成長を実現するビジネスプロデューサーの育成を目的としたプログラム(CGF)を実施しています。新しい価値の創造を通じて社会課題を解決したいという志を持つ若手人財を選抜して実施しており、10期となる2020年度は15名が参加しました。プログラムに参加する若手人財は、育成カリキュラムのなかで、ともに研鑽しあいながら新規事業の創出に取り組みます。このプログラムは既成のものではなく、社内のさまざまな領域から選出された人財育成に熱い思いを持つ運営委員がすべてのカリキュラムを練り上げています。このことから、CGFは職場や専門性、世代を超えた交流と研鑽の場としても大きな役割を果たしています。ICT人財育成・認定制度コニカミノルタ(株)では、ITやデジタル技術を駆使して、お客様起点で付加価値提供を実現できるICT人財の育成を目的とした社内教育プログラムを実施しています。「ICT人財スキル認定制度」として、社内でデータサイエンティスト などの人財タイプを定義したうえで、入門からエキスパートまでのスキルレベルの認定・登録を行う仕組みを整えるとともに、レベルに応じた教育カリキュラムを整備しています。2020年度は人財タイプのうち、データサイエンティストとして154名、KMプロダクトオーナー として47名、ITアーキテクト12名 、KMシステムアーキテクト67名 がスキル認定登録されました。※1※3※4※2※1※2データサイエンティスト:各種データから意思決定やワークフローの課題を抽出し、解決策を構築する人財KM(コニカミノルタ)プロダクトオーナー:ビジネスとソフトウェア技術の両方に精通し、ソフトウェア開発への投資対効果を最大化する人財※3ITアーキテクト:ITサービスを顧客へ提供するためのプロセスやアーキテクチャの実現を担う人財※4KM(コニカミノルタ)システムアーキテクト:主にクラウドのインフラとシステム構成、アプリケーションアーキテクチャを設計する。コニカミノルタカレッジイントラネットを通じて随時募集している、すべての従業員が受講可能なプログラムです。「ビジネススキル系」「専門スキル系」「eラーニング」「通信教育」など150を超えるコースメニューをそろえ、先端技術の習得やコニカミノルタの固有技術の伝承、そしてビジネス実現に必要なスキルアップに役立てています。若手海外派遣プログラムコニカミノルタ(株)では、若手従業員を海外の販売会社や世界トップクラスのビジネススクールなどに派遣する「若手海外派遣プログラム」を実施しています。このプログラムは、多様な価値観のなかでの交流やリーダーシップの実践を通じて、グローバルに活躍するために必要な視座の向上・視野の拡大を図り、早期にリーダーを育成することを目的としています。これまでに122名の若手社員がこのプログラムに参加し、プログラム終了後、その経験を活かしてビジネスに貢献しています。これまでは、日本で働く社員だけを対象としていましたが、今後は日本から海外だけでなく、海外から日本、海外から海外とスコープを広げていき、グローバルレベルでの若手幹部候補育成を進めていきます。コニカミノルタカレッジ若手海外派遣者の展示会参加の様子148人財育成を促進する人事制度評価・処遇制度コニカミノルタ(株)では、今後も新しい価値をお客様に提供し続けていく組織を実現するため、グローバル競争に打ち勝つ人財の育成を進めています。これを加速するため、2016年に一般従業員の評価・処遇制度を改定し、失敗を恐れず高い目標にチャレンジし、「コニカミノルタフィロソフィー」に沿った人財を高く評価する仕組みを構築しました。また、従業員の処遇については、年功要素を除外し、能力および成果を公平に評価して、昇格や昇給に反映しています。さらに、マネジメントのレベルアップのため、管理職層には360度評価を導入し、半年ごとに同僚・部下の声が本人に届くようにしています。人財公募制度・FA制度コニカミノルタ(株)は、会社主導の人財配置を補完する仕組みとして、従業員自らの意志で異動にチャレンジする「人財公募制度」と「FA(フリーエージェント)制度」を導入しています。これらは、自己のキャリア開発に積極的にチャレンジする人財の創出と、チャレンジ精神を尊重する風土の醸成を狙いとしています。「人財公募制度」は、人財を求める部門の募集に従業員が自らの意志で応募するものです。また、「FA制度」は、従業員自身がチャレンジしたい職種や職場をイントラネットに登録、人財を求める部門がその情報を見て面接を申し込み、双方の希望が合えば異動が成立する仕組みです。これらの制度の継続により、グループ横断的な人財の流動化を図るとともに、自律的なキャリア開発を支援していきます。社外からの評価「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」 で東京都知事賞を受賞コニカミノルタ(株)の特例子会社であるコニカミノルタウイズユー(株)が、東京都の「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」(東京都知事賞)を受賞しました。「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」は、障がい者が職場でいきいきと活躍することができる環境を整備するため、障がい者雇用の特色ある優れた取り組みを行う都内企業を選定し、東京都障害者雇用優良取組企業として優れた企業に授与されます。<評価されたポイント>入社後の3年間は、さまざまな業務をジョブローテーションで経験させ、適性を見極めるなど、長期的な視点での人財育成を実施していること。 会社が求める人物像・スキルを明らかにし、独自の賃金規定に落とし込み、個々の能力に応じた昇給を実施していることが評価されました。グローバル人事組織の設置コニカミノルタ(株)では、今後も新しい価値をグローバルにお客様に提供し続ける組織を実現するために、世界各国の人財の育成と適材適所を推進するグローバル人事組織を設置しています。グローバル人事組織では、経営層や関連部門との連携を図り「世界各国の人財の可視化」「個別育成計画の策定」「個別育成計画に基づく業務の付与・グローバルローテーション・社内外の研修機会の提供」「やる気を高める報酬制度の導入」を通じて、個の力を高め、組織全体の力を高める支援を継続的に行っています。149コニカミノルタのアプローチ労働安全衛生管理体制就業時災害の防止安全教育の実施安全管理の強化安全マインドリフレッシュ教育中国安全衛生責任者会議危険体感教育安全衛生の総合リスクマネジメントの強化推進ドライブレコーダーを活用した交通安全対策と教育海外(マレーシア生産拠点)における安全活動国内拠点のヒヤリハット共有の取り組み(自主活動)ヒューマンキャピタル労働安全衛生コニカミノルタのアプローチ背景と課題認識目指す姿重点施策とKPI労働災害の防止※重篤災害 発生件数重大な事業損失額労働現場における災害の発生は、従業員の安全性を脅かすとともに、近隣環境や事業継続性にも影響を及ぼすおそれがあります。このため、労働災害の発生を防ぎ、従業員が安心して働ける環境づくりが重要な経営課題だと認識しています。コニカミノルタは、職場の安全と従業員一人ひとりの健康の維持、増進を企業経営の基本とし、日常の予防活動に重きをおいた労働安全衛生への取り組みを行うことにより、健康かつ安全で働きやすい職場環境づくりを目指しています。重点施策(KPI)目標目標年度実績2020年度0件0円毎年度0件維持毎年度0円維持2022年度2022年度※重篤災害:① 死亡、長期療養を要する(または可能性のある)疾病、障がいの残る(または可能性のある)怪我、特定伝染病② 一時に3人以上の労働者が業務上死傷または罹病した災害(不休含む)150休業度数改善※休業度数率 :3カ年中期経営計画期間2017〜2019年度 0.1以下2020〜2022年度 2022年度までに0.15以下に低減(2030年度までに0.10以下に低減することをターゲットとしてバックキャストした目標値)重点施策(KPI)ベンチマーク実績目標2017〜2019年度平均 2020年度 2020年度 2021年度 2022年度 2030年度休業度数率(%) ※0.230.170.210.190.150.10以下※休業度数率:在籍労働者ののべ実労働時間数100万時間当たりの休業者数労働安全衛生管理体制「私たちコニカミノルタグループは、職場の安全と社員一人ひとりの健康の維持、増進を企業経営の基本とし、日常の予防活動に重きをおいた労働安全衛生への取り組みを行うことにより、健康かつ安全で働きやすい職場環境の確保に努めます。」という方針を定め、「労働安全衛生に関する諸データによる効果・影響の定量的な評価・分析に基づき、労働安全衛生課題の継続的な改善を推進すること」を取り組みの基本姿勢として活動を推進しています。安全衛生管理規程では、グループで働く構成員(役員、従業員、嘱託、派遣従業員、パート)および構内業者(グループの構内で業務を行う請負業者、委託業者)の安全確保を目的に掲げています。コニカミノルタグループでは、下図に示す通り、コニカミノルタ株式会社代表執行役社長から任命されたグループ安全衛生管理責任者(執行役)が各事業部門の安全衛生推進責任者を任命し、各サイトに安全衛生委員会を置き、管理体制を構築しています。産業医を含めたグループ安全衛生責任者会議を開催し、安全衛生推進施策の方針決定や進捗確認などを行っています。さらに定期的に、また災害発生時など必要な場合に、各拠点やグループ会社の活動計画や活動状況の内部監査を行い、改善を指示します。各拠点と国内グループ会社では、労働安全と健康増進を推進する組織として、労使合同の安全衛生委員会を設置し、毎月1回開催しています。同委員会は法令に則って、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医のほか、会社側と労働組合側それぞれの委員で構成されています。委員の半数は、労働組合の推薦に基づいて指名されています。さらに各事業部門でも安全衛生推進委員会という形で事業推進における安全衛生管理を行っています。安全衛生上の大きな問題や懸念事項が判明した場合は、グループ安全衛生管理責任者に速やかに報告され、グループ労働安全衛生事務局に是正や対策の指示がなされ、事務局は内容を検討・吟味して当該部門と協力して実行、グループ全体にも水平展開します。また、労働安全衛生に関する苦情処理制度として、ヒヤリハット情報・不具合情報や改善提案を、安全衛生委員会や安全衛生推進委員会を通じて従業員からヒアリングする仕組みを運用しています。労働安全衛生の専任スタッフとしては、グループ全体で約50人を配置しています。コニカミノルタグループの安全衛生管理体制151国内のすべての会社と海外の主要生産会社には労働安全衛生マネジメントシステムが導入されています。そのなかで、一部のグループ会社では外部認証(ISO45001)を取得しており、外部認証を取得していない会社においても、ILO 労働安全衛生マネジメントシステムに関するガイドラインに沿った厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づき、独自の仕組みに則って安全衛生活動の運用管理を行っています。全世界のグループ全体のうち外部認証を取得しているのは、従業員数ベースで13%となっています(2021年3月末現在)。マネジメントシステムの対象範囲は、受入派遣社員を含む従業員が基本ですが、構内常駐の業務委託先や請負業者に対しても、各サイトの安全衛生委員会が定期的に開催する安全衛生連絡会などを通じて、安全衛生活動への協力を依頼しています。マネジメントシステムの順法管理の対象は、労働安全衛生法と関連諸規則(労働安全衛生規則、事務所衛生基準規則、有機溶剤中毒予防規則など)、労働基準法と関連規則(女性労働基準規則)、その他の安全衛生関連の法令(消防法、高圧ガス保安法、毒物及び劇物取締法など)です。労働安全衛生マネジメントシステム外部認証取得状況社名認定日有効期限認定基準2009年11月10日2021年11月10日ISO45001:20182020年8月13日2021年11月27日ISO45001:2018 Konica Minolta Optical Products(SHANGHAI) Co., Ltd.Konica Minolta Business Technologies(Dongguan) Co., Ltd. Konica Minolta Opto (Dalian) Co., Ltd.2020年12月8日2023年12月7日ISO45001:2018GB/T45001-2020Konica Minolta Business Technologies(Malaysia) Sdn. Bhd.2015年1月16日2024年1月15日ISO45001:2018就業時災害の防止労働災害の防止に向けて、リスク低減活動を強化し、継続しています。コニカミノルタグループは、2020年度からの3カ年中期経営計画期間(2020〜2022年度)では、2022年度までに休業度数率0.15以下に低減することを目標に、就業時災害の発生防止に向けたさまざまな施策を行っています。労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)と安全衛生委員会組織を基軸に、事業変化に対応する総合リスクマネジメントと、会社・組織(部門)・個人による三位一体となった安全文化醸成の日常活動を2本柱としてPDCAを回しています。コニカミノルタの安全衛生活動152コニカミノルタグループ内で発生した災害は、災害データベースシステムにて24時間以内に発生報告が入力・記録され、情報共有される規則になっています。2020年度は、重篤災害 の発生はなし。休業災害は9件発生しました。内訳は国内8件(被災者は男性3名、女性5名)、海外1件(男性0名、女性1名)です。休業度数率 は国内で0.27、海外で0.04、で国内・海外を合わせると0.17です。休業強度率※3は国内0.0071で、海外で0.00007となりました。厚生労働省の労働災害動向調査による2020年度の国内製造業の休業度数率平均値は1.21、同じく電気機械器具製造業の平均値は0.52なので、同種業界平均値を下回る水準を維持しています。※1※2※1重篤災害:①死亡、長期療養を要する(または可能性のある)疾病、障がいの残る(または可能性のある)怪我、特定伝染病 ②一時に3人以上の労働者が業務上死傷または罹病した災害(不休含む)※2休業度数率:在籍労働者ののべ実労働時間数100万時間当たりの休業者数※3休業強度率:在籍労働者ののべ実労働時間数1,000時間当たりののべ労働損失日数2017年度からは、安全トップ企業のベストプラクティスを参考に、コニカミノルタグループの業態にあわせた新規安全管理指標として「不安全点」を導入しました。「不安全点」とは、休業災害だけでなく不休災害や通勤災害、および火災爆発事故も、その種類と程度により点数で表し合算することで、拠点ごとの安全状態を数値化したものです。点数が低いほど安全レベルは高いことになります。本指標を用いて原因を抽出・分析し、再発防止・未然防止につなげることを狙いとしています。2022年度に、コニカミノルタグループ全体で2017〜2019年度に発生した災害の不安全点を年度当たりに平均化したベンチマークから35%減を中期計画目標として、2020年度は10%減を目標として活動しました。コロナ禍による環境変化があったものの30%減の結果となりました。2021年度は、2020年度の安全推進活動の実施内容と結果を振り返り、リモートワークの普及などの環境変化を考慮して策定した新たな安全推進活動計画と施策のもと、不安全点目標値を再設定して管理を行います。安全教育の実施安全マインドリフレッシュ教育コニカミノルタグループでは国内・海外ともに、階層別教育を行っており、全従業員対象の雇入れ時と作業変更時の安全教育、新任係長安全教育、新任管理職安全教育を実施しています。また、職場ごとに必要な教育として消防法危険物安全教育、高圧ガス安全教育、機械設備安全教育などを行っています。また特にリスクの高い作業について、火災爆発防止やフォークリフト事故防止など、安全作業のための教育も行っています。2017年度から、従業員の安全意識向上を目的に、「自分の身は自分で守る」という基本的な意識と行動が短時間(5分間/回)でリフレッシュできる教育を実施しており、今後も継続していきます。2020年度はコニカミノルタ(株)と国内グループ会社の従業員約12,000名にe-Learning形式で毎月行って従業員の安全意識の向上を図りました。中国生産会社では、グループ安全月報を英訳・中国語訳して当月に発生した災害の共有を行い、該当箇所の対策および、災害の未然防止を実施しています。またグループ内で発生した行動災害を事例とし、グループ内の安全担当者を中心に作成した映像教材による教育も、安全意識向上教育の一環として継続して実施しています。危険体感教育危険体感機によって、回転体での巻き込まれ、Vベルトでの巻き込まれ、シリンダーでの挟まれなどを疑似的に体験し、災害の怖さを体感して未然防止を図る危険体感教育を2014年度から海外生産拠点を中心に実施し、2017年度から国内へ展開、2018年度には国内生産全拠点で実施しています。2019年度は本教育の継続に追加して危険を模擬体験できるバーチャルリアリティによる体感教育プログラムを開始しました。国内に続き、2020年度より中国の生産工場へも展開しています。ドライブレコーダーを活用した交通安全対策と教育コニカミノルタジャパンでは、全営業車にドライブレコーダーを設置して運転状態をモニタリングする仕組みでエコドライブと安全運転を推進し、交通事故を削減することができました。また、ドライブレコーダーに録画されたヒヤリハットの映像を、国内各コニカミノルタ拠点の交通安全講習会で共有し、身近な例として啓発を行い、交通事故の削減に効果をあげています。2020年度は、コロナ禍の影響もあり、交通安全動画のネット配信による交通安全講習会を2回実施しました。153ヒヤリハット共有の取り組み(自主活動)2017年度は国内の各拠点で、通勤災害の撲滅を目指して、拠点周辺の危険箇所を従業員参加型でマップ化し、共有・周知化する取り組みを行い、拠点によっては通勤災害件数を2016年度の1/10に低減する効果を得ました。なお、本活動に関しては2017年度の第76回全国産業安全衛生大会にて研究発表を行いました。 2018年度は従業員が入力できるウェブアンケートデータベースを用いて、事業場構内の危険箇所(階段、出会いがしらの衝突など)を共有し、対策につなげる活動へ発展させることができました。2019年度は上記の取り組みを継続し、歩行中の事故(転倒、階段転落など)や通勤災害の削減につながりました。2020年度は、コロナ禍でリモートワークが進み、自宅で仕事をする際の安全に関する注意喚起をe-Learningで実施しました。安全管理の強化中国安全衛生責任者会議コニカミノルタグループの「グローバル化」と「事業変化への対応」から安全管理を強化しています。2014年度から生産、販売、開発およびそれらの統括管理を含むすべての関係会社を対象として「中国安全衛生責任者会議」を年2回開催し、健康管理を含む安全衛生の強化を図っています。会議の中で、各社の安全衛生の取り組みの共有化、設備安全対策のコニカミノルタへの支援依頼、生活習慣や気候・環境の違いに起因する駐在員の健康課題などを取り上げて議論し、改善のための方針・施策の決議を行うなどの成果を得ています。2019年よりマレーシアの生産拠点を参加メンバーに加えて、会議体の拡大を図っています。安全衛生の総合リスクマネジメントの強化推進安全衛生に関する総合リスクマネジメントは、事業変化にともない発生する新規の設備、化学物質、人員、手順に対して生じるリスクを総合的にアセスメントし、リスク低減する仕組みです。従来の設備安全に加え、化学物質による健康障害や爆発火災など多岐にわたる観点からのリスクについて、現場と一緒になってリスクアセスメントを行う仕組みを、2016年度から全社で展開し、内容を強化しながら継続しています。安全風土の醸成:会社、組織、個人の三位一体での取り組み強化安全風土の強化は、個人の安全意識の向上策・ボトムアップ策だけでは不十分と認識。安全風土の醸成のため会社、組織(部門)、個人の三位一体での取り組みの強化を展開しています。 1)会社:トップの安全への強いこだわりを持ったメッセージを従業員へ配信(7月の安全強調月間に安全担当役員、各事業部長からのメッセージ配信)、2)組織(部門):組織長が率先して組織単位での安全活動を推進、四半期に1回が定着。3)個人:e-Learning、危険体験教育(体感機、VR)による自律的な安全行動の定着に向けての施策を展開。154ヒューマンキャピタル従業員の健康管理コニカミノルタのアプローチ健康第一の風土醸成を通じた健全な経営の推進従業員の健康度の「見える化」による健康増進活動健康リスク保有者の最少化過重労働対策女性の健康支援新型コロナウイルス感染症対策「健康経営銘柄」への選定コニカミノルタのアプローチ背景と課題認識生活習慣病リスクの高まりやメンタルヘルス不調による休務者が社会的に増加していることを踏まえ、従業員の心身の健康確保を図り、生産性やパフォーマンスの向上につなげることが、重要な経営課題だと認識しています。目指す姿コニカミノルタは、「従業員の健康がすべての基盤」との認識のもと、「健康第一」の風土を醸成し、健康経営を推進しています。従業員一人ひとりが心身ともに健康を保ち、生き生きと働き続けられる職場づくりを通して人財力を高め、企業としての持続的成長を目指します。重点施策・KPIいきいきと働くことのできる安全で快適な職場(会社)の実現従業員個人のフィジカル・メンタル両面の健康度向上に加え、2020年度からは、組織の健康度についても定量化して改善を進めることで、企業の持続的成長につなげます。155組織健康度従業員健康度実績目標2020年度2020年度2021年度2022年度Level 4職場の削減率(%)※1組織健康度上位レベル移行率(%)※238-15-3055010※1 ストレス度が最も高いLevel 4職場(4段階のストレスチェック結果で、最もストレス度が高いと判定された職場)数の2019年度実績からの削減率※2 組織健康度調査の結果が、3.5未満から3.5以上(上位レベル)に改善した職場数の前年比増減割合実績目標2020年度 2020年度 2021年度 2022年度フィジカルハイリスク者(最も健康リスクの高い従業員)数24%増4%減メンタル不調によるのべ休務日数13%増3%減8%減7%減12%減13%減注 2019年度実績からの増減率健康第一の風土醸成を通じた健全な経営の推進いきいきと働くことができる職場(会社)を目指して活動を推進していますコニカミノルタでは健康経営を推進する上での理念である「コニカミノルタグループ健康宣言」に基づいて、会社と健康保険組合のリソースを最大限活用できるよう、施策立案と実行をワン・マネジメント体制(コラボヘルス)で運営しています。人事部長が健保理事長、人事部の健康管理責任者が同常務理事を兼務し、重要案件では経営層も含めた迅速な意思決定を行いながら、健康増進策を積極的に展開しています。「健康経営」推進に向けた組織(コラボヘルス)体制156健康宣言の理念を実現するために、会社の中期経営計画に連動させ、2014年度からの3ヵ年の健康中期計画「健康KM2016」に続き、2017年度からは「健康チャレンジ2019」を策定・実行し、健康リスクを抱える従業員の最小化と従業員の健康度の「見える化」による生活習慣改善(健康ムーブメント)に注力してきました。2020年度からは、新中計「Happiness Company2022」を掲げ取組領域を「リスク管理」から「生産性・活力向上」、「個人」から「組織」に拡充し、企業の持続的成長につなげていきます。「前中計(2017年度〜2019年度)と新中計(2020年度〜2022年度)のポジショニング比較」新「健康中計」のフレームワークまた、海外グループの従業員を含めた取り組み拡大に向け、主要な生産拠点が置かれている中国の現地従業員に対して、「コニカミノルタグループ健康宣言」の中国語訳を作成・発信し、健康意識向上を図っています。コニカミノルタグループ健康宣言(497KB)157健康リスク保有者の最少化コニカミノルタは、経営戦略の着実な遂行に不可欠な人財力を高めるため、そのベースとなる従業員の健康度向上に取り組んでいます。会社と健康保険組合が一体となって諸施策を立案・実行していますが、健康リスク保有者フィジカル・メンタルの両面からセグメント化し、数値目標を立ててそれぞれの人数低減を目指しています。フィジカル面では、国内グループ会社全体で重症化予防に注力しています。産業保健スタッフによる保健指導や受診勧奨を強化した結果、2020年度の「最も健康リスクの高い従業員数」は、コロナ禍による生活習慣の悪化から前年度比で増加したものの、2013年度比では76%減少しています。それに伴って、従業員一人当たりの入院費は、2013年度比で、世間一般(健保連平均)が3割近く増加する一方、当社は4%減少しており、重症化予防策の効果が出ているものと推察しています。2021年度は、産業保健スタッフによる保健指導を年間通して行うなど、取り組みをより一層強化し、対象者の更なる減少を図ってまいります。最も健康リスクの高い従業員数(2013年度を100とした場合の指数)158一人当たりの入院医療費の推移(2013年度を100とした場合の指数)2020年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、健診の実施が難しい環境でしたが、時期を変更し、感染防止対策を徹底した上で実施した結果、2020年度の定期健康診断受診率は100%を維持できました。また、がんの早期発見・早期対応を目的とした各種検診の受診率は以下のとおりです。2020年度の各種検診受診率検査部位受診率肺胃大腸前立腺乳子宮頸99.3%87.9%94.4%99.0%60.5%36.4%(集計範囲:コニカミノルタ国内グループ全従業員)また、健保組合と連携して特定健診を実施し、その結果に基づいて、生活習慣病予防のための特定保健指導に取り組んでいます。従来、特定保健指導は、健保組合から委託を受けた会社の保健師が行っていましたが、2018年度からは一部を外部の専門業者に委託し、会社の保健師はより健康リスクの高い従業員の保健指導に注力する一方で、生活習慣病予備軍となる特定保健指導対象者には、専門業者のノウハウを活用したきめ細かな対応を行った結果、2020年度(2021年8月現在集計中のデータ)は初回面談実施率、面談完了率とも、2016年度比で大幅に改善しました。159特定保健指導における初回面談率・完了率メンタル面では、全従業員を対象としたストレスチェックを年2回実施し、その結果をセルフケアに活用する一方で、職場別のストレス度を4段階に層別して結果を各組織長にフィードバックし、最もストレス度の高いLevel4職場については改善策を立案・実行しています。併せて、ラインケア機能の強化によるメンタル不調者の早期発見・早期対応を目的として、グループの全管理職を対象としたe-Learningを定期的に実施し、受講率は95%前後を維持しています。メンタルヘルス教育については、従来の「ラインケア強化」を中心としたディフェンシブな取り組みから、「職場風土の改善」に向けたオフェンシブな取り組みへの拡張を図っています。さらに、2020年度からは、スコアが生産性と強い相関のある「組織健康度調査」を新たに実施し、その分析結果を活用した職場改善活動にも取り組んでいます。また、メンタル不調による休務から復職する従業員を対象とした「復職準備勤務制度」を設け、最大3ヵ月のリハビリ勤務期間中に産業医・職場上長・人事との面談を最低3回設けるなど、スムーズな復職に向けて、対象者への手厚いフォローを実施しています。これらの対策の結果、2020年(4月1日時点)の国内コニカミノルタグループ全従業員のメンタル不調による休務日数は、前年からやや悪化したものの、2014年比では24%減少しています。また、休務者比率は2020年に悪化したものの、2021年には再び改善し、2014年からは0.16%低下(改善)しています。2021年は、コロナ禍でリモートワークが増加した就業環境を踏まえ、セルフケア教育(e-Learning)や復職準備勤務制度のきめ細かな運用などにより、メンタル休務日数の削減を図っています。また、定期的に(2年ないし3年に一度)実施している従業員意識調査のワークエンゲージメント(働きがいとチャレンジ意欲)に関する設問での好意的な回答比率が、2015年度の72%から2017年度に75%まで上昇しました。メンタル不調による休務日数と休務者比率の推移(各年4月1日時点のデータ)160過重労働対策過重労働による健康障害の防止に向け、2007年度から月中で超過時間が30時間以上の従業員とその上長に「超過勤務抑制指導メール」を配信し、長時間労働の抑制に努めています。また、前月の超過時間が80時間以上の従業員には、産業医による健診を実施し、健康の確保を図るとともに、上長には「業務改善計画書」の提出を義務付け、2ヵ月連続での長時間勤務の防止を徹底しています。さらに、2016年度からは健診の受診基準を見直し、超過時間が3ヵ月連続60時間以上の従業員や前月の超過時間が45時間以上となった従業員の中での希望者も、新たに産業医健診の対象に加えることで、過重労働による健康障害防止を強化しています。これらの対策の結果、2020年度の月次超過時間80時間以上の従業員数(年間の延べ人数)は243人となり、前年度からやや増加したものの、2015年度の557人からは56%減少しています。2021年度は、リモートワークに適応した勤怠管理システムの改修と運用の強化により、長時間勤務者の更なる削減を目指します。月次超過時間80時間以上の従業員の推移従業員の健康度の「見える化」による健康増進活動コニカミノルタでは、従業員の健康度を示す指標を設定し、日頃の生活習慣を「見える化」することで健康意識を向上させるとともに、健康増進に向けた支援活動を実施し、健康度の底上げを図っています。国内グループ全体で、従業員の運動や歩行習慣の定着に向けたチーム対抗でのウォーキングイベントの実施や外部インストラクターによる運動講習会の開催、食習慣の改善・意識向上を狙いとした食堂でのヘルシーメニューの提供や管理栄養士によるセミナー開催など、さまざまな活動を展開しています。運動講習会の様子161また、従業員の健康増進を支援するためのWebサイトを通して、直近の健康診断結果から、同年齢平均と比較した10年後の循環器系疾患、脳卒中、虚血性心疾患の発症倍率を個人ごとに提示することで、生活習慣の改善を促しています。この仕組みは従業員に加え、健康保険制度の扶養家族にあたる配偶者も利用できます。Webサイトでの将来の疾病リスクの提示例さらに、受動喫煙対策として、構内喫煙所の段階的な削減と屋内喫煙所の屋外化、構内一日禁煙デー等を実施するとともに、喫煙者には禁煙サポートプログラムへの参加を推奨してきましたが、2020年4月からは、喫煙に対する法規制強化を踏まえて、受動喫煙の防止と喫煙率の更なる低下を目的に、国内グループ会社全体で「構内・所定就業時間内全面禁煙化」に踏み切りました。これらの対策が奏功し、喫煙率は年々低下しています。1日禁煙デーの様子構内喫煙所数削減状況と喫煙率の推移また、アンケート調査からプレゼンティーイズム※の主要因を分析した上で、腰痛対策、睡眠不良者への専門職からの個別指導、メンタルヘルス対策等を進めた結果、2020年度の従業員一人当たりのプレゼンティーイズム損失額(1ヵ月平均)は67,015円となり、前年度からは増加しましたが、2016年度比では2%減少しています。2021年度は、プレゼンティーイズムに関わる有訴者率が高く、かつ前年度よりも悪化した「首・肩痛」「腰痛」に着目し、ICTを活用した改善プログラムを積極的に展開しています。162従業員一人当たりのプレゼンティーイズム損失額の推移※プレゼンティーイズム:何らかの健康問題によって、業務の能率が落ちている状況女性の健康支援女性活躍推進・健康支援強化の観点から、婦人科がんの早期発見、早期対応を目的として、がん検診の受診率向上を図っています。健康保険組合からの検診費用の補助に加えて、構内への検診車の導入や提携医療機関を増やすなど、受診環境の整備や感染防止策に取り組んだ結果、2020年度の国内コニカミノルタグループにおける乳がん・子宮頸がん検診の受診率は、コロナ禍による受診控えの影響で前年度からは低下しましたが、2013年比では大きく上昇しています。2021年度は、従業員が安心して受診できるよう、検診施設内での感染予防対策の実施を幅広く周知することで、受診率の回復につなげていきます。乳がん・子宮頸がん検診の受信率推移1632019年9月には、更なる受診率向上に向けた啓蒙活動の一環として、タレントの麻木久仁子さんをお招きし、ご自身の乳がん経験を踏まえて、早期発見のための検診受診の重要性等についてお話しいただく講演会を開催し、500名近くの従業員が参加しました。また、同年11月には、公益財団法人がん研究会有明病院乳腺センターの柴山朋子先生をお招きし、日本におけるがんの現状、乳がんの分類と治療法の変遷、遺伝性がんのメカニズム、がんの予防法等ついてご講演いただき、200名以上の従業員が聴講しました。熱心に語られる柴山先生講演会の様子また、婦人科がんに留まらず、更年期障害や月経前症候群等の女性特有の疾病への対処方法を学び、パフォーマンスの維持・向上につなげられるよう、外部の専門家を講師に招いての「女性のいきいき健康セミナー」を開催しています。新型コロナウイルス感染症対策コニカミノルタでは、従業員の健康度向上への取り組みの一環として、従来から、感染症予防に努めています。国内では、インフルエンザに関する流行情報の提供や予防接種の呼びかけを行うとともに、海外赴任者やその帯同家族、海外出張者に対してマラリアや肝炎、HIVなどの感染症に対する情報提供を実施しています。また、健康診断の胸部レントゲンを通して、結核の感染有無を早期に確認し、必要な対処を行うことで、感染防止に努めています。このようななかで、今回の新型コロナウイルス感染拡大に際しては、従業員とその家族の健康・安全の確保を最優先に位置づけ、「感染しない・うつさない」ための対策に全社を挙げて取り組んでいます。国内での感染拡大の初期段階である2020年2〜3月には、従業員に対して、「出社前の検温と体調チェック」、「こまめな手洗いや手指のアルコール消毒」、「マスクの着用と密集の回避」などを要請するとともに、各職場では、「時差出勤やリモートワークの活用」、「居室の換気」、「30人以上の会議の禁止(ICTを活用した会議の推奨)」、「食堂の時差利用(30分×3回転)と交互着席」等の対策を実施しました。4月に入り1回目の「緊急事態宣言」が発令されると、在宅でのリモートワークを原則とし、人との接触を極力減らすことでの感染防止に注力するなかで、大型連休中の外出や帰省についても極力控えるよう従業員に要請しました。一方、在宅でのリモートワークが増えることにより、運動不足やメンタル面での課題が浮き彫りになってきたため、「自宅で手軽にできるフィットネス動画」や「在宅リモートワークにともなうメンタルヘルスうえの問題点への対処方法と相談窓口」、「セルフケアに関するe-Learning(15分ほどの動画コンテンツ)」などを全従業員にメール配信し、必要に応じた活用を促すことで、心身の健康に関するサポートを行っています。また、毎年この時期に実施している定期健康診断については、秋以降に延期し、会場での感染防止対策を徹底した上で実施しました。1回目の「緊急事態宣言」解除後は、部門ごとに出社が必要な従業員を選別し、オフィスでのソーシャルディスタンスが確保できることを条件に、日々の出社人数を決めています。ソーシャルディスタンスの確保については、フリーアドレスの座席を間引いたり、居室だけでなく会議室も執務スペースとして使用するなど、さまざまな工夫を行っています。2021年度に入ってからは、変異株の影響による第4波の感染拡大が顕著になってきましたが、政府の新型コロナウイルス分科会が示した指標をベースとした当社独自の「感染状況の判断基準(2段階)」を策定し、関連部門が連携して、時々の状況を踏まえて、従業員への行動規制の強化(緩和)をタイムリーに決定・通達できる体制を構築しています。164「健康経営銘柄」への選定コニカミノルタの“健康経営”に向けた理念や体制、取り組みが評価され、経済産業省および東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に電気機器セクターから2015年、2016年、2018年〜2021年の6回選定されています。「健康経営銘柄」への選定について、「スマートワーク大賞」その他の外部評価と併せて、さまざまな媒体でPRを行うとともに、採用活動全般を強化した結果、約35%の大手企業で新卒採用エントリー数の不足が課題となっているなか、2021年度入社のコニカミノルタ(株)のエントリー数は、技術系を中心に、過去最高に近い人数を記録した2020年度と同等の水準を維持しています。また、国内グループ会社が連携して各種施策を進めた結果、経済産業省が主導する「健康経営優良法人2021」に、グループ会社9社(大規模法人部門「ホワイト500」:5社、大規模法人部門:2社、中小規模法人部門「ブライト500」:1社、中小規模法人部門:1社)が選定されました。165ヒューマンキャピタル企業風土改革とコミュニケーションの推進コニカミノルタのアプローチ企業風土改革の推進組織カルチャー変革社内コミュニケーションの推進働きがいのある職場環境と従業員の定着ネットワーキング推進ポータルサイトの活用グループ報の活用コミュニケーションコーディネーター制度コニカミノルタのアプローチ背景と課題認識コニカミノルタグループは新たな中期経営戦略「DX2022」のもと、この大きな環境変化を好機と捉え変革を進めています。この変革を実行するのは「人財」であり、いかにプロフェッショナル人財を増やし、そうした人財がエンゲージメントを高く持ち活躍できる組織風土を作れるかが変革実現においては重要と認識しています。すべてのグループ従業員が、コニカミノルタのビジョンに共感し、熱意を持って業務に取り組むことが、お客様への貢献、ひいては当社の持続的成長につながると考えています。そのような組織への変革を進めるため、従業員一人ひとりの声に耳を傾け、当社の強みや課題を理解した改善を実施し、「個が輝く」組織風土の実現につなげていきたいと考えています。目指す姿重点施策とKPIGES(Global Employee Survey:グローバル従業員意識調査)にて、組織風土の

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